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朝綺さん

美しい日本語が好きです。

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投稿済みの記事一覧

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ラストダンス

17/11/03 コメント:0件 朝綺 閲覧数:120



 十月も終わりに近付いた、土曜の静かな夕暮れだった。
「わたし結婚することにしたの」
 彼女がけろりと言ったので、私は心底驚いた。私の認識が正しければ、私たちは恋人同士のはずだった。そして彼女は、結婚しましょうとは言わなかった。
「びっくりした?」
 いたずらな子どもみたいに彼女が笑う。無邪気で、そのくせどこか大人びている。楽しげで、なぜか寂しい。
 ・・・

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エンドロールの終わりには

16/03/26 コメント:1件 朝綺 閲覧数:517

 リビングのソファーで映画を見ていた。
 学生時代に所属していたサークルで撮った、三十分のショートフィルム。
 その物語は朝の白いリビングから始まる。
 壁一面の大きな窓、レースのカーテン。春の初めの淡い日差しが、優しい木目のテーブルに日溜りを作っている。
 画面に女性が現れる。白いブラウス一枚を寝間着替わりに纏っただけの心許ない姿で部屋を横切り、キッチンでカフェオレを淹れ・・・

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きみと話がしたかった

15/04/15 コメント:4件 朝綺 閲覧数:932

 五月も終わりに近付くと、夏はもう目の前だった。
 窓の大きなリビングは、朝の澄んだ光に満たされて眩しい。
 起きてすぐ、中央のテーブルに歩み寄るのは、このマンションに引っ越してから身に付いた習慣だった。
『おはよう。いってらっしゃい。おやすみ』
 右上がりの几帳面な文字でしたためられた簡潔なメモ。ささやかな挨拶だけを綴ったそれは、ドアの奥で眠っている同居人が僕に宛てた手紙・・・

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きみの音は夜を照らす僕のともしび

15/02/04 コメント:2件 朝綺 閲覧数:1250

 夕方降り始めた雨は、夜になっても止まなかった。ぱらぱらと窓を打つ音が硬いから、雨も凍っているかもしれない。
 庭付きの古い一戸建てはひとりで住むには広すぎて、冬中ずっと寒い感じが付きまとう。たぶんそれは寒さじゃなくて、寂しさとか孤独とか、そういう類の冷たさだ。
 パソコンのタイプに雨の音が重なるから、今日は音の種類が多い。ささやかなにぎわしさに思いを馳せると、思考は思わぬ所に着地した・・・

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