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五助さん

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将来の夢
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投稿済みの記事一覧

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逃走

15/06/17 コメント:2件 五助 閲覧数:791

「浪速のモーツアルトやったら知ってるけど新宿バッハは知らんわ。ケンジロウさんは知ってるの」
 ケンジロウは助手の麦丘依子に携帯で連絡を取り、駐車場で襲われた事を伝えた。
「この前行った二丁目の店が、そんな名前だったような」
 思い出そうにも靄がかかったかのように不鮮明である。ただ、何かじゃりじゃりとした感触を思い出し、だらりと冷や汗が出た。
「どんな店いっとんねん!」 

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江戸の水

15/06/14 コメント:1件 五助 閲覧数:785

 江戸の水はまずいと昔から言いますが、それにはわけがございまして、江戸というのは元は湿地帯で、漁村がいくつかあるぐらいで後は何にも無いところだったんです。それを家康さんが苦労して埋め立てて江戸の町を作ったわけです。
 江戸の庶民が、井戸の水をくみ上げている光景を時代劇などで見たことがあると思いますが、あれ、普通の井戸とはちょっと違うんです。元が湿地帯で、海が近いものですから深く掘れば別ですが・・・

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マムシの子

15/02/05 コメント:1件 五助 閲覧数:1094

 斎藤道三は追い詰められていた。マムシの道三といわれた己が、息子、義龍(よしたつ)に追い詰められるとは思ってもいなかった。

 城にこもっていては、いつ味方に裏切られるかわからない状況であった。籠城中に裏切りに合えば、どのような城でも、中と外からあっという間に攻め滅ばされてしまう。そうなるより、味方をかき集め、城からうってでた方がましと、道三は城から出たものの、ついてきた兵はわずかであ・・・

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純粋音、あるいは見られてはいけない光景

15/01/14 コメント:0件 五助 閲覧数:808

「あなたは音楽が好きなの、それとも音が好きなの?」
 むかし、妻にそう問われた事がある。

 静かな喫茶店だ。客は数人、店主がコーヒーを入れる音がする。音楽はない。外は雨が降っている。店の天井の隅にはスピーカーが設置されている。コーヒーを持ってきた店主に音楽はかけないのかと聞いてみた。
「雨の日は、かけないことにしているんです」
「どうしてです」
「雨がやんだ音・・・

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空港に犬

15/01/03 コメント:1件 五助 閲覧数:821

 検査場で時々荷物の匂いを嗅ぎながら、仕事をしてますよ、と言う顔で歩いているものだから、当初はサリーのことを麻薬探知犬だと思っていた。ハンドラーがいないことに気づき、係のものに聞いてみると、三ヶ月ぐらい前から空港内に住み着いた野良犬だそうだ。手荷物係やグランドスタッフの間では公然の秘密だったようで、いたずらしたり吠えたりしないし、かわいいからと黙認されていたそうだ。
 警備の仕事をしている私・・・

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隣でよかった

14/12/17 コメント:1件 五助 閲覧数:818

 出張先のホテルでの出来事である。
 部屋で、明日の会議に使う資料の見直しをしていた。いくつか修正を行ない、そろそろ休もうかと、伸びをしたとき、壁に三角形の白いものが出てていることに気がついた。
 はがれた壁紙だろうか。
 主張先から近いという理由だけで選んだビジネスホテルだ。外観も内装もどこか薄汚れている。劣化したのか湿度の所為か、白い壁紙が一部めくれたのだろう。
 それ・・・

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田舎道

14/11/25 コメント:0件 五助 閲覧数:775

 老婆は軽トラックの荷台の上で後続の車に頭を下げていた。後ろを走っているのは赤いオープンカーである。
 老婆は運転免許を持っていなかった。軽トラックの運転は老婆の連れ合いがしている。助手席には小学校に上がったばかりの孫が乗っている。
 少し急な坂だった。
 エンジンに、がたが来た軽トラックには少し厳しく、アクセルをめいいっぱい踏み込んでも、歩いているような速度しか出せなかった。普・・・

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任侠フグ

14/11/18 コメント:0件 五助 閲覧数:771

 海の底、淡い光が届く珊瑚食堂、一匹のトラフグが、カワハギの娘を背に浮き泳いでいた。それを三匹のクサフグが囲んでいる。
「この野郎!」
「おっと、あぶねぇ」
「てめぇ、がっ」
 突っかかってくるクサフグを、トラフグはヒレで尾で、叩きのめした。三匹のクサフグは、のされ腹を上に浮いた。
「勘定はここに置いとくぜ」
「ありがとうございます」
 カワハギの娘は頭を・・・

