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浅月庵さん

笑えるでも泣けるでも考えさせられるでも何でもいいから、面白い小説を書きたい。

出没地
趣味  
職業  
性別 男性
将来の夢  
座右の銘  

投稿済みの記事一覧

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学級内末端の僕と彼女の携帯型音楽端末

17/05/24 コメント:4件 浅月庵 閲覧数:191

 園崎静流と僕の唯一の共通点。
 それは、休み時間にイヤホンを耳に入れ、机に突っ伏していることだ。

 だけどその行為だって、彼女は自身の持つ魅力に惹かれてやってくる、同級生たちを遮断するためのものだし、僕の場合は友達が一人もいない寂しさを紛らわすためのものなので、意味合いは全然ちがう。

「ごめん、全部面倒くさいから」
 彼女は顔立ちが整っていてスタイルもモデ・・・

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勇者の資格

17/05/21 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:120

 ーー世界は常に雨雲で覆われてるかの如く、影に満ちていた。

 だけどそんな闇の世界とも今日でおさらばだ。
 あと少しで僕たちは大魔王をーー。

「村のなかで戦うのはやめてくれ!! 今年は稲が豊作だっていうのに、これでは全部焼き払われてしまう」
 先ほどまで僕たちは、大魔王の城のなかで戦っていた。
 魔法使いの放った炎弾が大魔王に直撃し、ようやく奴を倒した・・・

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妄走劇

17/05/14 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:178

 誰にだって一度はあるだろう。自分が正義の味方になった妄想。
 学校に忍び込んだ殺人鬼を単身でぶっ倒したりだとか、文字通り“変身”して悪の組織を壊滅させたりだとか、そういうやつ。男だったら一度はあるはずだ。

 俺はそんな妄想を、二十代半ばにして毎日行なっている。毎日敵をボッコボコにやっつける、もう殺す勢いで。実際に数えてみると羊が何匹いても足りないくらい殺(ヤ)っちまってるもん・・・

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たったひとことで失ったあなたとよろこび

17/05/03 コメント:4件 浅月庵 閲覧数:284

 ◇ 
 言葉は鋭利なのに剥き出しだ。唇から放たれた瞬間にはもう、あなたの胸に刃は突き立てられていて、引き抜くこともなかったことにするのも叶わない。

 ーーもう出会うことのないあなたへ。あなたの心にはまだ、わたしのひとことが刺さったままですか?
 
 ◇
 都心部には似つかわしくない、青草の匂いを想起する。それほどまでに爽やかな風が、わたしの髪の毛を散らした。・・・

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彼に正面から向き合うと、この恋は終わってしまう

17/04/08 コメント:2件 浅月庵 閲覧数:302

 高校の入学式前日、父が目を輝かせながら私に言った。
「香苗は明日から電車で学校か。羨ましいなぁ」
「お父さんみたく車で通勤の方がよっぽど楽でしょ」
「僕だって通勤ラッシュの恐ろしさは知ってるよ。だけどさ、電車って.......格好良いじゃないか」
「はっ?」
「前から見た時の武骨さと、側面のスマートなデザイン。たまらん」
 新幹線や蒸気機関車ならまだしも、私が・・・

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とある名門私立幼稚園のお遊戯会

17/04/02 コメント:13件 浅月庵 閲覧数:552

 あんず組の合唱が終わり、次はすもも組の劇が始まる。
 私の娘たちの出し物は“浦島太郎”の劇だ。子どもたちが元気良く演技するのを、その場の誰もが楽しみにしていた。

 ただ蓋を開けてみると、浦島太郎役が……十二人もいる。その内の一人タイガくんの姿が、ステージの端で少し見切れていた。

「主役だっていうから張り切って見に来たのに」
 私の隣に座るケンゴくんママが、・・・

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タマテバコタバコデストロイ

17/04/01 コメント:9件 浅月庵 閲覧数:356

 寂れた喫茶店に、僕とAさんの二人。革張りのソファ椅子に座り、向かい合っていた。
 テーブルの上に置かれたコーヒーカップから立ち昇る湯気は、すぐにAさんの煙草の煙に邪魔される。香ばしいコーヒー豆の香りも同様に。

「実際にあったことを、そのまま話していただければ問題ありません」
 Aさんは、僕の作った“ネットニュース! 夫婦の修羅場5連発”の資料に目を通し、困った表情を浮か・・・

