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守谷一郎さん

細々と書いてます。どぞ、よろしくお願いします。

出没地 神奈川の外れ
趣味
職業
性別 男性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの記事一覧

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欠けた恋文、七つの伝説

17/01/23 コメント:0件 守谷一郎 閲覧数:327

恋ヶ峰付属中学校のオンボロ男子寮にはまことしやかに囁かれる七つの都市伝説がある。
一、夜の屋上に女性の幽霊が現れる。
二、向かいの女子寮とは異次元で繋がっている。
三、書きかけの恋文をゴミ箱に捨てると翌朝に完成している。
四、その恋文を本人に渡すと告白は成功する。
五、冬の澄んだ空気の日、窓ガラスに運命の相手が映る。
六、101号室の男子は3年間恋人ができない。・・・

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拾い屋

16/11/19 コメント:0件 守谷一郎 閲覧数:423

 僕は拾い屋。人が吐いて捨てた台詞を集めるのが仕事だ。
 人は掃きだめ業者なんて揶揄するけれど、僕は存外この仕事が気に入っている。
 ここには貝塚のように言葉たちの残骸が積み重ねられていて、僕はひとつずつ拾いながらそれらにどんなエピソードが込められていたのか想像する。

 例えば、前に拾った台詞はよかった。ポケットのなかを探ってソレを取り出してみる。

   『・・・

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唇音退化言語的閉鎖空間『パピプペポ』

16/08/13 コメント:0件 守谷一郎 閲覧数:590

「パピプペポ」について考えなければならない、とアダムは言った。
悩める老若男女のクルーがひしめき合い、言語閉鎖空間「パピプペポ」に閉じ込められている。
「パプピペポ」でもなければ「パペピプポ」でもない。「パピプペポ」だ。
アダムは真剣な面持ちで強調する。
早くも意味不明な言葉の羅列にゲシュタルト崩壊を起こし、耐性のない者が幾人も倒れた。
アダムはしまった、と思った。・・・

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幽霊だとは気づかない

16/08/11 コメント:2件 守谷一郎 閲覧数:592

夜勤をあけて四畳半の狭苦しいアパートに帰ってくると物の配置が換わっていた。というよりも散らかされていた。
最近、いつもだ。
脂ぎった顔を洗おうとして洗面台をみると洗顔料の蓋が空いたままになっている。
仕事に行く前に使う習慣はないし、むしろ朝帰りをしてから何かする気力など湧かない。片付けをしてから家をでるのが常だった。
そうすると、これは何者かに荒らされたと考えるのが自然だろ・・・

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目的地まであと10分

16/05/14 コメント:0件 守谷一郎 閲覧数:733

時計台へ続く長い上り坂の途中、石畳の上で、次の一歩が踏み出せない。
私はもう何度目かの思考を繰り返す。
こうなったのはどうしてか。一体どうするべきなのか。
いくら考えてみても、この状況を打破する時間がいくらも足りない。しかしそれでも、考えずにはいられない。
意味ないことだとわかっていながら、坂の下で偶々寄った時計屋での光景が反芻される。

そうだ、文句を言ってや・・・

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木守

16/05/08 コメント:0件 守谷一郎 閲覧数:571

 祖母の葬式のために、久しぶりに実家に帰ってみると庭先に甘夏の実がちらほらと忘れ形見のように生っていた。
 私は母が弔問客を相手にしているのを横目にすり抜け、縁側でそれをぼぅと見ているうちに随分と昔のことを思い出していた。

 あれは私が小学校にあがってすぐのことだった思う。
 今日の私と同じ場所に座って、祖母は縁側で太陽の優しい光を浴びながらうたた寝をしていた。
 ・・・

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色のない彼女

16/04/16 コメント:2件 守谷一郎 閲覧数:622

「私ね、世界がモノトーンにしか見えないの」
アンナはふっと僕の描いた絵から顔を上げ、栗色の瞳を細めながらそう言った。彼女の言葉は詩的な比喩表現だと思ったけれど、どうやらそうではなかったらしい。
「私の目って、白と黒しかわからないの。昔からね。そういう病気なんだって。だから、絵画って嘘っぽく見えちゃって、ちょっと苦手」
ごめんなさい、悲しそうな顔をしてアンナはたぶんそんなことを言っ・・・

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幸福泥棒

16/04/13 コメント:0件 守谷一郎 閲覧数:557

「黒猫が横切ると不幸になる」というのはつまり、おれが拾うべきはずだった目の前の幸せをそいつがくわえて逃げていくからではないか、と鈴をならしながら我が物顔で道を渡る黒猫を見てそう思った。
上司に怒られ、財布を落とし、愛しの同僚には彼氏がいた。
とにもかくにもこれ以上奪われてはならないと仕事帰りのスーツ姿そのままで、首元を鳴らして挑発してくるそいつの後を追い、迷路みたいな路地裏の隙間へ入っ・・・

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犯人は神様のいうとおり

16/02/07 コメント:0件 守谷一郎 閲覧数:672

 赤と青の導線がある時限爆弾を前にして、どちらを切るべきか迷うことと今の状況は似ている。確率は50%。「犯人はどっちだ?」

 とある夏。山奥の館に10人の客が招待され、豪華絢爛のパーティが催された。いずれも名だたる名家の皆様方。招いた館の主人もこれまた大富豪。山奥、館、パーティ、名家、大富豪。これで事件が起きないわけがない。