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生命の川

14/10/24 コメント:0件 五助 閲覧数:807

 水の流れの下に大地という名の生命をはらんだ川が流れているかのように、その川は命と共に生まれる。

 アフリカ、サバンナ地帯では、雨季にだけ現れる川がある。
 雨が地面を殴打する。落ちた雨は、地面に吸収されながらも、広がり続け、重力に従い、下へ、高いところから低いところへ流れていく。窪地があればそこに溜まり水たまりを作る。水たまりにとどまりきれない雨が、こぼれ、窪地の外の水と手を・・・

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お公家修行

14/10/18 コメント:0件 五助 閲覧数:758

 スペインの牛追い祭りを見に行きましてね。町の一角で闘牛場まで牛と人間を放つんです。牛って言っても牧場でのんびり草食んでるような奴じゃ無いですよ。本物の闘牛です。そいつが人間を追いかけ回すんです。時々死人が出るらしいです。どうしてこんなことをしようと思ったんですかね。
 誰でも参加できるみたいで、首に赤いスカーフ巻き付けてね。これは、別に牛を興奮させるために巻いてるわけでは無いんです。牛追い・・・

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母一人

14/09/30 コメント:0件 五助 閲覧数:690

 誰にでも隠し事というものはあります。後ろめたいことや、ごまかしたいこと、何でも無いことまで隠したくなりますな。
 たまたま、若い女性に名刺をいただいても、ポケットに入れておくわけにはいけません。財布に入れておくのも物騒です。車も案外見つかるものです。そういう時は、将棋の駒が入っている木箱の中に入れておくんです。あんなもん女房触りませんからね。将棋盤の前で木箱を開けて、めくり、こいつは銀だ。・・・

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そこまでは飛べない

14/09/19 コメント:2件 五助 閲覧数:773

「もふもふ、飛べ」
 鈴音は自分より背の高いテーブルを指さした。
 無理だ。彼女は私の滑空能力を過大評価している。高いところから低いところへ飛ぶことはできるが、上昇することはできない。とはいえ彼女の命令を無視するほど愛が無いわけではない。眠気を我慢しながら、手足を広げ、彼女の頭の上から飛んだ。案の定テーブルの脚の下の方までしか届かず、そこにしがみつき手足を使いテーブルの上へよじ登った。・・・

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携帯マナー

14/08/28 コメント:1件 五助 閲覧数:810

 この間スピード違反で捕まってしまいましてね。その上、運転免許証を家に忘れてきて、さらに罰金を取られてしまったんです。お巡りさんが書類を書いている間、車の中でじーとしてると、自分以外の交通ルールを破っている人間が目に付くわけです。最近は携帯電話をかけながら運転している人が多いですな。
「おまわりさん、ほら、携帯電話かけながら運転してる奴、おりまっせ」
「そうですか」
「そうですか・・・

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夕餉の心配

14/08/10 コメント:1件 五助 閲覧数:896

 物事を先回りして考えている人がいますが、あまり先のことを、考えてはいけません。
 鰻重をいただきましてね。関東風の背開き、絶滅危惧種なんて言われてますが、鰻は江戸前、昔は江戸の堀でもよく取れたみたいですよ。蒸してタレを付けて焼いて、ご飯にのせて、蓋を開けた瞬間、鰻の香ばしいのとタレの甘いのがね、そいつをね。お酒と一緒にいただいたわけですよ。ちゅーと、ついさっき、楽屋でね、お昼にね、いただい・・・

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鉱山生物詐欺、その実態を暴く

14/07/16 コメント:0件 五助 閲覧数:722

「定年退職をして五年、家のローンも終わってるし、そこそこ暮らせてたんですわ。なんであんな話に引っかかったかなぁ」
(ご家族の方はいらっしゃらないんですか)
「だいぶ前に離婚して独り身ですわぁ」
(相談できる方がいなかったと言うことですね)
「そうなるな」
(どういう経緯で蜘蛛の養殖詐欺に引っかかったんですか)
「チラシが何度か、きとったんです。それは無視してたん・・・

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夜空に輝く網星、ホシアミグモについて

14/07/16 コメント:2件 五助 閲覧数:866

 光を発生する生物がいます。海の生物などは発光する生き物が多く、チョウチンアンコウなどは光を使い狩りをします。他にもカウンターイルミネーションといって、自らの影を消すためにおなかを光らせる魚もいます。ヒカリキノコバエという洞窟に住む虫で、光を発する粘液の糸を垂らしそこに止まった虫を補食するものもいます。異性を探す目印にしたり様々な用途で発光をおこないます。生物発光といい、すべて化学合成による発光で・・・

