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坂井Kさん

今年(2014年)は思い付きと勢いだけで書いてきましたが、来年(2015年)は、状況設定をもう少し固めてから書こうかな、と思っています。スティーヴン・キングによると、「状況設定をシッカリとすれば、プロットは無用の長物」らしいですから。

出没地
趣味
職業
性別 男性
将来の夢 夢というより目標として、来年(2015年)こそ長編小説を書き上げたい。
座右の銘 明日はきっと、いい日になる。

投稿済みの記事一覧

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操作されてる、僕たちは

15/08/10 コメント:2件 坂井K 閲覧数:823

最近、いわゆるAI(人工知能)の進歩が著しい。このまま進めば、あと数十年のうちに、AIが最高レベルの知識人らを超え、技術の発達に人間が関与しなくなる(出来なくなる)とも言われている。AIは人類を支配し、地球を支配し、宇宙を支配するようになるのではないか、と警鐘を鳴らす学者もいる。

彼らが自らの意思を持ったとき、私たち(人類)を仲間として認識するのか、あるいは敵と見なすのか、そういう議・・・

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女はみな聞く

15/07/28 コメント:2件 坂井K 閲覧数:760

 世界のあらゆる国々で、女はみな聞く。「私は美人?」鏡は笑顔が好きだから、必ず答える。「貴女は美人」「私は美人…」「貴女は美人」「私は美人!」「貴女は美人」。そんな問答くり返される。鏡は自信をつけさせて、女を外に送り出す。もしも聞くのを忘れても「貴女は美人」鏡はいつも答えてる。

 鏡は一枚、でも無数。ネットワークで繋がっている。スプーン・空き缶・窓ガラス。TV・パソコン・スマホの画面・・・

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黒くてゴソゴソするアイツ

15/07/13 コメント:2件 坂井K 閲覧数:792

 昼でも暗い家の中、足音を立てずに俺は、壁伝いに階段を降りる。降りてすぐの部屋には仏壇があり、たくさんのお供え物が置いてある。ガサゴソガサゴソガサゴソガサ。俺は暗い部屋の中で食い物を漁る。この家に棲み始めてから、かなりの時間が経過した。どこにどんな食料が置いてあるかは、把握している。

 母が死に、一軒家が残された。だから、住んでいた賃貸アパートを出て、その家に戻ることにした。一人暮ら・・・

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行こう一緒に

15/06/30 コメント:0件 坂井K 閲覧数:813

「お父さん、日曜日ひま?」「まあな」「じゃあさ、動物園行こうよ」「いいけどさ。本当に好きなんだねキミ、動物園」息子は動物園が大好きだ。月に一度は行っている。まだ半年も経っていないが、すでに今度で12回目だ。「今度はさ、お母さんも一緒にさ」「ああ、うん。お父さんは良いんだけどさ…」

――私がその存在に気付いたのは、半日ばかり前のこと。以前から夫婦仲は冷え切っており、離婚するまで秒読み段・・・

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新宿婆(バッバ)

15/06/21 コメント:0件 坂井K 閲覧数:799

『新宿バッハ』そんなヤツ、ケイジロウは知らない。知っているのは『新宿婆(バッバ)』――新宿西口に店を構える占い師である。新宿に住んでいて、彼女の名を知らない者はない。齢七十を優に超えているようだが、正確な歳・出身地などは誰も知らない。良く当たると評判で、顧客には経済人・政治家・スポーツ選手・芸能人らが名を連ねている。

「あの人が、なぜ俺を…?」
 呟きながら、ケイジロウは車のド・・・

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返還

15/06/15 コメント:0件 坂井K 閲覧数:753

「五郎丸、此奴を押さえておいてくれ」「あい分かった」女は男の右目を抉り、右耳を削ぐ。鼻の中心に切っ先を入れ、右半分を切り落とす。口をこじ開け、右半分の歯を歯茎ごと抉り出す。着物を剥いで、右胸の肉を削ぎ落す。男の右腕および右脚は、既に切り落とされている。「お壱、拾い集めて行李の中に入れてくれ」女は傍にいる少女に言った。

彦次郎の長屋を訪れたのは、見たこともない大きな身体の女であった。そ・・・

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ころころころころころころ、どーん!

