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黒谷丹鵺さん

いろいろなところで細々と書いております。

出没地 comicoノベル、カクヨム、エブリスタ
趣味
職業
性別 女性
将来の夢 謎の覆面作家
座右の銘

投稿済みの記事一覧

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幽体離脱体験

17/12/03 コメント:0件 黒谷丹鵺 閲覧数:119




「慣れれば簡単だよ」

 先輩の説明は丁寧だった。

 学祭でオカルト研究会のブースに立ち寄ったのは冷やかしだったが「幽体離脱体験コーナー」は面白かった。

「目をとじて……力を抜いて」

 簡易ベッドに横になり、先輩の指示通りに手順を踏んでいくと、ふわっと浮くような感覚があって、目は閉じているのに天上が見えた。
 スー・・・

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自動音声案内

17/12/03 コメント:2件 黒谷丹鵺 閲覧数:150

 大きな仕事が一段落したところで休暇を取った。
 ちょうど車を買い換えたばかりということもあり、足慣らしも兼ねて一人旅に出かけることにした。
 この新しい相棒は、キーを差し込まなくともスイッチひとつでエンジンがかかるタイプの新車だ。ナビゲーションシステムのおかげで、知らない道でも迷う心配はない。急カーブや踏切の存在も手前で知らせてくれて頼もしい。
「300メートル先、右折専用レー・・・

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いつもの部屋

17/01/30 コメント:2件 黒谷丹鵺 閲覧数:1330

またこの部屋か――男は上着を脱いでベッドに腰かけた。
この街に出張する時の定宿は、駅から徒歩5分の小さなホテルだ。
初めて泊まった時から、男はなぜか決まって304号室に通される。チェックインが早くても遅くてもいつも同じ部屋を用意される。
ごく普通のシングルルームで、窓からは向かいのホテルが見える。
あちらは大手チェーン系列のホテルで、サービスなども行き届いているのだろうが、・・・

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おとうとの彼女

16/12/16 コメント:3件 黒谷丹鵺 閲覧数:1000

「ナマイキだ!」
 あたしは白い息を吐き散らしながら坂道をのぼっていた。
「今日は彼女とデートだから遅くなる? ふざけんな!」
 まだ柔らかい雪をドスドス踏みつけて進む。ショートブーツの上から雪が入って踝のあたりが濡れているけれど、そんなことはどうでもいい。冷たさも感じない。
「家族を大切にしろっての!」
 文句を言いながら勢いよく踏み出した足がツルンと滑り、あたしは・・・

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私と地下鉄つくって下さい!

16/10/25 コメント:0件 黒谷丹鵺 閲覧数:629

はじめに……

この物語はある企画で「あずみの白馬さん」にプロットをお借りして書いたフィクションです。
作中に登場する人物・団体・名称等は創作上のものであり、実在のものとは一切関係ありませんのでご了承下さいませ。

……よろしくおねがいします。



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『私と地下鉄つくって下さ・・・

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本の神様コンシェルジュ

16/09/25 コメント:4件 黒谷丹鵺 閲覧数:1127

親父が死んで、俺は数年ぶりに故郷の土を踏んだ。
寂れた田舎町の駅前商店街で本屋を営んでいた親父は、遅い帰りを案じたお袋が様子を見に行った時、脚立と沢山の本に埋もれるように倒れていたという。
急性心不全だから本の下敷きになったわけではないが、その死に様は無類の本好きである親父らしいと思った。
俺が到着した時、早くも親父の長年の友人達が集まって葬儀の相談をしていた。
「てっちゃ・・・

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ナリヒラの夢

16/09/05 コメント:8件 黒谷丹鵺 閲覧数:1847

他人は僕の容姿をうらやむ。
僕の出自をうらやむ。
歌の才をうらやむ。
帝のおぼえめでたきこともうらやむ。

しかしながら僕は僕自身の汚らわしさを厭うていた。

欲望のままに僕を愚弄するもう一人の僕。
心にもない甘い言葉を紡いで女房や姫君を口説き、身も心も根こそぎ喰らい尽くして屍のようにしてしまう。
そのあいだ、僕は閉じこめられて震えながら僕の所・・・

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甘い記憶の消滅と裏切るリアル

16/08/25 コメント:4件 黒谷丹鵺 閲覧数:863

歳の差が縮まることは決してない。
そんなことは最初からわかりきっていた。
私は彼女から目をそらし、今夜ここに来たことを後悔した。

大学時代にバイトした画廊の女主人は、品の良い未亡人だった。
彼女はほっそりと美しく、優雅な物腰とやさしい口調に好意を抱いたが、惹きつけられていたのは私だけではなかった。
下心を隠して近寄る者、あからさまに誘う者、それとなくチャンスを・・・

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慈悲深き満月の下で

16/08/07 コメント:2件 黒谷丹鵺 閲覧数:3245

メリッサは塔で暮らしている。
明るいうちは一番てっぺんの部屋にしかない窓から外を見て過ごし、夜は壊れかけた古いベッドで眠るだけの日々が、もうどれだけ続いていることだろう。
食事を運んでくるのは老いて耳が遠くなった下女で、固くなったパンと味の薄いスープばかりである。聖なる書物の適当なページを読んで祈ってから食べるのが習慣だった。
あまりにも長い間そうしてきたせいか、メリッサに不満は・・・

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横取りされるぐらいなら……

16/08/06 コメント:7件 黒谷丹鵺 閲覧数:1118

すぐうしろにいることはわかっていた。

――絶対にふりむいてはいけない。

美弥子の言葉を思い出し、私はうしろを見ないように気をつけて出窓を離れた。
もらった粗塩はキッチンのシンク下に仕舞ってある。

落ち着かなきゃ。

体の奥から恐怖が、尽きぬ泉のように湧きだしてくる。

ふらついて床に手をつき、立とうとしたが膝に力が入らなかった・・・

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甘夏の思い出

16/05/07 コメント:4件 黒谷丹鵺 閲覧数:977



「にゃああん」
 一声そう鳴いて、僕の手の中できみは儚くなった。
 呼吸を止めた小さな体に顔をうずめて、僕はどれだけ泣いたことか。
 この悲しみを忘れることは一生ないと思った。


「猫って柑橘系だめなんだよね?」
 三重の祖母から毎年送られてくる甘夏を手に取りながら、姉はふと思い出したように言った。
「毒なの?」
 僕は拾った・・・

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アクアリウム奇譚

16/04/12 コメント:0件 黒谷丹鵺 閲覧数:849

「もう逢えないかもしれない」
 セイラの口からこぼれる言葉に、アマネは深い海の底に沈んでいくような感覚をおぼえた。
 期末テスト明けの週末、久しぶりのデートに選んだ場所は水族館。
 なんとなく沈みがちなセイラの様子に、テストの出来が思わしくなかったのかなどとのん気に考えていたアマネは、人気のない深海魚の水槽の前でいきなり別れを告げられたのだった。
「お父さんに、ママのところ・・・

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