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幸田 玲さん

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投稿済みの記事一覧

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雨宿り

16/06/18 コメント:0件 幸田 玲 閲覧数:1300

 研修場のビルを目指して、夕方の目抜き通りを足早に歩いていると、雨のしずくが田崎の頬に当たった。空を見上げて「やばいな」と思ったら、雨がぼとぼと降り始めた。
 周辺にコンビニがなかったことを思い出し、田崎は舌打ちをした。
 どこかで雨宿りをするしかない。
 とっさに見渡すと、近くの緑色のオーニングテントが目について、その中に入った。そこは、花屋の入口になっていた。
 両開き・・・

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廻るとき

14/12/01 コメント:1件 幸田 玲 閲覧数:773

渋谷にある単身者用マンションに住んで、ちょうど一年が過ぎた。
昨年の三月、転勤の辞令を受取った僕は、大阪から東京本社の勤務になった。
休日の土曜日の午後、パソコンに保存していた写真の整理をしていると、数枚の画像が目に留まった。
それは茉莉との思い出の写真で、二年前の旅行で撮ったものだ。
岸から写したスペイン風建物のリゾート・ホテルが、パソコンの画面に映っ・・・

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未来からの贈り物U

14/05/15 コメント:3件 幸田 玲 閲覧数:815

 ゴールデンウィークの最中、恋人の直樹とカフェで会っていたとき、母親が乳がんを患い手術することを知った。
 私はその話を聞いて、母を思い出した。母は、私が十歳のときに亡くなっている。
 三十歳のときに乳がんの手術をして片方の乳房を失い、三十三歳の若さでこの世を去った。
 白い肌は、放射線治療で一年中日焼けしたような肌になり、死を迎える十日ほど前には腸閉塞を起こし、病院のベッドで腹・・・

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未来からの贈り物

14/04/30 コメント:0件 幸田 玲 閲覧数:965

 金曜日の夜、恋人の美樹と食事をする予定にしていたが、断りの連絡を入れた。
 病院の駐車場に着いたのは、午後九時すぎだった。夜間出入口の扉を開けると通路の左手に守衛の窓口がみえて、そこで手続きを済ませると、エレベーターで七階病棟を目指した。
 面会時間は午後八時までなので、通路に人通りはない。
 七階でエレベーターを降りるとホールも薄暗く、ひっそりとしていた。左側の壁一面は大きな・・・

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三月の雨は冷たい

14/04/17 コメント:2件 幸田 玲 閲覧数:963

 あの日の出来事を、最近思い出したことがあった。それは二十三年前の出来事で、僕が卒園を迎える三月初旬のことだったと思う。
 思い出した理由は、彼女との結婚を意識したせいだ。目に浮かんだのは、霞んだ街並みの情景だった。その日は、雨が降っていた。
 幼稚園に通っていたころ、僕は父と離れて暮らすことになり、母の祖父母が居る一軒家に生活を移した。別居してからは、定期的に父と最寄り駅近くの喫茶店・・・

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月曜日の夜に

14/03/13 コメント:0件 幸田 玲 閲覧数:806

 照度が絞られたダウンライトがバーカウンターの碧い大理石を照らしているせいで、天板はつややかになっている。達也が十二席あるカウンターの丸椅子に座ってから一時間が過ぎていた。その間、このバーを訪れた客は達也ひとりであった。月曜日の店は、いつもこんな感じだ。
 午後十時を過ぎたころ、出入口の木製扉が開いた。コツ、コツ、コツという、床の鳴る音が気にかかり、達也は反射的に出入口のほうへ目を向けた。 ・・・

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東京物語

14/02/23 コメント:6件 幸田 玲 閲覧数:1500

 東京本社に立ち寄った僕は、午後から山手線に乗り込み渋谷駅を目指した。
 ハチ公改札口を抜けて、駅前周辺の人波をかき分けながら明治通りに進んだ。そして宮下公園を通り過ぎてから、だらだら坂を上り始めた。
 上りながら、彼女がこの坂道を下ってくるような気が何度もした。しかし現実には、見知らぬ人たちとすれ違うばかりだ。もし、記憶にある出来事が現実に起これば、それは奇跡に近いというほかはない。・・・

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陰鬱な朝を迎えて

14/02/21 コメント:0件 幸田 玲 閲覧数:821

 目覚まし時計の音に気付いたけれど、寝不足のせいで気分が優れない。
 部屋の窓辺に目を向けると、ピンクのカーテンの隙間から陽射しが差し込み、フローリングにやわらかな陽だまりが滲む。窓の外は秋の晴れやかな青空が広がっているというのに、私はベッドの中で陰鬱な朝を迎えたようだ。
 緩慢な動作でベッドから抜け出すと、浴室で熱めのシャワーを浴びた。洗面化粧台の前に立っても、まだ、気分がすっきりと・・・

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