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南野モリコさん

長い休眠から覚め、再始動しました。 お茶、主婦、家庭、家をキーワードに、 掌編と並行して、自由スペースに長編も投稿します。 皆さんから学び盗むだけでなく、与えてもいけるようになりたいです。 よろしくお願いします。 ツイッター https://twitter.com/novels1031 フェイスブック https://www.facebook.com/moriko.minamino

出没地 本とお茶があるところ。
趣味 お茶の勉強をしています。 素敵な食器の裏側に隠された見栄や優越感。 茶文化を斜めった角度がら見るのが得意です。
職業 ライター
性別 女性
将来の夢 本当は怖い『赤毛のアン』論を書くこと。
座右の銘 非凡な花を咲かせるには平凡な努力をしなくてはならない。

投稿済みの記事一覧

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未来から来たウルトラ母さん

16/10/07 コメント:0件 南野モリコ 閲覧数:686

母は自分を「ウルトラの母」と呼んだ。私はウルトラの母の娘、のぞみ16歳だ。2月の夜11時、お風呂に入ろうと寒い階段を下りると、母はキッチンで明日の朝食のパンを丸めていた。
「お母さんはウルトラの母だから、ホームベーカリーなんか要らないの」
母は料理に気合の入ったウルトラ主婦だった。パンも天然酵母を発酵させるところから始める。冬に酵母を発酵させるのはウルトラ級の難しさだと母は自慢した。母・・・

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D.H.ロレンスみたいな恋

16/09/13 コメント:0件 南野モリコ 閲覧数:1187

ラストオーダーの時間が近づいた。カウンター席しかない小さなバー「レインボー」では、今宵は、男性客一人だけだった。まだ24、5歳だろうか。好きで飲んでいるとは思えない水割りを3杯もお代わりした。待ち合わせでもしているのだろうか、彼の目線は、エントランスの重たいドアと腕時計を幾度も往復している。

「ラストオーダーになりますが」
「あの・・・」

マスターと男は、同時に口・・・

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ちょっとしたひと手間で名店の味がご家庭で簡単に

16/09/12 コメント:1件 南野モリコ 閲覧数:609

深夜0時を回った頃、料理研究家、福田万希子55歳は、煌々と点いた白熱灯の下、キッチンを磨き上げていた。アイランド型の調理台から見渡せるダイニングとリビングを兼ねたパーティー・スペースは、彼女の成功の証である。

書棚に並んでいるのは、万希子の著書のレシピ集。コンロからは、牛肉の赤ワイン煮込みが深夜に誘惑の香りを漂わせている。使い込まれた古い赤い鍋は、主婦の間で大流行した「万能万希子鍋」・・・

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仏様に花束を

16/08/31 コメント:3件 南野モリコ 閲覧数:1578

夕日を眺めるには少し早い時間、僕は屋上に上った。22階建ての病院は最上階が眺めのいいレストランで、昼間、屋上まで来る人は少ない。病室からここまでエレベーターに乗るだけなのに、息切れしている自分が情けなかった。

「K大学3年生の西村耕平君ね」
後ろから声がした。振り向くと、僕と同じ年くらいの女の子が立っていた。パジャマ姿であるということは入院中の患者だ。入院中にしては不似合いなサ・・・

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木村家の幽霊

16/08/29 コメント:0件 南野モリコ 閲覧数:891

私は木村家の幽霊。2階の勉強部屋に10年も棲みついている。私が出るようになってから、誰もこの部屋に入った人はいない。
「あ、幽霊、起きてる」
真下にあるダイニングで、弟が私の部屋を見上げている。「ヒロシ、やめなさい」。母がヒステリックな口調でたしなめている。
私は、21歳で幽霊になった。このババアに復讐するために。
霞という名前通り、私はどこにいても存在感の薄い暗い子供だっ・・・