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暗部を照らして

17/03/25 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:229

 ◇
 人は想像力の乏しい生き物だ、と私は思います。
 あなたたちが考えているよりも残念なことに、ずっと。

 ◇
 私には血の繋がった家族が母親しかいません。それは私がまだ物心つく前に、父が病気で亡くなってしまったからです。
 それから母は女手一つで私を育ててくれました。
 裕福な生活からは程遠い、孤島のような場所に私たちは取り残されていましたが、私は母・・・

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かみきりインザモーニング

17/03/19 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:225

 黄緑色のカーテンを、ユリが勢い良く左右へと開く。
 カーテンレールから流れるシャッという小気味良い音は、夢から帰ってきたばかりの僕の体と心をシャンとさせた。
 ベランダに繋がる大きな窓。そこから広がる景色が朝を告げる。名も知らぬ山々を遠くに眺めながら伸びをしていると、ユリが古新聞を何枚か広げた。
「これ被ってね。髪の毛おちるから」ゴミ袋の底の部分を半円形にチョキチョキ。お手製の・・・

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打牌選択

17/03/11 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:237

 ◇
 人差し指と薬指で麻雀牌を捉える。俺の祈りが神様に届いたか問うように、牌に彫られた絵柄を親指で数回なぞった。牌を見ずとも感触だけで種類を判別できるのだ。

 だがその瞬間、俺は椅子ごと泥沼に突っ込まれた気分になった。冷や汗が急激に浮かび、背を伝う。
 俺の勝ちは刹那でこの手を、するり擦り抜けたと確信した途端、対面の「ツモ」の声が緊迫した空気を震わせた。

・・・

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ファッションババア

17/03/04 コメント:4件 浅月庵 閲覧数:435

 私の前方に、一人の女性が立っている。噂通りの髪色だ。
 
 彼女は赤髪のボブで、今日の服装はレオパード柄のシャツ。首にはレトロ柄のスカーフを巻き、一歩間違えるとチグハグになりそうだけど、その人の持っている独特のオーラが説得力を持たせる。
 顔はおばさん。だけどお洒落。この人が巷で話題になってるファッションババアに違いない。

 私は恐る恐るババアさんの横を通過しよう・・・

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本の虫は秘蜜につられる

17/02/19 コメント:4件 浅月庵 閲覧数:349

 近年の利便性を考えてのデジタル化は、すべてに良い結果をもたらすとは限らないですね。

 私みたく鞄に、常にお気に入りの“本”を忍ばせていないと安心できない者もいるのです。紙質やインクの匂い、本によって変わる栞紐の色。片手で操作できる薄っぺらい電子の箱とは、違った味わいがあるとは思いませんか。

 ーー私の住んでいる地域は比較的田舎で、周囲に娯楽施設がありません。
 ・・・

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トラウマバイセコー

17/01/30 コメント:4件 浅月庵 閲覧数:578

 朝の澄んだ空気が好き。スズメの忙しない鳴き声も好き。そのなかを毎朝、自転車で走るのが好きだ。

 玄関近くにママチャリが置いてあって、毎日高校への登下校にそれを使うんだけど、今日はなにやら様子がおかしい。

「え、なにコレ!」
 自転車のサドルが行方不明で、元々サドルが挿さっていた支柱に、なぜかニンジンが紐で巻き付けられている。うーん、横向きにしたら確かにサドルっぽ・・・

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泳ぎ疲れたセルフィッシュ

17/01/14 コメント:2件 浅月庵 閲覧数:363

 私のこと甘やかしすぎじゃない?って彼女が苦笑いするから、次の日からしばらく連絡もせず放っておいたら、さすがに寂しいなんて言い出す。
 どうやらお風呂の湯加減と一緒で、人によって“丁度良さ”というものが違うらしい。難しい。

 初めてできた彼女のことが僕はすごい好きで、デートの送り迎えは勿論、行きたいところも食べたいものもすべて彼女優先だった。
 毎日夜に僕から彼女へ電話を・・・

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可能性探偵の迷宮推理

17/01/02 コメント:2件 浅月庵 閲覧数:725

 とあるアパートの一室で、一人の男性が殺された。
 死因は、包丁により腹部を刺されての出血多量によるものだ。
 助手である私は、探偵のハガナイさんと共に、早速現場へと急行した。

「ダイイングメッセージかな」
 ハガナイさんは遺体の元へ屈み、そう呟く。
「私には、数字の304に見えます。304号室の人が犯人ですよ!」
 遺体の指先で床に書かれた、自身の血に・・・

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17/01/01 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:342

