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むねすけさん

ブログで創作をやっていましたが、誰にも相手にしてもらえないため、こちらに辿り着きました。 面白い物語、少しほっとしてもらえるようなお話を書きたいと思っています。

出没地 近所の駅前周辺。
趣味 音楽、ラジオ、お笑い、インドアな趣味ばかり。 自炊程度に料理もします。
職業
性別 男性
将来の夢 作家になりたいですが、 それが無理でも、何かの原案家とか、 自分の考えた物語が世に出ること。
座右の銘 我思う、故に我在り。

投稿済みの記事一覧

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自動販売機に閉じ込められた正義

17/05/04 コメント:6件 むねすけ 閲覧数:261

 弱きを助け、強気を挫く。刑事長、村田清、部下、塚本、新人刑事、吉川。三人の刑事たちは事件の犯人を逃がさない。村田はオールドスタイルのトレンチコートにハンチング。塚本はブランド物のスーツをタイトに着こなし、新人吉川はジーパンにUNIQLOのネルシャツをだらしなく着崩している。
 事件は未明。町一番の早起きがコケコッコにジャスト八分勝って目覚めるよりも、一時間前の出来事。
「ケチな痴漢で・・・

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思い出したらチーズケーキと息子の言葉

17/04/30 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:162

 親友のおせっかいに思いをはせてみる。
 山崎君のうちで映画バタリアンを見て泣いた小雨の春に、ゆっこは私に言った。
 私たち、親友だよね。
 私たち、親友だよね。
 繰り返してあげることができなかったゆっこへの言葉。ゆっこは往復待ちでぼんやり間を見つめていたっけ?
 あれが小学校の四年生。心の友って書いて、しんゆうって読むんだよって勘違いしてたのはきっと、ジャイアンの・・・

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牛のお乳とお砂糖と、なにかの卵

17/04/29 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:254

 娘が高熱にうなされてかわいそうで、私はおでこを氷淡水ペンギンのお腹に限界までくっつけに行く。氷淡水ペンギンは村南の泉に群れで住んでいる。人間の体温を嫌うこたちだが事情を話すと、そこは同じ子を持つ母親同士、わかってくれるのがいてお腹をお借りした。すべらかでなにものよりも白いお腹は氷おでこを作るのにに最適。おでこの感覚が無くなって代わりに原始の氷河にも存在していたはずのかつての私の記憶が流れ込んでく・・・

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初めての電車

17/04/10 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:132

 お腹の中にも、最近ようやく少し膨らんできたおっぱいの下にも、パンパンにつまっている言葉にしたい思いが父さんの顔を見ると出てこない。
 それは多分、私が自分と父さんの間に見えないガラスのついたてを作ってしまってるからだ。私の言葉でそのついたてはグシャグシャに砕け飛んで、私と父さんにいつまでも治らない切り傷を作るに違いない。だから、私は何も言えないんだ。私は膨らみきってもう吐き出さないと自分が・・・

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空砲より実弾に撃ち抜かれるということ

17/04/09 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:256

 馬鹿に付き合うと馬鹿な目に合うから、馬鹿とは付き合うなと、父さんに言われて育ったのに。
 教訓というものを、耳の奥まで届けたいのなら、自身の途上も道行きも誠実に舗装すべきで。
 それができていない人間に、人の耳の奥まで届く教訓めいた言葉など装填されることもない。
 父さんの言葉は、いつも空砲。空砲で撃ち抜かれることに慣れてしまった息子の僕は、言葉の実弾に打たれ弱い腑抜けになって・・・

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twitterリレー小説、「浦島太郎」

17/04/05 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:200

 時空モノガタリ、テーマ「浦島太郎」のアイデア出しで行き詰った僕は学芸員の彼女に助けを求める。恐竜の説明ばかりしていないで、僕の小説執筆を助けてくれないか。twitterでリレー小説をやりたいんだ。前後に書き足したいから全部で十一回。僕が始めて僕で終わる。ハッシュタグに浦島リレーと付けること。
 彼女は「賞金五千円もらったって言ってたアレ?賞金全部くれるならいいわよ」と、了承してくれた。全部・・・

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コードネームではありません

17/04/01 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:170

 2220年、地球は人類滅亡の危機に陥っていた。終焉の始まりは一匹の鳩だった。皮肉なことだ。平和の象徴たる鳩。オリンピックの開会式で空に放たれるあの鳥が、人類を滅ぼすことになるとは。
 一匹の鳩から突然変異的に生じたとしか判然としない謎のウィルスは空気を伝いなぜか人間だけに感染し、寿命を奪い去った。感染してからその個体に残されていた余命の丁度百分の一の日数で死に至る。研究によってそこまでつき・・・

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口割れ女、ご本人登場

17/03/13 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:257

 街の子供たちが集められてお祭りの人間タワーの練習。
 終わって夜。集会所の中で、ひげじいが子供たちに街の七不思議を聞かせてくれました。ろうそくの火がゆらゆら揺れて壁の影はまるで別の意思を持った生き物のように動いていました。
「最後のあれ、ひげじいの髭燃えちゃったの、あれはわざとらしかったよね」
「七不思議って言って、八個あったぞ」
「チョコもう全部食べちゃった?」
・・・

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影卵

17/03/13 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:235

 内と外では景色が違う。
 一歩目は二歩目のロイター板になって、あの日跳んだ跳び箱八段が眼下で悔し涙だ。
 三歩目で内と外を区切る透明なバリアにねじ込んだ鼻っ面が摩擦熱でチリチリ焦げる。
 ようやく四歩目に恐怖していた内側から外を眺めてリラックス。
 生きるための術、として俺が必携にしていることの一個。
 金田君は怖いものなんてないんでしょう?と、たまに言われる。けど・・・

