1. トップページ
  2. つつい つつさんのページ

つつい つつさん

twitter始めました。 @tutuitutusan

出没地 京都
趣味 音楽聞きながら散歩すること
職業
性別 男性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの記事一覧

0

面影ポロポロ

17/12/17 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:22

 私は鏡を見るのが好きだ。朝起きて顔を洗う前の自分の顔も、外を歩いていてふとガラスに映る自分の顔も、寝る前に歯磨きする時に見る自分の顔も好きだった。だからって自分がカワイイなんて自惚れてるわけじゃない。だいたい私の顔なんてクラスでも真ん中か、真ん中よりちょっと上くらいってのが自己評価だ。だけど、自分の顔を見ると落ち着くから、ついつい見てしまっていた。
 中学に入っても基本は給食だったけど、な・・・

0

ONE

17/12/01 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:88

 物心付いた頃から妻はいつも僕の隣にいた。僕たちは同じマンションの同じ階に住んでいて、生まれた日も同じ、星座も血液型も一緒で、ずっと兄妹か双子のように育てられた。
 そして幼稚園、小学校、中学校、高校、大学まで僕たちは同じ学校に通った。思春期になり、中学生になると当然のように妻と付き合い、そして二十五歳の時、当たり前のように結婚した。
 はっきり言って僕たち二人より愛し合っている人なん・・・

0

ひとやすみ

17/11/18 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:139

 山間の集落に突如現れたオオタさんはハルちゃんの家で預かることになった。ハルちゃんの家にはおじいちゃんとおばあちゃんしかいなかったから、若い働き手として三十代のオオタさんは大いに期待された。
 オオタさんはこの集落に来る前のことはぼんやりとしか覚えていないらしく、集落の川沿いの道をただうろうろしているところを発見された。
 オオタさんは自分は営業マンで、車でいろいろなところを廻っては商・・・

0

先生失格

17/08/26 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:212

 今日の体育の授業はドッチボールだった。赤チームと白チームに分かれて白熱した戦いになり、赤は裕哉が中心となってよくまとまっていた。相手チームにボールが渡ると、「右からきてるよ」「後ろ、後ろ」「左に逃げろ」と、裕哉がみんなに指示を出し、うまく逃げていた。一方、白チームは龍雅のワンマンチームだった。龍雅は指示や声を出すわけでもなく、それでも小学四年生にしては大きな体格を利用して、強く鋭い球を投げて赤チ・・・

0

カッコウかモズか白鳥か

17/08/13 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:284

 子供部屋のドアが開く。あきこママの「そろそろ起きる時間よ」と呼びかける声がした。私は体を起こすと先にシャワーを浴びることにした。
「希ちゃん、おはよう」
 私も「あきママ、おはよう」と返す。あきこママは隣のベッドで寝ている悠香の体を揺らす。
「あんたも早く起きなさい」
 悠香は朝弱いから、あと五分はぐずぐずしているだろう。リビングでは、まことパパがスーツを着て、もうカバン・・・

1

旅の記憶

17/07/30 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:266

 嘘みたいにガタガタと揺れ、キーキーとものすごい音を立てながら進む列車に、僕はネジの二、三本もはずれてんじゃないかと心配になった。乗り合わせた人達は気にならないらしく何事もないように大人しく座っている。
 降り立った村はガイドブックにも載っていない、ただ果樹園が広がるだけの辺鄙な村だった。これまでリュック一つで外国のいろいろな町や観光地を巡ってきたけど、ふと、全く何の情報もないところに行って・・・

0

素晴らしい時間

17/06/17 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:279

 そろそろレッスンが始まってから七五分経つ。終了まであと一五分だ。講師の高橋さんは期待と不安の入り交じった表情で私や私の指先を見ている。レッスン四回目の私のたどたどしい指先は、ボローンだの、キーンだの、ピィーンだの、不安定な音を紡ぎながらぎこちなく動いている。
 およそ一か月前からピアノのレッスンに通っていた。たまたま仕事の資料を探しに行った本屋の前で体験レッスンに参加しませんかと捕まったの・・・

0

あの頃の友達

17/06/04 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:320

 朝九時、部屋でくつろいでいると、ドアを激しくドンドンと叩く音がして慌てて開けると、母さんが血相を変えて立っていた。
「稔、なんか変な人が来たの。どうしよう。警察呼んだほうがいいかな」
 母さんを落ち着かしてから話を聞くと、誰かが訪ねて来たのでインターフォンで応対すると、変な男が「みのりくーん、あっそっぼ」って、大声で手を振っていたそうだ。確かにそれはおかしかった。三十を過ぎた僕のとこ・・・