 正常な思考を灼いてしまいそうな、或る夏の日。
 大学へ向かう道中、彼女と僕は初めて出会った。

「名前は何て言うんですか?」
 僕は彼女の連れている犬へと歩み寄る。牛のようなカラーリングが堪らなくチャーミングだ。
「この子の名前は、少し言うのが恥ずかしいんですけど……大福っていいます」
「ユニークな名前ですね」僕は大福の、丸い背中や頭をガシガシ撫でてやる。一人・・・

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Sometimes Alone

16/12/25 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:374

 高校卒業後に上京して、数年で金融大手の銀行員と結婚した姉貴。顔立ちが整っていて頭も良かったので、こいつの周りにはいつも人が集まっていた。俺とは大違いだ。
「よりにもよって二人とも旅行かよ」
「お母さんには連絡してたんだけど、日にち勘違いしてたみたい」
「あぁ〜」
「明日の朝には確実に戻るから」人妻が朝帰りなんかしていいのか。「勇輝、文也の言うことちゃんと聞いてね」
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これは紛れもない僕の物語

16/12/20 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:843

 ある晴れた日の朝、神様からのお告げが頭のなかで響いた。

 “お前才能ないから、小説家目指すのやめろ”
 “どこかの企業の正社員を目指せ”
 “お前が心から愛せる女性と出会い、結婚しろ”
 “我が子の成長を喜び、不自由ない生活を送れ”
 “それがお前にとっての幸せだ”

 中学の頃から小説を書き始め、今の僕は二十代半ば。数々の文学賞に作品を投稿した・・・

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叶わぬ恋をあなたの胸で

16/11/23 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:661

 ◇
 彼は白い雪の降るなか、白い息を吐き、白い歯を見せ、手を振った。
 私もそれにつられて手を振り、名残惜しさを振り払うようにして背を向ける。
 私の小さくなる姿に彼はまだ、視線を送っているのだろうか。

 ◇
 私は別に、彼のことなんて好きじゃなかった。
 たまたま同じクラスで、話と気が合い、でもそれは恋心とは無関係な気持ちだ。生きている間には私に届か・・・

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自分勝手な杭

16/11/21 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:351

「先生、あ〜ん」私はナイフで切り分けたローストチキンを先生の口元へ運ぶが、顔を背けられる。「どうしたんですか。食べてください」
「まず、この体勢をどうにかさせてくれ」
「そんなこと言って、逃げるつもりでしょ」
「違う。僕は成瀬と、落ち着いた状態で話がしたいんだ」
「じゃあその後、私と二日間、一緒に過ごしてくれますか?」
 この質問には、嘘でもイエスと言わない。
・・・

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パリピポパーティー

16/11/13 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:367

 “おまえら⬜︎⬜︎! 全員もれなく⬜︎⬜︎からな!!”

 ◇
 午後十一時。バイト終わり、俺はスクーターに乗って自宅へと向かっている。

 信号待ちの際に歩道へ目をやると、様々なモンスターたちが入り交じり、交流を深めている最中だった。
 今日は盛大・・・

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新たな一歩

16/11/05 コメント:4件 浅月庵 閲覧数:478

 自分への周りからの印象は、なかなか覆すことが難しい。
 人を傷つけることしか興味のない、鬼のような漢。それが俺のキャラ。

 本当は学校帰りに仲間とお茶したり、カラオケで遊んだり、そういう青春の過ごし方を求めていたんだ。

 ーーそれなのに俺は、今日も人をぶん殴ってる。

 キミーと名乗る華奢な男。こいつが俺に喧嘩を吹っかけてくる頻度が一番高い。
・・・

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二足歩行に睨まれて

16/10/29 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:435

 敵国との対立が激化し始めたとき、相手方の国王が宣言する。
「我々は血を流す争いではなく、平穏なる決着を望む」
 まさかこんな人道的な言葉が戦争開始の合図になるなんて、夢にも思わないだろう。
 だけど実際に自国の人間が次々命を落としていくと、ぼくは敵国の真意を嫌でも悟ることとなる。 

 ーー眼前には、子どもがついた大袈裟な嘘みたいな砂漠が、昨日と変わらずどこまでも続・・・

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優しさは犠牲の香り

16/10/10 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:416

 神林は自分の時間や労力を厭わず、校外のボランティア活動に精を出している。
 彼女はそういう人間特有の香りを放ち、その匂いを好む狡猾な奴らは、神林を使えそうな奴と判断した。俺はそれが許せない。
 
 ◇
 関谷は神林の人の良さにつけこみ、掃除当番を押しつけて帰ってしまう。用事があるなら仕方ないよと、神林は嫌がる素振りも見せず、満面の笑みを浮かべた。いつもこうだ。

