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ちりぬるをさん

これからも精進していきます。 コメントなどいただければとても励みになります! よろしくお願いします。 Twitter @1682hoheto8D

出没地
趣味
職業 接客業
性別 男性
将来の夢 小説で食べていければそれが最高です。
座右の銘 春風秋雨

投稿済みの記事一覧

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銀行強盗にはロマンがある

17/09/15 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:78

 身支度をしながら観ていたテレビから連続銀行強盗のニュースが流れてきた。その手口を紹介する再現VTRを鼻で笑いながら僕は家を出た。

 手足を縛られた状態でかれこれ三十分が経つ。目指し帽を被った男の狼狽ぶりは相当なもので、僕を含む人質全員がもう諦めて投降すればいいのにと思っていた。
 この犯人は巷で流行の連続銀行強盗に便乗した模倣犯だった。なにせ手際が悪い。人質を拘束している間に・・・

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♯連続殺人事件に巻き込まれたなう

17/09/12 コメント:1件 ちりぬるを 閲覧数:56

 朝早く関係者全員が広間に集められ、いよいよ名探偵による謎解きが始まった。
「今回の事件の鍵となるのはやはりこの密室でした」
 名探偵が手を後ろに組んでうろうろと歩きながら淡々と推理を述べていく。その様子を動画で撮影しながら私はにやけそうになるのを必死に堪えていた。名探偵は「今回の」と言った。一人目と二人目は密室内で刺殺され、三人目は全員にアリバイがある中殺されるという連続殺人だった。・・・

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あなたと食べたいチェリーパイ

17/08/28 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:126

 玄関から話し声がする。彼が家に人を連れてくるなんて珍しいどころか、おそらく初めてのことだった。
「大丈夫ですか? 白石さん」
 白石さん、と呼ばれた彼より十くらい歳上のスーツ姿の男は酒に酔っているらしく、おぼつかない足取りでトイレに向かった。乱暴にドアを閉める。残された彼はいつも通りリビングの電気をつけて「ただいま」と呟き、まるで見えているかのように私の正面に座った。
 おかえ・・・

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ブンチョウ部長

17/08/21 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:135

 会社の廊下を歩く俺に周囲の白い目が向けられる。無理もない。営業成績万年最下位の部署、しかも部長は不倫がバレてクビになった。どこまでも駄目な部署なのだから俺達もクビにならないだけマシだ。
 欠伸混じりにドアを開けると部長の席の周りに人が集まっていた。そういえば今日は新部長の挨拶があるから早めに出社するように言われていた。
 忍び足で人だかりに近づくと机の上に鳥かごが見えた。
「と・・・

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王国に花火が打ち上がり、彼女の願いは……

17/08/10 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:157

 リカとナナコが友達の範疇を超えて仲が良いのは恐らくクラス中が知っていた。なにを言われても二人共否定しないので、その噂は夏休みが始まる前には学校の生徒が知るところとなっていた。だから蝉の声がうるさい夏期講習の教室で背中に丸めた紙を投げつけられた時も、どうせいつもの嫌がらせだろうとナナコは思っていた。
無視していると次に消しゴムの欠片が背中に当たり、あまりにしつこいので振り返ると二つ後・・・

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人はそれを愛と呼ぶんだぜ

17/07/23 コメント:2件 ちりぬるを 閲覧数:235

  レポートナンバー395
 午前七時起床。朝食のバナナ、ヨーグルト、牛乳を完食。午前中は積み木で遊ぶ。最近は自分の背丈程のタワーを作るのがハジメのブームらしく、今日は昨日よりも二段高いタワーを建てることに成功していた。正午より昼食。野菜を煮込んだうどん。形があると残してしまう人参もスープ状だと食べられるようだ。二時間昼寝をして、私とキャッチボールをする。ボールを扱うのはまだ苦手なようで、私・・・

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旅の最後、あるいは最後の旅

17/07/08 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:207

 目を覚ますと運転する彼越しに見える風景が見慣れたものに変わっていて、私は昔聞いた「家に帰るまでが遠足です」という常套句を思い出した。
「起きた?」
 私が起きることをあらかじめ知っていたかのようなタイミングで彼が尋ね、寝起きの私は黙って頷いた。
 同棲して二年になる彼が突然有休を取って旅行に行こうと言い出した時には驚いたが、三泊の温泉で日頃の疲れは癒されたのだから彼には感謝しか・・・

