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降壱夜さん

凡人なりの努力を好む趣味執筆家です。知ることは好きですが、忘れっぽく吸収も下手なので、何年経っても執筆力は平行線。でも追いかける楽しさは地平線。

出没地 某駅前のガスト
趣味 新しいゲームアプリをかじってはやめる。
職業 専業主婦
性別 女性
将来の夢 無敵になりたい。
座右の銘 上でもない、下でもない、今の自分ができることをやる。

投稿済みの記事一覧

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犬とおでん

16/11/06 コメント:0件 降壱夜 閲覧数:400


 くたびれた背広がやけに重く感じていた。
 飲み会は年々胃に堪えるようになったけれど、今日も断れずに幹事した。
 だが居酒屋で胃を痛めつけたにもかかわらず、終わった安堵感で腹が鳴った。
 
 手近な店を探せば、暗い住宅街に小さな屋台が。
 湯気にかぶさるのれんにはおでんの文字。
 僕はそっとのれんを押して卓上鍋をのぞきこむ。
 四角いスペースには薄・・・

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トマトが好きな君へ

16/10/28 コメント:0件 降壱夜 閲覧数:350



 俺が大学進学と同時に上京して独り暮らしを始めたのは、ちょうど一ヵ月前のことだ。
 趣味が合うというわけでもないが、飲んで馬鹿騒ぎする仲間だっている。
 どちらかと言えば酒に強くない俺は、後始末のほうが多いもの、二日酔いの世話にも慣れてきた。

 長男気質なせいか、俺はどうも他人の面倒ばかり見る癖があった。
 もともと、兄弟の面倒を見るのが嫌で上京した・・・

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終わる世界のマリオネット

16/10/13 コメント:0件 降壱夜 閲覧数:398



『カットインいける?』
『客電スタンバイ』

 舞台袖から照明スタッフが散った。
 芽衣は促されるまま劇場の黒幕裏に立つ。

 観客は完成された舞台しか知らない。
 だが彼女は間違いなく板付きに支えられていた。
 舞台を構成する全てに愛を感じる芽衣。
 組立てられてゆく舞台の、最後のピースは芽衣だ。

 さあ、歌うた・・・

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雨と泣きごと

16/05/27 コメント:0件 降壱夜 閲覧数:520

 夜でも明るい夏の夕暮れ。ワンカップを片手に、独りで人気の少ない山道を歩く滑稽な私。
 送別会で受け取った花を抱えて歩くのにも飽きて、私は湿気た土にそれを捨て置いた。花には悪いけれど、どうせ私が一緒にいてあげることはできないから。
 平日の、しかも人気のない時間帯を選んで登る理由は単純だった。
 これまでに抱えてきた全てを投げ出す場所に、近所の山中を選んだのは適当で。
 た・・・

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なんでもほしがる王様

16/05/12 コメント:2件 降壱夜 閲覧数:680

 昔々、とある小さな国に、ひどい王様がいました。その王様は、わがままで、たくさん物をもらうのが好きでした。
 王様は、何もくれない人には、いつもお仕置きをします。
 たくさん色んな物をもらっても、満足できなかったからです。
 だから悪いことをしていなくても、何もくれない人には、ひどい事をしました。
 いくらひどい事をしても満足できないのに、何もくれない人には、悲しくて眠れな・・・

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君の匂い

16/04/26 コメント:0件 降壱夜 閲覧数:501

 ある日突然、彼女の香りが変わった。
 服に染み着いた香りをかぎながら、それを何度も確認する。これは違う。僕の好きな彼女の香りではない。
 狂ったような濃い香りに胸焼けがしそうだった。
 そんなに強くしなくても、キミはじゅうぶん良い香りなのに、むしろキミの良さを損ねているくらいだ。そう言いたいけれど、僕はいつも黙って見ているだけ。キミとはもう三年のつきあいになるけれど、相変わらず・・・

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ボクの大好きな色

16/04/14 コメント:2件 降壱夜 閲覧数:642

 ボクの目には、みんながあざやかな色で見える。
 はだの色とか、くちびるの色とか、かみの色とか、そういう色のことじゃなくて、ちょっとしたことでまっ赤になったり、まっ青になったりする。黄色くなったり、やわらかい緑になることもある。

 今日は小学校にあがって、みんなあたらしいクラスがこわくて、たのしみで、若葉色をしていた。
 ふわふわと、ゆれる色はどれもキレイで、ボクはあたら・・・

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かたりべ

16/04/08 コメント:0件 降壱夜 閲覧数:492

「さて、これから皆さんに話しますは、奇妙なる井戸の話!
 なんでも吸い込むその井戸は、腹が空いちゃ、鳥でも桶でも飲みこんだ。
 しかしこれは呪われているわけではない。
 さて皆さん、この井戸の謎が解けますかい?」

 小さな公園にいたのは、古風な語り口の飴屋だった。
 琥珀に輝く蝶の飴細工を手に、軽快な呼び込み。横には、公園に似つかわしい古い井戸がある。
・・・

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お猫様

16/03/28 コメント:0件 降壱夜 閲覧数:528


「おじいちゃん見て見て、おじいちゃんに買ってもらったランドセル初めて使ったよ!」
 みのりは呼び鈴も鳴らさずに隣家にあがりこむ。
 ほんのりカビ臭が漂う日本家屋を、みのりは秘密基地のように思っていた。
「おお、よう似合っとる。初めての小学校は楽しかったか?」
「まだわかんない。でもすっごくドキドキした。友達できるかな…」
「みのりは友達がおらんのか?」
・・・

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水族館ゲーム

16/03/14 コメント:0件 降壱夜 閲覧数:473

 午後六時。平日の放課後という人気の少ない水族館に俺を呼び出したのはキッカだ。
 メインの魚たちが泳ぐ巨大な水槽の前で、俺が手を握ると、彼女は困惑気味に笑う。いつもの甘い顔だが、なんとなく昏い顔。嫌な予感しかしない。
 そんな顔が見たいわけじゃなかった。僕が手を握れば、キッカはいつも恥ずかしさを隠すようにおどけてみせた。だからもっと恥ずかしがることをしてやろうと考えるのが日課だった。け・・・

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