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神代の爆弾

16/10/02 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:433

 ◇
 養成所時代からずっと一緒だった室井がこの世界を諦めて地元に戻るというので、僕たちのコンビは解散した。約五年間の命だった。

 ーー数日前から僕はピン芸人。
 喫茶店で一人ネタについて悩んでいると、目の前の椅子へ勝手に腰を下ろす男が現れた。
「うわ、びっくりした!」
「うわ、びっくりした!じゃねーよ。リアクション寒すぎ」
 男は苦笑いを浮かべる。こい・・・

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何度だって俺はーー。

16/10/01 コメント:4件 浅月庵 閲覧数:554

 ◇
「ごめんなさい。付き合うっていうのはちょっと……」
 
 ーー俺の真鍋ちゃんへの恋心はあえなく届かなかった。
 高校に入学して初めて真鍋ちゃんと出会い、一目惚れして、半年後に告白。この日まで俺が真鍋ちゃんと会話できたのは、指で数えられるほどの回数でしかなかった。向こうが俺のことを好きになってくれる要素、手応えもなにもないまま俺がガムシャラに突っ込んで、撃沈。当然の結果・・・

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不自由なこの世界にSFを

16/09/28 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:434

 きみはいつもなにもかもが自分の思い通りになると思ってるね。
 なにか困ったことがある度にぼくに泣きついてくるのは、そろそろやめにした方がいいよ。きみだって、もう良い大人なんだからさ。

「また仕事で失敗しちゃったよぉ。過去の自分をちょっと止めてくる」
 そう言ってきみは、唇をギュッと結ぶ。

「またきみは自分のミスを素直に認めない。いい加減にしたらどうだい」<・・・

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星の海を漂う本屋“アソラ”で

16/09/12 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:944

 無限に広がる宇宙空間ーー。
 その星の海を漂う本屋“アソラ”。
 偶然その存在を知ってから、月一で通うようになった。

「いらっしゃい。レアなテキスト入ってるよ」
 店主のマットはハイマッキン星人だ。粘土をしつこいくらいこねくり回し、割り箸を数本突き立てたような形をしている。彼は地球言語で最も広く使用されている英語を理解してくれているので、とてもありがたい。
・・・

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僕の瞳で灼きつくしたい背中

16/08/29 コメント:7件 浅月庵 閲覧数:1244

「日々屋のやつ、マジでぼっち」
「あれ完全に中二病引きずってんぞ。この前話しかけたら、オグロ星人がどうとか、意味わかんねーこと言ってたし」
 棚橋と山崎が、日々屋を馬鹿にする。日々屋は窓際に両腕を置き、空の様子を伺う。見つめ続ければ吸い込まれてしまいそうな青空が、日々屋の瞳に映る。
「てかさ、藤宮って日々屋と同じ中学だったんだろ? あいつ、中学のときはどんな感じだったんだよ」

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カタスミ

16/08/05 コメント:2件 浅月庵 閲覧数:596

 本当に怖いのは幽霊なんかじゃなく、生きてる人間だと思う。
 
 新橋青也は女の子を部屋に連れ帰ってきては殺す。

 刺殺、絞殺、撲殺、毒殺ーーお母さんの作る夕食みたいにバリエーション豊か。

 彼の殺害動機や幼少時の家庭環境もわからないけど、とにかく欲望のままに女の子を殺す。大体、10代か20代くらいの若い子ばかりだ。すべて一人暮らしの彼の家で行われる。

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鈍感と愛妻弁当

16/07/17 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:508

 嫁さんの作った豆腐ハンバーグを、本物の肉だと思ってバクバク食べていた俺。
 本当鈍感だよね、なんて笑われたことをきっかけに、注意深く生きようと思っていた俺だが、このザマだ。
 
 俺はいつものように朝から営業で外回りをし、昼には一度、会社へ戻った。
 毎朝嫁さんがお弁当を作ってくれるので、自分のデスクで食事をとるようにしている。

「今日もお弁当美味しそうです・・・

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君憶喪失

15/12/27 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:483

 ーー居眠り運転の乗用車が突っ込んでくる。
 僕は車体の上を転がり、アスファルトに頭を打ち付け、病院へと運ばれた。

 目を覚ました僕の瞳に、両親の安堵を浮かべた表情が映る。幸い骨も折れていないようだし、後遺症も残らない程度の怪我だった。結構、派手に轢かれたと思ったのに。

 警察から事故当時の状況を詳しく聞かれ、僕はそれに応じる。
 祖父や祖母、親戚や大学の友・・・

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吹雪メルヤを殺さないで。

15/09/09 コメント:2件 浅月庵 閲覧数:612

 少年漫画雑誌で連載中の”勇気の魂”がアニメ化するらしい。開始当初からずっと話題の人気作だ。
 単行本10巻程度でメディア化なんて先走りな気もするけど、勢いのある漫画はさっさと映像化する、といった傾向通りなのかもしれない。