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PINKの黒猫と白い月

17/06/19 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:202

 今、僕の手の中には痩せた黒い子猫がいる。制服が汚れないように捲った腕を弱々しく爪で引っ掻いてくる。
「しっかり押さえとけよ」
 進藤が鞄から取り出した蛍光ピンクのカラースプレーを猫に向けながら口元を歪ませた。もちろんこの猫が彼に何かをしたわけではない。強いて言えば進藤の前を横切って歩いただけだ。
 態度が気に入らないからと新任教師のアパートの壁に落書きをしてきた帰りで、スプレー・・・

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メッセージ・イン・ア・ボトル

17/06/06 コメント:4件 ちりぬるを 閲覧数:429

 はじめに僕の子供の頃の話をしようと思います。そう話し始めると生徒達は真剣な表情で僕を見上げました。普段の授業中もこのくらい集中してくれるとありがたいんですけど、僕が皮肉を言うと、早く教えて下さい、なんて言い出す始末です。
 僕が生まれ育ったのは家も学校も遊び場も、生活の全てが海の近くの小さな島でした。幼い頃は本当に世界はこんな風に潮の香りしかしなくて、海の無い場所なんて存在しないものだと思・・・

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夫の鼻歌

17/05/22 コメント:1件 ちりぬるを 閲覧数:347

 いわゆる普通の幸せというものを私が手に入れて三年が経つ。愛する夫と結婚し、勤めていた会社を辞めて専業主婦になった。都内にマンションを買い、趣味も充実していて何不自由のない暮らしだ。

 夫が帰ってくる時間に合わせて鼻歌を歌いながらカレーを煮込んでいた。最新の圧力鍋でトロトロになった牛肉を入れたビーフカレーは夫の大好物だった。
 玄関で鍵を開ける音がした。私は火を弱め、鍋に蓋をし・・・

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レジャーシートは二度舞う

17/05/08 コメント:2件 ちりぬるを 閲覧数:236

 新緑を揺らす風がそのついでとばかりにナツキ達のレジャーシートをふわりと浮き上がらせる。飛んでいってしまわないようにマコトが慌てて膝で押さえ込み、そのまま四隅に石を置いた。その仕草がツボに入り、ナツキが吹き出す。
 レジャーシートの縁には色もデザインも同じで大きさだけが違うスタンスミスが二足並んでいた。示し合わせたわけではなく、服の趣味が似ているのか持ち物がお揃いになることがしばしばあった。・・・

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竜と石

17/04/24 コメント:6件 ちりぬるを 閲覧数:309

 むせ返る程の血と肉の焼ける臭いがこびり付いた鎧を重く引きずるようにその騎士は洞窟の最深部に辿り着いた。闇に目を凝らすとその奥に光る双眼が見える。掌にべっとりと付いた、もはや誰のものか分からない血を拭って剣を握り直した。
「立ち去れ! 人間風情が!」
 地を揺らす様な低い怒声がすると同時に壁中の松明が灯り、巨大な体躯が騎士の眼前に現れた。

 城下町の近郊に巣食う竜を退治す・・・

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パティシエになる方法

17/04/12 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:294

 みどりが生まれて初めて徹夜をしたのは小学六年生の時だった。家族が寝静まったのを見計らってベッドを出た彼女は二段ベッドの下段で寝ている妹を起こさない様に机のライトを点け、引き出しからお気に入りのレターセットを取り出した。

 みどりと同じクラスの楠はバスケが上手くてクラスでも目立つ存在だった。そうなると当然女子からの人気も高く、誰々が彼のことを好きだとか告白したとかという噂もよく耳にす・・・

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大砂漠のマカロンタワー

17/04/10 コメント:2件 ちりぬるを 閲覧数:294

 彼がまず思ったのは国外でも仕事があるのかということで、続いて思ったのは面倒くさいなということだった。
 人間の願いを叶える天使というのが彼の仕事だった。仕事の内容としてはいつも通りだが、ただ一つ違うのは場所がアメリカ中部の砂漠のど真ん中であることだ。なぜそんなところに日本人が? 彼は少し戸惑いながら背中の羽根をパタパタさせ始めた。

 砂丘に朝日が昇る。東の空が鮮やかなオレンジ・・・

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ウラシマ、ハマる。

17/03/30 コメント:2件 ちりぬるを 閲覧数:299

 同じクラスの浦島月子さんは美人で成績優秀な学級委員長で休み時間には彼女の周りには人だかりが絶えない典型的なクラスの人気者だった。教室の隅で孤独に漫画を読んで過ごす私とはまさに月とスッポンだ。
「亀、ちょっといい?」
 一年生の時同じクラスだった女子三人組が教室のドアを荒っぽく開け、私の席を囲んだ。クラスが変わってもまだこの人達にからまれるのか。私は読みかけの漫画に栞を挟み、食べかけの・・・