15/05/18 コメント:0件 坂井K 閲覧数:817

 日が陰る。身体を傾け空を見る。湿った強めの風が吹く。カイは思わず溜め息を吐く。「何なんよ? 真っ昼間から溜め息吐いて」幼馴染のウミちゃんが、カイに身体を軽くぶつける。「風が強なって来たからな、そろそろ大風の時季や思うて」「もうそんな季節なんやね……早いねぇ」ウミちゃんも身体を傾け空を見た。

 一年にある五季のうち、最も厳しい大風の時季。この星中の風景を全く違ったものにする風。カイた・・・

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妖精のモノガタリ

15/04/10 コメント:2件 坂井K 閲覧数:806

TVを見ていたら、部屋の明かりが突然消えた。TVは付いたままだ。蛍光灯が切れただけらしい。最近の蛍光灯は長持ちだから、数年間替えていなかった。確か、押入れの天袋に以前買ったのが残っていたはず。――天袋は、ちょうど二年間開けていない。

二年前の今日―秋分の日―に起きた出来事のせいで、天袋を開けるのが怖い。TVを消す。部屋が真っ暗になる。さらに目も瞑った。こうすれば何も見えない。見えなけ・・・

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ケイジロウ、死す

15/04/07 コメント:0件 坂井K 閲覧数:877

「ただいまー」
 ケイジロウが自宅マンションのドアを開けると、いい匂いが漂ってきた。久し振りに夕食に間に合ったようだ。
「「「お帰りなさいっ!」」」
 ダイニングから妻と子供たちの声がした。
「珍しいねぇ、こんなに早く帰って来るの。家族揃ってご飯食べるのなんて、いつ振りかな?」
 妻のケイコは笑いながら、まだ二歳の息子に話しかけた。
「ねぇ、ヒデヨシ」
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答えはショパンの――

15/04/06 コメント:2件 坂井K 閲覧数:856

この冬一番の寒い朝、カーテンを開けると白い雪。積もった雪を見た瞬間、下村雅人は思い出す。向かいの家に住んでいた、九条大樹とショパンの曲を。

ただ単に、雅人と大樹は家が向かい。だから一緒に行き帰り。ただそれだけの関係だった。話す事柄がなくなると、大樹はいきなり歌い出す。トゥ、ティッティッティートゥルリー、ティラ、ティッティッティートゥルリー、ティラ、トゥトゥラリッタッター…。そして聞く・・・

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答えはショパンの「ノクターン」

15/02/09 コメント:0件 坂井K 閲覧数:772

2014.12
寒い朝、カーテンを開けると白い雪。積もった雪を見た瞬間、下村雅人は思い出す。向かいの家に住んでいた、吉岡大樹とショパンの曲を。

1999.6
雅人と大樹は家が向かい。親友というわけじゃない。だけど一緒に行き帰り。話す事柄なくなると、大樹はいきなり歌い出す。トゥ、ティッティッティートゥルリー、ティラ、ティッティッティートゥルリー、ティラ、トゥトゥラリッタッタ・・・

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祖母ちゃんと飛行機

15/01/26 コメント:2件 坂井K 閲覧数:939

「ウチはなあ、飛行機いうもんが嫌いやねん」それが、5年前に死んだ父方の祖母の口癖だった。子供の頃、僕はその理由を何度も訊ねたけれど、祖母ちゃんからは「嫌いなもんは嫌いやねん。特に理由なんてない」――そういう答えしか返ってこなかった。子供ながらに(戦争中に何かあったんやろなあ……)と薄々感付いてはいたが、結局、聞くことはできなかった。