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ナミダブクロハマダラカ

14/06/25 コメント:2件 五助 閲覧数:934

「博士ー」
「どうした」
「かゆいよー、蚊にかまれた。お薬塗って」
「つばでも塗っとけば良いよ」
「ばっちい、なんかないのー」
「かけば良いじゃないか。かゆいんだったら」
「そう言うんじゃなくて、裏ワザ的なものー」
「ないね。蚊にかまれた、かゆみは、ほっとけば消えるものだから、何しても一緒だと思うよ。何か他のことでも考えたら」
「身も蓋もないよー。蚊・・・

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間違い電話

14/06/19 コメント:1件 五助 閲覧数:744

 電話口から女の泣き声が聞こえた。ずいぶん派手に泣いているのか、ぽとぽと涙が落ちる音が聞こえる。
「どうしてなの、急に別れるってどういうことなの!」
 間違い電話ですよ。と言おうとしたが、知らない女の剣幕とその内容に躊躇してしまった。
「奥さんにばれたってどういうこと、奥さんとは別れるって、あなた言ってたじゃない」
 どうやら不倫関係にあった男から、奥さんにばれたからと、一・・・

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中間宿主から終宿主まで

14/06/06 コメント:3件 五助 閲覧数:1141

 空を飛ぶために私は空を見続けた。
 この木がなんという木なのかは知らぬ。ただ、日がよく当たる木であることから、この木に登れ、一番高い葉のところへ登れと、私は宿主であるカタツムリの脳に命じた。カタツムリの脳は、暑い。嫌だ、葉の裏が良いと反抗したが、私は、木の上はなんと涼しく、みずみずしいか、体が思う存分伸び上がるぞう。と吹き込んだ。カタツムリは抵抗の意志を少し見せたが、体を動かし木の上へ這い・・・

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ベーコンと私

14/05/26 コメント:2件 五助 閲覧数:791

 最近できたお肉屋さんのベーコンが、とてもおいしそうである。買い物は基本スーパーなので、その近くにあるお肉屋さんでは買い物をしたことがないのだが、お肉屋さんの前を通りすぎる度にベーコンに目がいってしまう。誤解しないでいただきたい、別にお肉屋さんのショーケースを物欲しげに、なめるように見ながら通りすぎているわけではない。自然と目にはいるのだ。何せそのベーコンは、店先の目立つところにつるしていて、でか・・・

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(続)うんこ夫人

14/04/28 コメント:1件 五助 閲覧数:1153

「また出なくなったの」
 由美子は電話口に話しかけた。電話相手は母親で、相談事は便秘である。
「まぁ、大変ねぇ。この間は六日ほどだったんでしょ。今度は何日ぐらい出てないの」
「もう、一週間はたってるわ」
 由美子はため息をついた。
「あら重症ねぇ。病院に行くしかないじゃないの」
「いやよ。便秘で病院に行くなんて、恥ずかしいわ」
「じゃあ、どうするの」

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墓に入れるな

14/04/23 コメント:1件 五助 閲覧数:830

「姉さん、孝史君をお墓に入れてやりなよ。そりゃ、あんな事件を起こして、いろいろあるだろうし、親戚筋にもごちゃごちゃ言ってくる人間もいるかも知れないけど、お義兄さんから見れば大切な一人息子なんだから、一緒にお墓に入れてあげるべきだよ。きっとお義兄さんもそれを望んでいるはずだよ。孝史君は、もう亡くなったんだから、済んだ話し、なんて言っちゃいけないのかも知れないけど、相手のご両親だってさ、何も墓にまで入・・・

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うんこ夫人

14/04/15 コメント:0件 五助 閲覧数:938

「出ないわ」
 緑のタイルに囲まれ白い便座に尻を置き、由美子は一人ため息をついた。もう、五日になる。出て来ないのはうんこである。
 できる限りのことはやった。それこそ人に言えないようなことも、そもそも人に言うことではない。とにかくいろいろやった。それでも出ない。しかし便意だけはあった。もうすぐ、もうそろそろ、ああ来るぞと、予感だけはあったが先っちょすら出てこない。
 そんな折、由・・・

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血と雨の報酬

14/03/25 コメント:2件 五助 閲覧数:833

 はした金で人を殺すような殺し屋は、日本にはいない。海外となると別だ。つてさえあれば簡単に見つけられる。問題は質だ。
「本当にできるのか」
 砂岡は外国人の男に英語で言った。
「金さえくれれば誰でも」
 外国人の男は言った。
「試させてもらおう」
 縄で縛られた男が、数人の男達に連れ出されてきた。砂岡は札束を殺し屋に渡した。
「こいつを殺せ」
 殺し・・・