 私は無類の漫画、アニメ好きなのだけど、数々の漫画ランキングで1位を獲る”勇魂”は食わず嫌いというか、周りが熱狂していると逆に冷めてしまうというか、ずっと敬・・・

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きみがくれた

15/08/19 コメント:1件 浅月庵 閲覧数:719

 不意にぼくは肩を叩かれる。
「井端先生って呼んだ方がいいですか?」と、きみが笑う。

 きみは高校生の頃から綺麗だったし、ぼくはきみの知的な雰囲気がとても好きだった。
 きみの視線の先には、いつも本がある。カバーに覆われてタイトルさえわからなかったけど、休み時間のほとんどをきみはページを捲るのに費やしていたね。
 きみが小説のタイトルをぽろっと零したとき、ぼくは学校・・・

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やさしいわな

15/07/17 コメント:4件 浅月庵 閲覧数:699

 私の家はお金持ちで、なおかつ私は箱入り娘で世間知らずなので、散々他人に騙されてきました。

 歳をとるにつれ、さすがにこのままではいけないといった感情が高まります。
 それなので、私を騙そうとする人間を注意深く観察するよう心がけると、一つ特徴を見つけました。それは私を騙そうとするとき、相手の顔が狐のお面みたいにちょっとだけ歪むのです。今にも化かしてやろうと企む醜悪な表情。私はそ・・・

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門の音

15/07/13 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:732

 翔は勿論、翔の浮気相手も同罪で断罪だ。あたしはそいつの家に土足で上がり込む。
 とぼけた顔の女に右ストレートをプレゼントすると、血は出ないまでも鼻と心を折るには充分。
 ごめんなさい、ごめんなさいと女は謝るけど、許すわけにはいかない。馬乗りになってビンタとパンチをリズミカルに織り交ぜる。女は涙と鼻水でグズグズになって、不細工のデラックスパフェ。
 ようやくわめき声が静かになり、・・・

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心変わり

15/07/07 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:702

 亜由美ちゃんはわたしのことが大好きで、服も靴もピンク色の可愛いヘアブラシも金色の装飾が施されたティーセットも買ってくれる。
 お家まで買ってくれようとしたときにはさすがのわたしも焦ったけど、そのくらい亜由美ちゃんはわたしの可愛さ、綺麗さに夢中だ。亜由美ちゃんだって充分可愛いのに、お金の持っていないわたしの美貌をさらに充実させることに必死で、照れくさいやら嬉しいやら申し訳ないやら。
 ・・・

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Cleaning of life

15/06/29 コメント:1件 浅月庵 閲覧数:737

 浮気と不倫の違いはよくわからないし、定義だってどうでもいいけど、かつて僕の妻だった綾子はもういない。
 ちょっと言い方が古いかもしんないけど、綾子はバリバリのキャリアウーマンで僕より年収が高かったし、綺麗な顔してたし、物の言い方がちょっとキツくて僕はいつも尻に敷かれてたけど、そのサバサバした性格は案外男受けが良いのかもしれないな、なんて今になって思う。
 僕には勿体ない女だった、と呟・・・

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アンチゴッド、アンチヒーロー

15/05/17 コメント:1件 浅月庵 閲覧数:770

 バイト先に神さんって先輩がいて、その人に話の流れで過去のことを喋ったら苦笑。
「今さら悩むなよ少年!」
「この世に神もヒーローもいないんだって中学生ながらに悟りましたよ」
 神さんは煙草の煙を吐き出し、僕の目を見る。
「後悔してんのか」「えぇ、勿論」「もし過去に戻れたらどうする?」「あのクソ野郎たちに立ち向かいますよ!」
 神さんは灰皿に煙草を押し付け、一言。

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50:50

15/04/19 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:734

 重苦しい雰囲気の夫婦喧嘩はなかなか終息へと向かわず、俺は晩ご飯を自室で食べる日々が続いていた。

 父が、家族のために頑張って仕事をしてくれて本当に感謝してるけど、帰り時間のメールくらい送れないのかな。
 母も、感情的に怒るだけでなく、残業続きの父を労る言葉を投げかけて、その上で自分の意見を言えないのかな。
 俺からしたら、父と母どちらも同じように悪い。

 ・・・

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躾(しつけ)