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失敗は成功のママ

17/03/11 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:274

 風の向きを決めるのは僕じゃないとまず断っておいてからこのお話を語る。
 命のろうそくに向かい風が吹いていたことに気が付くのは、起こってしまってからなので、僕のせいじゃない。

 ユウヤにとっての失敗はゲームのスタート。ママ髭危機一髪のスタート。
 ママのドッカーン、大爆発でいつもユウヤの失敗は成功になる。
 七歳四か月前のおねしょも、本当の理由は恐ろしい夢を見たせい・・・

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無人の自転車はアマリモノ

17/02/27 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:234

 深夜二時過ぎ、月のない夜を選んで僕は自転車散歩。
 公園の柑橘は夜目に眩しいけど、あれは柚子なんだろうかみかんなんだろうか、いつか近づいて見ないと判然としないままだね。
 ジャングルジムの錆びは知っててほくそえんでいるだろうか。
 綺麗になった駅前は歩道が広くなって、野良の黒猫は居心地が悪そうに見えた。ウィンクしてやると、ちゃんとウィンクを返したよ。
 深夜に明るいのはコ・・・

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新宿二丁目のママみたい

17/02/13 コメント:2件 むねすけ 閲覧数:356

 カラオケBOX「ロバの耳」に四人の幸せな家族がやってくる。今日は東京の大学に通う長男も久方男前ぶら下げて家族に合流。千葉県在住の家族の絆は餅巾着のかんぴょうぐらいに固くほどけない。もしも、おでん中の餅巾着のかんぴょうをほどけるという人がいたら見せて欲しい。その動画を持って一緒にひと稼ぎしましょう。
 長男が東京の大学に通うために家族から離れて、初めての年末。堤下家恒例の忘年会がニギニギしく・・・

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304号室は死産0

17/01/31 コメント:12件 むねすけ 閲覧数:674

 宿題が出た。
 作文の宿題。
 お仕事インタビューだって。
 大人にお仕事の内容について質問して来るんだってさ。
 答えがひとつじゃない宿題は、センスで順位が決まるから僕は好きだ。
 僕の父さんはビールメーカーの宣伝マン。
 僕の母さんは薬局の店員さん。
 つまんない。センスゼロだ。
 こんな時は変わりものの親戚に頼るに限る。
 僕の伯母さん・・・

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局所フリーマンション304号室に夢はあるか

17/01/30 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:254

 時代を残した薄暗いアパートは、埋められていく青すぎる空を、整列するマンションにのさばられて日照権の主張も倦怠な日常に呑まれていく。こんな時代に残った粘り腰のアパートメント、世情の寒風にもうっちゃりの一手で居残り。
 そんなアパートには少々奇妙な人間が流されて来るようで、一室に三人の男が望まない同棲生活を送っている。「階段上るの面倒だろ」の言葉と、「いや不用心だろそれは、二階があるならそっち・・・

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やさしさカフェと純喫茶やさしさ

17/01/16 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:231

 母さんの帰って来いメールをあまりに上手に受け流すので、いつからか母は僕のことを内匠頭と呼ぶようになった。僕の名前の拓海と巧みなメールさばきをかけてのことらしい。まぁ、メール上だけのことだろうと黙殺しておいたのだけど、まさか対面でもそれで呼ぶとは。いつになってもわからない人だ。
「内匠頭、あんたかねそんなとこにお金ばら撒いて」
 三年ぶりの実家、タオル入れの上のチェストに普遍的に積もっ・・・

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後五分で先生が来ちゃう

17/01/02 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:223

 集団の頭は全体の先頭であり、一番の高数値を叩きだして後列を優しい目で見るだけ。

「どうすんだよ。モロコシヘッド後五分で来ちゃうよ」
 冨士ケ丘第三小学校6年4組の頭、藤林省吾が先頭で舵を切る。どうすんだ、と言いながらすでにして彼には明確な定めた着地地点があったのだが、とりあえず全体を騒がせてからの方が、言う価値が重くなると思ってのこと。
「そうだよ。どうすんの?五分だぞ・・・

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泥棒サンタ

16/12/19 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:260

 しめしめ、このうちはいつも車があるのに今日は無いっと。これは子供だけ留守番で親はイヴの夜ぐらいしっぽりだな。居たとしても子守のグランパグランマ今はっと、もう二時だ。夢の中で羊と遊んでるころだろう。いやいや今夜ぐらいはトナカイかね。
 男は泥棒。四十過ぎて一度も女性とのロマンチックなクリスマスの夜を過ごしたこともなく、ひねくれてイヴの夜に泥棒業に精を出しちゃうタイプです。
 今夜も三軒・・・

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クリスマスにはお人形と話そう

16/12/19 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:209

 父さんも母さんもやさしい兄ちゃんも、やさし過ぎて冷たい。とっても残酷。
 私のこと、壊れた私のこと、壊れてないように見るん。
 普通じゃもうない私、普通なように見るん。
「聡美、今日のサスペンス角替さん出てるから面白そうよ」
「はぁい、当たりやねぇ」
 それより母さん、私壊れた眼鏡、セロテープで固定してるけど。
「みーちゃん、ほらこれ、イチゴ大福こーて来た」<・・・

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メープルシロップは雪の上で

16/12/05 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:289

 男と女は雪の上で出会った。
 男は絵描き志望のメープルシロップ屋の三男で、女は何者でもなかった。

 男は家業を手伝うこともせず、両親、兄と兄嫁、そしてメープルシロップの甘さにぶら下がって毎日をイーゼルの上で過ごした。
 日々は落下であり、男は筆だけで落下に抗って、それでも時計の秒針も砂時計の砂もいっかなゆっくりになってくれずに。
 絵を描いている時だけ、男には何も・・・

