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蒼樹里緒さん

https://twitter.com/ao_rio まったり創作活動中です。 コメント・評価等、本当にありがとうございます。個別返信は差し控えますが、とても励みになります。

出没地 都内の某スタジオ近辺
趣味 ゲーム(コンシューマもソシャゲもブラウザも)、小説創作、朗読、我が家のうさぎと遊ぶこと。
職業 ライター兼朗読者(フリー)
性別 女性
将来の夢
座右の銘 備えあれば患いなし

投稿済みの記事一覧

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万国黒板博覧会

17/07/31 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:89

 おれが生まれてもいなかった大昔、学校の教室には黒板ってもんがあったらしい。
 目の前のでっかい透明なケースの中に、それはかざられてた。クラスのやつらも、すげーとか大きいとか言ってコーフンしてる。そのうちのひとりが、担任の先生に聞いた。
「せんせー。黒板は『黒い板』って書くのに、どうして緑っぽいんですか?」
「最初は黒かったけど、黒板を作るための材料とかの問題で、真っ黒よりも緑色・・・

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傷口を開かせる愛

17/07/23 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:79

 突然、このようなお手紙を人づてにお送りしてしまいますこと、お許しください。
 国王陛下の悪政は民を苦しめるばかりか、陛下のご子息の御心までも壊してしまわれたことは、貴方様もよくご存知かと思います。臥せておられる王子の御命も風前の灯火であると、先日聞き及びました。
 我が一族は、長きに亘り王家にお仕えしてまいりました。私の一人息子も、王子の替え玉として生涯を捧げるための教育を受け、王城・・・

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かえりみないかえりみち

17/07/07 コメント:1件 蒼樹里緒 閲覧数:139

 がらごろ、がらごろ。石畳の上を、旅行鞄の四隅に付いた小さな車輪が回ります。その音や拍子が歪に聞こえるのは、鞄を引いて歩く私の機嫌が反映されているせいでしょう。
 姉の困った声が、背にかかりました。
「ねー、なんで怒ってんの? あんたのハムをあたしが食べたから?」
「違います。それは譲ったでしょう」
「じゃあ、あたしが鞄の鍵を前の街に忘れてきて、宿で壊して開けたから?」

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ご近所のにゃんこたち

17/07/03 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:154

 我が家の玄関先に時折ふらっとやってくる、Yさん宅の飼い猫・りーちゃん。とにかく人懐っこい。
 体はキジトラ模様。ぱっちりとした、まあるい眼。白いハイソックスを履いているかのようなすんなりと伸びた四本足で、ほんの少しお尻を振って歩く姿が、とても愛らしい。加えて「み」と「に」の中間音の思いきり甘えた声で鳴きながら、「遊んでー」とばかりに纏わり付く可愛さがたまらない。
 ところが、彼女は可・・・

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清く淀んだ魂の海

17/07/03 コメント:1件 蒼樹里緒 閲覧数:226

 痣だらけの女の腕が、まだ幼かった僕を抱えて海へと導いていく。
 ばしゃばしゃと女の下で波打つ水は、徐々に上がってきて胸の辺りまで浸す。
「おかあさん、どこにいくの? およぐの?」
 純粋に訊いた僕に、女はただ悲しげに微笑むだけで。
 そのまま、二人で沈んでいった。暗い水の中へと。
 頭まで冷たい水に浸かる前に、条件反射で息を吸い込んだけれど。足に錘をつけていた女は、・・・

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ダンジョン『新宿』を攻略せよ!

17/02/07 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:352

 方向音痴のおまえに試練を与えよう――なんて親友の言葉に、まんまとチャレンジ精神を煽られちまった俺も悪いけど。
 ――ここが魔都・東京の大迷宮、新宿駅か……。
 鮮やかなオレンジ色の電車を降りたら、途方に暮れた。立ち止まるだけでも押し流されそうな人波、窮屈なホームや階段、いろんな店があってごちゃごちゃした地下通路。遊園地の迷路系アトラクションのほうが、ずっと楽しめそうだ。
 ズボ・・・

