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更地さん

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投稿済みの記事一覧

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上等な狐

15/08/07 コメント:0件 更地 閲覧数:849

 ああ、後ろ足が痛い。まさかこの狐様が人間風情の仕掛けた罠に掛かるとは。こんなことなら日課にしている鼠いじめなぞよしておけばよかった。あのクソ鼠め、いつもは俺の前足でコロコロ転がされるだけの下等な輩の癖に、今日に限って逃げまわりやがって。追いかけたらこのザマだ。うう、本当に足が痛い、ちぎれそうだ。
 それにしても皆は薄情者か? 俺がこうして罠にはまって苦しんでいるのに、誰も助けに来ようとしな・・・

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学ある動物を望む

15/06/24 コメント:0件 更地 閲覧数:807

 私は脇に出席簿を挟んで、学校の長い廊下を歩いている。これから授業をしに行く教室は校舎の隅にあるから、毎度歩いてゆくのが億劫である。何故もっと教室を職員室周りに集中させないのか。そうすれば移動の手間がだいぶ省けるだろうに。そう考えたが、その考えがあまりにも身勝手で馬鹿馬鹿しいものだったから、思わず独り笑ってしまった。
 そんなこんなで目的の教室に着いた。すると中から「きゃっきゃっ」「ふるるる・・・

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海辺の少女

15/05/15 コメント:0件 更地 閲覧数:912

 私の学校である噂が広まり始めた。それは荒唐無稽で根拠なしな、よくある怪談というやつである。
 まず日の出の少し前くらいに、学校から見える砂浜へと赴く。そして海に向かってひたすら「遊ぼうよ」とか「一緒に行こう」とかいう風に誘いかける。そうやってしばらく話しかけていると、後ろからトントンと肩を叩かれて、「本当に?」と誰かが尋ねてくるらしい。尋ねられたらすぐに振り向いて、声の主に返事をする。その・・・

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とある兄弟の話

15/02/06 コメント:0件 更地 閲覧数:849

 どこかの街にある小さな家に、仲のいいような悪いような兄弟が住んでいました。
 兄の方は聡明です。いつも独り部屋にこもって本ばかり読んでいました。
 弟の方は少し愚かです。何かこれという目標を定めると周りの迷惑も顧みずにそれへと猛進しました。弟は頭がおかしいと皆に思われていました。
 ある日のことです。いつものように兄が肘掛け椅子に腰掛けて革張りの分厚い本を読んでいると、紙でこし・・・

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宙ぶらりん

15/02/01 コメント:1件 更地 閲覧数:910

 身支度を万端整えた後に、お気に入りのクラシック音楽をかけた。そうすると部屋の中に気分が落ち着くような調べが満ちて、私の心は風が凪いだように静かになった。未練や恐怖もどこかに行ってしまった。私は部屋の真ん中にこしらえた縄の輪っかに首を通し、特に迷いもなく一気にぶら下がった。
 苦しいのは最初だけだった。縄の軋むギシギシという音が頭蓋の中に響き、息が詰まって、ああ苦しいと思ううちに何も感じなく・・・

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幸せ

15/01/25 コメント:0件 更地 閲覧数:877

 僕は今空港のロビーにいる。何故いるかというと、今日両親が長い海外旅行から帰ってくるからだ。どこに行っていたのかはよく知らないけれど、気候が温暖で海が綺麗なところだと旅行前に父が自慢していた。母はそれを聞いてにこにこ笑っていた。
 眼前を幾人もの人たちが通り過ぎていく。キャリーバックを転がして足早に去っていくスーツの男がいるかと思えば、和気あいあいと戯れる家族連れもいる。その視界に映っては消・・・

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壁の穴、小さな穴

15/01/06 コメント:3件 更地 閲覧数:1359

 仕事を終えてアパートに戻ったら、部屋の壁にビー玉が貫通したくらいの穴があいていた。私の趣味で壁紙は真っ白だから、その穴の、何もかもを吸い込みそうな黒さが余計に目立つ。自室という慣れた空間にはそぐわない異質さをそれに感じた。
 私はそのよく分からない小さな穴が何故出現したのかを考えた。穴のあいている壁の向こうは隣室である。ゆえに隣人の想像もつかぬ悪意によって私の領域が侵されたのではないかと最・・・

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商店街のおもちゃ屋

14/11/22 コメント:0件 更地 閲覧数:893

 気が付いたら商店街に立っていた。周りには誰もおらず、シャッターの降りた店が両脇にどこまでも連なっている。ここに来る前に自分が何をしていたかとんと思い出せない。今この場所で立ったまま生まれてきたかのように思えた。
 取り敢えず、ずっと立ち惚けていても仕様がないので商店街の奥に向かって歩き始めた。
 やはりどの店も閉まっている。店の壁面から横に突き出した蛍光看板がチカチカ明滅して、何やら・・・

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古本屋

14/11/20 コメント:1件 更地 閲覧数:915

 自分が世話になっている下宿の程近く、そこに小じんまりとした古本屋がある。店構えは汚い。あまりにも汚いのでついぞ客など訪れていないように見える。
 私は今までそこに行ったことがなかった。そして今日、なんとはなしにそこへ行こうという気になった。理由は分からない。でもなんとなくそこへ行こうと思う。
 思い立ったのだからすぐ行くことにした。
 長年愛用して歯の磨り減った下駄をつっかけ下・・・

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一人の親父の名も無き愛

14/11/06 コメント:1件 更地 閲覧数:797

 死んだ親父の部屋を整理していたら、デスクの抽斗から何冊かのノートを見つけた。ノートには表題が書かれておらず、その表紙は皆真っ赤だった。ひと目で血を連想させるような赤色である。しかし暖炉の火の暖かさも連想させる赤である。
 俺は親父が嫌いだった。くだらないことでくだらない説教を垂れるあの口が嫌いだった。人の言うことを何一つ聞いてくれないあの耳が嫌いだった。どうしようもない奴を見るようにしてく・・・

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正義の味方

14/10/04 コメント:1件 更地 閲覧数:974

 僕には誰にも言えない秘密がある。そう、僕はみんなの笑顔を守る正義の味方なのだ。
 とは言っても、いつも朝にテレビでしているようなカッコいいヒーローじゃない。ただみんなの笑顔を見るためにたくさん働く、そんなやつだ。僕は今のままで満足しているから目立ちたいとは思わない。みんなに褒められるのは恥ずかしいから、どうしても僕のしていることは周りに秘密じゃないといけない。
 僕は今までに色々な良・・・

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トモコ

14/07/27 コメント:1件 更地 閲覧数:803

 ボロアパートの一室で俺は膝を抱えている。時刻的には夜であるらしい。明かりをつけていないから、周りは澱んだ闇に包まれている。息をするのが辛い。空気の中に何かが混ざっていて、それが俺の呼吸を妨げているのかもしれない。俺はさらに深く顔を膝にうずめた。
 トモコが死んだのは何日か前の夕方だった。その日はデートだった。デートとは言っても半分は散歩みたいなもので、俺たちはレジャー施設にも洒落た飲食店に・・・

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暗い暗い

14/06/27 コメント:0件 更地 閲覧数:864

 気が付いたら真っ暗な空間に立っていた。あまりに真っ暗なので、周りに何があるのか、ここがどこであるのかすら分からない。少し気味が悪い。しかし部屋の中などではないらしく、時折涼しい風が吹いて頬を撫でた。何故このようなことになっているのかてんで分からない。
 分からないなりに何とかしようと思い、とりあえず歩くことにした。何も見えないからおのずと歩みは慎重になる。一歩歩くたびに砂を踏むような感触が・・・

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