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向本果乃子さん

目をとめて読んでいただき嬉しいです。コメントや評価ポイントは励みになります。ありがとうございます!読者としても、自分には書けないジャンル、アイデア、文体がたくさんあって、楽しみながらも勉強させて頂いてます。運営、選考に携わる皆さんにはこのような場を設けて頂き感謝しています。講評はいつも励みになります。全然思ったように書けなくて迷い悩むことが多いですが、誰か一人にでも「読んでよかった」と思ってもらえる小説が書けたらいいなと思ってがんばります。最近はエブリスタでも書いています。よろしくお願いします。

出没地 東京
趣味
職業
性別 女性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの記事一覧

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僕が書く理由

18/02/20 コメント:0件 向本果乃子 閲覧数:64

 僕は何のために書いていたんだっけ?初めて書いたのは十三の秋。でもそれはまるで日記のような、宛先のない手紙のような、自分の中に生まれる怒りや苛立ちを吐き出すように書き殴った小説とも詩とも言えない文字の連なり。学習ノートにHBの鉛筆で殴り書きしたそれが僕の初めての作品。それから僕は手に負えないあらゆる感情を白い紙の上に文字として書き続けた。誰に見せるためでもないから、汚い感情も意味不明な言葉も独りよ・・・

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今はただゆるゆるとほどける。そして、飛ぶ。

18/01/25 コメント:0件 向本果乃子 閲覧数:120

プルリングを開けて缶のまま口をつけ、ほんのり甘く炭酸を含んだそのアルコール飲料を喉から胃に流し込む。はぁ。体に染みわたるアルコールに力んでいた節々が緩む。噛み締めていた奥歯、こめかみ、首筋、肩、背中、腰。一日張り詰めていた筋肉がゆっくりとほぐれてゆく。もちろん、実際の筋肉はアルコールでほぐれたりはしない。だからそれは私の心が緩んで、結果として体に入っていた力が抜けているだけのことだ。お酒を飲まない・・・

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愛を教えて

18/01/11 コメント:2件 向本果乃子 閲覧数:309

五日前に別れたはずの男に睨み付けられ美優は戸惑う。 「もう男がいるって本当かよ」 聞かれて正直に頷く。別れた次の日に今の彼と付き合い始めた。 「もう、したのかよ」 男の言葉に美優は首を傾げる。 「寝たのかって聞いてんだよ」 美優はびっくりしながら頷く。つきあい始めたその日のうちに抱かれた。 「やっぱり噂どおりだったんだな」 睨み付けている目が少し濡れているように見えた。 「試してみて正解だったよ」・・・

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しあわせな彼女

17/12/24 コメント:0件 向本果乃子 閲覧数:200

 薫子のブログを見つけたのは失業した日だ。スマホをいじりながら酔うために飲んでいた。やさぐれる自分を容認した。安ワインを半分くらい飲んだ時だった。きれいにアップにした髪に上品なワンピースを着て光差す窓辺に立つ薫子を見つけた。私と同じ三十九歳、息子が一人。夫の仕事は不明だが裕福な暮らしはわかる。広々とした洋館に暮らし、気品漂う大きな白い犬を飼っている。こんな世界があるのかと驚く。薫子は東京在住である・・・

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饒舌な沈黙の行方

17/11/30 コメント:1件 向本果乃子 閲覧数:426

 真冬の深夜の弁当工場はその清潔さが寒々しい。俺は焼売をひたすら詰める。それは段々と焼売に見えなくなりついには話しかけてくる。「しけた顔してんな」「向き逆だよ」一瞬の出会いだが、同じ顔の焼売が去り際に一言ずつ話しかけてくるから会話が続いてるように錯覚する。それは俺の脳内で作り上げてる会話だ、わかってる、大丈夫だ。黙っていると視界が歪んで頭がぼーっとしてくるから担当食材と話すようになった。誰とも話さ・・・

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Be My Baby

17/11/07 コメント:0件 向本果乃子 閲覧数:256

 部屋に入ると冷たい風が頬を撫でた。その気配はずっと私にまとわりついていた。不思議と嫌な感じはせず、むしろ好ましかったので私はその部屋を借りた。古くて狭いアパートだ。夫とは別れることになるだろう。結婚十二年のうち八年を不妊治療に費やした。キャリアを積んでいた私は一生仕事を続けるつもりだったが、三年前治療に専念するため退社した。仕事を辞めた私は赤ちゃんのことばかり考えるようになり、夫との間に少しずつ・・・

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揺らぎ

17/10/23 コメント:2件 向本果乃子 閲覧数:273

部屋にはベッドと小さなテーブル。収納に入るだけの服や靴。僅かな化粧品。一人暮らしを始めて七年ずっとここで暮らしている。真生は先月二十九才になった。

朝九時に家から徒歩十分の古本屋に出勤する。高齢のオーナーは体調が悪く最近店に来ない。埃臭い店を開け掃除し仕入れた本を並べたらたまの接客以外は読書の時間になる。

その日、閉店直前に入って来た女性が「オーナーの孫の遥です。ご飯食・・・

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愛すべき愚か者たち

17/10/12 コメント:0件 向本果乃子 閲覧数:310

脱ぎ捨てた下着を拾いながら胸が苦しくなって二度と会わないと誓う。何度も破った誓い。抱き合ってる時は泣きたいくらい幸せなのに、やっぱりこんなに苦しくなる。だからもう絶対会わない。笙にそう言ったら鼻で笑うだろうな。
「何か飲む?」
「ビール」
冷蔵庫には彼が好きだという銘柄のビールがいつも冷えてる。そういうのが駄目なんだと笙は言う。だから全部自分で飲み干してしまおう。そしてもう買わな・・・

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月が見ている

17/09/28 コメント:0件 向本果乃子 閲覧数:356

深夜、暗い部屋にスマホの画面が光る。見ているのは自殺志願者が集うサイト。苦しまない方法を教えてくださいとか、電車に飛び込んだら後始末ですごいお金が親に請求されるって本当ですかとか毎日のように書きこまれる。この中でほんとに死んじゃう人はどれくらい?ここに書いて気が晴れる人がほとんどなんだろうな。死にたいくらい辛いってことを誰かに言って、できれば心配してほしい。そんな寂しい人が溢れてる。でも、それも仕・・・

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掌の

17/09/12 コメント:2件 向本果乃子 閲覧数:400

それはほんの偶然だ。落ち着こうとして、無意識に掌の中の小さな画面をいじっていた。眺めているだけで読んでなどいなかった。なのに彼女の名前を目にした瞬間、中学の放課後の空気が身体にまとわりつき、溶けて流れたアイスクリームの甘い匂いがふわっと鼻孔に香った気がした。

何があんなに楽しかったのだろう。涙を流すほどに笑い合いながら、いつまでも帰りたくなくて、このまま時間が止まってしまえばいいと思・・・

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とかげ

17/09/08 コメント:2件 向本果乃子 閲覧数:535

 その年の夏は煮えたぎるように暑かった。息を吸うと湿った空気が喉にべったりとはりつき、汗なのか湿気なのかわからない生ぬるい水滴が身体中を覆った。じっとり湿った大気を突き抜けて届く鋭い太陽の光が、通りを歩く人々にジリジリと容赦のない紫外線を浴びせている。その人々の中に、まだ十五歳の私がいた。
 夏休みの新宿駅南口前、午後2時。暑さもピークだというのに何の用があるのかあふれんばかりの人、人、人。・・・

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