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シブヤ水族館

16/04/09 コメント:4件 南野モリコ 閲覧数:714

シブヤに行くことは、シブヤ水族館に行くことを意味していた。つまり、デートに誘われたのだ。ハルカはシブヤもデートも初めてだった。ユージは、どんな男の子なんだろう。話は合うかな。きっと緊張しちゃうから、たくさん話をして、笑わせてくれるといいんだけど。ママには嘘をついて家を出て来た。そんな遠いところで男の子と二人で会うなんて、悪いことだから。

改札を出て、待ち合わせの花屋の前に行くと、ユー・・・

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『ミッション・レインボーブリッジ:摩天楼に向かって撃て』

16/03/09 コメント:0件 南野モリコ 閲覧数:596

シネコン誕生以前から営業している町の映画館、シネマ・パラダイス。お正月映画にはまだ早い11月、『ミッション・レインボーブリッジ:天楼に向かって撃て』が再上映された。19××年、大ヒットしたポリス・アクション・ムービーで、主人公、工藤のセリフ、「俺はあんたを撃つんじゃない。あんたの犯した罪を撃つんだ」は、流行語にもなった。

工藤役を演じた木村ユージは、デビューしたての新人で、この映画で・・・

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このドアを出て行く日

16/03/01 コメント:0件 南野モリコ 閲覧数:656

20××年3月×日。
長い夜をバーで過ごした温子は、ようやく動き出した始発に乗り、
ふたりで暮らすアパートに帰り着いた。玄関を開けると、
朝日が差し込む部屋に光孝の姿はなかった。
温子は頭が真っ白になり、震えが止まらなくなった。

昨日から、メールも携帯も一度も繋がらなかった。
ふたりは、朝の出勤前、つまらないことで喧嘩をしてしまったのだ。
寝坊して・・・

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冬の香り

16/02/08 コメント:4件 南野モリコ 閲覧数:1010

20××年12月。その分野では輝かしい数々の功績を残した博士は、ささやかだが温かい住まいを構えていた。市街地からはそう遠く離れてはいないが世間の人の話に上ることはなくなったこの村には、博士が住むこの家しか残っていない。

毎日、午後5時になると、メイドが書斎にお茶とお菓子を運んで来た。博士は、メイドのスリッパの音がドアの外から聞こえただけで、それがコーヒーなのか、紅茶なのか、煎茶なのか・・・

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自慢のお茶

16/01/18 コメント:3件 南野モリコ 閲覧数:764

美術部顧問である醍醐先生の奥さんはいつも和服で、黒髪をゆったりとまとめ上げていた。僕たちの前では「はい」か「どうぞ」しか口を開いたことがなく、先生も「おい」と「あれ」しか言わない。

高校3年生になり、醍醐先生の家を訪ねるのは美大志望の紺野隆と僕だけになったが、それまでは僕たち美術部員は、先生の描いた絵を見ようと自宅のアトリエを訪れていた。

玄関で僕らを迎えると、先生は奥・・・

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きっかけコーディネーター

15/08/24 コメント:0件 南野モリコ 閲覧数:776

大学生、ミタニは、時計を見て慌てて飛び起きた。
「何で目覚まし鳴らねーんだよ」

今日は、本命企業の最終面接の日。大急ぎで着替え、バタバタと玄関を出た途端、誰かにぶつかって倒れた。それも朝日に輝く水たまりの中だ。
「ちょっと、気をつけなさいよ」
ぶつかった女は、謝りもせず怒鳴った。見るからに就活中の女子大生だ。
「おい、ぶつかったんだから一言ぐらい謝れよ。このス・・・

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コウノトリの新サービス

15/07/14 コメント:4件 南野モリコ 閲覧数:995

及川ノリユキが体に異変を感じたのは、1週間以上前だった。
仕事が終わり1人電車に乗ると、立っていられないくらい体が重い。
だるさと吐き気、そして、腹部に異物感がある。何ていうか、蠢いている、というか。
先々週、同窓会に行ってから、じわじわと始まったのだ。飲み過ぎたせい?それとも、その後のあれ?

