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水面 光さん

■ホームページ「水面文庫」 http://www.minamo-bunko.com/ 忙しい中でも身を粉にして執筆活動しております。ジャンルとしては現代ファンタジーが中心でございます。よろしくどうぞー

出没地 広島県南部
趣味 メダカ・熱帯魚飼育、植物栽培、映画・音楽鑑賞、バイク等
職業 なんちゃってオンライン作家
性別 男性
将来の夢 物書きでメシを食う
座右の銘 人の心は変わらないから自分が変われ

投稿済みの記事一覧

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鳥たちのさえずり

17/04/15 コメント:0件 水面 光 閲覧数:228

鳥たちのさえずりが聞こえるのは幸福だった。ほんとうに──私は私と同じ病気だった芥川龍之介の言葉を反芻していた。「どうせ生きているからには、苦しいのはあたり前だと思え」──つまり、生きていること自体が苦しみであるという原始仏教の教えとまったく同じ考え方だと気づいて、しかも私もその考え方に手放しで賛同できる境遇に至っていることにも気づいて、いやもうそう考えざるを得ない、血肉が、心が、そう叫んでいるのだ・・・

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ラブ・ランド

17/02/18 コメント:0件 水面 光 閲覧数:301

「ユウイチ、新車が来たよ!」床屋と文具屋が並んだ交差点を白い新車が初々しいウインカーの光を点滅させて曲がり、こちらへ向かってくるのを見て、母さんが教えてくれた。身体障害のあった伯母も屈託なくほほえんでいた。──どうにも体の倦怠感に耐えきれず、昼に横になったときに見た夢だった。もしも連中が他人を貶すことに始終ご執心だとしたら、私には貶し返してやるしか選択肢がない。「ハゲだと思ったぜ、しかも短足だし」・・・

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花咲く季節

17/01/30 コメント:0件 水面 光 閲覧数:270

それを人は“死の季節”と呼んだ──虫は死に絶え、草木は枯れ、何もかもが終わりを示していた。私は寒空を見上げて叫んだ。「たのむ! 神でも仏でもいい、私にこの世界を肯定させてください! マイナスからしかプラスは生まれない。それはわかっています。しかしどうかこのあたたかい心を春まで凍えさせないでください! お願いです!」すると声がした。「──心配はいらないよ」「あなたは?」「君のそばにずっといるよ。だか・・・

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1977

17/01/21 コメント:0件 水面 光 閲覧数:304

私が何を考えようとたぶんこの世界では重要なことではない。だが、誰かが追求しなければ世界の真実は明らかにされないまま終わってしまう。私は心の中で密かに何度も繰り返し叫んだ。「定年までカネを稼ぐことが人生の意味であり価値を生むと心底信じ込んでるブタどもに世界一美しい終焉と始まりを与えてやろう!」──ときは1977年の夏。人間は残念ながら当事者にならねば何も理解できない。なぜそう言えるかは何を隠そうこの・・・

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夢と現実

17/01/09 コメント:0件 水面 光 閲覧数:383

「ここだ」──私は玄関ベルの横の表札の上に掲げられた“304”という数字を見てつぶやいた。間違いない。夢の中ではっきりと見えた数字。こんなことはめったにない。数字が夢の中に出てくるはずがないんだ。試験で悩まされていることでもないし、レジでお釣りの計算ができなかったことを気に病んでいるからでもない。この数字には何か意味がある。しかもとてつもなくやヴぁい意味が──。表札には何も書かれていない。躊躇なく・・・

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闘いのなかで

16/12/30 コメント:0件 水面 光 閲覧数:347

私の中では彼女の言った言葉たち──正確に言うと彼女が実際に言ったのではなく、私が彼女が言ったものと錯覚しているだけかもしれない。というのも、こういった現象は統合失調症の主な症状のうちの被害妄想や幻聴という私がすでに何度も経験していることだからだ──が独り歩きして暴走をし始めた。「不倫しようと思ってるのかな?」──たぶん、彼女は一言もそんなこと言ってない。「腰痛なのかな?」「歯並びがいいね」「足が短・・・