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地獄の沙汰も金次第

17/01/22 コメント:1件 蒼樹里緒 閲覧数:325

 大学生活を春に控えた俺は、インターネットで一人部屋物件を探していた。アルバイトをしながら、家賃も親の仕送りなしで払えるところがいい。
 大学最寄駅周辺のアパートを、絞り込み検索する。候補の中で、やけに安い部屋を見つけた。
 部屋の内装写真のひとつに、ふと目が留まる。
 押し入れっぽい暗がりの中に写っているのは――小さな女の子だ。優しそうな笑顔だけど、肌は蒼白いし、目も落ちくぼん・・・

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聖餐たる冬の夢

16/11/21 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:426

 厳かなピアノの伴奏や、聖歌隊の歌声が、教会の高い天井に吸い上げられるようにして響きました。自分の声もその中にまじっているのが、なんだかいつも不思議です。歌うたびに、私は本当にここにいてもいいのだろうかと、少しだけ迷ってしまうのでした。
 司祭様の指揮の御手がきゅっとまるくなって、私も口を噤みます。礼拝堂に集まった人たちの拍手の波が、またべつの音楽となって奏でられるようでした。最後まで聴いて・・・

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鮮やかなキャンバスの舞台に

16/11/09 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:421

 父が仕事の取引先の人からもらったという美術展の特別優待券が二枚、私の手元に来た。
「俺は暇がないから、友達でも誘って行ってこい」
 そう気さくに言われて、せっかくだから大学の友人と二人で足を運ぶことにした。
 美術館というのは不思議なもので、小さな子ども以外は本当に幅広い年齢の人々が集まる場所だ。平日でも多いのは、やっぱり高齢者や私たちのような学生だけれど。熱心な人は、もう何回・・・

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悪役は俺の得意とするところ

16/10/24 コメント:1件 蒼樹里緒 閲覧数:378

 街灯の光しか射さない路地裏で、一人の青年に暴漢たちが殴り倒されていく。そのあまりの強さに、暴漢のリーダーがビビった。
「ちくしょう、憶えてろよ!」
 ありきたりな捨て台詞を喚くのは、間違いなく自分の声だ。
 ――あ、今日だったのか。
 小さいラーメン屋のカウンター席で、晩飯の味噌ラーメンを食いながら、俺は店内のテレビをちらっと見やる。土曜夜九時から放送の学園ドラマ。主演は・・・

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暗幕が降りるときに銃声

16/10/10 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:306

 部屋の窓に四角く切り取られた夜景は、遠くが鮮やかな橙色に燃えている。陽はとっくに沈んだのに、僅かに西の端に残った夕焼けを見ている気分だ。現場では、今もマフィア同士のくだらない抗争が続いているんだろう。街の連中が、必死に劇場の消火作業をしているのかもしれない。けれど、俺にはもうどうだっていいことだ。
 潜り込んで元ボスの息子の右腕という地位にまでのし上がったファミリーも、この手でやっと潰せた・・・

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涙の止め方を忘れた女-お笑い-

16/10/06 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:373

 あるところに、涙の止め方を忘れた女がいた。女は、嬉しいときも悲しいときも悔しいときも、ひたすらに泣き続けていた。
 ある日、女は広い公園の前を通りかかった。屋外に設けられた舞台やその周りから、歓声や拍手、笑い声が大きな波となって打ち寄せてくる。観客らしい集団の後ろに、女もまざった。舞台上では、若者たちが入れ代わり立ち代わり、漫才やコントを繰り広げているようだ。
 近くの観客に、女は尋・・・

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赤い涙

16/09/12 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:542

 時空保護管理局の任務以外で、ほかの時代へ行くのは初めてだ。高知県出身の同僚の一人が、坂本龍馬の大ファンなんだという。
 夕刻の京都の町並みは、冬の冷気をほんわかとした家々の灯りや人々の賑わいで打ち消しているようにも思えた。薄暗い路地裏を、足音を忍ばせて進む。同僚の男と僕に左右から挟まれ、若い女性リーダーが歩いていた。腕時計型端末で、小さな立体映像の地図を映し出し、辺りの地形や道筋を確認して・・・

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涙の止め方を忘れた女-本屋-

16/08/29 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:754

 あるところに、涙の止め方を忘れた女がいた。女は、嬉しいときも悲しいときも悔しいときも、ひたすらに泣き続けていた。
 夏の陽射しの下、女は小さな古書店に立ち寄った。商店街の裏通りにひっそりと佇むそこには、本の詰められた複数の木箱が、入口前の両脇に並んでいる。『三冊で税込五百円』という手書きの値札もそこに貼りつけられていて、なるほど、と女は納得した。箱の中の本は背表紙も本文の紙もだいぶ色褪せ、・・・

