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夏川さん

コメディー短編を書くことが多いです。 よろしくお願いします。 ツイッター始めました @natsukapp

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投稿済みの記事一覧

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304号室の鵺

17/01/02 コメント:2件 夏川 閲覧数:378

 騒動の発端となったのは瞳の何気ない一言だった。
「304号室の鵺野さんって凄い格好してるね」
 瞳の言葉に頷いたのは香織のみであり、由美と咲は妙な顔で首を傾げている。すると瞳はキョトンとした表情で再び口を開いた。
「あれ? 鵺野さん見たことない? お姫様みたいなふわっふわピンクのワンピース着ててね。金髪のツインテールでヘッドドレス付けてて……ロリータっていうのかな? こんなちゃ・・・

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資産家と後妻さん

16/12/30 コメント:2件 夏川 閲覧数:579

 木造平屋、畳張りのこじんまりした広間。派手さはないが、木の温もりを感じられる落ち着いた空間だ。
 部屋の中心に置かれた長机の周りには数人の老人たちが集い、おしゃべりに興じている。一見何の変哲もない至って普通の老人たちだが、彼らは全員が一代で財を成した超一流の経営者、そして資産家なのである。現役時代は激しい火花を散らし、自らの会社の利益のため騙しあいを繰り広げていた彼らも今やすっかり優しい目・・・

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終末の五分間

16/12/29 コメント:4件 夏川 閲覧数:536

『残念なお知らせです。あと五分で地球は終末を迎えます。皆様、今まで本当にありがとうございました――』

 買ったばかりの大型テレビが終末のお知らせを伝えたのは、ほんの数十秒前の出来事である。
 なんでも超巨大な隕石が凄いスピードで地球に向かっているらしい。そして驚くべきことがもう一つ。なんとその隕石、あと五分で地球に衝突するのだと言う。
 窓の外からは人々の不安を駆り立てる・・・

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幽霊面接

16/08/05 コメント:2件 夏川 閲覧数:984

 草木も眠る丑三つ時。
 とある崩れかけの洋館に彷徨える魂の悲痛な声が木霊する――




「お願いします! 俺スゲー頑張りますから! シフトもいっぱい入ります!」
「だからうちじゃ雇えないって言ってるでしょ。何度来られてもダメなものはダメなんだよ」
「そこをなんとか! 俺、死んだらここの幽霊になるって決めてたんスよ!」

 足の無い半透・・・

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雨乞いで台風を呼ぼう

16/05/23 コメント:0件 夏川 閲覧数:552

『台風は徐々に勢力を弱め、明日には温帯低気圧に変わる模様です』
 お天気お姉さんの言葉に、俺は落胆の声を漏らす。
「はぁ、休校のチャンスが」
「俺はこうなる気がしてたよ」
 杉野は澄ました顔をしているが、その声からは失望が滲み出ている。しばらくの沈黙の後、杉野は不意に真面目な顔で口を開いた。
「お前、台風が消えるのをただ見てるつもりか?」
「どういうことだよ」<・・・

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ご当地キャラクターコンテスト

16/05/10 コメント:0件 夏川 閲覧数:818

「うーん、どうしたもんかな……」
「さっきからなにをうんうん言ってんの?」
「うわ、勝手に見んなよ!」

 取り留めない落書きやメモの書かれたノートを、俺は慌てて母さんの目から隠す。すると母さんは眉間に皺を寄せて不機嫌そうに口を尖らせた。

「隠すことないでしょ。まぁなんでも良いけど、早めに宿題もやんなさいよ」
「だからそれを今やってんだよ!」

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ブサイクがブサネコに転生したら

16/03/31 コメント:4件 夏川 閲覧数:552

 35歳、職歴なし、彼女なし、友人なし、コミュ力なし、ブサイク、童貞。
 俺のスペックをざっと説明するとこんな感じである。
 俺と同じような人間はだいたいそうだろうと思うが、日々部屋に籠ってネットをしながら膨大にある時間を潰していた。
 しかし人生とは分からないものである。つい数か月前、気まぐれに外を散歩していたとき事故にあってあっさり死んでしまった。
 俺は人としての生を・・・

