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雪見文鳥さん

出没地
趣味
職業 学生
性別 女性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの記事一覧

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紫色の薔薇

17/09/08 コメント:0件 雪見文鳥 閲覧数:114

 若草がそよそよとたなびく草原に、一輪の紫色の薔薇が咲いていました。その花びらは揚羽蝶のように美しく、絹糸のように滑らかでした。
 その薔薇には見た人すべてを惹きつける魅力がありました。「天国に咲く花のように美しい」と、もうすぐ6歳になる男の子は言いました。「僕のおじいちゃんも、今頃こんな薔薇を眺めているかもしれないぞ」
 ある朝、草原に一人の美女が現れました。もっともその美女は、みず・・・

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北野さんがいたころ

17/08/28 コメント:1件 雪見文鳥 閲覧数:114

 先生になる上で一番大切な事を、私はあの頃教わった。

 個人面談当日、真向かいに座った男の子は、既に相当ふてくされていた。足を机の下で無造作に投げだし、左手でボールペンを器用にくるくると回している。
「先生は、俺が落ちこぼれだって思ってんだろ」
 模試の結果を睨みつけながら、ため息交じりに吐き出された言葉。彼の姿が、あの頃の自分と重なった。


 社会人・・・

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タウゼンハントのロザリンド

17/05/20 コメント:0件 雪見文鳥 閲覧数:193

 老女の寝室のチェストの奥から、とても懐かしいものが出てきた。
 純銀で作られた天使の羽。30年近く放置しておいたせいか、表面は黒ずんでいるけれど、きめ細やかに施されたこの模様をみれば、この純銀の品がいかに高価で手の込んだものであったか用意に想像できる。
 羽の側面には、こう掘られてあった。
 “1564年 クリストハルトの記憶に”


 その天使の羽を模した純・・・

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電車姫

17/04/08 コメント:2件 雪見文鳥 閲覧数:229

 何かに見られているような気がして、私はふっと顔を上げた。見れば、私の向かいの席に座っている、黒髪の女の子がじいっとこちらを見つめていた。文庫本で顔を覆い、本に熱中しているふりをしながら、その目はしっかりとこちらを捉えている。午後4時、たそがれ時の電車の中、私の心は奇妙な緊張感に包まれていった。
 しかし、しばらくして、女の子が見つめているのは私じゃなくて、私の隣に座っている雄一だと分かった・・・

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カツサンドの味

17/03/23 コメント:0件 雪見文鳥 閲覧数:229

「黄色い道みたい」
 初めてその絵を見た時、私はそう呟いた。丸い月が、黄色く柔らかい光で夜の海を照らす様子が、水彩画独特のタッチで柔らかく描かれてあった。田舎町の小さな展覧会で、他にも色々な絵が飾られてあるのに、私はその絵の前から動けなくなってしまった。当時7歳だった私は、誰が描いたのかも分からないその絵を、まるでスケッチでもするかのように見つめ続けた。

 目の前に、水張りを済・・・

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死をうたう時計

17/03/10 コメント:0件 雪見文鳥 閲覧数:254

 その奇妙な時計屋に入ったのは、夕暮れ時のことだった。
 建物の中では、至るところに時計が並べてあった。目覚まし時計や鳩時計、デジタル式の時計、日時計や砂時計までもが集まり、文字盤は夕日を反射しながら、チクタク、チクタクと一定の時を刻んでいた。
 横で黙って時計を見つめていた祖母に向かって話しかけようとしたまさにその時、部屋の奥から、時計屋の店主と思われる初老の男性が出てきた。
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幽霊と金魚

17/03/04 コメント:0件 雪見文鳥 閲覧数:292

 私は一度だけ幽霊を見たことがある。あの日からもう何年も経っているのだが、今でもあの日の事を思い出すと、全身の血が冷えわたり、恐怖、後悔、何とも言えぬ黒い感情が、私の腹の奥で綯い交ぜになって踊る。
 だが、ひとつ断わっておきたいのだが、私は何も、幽霊を見たから怖かったという話をこれからしたいのではない。いや確かに、幽霊が現れた、その事実にも怯えていたのだが、この台詞だけでは私があの日感じた恐・・・

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