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かわ珠さん

自分の好きな作家さんの言葉のチョイス、並べ方、区切り方、リズム、テンポに少しでも近付けるような文章が書けるようになりたいです。

出没地 TOHOシネマズ梅田
趣味
職業
性別 男性
将来の夢 世界平和
座右の銘 愛は時空を超える

投稿済みの記事一覧

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その歌は彼女の耳には届かない

17/05/27 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:34

 小さなライブハウスに響く重低音。
 観客席は八割ほどが埋まっている。そのステージで俺はギターをかき鳴らし、大声で歌っている。
 ステージから客席は良く見える。知った顔が沢山いて、皆いつものようにノッてくれている。
 その中に一人、初めて見る顔があった。彼女の存在が目に入ったのは必然だった。彼女は明らかに浮いていたからだ。
 他の皆は手を上げ、声を上げ、俺の音楽にノッている・・・

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狙うのならば、休日

17/05/26 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:44

 殺し屋の日常と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。
 毎日のように追って追われて、常に命の危険にさらされ、気の休まるような日なんて一瞬たりともない、仕事をしていない時もトレーニングを重ね、鍛錬を怠らない、だなんて思ってはいないだろうか。
 残念ながら、その認識は間違っている。
 なぜなら、今は二十一世紀だからだ。
 人を殺すために技術が必要とされていたのは大昔の話。・・・

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正義の味方を、僕は殺した

17/05/04 コメント:2件 かわ珠 閲覧数:114

 警察官である僕は今、一人の女性に向けて拳銃を構えている。
 僕は彼女の事をよく知っている。
 いつだって彼女は正しかったはずなのに。
 いや、きっと今も正しいのは彼女の方だ。彼女に拳銃を向けている僕の方が間違っている。
 けれども、僕はこの拳銃を下ろすことができない。彼女は、右手にナイフを持ち、それを一人の男に突き付けている。
 無線から上司である警部からの指示が聞・・・

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表と裏

17/04/07 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:170

 海岸に一人の男が倒れている。白い髪に、長く伸びた白い髭。そのすぐ脇には豪奢な箱が落ちている。
 男の名は浦島太郎。
 浦島太郎は頬と両腕に砂の感触を感じながら、何故こうなってしまったのだ、と自問していた。
 私はただ亀を助けただけだ。そのお礼に、と竜宮城に案内され、ほんの数日楽園でのひと時を満喫しただけなのに、どうしてこんなにも残酷な仕打ちを受けなければいけないのか。あの時、亀・・・

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無人電車

17/03/23 コメント:2件 かわ珠 閲覧数:167

「……は?」
 目が覚めると、周りには誰もいなかった。窓の外は真っ暗で、この電車が今どこを走っているのかわからない。
「寝過ごしちゃったか……」
 大きく伸びをして、頭を掻く。そして、あくびを一つして、ようやく頭が回転し始める。仕事帰りのスーツ姿のままだったせいか、左肩が痛い。今、この電車はどこを走っているのか確認しなければ。ドアの上の車内案内表示に目を向ける。
「あれ……・・・

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再会

17/03/20 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:145

 雨は、止まない。
 車両の窓を叩きながら、水滴は後方へと流れていく。
 1/fゆらぎで走る電車の座席は心地よくて、今にも眠ってしまいそう。まるで歪んだ鏡の中に迷い込んでしまったかのように視界が揺れている。
 そして、夢か現かの境界線上で、私はその言葉を耳にした。
「久し振りだね」
 と。
 とても優しく、穏やかな響き。
 けれども、その声に聞き覚えはなく・・・

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あと2ミリ キミ/あなた に届かなくて

17/03/10 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:196

僕/
 右手の小指の端がチリチリとむず痒くて暖かい。
 僕のこの右手の小指のすぐ横、2ミリほど隙間をあけた隣には、クラスメイトの森笠さんの左手がある。
 白くて細い、華奢な手。
 僕は今日も、この彼女の左手に触れられなくて、その勇気を出せなくて、溜め息を吐く。
 彼女を好きになった瞬間は鮮明に覚えている。
 あれは雨上がりの校庭だった。
 コンクリートの濡・・・