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捨て台詞は拾っちゃダメ

16/11/21 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:280

 美味しいと思ったことなかった
 美味しいと思ったことなかった
 美味しいと思ったことなかった

 これまでついぞ、「おはよー」の一言すらマスターしなかったオカメインコの太郎が繰り返す言葉。不良彼氏の単車のケツに乗っかって久美が去っていったあの夜。
 俺が男手で毎日お前のために料理を、とお涙頂戴で一件落着、お父さん私が間違ってたわで、飛びつかれるはずの胸は今もエンプテ・・・

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明日へのマーチ

16/11/21 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:259

 ぬく太の振り向き方は格好がいい。ベビーベッドの位置のせいらしい。本人、幼稚園の年長さんは毎日ブランコの二人乗りと給食のほうれん草の上手な隠し方で頭がパンパンのくせして、時折女子大生の私を打ち負かすほどの理路整然たる回答をくれる。
「左っ側は壁だったから、そっち向きたくないんだと思う」
 ぬく太、と呼ぶと呼んだ人間がアイツの左側面に立っていようと右振り向きの余韻のエネルギーで振り向くの・・・

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平和な走行

16/11/07 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:267

 タクシーがメーターを止めて走りだした。法定速度を誤差の範囲内でオーバーしている。理知的犯人像。目的地の駅からはどんどんと離れていく。平和だった日常にひび割れが生じ、途端にバックミラーにぶら下げられた無垢なキューピー人形の笑顔も怖くなる。五秒以上目を合わせるな、ニヤリとするかもよ。と心の私が言う。
 あ、あのう、駅過ぎてますけど、の言葉がもうとっくに装填済みなのにヒキガネが見当たらない。

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ゆめみず、発注「平和」

16/11/07 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:286

 泡の個数は一定で、プールの水面をプクプクと。
 監視役のサエコはデッキチェアに水着で時折タップを踏む真似。
 プールの中では夢水の潜夫、ヒイチとミズキが夢を誘発中。
 五分に一度、ムクーーっと上がってきては「ぷあああああああ」っと壊れた金管楽器のような音で息を継いでまた潜っていく。
 監視役にこれといった資格も能力も必要ないが、一つ挙げるなら、このホラー極まりない声にビビ・・・

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見込まれた男

16/10/24 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:299

 昭和の伝説的人気漫才コンビ、秋風茄子太・芋太の秋風茄子太には現在、一人の新入りの弟子がいる。御年七十八にして、二十歳の弟子をとったと話題になった。弟子につけた芸名は彼のそれまでの弟子たちの名前とは趣を異にする。
「秋風ありた?なんでまた」と、その名を聞いたものは誰もが尋ねる。
「なんでもね、彼の手の肌触りがね、まるで有田焼のそれだなってんで、秋風ありただそうで」と、説明を受けた芸能通・・・

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お笑い同好会入部の顛末

16/10/24 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:292

 美和子が桃丘女子高等学校普通科に入学して二週間。入学祝に伯父さんからもらったデパート商品券二万円も使いきった頃。先日体育館での部活動発表会も終わり、登校時のかしましい勧誘合戦もそろそろ落ち着いてきていた。
「さあってそろそろかしらね」
 美和子はスカートに一本の安全ピンを付けている。裾の長さを調節するためではない、自分にとっての大事な瞬間に痛みを混ぜて記憶するためである。今日、入部が・・・

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カネゴンの貯金箱

16/10/10 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:452

 時間を司る神様クロノスが今どこに隠れているか、とうとう私に情報が入った。やった、やった。それも私以外にまだ誰にも知れていない情報だという。日頃からパチンコの景品交換屋として便宜を計ってあげたおかげだ。情けは人のためならずってね、帰ってきたよ情け、利子で太ってお利口さんにも帰る家を間違えもせず。
 クロノスはドスケベだ、いつでも女の胸の中にいる。飛び出させるのは容易。隠れた女の胸の水を沸騰さ・・・

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二個目の氷砂糖は味がない

16/10/10 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:310

 映画は覚醒状態で見られる夢だと言う人がいましてね、それならと思いつきました。人間誰しもあの時の失敗をやり直せたらと考えるものです。しかし人間が想像できることは全て実現できるとはいきません。いえ、いくかいかないか未来は果てないものですので、断言することは恥を被らないために避けることにしますが、しかし、どうやら私たちの声のあるうちにタイムマシーンなる時空遊泳のおもちゃはできそうもないですからね。

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本屋さんの思い出

16/09/26 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:353

 思い出をそのまま脚色なしで書くことは過去の自分を俯瞰することであるので、中空に浮遊する自身の五体が重力という名の約束を食いちぎるようで、心地いいのです。
 本屋さんにまつわる僕の中の思い出を、字数制限の許します限り書き連ねてまいりたいと思います。
 まずは小学生の頃、あれは確か四年生、親戚の誰かから図書券をもらった僕は、「これで何か本を書いに行こう」と、二歳年上の兄を誘って二人、陽気・・・

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裏切り者のレーシック

16/09/12 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:486

「この裏切り者ーーーーーーー」
「ふぇああ?」
 頑ななはずの世界がファンタジーに切り替わるならもっと、変身ベルトを拾うとか石炭を握ってダイヤにするとか、そんなんがよかったのに。僕のファンタジー世界への入り口は眼鏡との会話だったなんて、映画のネタにもなりそうもない。
「二十二年も世話になっておきながらー」
 聞こえないはずの声が眼鏡の奴だと気づいたのは、そのタイミングのせい・・・