 父さんにも訊ねたのだが、詳しいことは何一つ聞いて・・・

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ムケる

15/01/09 コメント:0件 坂井K 閲覧数:810

 一時間目の後の休み時間。

「隣のクラスの遠藤な、どうやらもうすぐムケるらしいぞ」「遠藤って、遠藤奈津子のこと?」

「当たり前だろ。二組に遠藤は一人だけだろ。知ってるだろ?」「もう、みんな知ってるの?」

「まだ芳樹と俺だけだ」「遠藤自身は気付いてるの?」

「まだみたいだぜ。自分では見えないうなじの辺りらしいからな」「芳くんは何で気付けたの?」・・・

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バカ兄貴

14/12/19 コメント:2件 坂井K 閲覧数:801

 私の隣の部屋にいるのは、アホボケクソカスバカ兄貴。二十代も半ばになるのに、引き籠っている駄目なヤツ。高二の夏から引き籠り、今年ですでに七年目。兄さん兄貴お兄ちゃん――そう呼ぶ気などしないから、私はいつも呼び捨てだ。

――昔々あるところに、一人の少年がおりました。元々は臆病者だった彼ですが、有りったけの勇気を出して、村を荒らし回る盗賊を、知恵を使って捕らえます。しかし、優しい彼は、盗・・・

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元の姿

14/12/11 コメント:0件 坂井K 閲覧数:743

 元の姿に戻りたい。この世に産み出されて来たときの、あの姿に。

 あなたの生命を維持するために、必要な食物として私自身を摂ってもらいたい、と私は心から願ってやまない。――この私は、太陽系の第三番目の惑星表面に広がっている塩水をたたえた部分の中に存在する、周りのものよりも際立って盛り上がっている地形に産み付けられた受精卵から離れ出て、この天体の、自由に動けて他の動植物を食物として摂るこ・・・

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夕日と月のある風景

14/12/04 コメント:4件 坂井K 閲覧数:916

 私は夕日と月が好き。特に一緒に出てるとき。

 このマンションに越して来た日は、夕日と月が同時に出てて、とても印象に残ってる。「お姉ちゃん! 夕日と月が一緒に出てる!」右側にいた妹が、目を丸くして指差した。「菜の花や月は東に日は西に、か」「何それ?」「昔、蕪村さん、っていう有名な俳人が作ったんだよ」

「俳人?」「俳句を作る人のこと」「俳句?」「五・七・五で作る詩のこと」・・・

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まるいやつ

14/11/29 コメント:0件 坂井K 閲覧数:772

 彼は帽子を被ってた。年がら年中被ってた。

 あれは中一、新学年。隣に座ったコイケくん、いつも帽子を被ってた。授業中でも被ってた。大きなつばのある帽子、目深に被って座ってた。「コイケくん、何で帽子を脱がないの?」疑問に思って聞いてみた。「脱いだら周りが迷惑さ。みんな座っちゃいられない」

――あれは小学四年生。学校帰りに歩いてた城跡にある公園で、僕の目の前横切った、小さく・・・

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さよなら、僕のアイデアくん

14/11/25 コメント:4件 坂井K 閲覧数:928

 僕は小説を書いている。と言ってもまだプロではない。平日は派遣の仕事で働いて、土・日に部屋で執筆の日々。コンテストに応募したのは一度や二度ではないけれど、入選を未だに果たしたことはない。(選考委員は本当に、僕の小説を読んでるのかな?)そう思いつつ、今日も書く。

 最近は、短編の小説ばかりを書いている。本当は長編ものも書きたいのだが、50ページほど書いた後、いつも途中でダレてしまう。書・・・

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私らヒロイン『転(ころ)Girl』

14/11/12 コメント:4件 坂井K 閲覧数:871

 いつからだろう。ちょっとしたことで絶望して、立ち止まってしまう若い男たちが増え出したのは。――ここにも一人、そんな男がいる。彼の名前はヒカルくん(仮名)。歳は16、高校生。好きな女の子に告白して振られたぐらいで絶望し、立ち止まってしまった愚かな男。

 ヒカルは授業が終わると、川沿いの道を一人で歩き、帰途に就く。そして、ときどき立ち止まっては溜め息を吐く。立ち止まっているその間、彼の・・・

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四つの言葉

14/11/06 コメント:0件 坂井K 閲覧数:719

 ユキの外見は完璧に人間だった。触った感じもそうだった。ただ、彼女は四つしか言葉を話さない。「はい」「いいえ」「ありがとう」「ごめんなさい」それが、私が彼女に会ってから聞いた言葉の全てだ。――私はフリーのライターで、主にロボットについての記事をwebマガジンに載せて糊口を凌いでいる。