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涙の止め方を忘れた女-裏切り-

16/08/15 コメント:1件 蒼樹里緒 閲覧数:689

 あるところに、涙の止め方を忘れた女がいた。女は、嬉しいときも悲しいときも悔しいときも、ひたすらに泣き続けていた。
 女が小学生だった頃の出来事だ。授業中に気分が悪くなり、保健室のベッドで寝込んだ日があった。休んでも体調が回復せず、母親に連れられて早退した。その帰り道で、母親は娘を苛立たしげに詰ったのだ。
「あんた、私に心配されたくて、わざと仮病でも使ったんでしょ。嫌な子」
 ―・・・

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月替わりメニュー『パピプペポ』

16/08/09 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:501

 自宅近くの喫茶店には、変わった看板が立っている。
 ――月替わりお楽しみメニュー『パピプペポ』、ございます。
 文言はこれだけ。その内容や価格も、注文後のお楽しみというわけだ。といっても毎度超高級品じゃないから、予算は安く済む。
「おいしそうなにおいするー。パパ、はやくはいろうよ!」
「そうだね」
 小さな愛娘にぐいぐいと手を引かれ、僕は木製の少し重たいドアを開けた・・・

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涙の止め方を忘れた女-幽霊-

16/08/01 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:608

 あるところに、涙の止め方を忘れた女がいた。女は、嬉しいときも悲しいときも悔しいときも、ひたすらに泣き続けていた。
 ある夜、女はトンネルの入口を歩んでいた。街灯の光が仄かに闇を照らす中で、一人分の足音だけが反響する。生暖かい夏の風が、女の短い黒髪や、同色のワンピースを撫ぜていった。
 やがて、中ほどまで進んだ時。ひゅう、とやけに冷えた風が吹き抜けた。女の肌が粟立つ。
「驚いた。・・・

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涙の止め方を忘れた女-ダンス-

16/07/29 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:544

 あるところに、涙の止め方を忘れた女がいた。女は、嬉しいときも悲しいときも悔しいときも、ひたすらに泣き続けていた。
 ある日の昼下がり、川原を歩いていた女は、土手の高架線の下でテントを見かけた。ビニールシートや適当な資材で組まれた雑な作りで、そこの住人らしい男も見た。伸ばしっ放しの白髪は、蛇のようにのたうって乱れている。全く洗っていないのだろう、色褪せた服も、ところどころ破れてボロボロだ。<・・・

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散る散る花火の水飛沫

15/08/19 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:741

 花火がずっと空に咲いていてくれたらいいのに──なんて、子ども心に願っていた。

 水泳部の強い中学に進学したがった兄がその地域へ引っ越す前、ふたりで地元の神社の夏祭りに行った。
 兄も私も母に浴衣を着せてもらって、おこづかいを持ってうきうきしながら神社へ歩いたのだ。
 赤くて大きい鳥居をくぐると、縁日の通り沿いにつるされた提灯のまぶしさや、おいしそうな食べ物のにおいに出迎・・・

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剽窃者の言い訳

15/08/18 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:731

 数か月まで、僕には好きなゲームがあった。インターネット上でブラウザを立ち上げればすぐにプレイできて、システムのほとんどが自動で済むという手軽さは、周りの人たちにとっても暇潰しにちょうどよかったんだろう。利用しているSNSもそのゲームの話題であっという間に埋め尽くされて、僕も次第に興味を持っていった。
 ――そんなに面白いのかな。
 公式サイトを見てみると、確かにコンセプトにもキャラク・・・

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廃賓回収車

15/07/07 コメント:2件 蒼樹里緒 閲覧数:936

 世の中には、便利な業者がいるものだ。不用品どころか不要な人間まで引き取ってくれるなんて。
 作業服姿の男たちが、私の家からゴミ同然の家具類を運び出し、門前の大型トラックにせっせと積んでいく。
 引っ越しをするわけじゃないけれど、要らないと判断したものはすぐ捨てて買い替える主義だ。この業者には、以前から何度も世話になって感謝もしている。
 作業員のリーダーが、私に愛想よく声をかけ・・・