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暴力バカが理を聞く時

16/08/30 コメント:2件 むねすけ 閲覧数:650

討論が行われたが、
時間をかけた討論も、
結果は、
一人の男の暴力によって、
結果が覆される。

窓から生ぬるい風が吹き込む真夏の六畳間、
お茶も出されず、
蒸し風呂の部屋で、
幽霊はいるかいないか、
の討論。

結果、主催者の男を残して、
いない派が理論で優勢だったが、
夕刻に部屋が染まり、
お開きの時間が・・・

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バックミラーがデビュー戦

16/08/30 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:466

「バックミラー?」
薄暗い曇天、
小雨が眼鏡人だけに感づかれる分量で降っている夕方。
市民病院のタクシー乗り場は閑散としている。
お母さんと男の子。
「今日はバスで帰るのよ!!」
と、駆けてる子の背中に倹約の矢を刺すのだけど、
男の子はまだ六歳でバスとタクシーの区別が不完全。
開かれてしまったタクシーのドアにバツの悪そうなお母さん。

「・・・

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SLEEP WALKER

16/08/30 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:410

お払い箱ってなどんな箱かい、そいつは恐らく棺桶によく似た匂いがするだろうね。
生きてるうちは葬儀屋の下働きが冗談にも入りたがらない。
親方に命じられてのそのそのようやくだろうさ。
で下働きは思うんだろう、早いとこ偉くなりたいもんだと。
中から開けることのできない箱に放りこまれることが、
自力で這い出られない箱に入れられることが、どれだけの苦痛かなんて、
ぶち込む・・・

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たかだか一個のプリン

16/08/15 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:337

「おとーさんパピプペポ取って!!」
朝の目まぐるしい時間に、娘が面倒なことを言いだした。

新聞の四コマ漫画は怠惰が許されて休載中。
私は今日も出社で、娘は今日も部活動だ。

「ねぇ、お父さんってば」

さぁ、何を取ればいいのだ。
母さんは二年前に病気で先にいってしまった。
なぁ娘よ、一人の親をあんまり、
と、
思ったところで・・・

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シーン181夜の懺悔室

16/08/15 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:334

ゴルフ場の芝のように美しく整然としている。
墓標の石板はそれそれは白く、刻まれた文字も一部の隙もない。
人は亡くなると、こんなにも無機質に閉じ込められてしまうのかと、
死ぬことが嫌になる点で、アメリカのお墓というのは効果がある。

せっかく仕事でアメリカ赴任になった僕は、
夜の教会を目指す。
夜の中で見えないだけで、きっと黒猫は石板を縫ってエロイムエッサイ・・・

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通過儀式の夜

16/08/01 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:350

年齢はバラバラ。
行われるのは年に一度、参加資格はその年に18以上になる男。
なので勿論大半が17才と18才の少年たち。
開催される日は一年で一番暑い夏の大暑の日。
湿気と魍魎の吐息が混じった肌のべたつく夜の入り口に、
集められた僕らはトンネルの奥を目指して歩いていくんだ。
そのトンネルは単純に行き止まりになっているから、奥の奥では光が届かずホントの暗闇になる、・・・

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見えない悪魔の大好物

16/07/18 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:366

見えない悪魔の好物は、
クラスのマドンナの手作りのお弁当。
見えない悪魔は今夜、
病室のばあちゃんを極楽の新入生に歓待の予定だろうから、
僕は正義の泥棒になる。

この場合の正義の旗の下にはお線香の香りがするけれど、
血にまみれた正義の旗よりよっぽど安心設計さ。

僕のクラスにマドンナはいない、
隣のクラスの武中樹里亜、クォーターでおばあ・・・

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屋上でお弁当を食べる

16/07/18 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:335

屋上のフェンスを越えてみる。
ガチャグチャと鳴る音は空に溶けかけて半分ぐらい聞こえる。
上履きの色は学年で統一の先端だけ濃い青。
濃い青は三年生の色。
フェンスのダイヤ型のフレームに突っ込んで腕の筋肉でヒョイっと
着地は決めておいたように大袈裟にしゃがみ込むように、
伸ばしておいたよかった髪の毛で照れくさい表情は隠れる。
腰のベルトに結びつけたお弁当のバン・・・

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食べたものには生まれ変わらない

16/07/04 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:395

夜の公民館、施錠係のシルバー派遣ばあちゃん。
剣呑になってしまった、平成の世の中で、
社会の善玉としての丸みを、縁側で座布団に沈めるばかりが脳じゃない。

集会、密会、悪なる組織、よからぬハカリゴトのお楽しみ、
その場所を提供するお小遣い稼ぎを思いついて、実行している。
施錠一回でもらえる数百円にプラスの一時間二千円の場所代。
第二会議室なら、明かりをつけ・・・

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妹は蕎麦を食べたか

16/07/04 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:359

「部屋に蕎麦はありませんでしたよ」
と、僕の問いに応えてくれたのは、マルボロメンソール。
「だったら帰りにうどんでも」
と誘ってみてもツレナイ、マルボロメンソールとUCCのコーヒー飲料はタッグを組んで、
「蕎麦じゃないならいい」
と、きたものだ。
怪異譚というのは、相場として蕎麦から始まるものだ。
うどんから始まる怪異なんて、耳の奥にも在庫がない。
・・・

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耳の仇討ち

16/06/20 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:431

雨降る夜に月は半月。
月の甘やかな光に照らされて、
堀の川面に影落とす柳が、
今生の手下に一匹の魚を追う時分時。

夕餉を済ませた侍が一人、
手酌の晩酌あおり終えてごろ寝の板間。

目の端で格子の隙間より、雨の落ちるを見つめていた。

「雨は命の牢獄か」

思い起こすは亡くした妻との時間のことばかり。

天に溢れし・・・

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屋上警備太一

16/06/20 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:454

「屋上警備隊、番号!イチ!」
ニ、サン、
聴こえないな。
「二番三番はどーした?」
比較的多忙な仏教僧が昼の公園のベンチでランチパックを食べる様子を、
デジタル一眼で撮影すること、そっちを優先する?
なんだそれは、それは、
ルビも注釈もない古い時代の小説のように、傾けても意味をくみ取れないモノイイは。
もういい、隊長一人でゆけとゆー、上からの伝令だ、・・・