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死なない人

16/12/18 コメント:0件 水面 光 閲覧数:300

「憤怒」──いま私の心の中にはこの言葉にすこぶる威勢のいい命を吹き込む雪解け水のような感慨しかなかった。どいつもこいつも! あるやつはなおしようのない独善家で自分が世界で一番えらいと思ってやがる。またあるやつは外面では善人ぶっておいて内輪ではウワサ話しかしやがらない。さらにあるやつは他人を──お向かいさんでさえ──こけにするのが大好きで、人が100パー見た目で決まることを体現しており、品が微塵もな・・・

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こっち!

16/11/28 コメント:0件 水面 光 閲覧数:441

暗く冷酷な雨音に混じって明るくあたたかいカエルの鳴き声が聞こえた。子供の頃、いやと言うほど聴いていた、とてもなつかしい声。私の父方の実家はいわゆる兼業農家で、家の周りは田んぼに囲まれていた。この冬の時期になぜカエルの声が──? どこかで初雪が降ったらしいがこの辺りは雨はまだ雨のままだった。今も聞こえる、雨音に混じってゲコゲコと鳴くカエルの声が。クリスマスまであと1ヶ月足らずというこの時期に降る雨は・・・

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あの家に

16/11/17 コメント:0件 水面 光 閲覧数:382

「お別れです」──彼女は一瞬そのフレーズの意味が理解できなかった。だが、徐々に息がつまりそうになり、無意識が声を出すまいとしたのだろう、口を真一文字に食いしばり、そして両目から次々にあふれだすあたたかい液体が頬を濡らしていることに気付いて、鼻水を大きくすすった。それが彼女がそのフレーズを本当に理解したということを示していた。彼女も彼と同じくすっかり老いてはいたがその現象はまるで産まれたての赤ん坊と・・・

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抗った証

16/11/08 コメント:0件 水面 光 閲覧数:439

「えっ、なんで笑うんですか?」──自分には生きる意味も価値もないと思っている老いた男がやっとかけがえのない希望を見い出しかけたその矢先に、若い女からこの敵意あるフレーズを1万回リピートで聴かされたとしたら、どうなると思う? 少なくとも、面白くて、楽しくて、笑ったんじゃないよ、お嬢さん。あえて言えば、「自嘲」だよ。もしもそれを心底理解していてそう言ったのなら、「私ゼッタイ嫌われたわ」とか微塵も思っち・・・

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白日の幻考

16/11/01 コメント:0件 水面 光 閲覧数:577

私は──。気が付くとどうやらスーパーの魚売り場の前でにこやかに「おはようございます」と挨拶をしてくださる面々を見て、活気があるなという、うらやましい感情と、どうして自分は深緑色の買い物カゴの中に、紙パック入り1000ミリリットルの雪印コーヒー1本と、菓子パンを4個くらい、それから「ミニ助六」とラベルに印字された巻き寿司とお稲荷さんのちょっとしたセット、おーいお茶の525ミリリットルのペットボトルを・・・

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二度と来るか、アホ!

16/10/26 コメント:0件 水面 光 閲覧数:478

女はいくつになってもゴシップ好き。私は噂話をされたからと言って気に病むような人間ではない。「またか」と少々残念な気分にはなってしまうが。だが、考えようによってはそれも人生のお楽しみの一つだ。自分が変わればいいだけのこと。私が本当に残念に思うのは常に機嫌が悪く、たちも悪い、他人のことを慮れない連中の存在だ。それも考えようによってはどうでもいいことだ。特に客商売ではそんなことをいちいち気にしていたので・・・

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HEALTH

16/10/25 コメント:0件 水面 光 閲覧数:537

私の名前は「松浦 健」。おそらく正しく読めない人が大半だろうから読み方も記しておく。「まつうら たけし」と読む。この世で唯一無二の年子の弟の名前と合わせるとある熟語になるのだが、弟のプライバシーを考慮して言わないでおく。横文字で言えば「HEALTH」だ。”I would sincerely pray that you and your family are as healthy as ever f・・・