1

選ばれた人

17/05/20 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:335

 ハイキングコースを歩き始めて一時間半くらい経つ。少し日差しはきつかったが、時折吹く風が心地良かった。私は近くの小学校に通う恵麻ちゃんと美月ちゃんと話しながら歩いた。恵麻ちゃんは最近ファッションに夢中らしく、よれよれのジャージを着た私を見て「涼香ちゃん、いくらハイキングって言っても、もうちょっとカワイイの着ないと駄目だよ」と呆れられた。そんな恵麻ちゃんは動きやすいけど可愛らしいファッションで、とて・・・

2

天涯孤独な恋の終わらせ方

17/05/04 コメント:2件 つつい つつ 閲覧数:404

 仕事が終わり最寄り駅を降りると、駅前のパン屋さんまで急いで走った。あと10分くらいで閉まってしまう。パン屋に駆け込みショーウィンドウを覗くと、シンプルだけど美味しそうなケーキが並べられていた。優柔不断で心配症な僕は、ショートケーキ、チョコレートケーキ、フルーツタルト、シュークリームの4つを選んだ。二人しかいないんだけどナツコさんに好きなのを選んでもらえばいい。レジでお金を払っているとき、ナツコさ・・・

0

都会からきた女

17/04/22 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:307

 マリーの葬儀は教会でしめやかに行われた。70年の生涯だった。たくさんの村人が参列し、皆、マリーの生前の温厚で穏やかな人柄を偲び花をたむけた。そんな中、一人の女が教会にやってきた。
「あの女なにしに来たんだ」
 皆がポカンとしながら不審な目で見る中、ボブやアーロンなどはあからさまに顔をしかめ、その女を睨みつけた。
 その女が村はずれに住み始めたのは、ちょうど1年くらい前だった。都・・・

6

パパより

17/04/09 コメント:10件 つつい つつ 閲覧数:526

 花ちゃん、元気にしてますか。パパは元気かどうかわからないですが、とにかく生きています。この前、公園で拾った新聞を久し振りにじっくり読んで気づきましたが、パパが家を、ママを、君を捨ててから、もう2年以上経っているのですね。もう、君はこの春から中学生になるのかな。そばにいられないことを申し訳なく思います。
 40を過ぎてママに出会い、結婚し、君が生まれてすくすくと育ち、小学校に入り、そして、パ・・・

0

ブラッドスポーツ

17/03/26 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:278

 夜、お風呂に入ろうとお風呂場に入ると、浴槽の横のスペースに無造作に髭剃り用のシェーバーが置かれていた。あの日以来、カミソリはおろか、シェーバーだってお風呂場に持ち込むことはなかったのに……。

 競馬はブラッドスポーツと呼ばれているらしい。血統を遡ると世界中の全てのサラブレットは3頭の馬にたどりつくらしい。酔っぱらった父親から何回も、何百回も聞かされたセリフ。そんな父親は、毎週日曜日・・・

3

学校に行こう

17/03/11 コメント:5件 つつい つつ 閲覧数:472

 お弁当の時間が終わり、五時間目の社会の授業が始まると、みんなスマホを持ってワクワクしていた。社会の村上先生は高齢で周りのことに気づかないから、みんな堂々とスマホを見ている。
(今日のスパイス ほうれん草のおひたしin酒井のフケ&耳垢まぶし)
 クラスのグループラインに結果が流れると、みんな「うげっ」とか、「最低っ」とか、つぶやいている。これが毎日恒例の行事だ。今まで僕のお弁当に、グラ・・・

1

PERFECT WOMAN

17/02/23 コメント:2件 つつい つつ 閲覧数:360

 一ノ瀬麗(うらら)は、完璧な女性である。であるからして、彼女は誰よりも綺麗で、誰よりも優秀でなければならない。
 今日も彼女は幼稚園のお歌の時間に、Twinkle,Twinkle,Little Starと、ネイティブで美しい歌声を披露し、注目を集めた。友達のみんなは、こぞって「麗ちゃん歌手みたい」、「麗ちゃんすごい上手」、「麗ちゃん、英語も出来るんだ」と、はやしたてた。
 しかし、彼・・・

0

バトン

17/02/10 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:371

 雑多なビル街をさっきコインランドリーで洗った洗濯物を入れたコンビニのビニール袋を持ってうろつく。ここは夜はネオンの光で煌々と照らされ艶やかな街だが、昼間は人も少なく、薄汚いだけだ。夕方までは誰も来ない八階建ての汚いビルの屋上に勝手に洗濯物を干す。この前道で拾ってきた革張りのイスに座り缶ビールを飲みながら昼寝をする。死ぬときは洗濯物と一緒に自分の首でも吊ってやろうか、なんてぼんやりと考える。