 専門家的観点からではなく、一般市民的観点から、ロボットと人との過去の関係〜現在の状況〜未来の展望ま・・・

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ハルキ

14/11/03 コメント:0件 坂井K 閲覧数:708

 あまり世間には知られていないけど、この世界には、八本の腕を持って産まれて来る民族がいる。その名は通称「八本腕族」。彼ら自身は自分たちのことを別の名前で呼んでいるんだけど、発音が難しいから、一般的には八本腕族と呼ばれているんだ。

 彼らは平常時、ひとつの場所に固まって住んでいるわけじゃない(少なくとも、今はね)。世界中に散らばって暮らしているんだ。八本腕族だということは隠してね。なぜ・・・

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15ヶ月の両想い

14/10/15 コメント:2件 坂井K 閲覧数:780

 彼への告白を決意したのは、高校二年の秋―11月―のこと/彼女に告白されたのは、高校二年の秋だった/初めての告白だったので心の中はドキドキで、けれども私は嘘吐きだから(緊張なんかしてないよ)って自分に嘘を吐いて告った。「サカイくん、私と付き合ってくれる?」って/廊下で擦れ違ったとき、いきなり言われて驚いた/あまりに突然だったから、彼は告白だとは気付かず「いいけど、どこに?」なんて答えた。
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ズレる

14/10/08 コメント:2件 坂井K 閲覧数:960

 俺は朝起きると、いつものようにトイレに行った後、歯を磨きながら鏡に映った顔を見る。昨日の顔と違っている。そうか、今日はズレる日か。今回は髪型は同じだ。眉毛は太くなっている。二重まぶたは一緒だけれど、瞳の色がやや薄い。鼻の形は変わらないけど、鼻毛に白毛が混ざっている。昨日まで伸ばしていた髭が無くなり、顎の下方に大きな黒子。顔の黒子はこれで六つ目。半年前は無かったんだが。(このままじゃ顔が黒子で埋ま・・・

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うちうじん

14/10/03 コメント:0件 坂井K 閲覧数:755

 僕の通う中学校の校庭に、大きな羽が舞い降りて来た。その上に乗っていたのは「うちうじん」すがたかたちは人間とそれほど変わりはないけれど、変な雰囲気「うちうじん」Aくんは「美男美女だ」と言ったけど、Bさんは「何か怖い」と震え出し、Cくんは「違うな」と言って首を傾げた。

 先生が止めるのも聞かずに生徒たちは、校庭に出て遠巻きに「うちうじん」たちを眺めていた。Dくんが「ハロー」と言って手を・・・

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言い伝え

14/09/30 コメント:0件 坂井K 閲覧数:785

 この世界を支える一本の大きな柱、御柱。その柱を守ること。誰の手にも触れさせないこと。――それが、モリヒト一族の代々の役目である。

 その日も朝起きると、コタロウと弟のタクミは、いつものように御柱を囲んだ壁を点検した後、壁の内側にある見張り小屋に入った。「お早う」「お早うございます」夜番のヨシユキが、眠そうな顔で挨拶する。「ユタカくんはどうしたの?」「小便ですよ。そう言って出て行きま・・・

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僕には詩なんて作れない

14/08/11 コメント:2件 坂井K 閲覧数:833

 僕は決して詩人ではない。上手い詩なんて作れない。けれど無理して作ってみるよ。貴女に感謝を伝えるために。

 僕には詩なんて作れない。誰かに勇気を与える詩など。だけど貴女に貰った勇気を、伝えることなら出来るかも。――貴女に出逢えていなければ、恐らく僕は死んでいた。貴女は言うかも知れないね。「私は何にもしてないよ。特別なことなんて、何にも」それが僕には特別だった。普通に接してくれたってだ・・・