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にぎやかな神

16/10/11 コメント:0件 水面 光 閲覧数:409

──落ち着け。まだだ。まだ終わっちゃいない。アイツの無様なつらをこの目で見るまではまだ終われない。「ししょー、わてどうしても田舎が好きなんや。愛してますのや。そりゃ、どうせダサいとか、どんくさいとか、アカぬけてないとか、いろいろとバカにされてきやしたぜ。でもししょー、わて都会より田舎が好きなんや。都会に住んだら、わて、窒息死しますわ。都会に住んでやがるやつらをバカにしてえんじゃねえですよ、ししょー・・・

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ねえ誰か

16/10/10 コメント:0件 水面 光 閲覧数:489

「ねえ? 僕たち生きてるよね? 君の声を聞くことができて、僕の声が聞こえるということは、間違いなく生きてるよね? 僕は、老いているし、病気持ちだし、身も心もボロボロだけど、それでも確実に生きてるよね? だったら、君に何か言えるのは──生きてくれ──ってことだと思うんだ。大丈夫、心配は要らないって」道端で老人とすれ違ったとき、お互いに顔を確認し、すぐに目をそらし、黙って通り過ぎる。あれは幻聴だ。私の・・・

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狭い路地でデカブツを飛ばすな!

16/10/10 コメント:0件 水面 光 閲覧数:437

「おい、あれほど狭い路地でデカブツを飛ばすなと言っているのにまだわからんのか?」「うるさいんだよ、あんた」「第一他人を不快にさせて関わらなければよかったと思わせるやつがまともなわけないだろ」「関わっちゃいねえだろ」「よく考えてみろ。それが冗談だと思わなかった時点でお前の負けなのさ。冗談がわかる大人になれ、お若いの」「黙れ! くたばりぞこない」「ほう、口だけは達者なようだな。だが、私には何を言っても・・・

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LOL

16/09/26 コメント:0件 水面 光 閲覧数:545

「母さんがカレーを残らず食べた」滅多に笑わない私が笑ったのはあの言葉を──いや、正確に言うと言葉ではなく、感覚と言ったほうがいい──この皺なし矮小脳で実際に感じたとき以外を挙げるのが非常に困難だった話をしよう。別に私は笑いたくないから笑わないんじゃない。笑えることがこの世界に何一つないからだ。腹を抱えて大笑いしたことが生まれてこのかた一回もない。笑ったら笑ったでそれをよく思わないやつらがたいてい居・・・

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アイ・クローズド

16/09/12 コメント:0件 水面 光 閲覧数:579

「待ってたよ」──夜道を歩いていた。コオロギの鳴く声と風が耳を切る音、自分の足が湿ったアスファルトに置かれたときの砂利の音、たまに小石を蹴ってそれが転がっていく音。そうだ、あの声も聞こえる。子供たちの遊び騒ぐきゃっきゃいう声。風呂にでも入ってるのかな? まるで狭い車道でスピードを上げるくそいまいましい車のように走り去っていく音たち。待ってくれ!──「待ってた?」呉服屋の裏の薄暗い殺風景な──ペイン・・・

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女人観察人

16/08/29 コメント:0件 水面 光 閲覧数:680

「疲れたのだよ、もう」彼は強烈に息まく画面の向こうの若い女に向かってつぶやき続けた。「夜になると酒をやったわけでもないのに吐き気がするんだ。なのに、余計それを助長する向精神薬をやらなくちゃならない。連中は当然だと思ってるらしいが肉体に異物を、しかも金属をぶっ刺すということの異常性が、勉強はよくできるはずなのに、それだけがまったく理解できないようなんだ。点滴なんぞ絶対に嫌なんだよ! 採血でさえ嫌なの・・・