15/04/10 コメント:2件 浅月庵 閲覧数:889

 微睡みの中で母の声が鼓膜を震わせる。
 怒気を孕んだ母の言葉は、いつだって私の行為を咎めるものだ。

「お母さん、何度も行儀の悪いことだって注意してるよね」細い両腕が私の体の輪郭を捉える。
 脇の下から母に持ち上げられると、私は重力を無視し、宙を舞い、フローリングの床に下ろされた。
 前屈みで私の目を見つめる母は、いつも通りの台詞を投げかけてくる。

「・・・

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皮肉

15/04/02 コメント:2件 浅月庵 閲覧数:753

“子どもたちに豊かな想像力を育んでもらおう”なんて考える大人は、時空小学校の近隣に住む人々を説得し、通学路に芸術作品の展示を試みる。

 時空小学校OBの俺は、十年ぶりにこの地へ戻り、過去を懐かしもうと考えていたのに、台無しだ。かつての通学路は、まだ世に名前も知れ渡っていない若手クリエイターの作品で埋め尽くされている。

 生け垣の途中にガラス張りの箱が設置されていて、その・・・

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アンチドリーマー

15/03/08 コメント:3件 浅月庵 閲覧数:844

 周りの奴らは皆、中学や高校の卒業文集に綴られた大きな夢、小さな夢を現実に叶えている。

 じゃあ、俺は?
 三十歳で未だにフリーター。十代の奴らに混じって俺は、コンビニでレジを打ってるよ。
 唯一の贅沢といえば、スーパーの総菜と缶ビール一本での晩酌。俺は頑張ってる、なんて無意味な慰めをビールと一緒に流し込む。クソみたいな日々だ。

 ーー高校の頃から俺は小説・・・

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sympathy

15/03/07 コメント:2件 浅月庵 閲覧数:804

 “名は体を表す”なんて言葉にも勿論例外がある。

 僕は生まれも育ちも北海道なのだけど、何故か苗字が“渋谷”で紛らわしい。
 そして、下と合わせて「渋谷隼人」が僕の名前だけど、つい先日始めたコンビニのバイトで、案の定イジられる。
 美雪さんや桜井さん、剣藤さんが「渋谷くん、渋谷隼人っていう顔してないよね」「めっちゃ遊んでてイケイケそうな名前なのに、静かだしさ」「渋谷にシ・・・

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嫉妬でダウンでプリーズ

15/03/05 コメント:2件 浅月庵 閲覧数:819

 私が風邪で学校を休んでいる間に、社会科の河西先生がなぜか「Sit down」の発音をみんなにレクチャーしてたらしく、それに踏まえた小話がとても面白かったみたい。
 休み時間にクラスメイトが河西先生の口調を真似してるけど、私は一人取り残されて付いていけない。自分のいない間に面白いことが起こると悔しい、まさに“シット ダウン”だ。嫉妬なんて疲れるし、妬いてる自分がなんだか恥ずかしくて、気持ちが・・・

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娘ちゃんのクラシック!

15/01/23 コメント:2件 浅月庵 閲覧数:769

 俺が晩酌をしていると、娘ちゃんを寝かしつけ終えた嫁さんがこちらへ向かってくる。
 昨日、嫁さんが娘ちゃんにピアノを習わせたいと言い始めて、近頃小さいピンクのおもちゃピアノに娘ちゃんが熱心に向かってたなというのを思い出して、つい口を滑らせる。
「でも娘ちゃんさ、俺たちのお子ちゃまなのに、ピアノなんてやる柄なのかな」
「どういう意味?」嫁さんがむっとした顔で椅子に座る。
「別・・・

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赤と緑

14/12/26 コメント:2件 浅月庵 閲覧数:999

 荒々しく持ち帰った弁当のように思想が偏っているのが僕の両親で、自分たちの信じるもの以外は拒絶する。彼らが江戸時代の人間ならば“絵”なんか喜んで踏みつけて唾を吐きかけていただろう。そんな二人に僕は教育を受けた。
 そうなると自然に、僕の中からあるイベントが欠落する。その二日間はテレビを見ることも新聞を読むことも(元々読まないけど)家から出ることも許されない。普通の日と変わらず、焼き魚や肉・・・

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ひときわ

14/07/11 コメント:1件 浅月庵 閲覧数:712

 ーー黒。私が唯一自信を持ってわかる色で、産まれた時からずっと私はあなたと顔を付け合わせ、にらめっこをし続けている。目を背けても瞑っても、あなたは私の前へと現れ、特に表情も変えずそこらを覆っている。
 私はずっと檻の中だ。一寸先も遥か未来も“闇”が待ち構えていて、この景色が政治と一緒でなにも変わらないことを知っているし、また今日も周囲を埋める車のクラクションの音は、私の存在意義をかき消そうと・・・