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お ま じ な い

17/03/07 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:187

 今、私のクラスではおまじないが流行っている。
 けれどもきっと、このクラスの女子でこのおまじないブームに乗っていないのは私くらいのものだろう。
 別に、おまじないが嫌いというわけではない。おまじないに入れ込む彼女たちを見て、間違っているとは思わない。好きなものやのめり込むものは人それぞれだ。彼女たちがおまじないに一喜一憂するのは傍から見ていれば、わりかし楽しいものだし。けれども、積極・・・

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人類の選択

17/03/04 コメント:1件 かわ珠 閲覧数:207

 終わることのない戦争、絶えることのない食糧難、尽きることのない欲望。果てのない泥沼に、人は明るい未来の青写真を描けなくなってしまっていた。人は、いつからか進歩することを、前に進むことを忘れてしまっていたのだ。さらに、人が破壊した地球の環境は人の手に余るものになってしまった。もはや人類に星の修復は不可能となってしまっていたのだ。そうして、進化に行き詰った人類が、星を穢した人々が最後に縋ったのはAI・・・

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ロマンを求めて

17/02/13 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:204

「私は、自転車で虹を渡りたいの」
 と少女は頬を膨らませた。彼女には悪いけれども、年相応の可愛らしい表情に、少しホッとする。彼女の歳は知らないけれども、多分幼稚園の年長くらいだと思う。正確な年齢は聞いていない。小さい子供だとはいえ、レディに年を訊ねるのは失礼だろう。
「でも、雨は降っていないし、降りそうにもない。きっと、しばらく虹は現れないと思うよ」
 そんな少女に対して、僕はひ・・・

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Heaven’s door

17/01/19 コメント:2件 かわ珠 閲覧数:266

 目が覚めると、そこは真っ白な正方形の部屋の中だった。
 それぞれの辺の中心には扉が一つずつ取り付けられている。その扉には、101,201,301,401と数字が打たれている。そして、この部屋の中には自分も含めると、四人の人間がいる。
「つまり、それぞれが一人ずつ、各部屋に入れってことなんでしょうかね?」
 と、眼鏡をかけた男が言った。
「まあ、状況から見ればそうじゃないか・・・

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笑って逝こうか

17/01/11 コメント:2件 かわ珠 閲覧数:274

 それは、この上ない絶望だった。
「残念ながら、あなたに残された余命は半年です」
 まさか、自分が余命宣告を受けるだなんて、想像もしていなかった。言葉を告げた医者は何の感動もない表情で、機械的に、冷徹に、平然と言い放った。
 突如付き付けられた余命宣告。
 僕は何も考えることができなくなり、病院から自分の家までどうやって帰ったのかさえ覚えてなかった。気が付けば、ソファーに腰・・・

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お父さん、泣かないで。

16/12/19 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:257

 私のお父さんはよく泣く。
 映画を観に行けば、感動的なストーリーに涙を流し、テレビのニュースを見ては、小さな子が殺されてしまったという理不尽な事件に涙を流す。電車の中でお年寄りに席を譲る若者を見ても涙を流し、街中で美しい虹を見つけて涙を流す。誰かのお葬式に参列して泣かなかったお父さんは見たことがない。
 けれどもきっと、それは泣き虫というわけではない。
 いや、よく泣くから、そ・・・

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パティシエとクリスマスケーキとプロポーズ

16/12/16 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:250

 雪が重力に引かれて落ちる途中、風に吹かれて一度舞い上がって、また重力に従って落ちていく。まるで、桜の花びらのように。
 ああ、でも凍えるように寒いから、やっぱり今は冬なんだ。
 と、白い息を吐き出して思い出す。駅前のベンチに腰掛ける僕の身体は芯まで冷え切っている。
「クリスマスケーキ販売してまーす」
 駅の向かいのケーキ屋の前で、サンタクロースの帽子をかぶって、ベンチコー・・・

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クリスマス・オブ・ザ・デッド

16/12/12 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:287

「はぁ、はぁ、はぁっ……っくそ! 冗談じゃねえぞ!」
 クリスマスを2週間後に控え、イルミネーションに彩られた町中。その輝く町中に人は見当たらない。そのかわり、ゆっくりのそのそと歩くサンタクロースの群れ。恐らく、この小さな町に残された人は俺と、俺の隣で上がった息を整えている幼なじみのケンとアリスだけだ。俺たち以外の人間はみんなサンタクロースにされてしまった。
「……このまま私たち、サン・・・