 昨夜の余韻を残したテーブルに、朝食の支度を・・・

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シンクロニシ・ティー

16/02/06 コメント:3件 守谷一郎 閲覧数:698

 言葉よりたしかに気持ちを知る術がある。どうやって?間接キスで。

 西日が差し込む教室の隅に座る僕の前には、一本のペットボトルが立っている。中身を黄金色に輝かせ、「宝石みたいだろ」と言わんばかりだ。
「購買部の自販機に90円で売られているお前が何を偉そうに」
 悪友へ軽口を叩くように呟く。
 安っぽい緑色のラベルに堂々とした筆文字で「お茶」と印字された変哲も工夫もな・・・

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フィクションを好まない君へ

16/01/10 コメント:4件 守谷一郎 閲覧数:777

グッド・バイ株式会社 代表取締役 城之崎直哉 様

 前略
 やあ、直哉君。この前はモニターとしてご招待頂きありがとう。君が開発したVRシステム『Φ(ファイ)』はなかなかに画期的な発明だった。物語に没入するとはまさにこのことを言うのだね。まさか生きている間に、自分が小説の登場人物になれるなんて夢にも思ってなかったよ。
 それもミステリやファンタジーじゃなくて、近現代の純文学・・・

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クリスマス・ラビリンス

15/12/23 コメント:6件 守谷一郎 閲覧数:896

クリスマスという名の迷宮に一人ふらふらとさ迷い込んだ俺は、さながらマッチ売りの少女のごとく街中で「愛は、愛はいりませんか?」と悲痛な叫びを心のうちで上げていた。

モミの木の下、俺は寒さに凍えながら彼女を待つ。恋を失うことが「失恋」だというのなら、俺はまだ失恋なんぞしていない。諦めるのはまだ早い。ただやんわりと振られただけだ。自ら捨てない限り、恋はその胸の内にある。そうやって自分を鼓舞・・・

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兵士と吟遊詩人

15/12/13 コメント:3件 守谷一郎 閲覧数:1196

女王の前で跪き、ガタガタと震える一匹の兵士の姿がある。
女王に問い詰められた彼はようやく重い口を開き、贖罪の弁をトウトウと述べ始めた。
「――自由に生きるその姿に憧れてしまったのです」

夏のある日のことでした。いつもの仕事場にいたとき、頭上から楽しげな音楽が聞こえるのに気がつきました。見上げると、何やら私どもとは勝手が違う者の姿があります。
その者は山のように大きな・・・

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『反逆者』

15/12/08 コメント:2件 守谷一郎 閲覧数:772

 復讐してやる。上から目線で『私』を決め付ける、『私』を作った「神様」に。ついでに、それを横から良い気に眺めているお気楽な奴らを道連れにして。ああ、貴方たちが嫌い、きらい、キライキライキライ。
 こんなに必死になる想いもヤツによって生み出されているのかと思うと反吐がでる。ヤツは『私』に名前もくれない代わりに、こんな気持ちだけを綴っていく。
 『私』にそう言わせて何が楽しいのかもわからな・・・

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大海を翔べ!

15/12/06 コメント:0件 守谷一郎 閲覧数:770

大海原に映るひとつの影がある。白い波が波に食われ、太陽に照らされた海面が何層にも歪む青を眩しく乱反射するなか、その影はブレることなく、一直線に時速180kmのスピードで南に進む。
空は快晴、雲もない。上空には一羽の若い大鷲がその優美な翼に風を受け、悠然と飛んでいる。何物にも邪魔をされず、大空を駆け抜けるその姿は自由そのものだ。
大鷲はその時ただ飛ぶことしか考えていなかった。少しでも早く・・・

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薄い青は慎重の象徴

15/11/21 コメント:0件 守谷一郎 閲覧数:702

 彼女と知り合ったのはつい最近のことだ。もっとも僕の方は彼女のことを随分と前から知っていた。
 大学3回生の春、僕は彼女と同じゼミに所属することになった。偶然にも。少なくとも彼女はそう思っているはずだ。
 彼女は学部内でもなかなかの有名人だった。11月25日生まれ。神奈川県出身の、黒髪ロングに、いつもおでこをだしている女の子。Bカップで薄い青の下着がお気に入り。しかし、最近そのパンツを・・・

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機械仕掛けのヒトたち

15/11/14 コメント:6件 守谷一郎 閲覧数:866

 犬型ロボットや昆虫ロボットは元より、人間そっくりのヒューマノイドが一般的に受け入れられ、流通される時代が来た。
 彼らが一度街を闊歩し始めると、人間であるかどうかの区別はつかない。道行く人が人かどうか。あまりにもヒューマノイドが一般的なりすぎたので、いちいち通り過ぎるソレらに対して、そんなことにも悩まなくなった時代。
 かつて「不気味の谷」と呼ばれる現象があった。あまりに人間に近づき・・・

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キャプテン・ジョーの冒険譚

15/11/07 コメント:0件 守谷一郎 閲覧数:765

狭い洞窟内で2人の男の声が響く。
「キャプテン・ジョー、本当に今度の今度こそ、お宝は眠っているのか?」
グリフは尋ねる。
「ああ、何度も言わせるな!僕が一度でも嘘をついていたことがあるか?ないだろう?間違いなく、ソレはこの奥に眠ってる!」
キャプテン・ジョーは後ろを振り返らず、意気揚々と先に進んでいく。
「ああ、たしかにキャプテンの言うとおり、俺たちの行く末にはいつも・・・

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