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雲鈍さん

出没地
趣味
職業
性別 男性
将来の夢
座右の銘 タフでなければ生きて行けない。 優しくなければ生きている資格がない

投稿済みの記事一覧

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どうやら呪われているらしい

17/01/12 コメント:0件 雲鈍 閲覧数:316

 この部屋はどうやら呪われているらしい。入居者は次々に変わるし、長く居着いた試しがない。そして部屋を出て行く時はみな、口をそろえて「お化けがでた」と。……失礼な。ここには僕というジェントルマンしかいないのに。

 さて、他愛もない世間話に付き合ってくれる淑女の君に、礼として最初に種明かしをしておこう。そう、僕が幽霊。地縛霊。この部屋に潜み、影から人を驚かし、その滑稽なさまをさめざめと笑・・・

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優しさ、売ります

16/12/26 コメント:1件 雲鈍 閲覧数:413

「優しさ売ります」

 僕がその看板を見つけたのは、仕事が終わり、帰りの電車に向かう途中だった。
 木製の居たに、ペンキで乱雑に塗り描かれたその字面につられて、僕はその持ち主を目で探す。……近くに佇むのはキャップをかぶった少女と犬。少女はタバコをプカプカさせながら、犬はしっぽをぷらぷらさせながら、互いに明後日の方向を見つめていた。

「いくらなの」

 僕・・・

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あなたに会うまで。

16/12/25 コメント:0件 雲鈍 閲覧数:353

 がたんごとん、と電車が揺れて、発車する。
 ぐぐぐ、と体は後方にひっぱられて、少しだけ重力を意識する。体が置いていかれて、心が先に加速する。まるで今の私みたいだ、と思う。
 アナウンスが長町の駅を通り抜けたことを告げる。……あと5分。待ち合わせの駅まで、あと5分でたどりつく。たった5分。だけど5分。世界で一番長くて、人生で一番楽しい時間。私は正面のガラスにうつった自分のくせっ毛を、も・・・

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捨て身の覚悟

16/11/13 コメント:0件 雲鈍 閲覧数:414

目の前の男が、俺に向けて殺意をふるう。それは明確な刃の形を為していて、確実に俺の身体を切り刻む。それだけでも悲劇だったが、さらにそれを色濃くしているのは、その男が俺の親友である点だった。

「おい」

俺らは奴隷だった。広大な農園で働かされていた。同期に入った俺と、こいつと、その妹だった。俺らは年が近く、兄弟のように育った。お互いを助け合い、励ましあいながら今日まで生きてき・・・

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雨と迷い家、それと彼女

16/11/13 コメント:0件 雲鈍 閲覧数:453

雨が降っていた。台風一過の油断をついてのこの雨。まだ夏は遠く、しとしとと降る雨は確実に私の身体を濡らし、体温を奪っていく。当初の目的はどこへやら。私は意気地をなくして、雨宿りできる場所を探して彷徨い歩いていた。ここは山道から外れた深い森の中。左手にもつ携帯に、かろうじて電波はあるが、バッテリーはあと数パーセントしかない。


見かけは、バロック式の洋館である。「展示を行ってます」・・・

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親子の絆

13/11/13 コメント:4件 雲鈍 閲覧数:918

 トントントン。包丁をまな板にうちつける音が響く。時計は六時を示している。そろそろ、真由美をリビングに呼ばなければならない。

「ご飯よ。早くしたくしてリビングにいらっしゃい」

 私は階下から真由美の部屋めがけて声をかける。一瞬の間の後、「わかってるってば」と返事が聞こえる。

 トントントン。トントントン。
 とんとん
 ガツ。

 ・・・

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スイートポテト

13/11/13 コメント:1件 雲鈍 閲覧数:1003

 おいしくない、と思った。彼の好きなスイートポテト。黄金色をしていて、消しゴムぐらいの大きさ。私はそれを手に取って、端っこからもしゃもしゃとかじっていく。
 口に広がるのは芋本来の甘さ。その甘さはしつこくなくて、優しくて、まるでお母さんのような味だ。手作りだからかもしれない。けれどおいしくない――、いや違うな、物足りないのだ。ケーキみたいに砂糖をふんだんに使ったお菓子に慣れてしまっているから・・・

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