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家永真早さん

ブロマンスやロマンシスが書きたい。 何気ない日常や、日常の中の非日常を書くのが好きです。

出没地
趣味
職業
性別 女性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの記事一覧

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籠のカナリヤ

17/05/25 コメント:0件 家永真早 閲覧数:52

 夜に窓を開けてはいけない。魔女の歌が聞こえるから。魔女はその歌声で人間を誘き寄せて食べてしまう。そうして、不老不死の体を手に入れている。
 イヴァが小さい時からある街の言い伝えだった。
 泥棒避けとか送風翅を売りたい商人の作り話だとか多くの人は半信半疑だけど、夜はどこの家も扉や窓を閉め切り、通りを歩く人は一人もいなかった。
 こんな美しい歌声を聴いているのはきっと自分だけだ、と・・・

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魂を輝かせるもの

17/05/22 コメント:0件 家永真早 閲覧数:83

 魂を食らう死神、キル子はライブ会場に来ていた。力強く美味しそうな魂を持ち、日々一口を乞いながらも断られ続けている人間、理恵の後を追ってだった。
 理恵は毎週休日になると朝から晩までパソコンやスマホでゲームをしているオタク女子なのだけれど、今日は珍しく朝から出掛ける支度をしていた。訊ねてみたところ、アイドルのライブコンサートに行くのだとぶっきらぼうに答えてくれた。それからはメイクだ何だ、物販・・・

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君の世界に響け

17/05/22 コメント:0件 家永真早 閲覧数:84

「今日はライブ休みなん?」
 バイト先の更衣室で、いつも背負っているギターがないことを見つけられ、徹平は先輩に訊かれた。
「ギター壊れて」
 昨日のことを苦々しく思い出しながら、不機嫌な顔で徹平は答える。
 徹平はメジャーデビューを目指す路上ミュージシャンで、毎日近くの駅前でライブをしていた。夜7時、花壇の前が指定位置。
 ファンも何人かつき、声援を送ってくれる子もい・・・

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ニンゲン、休んでみない?

17/05/10 コメント:0件 家永真早 閲覧数:165

 私には昨日から死神が取り憑いている。死神は青白く頬の痩けた顔をした、髪の長い薄幸そうな女性だ。黒い着物に、背よりも大きい鎌。彼女はキル子と名乗った。
「ねえ、死にたくならない?」
 背から耳元に口を寄せ、キル子は不気味な声で言ってくる。
「ならない」
 パソコンモニターから目を離さず、私は低い声で答えた。しかし尚もキル子はしなだれかかってくる。重さは感じない。
「ね・・・

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やすむひ

17/05/09 コメント:2件 家永真早 閲覧数:118

「おはよう。飯はまだか」
 朝起きると、飼い猫のリーが椅子に座って声をかけてきた。雑種のオス、体の毛は黒くて鼻のまわりと足先の毛だけが白い猫だ。
 リーの座り方は、今まで一度も見せたことのないスコ座りだったが、やたらと背筋が伸びていて、猫のくせに猫背ではなかった。
「腹へった」
 リーが口を動かし、先ほどと同じ低いオヤジの声が出てきた。リーは七歳になるから、人間で換算したら・・・

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もう一度ヒーローになりたい

17/05/09 コメント:0件 家永真早 閲覧数:99

 叶は高校時代、空手で名を馳せた男だった。先生や問題児達から一目置かれ、いじめに遭っていた後輩を助けたこともある。
 それから二十年、叶は起業、結婚し、子供は男女一人ずつ。郊外にマイホームを建て、娘は大学受験、息子は反抗期真っ只中だが大きな問題もなく、大学時代に出会った、パート勤めの妻との仲も良好で、自身の社長業も順調。年に一度の家族旅行をささやかで大きな楽しみとして日々励んでいる。
・・・

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かいぶつのともだち

17/04/25 コメント:0件 家永真早 閲覧数:227

 ウユの友達は怪物だ。彼が自分でそう言ってるからだ。きっと本当なんだろうと思う。触らせてくれた手は硬い毛に包まれていたし、鼻息は強くて湿っていて、声もひどくくぐもっていた。彼曰く、彼は全身毛むくじゃらで頭には角が生え、目も耳も鼻も大きく、そしてまた大きな口には長い牙が生えているのだそうだ。だけれど、彼は村の誰よりも優しいとウユは感じていた。
 ウユは生まれつき目が見えなかった。不便はないけれ・・・

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Q.正義とは

17/04/24 コメント:0件 家永真早 閲覧数:162

 正義とは何か。司法浪人である汐里は考える。正義とは、自分の大事なものを守ることである。自分の命、家族、友人、財産、信念、思想。それらを守るために行動することである。あらゆる側面から見て、ただ一つの正しいことなどあり得ないからである。飢えた者が自分の命を守るために盗みを働くことは、その者にとっての正義であり、盗まれようとしている者が自らの財産を守るために飢える者を見殺しにすることも、その者にとって・・・

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失恋クラブ

17/04/13 コメント:2件 家永真早 閲覧数:252

 もう四十も近い歳になって、女を追いかけ回してはフラれ、またここへ来るなんて情けない。自らを嘆きながら、侑哉は安アパートのポストに掛けられた錠の数字を繰っていた。前回ここへ来たのはいつだったか、確か二年か三年前だ。去年は来なかったはずだ、と思い返しながら、手に馴染んだ番号を合わせる。4200。錠は開き、ポストの中には小さな金庫が入っている。金庫は空で、蓋が開いていた。いつもは鍵が入っていて、蓋は閉・・・