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ロボ人親王

14/07/31 コメント:5件 坂井K 閲覧数:1081

 ロボ人親王はロボットであり、人でもある。人間の王様とロボットの夫人との間に生まれたのが、彼だ。親王はロボットの長所と人間の長所を併せ持つ。ロボットの正確さと記憶力を持ち、人間並に融通が利き、ユーモアもある。見た目は人間と変わりはないが、気持ちが昂ると高温を発するのが特徴だ。

 ロボ人親王はロボットであり、人でもある。親王は父親譲りの熱い気持ちと、母親譲りの冷静さを併せ持つ。表情は豊・・・

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二十二世紀の「ヒト」

14/07/24 コメント:2件 坂井K 閲覧数:803

 私が弁当の準備をしていると、上司のマツナガから連絡が入った。メールを開く。「事件だ。早く来い」との文字。返信しつつ息子の顔を見る。「ゴメン。お弁当作れそうにないよ」「いいよ。パン買うから。それより、気を付けて。お母さん」ありがとう、息子。

 俺にとって、妻は最高のパートナーだ。彼女は完璧だ。顔も。スタイルも。性格も。そして、性の相手としても。だから俺は彼女を放したくない、いや、彼女・・・

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祖母ちゃんは、おそらく鳥の夢を見た

14/07/19 コメント:0件 坂井K 閲覧数:725

 この僕の生まれる十数年も前、祖母ちゃんの家に鳥が来た。種類はボウシインコと言って、緑の綺麗な羽を持つ、かなり大きな鳥だった。祖父ちゃんが外国航路の船員で、ブラジル辺りで手に入れて、日本に連れて来たという。

 当時、父さんの妹がまだ小さくて、「鳥さん」という言葉が言えず、「トンちゃんトンちゃん」呼んでいた。――それが正式な名になった。トンちゃんは頭が良くて言葉も喋る。だけど家族の者以・・・

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寒い日になったら、きっと

14/07/05 コメント:4件 坂井K 閲覧数:750

 目の前の道に穴がある。何かを入れてみたくなる。僕はポケットに手を入れて、何かないかと探り出す。ティッシュにハンカチ、定期券。あの子と撮ったプリクラ一枚……。

――彼女に告白されたのは、高校二年の秋だった。「サカイくん。私と付き合ってくれる?」廊下で擦れ違ったとき、いきなり言われて驚いた。「いいけど、どこに?」告白だとは気付かずに、間抜けな返事をしたものだ。「そうだねえ。学校の行き帰・・・

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ころころころころころころ、と

14/06/03 コメント:4件 坂井K 閲覧数:752

 遥か昔、僕らの身体には、「手足」というものが付いていたらしい。「それって、どんなもんやったん?」子供のころ、僕はお祖父ちゃんに何度も聞いた。「胴体から長く突き出た身体の一部でな、それぞれが二つづつ付いていたんやて」「それって、何かの役に立っとったん?」

「もちろんや。手はな、ものを掴むために必要なもんで、足はな、移動するときに必要なもんやったんや」「ふ〜ん。せやけど、そんな長いもん・・・

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ウチの初恋

14/05/25 コメント:3件 坂井K 閲覧数:773

 これからする話はな、女同士の内緒の話やから、お父さんたちには言うたらあかんで。あれは今から……60年も前のことになるかな。世界的に人口が減っとる今では信じられへんやろけど、当時は世界の人口が増え続けとってな、食糧不足が深刻になっとったんや。

 せやからな、世界的な研究機関は、こぞってその解決方法を研究しとった。その結果完成した技術が「融合」や。「融合」ていうのはな、二人の人間を溶か・・・

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何かヤだ

14/04/30 コメント:0件 坂井K 閲覧数:806

 私には、結婚の約束をした彼がいる。彼とはもう10年近く付き合っているが、今でも大好きだ。甘いと言われるかも知れないが、彼のために出来ることなら何でもやってあげたいし、彼が何をやっても許してあげられる――と思っていた。彼のあの秘密を知るまでは。