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君の瞳のその外へ

16/06/06 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:404

旅に出るって、どういうことなの?
ここがあなたの場所だって、あなた言ったじゃない。

確かにそうだったんだ、
僕は誰かに綺麗に見てもらいたかった。
僕が鏡の中に見る姿、みんなが僕を見る、醜くて愚かな姿ではなく。

僕が目を閉じて思う、僕の綺麗な姿で、見て欲しかった。
そして、君は僕のことを僕の望む姿で見てくれた。
だから僕は、
君の瞳の外・・・

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ミズヒの旅が始まる

16/06/06 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:412

世捨て人の星読み、遠目の視力ばかりが発達していた反目に、近いの厚みを覗き見る努力を怠ってしまった。
見えない人間たちを忌み、遠ざけ、避けて避けて、
人のない島に辿り着く。
いけないことにこの星読み、孫娘をサラッて舟に乗せたのだ。
波で揺れる小舟の中で無垢な寝息をたてる乳飲み子に、
星読みは背中で何を感じることもなかった。
ただ、波が追いかけてくる俗世の汚れた手と・・・

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キャラハン刑事が言っていた

16/05/23 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:417

「古本屋ってどこのお店も暗いよね、なんでだろ?」
「でかい本棚の群れが邪魔で陽がささないからだよ」
「あぁあぁ、なるほど、暗いのいいよね、暗い方が顔のアラが目立たなくっていいよな
キャラハン刑事が言ってたわ」
「何作目だったかな?」
「知りません」
「なんだよ」

大学前駅のほど近く、ケンケンパで辿り着く距離。
春になると一人暮らしを始める大人・・・

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茨の道に一個の甘夏

16/05/22 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:449

母のおんぶで見る月は、
追いかけてきても安心の月。

父の助手席、膝立ちで風を覗いたあの日の風も、
安心の風。

姉さんに連れられて行ったライブハウスの喧騒も、
あって欲しい喧噪。

だけど、僕一人で剥いた甘夏は、
酸っぱくて酸っぱくて、
僕は、食べるのをやめる。

季節なんて、果物に教えてもらわなくてもカレンダーに書い・・・

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隣室声のする、季節は春。

16/05/09 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:588

雨が降ると小学校帰りの少年少女が雨宿りと一休みに、廊下で魔法瓶の中の氷をカラコロさせている。

夕方になると時々、馬鹿盛りの中学生が自転車のまま廊下を通行していく。
「ばぁか、にけつだと、頭擦るんだって、このボロアパート」
と、
そこに住む住人への配慮など欠片もない。
そのような、人を切る刀が諸刃では、若い頃は血が足りないのだと、
わかっていてもムっとはす・・・

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タイムストップ・ハウマッチ?

16/05/09 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:564

色彩のすべてが抜け落ちた世界に、
迷いこんだと思ったら、
なんてことはない、
これに乗り遅れたらクビがすっ飛びかねない新幹線のぞみ号が、
まだ階段を数段残して扉が閉まったのだった。
あぁ、
フワフワする内腑をなんとか皮膚内に押しとどめて、
火事場にリミッター外して100メートール8秒台の全力疾走でやってきたのに。

あぁ、
色彩のない世界・・・

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交代

16/04/25 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:410

「まぁ待ちなさい」

いよいよ、残すは椅子を蹴っ飛ばすだけのところで。
飼い猫のボウルドリンが言ったのだ。

「死ぬのは、待ちなさい。交代しましょう。
もう人間でいるのが嫌になったのでございましょう。
死んでしまってはそれまで、交代もできません。
ご存知ないかもしれないが、転生なんて嘘事なのですからね。
人間の想像力の世界ですからね、死んだら真・・・

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猫と義眼とビールとソラ

16/04/25 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:457

「猫の調子はどう?」

ビール工場の夜勤バイトで、
私とソラちゃんは知り合った。
私は臆病者で、ついぞ二輪車になんか縁がない人生の安全路を這いずり歩いているが。
ソラちゃんは慎重さの鎖を噛み砕いて、人生の危険路を笑って走り回っている。
「私の愛車は阪急電車だもん」
ひきつった笑顔で私がそう言ったとき、
てっきり、私から離れていくと思ったのに。
・・・

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めくり屋、冴島の掌。

16/04/11 コメント:4件 むねすけ 閲覧数:475

白いカラスは悲しからずや、
夜の闇にも、お日様の赤にも、染まらずに赤い目を客観することもできない。
めくり屋、冴島はいつもの癖で、暗唱している詩をこねくり遊ぶ。
「太郎を眠らせるために雪は降るのではない、僕らの悲しみと罪を隠すために降るのだ」
自分の中に堆積した言葉やイメージをばらして再構築する。
下らない遊びだったが、いつも何かしらの昂揚感があって止められない。

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傷付きの街に、傷なしが一人。

16/04/09 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:414

バスの運転手が自分の定年の戯れに、
僕だけを乗せて、街の境界線を超えた。
「若いうちはバイオレンスな遊びも一興だよお兄ちゃん」
と、言い残し、
傷付きの住む町に、
僕を一人、
バスから落っことして去っていく。
視神経が伸び切るまで、バスの後ろ姿を見送ったのは初めてのことだった。
定年に惜別を送ってもらえなかった腹いせなのだろうと気付いたから、
・・・