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パーセンテージ

14/05/08 コメント:2件 浅月庵 閲覧数:818

 結婚とは、互いが互いに一生を捧げる神聖な契りなのだ。

 情報化社会は男女の恋愛にまで浸食し、個人をデータ化することにより、離婚の割合は著しく下降線を辿った。
 簡単に言うと、男女が結婚をする際に二人の情報を掛け合わせ、シミュレーションし、その相性度を計る。二人の未来が良い方向に進む基準として、相性が80%を超えていなければ結婚を認められないという極端すぎる制度ができたのだ。<・・・

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ゲームマスター北見

14/04/28 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:626

 35,000フィートを飛ぶこの機体は、5人のハイジャック犯によって占拠されている。
 現在、勝負カウントは352対0。今、クラヴァー紋別と名乗る目の前の黒づくめの男に捉えられている機長が最後の人質だ。
「ゲームマスター北見よ、お前と勝負できて本当に楽しかったよ。どんなジャンルの、いかなるゲームにおいても、お前は裏技を使う。ふふ、本当に面白い男だよ」
「俺はゲームと一緒に育って来・・・

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他人(ひと)殺しと罵られ

14/04/12 コメント:1件 浅月庵 閲覧数:797

「おいキヨ、変なおっさんがお前のこと探してるっぽいぞ」掃除を終えて、いち早く教室から出て行ったはずの哲平がわざわざ息を切らして戻って来た。
「なにそれ。つーか、俺の名前言ってた?」俺は手提げ鞄を握り、哲平の横を通り過ぎようとする。
「金髪のツンツン頭で、自転車通学してて赤いヘッドフォンで音楽聞いてて、クロスのネックレス付けた奴って言ってたから、キヨしかいねぇーかなって」随分、細かいとこ・・・

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“イケニエ”ゲーム

14/04/09 コメント:2件 浅月庵 閲覧数:790

 皆の机の上に紙が置かれる。
「おい、美幸。お前、一人だけずっとルール違反してねぇか?」黒板の前に立つ桂木の口から私の名前が挙がる。
「ルール違反?」「お前は“イケニエ”のことイジメないで庇ってばっかだし。投票の時、いつも白紙が一枚だけ入ってるけど、あれ、お前だろ?」

 私たちのクラスでは毎週金曜日、投票で“イケニエ”を決める。これはクラスの不良である桂木が考案したもので・・・

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泣かない子ども/泣きたい俺

14/04/08 コメント:2件 浅月庵 閲覧数:809


 子どもは泣くのが仕事だっていうのに、うちの子どもは産まれる時もしゅぽんっ!からの、けろっとした表情で泣かなかったし、五歳の誕生日を迎える今日まで一度も涙を流していない。常に笑っているのだ。
 まぁ、笑顔でいる分には、夜泣きもしなかったし駄々こねて騒がないので有り難いのだけど、先のことを考えるとやはり不安だ。旦那とも、どうしようか、今は困ってないけど困ってるんだよなーって感じで苦笑・・・

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ヒトカタとウタカタ

14/04/04 コメント:1件 浅月庵 閲覧数:759


 窓際から見える景色は、時の流れに沿って季節を変えていく。その内私は手足の自由だけではなく、目も見えなくなり、死んで、周りは美谷詩由という人間がいたことさえ忘れる。
 私はぱちんと弾ける泡のように消えゆくけど、その一瞬の儚さこそ、美しくあってほしい。 

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 僕は一か月前、喜多川亜美子にプロポーズをした。三年付き合っている彼女で、僕は彼女のことをとても大切に・・・

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あゆみちゃんとあくまくん

14/03/28 コメント:1件 浅月庵 閲覧数:664

 ぼくの名前はあくま。あゆみちゃんが付けてくれた名前なんだ。
 ぼくがあゆみちゃんの家に来たのはつい一週間前のことだった。

「ふかふかするー! きもちー!!」あゆみちゃんはぼくが家に来るなり、飛びついてきてぎゅっと抱きしめてくれた。
「乱暴にしちゃダメよ。ちゃんと優しくしなきゃね」
「はーい!」
 そのあゆみちゃんのお母さんの一言がきっかけだったかな。それか・・・

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清算感情

14/03/26 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:644

 吐き出せなかった感情の行く先を、僕は三年後に初めて知る。
 
 高校合格。自分の受験番号を掲示板に見つけた時、人目も気にせず喜んだ。
 すると、隣の小柄な女の子が視界に入る。小さな黒髪のその子は目が大きくて色白で、マフラーを口元まで上げていたのできちんと顔が見えたわけではないけど、一目で可愛い子だということはわかった。
 その子は僕と目が合うと、首を傾けてニコリと微笑んで・・・

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太陽の精とジャソコへGO!