マンションに帰り、ソファに横になっていると、急に目の前が輝いたかと思うと・・・

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美女の英才教育

15/07/10 コメント:0件 南野モリコ 閲覧数:891

宝石箱をひっくり返したような夜景が見渡せるレストランで、食事が終わると男は、ポケットから小さな箱を取り出した。
「マキシーン、愛しているよ。結婚してくれるね」
「リチャード」
マキシーンは、左手薬指にダイヤの指輪をはめられ、戸惑った顔をしている。
リチャードが両手で握りしめたマキシーンの手は、鶏の骨のように細く皺だらけである。マキシーンは83歳、リチャードは40歳だ。

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変身!美女レンジャー

15/07/10 コメント:0件 南野モリコ 閲覧数:931

今日夕方頃、市立高校3年生の峰岸綾子さんが下校中、刃物を持った男に襲われた所を、颯爽と現れた美女レンジャー、レッド、ピンク、ゴールド、ブラックの4人により、綾子さんは無事、保護されました。目撃者の証言によると、この時の美女レンジャーの必殺技は、美女パンチ、スレンダー・キック、悩殺チョップの3つです。

男は綾子さんの元担任教師、大川雄一31歳。綾子さんは大川容疑者が担任であった昨年から・・・

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ゾウの浜子は知っている

15/06/27 コメント:3件 南野モリコ 閲覧数:1339

「迷子のお呼び出しをします。第一小学校1年2組の榊原ヒロミちゃん、榊原ヒロミちゃん、お父さんとお母さんがゾウの浜子の前で待っています」

家族を乗せた車の中で、親父とお袋は俺が子供の頃の話を面白おかしくしていた。今向かっている動物園で俺が迷子になった時の鉄板エピソードだ。

「ヒロミちゃんだって。超ウケるー」
ワンボックスカーの後部座席で娘の由美がゲラゲラ笑っている。・・・

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私は掃除が好きな地味な女

15/06/20 コメント:5件 南野モリコ 閲覧数:1267

この世に掃除ほど楽しいものがあるだろうか。

片山清美は、無類の掃除好きだった。
小学校でついたあだ名は掃除大臣。教室はもちろん、皆が嫌がる鳥小屋の掃除も進んでやっていた。

10年前に購入した一戸建は、新築の頃と変わらない輝きをキープしていた。清美の喜びは、きれいな部屋に住むことではなく、汚したものを何事もなかったかのように自分の手で抹消する征服感なのだ。料理も好き・・・

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お江戸スクール・カースト

15/06/03 コメント:2件 南野モリコ 閲覧数:1097

20××年、若者の間で広がる格差問題の対策として、日本政府は新たな教育改革を実施することを発表した。江戸時代に敷かれていた身分制度、士農工商を学校教育に活用し、各々の家庭環境に合った教育法を目指すというものである。日本独自のユニークな教育政策であることから、Ordinal Education of Domestic Organization(OEDO)と名付けられた。

 士農工商ど・・・

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夏至

15/05/26 コメント:6件 南野モリコ 閲覧数:984

 私は堀田里奈を海に沈めた。女の体は重力に従い、冷たい海に静かにゆっくりと沈んでいく。
 29歳の背が高くもなく低くもない平均的な「女の子」だ。本人は太っていると思っているだろうが、体型も平均的だろう。髪型は、今流行りのミディアム・ショートで控えめな茶色に染めている。
 堀田里奈は、グレーのスーツのまま、髪を乱しながら沈んでいった。顔は知らない。私は、堀田里奈に会ったことがないのだ。知・・・

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迷子の人魚姫

15/05/15 コメント:4件 南野モリコ 閲覧数:1272

 三崎しおりは、寂れた海辺の町では目立ちすぎるほどの美少女で、私は親友の彼女が自慢だった。
幼い頃、お姫様ごっこをして遊んだ時、他の女の子は白雪姫やシンデレラになりたがるのに、しおりはいつも「人魚姫になりたい」と言った。
「人魚姫は、最後に幸せになれないんだよ」
 怪訝な顔をされても、しおりは気にしなかった。私は、そんなしおりの強さが好きで、2人はお互い小さな理解者だった。

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三匹の女豚(めぶた)