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旅情一景

16/03/28 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:373

新感線の中が退屈だからと、
駅の売店で一冊の文庫本を買った。
どっこいしょと、後ろの人が強面でないことを確認してから、
リクライニングを倒して、
車内販売のお姉さんを待ち伏せている。

なぜか、今時通路を挟んだ席の親子連れは紙風船で遊んでいる。

車内販売のお姉さんから、
幕の内弁当とプラスチック容器のお茶を買って、
窓に移る私の顔は、在・・・

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網膜に最後に焼きつけた

16/03/28 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:371

寿命が尽きる。
その一日前。
僕の両目がものを言った。
「最後はオッパイが見たい」
仕方がない。
自分に三十三年間視界をくれた友達の願いだ。
それに、寿命が尽きたといって死にゆく先には、僕もいずれ行くのだ。
盲になるなら、そう長い先にもできないかもしれない。
断ると、死後が怖い。

「わかったよ」
と、言い聞かせて最後の両目の願い事・・・

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下手の明るみ

16/03/14 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:468

朝から電車が止まる。
パンクロッカーはテレビの中、「いい大人なんだから電車に飛び込めば残った家族に賠償金が請求されるぐらいのことはわかってるはずでしょ」
と語っていた。
楽器も弾かずに、飛び跳ねもせずに、ソファにお尻をおしくらせて語っていた。
そんなの見ちゃったせいで、通勤の時々
人身事故により電車が止まっておりますと聞くたび、
残された家族の気持ちになって、貯・・・

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その日を暮らす物書きの横にいる者

16/03/14 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:498

三年以上同棲した場合、慰謝料の請求が可能だとね、ふむふむ。
知識というのは不思議なもので、現実のつぶてを飲みこむ直前に半身得たりと記憶野で跳躍を見せたりするので。

「同棲ってなんでしょう?」

あ、いけない、まただ。
一人暮らしが長く、同居生活が急だったので、聞かれてまずい言葉を独り言から排除する術がまだ、
体得できていない。
口に出していたか、耳・・・

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目を閉じて全力疾走。

16/03/08 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:448

和歌山のみかんと、網膜に沁みる彩色で書かれた段ボールには、
みかんばかりが入っている。
おしくらまんじゅうを、性的なうずきなくできた頃が僕にもあったと、みかんを見て思いだしている場合ではない。

死体をどうする。

飼っていた猫が死んだのだ。

もう永くありません、最期は見られたくないかもしれませんが、見ててあげてくださいと、
動物病院の前歯の・・・

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悪魔と月泥棒

16/02/29 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:414

満月の一日前、森の者たちで相談会を開いていた。
本来、未来を覗くことは禁じ手なのだが、目を覚ました悪魔は森の者たちの半分の数の命を差しだせと、
死鬼なる顔で森の者たちの闘志の炎をかき決して迫ってきたので、これしか策はなかったのです。

しかし、悪魔にしてみればこれがぬかりでした。
他の道をすべて断ってしまったがために、森の者たちに唯一残っていた対抗策へと導いてしまった・・・

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親友

16/02/29 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:440

「人に恵まれることが、あんたの才能だよ」
と、ミツキちゃんは多分中国拳法の使い手のような目つきで言ったと思う。
「君島先生でしょ、タカオ君でしょ、おじさんとおばさん、それにおじいちゃん、高名な画家だなんて凄い幸運だよ」
「だって私、どんな絵か知らんけど」
「その自虐ギャグやめんと、私は笑えるけど、笑ったら悪者に見えるんよ、客観的に」
「言わせてください、私のアイデンテ・・・

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お茶と落語と家政婦と

16/02/15 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:502

「アンマン買ってきましたよ、お茶にしてください」

「やれうれしやぁのー」

「あら、それは何のお話の中のセリフだったかな?」

「忘れました」

ヘルパー兼家政婦の村木良子と、奥さんの路子さんの共通の趣味は落語鑑賞だった。

「今度の繁盛亭、吉弥さんの独演会だってね」

「あらん、行かなきゃダわ」

「あの人もま・・・

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お茶のある風景

16/02/15 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:417

「今日もお寄りにならなかったんですね」
家屋だけは古めかしい日本間なので、三和土なるもので煮炊きを作業しているが、
当然竹筒で火加減を元気づけるわけもなく、象の印の電気炊飯器が一人元気している。
フードプロセッサーがたちまちにミンチ肉を作りだすので、ヘルパー兼お手伝いの村木良子と、
奥様の会話は余った元気で膨らみ放題。

奥様はそれでも白い割烹着、良子はさりとて・・・

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音録りウロツキの子。

16/02/01 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:483

 言の葉集め。

 私の仕事です。

 今日を生きる糧を得ている、じっとしかできない未来をつぶすための、大切なお仕事です。

 ボイスレコーダー片手に、ウロツキの子。

 うろつき回って、言葉を拾う。

 売れる言葉、売れない言葉。値の安い言葉、高い言葉。

 判断基準は一応持ってるつもりだけど、長年の勘ってやつもあるつもりだ・・・

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足がないのにカランコロン。

16/02/01 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:429

人生の賭場口に、サイコロを持って立つ。
ここまでの自分の走り込みでダイスの面の数に差が出る、しかしそれでも信じないといけないのは、
20面ダイスにだってイチもあればニもあるってことで。

合言葉は「視えないのに書くな、目なしの語り部は砂漠の宿屋にも雇ってもらえない」
「牡丹灯籠カランコローーン、足がないのにカランコロン?」
「ムクつけき浪人無粋の侍も、楊枝くわえ・・・

