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朽葉ノイズさん

くちはのいず、と言います。 関東のすみっこの方で暮らしています。 ペンギンディスコっていう名義でも活動してます。

出没地
趣味
職業
性別 男性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの記事一覧

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鳩と波止場

17/09/08 コメント:0件 朽葉ノイズ 閲覧数:116

 今、静かな時間が流れている。わたしは波止場のベンチでひとり、プリッツェルを食べている。
 ぎゃーぎゃー騒ぐ人のいない空間。鳩がぽっぽっぽっぽと音を立てて、歩いている。
 わたしに近寄ってきた鳩の目の前で足を蹴ると、ばさばさ、っと鳩胸らしい強靱な音で、その鳩は飛び去っていく。
 ぎゃーぎゃー騒ぐ、なんて言葉にするとネガティブかもしれないけど、悪い意味でも、暗い意味でもなくて。騒ぐ・・・

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無粋な旅の前に

17/07/25 コメント:0件 朽葉ノイズ 閲覧数:140

 近所の書店。猫耳フードのパーカーを着て旅行ガイドの棚で唸っているのはわたしの友達のネコミちゃんだ。
「ふむー。……あ、ラッシー。おはよー」
 そばまで寄ったわたしに気づく。
「おはよー、ネコミちゃん。どーしたの、眉間にしわを寄せて唸っちゃって」
「えっ! わたし、眉間にしわが寄ってる?」
「口なんてへの字に曲がってる」
「ふむー。実はわたし、旅に出ようと思って・・・

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セイレーンは声だけ残る。

17/06/26 コメント:0件 朽葉ノイズ 閲覧数:173

 八月もお盆を過ぎ、クラゲさんが出没する時期になった。海の家で一ヶ月間働くことになっていたわたしと、ネコミちゃんイヌルちゃん姉妹は、客足も減り、一段落ついた気分になっていた。
「ラッシーお姉様、ゲソ焼きでもいかがです?」
 イカの足を火であぶりながら、イヌルちゃんがわたしに今焼いているそれをススめる。
「こら、イヌル! お店のモノを勝手に自分のモノみたいに扱っちゃ駄目でしょ」

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多元宇宙の304号室

17/01/20 コメント:0件 朽葉ノイズ 閲覧数:261

 多元宇宙、という考え方がある。ようするに、宇宙が並列していっぱいあるんである。
 で、神様にとってのこの宇宙は『304号室』と呼ばれていた。まあ、304番目の宇宙なのだろう。
 なんでこんな話をしているかというと、おれが住んでるマンションの304号室を出てみたら、宇宙の外側に来てしまったからだ。
 宇宙に外はあるのか、という問いには、ある、としか言えない。とりあえず、変な空間に・・・

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置き去りの台詞たち

16/11/17 コメント:0件 朽葉ノイズ 閲覧数:508

 ザクロさんが今日も僕に怒鳴る。
「捨てちまえ! 捨てちまえ! こんな台詞、この脚本には必要ない!」
 脚本家見習い。一応僕は劇団付きの脚本家なのだけれど、同じ劇団の先輩、演出家で団長のザクロさんは、いつも僕のつくった渾身の台詞を削らせる。力を入れれば入れるほど、その台詞は削られることになる。
「ザクロさん。僕のボキャブラリはもう枯渇してます……」
「ははっ、弱音かね。新参・・・

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大海原

16/09/08 コメント:0件 朽葉ノイズ 閲覧数:537

 パピルスの昔から、書物は存在する。紙とともに、人類は歩んできた。
「電子書籍、だと?」
 クラスで僕の隣のマルコメくんが怪訝な顔をした。
「うん。電子書籍にしようかと思って。僕の書いたのを」
「ほほぉ。本屋の息子のおれに電子書籍という単語を出したあたり、命の保証はないぞ」
「それくらい大変な事態なの?」
 マルコメくんは、「うーん」と唸った。
「そーでも・・・

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最先端

16/08/31 コメント:0件 朽葉ノイズ 閲覧数:809

 メインストリーム(主流)から弾かれている自分が書く小説に僕は劣等感を抱いていた。
「メリー夏休みマース」
 と言って鼻眼鏡付けて登場した友人に対し、咄嗟に
「祝うなら僕が書いた小説を褒めてくれ」
 と言う僕は、承認欲求の塊なのかもしれない。つーか、なんだよ、メリー夏休みマスって。
「でも、君が書く小説はつまらないよ」
 けろっとした口調で友人の鼻眼鏡は言う。<・・・

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ラストバトル

16/08/30 コメント:0件 朽葉ノイズ 閲覧数:555

 産湯。タライに落ちる自分の身体と泣き声。桜色の肉体。産まれた瞬間。自分が産まれた時のこと。それを僕は覚えている。
 ただ、とある文豪もやはり産まれた瞬間を覚えていたらしく、同じだと恥ずかしいので産まれた瞬間を覚えているという事実を、僕は隠すようにした。
 その時、既に僕の中に隠秘主義の萌芽はあったのかもしれない。
 隠秘主義(オカルティズム)が高じて。

 気づけば・・・

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パワスポ

16/08/10 コメント:0件 朽葉ノイズ 閲覧数:495

「お前、まだこんなところで彷徨っているのですか。馬鹿じゃないですか」
 みっしーがにしし、と笑う。柳の木の下。ここは地元では有名なパワースポットだ。
「ちょっ、みっしー。怖いわよ。冗談やめてよ。いきなり柳の木に声をかけないでよ」
「ん? ああ、そうでした。人間には見えないタイプの幽霊でしたね、こいつ」
 みっしーが誰もいない場所に、指を指す。
「理科。僕が今指を指した・・・

