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山田猫介さん

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投稿済みの記事一覧

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佐藤家の三つ子

15/05/04 コメント:0件 山田猫介 閲覧数:881

 佐藤家の三つ子というと仲のよい3人組に見えるが、とんでもない。喧嘩の時、2人なら1対1、4人なら2対2。力は釣り合うが、3人ならそうではない。2対1で僕が仲間外れだ。佐代と加代は女で、僕は男だから。
 珍しい例だが、一卵性と二卵性の混じった三つ子なのだ。しかも3人ともお年頃の中学生だから、状況は悲劇的。この日も下校路で、2人は僕をからかう。
「治、あんたも副委員長のCカップに興味があ・・・

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最期のメール

15/05/04 コメント:2件 山田猫介 閲覧数:846

 ある日僕のところへ、意外なところから電子メールが届いた。世界の全人類が、同じ日の同じ時刻に、同じ内容のメールを一斉に受け取ったのだ。それには、こう書かれていた。

 親愛なる人類のみなさんへ
 日頃はこの世界に居住していただき、ありがとうございます。私のことを、皆さんはご存じないでしょう。私は皆さんが住むこの世界の管理人で、昔から『神』という名で呼ばれてきた者です。
 本・・・

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空母小学校

15/04/20 コメント:2件 山田猫介 閲覧数:836

 子供ならたいがい誰だって小学校へ行くが、僕のような小学校生活を経験した人は少ない。僕が生まれ育ったのは、XX市内の水上区と呼ばれる地帯だった。文字通り港の一画で、倉庫街に混じって小さな木造の住宅が立ち並び、ごみごみした狭いところだ。
 用地不足や住宅不足が慢性化していた。空き地などまるでなく、造船所の空きドックが僕たちの唯一の遊び場所だった。道は狭く常に人だらけで、風がピタリとやむ夏の午後・・・

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渡し舟

15/04/20 コメント:2件 山田猫介 閲覧数:763

 N市には川があり、あるところに橋のない場所があって、渡し舟が運行されていた。
 通行人も多く、川幅も狭いことから、なぜ橋が建設されないのか、みな不思議に思ったが、渡し舟を動かす業者にも生活があり、市の側にも、橋の建設でそれを脅かすことにはためらいがあった。橋の計画は、持ち上がっては消え、持ち上がっては消えを繰り返した。
 この渡し舟だが、流れのない静かな水面だからエンジンつきの船では・・・

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静かの海

15/04/20 コメント:4件 山田猫介 閲覧数:869

『風船爆弾』というとファンタジーっぽく響くが、第二次大戦で使われた本物の兵器なのだ。日本軍が作り、太平洋を越えてアメリカ本土に落下することを期待して、大量に打ち上げた。
 風に乗って飛ぶ爆弾だが、太平洋の高空は西から東へ常に強風が吹き、あながち意味のない作戦ではなかった。娘時代、早苗はこの爆弾の製造に参加していた。同僚は同年代の女子工員たちで、決して楽な仕事ではないが、みな若く、班長が見張る・・・

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たたかい

15/04/08 コメント:0件 山田猫介 閲覧数:797

 小学校の教師が怒り狂うのは、珍しいことではない。児童を殴るのも日常茶飯事。少なくとも筆者が子供の頃はそうだった。殴られまいと子供が教室から逃げるのも、当たり前の風景だった。
 教師が怒る理由など、どんな下らないことでもかまわない。朝食がまずかったでも、女房と喧嘩したでも、昨日の競馬で大金をすったでも、なんでもよい。とにかく林教諭はガキどもを殴ろうとしていた。ターゲットは3人。川口、大西、佐・・・

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はかりごと

15/04/01 コメント:1件 山田猫介 閲覧数:853

 僕は小学校からの下校路、誰かがバイクを駐車しているのに出くわした。エンジンがかかったままで、ものすごくうるさい。排気管が抜いてあり、バルブも改造されている。ガラガラゴロゴロ、バンバン言っている。
 まわりを見て地形を頭に入れ、僕はすばやく計算した。バイクのそばには男がいて、ヘルメットを脱いでタバコを吸っている。僕は近寄り、男に話しかけた。
 でも僕は口をパクパクさせ、バイクを指さして・・・

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ダイヤモンド

15/03/23 コメント:1件 山田猫介 閲覧数:847

「はい」
 ノックに返事をしてドアを開くと、見たこともない若い娘がいるので、私は目を丸くした。娘は口を開いた。
「佐藤太一郎さんですね」
「いいえ、違いますよ」
 私は彼女を観察した。年齢は20歳そこそこ。上品な身なりをし、化粧も派手すぎず、決して嫌な感じではない。私の返事に、娘は表情を曇らせた。
「あら困ったわ。どうしよう…」
「その佐藤さんがどうかしたんです・・・

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カラス

15/03/20 コメント:1件 山田猫介 閲覧数:943

 今から何十年か昔のこと。カラスのカア太は、XX駅近くの住民にはよく知られた鳥だった。
 特に大きくも小さくもなかったが、鳴き声がえらく甲高く、ちょっと聞いただけではカラスとは思えない。人なつっこい鳥で、人間を恐れず近寄り、悪さもしないからかわいがられ、しまいには人の手からじかにエサをもらうまでになった。近所のパン屋などは「カア太弁当」と称して、袋に詰めたパンの耳や切れはしを売って、ちょっと・・・

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呪文

15/03/19 コメント:1件 山田猫介 閲覧数:948

 今から数十年も昔のこと。私の女学校は、実に国際色豊かだった。各国の外交官や企業社員が娘を通わせたためで、アメリカ、ドイツ、ブラジル、インド、中国、ロシア、エジプトと何でもありだった。
 この娘たちの間で、あるとき議論が起こった。彼女たちはそれぞれ母国語を上手に話したが、『どの国の言葉がもっとも強い言語なのか』という論争だ。昼休みだけでなく、通学路でも歩きながら議論が続いた。もちろん『言語の・・・

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