4

開かれた世界

17/01/22 コメント:2件 つつい つつ 閲覧数:584

 土曜日の夕方、誰かがアパートのドアを叩いた。今まで突然部屋を訪ねてきた人なんかいないし、そもそも友達にも会社の同僚にもアパートの場所は教えていない。新聞か宗教の勧誘だろうとしばらく無視していたけど、あまりにしつこく叩き続けるからドアを開けた。
「隣の三〇五号室の柏木です」
 たまにすれ違う三〇代の痩せこけて貧相な男が立っていた。
「あの、壁に穴を開けてしまって」
 そう言・・・

0

ピューっと鳴る音

17/01/14 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:326

 家に帰ると急に疲れが出た俊彦はリビングのソファにぐっと腰を下ろした。今日は昼から妻の香織と息子の大樹と公園で遊び、夜はファミレスで食事をして一日を過ごした。
「お疲れなさい」と、香織がコーヒーを用意してくれた。
「大樹、もう寝たのか?」
「うん、一日遊んだから、もうおふとん入ったとたん寝ちゃったわよ」
「それにしても大樹、サッカーうまいな。どこかサッカーチームでも探そうか・・・

0

お望みの人生

16/12/25 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:426

「五分ほど階段を上がれば、天国に着きますから」
 ふと目を開けると、面識のない人の良さそうなおじさんに言われた。なんのことかわからず辺りを見渡したけど、ぼんやりと白く光る空間にただ階段だけが存在していた。さらにわけがわからなくなり、そのまま立ち尽くしていると、おじさんが心中お察し申し上げますって表情でうなずいた。
「あの、あなた死んだんです。交差点で信号無視して突っ込んできた車に轢かれ・・・

0

聖なる夜の嘘つきさん

16/12/11 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:355

 わたしは自慢じゃないけど嘘なんてつかない。学校の先生にだって「穂奈美ちゃんは正直でよろしい」なんて言われるし、いつだって自分の思ったことをまっすぐ言う。だけど、今悩んでる。もうすぐクリスマスだっていうのに考えすぎて頭が痛い。わたしは正直なままでいいのかな。
 昨日の朝御飯の時もそうだった。わたしはママについ思ったことを言っちゃった。
「ねぇねぇ、今年もうちにはサンタさん来ないの?」<・・・

1

嫌な奴ランキング

16/11/13 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:337

 そういえば女子を泣かせたことあったな。

 平日の昼間から美術館に入ったのは絵に興味があったわけではなく、時間を潰したかったからだ。営業で得意先回りをしている時、急に二、三時間空いてので、ファミレスかパチンコでも行くかとも思ったが、たまたま貰った美術館の招待券が財布に入ってることを思い出し行くことにした。
 美術館に入ると、平日のせいか人はまばらだった。説明書きを読むと並べられ・・・

0

グダマ・モホホフ・アウィッチ族の習性

16/11/07 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:452

 今月の森の通信では、愛らしくてみんなに愛されるグダマ・モホホフ・アウィッチ族の興味深い一日を特集します。
 まずグダマ・モホホフ・アウィッチ族は朝日が昇ると、みんな果樹園に集まります。
「やあ、みんなおはよう。爽やかな朝だね」
「おはよう。今日も素晴らしい一日になりそうだね」
「今日も太陽が顔を出してくれたことに感謝だね」
 方々で明るく元気な挨拶が交わされると、何・・・

0

ピースメーカー

16/10/29 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:508

 ラズ兄ちゃん達の帰りを待つため、見晴らしのいい高台に座っていた。戦いに出かけて一週間、そろそろ戻る頃だった。
「ハウリー、まだみんな戻ってこない?」
 振り返ると、幼なじみのルーラムがいた。
「でも、毎日偉いね。みんなの帰りを待つなんて」
「僕はまだ、戦いに参加出来ないから」
 そう、僕はもうすぐ十四歳になる。だけど、右手の刀はペラペラのままで、紙一枚切れやしない。・・・

0

おもしろい私

16/10/15 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:497

 日曜日のお昼、私は自分の中ではオシャレめな服でお笑いライブが行われている劇場に入った。だいたい月に一回のペースで来ている。なにもない私の唯一の趣味だ。今日もたくさんの芸人さん達が漫才やコントで私を笑わしてくれる。私はいっぱい笑いながら感心する。なんでこんなにうまくしゃべれるのだろう。なんでこんなに会話だけで人を笑わせることが出来るんだろう。私もこんな風におしゃべりできるセンスがあったら、どんなに・・・

1

幸せの基準

16/09/22 コメント:2件 つつい つつ 閲覧数:674

 島崎は家の権利書をサッと、取り上げる。七十を越えた老婆が愕然とした表情で島崎を見る。
「じゃあ、佐々木さん、一ヶ月以内にここ出て行く準備しといて下さいね」
「家まで失って、この先どうやって生きていったら……年金もないのに」と老婆は、おいおいと泣きじゃくる。
「準備出来たら連絡下さいね」
 島崎は泣き崩れる老婆に眉一つ動かさず一礼すると部下の水口と共に家を出た。

