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三条杏樹さん

好きなものを好きなときに。

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将来の夢
座右の銘 人間だもの。

投稿済みの記事一覧

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一期一会

16/01/27 コメント:2件 三条杏樹 閲覧数:734

負けた、という気持ちは言葉では表せないほど苦い。そのときの態度で人間の器が分かるのだと、昔の漫画では言っていた。
だけど俺は、自分を負かした相手を賞賛する気も、ましてや敬意を払う気持ちも持ち合わせない子どもだった。一度でも試合に負けると、自分の今までの努力がすべて水泡に帰す気がしていた。
そんな、中学生だった。
六歳の頃からやっていた剣道を、それ以外にできることもないからと中学ま・・・

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不定期アンフェア

16/01/27 コメント:0件 三条杏樹 閲覧数:509

やりたかったことと違う。


そう言って肩を落とす友人の気持ちが、痛いほどに分かった。
どんなに情熱があっても、どんなに愛情があっても、全ての願いは叶わない。それが現実なんだと悟るには、私達はまだ大人ではない。

世界が自由になった。しかし多くの人が自由を選択できるようになり、自由に勝負に挑むことができた分、個人の失敗する確率は上がった。

勝つもの・・・

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奇人:とは

15/11/02 コメント:1件 三条杏樹 閲覧数:585

今日も犯罪がニュースにあがる。
殺人、強盗、収賄、政治家の汚職、警察官の痴漢、サラリーマンの女子高生のスカートの中の盗撮・・・
もっとも目にしたくない二文字の犯罪が見えた瞬間、テレビを消した。弱いものを己の欲を満たすためだけに傷つけ、汚し、一生消えぬ心の闇を植え付けて満足する下衆の極み。もっとも嫌悪を抱く犯罪。
それでなくとも、そもそも暴力事件というものが嫌いだ。話を聞いただけで・・・

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そして今日もコーヒーを

15/11/01 コメント:0件 三条杏樹 閲覧数:554

誰に言うこともできない悩みがあると、途端に孤独を感じる。
俺の場合、「誰にも言えない」というよりは、「誰かに言っても俺が悪いと言われるに決まっている」と思っているから。
そしてその通りなのだ。

努力をしない俺が悪い。努力をしない俺が悪い。努力をしない俺が悪い。努力をしない俺が悪い。
努力努力努力・・・・
呪いのように胸によどんで俺を責める言葉だ。
こうし・・・

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ゆうしゃは たびにでた

15/10/01 コメント:0件 三条杏樹 閲覧数:633

晴天。
どこからどう見てもいい天気だ。今日しかないだろう。
重い盾を無理やり背負った。腰が痛い。これを持ちながら旅とか、無理だ。
とりあえず、母に挨拶をしなければ。

「おはよう」
にこにこ。いつもと変わらぬ笑顔を見せる母。ぼくは胸を張って言った。
「ぼく、きょうから たびにでるよ。まおう を たおすんだ」
母は少し驚いて、それから食料を持たせてくれ・・・

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できるものなら

15/08/05 コメント:0件 三条杏樹 閲覧数:701

銀行からすべての預金を引き出した。それを茶封筒に入れてそっと撫でた。
上京する交通費だけを抜き取って。


今の恋人の家は、電車で20分のところにある。通い慣れたそのマンションを訪れると、笑顔で玄関の扉を開ける彼がいた。

あいつとはまるで違う。同じ男とは思えないほどの優しい人。こんなにも愛されていながら、私は心の底では彼をまだ信じていなかった。
いつか、・・・

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この国の人は知っている

15/08/02 コメント:0件 三条杏樹 閲覧数:636

文字における創造ははるか昔から存在した。それは今なお残る我々の教養の根幹として使われている。
文学とは、書いた当人の世界を、読者が自らの中に映し出すことで成立するのである。故に文字から感じる生々しい感性は個人によって異なる。
架空の物語を考え出すことができるのは人間だけであると言われている。チンパンジーが手話を扱おうと、ゴリラに死の概念があろうと、人間と一線を画す理由はそこにある。想像・・・

