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[NICNAME]さん

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投稿済みの記事一覧

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影武者

17/08/19 コメント:0件 [NICNAME] 閲覧数:85

 足のついた深海魚のことを思った。日の光など差し込むはずもない、海の底で、彼奴らは、目も見えなくなって、なにを思っているのだろう。僕が、潜水艦でその海底に運ばれて、ぽつんと一人、置いてきぼりにされたら、僕は間違いなく死ぬだろうけれど、魚にしたらそれが当たり前で、鰭が進化した四つの足をエッフェル塔のように踏んばらせて、口の中にプランクトンが入ってくるのを待っているのだと、簡単そうにやってのける。

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時間

17/08/14 コメント:0件 [NICNAME] 閲覧数:74

 丁度、円卓を囲んで、僕と母と祖父は朝食を食べていた。
 
 祖父は、三か月前に転んで頭を打って、正気を失った。病気一つしない、元気なじいちゃんだったけれど、今ではへの字によじれ曲がった口の隅から涎を垂らし、震える手で持ったスプーンを必死に口に運ぼうとしている。
 「もうおじいちゃん、片付かないから早く食べてよね」
 母はもう壊れたCDプレーヤーみたいに同じことをまた祖父に・・・

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貧しい人の国

17/08/06 コメント:0件 [NICNAME] 閲覧数:105

 拝啓
 初めてあなたに、お手紙を書きます。小学校までしかでていない私に、どんな手紙が書けるのか、とにかく、あなたにお伝えしたい事があるのです。
 この国が戦争を始めて四年、あなたが出征したのが丁度二年前でしたから、メルが一歳の時の姿が、あなたが見た最後の、メルの姿ではなかったでしょうか。
 メルは、死にました。死にましたなんて、随分不格好な言い方かもしれませんが、私にはそう言う・・・

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君の鳥は海を泳げる。

17/07/22 コメント:2件 [NICNAME] 閲覧数:186

 僕が知っているその鳥は海を泳げる。
 僕が知っているその鳥は、地面をよちよちと歩く。人間なら二、三歩でつける場所に、彼らはえっちらおっちら、十歩も二十歩もかけて歩く。
 僕の方から触ってみたい気もするけれども、それは条約違反になってしまうからできない。そう言う意味では、僕はここに居てはいけない。
 鳥ではあるけれども、空は飛べない。
 僕は時々それを不憫に思うのだけれど、・・・

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仕事

17/07/08 コメント:0件 [NICNAME] 閲覧数:165

 簡単なことです、と管理官の男は言った。
 「穴を掘って、埋めるだけの作業です。それを三回、繰り返しているだけなんです」
 目の前には巨大な穴が開いている。血を吹きだしているように、時折、赤黒い土が飛んでくる。
 「全て、手作業で、ですか?」
 普通、このサイズの穴を掘るなら、ブルドーザーやバックホウが必要になってきてもおかしくない。しかし、ここに居る従業員はみな、曲がって・・・

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失恋

17/07/02 コメント:0件 [NICNAME] 閲覧数:181

 僕の上着の胸にあるポケットの上には、カウボーイの刺繍が入っている。
 風が吹いているみたいにふわふわと揺れる。
 それで、僕の部屋が海になったのだと気が付いたのだ。空気の代わりに、恐らく海水が満ちている。風が入ってくるみたいに、上着がゆらゆらと揺れている。多分、流れが全くないという訳でもないらしい。
 だから自然、僕の体は軽く、その中が水の中だという事に気が付くまでに多少時間が・・・

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猫のいる部屋

17/07/02 コメント:0件 [NICNAME] 閲覧数:166

 僕が飼っている猫に、特に名前はない。
 文学的な言い方になったけれど、これは、文学とは程遠い所にある話である。そもそも文学とは一体何なのか、僕には良くわからない。
 僕に最近起こり始めた些細な現象は、もしかしたら、物語になるのではないかと思って、ここに書いておこうと思う。

 僕の名字は、猫である。
 これは、驚かれるかもしれないけれど、本当に、猫という名字なのだ。・・・

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