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猫の就活

16/03/28 コメント:6件 夏川 閲覧数:1021

 街にはスーツを着た若者が手帳片手に忙しなく歩き回っている。就活だ。
 しかし就活に勤しんでいるのはなにも人間だけではない。
 俺はスッと立ち上がり、ニャーと一声鳴いて気合を入れる。目指すは大豪邸で三食昼寝付き! 輝かしい未来に向けて足を一歩踏み出した。


 向かったのは高級住宅街。俺はあるお屋敷から出てきたマダムに目を付けた。

『お忙しいとこ失礼いた・・・

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箱入り

15/11/29 コメント:0件 夏川 閲覧数:600

「あれ、また指輪つけてない」

 ナオトは私の手をとって眉間にシワをよせ、拗ねたように口を尖らせる。

「サイズはピッタリだったよね、もしかして気に入らなかった?」

 ナオトが言っているのはこの前誕生日にくれた指輪のことだ。
 小さな花や輝くピンク色の石がついた繊細で豪華な指輪。ナオトの前で一度指にはめたきり、ずっと箱に入ったまま棚に飾ってある。
・・・

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不思議ちゃん頂上決戦

15/11/02 コメント:2件 夏川 閲覧数:606

「あっ……」

 山本さんが小さな声を上げて何もない空間を見つめている。
 まただ。私は思わずため息をついた。
 山本さんはいわゆる不思議ちゃん。壁のシミに話しかけたり、何もないところを目で追ったり、独り言もしょっちゅう。
 私はそんな彼女が嫌いだ。
 なぜなら私も不思議ちゃんだから。


「ダメよ、イタズラしちゃ」

 私も負けじ・・・

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曖昧なままでいて

15/10/31 コメント:2件 夏川 閲覧数:777

「あーあ、絶対腐ってるじゃん。やだなぁ、臭いの嫌だなぁ」
「俺だって嫌だよ」

 兄妹たちがうんざりした表情を浮かべ、食器棚の前に立ち尽くしている。
 二人は数か月前に作ったシフォンケーキが戸棚に忘れ去られているのをつい数分前に思い出し、爆弾処理をすべくキッチンに集結したのである。

「そもそもお前が作ったケーキだろ。なんで俺まで」
「お兄ちゃんがさっさと・・・

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大学デビューしたアニメオタクに降り注ぐカラオケという名の危機

15/09/13 コメント:6件 夏川 閲覧数:1073

 俺の趣味はアニメ鑑賞である。

 高校生の頃は毎日教室の隅で同好の士と昨夜見たアニメの話で大盛り上がりしていた。それはそれで楽しい毎日ではあったが、青春アニメにあるような煌びやかな高校生活とは言い難いものだ。
 どういう訳か「アニメ」というのは他の趣味よりも下等であるかのような扱いを受ける傾向にある。イケメンならまだしも、俺のようなモッサリ男が「アニメ好きなんだー」などと口を滑・・・

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ハロウィン、その時日本妖怪たちは

15/08/15 コメント:0件 夏川 閲覧数:786

 ある山の奥。古よりこの地に住む、人ならざる者どもが何やら話し合いをしていた――



「集まってもらったのは他でもない、欧州より伝来した謎の奇祭『はろいん』に対抗するためだ」

 日本妖怪連合の長、天狗が赤い眉間に皺を刻みながらメンバーに本日の議題を提示すると、河童や一ツ目小僧、鬼などの異形の面々も一様に渋い顔を見せた。

「はろいん、聞いたことは・・・

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お返し

15/07/13 コメント:10件 夏川 閲覧数:1193

 雪の降り積もるある冬の日。
 大きな木の下に仕掛けておいた罠を見に行った俺は思いもかけないものを目にした。

「おお……これは」

 それは美しい鶴であった。
 狐か狸や雉が罠にかかっていれば今日の鍋の具にでもしようと思っていたが、まさか鶴がかかるとは。
 しかし鶴の捌き方などよくわからないし、何より鶴は縁起物だ。俺は悩んだ挙句、鶴を離してやることにした・・・