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からっぽシュークリーム

17/04/10 コメント:2件 家永真早 閲覧数:282

 生まれた時から、私は君といつも一緒だった。泣いて、母に抱き上げられる君を私は見ていた。母の温もりに触れると、君は笑った。
 私は泣き虫で、君も泣き虫で、それでもいつも君だけが慰められていた。君だけが頭を撫でられ抱きしめられていた。だが、母と父の温かい言葉は私に届いていた。
 十歳の頃、初めて恋をした。私が彼女を好きだった。しかし彼女と話すのは君で、運動会のフォークダンスで彼女と手を繋・・・

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サヨナラ、ピーターパン

17/03/27 コメント:4件 家永真早 閲覧数:315

「ご飯置いておくから」
 ドアの外からババアの声。良いトコロだってのにムカつく。俺はヘッドフォンを机に投げて立って、ドアに蹴りを入れた。邪魔すんな!
 それからドアに耳をつけて、ババアがいなくなったことを確認し、ドアを開けて飯を引きずり込んだ。牛丼だってよ、あー、ピザ食いてえ。イマドキ、ネットでピザの注文くらい出来ることは知ってる。前に一度注文したが、届く時にババアが出掛けてて受け取れ・・・

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かげろうと

17/03/27 コメント:0件 家永真早 閲覧数:216

 或る日、浦島太郎は虐められていた亀を助けました。
 しかし亀は竜宮城へ連れて行くどころか、実は命の短いカゲロウでした。
 カゲロウは浦島太郎の側で命を永らえます。
 そんなお話。


 まあ、自分も浦島太郎ではないか。ノートパソコンの画面を眺め、そう八木は思った。
 八木の傍らにはガラスで仕切られた無菌室があり、中ではカゲロウもとい梶がベッドに体を横たえ・・・

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虹のふもとで待ってる

17/03/15 コメント:0件 家永真早 閲覧数:218

 重く動かなかった私の体は軽くなり、見えなかった目も聞こえなかった耳もすっかり良くなった。
 私は、ひとつの風呂敷包みを抱えていた。中には滅多に食べられなかったシーバと缶詰とささみとかつおぶしにカニカマスライス、それからマタタビ、水が入っていた。今すぐに食べたかったけど、まだ今は食べちゃいけない気がして我慢した。私だって我慢ができるのだよ。
 私は後ろ足だけで立ち上がった。今ならどんな・・・

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さよなら、またね

17/03/14 コメント:0件 家永真早 閲覧数:219

「ありがとね、送ってもらって。兄ちゃんによろしく言っておいて」
「うん。街に出るついでだって言ってたけど」
「こんな早くからどこに行くのさ」
「だよね」
 朝8時、新幹線の停まるホームで、優月と紗菜は顔を見合わせて苦笑した。
 3月、卒業式の一週間後。優月は進学のために東京へと出て行く。
 空気はまだ冷たく、二人は日の当たる場所を選んで立っていた。吐き出す息はも・・・

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通勤電車

17/03/14 コメント:0件 家永真早 閲覧数:212

 通勤時間の長い湯本は、いつも決まった始発電車に乗った。6時54分発、4両目、進行方向右側、先頭の長座席、ドア寄り。
 自宅の最寄り駅からの乗客は少なくないが、立っている客はほとんどいない。
 湯本は、通勤時間を概ね睡眠に充てた。降車駅近くに目を覚ますと、いつの間にか車内は混んでいる。8時10分を少し過ぎた頃。次の駅は乗客の入れ替わりが激しい。湯本の降車駅はもう少し先だ。
 運転・・・

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福の神の神隠し

17/03/09 コメント:0件 家永真早 閲覧数:201

 巷で最近、不良や非行少年が神隠しに遭うと噂になっている。
 暫く経つと子供は帰って来るが、人が変わったように更正し、子供の帰った家は円満に暮らすと言われている。故に『福の神の神隠し』と呼ばれていた。しかし、その裏側には、洗脳や調教、マグロ漁船やブラック工場での過酷労働による改心かと黒い噂も立っていた。


 帰宅した望月は、玄関から続く長い廊下を抜けてリビングのドアを開け・・・

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少女バウンダリ

17/03/05 コメント:0件 家永真早 閲覧数:305

 放課後の電車は混んでいる。桐花と夏芽は疲れた体を、ドアに預けた。
「眠いー」
 間延びした調子で言って夏芽は俯き、向き合った桐花の肩におでこを乗せた。桐花のほうが、夏芽よりも少しだけ背が高い。
「重いんですけど」
 わざと声を低くし文句を言い言い首を傾げ、桐花も負けじと夏芽の頭に自らの耳を押し付ける。
「重ーい」
 夏芽も文句を言うけれど、その声は笑っていた。・・・

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掌中の命

17/03/01 コメント:0件 家永真早 閲覧数:281

「俺のこと殺してくれよ」
 煙突から上る白い煙を見上げる神田の耳に、先輩の声が残っていた。
「もしも俺が植物状態とかになって、自分じゃ生きられなくなったらさ」
 驚いて目を丸くした神田に、先輩はそう言って笑った。
「……縁起でもないこと」
「まあまあ、もしも、もしもだ」
 神田が顔をしかめて咎める様子にも、先輩は尚もお軽く笑っていた。
「お前にしか頼めない・・・

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Flare

17/02/27 コメント:0件 家永真早 閲覧数:309

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 好き者の君のせいで僕はいつも忙しい。君はいつ僕を休ませてくれるんだろうね? 君ももう休むべきだと僕は思うんだがね。……ああ、そうかい。
 ほらほら、君のご所望で何も知らないいたいけな子がまた僕のところへやって来たよ。さっきっからひっきりなしだ。ここへ来るまで会う奴会う奴に服を脱がされてさ、とうとう最後の一枚だ。これを僕が脱がせば生まれたままの姿になっちゃうんだぜ。
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