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5分待ったその先に

16/12/12 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:268

 世の中のカップラーメンの調理時間は大抵、3分だ。お湯を注いで3分待つ。そして完成。対してカップうどんは大抵5分。そう、カップうどんは5分なのだ。もちろん、昔よりもカップ麺の種類は増え、カップラーメンでも4分、5分待つこともなくはない。とはいえ、スタンダードなものは大抵3分だ。
 カップラーメンの3分とカップうどんの5分。この差は待つ者の体感時間を考えれば、かなりの差異となる。3分と5分の差・・・

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聖夜の奇跡は白が似合う

16/11/23 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:288

 今日の天気は曇りのち雨。夕方ごろから雨脚は徐々に強くなってくるでしょう。と、気象予報士は告げた。
 12月24日。
 クリスマスイブ。けれども、私の住むこの地域はあまり雪の降る地域ではない。冬のシーズンに雪は三回降るかどうか。それも、大体は一月や二月の特に冷え込んだ日にしか降らない。私の記憶にある限り、この街のクリスマスに雪が降ったことはない。
 昼も過ぎて、空を見上げると、確・・・

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好奇心の少女

16/11/16 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:320

 夜の美術館の警備員。
 それが僕の仕事だった。とはいえ、僕は所詮バイトだし、しかも働き始めたのは先月のド新人だ。
 このバイトを始めた理由は至極単純で、時給がいい、というその一言に尽きる。それに……こう言うと少し、笑われるかもしれないけれども、夜になると展示物が動き出すあのコメディ映画が好きで、警備員という職業そのものに憧れを抱いていたのだ。
 もちろん、夜に展示物が動き出すな・・・

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夢を見るアンドロイド

16/11/08 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:329

 かつて、私は月に恋をした。
 月。そう、空に浮かんで優しい光であたりを照らす、あの月だ。この地球には地上を照らす二つの大きな光源があった。言わずもがな、太陽と月だ。太陽の光はギラギラと刺すようで、私には少し力強すぎる。けれども、月の光は優しくて、包み込むようにあたりを照らすのが心地よかった。太陽か月、どちらか片方を恋人に選んでいいと言われれば、私は迷わず月を選ぶだろう。それくらいには月のこ・・・

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Cute brother

16/10/30 コメント:2件 かわ珠 閲覧数:433

 私の弟はたぶん、世界で一番かわいい。
 クリクリとした綺麗な二重の目はとても愛らしくて、小動物のよう。鼻筋はピンと真っ直ぐ伸びていて、唇の大きさは少し控えめ。眉は少し下がり目でとても優しげな印象を彼に添える。髪は少し天然パーマ気味で全体的に緩やかなウェーブがかかっている。そのクセっ毛を気にしているのも愛らしい。
「おねいちゃん」
 と、彼は私を呼ぶ。「おねえちゃん」ではなく「お・・・

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硝子の天才

16/10/26 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:303

 後半25分、0対0で試合は膠着状態。
 審判が笛を吹き、試合を中断する。タッチラインには高宮がウォーミングアップを終えて立っている。交代はいつも通り俺だ。悔しいが、こいつが入ればチームは間違いなく勝てるだろう。念願の全国大会まであと一勝。この采配はきっと正しい。それでも、俺はこの交代に納得はできない。
 けれども、監督の采配は絶対だ。審判に促されながら、俺は渋々タッチラインへと向かう・・・

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貴方の気紛れが起こらなければ、また明日

16/10/25 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:391

「もう、別れよう」
 そう吐き捨てるように言い放ち、私の返事も聞かずに、彼は私に背を向けて歩き出した。その背中は昨日見た彼の背中とまったく同じものだった。少し猫背気味で丸く、優しげな後ろ姿。
 彼の『もう別れよう』という言葉を私は今日までにいったい何度聞いてきたことだろう。そして、これから何度聞くことになるのだろう。私は願う。何度だっていい。何回だって、その言葉を聞かせて欲しい、と。<・・・

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楽園追放

16/10/17 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:340

 楽園と呼ばれるこの場所は、僕にとって世界そのものだった。この場所で産まれ、育ってきた僕たちは、半径百メートルのこの世界しか知らない。けれども別に、それを不幸と思ったことはない。楽園と呼ばれるだけあって、この場所では僕たちが生きていくうえで必要なものは何不自由なく与えられた。衣食住も娯楽も。ここには全てがそろっていて、間違いなく平和が具現化した楽園と呼ぶにふさわしい場所だった。
 けれども、・・・

