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川淵 紀和さん

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将来の夢
座右の銘

投稿済みの記事一覧

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余白

17/10/22 コメント:0件 川淵 紀和 閲覧数:76

 恋人と小舟に揺られて川を流れる夢を見た。川はゆるやかな流れで、私たちの他には誰もいない。舟は沈みかけており、崩した私たちの足は水に浸かりかけていた。けれど、何も困ることなどなく、ただ身を任せていた。
 日没、空が薄暗くだいだい色に染まり、水面に溶け出してきらめく頃、私の抱くその人はまぶたを閉じて眠っていた。その横顔やまつ毛の先に、私は胸元で育った愛しさを灯しては、腕に力を籠め、二人で夜を待・・・

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残り湯

17/10/03 コメント:0件 川淵 紀和 閲覧数:230

 一人暮らしを始めて半年、節約のつもりで頼子は翌日追い炊きで済むように、洗浄剤を湯の中に落とした。実家では毎日湯を変えていたので、初めての経験である。入浴剤ほどの迫力はないが、小さな錠剤からぷくぷくと無数のあぶくが湧き出てくるのを面白がって眺めていた。しゃがんでバスタブの縁に顎を乗せ、空気ポンプに集く金魚のような心地でいると、塩素の臭気をわずかに感じた。けれどいやらしさを抱くどころか、なぜか懐かし・・・

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火消し屋

17/09/08 コメント:2件 川淵 紀和 閲覧数:214

 昼の屋上で携帯を見ている人は多いが、彼女はスマートフォンではないからその姿勢から一目でわかった。彼女はいつもイヤホンをしてベンチに腰かけている。煙草の似合う女だった。やや縦にして指の間に煙草を挟み小首をかしげ、眉間にしわを寄せて、携帯の画面を見やる。
 いつも長い文章を読んでいるようで、同じ個所を二三回押しては親指がしばらく止まる。何かを伝えまいと、彼女の親指がせわしなく動くのを私は見たこ・・・

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アイスティ

17/09/07 コメント:0件 川淵 紀和 閲覧数:276



 私の瞳から涙が零れ落ちると、ファストフード店のがやがやした雰囲気の中、椅子を引く音が異様に大きく響いた。バツが悪そうに、光石が立ち上がったのだ。何かボソボソと光石は私に喋りかけていたが、聞こえない。カウンター席に隣り合って座り、腕や体の動きを眺めていると、たゆんだ世界の輪郭に頭がくらくらする。心も波打つように不安定に揺れていた。
 でも、椅子から離れて光石が鞄を肩に引っ掛け・・・

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