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千野さん

絵や物語が好きです Twitter→@hirose_chino Tumblr→http://chinohirose.tumblr.com/

出没地 横浜、東京、ロンドン
趣味 絵画(美術全般)鑑賞・制作、読書、文章を書くこと
職業
性別 女性
将来の夢
座右の銘 沈黙は金

投稿済みの記事一覧

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求道者の配置

17/09/06 コメント:0件 千野 閲覧数:108

 誰かと話をすればするほど、その人間が自分とどれだけ違っているかを認識したり、かえって驚くほど似ているということに気がつく。ただそれだけのことで、それが本当に楽しく、興味深い。相手の顔色をうかがいながら当たり障りのない言葉を選んで、今日もうまくやれたかな、などと思うのは実につまらない行為であるうえに、先がない。先がないのだ。

 それでも多くの人がそういうことで悩む。だから、僕はいつだ・・・

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17/08/10 コメント:0件 千野 閲覧数:128

 あの塔が完成間近で見捨てられてからというもの、人間の舌にはすっかり強固な呪いがかけられてしまっている。それは世代を超えて繰り返され、より複雑に僕たちの身体に編み込まれ、もう誰も、かつての人々がそうしていたようには想いを誰かに伝えられない。かつての人々、というのはつまり塔の建設を試みる前に生まれ死んでいった人々のことだ。それから人類は、ひとつの魔法を失った。

 昔は僕たちも、言葉にな・・・

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式神の邸宅

17/07/22 コメント:0件 千野 閲覧数:145

 時刻は午前5時、玄関の郵便受けに新聞の投函される音がした。これが家を起動させるための電源であり、それにより、つつがなくこの日は始められた。

 ゆっくりと静かにカーテンが引かれる。未だうす青い外の光を取り込んだ部屋は、さながら幾年も前に水底に沈んだ船室のようなものにも思われた。実際のところその印象は事実から遠く離れているというわけではない。この家には、いや、この世界にはおよそ人の影と・・・

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遺志、あるいは亡霊

17/06/26 コメント:0件 千野 閲覧数:217

あるとき、建造物の増殖とでも言えるような現象が観測された。

はじめにそのことに気が付いたのは欧州の片隅にある国の農夫だった。街の教会の塔の高さが増していっている、というのである。

 彼は朝の決まった時間に塔の階段を数えながら上り、その上から街を眺めるという行為を日課としていた。寡黙で真面目な男で、生まれてこの方、街からは出たことがない。妻子もないが一匹の犬とともに暮・・・

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手帳

17/06/21 コメント:0件 千野 閲覧数:214

 半ば凍り付いた海原を背に、いまにも雪原に足を踏み入れんとする人間がいた。

 眠りに落ちる瞬間、ほんのわずかな時間の中で幻視するその姿は吹雪と暗がりのうちにかき消え、私は目を覚ます。幾度も繰り返し見てきた映画のような一連の場面はこのようにいつも同じ場所で終わる。それは私がいま存在しているこの場所で生きていく、ということを常に選択している限り、永劫に見続けるのであろう光景に他ならない。・・・

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縮図

17/06/20 コメント:0件 千野 閲覧数:199

 自分こそは王の伝令役だ、と主張するものたちがいる。

 だがしかし、彼らのなかに城の内部に足を踏み入れたことがあるものや、実際に城主と言葉を交わしたことがあるものなど皆無だ。それでも彼らは時たま次に起こる事象(城主の勅令)を予言することがあるので、熱心な信者を多く集めている。厳密にいうと、予言を行う彼らの方こそ「城」の信者そのものであるのだろう。

 彼らは世界に存在する・・・

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