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ふぃねがんず・パピポ

16/08/09 コメント:0件 朽葉ノイズ 閲覧数:485

 パンツを被る。ピーピー鳥が鳴く朝に。プリンを頬張りながら、ペンキで塗りたくったように夜が朝に変わる頃。ポイントは押さえて、パンツを被る。

 ぱぱぱっと作業を始めなくてはならない。ピーポーピーポーと音を立てながらパトカーが来る前に。ぷぷぷっ、笑える、おれが下着泥棒に見えるかね。ぺっと唾を吐き捨てる。

 おれは自分のパンツを取り戻しに来ただけだ。おれの所持する、至高の一品・・・

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プペポ節

16/08/02 コメント:0件 朽葉ノイズ 閲覧数:479

「アンタのつくる曲には、アタック感が足りないのよね〜」
 小指を立てながら、プロデューサーの小島がおれに言った。
「アタック? シンセサイザーの?」
「違う違う。アンタの書く歌詞の話よ」
 小島はいつもの通り女性の口調で言うと、
「次にリリースする曲でダメなら、アンタもおしまいよ。人材なんて腐るほどいるんだしね。あたしも抱えてるミュージシャンはアンタだけじゃないんだし・・・

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僕らはダンスしながら生きている。

16/07/28 コメント:0件 朽葉ノイズ 閲覧数:493

 僕らはダンスをしながら生きている。
 そのダンスは時に苦しいものだったりもするけれど、「生きる喜び」が、ダンスってことなんだと思う。
 僕はそんな持論を持ちながら、予備校の自習室でシャープペンシルの上部をノックしていた。規則正しいノックとともに、シャーペンから芯が少しづつ出てくる。
 ちょうど芥川龍之介の『羅生門』からの出題が出ていて、そこのマークシートを塗りつぶしていた。

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ごはんはおやつ

16/07/17 コメント:0件 朽葉ノイズ 閲覧数:506

 みんなで遠足にでかけたよ!
 わーい、楽しい。楽しいな。
 なにが楽しいって、楽しいことが楽しい。
 農園で苺狩りをするんだー。
 ……とか僕が浮かれていると、モヒカン小学生と巷で話題の同級生・竜田くんが腰をぶりぶりさせながらモデル歩きで僕のところへやってきた。
「よぉ」
 怖い。怖いよモヒカン……。
「や、やぁ」
「お前の母ちゃんがつくる弁当が豪・・・

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牛たん

16/07/06 コメント:0件 朽葉ノイズ 閲覧数:596

ネコミちゃんは今日もわたしの横にいて、難しそうな顔をしている。
「ふむー」
 なんて唸っちゃって。
「なにもこれから旅行に行くって時まで抹茶アイスを食べないでもいいんじゃないかなー」
 髪飾りの猫耳をぴょこんと立てながら、わたしに抗議する。
「えー。いいでしょー、アイス」
「ふ、ふむぅ。確かに私もアイス食べたくなってきたわ」
「食べちゃえばいいのだー」・・・

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ととろ蕎麦

16/06/22 コメント:1件 朽葉ノイズ 閲覧数:510

「にゃぁん。やっぱりお布団が大好き……」
 にゃーちゃんが蕎麦殻の枕を抱きしめながら、お布団の中をゴロゴロする。
 わたしたちは今、修学旅行に来ている。就寝時間はとっくに過ぎていて、わたしたちの班、わたしとにゃーちゃん、らーちゃんの三人で部屋を暗くしておしゃべりしているのだった。
「蕎麦殻……好き?」
 眠そうな声を出しながら、らーちゃんは訊く。
「わったしはだっいす・・・

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雨合羽と引っ越し

16/06/16 コメント:0件 朽葉ノイズ 閲覧数:557

 私は目を開きながら雨を降らす雲を仰いだ。手を伸ばす。太陽が掴めないのはわかるけど、この雨の一粒一粒すらも、この手で掴むことは叶わないのだ。獣ヶ原工業地帯。ここで私は汚れた雨に濡れる。酸性で灰混じりの、黒の。
「お姉ちゃん」
 すっと差し出して、私の頭上に傘をかぶせてくれたのは妹の千春だ。
「雨の日ってどうしてこう、やる気を殺ぐのかしら。ね、お姉ちゃん」
「そうね」
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モノノケ蕎麦

16/06/10 コメント:0件 朽葉ノイズ 閲覧数:625

「あーさーだーよー」
 身体に響く鈍い音が僕の体内で鳴る。思わず吐きそうになって目を見開く。
 うぎゃぁ、と僕が呻くと相手は満足し、僕のベッドから飛び降りた。
「おはよう!」
「……元気いいなぁ、ったく」
「そんな台詞は聞いてない。返す言葉は?」
「お、……おはよう」
「よし!」
 なにがよし、なんだ? 全くこいつはいつも通り朝から元気がいい。

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紫陽花と落書き

16/06/08 コメント:0件 朽葉ノイズ 閲覧数:607

 楽しみにしていた運動会が雨で中止になってしまった。でも、「ついてないな」と思ったのは僕くらいで、クラスの他のみんなは喜んでいた。
 学校に来てから大雨が降ってから中止になって、僕らはホームルームで「今日はもう下校です。帰ってよし」という担任の阿佐ヶ谷の話を聞いて、解散になった。
 教室の窓側の席の僕は、立ち上がらず頬杖をついて、雨粒が地面に叩きつけられるのを眺めている。
 眺め・・・

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