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星に願いを

17/03/27 コメント:2件 ちりぬるを 閲覧数:254

 太郎が帰ると言い出して寂しそうにしていた乙姫様が宝物庫から嬉々としてあの箱を持って来たのを見て嫌な予感がした。俺はのそのそと歩き側近のアンコウに尋ねたが、やはり太郎が地上に帰る手土産に玉手箱を渡すそうだ。
 生まれてこのかた竜宮城を出た事のない乙姫様は、いや地上と竜宮城とを行き来する俺とリュウグウノツカイ以外の者はおそらく外界の様子など知る由もないのだろう。俺は乙姫様を止めようと急いだが、・・・

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「またね」

17/03/19 コメント:2件 ちりぬるを 閲覧数:341

 周囲の喧噪に掻き消されそうな声で「やっぱりやめようか」と今日子が言い出したのは舞浜の二つ前の駅で止まった時だった。
「水族館にしよう」
 人の間を縫うようにして電車を降りる彼女を慌てて追いながら僕は溜め息をつく。彼女のこういう所が嫌いだった。
 大学を卒業し、地元で就職が決まった彼女とそれをきっかけに別れる事になり、今日が最後の思い出作りのデートだった。あれほど行きたいと言って・・・

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白線渡り

17/03/09 コメント:2件 ちりぬるを 閲覧数:337

 二時間以上前に起きてはいたが、布団の中から出れずにずっと携帯で小説を読んでいた。我慢していた空腹が限界に達し、ようやく起き上がったのは正午をとっくに回った頃だ。寝間着にしているスウェットの上からダウンを羽織る。ポケットに手を突っ込むとちょうど弁当を買えるくらいの小銭が入っていたのでそのまま家を出ることにした。
 アパートを出てすぐのところにコンビニはあったのだが、僕は歩いて十五分くらいの別・・・

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ミサイルマンの憂鬱

17/03/07 コメント:4件 ちりぬるを 閲覧数:584

 自分が「ミサイルマン」と呼ばれている事を男が知ったのは扉が閉まる間際に白衣の男達が話していた雑談が聞こえたからだった。もっとも自分がなんと呼ばれようと、外出が一切禁止されていようとこの生活に男が不満を持つ事はなかった。
 男の朝は八時のアラームで始まる。朝食をとり、歯を磨き、顔を洗い、メディカルチェックを受け、九時ちょうどに扉一枚隔てた職場へ入る。
 真っ白な六畳程の部屋には中央にモ・・・

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「ヒト……」

17/02/23 コメント:2件 ちりぬるを 閲覧数:541

 フロントガラスを叩く雨に男は満足げな笑みを浮かべていた。濡れたアスファルトがヘッドライトを反射する。刻々と雨足は強くなっていった。

「あなたは私のことを全然見てくれない」
 ある雨の日、深夜に帰宅した男の元に妻が車にはねられたという連絡が入った。仕事が忙しく家ではいつもイライラしていた男と妻はその日の朝些細なことで喧嘩をし、男が乱暴にドアを閉める直前に聞こえた妻の最期の言葉だ・・・

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青空

17/02/15 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:300

 ぎゅっと目をつぶって、ゆっくりと開いたらあの夜に戻れないかな。そう思いながら目を閉じた。

 ガチャッという嫌な音がしたなと思ったら案の定自転車のチェーンが外れていた。ダイエット中にも関わらず夜中に突然アイスが食べたくなってパジャマのままコンビニへ向かった天罰なのかもしれない。
 ちょうど家とコンビニの中間くらいの場所だった。このまま手ぶらで帰るのも悔しくて、私はギコギコと不快・・・

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その夢を僕は知っている

17/02/09 コメント:1件 ちりぬるを 閲覧数:332

 仕事帰りに妻に頼まれていた入浴剤を買って東急ハンズを出た。新宿駅の南口に向かう途中で昨日イヤホンが壊れたことを思い出し、ついでに買ってくれば良かったと後悔した。
 いつものようにイヤホンで音楽を聴きながら歩いていたら気が付かなかっただろうが、甲州街道の信号を渡った所で路上ライブをしている女の子がいた。普段なら見向きもしないのに、そこに近づき人だかりの間から演者を覗き見たのは彼女の声に聞き覚・・・

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雨乞い(裏ジャジャジャジャーン)

17/01/24 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:262

 恋愛に必要な三つのingというものがある。きっと有名な話なので言うまでもないだろうが、タイミング、フィーリング、ハプニングだ。この三つを合わせて人はそれを「運命」と呼ぶのだろう。運命は作れる。彼と出会って付き合いたいと思った頃、何日も考え抜いた結果そう思うようになった。
 久しぶりに仕事用だったスーツに袖を通し、メイクをしているとユリが起きてきた。同棲していた元彼の家を出て行き場のなくなっ・・・

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ジャジャジャジャーン!

