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micchoさん

「世の中はつまらない小説で溢れている」 「こんな小説なんかより俺の方が数段面白いものが書ける」 小説を書き始めるまではそう思っていました。 まずは全作家の皆さんに土下座して謝りたいです。 あなた方は偉大です。 ふとしたきっかけで小説を書き始めて早半年、 アイデアの乏しさ、ボキャブラリーの貧困さを日々痛感ながら、こうして駄文を量産している次第です。

出没地
趣味 落語鑑賞、お菓子作り
職業 プログラマー
性別 男性
将来の夢 小説でもプログラムでも、とにかく良いものを生み出したいと思っています。
座右の銘 名誉を愛するものは自分の幸福は他人の中にあると思い、享楽を愛するものは自分の感情の中にあると思うが、ものの分かった人間は自分の行動の中にあると思うのである。

投稿済みの記事一覧

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黒板は今日も緑

17/08/01 コメント:1件 miccho 閲覧数:178

「この世は虚構と欺瞞だらけだ!」
 隣で六車正和が騒いでいる。
「いいから早くチョーク片付けろ」
 同じ日直当番としてなすべき行為を指示してはみたが、この男が聞き入れる様子はない。
「青信号なんて言いつつ、青くないではないか!」
 それは日本人が元々青と緑を区別していなかったからでは?
「それに」
 正和は俺にツッコむ暇も与えずまくし立てる。
「黒板・・・

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スペアガール

17/07/23 コメント:0件 miccho 閲覧数:205

 行列の進みは遅い。この調子だとあと三十分はかかるだろう。
(どうせならディズニーランドか、せめて水族館がよかったな)
 私の恨み節に気づく様子もなく、森さん、明美ちゃん、めぐちゃんはこの動物園の主役との対面を待ちわびてはしゃいでいる。

「パンダって育児放棄するんだってさ」
 森さんが得意気に話し始めた。
「イクジホーキって?」
 これはめぐちゃん。いつ・・・

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カタクリの花

17/07/23 コメント:0件 miccho 閲覧数:181

 かれこれ一時間は歩いただろうか。幸の顔色も出発前より土気色が増している。
「このあたりで少し休むか」
「頂上までもう一息よ。一気に登ってしまいたいの」
 幸は変なところが強情だ。こうなったら意地でも頂上まで登りきるつもりだろう。
 康男は自分の胸ポケットに手を当てた。僅かな凹凸の感触が返って来た。出発前、主治医の中川から「もし途中で容態が悪化したらこれを」と渡された薬があ・・・

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ジャーニー・イズ・ライフ

17/07/04 コメント:1件 miccho 閲覧数:194

 ジャーニー・イズ・ライフ。旅こそ人生さ。
 遠くで汽笛の音が聞こえる。俺を呼んでいる。
 ジャーニー・イズ・ライフ。ジャーニー・イズ・マイ・ライフ

「それ、何ていう歌ですか?有名な歌、なんでしょうか」
 一通り歌い終わったらしいタイミングを見計らって、聞いてみた。
「良い歌じゃろうが。俺が作ったんじゃ」
 そう言いながら運転席のおじさんはガハハ、とつ・・・

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ガラス細工のビーナス

17/06/26 コメント:0件 miccho 閲覧数:236

 彼女が転校してきたのは、確か二学期が始まって一週間も経たない日のことだったと思う。
 特産品と言えばアジの開きくらいしかない、このうらぶれた港街の中学校には、転校生なんてまず来ない。この街にやって来るのは、せいぜい落ち目の演歌歌手くらいだ。
 事件はその滅多にやって来ない転校生が黒板に自分の名前を書いた、その直後に起こった。

「海野幸と言います。東京から来ました」

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パスタの茹で方、猫の飼い方

17/06/25 コメント:2件 miccho 閲覧数:438

 昼食はパスタにしよう。そう決めて鍋いっぱいにお湯を沸かし麺を茹でてみたものの、出来上がったパスタには違和感があった。どうにも柔らかすぎて、歯ごたえがない。
 妻の早紀がいつも作ってくれたパスタは、芯の部分は残っていて、きちんとアルデンテに仕上がっていた気がする。
「ゆで時間さえきちんと計ってあげれば、誰だってできるわよ」
 早紀にはそうやって笑われそうだ。
 うどんのよう・・・

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猫はなんでも知っている

17/06/19 コメント:0件 miccho 閲覧数:202

 僕はなんでも知っている。

 シンジくんが生まれた日、お母さんになったばかりのサチエさんは、同じくお父さんになったばかりのヒロシさんをひどくなじった。どうして出産の立会いに間に合わなかったの、と。
 人の良いヒロシさんは「やあ、なんとも。すまない」と終始申し訳無さそうな顔をしていた。

