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時雨薫さん

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将来の夢
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投稿済みの記事一覧

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命ある所、星

17/06/11 コメント:2件 時雨薫 閲覧数:280

 奇妙な生物群だった。ポリエチレンをエネルギーに変える。神話が伝えるところの人類が植物の化石を消費して生きていた時代に、人類の造りだした環境に適応した進化した生物、ヤンはそう推測する。夢想的だ。人類が過去の生物の遺物を掘り出して生きていたなんてことがあろうか。
 私とヤンは砂浜の上を歩いている。私が足元の白い砂を両手にすくった。指の隙間から粒が漏れる。
「気をつけろよ。粒子が部品の間に・・・

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正義論

17/05/21 コメント:0件 時雨薫 閲覧数:299

 烏は西日本国際大学グローバル文化学部の名物教授である。横文字の学部名からもわかるように、アホな私立大である。けれど地元企業への就職には大変有利だから、地元の中流家庭の子弟がこぞって入学するのだ。
「えー、うん、ちみたち、今日の講義はね、正義についてです」
 くぐもった烏の声は講堂の奥の方だと聞き取れない。だというに烏は後ろの席でスマホをいじっていたりする学生を積極的に指名する。

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甘い生を、俺たちに

17/05/08 コメント:1件 時雨薫 閲覧数:343

 ベッドの上の彼女は艶やかだった。潤んだ眼と唇とが甘く誘った。
 俺は棒付きキャンディの袋を剥いて彼女の口に突込む。彼女は目を白黒させながらこの暴挙に抗おうとするのだが、口中に広がる甘味にその意思はいとも容易く挫かれる。筋肉が弛緩し、目元が緩む。無上の恍惚に満たされ鉄壁の女スパイは陥落した。
 コードネーム、八ツ橋。彼女は京都に拠点を置く諜報機関「葵屋本舗」の諜報員だ。こいつの色仕掛け・・・

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春秋損得無く

17/04/09 コメント:5件 時雨薫 閲覧数:569

 李月はじいの操縦する汽車に乗ったことがある。六つのときだ。レバーを握るじいの目尻には深い皺が鋭く刻まれていた。ずんぐりした五体にはいきおいが満ちていた。汽車は酷く揺れた。李月のお尻は熱いくらいに痛んだ。炭鉱の景色は色が少なくて退屈なほどだった。橙や緑の汽車が両脇をすり抜けるときにだけほのかに興味を覚えた。ライトが霞をかき分けて進んで行った。

 垂れ幕には赤字に白抜きで「ರ・・・

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生成芸術

17/04/09 コメント:0件 時雨薫 閲覧数:231

金がない。どう勘定しても足りたものじゃない。第一、大学に入るのだって親に随分無理をさせたのだ。その上大学院にまで進もうと思えばそうなるのも当然だ。
 稼ぐにはどうすればよいか?安定した仕事はしたくない。そんな生き方を知ったら最後、リスキーに夢を追いかけようとは思えなくなってしまうからだ。うまく一獲千金をつかみ取る方法のないものか。
 私の考えがそこまで漂流したときに、本棚の「認識言語・・・

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鯉と恋

17/03/09 コメント:1件 時雨薫 閲覧数:312

 その人はごみじいと呼ばれていた。白髭に曲がった腰の老齢の男性である。素性はとんと分からぬ。ただ、彼と同じように狂った妻が同居しているという噂だけが真らしく流れていた。ごみじいという名は彼の奇行―あちこちのゴミ置き場から壊れた家電だの底の抜けたバケツだのを集めてくるというもはや動物的と言っていい習性に由来していた。
 ごみじいは街道沿い、我が下宿の向かいに大きな古民家を所有している。高い塀に・・・

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