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牛乳嫌いの掃除の時間

15/07/02 コメント:0件 夏川 閲覧数:807

 僕は牛乳が嫌いだ。
 生臭くて不味いし、そもそもアレは仔牛の飲物だ。
 平日昼、オレンジジュースなら10秒で飲んでしまうあの小さな紙パック入りの牛乳を僕は毎日数十分かけて飲んでいる。とても給食の時間だけでは収まらないので、給食後の掃除の時間も僕は埃舞う教室の隅っこでちうちう牛乳を飲む羽目になっている。そんな僕を見てみんな言うのだ。「掃除もせず牛乳飲んでるだけなんて、羨ましい」と。

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口裂け女のネット配信

15/07/02 コメント:2件 夏川 閲覧数:810

 あるところに一人の妖怪がいた。
 彼女の名前は口裂け女。口裂け女は口が裂けていること以外は完璧と言って良いほどの美女であったし、本人もそう自負していた。
 とは言っても、彼女は完璧な美女ではない。マスクを外せば人々はみな悲鳴をあげ、彼女から逃げようと必死に走り出すのだ。口裂け女はそれがなによりも気に入らなかった。彼女はありのままの自分を受け入れてくれる人間を探し求め、そして自分を否定・・・

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どうして彼は私を振ったの?

15/06/29 コメント:2件 夏川 閲覧数:953

 それは一目惚れだった。
 大学の食堂でラーメンをすする彼を見たとき、雷に打たれたような衝撃に襲われたのだ。たくさんの芋みたいな奴らの中で、彼は一際輝いて見えた。
 そしてそんな彼に寄り添う腐った芋が一つ……
 彼にはまったく相応しくない酷い見た目の女だ。本当に、誰がどこから見ても美人だなんて口が裂けても言えない。偏見なしに、本当に二度見してしまうほど酷い。

 一方・・・

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掃除の妖精

15/06/17 コメント:7件 夏川 閲覧数:1023

「ねぇ、もう遅いし泊まって行けよ」

 この部屋の主、圭介さんは連れ込んだ女性の肩を抱きながらかすれた声で囁きます。
 圭介さんはとても爽やかな男前で、毎夜様々な女性をこの部屋へ連れ込み、そして毎回この台詞を女性に囁くのです。
 しかし圭介さんは毎回同じ台詞で女性たちに振られてしまいます。今回もそうでした。

「こんな汚い部屋に泊まるなんて真っ平! よくこんなゴ・・・

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スパイin動物園

15/06/01 コメント:6件 夏川 閲覧数:1088

 俺はとある国の新人工作員。
 密命を受け、愛する祖国を発ちとある国へと潜入した。潜入先は……動物園。

 俺の国はいわゆる独裁国家であり、国際的に孤立してしまっている。経済制裁も受けており、外貨獲得の手段は少ない。その少ない手段の一つがある動物の輸出だ。
 その動物は我が国固有の動物を遺伝子組換えによって品種改良した「マルモル」という動物である。
 マルモルは他のど・・・

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五月病アニマルズ

15/06/01 コメント:0件 夏川 閲覧数:752

「五月病ですな」

 医者の言葉に俺は目を丸くした。同時にいくつもの疑問が噴出してくる。
 そもそも五月病は医師が使う正式な病名なのか?
 いや、問題はそこじゃない。俺は医者に恐る恐る尋ねる。