 僕は知っている。ヒロシさんは本当は心配で心配で、その前の晩、一睡もできな・・・

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マザー

17/06/18 コメント:0件 miccho 閲覧数:195

 寝室の窓から差し込む朝日が眩しくて、ナオコはいつもより早く目を覚ました。窓の外ではツクツクボウシとミンミンゼミが夏の到来を告げていた。
 また、この季節がやってきたのだ。生臭い磯の香り、窒息しそうなほどの湿った空気。それら全てが、ナオコを陰鬱な気持ちにさせる。あれほど大好きだった季節は、今はナオコに真逆の感情を呼び起こさせる。

 朝食後、部屋の掃除に取り掛かった。以前使って・・・

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RTフォーエバー

17/06/17 コメント:0件 miccho 閲覧数:177

 好きな言葉はルーティン、現状維持、中立・中庸、腹八分。
 嫌いな言葉はイレギュラー、現状打破、対立・極端、ムラ八分。

 そんな僕が下校のルーティンを逸脱してまで見知らぬおじさんに声をかけたのは、正義感からでは、もちろん無い。
 ただそのおじさんが、まるでテスト終了5秒前に、裏面にも問題があることに気づいたみたいな、絶望しきった顔を浮かべていたとあっては、さすがの僕も放・・・

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天女

17/06/13 コメント:0件 miccho 閲覧数:213

 真夏の太陽に呼応するかのように、油蝉の鳴き声が辺りに響き渡っていた。
 新太は夢中で自転車を漕いでいた。こんがりと日焼けした肌には、大粒の汗が滴っていた。
 ちょうど発車したところだろうか。一台の古びたバスとすれ違った。硫黄の混ざったような臭いの排気ガスにむせて、新太は一瞬顔をしかめた。
 視線の先に、バス停があった。陽炎が揺れるその先で、白く細い影がこちらに手を振っていた。<・・・

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3400年前のレクイエム

17/06/11 コメント:0件 miccho 閲覧数:203

 おばあちゃんの葬式から一週間が経った。
 実家から東京の下宿先に戻って来たはいいものの、大学には行かず、一日中家でぼんやりしていた。
 両親が共働きだった私の面倒を見てくれたのはいつもおばあちゃんだった。あの皺くちゃな笑顔を見ることはもう無いだなんて、未だに信じられなかった。

 高校生になったあたりからは友達感覚で、よく恋愛相談にも乗ってもらった。
「ケイスケった・・・

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音楽を見に

17/06/07 コメント:0件 miccho 閲覧数:204

「音楽って、何がいいの」
 前々から気になっていた疑問を敏明にぶつけてみた。
 敏明がヘッドホンでいつも何かの音楽を聴いていることは知っていたが、私には縁のないものだった。
 敏明は、うーん、としばらく考える素振りを見せた後、おもむろに、
「今度、音楽を見に行かないか」
 と切り出した。
 あれ、まさか次のデートのお誘い?
 付き合ってまだ二ヶ月だったけど・・・

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しゃちょうのお仕事

17/03/26 コメント:0件 miccho 閲覧数:176

 幼稚園のころ、父の仕事が「しゃちょう」だと聞いた。当時の僕はそれを聞いてすぐに、「出発進行!」と言いながら駅のホームで敬礼する父を思い浮かべた。お父さんはなんて格好良いんだ。子どもながらにそう思った。
 「しゃちょう」とは「社長」であって「車掌」とは全くの別物らしいと知ったのは、小学校に入学後のことだった。格好良い制服姿の父を想像した僕は、とても落胆した。
 社長という職業が具体的に・・・

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勘違いは恋の始まりの終わり

17/01/28 コメント:2件 miccho 閲覧数:337

 就職氷河期であったことに加え、就職活動に要求される「器用な立ち回り」スキルなどどこにも持ち合わせていない(おそらく生まれる直前に母親の胎内に置いてきた)僕は、結局100社近くの企業にエントリーする憂き目を見た。
 メールボックスが「ご縁がありませんでした」のメッセージで埋め尽くされ、僕の手元には「戦略的撤退・留年」「一発逆転・小説家」「大穴・専業主夫」など、ろくなカードしか残っていなかった・・・

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背中

17/01/14 コメント:0件 miccho 閲覧数:281

「最近の歌はどれも同じだねぇ」
紅白歌合戦を鑑賞中の家族の輪に加わっていた祖母が呟いた。
「最近の歌」と形容された歌の歌手は実際には実に12年ぶりに再結成したロックバンドで、僕からしたら完全に「懐メロ」にカテゴライズされるのだが、おばあちゃんから見れば十把ひとからげに「最近の歌」ということになるらしい。
もちろんそんな説明したところで何を分かってもらえるでもないことは重々承知なの・・・

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Which?

17/01/10 コメント:0件 miccho 閲覧数:397

「なんでまだ資料できてねぇんだよ!お前仕事なめてんのか?」
また始まった...。僕は下唇を噛みながら、上司の叱責に対して消え入りそうな声で返事をするのが精一杯だった。
この1週間、1日2〜3時間睡眠でなんとか業務をこなして来たが、もう限界だった。

「外資系経営コンサルタント」
入社前この仕事に対して抱いていた、ブランドのスーツをスマートに着こなし、大企業の経営者に対・・・

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