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あんたすすけてるぜ

16/08/15 コメント:0件 水面 光 閲覧数:520

「素敵な方ですねって、完全に見た目で言ってんだろ。そりゃ人は100パー見た目だが少なくともわしはそんな無慈悲なことを言うつもりはない。心配しているとか言って腹の中じゃムカついてやがるんだろうが。それくらいすぐに察しがつくんだよ。わしは馬鹿じゃない」私は自分を制することができず、独り言をつぶやくくらいならまだ赦されるが、私はアイツに向かってわざわざ喉の膜を震わせて空気を振動させて音波を作り、アイツの・・・

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虫の幽霊は愛する

16/08/05 コメント:0件 水面 光 閲覧数:683

私はそんなに眠いわけではなかったが、ネットの生放送を観るのは飽きたし、電気ストーブの電気代がもったいないし、何より寒いので、布団に入ることにした。電気敷毛布を稼働させているとはいえ、あったまるにはしばらく時間がかかりそうだ。しもやけだらけの足が冷たい。照明を消すにはまだあと服薬と口の手入れ、それからトイレにも行かねばならないのでつけたままにして、私は布団の中でじっとして目をつむっていた。その現象は・・・

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パ行の法則

16/07/22 コメント:0件 水面 光 閲覧数:603

パ行ほど私を不安のどん底に叩き落とす象徴はない。パニック発作に見舞われたときのあの死ぬかもしれないと思わせる恐怖の象徴パ。ピンチは逆転のチャンスと言ったところで実際無事で済んだことのない苦い経験を思い出させる象徴ピ。メガ・オプティック・ブラストを食らわされたときのあの絶望感の象徴プ。いつか私もルンペンになるのではないかという不安を猛烈にかきたてる象徴ペ。そして最後は某宗教団体が秘密裏に人をこの世か・・・

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待つ人

16/07/04 コメント:0件 水面 光 閲覧数:536

私にとってこの世で一番つらい出来事は母の死でした。人によっては恋愛や仕事や人間関係とかお金のこととかが人生で一番つらい悩みのタネになることは知っています。でも私にとっては母がこの世から居なくなり、軽い冗談なんか言いあっておしゃべりすることができないことくらい絶望的なことはありませんでした。そうね、言うとしたら、怖がりの人が真っ暗闇の中をふわふわ浮かぶ、とんでもなく不安で最高に恐ろしいアトラクション・・・

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ポイ捨て

16/06/21 コメント:0件 水面 光 閲覧数:711

私はそそられもしない女の裸を儀式的に目でなめまわしたあと、コードが理解できない低能は排斥されるべきだと賢者モードをキメている自分に酔う余裕がまだそのときはあった。昼間っからなんだこの変態野郎がと自嘲する余裕が確かに。私が最初にそれに気付いたのは正午をとっくにまわってそろそろ昼メシを買いにコンビニに行こうかと重い腰を上げようとしたある日のことだ。昼に弁当なんか食うやつは確実にリア充だから、私などはお・・・

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雨の妖精

16/06/10 コメント:0件 水面 光 閲覧数:725

俺がこれから語る話は俺の中ではもちろん嘘じゃない。だが言っとくが、あんたがたがもしそれを信じてどうかなっても、俺は一切の責任をとらないからな。第一人を本当に信用するってのは多かれ少なかれ危険を伴うものじゃねえか。──俺はあのとき雨が降りだしたことに異常に反応している自分の脳ミソに気付いた。そう、雨が降るのは親父が絶対に納骨式に来るなと言っている証拠だった。事実は知らないがしかし、俺がドタキャンした・・・

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蕎麦のち妄想

16/06/10 コメント:0件 水面 光 閲覧数:591

蕎麦は惨めとか哀れの代名詞。できることならそれが私だけのことであってほしい。私がそう思うようになったのは三十路もそろそろ店じまいかという人生の折り返し地点にさしかかったときのことだ。あのときの光景を忘れてなるものかと思いはするが薄れゆく記憶をたどった代償はたいてい虚しさや無常観に支配されるだけのことで、それがもし人の死を受け入れるということであるなら私はあと何度くそいまいましい悪夢を見ねばならない・・・

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