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空蝉さん

紳士系女子と定評のある、空蝉です。 生まれ変わったら空気になりたい。

出没地
趣味 幽体離脱。
職業
性別 女性
将来の夢
座右の銘 がっかりするほど、人は見てくれないことはないが、期待するほど人は見てはくれない。

投稿済みの記事一覧

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不格好なサンタクロース

16/12/05 コメント:0件 空蝉 閲覧数:332

深々と冷え込んでいく、聖なる夜。
はしゃぐ子どもと、その小さな手に抱えられたプレゼント。
そして、それを優しい眼差しで見つめる父。
僕の肩を追い越して、雑踏の中に消えていった。
星も見えない空に一瞬だけ目をやって、閉店間際の喫茶店に、常連客の僕は足を踏み入れる。

「おや、いらっしゃいませ。」

肩の少し下まで伸ばした黒髪を、ふわりと揺らし、マスター・・・

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奇跡と共にお別れを

16/11/08 コメント:0件 空蝉 閲覧数:403

少し早足に近づく、冬の足音。
日当たりの良い、この公園では、今日も子どもたちが元気に駆け回っている。
まだ赤ん坊に毛が生えたくらいの、あどけない笑顔の幼子。
可愛らしい桃色の手袋で、クマのぬいぐるみを抱いていた。
その小さな手で抱えるには、少々大変そうなサイズであるが、それでも手を離さないのは。

「大事にしてるんだなあ。
きっとこれからも、ずっと一緒なの・・・

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笑顔ポイント

16/10/16 コメント:0件 空蝉 閲覧数:519

きっかけは日付が変わる頃に届いた、一通のメールだった。
差し出し人の欄は文字化けしていたが、内容はかろうじて読めるものとなっていた。

『お笑いが好きな、そこのあなた!
笑顔ポイントを溜めて、自分の価値を上げませんか?』

テレビでよく漫才やコントを見ているし、クラスではひょうきんなキャラで通っている俺は、寝るところだったのも忘れて、そのメールに見入った。

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遠い戦争と遠い平和

16/10/11 コメント:3件 空蝉 閲覧数:553

土の中に爆弾があるだとか、同じ空なのにそこではミサイルが飛んでいくだとか。
世界にはそんな戦争真っ只中の国なんて、ごまんとある。
互いの正義を押し付け合って、今日も弱い者は朽ちていき、強い者が生かされる。
弁当を食べた後の、眠たい空気が漂う五時間目の教室。
僕は頬杖をつきながら、ふと考える。
こうしている間にも、僕らと同じように心があって、笑ったり泣いたりしていた人が・・・

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矛盾の狭間

16/10/02 コメント:0件 空蝉 閲覧数:508

今でも時々思い出す、不思議な夢がある。
小学校低学年くらいの時の、ある晩に見たものなのだが。
その夢の中で私は、ただひたすら走っていた。
商店街を抜けて、人々の雑踏を駆け抜けた先に、一人で歩いている女性がいて。
幼い私はその女性を、思い切り突き飛ばすのだ。
どうしてそんなことをしたのかまでは、よく覚えていない。
まあ夢とは、大抵が支離滅裂で、記憶の曖昧さもそんな・・・

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神は夢と欲を天秤にかけ笑う

16/09/30 コメント:0件 空蝉 閲覧数:466

新聞紙で塞いだ、建てつけの悪い窓の隙間。
ギイギイと音を立てて軋む床に、ヒビと傷だらけの壁。
そんな絵に描いたようなボロいアパートの一室で、僕はノートとにらめっこをしていた。

「ネタ、何か浮かんだかー?」

カップラーメンの汁を飲み干しながら、相方の中島が気の抜けた声を投げかける。
僕が静かに首を横に振ると、中嶋は深いため息を吐いた。
僕と中島は、・・・

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拝啓 未来の死にたがりへ

16/09/22 コメント:0件 空蝉 閲覧数:521

左手に付けた腕時計の時間は、もうすぐ午後三時を示す。
風で靡く袖口から、傷だらけの手首が顔を出した。
もうすぐ取り壊される予定の、今は廃墟となった何かの会社のビル。
ひとつ、大きなため息を吐いて、私はそんなに背の高くない柵を乗り越える。
屋上から見下ろした、遠い地面。
そこを目掛けて、私はふらりと自分の体を投げ出した。
聞こえるはずのない、時計の秒針の音を聞いた・・・

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思い出の本、取り扱っております。

16/09/16 コメント:3件 空蝉 閲覧数:732

横殴りの大粒の雫が、凍えるように冷たく、街角に叩きつける。
それは泣き喚くような雨だった。
ほとんど役目を果たさなかった、ボロい傘を放り投げ、俺はその場所に飛び込む。

「いらっしゃいませ。
本屋『メモリーブック』へようこそ。」

ペタリと這い寄るような足音と共に、一人の男の店員が現れた。
長い黒髪は、両の目をすっかり隠していて。
だけど口角が・・・

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