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このモノガタリはフィクションです。現実とは一切関係ありません。

15/07/07 コメント:1件 三条杏樹 閲覧数:761

どうしよう。どうしよう。どうしよう。

何度生まれ変わっても女にしかなれない。
何度首を吊っても何度飛び降りても何度首を掻っ切っても。

今回も女じゃないか。

絶望。



一度目にこの世に生を受けたときは、なんの不自由なく生きていた。それがいつからか、「女」として生きていく上での不都合ばかりが目に付くようになった。

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かたおもい

15/05/27 コメント:0件 三条杏樹 閲覧数:714

真っ白なキャンバス。
使い古して先のぼさついた筆。

こんなに絵を描くことに緊張するのは初めてだ。幼い頃は食べることも寝ることも忘れて没頭していたというのに。宿題も勉強もそっちのけで、算数のテストで0点をとったときはさすがに怒られた記憶がある。


大学卒業と同時に絵を描くことをやめた。
小学校の頃、コンクールで入賞したことがきっかけで火がついた創作活動。・・・

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雉虎

15/05/13 コメント:0件 三条杏樹 閲覧数:823

「逃げろ」

掠れた声が聞こえた。弱々しく俺の背中を押して、促される。

「嫌だ」
どうして父さんを置いて、俺だけが逃げられようか。当たりからひっきりなしに聞こえてくる悲鳴や爆音が、腹に響いた。

咳き込む父さんの頬に額を寄せる。
迫る炎は怖くない。それよりも、ひとりで生きることの方が怖い。

泥水を飲んで、人の食べ物を盗んで生きてきた俺・・・

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僕がいた。

15/04/08 コメント:0件 三条杏樹 閲覧数:804

頭のいい弟。
運動のできる兄。

僕はその真ん中で、いつも兄弟たちと比べられていた。
これといって得意なこともなく、運動も勉強も並。当然、両親は出来のいい子供をよく褒めた。

お母さんは綺麗。
お父さんは会社で偉い。

「なんでお前は普通なの?」

兄からそう言われたとき、首をかしげた。

「普通はだめなの?」
「・・・

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めそめそ

14/12/20 コメント:1件 三条杏樹 閲覧数:962

また泣いてる。
アパートの隣の部屋の住人は、夜中になるといつも泣き出す。壁の薄いここではすすり泣きですら丸聞こえだ。
しかも毎晩。
いい加減にしてくれないと、こっちの気が滅入りそうだ。泣き声から察するに若い女性のようだが、毎日飽きもせず何がそんなに悲しいのか、とにかくここ半年ほど、欠かさず毎晩泣いているのだ。

こんなストレス社会だ。泣きたい気持ちも分かる。でも、隣人・・・

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ゆきやこんこん、今日このごろ

14/12/14 コメント:0件 三条杏樹 閲覧数:650

仕事帰り。マフラーを強く巻きつけて、耳あてを装着。
うん、完璧だ。どこの部位にも寒風を当てたくない。顔を除いて。

職場から自宅のアパートまでは徒歩20分。雪道をざくざくと歩いていく。
本当に、雪国というのは寒さの暴力に否応無しにさらされるものだ。ここ青森では積雪量が半端じゃない。北海道とどっちがすごいって?知らん。

一面に積もった雪。これが俗に言う銀世界って・・・

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ふたりの母親

14/12/11 コメント:1件 三条杏樹 閲覧数:654

「なんで、佳恵子にはお母さんが二人いるの?」

子ども心に不思議だった。我が家には母が二人いる。「ママ」と呼ぶ存在と、「陽子ちゃん」と呼ぶ二人の女性がいた。このママは私を産んだ女性だ。ところが陽子ちゃんは親戚でもなければ私ともママとも血が繋がらないただの他人である。