0

はじまりのオワリ

16/09/08 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:763

 白い壁の四方八方に出鱈目に書かれた正の字を数えるだけで彼の一日は終わってしまった。今日で数えるのは五回目になるが、毎回途中で正確な数がわからなくなってしまい、おおよそ三千五百ということしかわからなかった。それは、彼が初めて中学校をサボった日に何気なくマジックペンで壁に書いたのがはじまりだった。
 壁を見つめ続けたせいで目の奥がチカチカする彼はそのままベットに倒れ込んだ。目を閉じても正の字の・・・

1

明けない夜の中を漂う

16/08/16 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:573

 十二時を過ぎ昼休みに入ると、笹岡はいつものように弁当箱を取り出す。部下の佐々木が弁当箱の中身を覗き込む。
「課長、今日も美味しそうなお弁当。毎日大変ですね、美優ちゃんの分もあるし」
 笹岡は苦笑しながらも「もう慣れたよ」と答えた。妻に二年前病気で先立たれ、それからは娘の美優の分も弁当を作るのが当たり前になった。そんな笹岡は娘想いのいい父親として評判だった。
 少し残業して、九時・・・

1

ありふれた言い訳

16/08/03 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:532

 東京駅を出て、もう三時間以上経つ。津本香里は隣に座る恋人の泉野愁(しゅう)の存在は気にしながらも、まだひと言も言葉を交わしていなかった。
 愁と付き合って一年以上になる。香里は愁のことが誰より大切で、ずっと一緒にいたいと願っていた。そして、一ヶ月前、香里の三十歳の誕生日、ついに愁からプロポーズされた。これからも幸せな毎日が続くと思えたその時、それは突然始まった。
 香里がプロポーズを・・・

2

一握れない感情

16/07/20 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:593

 放課後のひっそりとした教室の中で沢木和哉が机の上に座り、少し腫れて赤くなった左頬をさすっていた。
「智士、あいつなんなんだよ」
「智士の気持ちもわかってやってよ」
 傍に立つ川上薫がやれやれといった顔で和哉を見る。
「でもさ、最初パピプペポになるって言い出したの智士なんだぜ」
「いつの話? 幼稚園の頃じゃない」
 教室の窓からピピィーというホイッスルの音が一際・・・

3

DANCEと夜風よ、さようなら

16/07/10 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:691

 オフィス内の冷房の温度は暑がりの部長に合わせて一八度となっている。花澤紗英はシャツの上にカーディガンを羽織っても尚、少し肌寒かった。ただこの冷たさが午後三時の眠気を奪ってくれることは有り難かった。伝票を入力していた手を止めると、斜め向かいで同じくパソコンに向かい合っている先輩の村田月子の様子を伺う。
 黒い長めの髪を後ろに束ね、銀色のシンプルな髪留めで髪をとめ、黒縁メガネで画面とにらめっこ・・・

3

普通なんてイヤなのっ!!!

16/06/25 コメント:2件 つつい つつ 閲覧数:659

 昼休みのチャイムが鳴る。担任の小林が張り切っている。
「今日は月一回の弁当の時間だぞ。楽しめ。取り替えっことかしろっ! なっ、なっ!」
 中二にもなって、弁当ぐらいで騒げるかよって思いながらも仲川麻琴はママがどんなおかず作ってくれたのかドキドキしていた。麻琴のクラスは弁当の時だけ班で机を並べる決まりになっており、麻琴は高木花子と学級委員長でもある諏訪篤志と水森裕太と四人で席を合わせる・・・

4

もう一軒寄ってきますか

16/06/08 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:725

 繁華街は金曜日の夜だけあって人通りも多く、がやがやと賑わっていた。同業者グループの懇親会に参加した敏彦達四人は、この後どうしようかと悩んでいた。
「ちょっと歩いたとこに、いい蕎麦屋があるんだよ」
 ベテラン社員の松田が提案すると、同じくベテランの林が不満気な顔で言い返す。
「蕎麦って、昼飯じゃないんだから」
「いやいや、一品料理も揃ってるし、たまには蕎麦で一杯なんてのもい・・・

6

友達に会える日

16/05/29 コメント:6件 つつい つつ 閲覧数:971

 把空薔薇(バーバラ)ちゃんはいつものようにお気に入りの絵本を寝そべりながら読んでいます。そこには、クジラ、サメ、イルカ、ジュゴン、アザラシ、セイウチ、トドなどの海の生きもの達の写真や可愛いイラストがたくさんのっています。その中でもバーバラちゃんは特にイルカさんが好きです。いつかイルカさんと仲良くなって、いっぱいいっぱい遊びたいなって思っています。
 バーバラちゃんは、すくっと立ち上がるとリ・・・