15/05/04 コメント:4件 南野モリコ 閲覧数:1145

 昔むかし、お母さん豚と三匹の娘豚が仲良く暮らしていました。娘豚が年頃になった頃、お母さん豚は言いました。「結婚して自分の家を建てなさい。どこにどんな家を建てるかは、あなたたちの自由ですよ」。

 長女豚は、都心のタワーマンションを購入しました。「子供はいらないわ。海外旅行をして、夫婦で楽しむわ」。
次女豚は、郊外の閑静な住宅地に一戸建てを購入しました。「子供にいい教育を受けさせ・・・

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夢見るブログ主婦

15/04/20 コメント:8件 南野モリコ 閲覧数:1110

ハッピー主婦REIKOのブログ『おもてなしラブラブ・テーブル』が更新されました。
記事タイトル『親友とおうちランチ』

大学時代の友達Aちゃんが子供たちを連れて遊びに来てくれました。ランチは、ゆるゆるランチにぴったりのパスタ…続きを読むには、こちらをクリック↓



 朝9時、ブログ更新のお知らせメールが配信されたと確認すると、レイコはランキング・サイト・・・

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恋とお茶は、冷めないように

15/04/17 コメント:8件 南野モリコ 閲覧数:1149

 この家から消えたものが二つある。キスとお茶だ。
 新居に届いた真新しいテーブルは、温もりが集まる場所だった。
「おかえりなさい。何か飲む?」
「奈緒子のお茶が飲みたいな」
 ネクタイをはずしながら忠司が座り、2人の時間が始まった。テーブルは、家庭の心臓。食事の後も、ずっとテーブルでおしゃべり出来るように、長時間座っても疲れない長い背もたれのイスを選んだ。テーブルも夫婦も年・・・

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青空に書いた手紙

15/04/03 コメント:6件 南野モリコ 閲覧数:2132

前略、通学路様。
 僕は、今日で高校を卒業します。ここを通って学校に行くのも今日で最後になります。僕はこの村で生まれた、恐らく最後の子供です。最後の登校に、今日はあなたに感謝の手紙を書きます。

「感謝」とは、「感」じて「謝る」と書きます。僕は今、通学路であるあなたに、心から感謝しています。母さんに手を引かれて初めてこの道を通った時、僕は4歳でした。今日のあなたは14年前と少しも・・・

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幸福

15/03/20 コメント:4件 南野モリコ 閲覧数:1222

 専業主婦、軽井沢レイコにとって、嫉妬はするものではなくされるものだった。雑誌のモデルのようにきれいにカールしたロングヘアとストーンが光るネイルがそれを物語っている。

 レイコは、生まれながらにして全てを手にしていた。中高一貫教育の女子高から付属の大学へと進学し、卒業と同時に結婚した。
 なぜ友達は、仕事や勉強をしたがるのだろう。あんな退屈でつまらないこと。女の子は可愛らしくし・・・

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茶畑チャリンコ・レーサー

15/03/14 コメント:6件 南野モリコ 閲覧数:1169

 自己新記録を達成したその瞬間、鈴木ショータ(14)の世界は変わった。

 家から学校まで真っ直ぐのびる茶畑の中の県道をショータは毎日、自転車で全力疾走していた。

信号機もなく、車もそれほど通らない。自転車に反射する朝日が眩しい。

 昨日は10分10秒だった。今日こそ10分の壁を破ってやる。


 最近は茶畑の景観をきれいだと言って、都会の・・・

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晩 茶

15/03/09 コメント:10件 南野モリコ 閲覧数:1434

 祖母の死はLINEで知らされた。涙は出なかった。認知症で両親を悩ませていたので、ほっとしたくらいだ。

 父の海外赴任のためロンドンで育った私は、長い休みの度、父の実家に帰省するのが厭だった。愛する人を戦争で亡くした祖母が暮らす家は、祖母と同じように古く、物悲しかった。擦り切れた畳の間、ボーンボーンと時の数だけなる振り子時計、暗く寒々しい台所、年寄り臭い食器が並ぶ食卓、日差しで焼けて・・・

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