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晩白柚泥棒

16/01/18 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:419

月夜に無知な泥棒が一人。
満月の夜の泥棒行為が、成功した例はないというのに。

男が盗むのは小学校の敷地内の晩白柚。

男はパン工場の年末アルバイト募集の面接に落ちた帰り道、
晩白柚の存在を目視した。

元より柑橘系の果物は好きであったが、グレープフルーツにおたふく風邪をひかせたような見た目のユーモラスに
心を奪われてしまった、決して面接に落ち・・・

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目が見える僕の見えない音を見る人よ

16/01/18 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:400

線路わきを歩いていて電車が通過した時や、踏切前で電車が景色を喰い放題に喰っていく時、
僕の耳には電車の轟音の下で小さなその瞬間生まれた生物の産声のような音が混じって聴こえた。
その音を感じる度、戻ることもゆくこともできない、密閉された苦しい人生から抜け出して、
悩み事の全てのない、日向ぼっこだけしておけばそれでいい花野に繋がっていくような誰かの足跡の付いた地面を見るかのような気持・・・

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サドンデス、及びパーフェクトクライム。

16/01/12 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:438

「何してるんだ」

だって兄さん。
一月の朝日が昇る少し前の時間、朝のラジオのおじさんが小気味の良い時事ネタ話を数十分。
なのに、起きてこない母を案じて、
障子を開けた。

母の年齢はもう八十に近かったから、
うっかりと、息をしていないのではという現実の下絵に使われそうな想像は、
かじかんだ両の掌で首をびっくりさせて霧散させたのに。

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雨の日は嬉しい。

16/01/04 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:532

僕は雨が嬉しい。

雨が降ると、カタツムリが理科室の裏にたくさんいて、
上靴で踏むと、クシャッとした絶命の感触が足裏にのたくるから。

ううん、それは嘘。
それは嫌だったこと。

四年生の梅雨の時期に友達と鬼ごっこをしていて、
走った理科室裏で、うっかりふんじゃったカタツムリ。
殺すつもりもないのに殺してしまった命が、
もしも自分だ・・・

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月の下にも一匹のカエル

16/01/04 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:477

蛇ににらまれたカエル。

所詮は不平等のトランプカード。

手札をいくら取り換えてみても、元から最強の手札を持った相手に、勝てる筈もなく。

蛇を睨み返すには、自分の目はまん丸に過ぎたし、
負けずに「シャーーーー」という、不気味さが背筋を撫でる怨念はみ出た声を出してみようとしても、
「げぇこぉ」と、
愚鈍な月の光が苦笑して屈折するだけの声しか出・・・

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空の飛び方

15/12/24 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:457

うっとりする光景に、うっかりまぶたのやつが音を上げたのか、
それともそれはやさしさだったのか、
ともかく、僕は何年ぶりかに冬眠から目を覚ました。

涙を流しながら、それでも目を閉じることがかなわなかった。
数年ぶりのお日様の光に、飽和を超えた感無量が涙に形を変えて頬を伝う。

人だ。
空を、人が飛んでいた。
皆背中から、神話の本の挿絵に見たよう・・・

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入られ屋助手の苦悩

15/12/14 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:480

仕事について尋ねられることが好きでもあり、
また嫌いでもある。
それは、相手によって結果が天国と地獄、まったくリレーのバトンを探したい気分になるじゃないか。

「入られ屋の助手仕事なんですことよ」

ほほほ。

入られ屋、を知ってる人なら天国への第一関門を突破、
知らない人でも、地獄への扉は開かない。
たちが悪いのが、知っているくせに知ら・・・

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セルフ実況ブルース

15/12/14 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:495

「寝ています、もう数か月も干していない埃まみれの重たい布団の中で
寝すぎてもう眠ることもできず、夢の記憶預かりのおばちゃんに会うことも叶わずに
やらないといけないことの全てから目を背けて、怠け切って緩め切って、
肉体も精神もふやけきっております、まさにクレイジーバルーンのなれの果て、
お遍路を参拝する異教徒の方がまだましの、馬の骨にもなれない肉体のゾンビ」

「・・・

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6B鉛筆カッパ巻き

15/11/30 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:416

合言葉は、「奇人?変人?だからなに?」

中学校にもなって、乙女盛りが、
そんなしょーもないドラマに熱上げて、
同世代の子たちみたいに、ジャニーズにでも熱を上げればいいのに、
あんた、ちゃんと友達いるかね?

お母ちゃんったら、心配性。
でも大好きな母ちゃん。私には友達たくさんいたんですよ。
家が木造の土壁だったから恥ずかしくって、家に呼ばなか・・・

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奇色満面

15/11/30 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:462

取調室のカツ丼というのはよほど、太っ腹の銃ブラ公務員でない限り実費で後から請求されるというのを、臆病な軽犯罪常習仲間から聞かされていて知っていたので。

「カツ丼喰うか」

と、今時ゴマ塩の五分刈りのおじさん刑事に言われた時には
左手の小指を折って、激痛で笑いを追いだしたほど。

ポケットに突っ込みっぱなしの左手を、
「だしたらどうだ」

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ただの、嘔吐。

15/11/23 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:495

幼稚園の頃に、厳しいピアノの先生が怖くてやめてしまったあの日に一人。

小学校三年、ダブダブのユニフォームでとり損ねたレフトフライを顔面に受けて眼底出血を起こしたその一週間後に、
また一人。

中学一年、ロックが好きだった。不良が聴くパンクバンドの音楽が大好きだった、
それだけの共通点を理由に、クラスの不良に乗っけてもらった改造された原付バイク、
道を曲が・・・

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エースオブ、スペーズ

15/11/22 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:399

左胸にスカル、背中にスペードのエースが刺繍された、
カーキ色のずぶ重たいジャケットを、被せてくれたお兄さんは、
こんなの、一人じゃ恥ずかしくって食べられないからと。