17/01/12 コメント:3件 ちりぬるを 閲覧数:589

 引っ越しを機に捨てようと思っていたコンバースに一度足を通してすぐにまた脱いだ。全ての荷物を運び、掃除を終えた五年間住み慣れた部屋を最後にもう一度目に焼き付けておきたかったからだ。
 一通り思い出に浸った後、以前ソファの置いてあった床に大の字に寝転がって天井を眺める。これから鍵を返し、転居先の片付けをして、その前に市役所に行こうか、などと考えているとチャイムが鳴った。面倒だなと思いながら起き・・・

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オンリーワン!

17/01/11 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:291

 いつもの公園を通りがかった時、ふと嗅ぎ慣れた香水の香りがした。ということは彼女がいるのではないかと周囲を見渡すと、思った通り噴水前のベンチのそばに彼女の姿を見つけた。
「やあ」と僕が駆け寄り声を掛けると「こんにちは」と彼女が会釈する。
「いい天気ですね」
「そうですね」
「どこか行かれるのですか?」
「いえ、これから帰るところです」
 過ぎ去る彼女の後ろ姿を僕・・・

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神様、ちょっと待った!

16/12/29 コメント:2件 ちりぬるを 閲覧数:370

 大学を卒業する直前に帰ったきり実に三年振りの帰省だったのだが、どうにも実家は居心地が悪く、買い物に行くと言って街に出た。駅前はすっかり様子が変わってしまい、見覚えのない店や建物が増えていたが、駅の南口を出てしばらく歩いた川沿いの道は私が高校生だった頃から何も変わっていなかった。
 友人達と自転車で通学していた土手をゆっくりと歩いていると、ふとその頃に付き合っていた彼氏のことを思い出した。今・・・

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だからその手を、

16/12/17 コメント:2件 ちりぬるを 閲覧数:360

 娘の遥が作る肉じゃがの味が死んだ妻のものと似てきた。教わったわけではないのにそういう所も遺伝するのかな、そう思いながら人参を口に運んだ。
「ねえお父さん」
 テーブルを挟んで同じく人参を突つく遥は私の方を見ずに言った。
「クリスマスなんだけど、友達と遊ぶからご飯いらないから」
 遥の視線は手元の携帯に向けられている。
「は?」私は箸を置いた。
「クリスマスはイ・・・

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ノーキリスト!

16/11/19 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:485

 その男は今にも血の涙を流しそうなくらい恨みのこもった目で俺を見ていた。彼の足下には異国人の姿を描いた銅板。なぜそれを踏めぬのだろう? 俺は衣の襟を正しながら理解の出来ない彼の行動に眉をひそめた。
「呪ってやる!」
 唾を飛ばす勢いで俺をののしる彼に心の中で「それは八つ当たりだ」と呟く。俺も御上の命令でやっていることで彼がどうなろうと俺のせいではない。
「呪ってやる! 末代まで呪・・・

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ラブオアピース

16/11/04 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:342

 ある日突然戦争が終わった。僕が小学生の頃から続いていた隣国との戦争は「本日を持って終戦となります」というアナウンス一つで本当に終わってしまった。
 昨日まで殺せ殺せと狂ったように言っていた軍上層部は手のひらを返したように、速やかに部隊を解散するよう促してきた。僕達ほぼ最前線で戦っていた兵士はぎゅうぎゅうの電車で故郷の町へと帰らされることになった。数時間腕一本動かすこともままならない状態にも・・・

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お後がよろしいようで

16/10/21 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:399

 三日遅れのクリスマスパーティーだった。と言っても彼の家でいつもよりも少し豪華な食事をし、ケーキを食べるというだけのものだが。
 私はテーブルの上を軽く片付け、コーヒーを入れようとキッチンに立った。ソファーに座りテレビを観る彼の後ろ姿をぼんやりと眺めながらその小さな幸せを噛み締めていた。
 テレビでは年末恒例のお笑い番組をやっていた。時々彼の笑い声が聞こえる。コーヒー豆をミルしながらテ・・・

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