4

サイコーな一人旅

16/05/13 コメント:2件 つつい つつ 閲覧数:729

 大学生になり、初めてのGW。僕は前から憧れていた一人旅に出ることにした。ぶらりと知らない場所に訪れて、森や川や自然の景色を堪能したいって思ってたけど、高校生の時は、なかなか泊まりの旅は許してもらえなかった。だけど大学生になり親も国内ならって、許してくれることとなった。
 僕はあえて行き先も決めずに始発の電車に飛び乗り五時間後、昼前には来たこともない田舎町に降り立った。リュックひとつに寝袋を・・・

1

気に食わない!

16/04/29 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:616

 俺の家は華道教室を開いている。といっても、田舎町の小さい華道教室だけど。でも、町ではそれなりの名家として通っているから、俺は家を継ぐため週に一回新幹線で家元に赴き稽古している。修行は楽ではないが、さすがに家元だけあってその技も華やかさも飛び抜けていて全てが為になることばかりだったし、勉強するのは楽しかった。だけど、一つだけ気に食わないことがあった。それは、次期家元でもある若先生のことだ。
・・・

3

おもちゃ

16/04/17 コメント:2件 つつい つつ 閲覧数:654

 私の目に映る世界は灰色だった。一流会社で働き、美人の妻や可愛い娘、それに友人や知人もたくさんおり幸せなはずだった。端から見ると私は順風満帆でバラ色の生活を送っているように思えただろう。しかし実際見えているのは、くすんで薄汚れているだけのつまらない光景。周りにあるもの全ては無意味で色もなく私に必要のないものばかりだった。
 私はそんな中、周りに悟られないよう仕事熱心な男を、ユーモアのわかる友・・・

3

間違った人生

16/04/03 コメント:2件 つつい つつ 閲覧数:620

 夜の八時になった。もう夕食も食べたしテレビを見てもつまんないし、スマホのゲームにも飽きた。かといってLINEするような友達もいない。仕方ないから、いつものようにぶらりと出かける。
 コンビニを越えて本来なら人通りの少ない工場跡の空き地に行く。中学生の女子ひとりでこんな寂しい道歩いたら危ないんだけど今日も賑わっていたので安心だった。町内会長やらPTAやら、近所のおじさん、おばさん連中が集まり・・・

4

通行人Aの幸せな一日

16/03/21 コメント:4件 つつい つつ 閲覧数:707

 ガラス越しに魚と目が合う。君は確か「クエ」だったか。高級魚らしいね。僕とは全然違う。
 修学旅行で水族館に入るなり僕の班のメンバーは休憩所でジュースを買って座っている。それぞれスマホいじったり、ぼーっとして中は見学しないらしい。修学旅行といえば中学生活でも最大のイベントともいえるのに、みんなニコリともせず、つまんなさそうな顔で過ごしている。でも、その気持ちはわかる。僕の班はクラスの中心メン・・・

4

芽吹かない季節にとどまる

16/03/09 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:649

 電車に二時間揺られて東京のはずれにある小さい映画館に来た。原作の大ファンだったユウキに俺達が生まれるずっと前に映画化されたこの作品を大きなスクリーンで観たいって懇願するような目で頼まれたからだ。
 今日は格別に冷え込んでいた。ダウンジャケットにマフラー、手袋にカイロと完全装備にしてるけど、それでも寒かった。映画館の前には三十人くらいの客が待っていたけど、誰もが寒そうにして、じっとしてらんな・・・

0

同居人の鈴木君

16/03/02 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:591

 今日も飲み会は盛り上がっている。俺が所属している大学のサークルの集まりで大勢で飲んで騒いでいる。
「清人君、なんか企画考えてよ。どっか遊びに行きたい」
「奈南ちゃん、カメラ好きだったよね。じゃあ、旅行行かない? フォト旅行。みんなで写真撮って見せ合うの」
「おっ、清人いいじゃん。俺も行く」
 俺は自分で言うのもなんだけど、社交的で明るく人気者だ。LINEはいくつものグルー・・・

5

醤油味のカップラーメンがやけにしょっぱかった話

16/02/16 コメント:6件 つつい つつ 閲覧数:737

 突然、会社から有給休暇の消化を命令され、唐突に平日に休みになった僕はなんとなく前から気になっていた近所の地方競馬場に行くことにした。今まで競馬どころかパチンコだってやったことがないのに晴天の霹靂みたいな休みに気分が少し舞い上がっていたのかもしれない。
 初めて足を踏み入れた地方競馬場は、けもののにおいがした。ちらほらいる客はみんなまともな社会人には見えず、普段何やっているのかさっぱりわから・・・

5

惨劇、再び!

