1. トップページ
  2. ひーろさんのページ

ひーろさん

ミステリーが好きです。

出没地
趣味 音楽、読書、剣玉
職業
性別 男性
将来の夢
座右の銘 想像できることはすべて実現できる。

投稿済みの記事一覧

0

トランスフォーメーション

17/03/30 コメント:0件 ひーろ 閲覧数:158

 遮断機の向こう側に立つ女の人と目が合った。冷たく突き放すような目。ふいに視線を逸らした先に立つ幼い少年が、僕を見て笑い始めたような気がした。居た堪れなくなって俯くと、足元に蟻がうろついている。仲間のために何やら食べ物を運んでいるらしい。役立たずの自分とは対照的に見えて、不甲斐ない気持ちが胸を侵食する。さらに視線を脇に移すと、「左見て右見て渡れ」という注意書きが目に入る。前さえ見られない僕は、渡っ・・・

0

天使からの贈り物

17/01/14 コメント:0件 ひーろ 閲覧数:241

「死にたい」
 男は独りそう呟いた。
 人生も折り返し地点。男は中身のない長い時間を消費してきた。会社では、上司や同僚から言われたことを言われた通りに、やるべきことをマニュアル通りに行う機械のような存在。頼みごとをされると断れない性質で、「優しいね」などと言われると、心中で「そんなことない」と返す。自分から行動を起こすわけではなく、他人から受けた依頼を淡々とこなすだけのお人好しなのだと・・・

1

巡る五分間

16/12/10 コメント:2件 ひーろ 閲覧数:323

 重たい扉の内側に設置された赤いボタンを押すと、短い警報音とともに厳重なセキュリティロックがかかり、小さな研究室は誰も寄せ付けない鉄壁の要塞と化す。男は、興奮した面持ちで初めて赤いボタンを押した。研究室の主である博士は、厚い信頼を寄せる唯一の助手であるその男に留守番を頼んで、珍しく外出していた。
 男は一人、薄明るい部屋の中を一通り眺めた。偉大なる博士の貴重な発明品の数々がそれぞれ透明なケー・・・

4

不透明人間

16/10/15 コメント:0件 ひーろ 閲覧数:445

「博士、ついに完成ですね」
「ふむ。ついになあ」
「博士ったら、珍しく嬉しそうな声をしていますね」
「ふむふむ。これが本当に成功であれば、世界で初めて、人間の可視化に成功することになるのだからな」

 彼らが研究に研究を重ねた末に完成させたのは、人間を可視化させるという“不透明人間の薬”である。本来、人間が不可視透明であることは自明の理であり、覆ることのない人類の常識・・・

1

おばあさんと少年

16/09/20 コメント:1件 ひーろ 閲覧数:413

 少年がリュックサックに百科事典を忍ばせたまま、店の外へ出ようとしたその瞬間……。
「ちょっとあんた。そのリュックの中身を見せてごらん」
 小さな古本屋を一人で切り盛りするおばあさんが、少年を鋭く睨みつけて言った。あっけなく、彼の犯行は暴かれた。
「うちの前の雑草を、きれいさっぱり抜いてくるんだ。悪いことした罰だよ。わかるね」
 少年はすでに罪悪感の底に深く沈みこんでいた。・・・

0

落下

16/08/10 コメント:0件 ひーろ 閲覧数:312

 人々の見上げる視線の先に、ある一人の男が立っている。
 男は上半身裸で、顔をひきつらせ、微かに身体を震わせている。
 小さく見える人々を見下ろしながら、男はそっと目を閉じて、ふうと息を吐き出した。

 やがて男は決心した。

 後悔などないのだ、と自分に言い聞かせる。今日までの辛く苦しい日々を思い返す。無意識のうちに、早く楽になりたい、と呟いていた。
 ・・・

2

殺された記憶

16/08/10 コメント:4件 ひーろ 閲覧数:530

 僕は幽霊。誰かに殺された。
 実は、殺された時のショックで、ほとんどの記憶をなくしてしまった。僕を殺したのは誰なのか、何も覚えていない。殺される間際の恐怖の感覚だけは、いまだに鮮明に残っていて、僕を嫌な気分にさせる。
 僕を殺した憎き殺人鬼を見つけ出し、何とかしてやらないと気が済まない。呑気に成仏なんてできやしないというのに、それが誰なのか、さっぱり見当もつかないではないか。
・・・

  1. 1
ログイン
アドセンス