ママも陽子ちゃんも、私にとっては「母親」だった。父母参観にも、運動会にもお遊戯会にも、二人が来てくれた。父・・・

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男verの自分がやってきた

14/11/25 コメント:0件 三条杏樹 閲覧数:743

「俺は君なんだ」

大学の教室でそう話しかけられた。咄嗟に思ったことは「この人やばい」。
早足でその横を通り過ぎようとすると、腕を掴まれた。ぎょっとして振り払おうにも力が入らない。
「ごめん、そんなに警戒しないで」
講義終わりで教室から出て行く学生たちの流れに乗り、ずんずん私の手を引いていく。逃げようともがいても、その男は笑顔で私を押さえた。

「なんなの・・・

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女子高生恋愛譚

14/11/17 コメント:0件 三条杏樹 閲覧数:717

「振られた」

飲んでいたコーヒー牛乳を吹いた。盛大に笑ったあとに、栄子からの鉄拳制裁を食らう。

「ひい・・・痛い」
「友達が振られたときはなんて言うの?」
「どんまい」
「サキがそういう文化圏の人だって知らなかった」

栄子は乱暴に椅子を引いて、不快そうに座る。
「そーんな恋する乙女も素敵だと思うよ。でもあたしらまだ十六歳なんだから・・・・

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笑う少女と泣いた僕

14/11/10 コメント:1件 三条杏樹 閲覧数:822

波が生きている。

「海がこんなに綺麗だなんて知らなかった」

足元から見下ろす海は、確かにすべての生命の源だった。光が散りばめられ、穏やかに脈うつ。
少女はくるくると回った。僕は少女が落ちてしまうことを恐れて、必死に腕を伸ばした。

「ねえ、見てよ。こんなに高いところから海を見たことがある?」

笑って僕の手をはねのける。それが寂しくて、歪む・・・

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たばこ

14/10/14 コメント:0件 三条杏樹 閲覧数:730

四年間付き合っていた恋人に振られた。

「お前のサンドバッグになるのはもう嫌だ」

精神的に崩れ始めると、近くの人を言葉で攻撃する。自分でもその短所を分かっていただけに、四年間受け入れてくれていると思っていた相手に突き放されたのはショックだった。
「そもそもそんな面倒な性格の女を優しく支えてくれる人なんているわけがない」
友人は口を揃えてそう言った。

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秘密にして

14/10/04 コメント:0件 三条杏樹 閲覧数:779

好きなひとが黒髪がいい、と言ったから。君は明るかった髪色を暗くした。

「黒すぎて、青くなるのも嫌だったの」

光にあたると少し赤がかかるその髪を、梳くように撫でてあげた。
これも特権。

好きな彼の話をする君は頬が染まって愛らしい。可愛い、というと恥ずかしそうに俯くのが好きで、わざと言っていた。

彼が冷たい、と泣きそうな声で電話をしてきて、・・・

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バッドエンド

14/08/29 コメント:4件 三条杏樹 閲覧数:912

しばらく、呆然と立っていた。
中学生くらいの女の子が、乱れた制服のまま泣き続ける。私は足も手も震えて、動くことができない。
血がべっとりと、私の胸に、腹に飛んでいた。

「あ・・・」

声がもれた、というよりは、息を吐こうとしてたまたま声帯に空気が触れた、という具合だった。

ひねった手首が痛い。殴られたせいで鼻血も出ていた。

服につい・・・

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べっこうあめ

14/08/25 コメント:2件 三条杏樹 閲覧数:705

無縁仏になったと聞かされて、俺は耳を疑った。
「本当ですか?」

「遺骨の引き取り手もいなかったみたいよ、家族の話とかあんまりする人じゃなかったけどねえ・・・」

死後六日に発見されたという。それまでたったひとりで、誰にも見つけられることもなく、誰にも看取られることなく亡くなっていったおばさんのことを思うと、涙がこぼれた。



親族ではない無・・・

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フロイトって奴が言ってたんだけど

14/08/24 コメント:0件 三条杏樹 閲覧数:744

正確には覚えてないけど、人には無意識の領域ってやつがあって、例えば通勤途中の電車の中に傘を忘れてしまったとする。するとそれは「会社に行きたくない」っていう無意識の現れらしくて、「無意識」に自分の代わりに傘を電車の中に置いていくらしいんだ。