16/02/04 コメント:6件 つつい つつ 閲覧数:669

 よりによって、成人式の後にお茶会をやるだなんて、どうかしてる。町のお偉いさんが落ち着いた大人の女性になってほしいと企画したらしい。もう、あの事件を忘れたのだろうか。いや、たぶん知らないのだろう、私達が中学生の時に起こった、あの惨劇を。
 成人式を行う町の公民館は、たくさんの人で溢れていた。もちろん私も参加し、久しぶりに中学の時に仲の良かったリサとエツコにも会った。
「しかし、サキには・・・

5

太宰、三島なんか読みたくない

16/01/07 コメント:6件 つつい つつ 閲覧数:958

 勉強机に座って、便箋を取り出す。手紙なんて書くの初めてだから、なんて書き出したらいいのかわからない。とりあえず、日菜子ちゃんの好きなラノベの感想でも書こうかな。
 そもそもなんで手紙なんて書くことになったのかというと、冬休みに田舎のじいちゃん家に帰ったら日菜子ちゃんに再会したからだ。日菜子ちゃんは、じいちゃん家の近所に住んでいる同じ年の女の子で小学校に入るくらいまでは田舎に行くたびに遊んで・・・

1

贅沢過ぎる愛

15/12/22 コメント:2件 つつい つつ 閲覧数:645

 またいつもの公園で弁当を食べている。もう彼女と別れて三ヶ月にもなるのに、休みの度に彼女のマンションの有ったこの街で彼女と過ごした時間を思い返してしまう。今日も二人でよく行ったスーパーで弁当を買い、彼女と並んで座ったこの公園のベンチに座っている。
 別れは突然だった。別に僕が彼女のことを嫌いになった訳でも彼女が僕のことを嫌いになった訳でもなく、僕が浮気した訳でもなく、もちろん彼女が浮気した訳・・・

3

あるカメラマンの問いかけ

15/12/10 コメント:2件 つつい つつ 閲覧数:684

 この国は今、革命の気運に飲み込まれていた。長らく続いた軍事政権の独裁から民主国家に生まれ変わろうと、あちこちで政府軍とゲリラ軍が衝突していた。俺はそんなこの国の様子を世界に伝えようとカメラマンとして戦場を渡り歩いていた。
 取りためた写真を各国メディアに売りつけようと国境沿いの比較的安全な街にあるエージェントの入っているビルに着くと、最近知り合った日本人カメラマンのタナカが憤慨した様子でビ・・・

1

Aグループ

15/11/26 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:578

 私は地味で冴えない存在だった。背だけはひょろひょろ高いから目立つはずなのに、いつも教室の隅にひっそり座ってるだけの居るのか居ないのかわからない人間だった。同じクラスの子に「秋本ひかり」って聞いても誰だかわからずポカーンとするんじゃないかって思う。だけど、中学を卒業する時、あまりにも自分の思い出がしょぼすぎて、つまらなさすぎて、嫌になった。泣きたくなった。だから変わろうと思った。
 高校に入・・・

2

寝る女

15/11/15 コメント:2件 つつい つつ 閲覧数:656

 この街に来るのは久しぶりだった。専門学校を卒業して以来二年ぶりか。ぶらぶらと歩くだけで、よく行ったカフェやカラオケがあって、あの頃の思い出が甦り楽しかった。
 向こうから歩いてくる女の人を見て、ぎょっとした。その女の人は、いわゆるゴスロリ、黒を基調にしたクラシカルなロリータファッションを身にまとっていた。ただ、ゴスロリの格好に驚いたわけじゃない。それくらい、しょっちゅうってわけじゃないけど・・・

1

ショートサマーランドの神秘

15/11/03 コメント:2件 つつい つつ 閲覧数:715

 その村には一つの伝説があった。百年に一度咲くと伝えられるショートサマーランドの神秘と名付けられたその花を捧げられた女性はたとえ相手がどんな男性であろうと、プロポーズを受け入れると。それほどまでにその花は美しく、その花を捧げられることはその村の女性にとって名誉なことであった。そして、今年がちょうど、前回その花が現れてから百年目の年と言われていた。
 僕はこの村一番の美人エレーヌに惚れていた。・・・

2

リア充

15/10/20 コメント:4件 つつい つつ 閲覧数:806

「祐一って、相変わらずリア充だよな」
 久しぶりに高校時代のサッカー部の仲間五人で飲んでいると、川村が感心したように俺に言った。
「なんだよ? バカにしてんのか?」
「いやいや、高校の時からお前ってなにやっても、うまくいくなって思ってたけど、変わらないなって」
 俺は昔からリア充って言われる。端から見るとなにもかもうまくいってそうな俺のことを周りはいい意味でも悪い意味でもリ・・・