14/03/18 コメント:2件 浅月庵 閲覧数:954

 太陽でフリスビーしてぇな。......でも、太陽ってここから見ると平べったく見えるけど、球体らしいからフリスビーは出来ねぇな。それならキャッチボールか。でも俺、野球あんま得意じゃないし、ていうか太陽でキャッチボールしたらグローブ溶けるんじゃねぇの。おっかねぇな。あー、また結局暑苦しいこと考えてるよ、そんなことよりアイスが食いてぇな。冷たいアイスが食いてぇ。お上品でお高いバーゲンダッソとかじゃなく・・・

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キャンディーストップモーション

14/03/12 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:736

 写真を撮られると魂を抜かれるとかいう話を、昔爺さんにちらっと聞いたことがあって、俺はまだその時小学校低学年でなんでもかんでも無条件に飲む込んじゃう年頃だったから、途中で迷信だと判明してからもなんだかなーっていう気持ちはずっと続いて、未だに俺は写真が苦手だ。小中高も必要最低限以外写真に写らなかったし、思い出なんて記録じゃなくて記憶だし、頭とか心とかにちゃんと残るんだからわざわざ形に残さなくてもいい・・・

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淘汰される退廃

14/03/11 コメント:4件 浅月庵 閲覧数:793

 科学者は、強靭で狂人的な探究心を持ち合わせていないと成り得ない。だから私は、周りの制止を振り切って自分の体を冷凍保存することにした。人類の進化の行く末をこの目で確かめたい、そう思ったのだ。

 ーー私は目を覚ます。機械が正常に作動していたのなら、今は西暦2500年のはずだ。起きた時に地上へきちんと出られるようシェルターを作り、その内部に私は自分の体を冷凍保存していた。
 45・・・

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勇気を食べる犬

14/03/11 コメント:1件 浅月庵 閲覧数:1112

 実家で飼っている犬のゴンが、老衰で死んだ。
 気弱でイジメられっ子で友だちのいない僕の元にやってきたゴン。僕たちが初めて出会ったのは、僕が小学三年生の時だったかな。僕はゴンと友だちになれるのかドキドキで、同時にワクワクもしていた。
 だけどお父さんが「ゴンのご飯はね、勇気なんだよ」と言った瞬間、体が固まってしまう。 僕の名前は優喜だから......ゆうきがご飯って、僕のこと?と思わず・・・

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隣人A

14/03/09 コメント:1件 浅月庵 閲覧数:818

 このマンションに引っ越して来て二週間が経つ。忙しい私にとって自宅は単に寝る場所としか考えていなかった。
 今私にとって重要なのは仕事のみで、職場の鈴原さんに期待されているんだからより一層気合いを入れなきゃいけない。
 朝の九時。自宅を出ると、丁度隣の住人と鉢合わせする。私はその会社員の男性におはようございますと礼儀で挨拶するし、向こうからも返ってくる。だけど、その程度の隣人の名前なん・・・

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言う気は勇気

14/03/07 コメント:7件 浅月庵 閲覧数:1051

 この高校で一番美人だと評判の亜美谷麗子さんと僕は同じクラスだ。
 彼女は僕みたいな奴からしたら完全に高嶺の花なんだけど、それでも僕は自分の気持ちに正直でありたい。
 こんな僕が亜美谷さんに想いを伝えて、結果がどうであれ満足感に浸ろうとするなんておこがましいにも程があると周りに言われそうだけど、この感情は止められそうにない。
 勉強もスポーツも全くダメで、お笑い番組を見ることが・・・

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今日だけ言わせて!

14/03/06 コメント:6件 浅月庵 閲覧数:1132

「奇跡的にカツサンド残ってたからゲットできた!」購買から戻ってきた同級生の鶴岡くんが満面の笑みで喜ぶ。周りの人も良かったじゃんと言うだけで、大して気にも止めていない様子。
 僕は教室の隅で、机の上に広げた昼食のお弁当そっちのけで、ぼんやりと考えごとをする。
 本当はこの世に“奇跡”なんてものは存在しないし、0.00001%でも望みがあるというのなら、その結果は奇跡なんかではなく必然にな・・・

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