深夜のファミリーレストランで、チョコレートパフェを二つ注文してくれて。
黙ったまま、薄い長袖のTシャツ一枚で、寒そうに肩をすぼめながら。
時々私を見て、ニッコリして、パフェを食べてた。
「甘・・・

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飛び方なんて前から知らない

15/11/13 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:429

みんなが空を飛んでいる。
空の飛び方をどこかでいつの間にか、僕の知らない間に仕入れてきたらしい。

時折、親切なおじさんが物見高く僕の地上まで降りてきて、
「飛び方を忘れてしまったのか?」
と、訊いてくれたけど、
そんなことはない。
飛び方なんて前から知らない。・・・

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もしもし、ハローハロー

15/11/06 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:456

精神感応という言葉は後で知った。

テレパシーは前から知ってた。
伊達にドラえもんを読んでいない。
と思ってたら、後に精神感応という言葉を劇場版ドラえもん第二巻で見つけてギョとなった。

テレビもつけていない、ラジオもつけていない一人っきりの部屋の中で、
声がしたら、
窓の外かと思うのが普通だろう。
でも、
その時の自分には恐怖や不安の反・・・

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アイマイミー

15/11/02 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:511


定期検診で通う市民病院、
ドアノブにはめられたタオル。
地下の売店横でくるくる回る、動脈と静脈。
ひとりかくれんぼで迷い込んだ病室のおばあさんの部屋で聴いた昔ばなし。
その部屋に取り残された千羽鶴。
孫に縫ってるんだと聞かされた、真っ赤なニットの帽子。
今日はバスで帰ると言われたのに、バスとタクシーの区別もまともにつかずに、
乗り込んだタクシー。<・・・

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夫婦喧嘩は息子の機転で曖昧に終わる。

15/10/26 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:502

 「ちょっと、お父さん、何を平然としてるんですか。」

 「なにがだい」

 「なにが?」

 「うん。わからんからな。」

 「だめですよ、子供の成長に鈍感な父親って。」

 「なんのことかな」

 宮坂家の夕方ま近の時間。カラスの群れが近隣の小学校で襲撃のターゲットに、都会のもやしっ子をロックオンする時間帯。
 宮坂・・・

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ロバ耳の穴

15/10/24 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:638

守り刀の懐剣などは、物騒故持たない。
持つのは、晩白柚という、オバケ柑橘の実。
夕べお隣のおばさんが、「おひとつ、おすそわけです」
と、胸に抱っこさせてくれた頼りがいのあるやつ。
すっかり私の暗がりを怖がる弱い心の、
支えの番人となってくれた。
持って移動するのがとても重い、という厄介なお守りだが、
裏山の穴掘りタイムの、見守りは、いてくれないと困る。

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ランチボックスを蹴りたくない

15/10/23 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:547

ラブホテルの一室、
ゆるんだベッドのスプリングが、諦めた宿無しのように見える部屋で、
マネージャーのトニーは若手人気女優ティモシー・ハリスの説得をしている。

停滞気味の空気を掻き回すために、窓を開けようとトニーが鍵をはずすが、
ティモシーに濡れたタオルを投げつけられる、
「窓開けないでよ」

ティモシーの決意はもう、部屋に堆積している、
窓を・・・

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洞窟に、ホシの口笛。

15/10/21 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:522

声が聴こえてくる。

楽しそうな声だ。

「今日はここまでにして、キャンプといこう」

サンドラス侯爵三世が残したと言われる秘宝を求めての洞窟探検に出かけて行った、
リーダー、ツキ、の声だ。

みんなは今洞窟の中にいるんだ、
平和な日常あったかいベッド、母さんが作ってくれるスープ、
そんな足についた重りの全部を好奇心のナイフで断ち切・・・

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砂時計はひっくり返していますか?

15/10/19 コメント:2件 むねすけ 閲覧数:680

いつまでもあると思うな、
に続く言葉は、親と金であることは知っている。
悲しくなるのは、
それ以外のなにもかもがそこには当てはまるということに、気づくほどに歳をとってしまったこと。

失い続けることが生きることでもある。
そして、
失った分を、
生み出し続けるのも、生きることである。

だから私は、砂時計を作り続ける。
それを忘れな・・・

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耳に聞こえる何かが何かを食べる音

15/10/16 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:627

例えばそれは、通い慣れた散髪屋が閉店していた時、
学校のクラス替えの前日、
親戚のお葬式の、お焼香の順番が自分に回ってくるとき、
使い慣れた家電が壊れて嫌々、最新型に買い替えた時。

僕の耳には音が聴こえる。
サリサリサリサリ、と、カリカリカリカリの間よりもちょっと、
サリサリ寄りの、リンゴの皮をむく音よりは、固くて酸味以外の魅力を持たなかった器量悪のキウ・・・

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猫のしっぽと旅に出る

15/10/16 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:527

旅に出ようと思った。その猫と一緒に。
誘い文句は不必要、日常にはみ出した熱を持った行動力に、中てられないやつなんていない。
「行こうよ」望んでいた私の中の現実の下絵は、儚くも幼体の醜いまま。
 「嫌ですよ」
  の一言で朽ちていった。

 そこからの私は無様にも弱りきって猫を口説いていた。いつまでもいつまでも。
 なのにどうしても、ウンと言わない。
・・・

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映画館に、悲鳴の聴こえる夜の在ることを。

15/10/16 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:558

寂れてしまって閑古鳥のなく声もしない、机上のバクチに負けて打ち捨てられた、
田舎のアウトレットモールの、小さな映画館には、
吸い寄せられて腰の弱い人間しか集まらない。

朝から晩まで、四本も続けて見るような馬鹿になったのは、
今時入れ替え制を廃止しているせいだけど。
それはもう、一日に何十人も客が来ないので、
「ここだけ昭和に戻しちゃおうと思って」
・・・

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