「動物も五月病になるのでしょうか?」

 ここは動物園、俺は飼育員、そして目の前の彼は医者は医者でも獣医であった。

「食欲不振、やる気も感じら・・・

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良薬は口に苦し、人魚の肉など尚の事

15/05/21 コメント:2件 夏川 閲覧数:941

 座敷にて三人の若者が「それ」の到着を今か今かと心待ちにしていた。
 彼らは江戸で名を馳せる大店の若旦那たちで、唸る程の金を使い阿呆な遊びをすることでも有名である。しかし今日はいつもとは使う金の規模が違う。
 なにせ、彼らがこれから買おうとしているのは不老不死そのものなのだ。

「お待たせしてすいません」

 入ってきたのは商人風の中年の男。三人の視線は男の持っ・・・

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無茶苦茶ダイエット

15/05/09 コメント:2件 夏川 閲覧数:873

 小林直美28歳。
 彼女は今とても浮かれていた。彼氏のケンジから大事な話があるとの連絡を受けたのだ。
 周りは次々と結婚し、両親にも急かされていた。そのタイミングで「大事な話」ともなれば期待するなという方が無理であろう。
 だから彼女は部屋を掃除し、クッキーとマフィンを焼きながらその帰りをまだかまだかと待っていた。

 しかし部屋に入ってきたケンジが口にしたのは、直・・・

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三十路目前グラビアアイドル

15/05/04 コメント:2件 夏川 閲覧数:1578

 人生とは時間切れの連続だ。
 納期、待ち合わせ、締切、終電――誰もが時間切れを体験し、積み重ね、そしていつかは人生の時間切れを迎える。
 私も今、迫りくる時間切れと戦っている最中であった。





「ハァ……やっぱ厳しいよ、もう三十路目前だもん」

 真っ白な手帳片手にため息を吐くマネージャー。私は彼を奮い立たせようと肩を強めにたたく・・・

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優しい狼

15/04/24 コメント:8件 夏川 閲覧数:1433

 あるところに子豚たちが暮らす村があった。
 子豚たちに親はない。みんな狼が食べてしまったのだ。それでも子豚たちは森で食料をさがし、みんなで協力しあって暮らしていた。冬になって森に食べ物がなくなっても誰かが掲示版に食べ物の隠し場所を記した紙を貼っておいてくれるので、子豚たちは飢えることなく元気に成長していった。
 しかし子豚たちの生活は豊かなものとは言えない。住む家はボロボロ、修理した・・・

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海になりたい

15/04/20 コメント:6件 夏川 閲覧数:885

 直樹からのメールが届いたのは深夜0時の事だった。
 件名は無く、本文には『海になりたい』の一言が添えてあるだけ。他の人から送られてきたなら無視するような意味不明の文だが、俺はそのメールを見るや着の身着のままで直樹の家へと向かった。

 直樹がこの手のメールを俺に送りつけるのは女に振られた時と決まっている。
 ヤツは非常に顔が良く寄ってくる女は数えきれないほど。そして直樹も・・・

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食卓の上の肉

15/04/07 コメント:5件 夏川 閲覧数:885

 仕事を終えて家に帰った俺は驚きのあまり足を止めてその場に立ち尽くした。
 リビングの食卓を囲むようにして置かれた椅子にステーキが横たわっていたのだ。しかもひとつの椅子には収まりきらず、そのステーキの端は隣の椅子にまで及んでいるし、逆側の端は床にまで届いてしまっている。

「こ、こんな肉を乗せられる皿はうちにはないな……」

 そう言って一人笑いながらその肉を持ち上げ・・・

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オオカミガールと3兄弟の子ブタ

15/04/07 コメント:6件 夏川 閲覧数:900

 昔々、あるところに3人の少年がいた。
 3人は良く似た兄弟で3人とも肌が白くやや小太り。良く見ると顔は整っているものの、その体格から町のみんなには3匹の子ブタなどと揶揄されていた。

 しかしそんな3人に目を付けた女性が一人。名をルーフと言う。
 ルーフは自分の結婚相手を探していた。彼女は隣の町で一番の金持ちの娘、そして国一番と評判の美人だ。彼女のタイプの男性は小太りで肌・・・

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