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P Program

16/10/13 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:309

 今日の世界は平和か?
 毎朝、博士はそう自問する。答えはいつも決まっている。
 そんなはずがない、と。
 未だ世界中の各地で争いは絶えず、暴力は消えず、殺人は果て無く続く。
 西暦2064年。有史以来、人類誕生以来、人間同士が争い合わない平和な時というものは、今日に至るまで、ついに一度とて在り得なかった。
 何故だ?
 人類の平和という願いは数千年も前から願わ・・・

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マシュマロの弾丸

16/10/10 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:311

 携帯電話のアラームが鳴って、目を覚ます。
 重たい瞼を擦りながら怠惰で緩慢な動きでのっそりと窓を開けると、まだ冷たい朝の空気が部屋の中に滑り込んでくる。それが一瞬にして私の身体を包み込み、眠気を払い落とす。
 両腕を上に持ち上げて、思いっきり体を伸ばすと、重力に逆らうように自然とつま先立ちになる。背骨や腰、首のあたりがポキポキと音を鳴らすと、私の身体は完全に目を覚ました。
「お・・・

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結婚しよう

16/10/05 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:409

「ねえ、結婚しよう……」
 と、言われたら、普通の女性はどう思うのだろう。
 まあ、嬉しい。とか、なんだよこいつ、気持ち悪い。とか、その言葉は嬉しいけれども、今はちょっと……等々。多分、色々な反応があるだろう。
 私の場合、この言葉に対する反応は「またか」だ。
 なぜなら、彼のこの言葉には続きがあるからだ。
「……ってさ、めちゃくちゃ面白いよな」
 が、彼の場合・・・

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クラウンの涙

16/09/26 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:371

 クラウンとピエロは違う。ピエロなんて、ジャグリングに失敗して、大玉の上から転げて、観客から笑われる。そう、ピエロは観客を笑わせるのではなく、観客に笑われるのだ。
 対して、僕は誇り高きクラウンだ。白のメイクに赤い鼻。目の周りにも派手な色があしらわれている。多少おどけたりもするけれども、ジャグリングを完璧にこなし、大玉を乗りこなし、観客から拍手喝采を浴びる。この歓声を聞けば、僕の言うことを信・・・

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タイムスリッ……

16/09/23 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:342

 時間を超えて旅をするという人類共通の夢は、数百年前からずっと研究を重ねられてきていたのだが、それがついに完成を迎えることとなった。タイムマシーンが完成したのだ。とはいえ、開発したのは私ではない。しかし、無関係という訳でもない。タイムマシーンを生み出したのは天才にして変人にして天然だと名高いドクター・ヒイラギ。私はその助手を務めている。
 博士からのメールが届いたのは今朝のことだった。文面は・・・

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雨の匂いは遥か彼方に

16/09/21 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:675

 傘を回すと、私はタイムスリップすることができた。
 時計回りで未来へ、反時計回りで過去へと。
 だから、雨の日はいつも傘をクルクルと回して遊んでいた。
 原理は不明。理論も理屈も理由もわからないけれども、傘を閉じれば、いつでも元の時代に帰ってこられたし、困ったことは一度もない。
 世の中に不思議なことの一つや二つ、あったって別にいいじゃないか。むしろ、過去や未来のいろんな・・・

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七年前の約束

16/09/20 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:319

「ただいま」
 と、彼女は言って微笑んだ。
「おかえり」
 と言って、僕は戸惑った。
 僕にとっては気まずい沈黙。彼女はこの沈黙をどう受け止めているのだろうか。その表情を正面から見る勇気は僕にはない。
 正直言って、彼女には帰ってきてほしくはなかった。
 七年。
 七年だ。その時はあまりに長く、変化が起こるのは当然のことだ。
 この七年の間に、僕は就・・・

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初恋

16/09/19 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:358

 彼の唇が私の唇に触れた瞬間、魔法は解けた。
 それは別に比喩なんかじゃなく、本当に私の魔法は失われたのだ。そして、私は長く、長く、長かったこの人生を終える。

 ――あぁ、こんな結末も悪くない。


    ※    ※    ※


 かつて、空想の産物とされた魔女は実在するということを、私は自らの魔法をもって認識させられた。
 自ら・・・

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