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清野さん

 この場をお借りして、文体や展開の鍛錬ができたらな、と思っています。よろしければ矛盾や改善点等ご指摘いただけますと嬉しいです。また、一読者としても皆様の作品を拝読し、コメントを残すこともあるかと思いますので、よろしくお願いいたします。

出没地
趣味
職業
性別
将来の夢
座右の銘 人間は書物のみでは悪魔に、労働のみでは獣になる。

投稿済みの記事一覧

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一番星のリバース

14/09/25 コメント:1件 清野 閲覧数:802


 広大な土地を束ね、莫大な資産を手中に収める、欲深き魔女──古城の女主人はそのような風評に慣れていたが、真実そうでないことは、城に出入りする者ならば誰もが承知していた。城主一族の主治医を務める私もまたその一人だ。
 女主人は確かに多少の神経症を抱えていたが、極めて聡明で責任感の強い女性である。彼女の夫が病床に伏した時、また彼女の妹夫妻が崖の下で馬車に潰された時、診察をしたのが私ならば・・・

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ガーディアン・アルゴリズム

14/09/18 コメント:2件 清野 閲覧数:741

 おい、と見知らぬ男が隣に座る。俺は珈琲のマグを慎重に傾け、控えめに啜った。目の前の窓ガラスをじっと見つめるが、そこに映る顔には見覚えがない。
「人違いだ」
「いや」
 男が身を乗り出した。無精髭の目立つ、粗野な風貌だった。立ち去ろうとした俺の肩を、男は無遠慮に掴んで囁いた。
「おまえ、守護者に見張られているぞ」
 俺は冷ややかに告げた。
「今どき見張られていな・・・

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一番星

14/06/24 コメント:2件 清野 閲覧数:670

「リリー、これはね、血でできているの」
 緋色のカメオを見つめる、おばさまのうっとりとした眼差し。私はおばさまの審美眼を讃えて同意する。「なんて、深くて、きれいなお色」と。
 病弱な私に与えられた、お屋敷でいちばん風通しの良いお部屋。羽毛がたっぷり詰まったピロウ、絹のネグリジェ、レースのカーディガン、上質な紙の手触りとインクのにおい、寝台から見える景色、そして、おばさま。それが私の世界・・・

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サニー・サイド・アップ

14/06/06 コメント:5件 清野 閲覧数:797

 路上に不審者が屈み込んでいる。どうやら蜃気楼ではないらしい。
「……何してんの」
「あ、樹生。おかえり」
 顔を上げた有紗が、日差しの激しさに目を眇めた。長い黒髪をポニーテールにして、白いTシャツの袖をまくり上げ、あらわになったうなじと肩の白さが目にまぶしい。
 僕は顔つきが険しくなるのを自覚しつつ、屈んだままの有紗に近づいた。
「そこに陣取られると邪魔なんだけど」・・・

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セルフ・コントロール

14/06/04 コメント:3件 清野 閲覧数:682

 適当な相槌を打ちながら歩いていると、勢いよく蹴り飛ばされた石が僕の足先を横切り、車道でごろりと転がった。足を止めて右隣を一瞥する。有紗がふてくされた顔で睨みあげてきた。
「聞いてる?」
「……聞いてるよ」
「嘘。全然聞いてない」
 その通り。僕はため息をつきかけて、ぐっと堪え、有紗から目を逸らして車道に出た。こんなど田舎の道路、石なんてしょっちゅう落ちているし、取るに足ら・・・

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