4

光射す朝

15/10/04 コメント:8件 つつい つつ 閲覧数:996

 もう十二時過ぎてる。そろそろ寝ないと、明日は早番なのに。でも、大丈夫かな、今日夕方の混雑時に来たお客さん、カード払いから急に現金払いに変更したから、慌てちゃってよく覚えてない。レジ待ちのお客さんもいっぱい並んでたし。あれ、一万円だったよね。五千円じゃないよね。もし違ってたらレジチェックの時、五千円も合わなくなる。先々週も何千円か合わなくて私のせいにされたし、今度あんなことがあったら、何言われるか・・・

0

日本縦断3000km

15/09/23 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:774

 じゃがいもの収穫が終わった。今年は長雨が振ったりして、一時は売り物になる程大きく育たないんじゃないかって心配した。でも、収穫したじゃがいもは、少し小振りだけど、ちゃんと農協に卸せるサイズだった。
 俺は首にかけていたタオルで額の汗を拭いひと息つくと、隣で嫁の美佳もほっとした様子で俺を見ていた。農業は自然との勝負だ。毎年収穫期に思うことは嬉しさよりも今年もちゃんと育ってくれてありがとうって感・・・

2

リセット

15/09/12 コメント:4件 つつい つつ 閲覧数:900

 教室に入ると有希乃が真っ青な顔で私のほうへ駆け寄ってきた。
「美沙、今月でスタレボ終わるんだって!」
「嘘でしょっ……そんな」
 スタレボは男性アイドルがデビューしてトップに登りつめる様子を描いたアニメで、もう三年以上放映が続いていて、私は小学生の頃からスタレボにハマり、この前も劇場版アニメの第三弾を有希乃と観に行ったばかりだった。
「美沙、私、秋人君にもう会えないなんて・・・

2

お祭り男

15/09/05 コメント:3件 つつい つつ 閲覧数:1002

 となりでたこ焼きの露店を出している源さんが俺んとこにきた。
「よぉ、達、五十円玉ねぇかい? 切れちまったんだ」
「ああ、あるよ。源さん、六五〇円なんて中途半端な値段にしないで、六〇〇円にしろよ」
「バカヤロー! その五〇円が大きいんだよ。うちは、いいタコつかってるからな」
「それが源さんの店の人気の秘密か」
 源さんはさっさと五〇円玉よこせってせかしてくる。
・・・

3

回復

15/08/15 コメント:7件 つつい つつ 閲覧数:1095

 何も浮かばない。何も描く気がしない。何のために描くのかわからない。描いたところで意味あるのかって考える。たぶん、あれからだ。十日前のあの日から、俺はおかしくなった。
 俺は今年で三三になる。だけど、別に働いちゃいないし、働く気もない。そう、俺は堂々と親のすねをかじって生きている。そして、それを恥じる気も全然ない。だからといって、無気力にだらだらと過ごしているのかというと、そうではない。俺は・・・

2

甘い罠

15/08/02 コメント:3件 つつい つつ 閲覧数:920

 僕は今自分がいる状況が信じられなかった。駅前のお洒落なカフェバーで綺麗な女の人と向かい合わせに座り、遅めのランチを取っていた。もう二八歳になるけど、デートなんてしたことなかった僕は、手なんか震えてるし、顔なんてひきつってるだろうけど、彼女はそんなこと全然気にする素振りも見せず楽しそうに笑っている。こんな天使のような女の人が存在するなんて今まで思ってもみなかった。
 綺麗な人はいくらでもいる・・・

0

大変な美人

15/07/19 コメント:1件 つつい つつ 閲覧数:1119

 美人に生まれたからには、平凡な人生を歩んじゃいけないと思う。普通の人とは違う人生を歩む必要というか宿命があると思う。まあ、美人の度合いにもよるけど、アイドル、女優、モデル、女子アナ、最低でもそれくらいにはならないと駄目だと思う。でも、最近では、あなたアイドルになる責任なんてないわよって子がいっぱいアイドルやってるけどね。
 別に普通の仕事でもいいんだけど、なにをしても美人すぎる弁護士とか、・・・

4

凸と凹

15/07/05 コメント:3件 つつい つつ 閲覧数:1367

 初めて彼女の部屋に入った。マンションの入り口のドアを開け、一歩足を踏み入れたとたん固まった。たぶん、僕の顔はひきつっていただろう。「入って、入って」と彼女は笑顔で招き入れるけど、僕はただ呆然としながらその部屋を見渡していた。でも、驚くのは早かった。その先に広がる世界はさらに衝撃的だった。
 大学に入って半年、地味で冴えなくて、いい人ってことぐらいしか取り柄のない僕に彼女が出来た。それも、僕・・・