 僕は学生時代から料理が得意で、家族や友人、そして彼女に振る舞って来た。が、どれだけ頑張っても家庭料理のレベルで、一流のプロには敵わなかった・・・

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何かをすれば腕が出る

14/04/17 コメント:0件 坂井K 閲覧数:789

 良く行くバーで、頻繁に顔を合わせる男がいる。本名も職業も年齢も知らない。と言うか、あえて聞かないようにしている。彼の方だってそうだ。日常生活を忘れたくて行っているのだ。本名など名乗る気もない。お互いに適当な呼び名で呼び合っている。彼は「カッパさん」。僕は「ハニワくん」。

 彼がハゲているとか、僕がハニワに似ているとか、そういうわけでもない。本当に適当に名付け合っただけだ。理由も覚え・・・

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敗北と雨は良く似合う

14/04/02 コメント:2件 坂井K 閲覧数:860

(何でこんなことになってしもたんやろ……)ヨシオは激しく痛む下腹部を両手で押さえながら、大粒の涙を流す。前屈みになり、両膝が水溜りに沈む。(僕は正しいことをやっていた筈や。それやのに……)どこで間違ってしまったのだろう? 近くの空で雷鳴が轟いている。

 ヨシオは、彼と出会った日のことを鮮明に思い出す。「――これ、あげるよ」青年はそう言うと、容器から透明な紫色の球体を取り出し、ヨシオの・・・

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確かに私が悪いのだけど

14/03/17 コメント:2件 坂井K 閲覧数:792

 黄昏時、私は母校、M市立第六中学校へと至る道を歩いている。仕事で近くを訪れた私は、その帰り、久々に中学校を見たくなり、立ち寄ることにしたのだ。中学生の頃、ずっと通い続けたこの道。高校・大学と寮生活を送った私は、中学を卒業して以来、十年以上この道を通っていなかった。

 しばらく見ないうちにかなり風景が変わったものだ。あの頃、この道はまだ砂利道だったし、周囲には田んぼが広がっていた。今・・・

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ボクも今日から擬音クン

14/03/05 コメント:4件 坂井K 閲覧数:919

 ダッダッダッダ。ズン。ジャジャーン。僕の後ろで声がする。ボクが後ろを振り向くと、やっぱり彼が立っていた。彼のあだ名は擬音クン。口から擬音を発しなければ、行動できない変な奴。もちろん本名あるけれど、誰もその名で呼びはしない。今のクラスは別だけど、彼とボクとは幼馴染で小1からの親友だ。

「オハヨウさん」と彼が言う。「オハヨウさん……」ボクも遅れて言い返す。「どうしたん? あんまり元気な・・・

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スイッチONでラン・ラララーン

14/02/11 コメント:2件 坂井K 閲覧数:909

「スイッチを押せば、必ず良い結果へと導いてくれる。けど、一度しか押せないの。だから、本当に困ったときに押しなさい」僕は、母にそう言われて育った。生まれた直後、身体に埋め込まれるスイッチ。身体のどこに埋め込まれるかは、両親によって決められる。僕の場合は左耳の裏側だ。

 左耳の裏側をそっと触る。軽く触ったぐらいでは発動しない。発動させるためには、意志を持って強く押さなくてはならない。僕は・・・

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こうして私は殺された

14/02/08 コメント:0件 坂井K 閲覧数:1123

   どうして私を?

 会社からの帰途、Mが包丁を持って私の前に現れた。怖さより先に驚きを感じた。それほど意外だった。躊躇なく私の腹を刺す彼。薄れ行く意識の中、力を振り絞って声を出す。「なぜ私を刺す……?」Mが恨みを持っている人物は、少なくとも3人いる。(私でなければならなかったのか……?)

   金を奪った男

 私がMから金を奪った、と言われるのは心外だ・・・

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死を望む我ら

14/02/04 コメント:2件 坂井K 閲覧数:941

「親父なんか死ねば良い」俺はずっとそう思って来た。俺がやつを嫌いになったのはいつからだろう? 以前から馬が合わなかったのは確かだが、殺したいほど嫌いになったのは……、そう、高校三年のときだった。酔っぱらって帰って来たやつが、俺に難癖をつけ、俺がキレて掴み合いになったときからだ。

「息子なんて死ねば良い」いつからか私はそう思うようになった。いつからそう思うようになったのだろう? 私だっ・・・

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