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名前のない猿の物語

15/06/25 コメント:1件 蒼樹里緒 閲覧数:796

 吾輩は猿である。名前はまだない。
 なーんて、私の子どもはしゃべれるような歳でもないし、そもそも雌だ。かわいいかわいい娘は、今日も私の腕の中でお乳を飲んでぐっすり眠っている。猿山の柵越しに、人間たちがこっちを眺めてわいわいがやがやしても、おかまいなしだ。
 すっきり晴れ渡った青空の下、さわやかな春風が吹き抜けて、私たちの毛並みを穏やかに揺らす。
 ふと、私のそばに夫が寄ってきて・・・

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来る者拒まず

15/05/22 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:829

 石造りの大きな鳥居を、大勢の人間たちがくぐっていく。その手前の道をクルマとかいう機械がうるさく行き交い、神社の祭囃子も相まって、いろんな音が夕暮れの空気にまざり合っていた。
 鳥居の脇に佇むぼくの横を、人間たちは素通りする。ぼくの姿が視えるやつは、ごくまれだ。たとえば――いま道の向こう側にいる、浴衣を着た女の子、とか。
 隣の少年と楽しそうにしゃべっていた彼女の視線が、ふとこちらに向・・・

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黄昏る前に、はやく

15/05/22 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:833

 太陽が橙に色を変え、西の空に傾き始めた頃。どこからか、祭囃子の音が響いてきた。
 近所の神社の夏祭りは、先週の土日に盛況のうちに終わったのに。この町には神社がもう一箇所あるが、こっちにまで神輿は来ないはずだ。
 高校帰りの道で足を止め、僕はついその音に耳を傾けた。静かな住宅街にそれはだんだん近づいて大きくなるものの、周りの家からもほかに人が出てくる気配はない。ただ、あざやかな橙に照ら・・・

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サボテンの守る部屋

15/03/23 コメント:2件 蒼樹里緒 閲覧数:1035

 今夜もまた、部屋中の家具という家具が暴れ出す。
 ガタンッ。ガタガタガタッ。
 このアパートに来て以来、私の睡眠時間は削られまくる一方だ。布団の中で指一本動かせずに固まったまま、私はぎゅっとまぶたを閉じて耐えていた。真夜中に欠かさず襲いかかってくる嵐は、棚やタンスにしまっているものまで容赦なく落としていく。さすがに三日四日続いてからは置き場所を変えて、今は物が割れる音は聞こえなくなっ・・・

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僕は花園で夢を視る

15/03/11 コメント:1件 蒼樹里緒 閲覧数:910

 僕が小学生の頃、通学路の途中には大きな洋館が建っていた。一体どんな人が住んでいるんだろうと、不思議な気分で見上げていた。広い庭には四季折々の花も咲いて、いつも色々な植物の匂いも漂ってきたものだ。
 風に湿気もまざり始めた、六月の朝。その家の木には、白い花が咲いていた。円錐形の枝にいくつも寄り集まったそれは、三角帽子にも見える。
 その日は、一匹の蜂が花の蜜を採っていたから、子ども心に・・・

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ドミノと敵は倒すもの

15/02/25 コメント:2件 蒼樹里緒 閲覧数:903

 コートのエンドラインぎりぎりで、白いボールが強く弾んで高く跳ねる。壁のほうまで行ったそれは、ぶつかってころころと減速した。
 精度は上がってきた。もう一本。次は逆側の角を狙う。息を長く吐き出して集中する。伸ばした左手につかんだボールを、また宙へ投げようとしたときだった。
「あれ? 先輩、まだ残ってたんですね」
 無邪気な声に、俺の動きは止まる。体育館の入口から、後輩の男子がひょ・・・

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悩み人混み神頼み

15/02/24 コメント:5件 蒼樹里緒 閲覧数:931

 スクランブル交差点の人波に交ざると、自分がちっぽけに思えてくる。この街から、すべてが始まったのに。
 青信号で周りが動き出しても、俺の足取りは重たいままだった。靴の裏から伸びる影が、地面から引っ張っているみたいに。
 モデルにならないか、とスカウトされたのが、高三のとき。大学に入った今じゃ、俳優としてドラマにもちょい役でたまに出させてもらえるようにはなったけど。知名度は、街を素顔で歩・・・

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