1

殿

15/06/07 コメント:2件 つつい つつ 閲覧数:847

 授業が終わって、隣の六年三組の教室に入る。周りを見渡したけど、殿の姿がない。近くにいたマッチャンに聞いたら、慌てて廊下に連れ出された。
「なんだよ、マッチャン?」
「あのな、カケル。殿、タクトに嫌がらせされて、すぐ帰っちゃったんだ」
「なんで?」
「休み時間に体育館のそばで財布拾ったんだ。それをタクトが使っちまおうって言ったのに、殿が反対して、先生に届けちゃったんだよ」<・・・

0

正解

15/05/20 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:864

 吹奏楽部の部室から、そっとグラウンドを眺める。今日は卒業式だったから、みんな先生や後輩、友達同士で別れを惜しみあっている。少しため息をつく。
 部室のドアが開いて菜月が入ってきた。
「どうだった? 小泉君にちゃんと言えた?」
 私は黙ったまま首を横に振った。
「そっか……瑞希って、変に行動力あるからひょっとしたらちゃんと告白したかなって思ったけど」
「……」
・・・

5

完璧な一日

15/04/24 コメント:7件 つつい つつ 閲覧数:1072

 ラインからお弁当箱がどんどん流れてくる。わたしはあたふたしながら、お漬け物を箱の中に詰めていく。お昼休みまで、もうすぐだ。それまで、あとちょっと頑張らなきゃ。
 休憩室でお茶を飲んでいたら、山口主任が入ってきた。わたしは、びくっとして下を向く。今日はミスしてないはずだから怒られないと思ったけど、足音はゆっくりとわたしに近づいてきた。
「坂下さん、二つ、入れ忘れてたよ。今日みたいな日に・・・

0

僕には妹がいる

15/04/09 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:1004

 僕には妹がいる。でも、幼い頃両親が離婚して、僕は父親に妹は母親に育てられたから、兄妹といっても他人みたいなものだ。むしろ、他人のほうが気楽かもしれない。血のつながりはあるけれど、同じ時間を過ごしていない僕たちは会えばよそよそしくなるのが当たり前なのに、それに罪悪感を感じてしまう。
 去年父親を亡くし葬儀で久々に再会した妹は三十歳を過ぎ、ひとりで暮らしている僕を不憫に思ったのか、それ以来電話・・・

1

ガキ

15/03/28 コメント:2件 つつい つつ 閲覧数:1071

 二年程前に付き合っていた瑠璃子が突然、俺のアパートにやってきた。今、付き合ってる女もいなかった俺はもちろん快く「あがれよ」って迎え入れたけど、たぶん俺の顔はニヤニヤしていて下心がバレバレだったと思う。だけど、ドアの後ろからベビーカーを持って入ってきた瑠璃を見て俺は愕然としてしまった。
「圭介の子よ。菫っていうの。かわいいでしょ」
「は? 俺の子? そ、そんなわけないだろっ?」
・・・

2

いのり

15/03/20 コメント:4件 つつい つつ 閲覧数:1060

 今日で集団登校も四日目だ。三つ下の妹の由紀と同じクラスの瑠奈ちゃんが学校帰りに行方不明になってもう五日も経つ。近所の小学生七人で学校に行くけど、どの交差点にも黄色い旗を持ったおじさん、おばさんや警察の人が立ち、学校の前にはTV局の人とか毎日中継してるから、これじゃ不審者なんて寄りつくはずがない。だから今は安全だけど、騒ぎが収まってからが怖いって思う。
「昨日、伊織ちゃんがインタビュー受けて・・・

4

15/02/28 コメント:5件 つつい つつ 閲覧数:997

「ねえ佳菜、咲子が自殺したんだって……」
 その話を莉緒から聞いたのは咲子が噂を気にして大学に来なくなってから、およそ一ケ月後のことだった。

 咲子と一番の親友だった夏帆は、咲子が誰とでも寝るって噂を流した犯人を捜そうと必死だった。だけど自分が咲子の死に関わってるなんて思われたくないから、誰もまともに取り合わなかった。
 夏帆と仲が良かった私は犯人を捜すのを手伝うふりをし・・・

1

レベル

15/02/22 コメント:1件 つつい つつ 閲覧数:910

 くそっ……緊張する。約束の時間まで三十分もあるけど俺はどきどきしながら周りを見渡した。ハチ公の前には何人もの人が立っていたけど、それらしい子は見つからなかった。
 その日、俺は栃木から二時間かけて東京の渋谷まで来ていた。それも、女子に会いに。彼女の名前はルール、もちろん本名じゃない。

 彼女との出会いはネットゲームだ。それはモンスターを倒しながら進むRPGで、中高生に人気があ・・・

  1. 1
ログイン