「それで俺は思ったね。俺が彼女との約束を忘れるのは無意識にその彼女に会いたくないってことなんじゃないかと」

「それは無意識じゃなくて・・・

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ななころび

14/07/21 コメント:1件 三条杏樹 閲覧数:737

またこの夢か。

毎晩見る夢。しかし俺はこれが夢だとわかっている。明晰夢とかいうやつか?これを自分ができるなんて思いもしなかった。
それにしても汗臭い。夢なのだから、もう少し清潔感溢れる自分がいてもいいじゃないか。

この世界の俺は常にベッドに横になったまま。動かなければ、と思うのに、どうしても眠くて起き上がることができない。それなのに、意識はある一点に向かっている。・・・

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記憶、お売りください。

14/07/21 コメント:3件 三条杏樹 閲覧数:953

『記憶、お売りください』

そんな売り文句が完全に定着したのは生まれた頃。
悲しみも憎しみも怒りもちょっとした嫌なことも。
忘れてしまえば、感情が起こる前の状態に戻れば、誰もが幸せになるだろう。
この画期的システムはすぐに国民に広まった。
国の総合施設に行けばものの五分で消したい記憶だけを忘れさせてくれる。苦痛は一切なし。
むしろ、記憶を売ればそれが凄惨な・・・

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書店員希望が証券会社に就職した

14/07/10 コメント:0件 三条杏樹 閲覧数:738

死んでしまう。
私ははち切れんばかりの心臓を抑えてバスに乗り込んだ。
まさかこの自分が証券会社で働くことになるとは、思ってもみなかった。


緊張で胃は痛いわ頭痛がするわで、あがり症の私にとっては吐き気を催すほどだ。私は書店員になりたかったのに。
畑違いもいいところだ。学生時代からめっぽう数字に弱い私が、一体なんの役に立つというのか。
「はあ・・・」

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星は映らない

14/06/30 コメント:1件 三条杏樹 閲覧数:857

頂上に向かわなくては。


悲鳴が聞こえたあとに、塔への攻撃が激化した。下はもはや火の海。階下へ逃げることは不可能だった。
かといって上へ逃げてもそこに待ち受けるものはたかが知れている。それでも階段をのぼった。酸素を欲する体が血を噴き出す。撒かれた毒ガスに侵され始めた。

崩れ落ちる瓦礫が少女を容赦なく叩きつけた。痛みに自分の体を抱きしめる。
轟音の中うず・・・

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最後の産声

14/06/27 コメント:2件 三条杏樹 閲覧数:941

母の息子として生まれてから、この人のそばで気を抜いた試しがない。母は十九歳で私を産み、女手ひとつで育ててきた。

「あんたが、あたし似でよかった。父親に似てたらとっくに捨ててる」

よくそう言っていた。
私は母の言葉に逐一相槌を打たなければ、激しく責め立てられることを分かっていた。母は私の人格を否定し、、今すぐにでもドブに捨ててやると言い放つ。

しかし私・・・

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死んだ絵画

14/06/27 コメント:0件 三条杏樹 閲覧数:747

君が泣きながら絵を描いていたのを知っている。




まず、君は朝が苦手だ。
平日は今にも吐きそうな顔をして朝ごはんを口に詰め込み、休日は寝だめする。
昼になっても起きてこない。母が苛立ちながら布団を剥ぎ取りに行くと、不機嫌な唸り声が聞こえた。
「育ってほしくないの、お母さんは」
中学生の時、国語の授業で発表した座右の銘は「寝る子は育つ」と堂々・・・

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