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庭の一角

14/03/15 コメント:1件 五助 閲覧数:939

 春が来て、タンポポの綿毛が庭の一角に舞い降りた。雨が降り、根が地面の土を探り当て、中に潜り込んだ。ちいさな芽が開いた。庭の一角には様々な植物が芽を出し葉を広げ、花を咲かせ成長する。ブロック塀に沿うようにシダが群生し、キキョウソウが弱々しげに伸びている。着々と増え続けているドクダミ草は、地面から次々と顔を出し、濃い緑色の葉を一斉に開いている。ナンテンの木は赤い実を落とし、サルスベリの幹には冬の間に・・・

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廃汁の宴

14/03/10 コメント:3件 五助 閲覧数:912

 遠くから見ると、二人の男が喧嘩をしているように見えた。俺が駆けつけると一人の男は逃げた。
「大丈夫か」
 残った男はうなずき腕を押さえた。
「刺されたのか」
「いや、刺されたというか、さっきの男に注射器でなにかを注射されたんです」
「なんだって」
 注射器が落ちていた。拾い上げ匂いを嗅いだ。
「まずいぞ、これ、廃汁だ」
「えっ、廃汁って、家畜の廃棄・・・

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天井を支える四人

14/02/27 コメント:1件 五助 閲覧数:934

「大丈夫か!」
「はい」
「真っ暗じゃないか」
「なんの音だ」
「落ちてくるぞ!」
「うわ、うわああ! 支えろ! 落ちてくるぞ!」

「大丈夫か!」
「僕は大丈夫です、天井ですよね。これ」
「そのようだ。何が起きた」
「わからん。揺れて、電気が消えた」
「地震かなにかか」
「あるいはテロか、手抜き工事って線もあるな」
「・・・

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翻訳強盗

14/02/25 コメント:6件 五助 閲覧数:1364

「金を出せ、などと私が言いたいわけじゃないんですよ。彼が言っているわけで、私がそれを通訳しているだけなんです。もちろん、もちろんそうです。共犯者なんかじゃありません。たまたま、通訳を頼まれただけなんです。レストランにいる奴らの国の言葉がわかるか、なんて言われて、大丈夫ですよ。なにか用事があるんですか、通訳しましょうか。なんて安請け合いしちゃったからこんなことに、ああ、大変だ。早くお金を出せって、早・・・

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鼻の穴の中の奧の指輪

14/02/14 コメント:1件 五助 閲覧数:1413

「どうされました」
「先生、鼻の穴に入った結婚指輪をはずしてください」
「はぁ」
「鼻の穴に入った結婚指輪をはずしてください」
 女は大きな声を出しました。ここは耳鼻科です。
「それは聞こえてんねん。なんで結婚指輪が鼻の中に入ったんや」
「鼻をほじったら、奥に入って取れなくなったんです」
「そんなあほな、ちょっと見せてみい」
 医師は女の鼻の穴にライ・・・

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妻と秘書と運転手

14/02/01 コメント:2件 五助 閲覧数:1173

 夫

 やはり、妻は私の浮気を疑っているようだ。
 他社の創立記念パーティーに呼ばれ妻と共に出席した。壇上に上がりそれらしい挨拶をして、妻と一緒にパーティー食を少しつまんだ。私の秘書もすぐ後ろに控えており顔と名前が一致しない人物について適切なアドバイスを耳元でささやいてくれる。その彼女と私の仲を妻は疑っているようだ。
 一時間ほどたったところで、私の専属運転手がやってきた・・・

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まだ、だいぶある

14/01/28 コメント:1件 五助 閲覧数:868

 遠いわけではない、険しいわけでもない。走るわけにも行かず、ゆっくりと歩くほど余裕があるわけでもない。夜の道を、急ぎ静かに歩いている。
 春になれば、この道すがら桜の花が咲き乱れる。夜の闇に浮かぶ白い花びらは、恐れとも美しさとも足を止め見いってしまう。今は冬、枝先に、つぼみを蓄えじっとしている。
 子供の笑い声が聞こえる。民家の一室から、テレビでも見ているのだろうか、それとも、学校で何・・・

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馬泥棒

14/01/22 コメント:1件 五助 閲覧数:814

 草原を赤く夕日が染めていく。
「兄貴、日が暮れてきましたぜ」
 背の低い男が馬上で言った。
「急ごう」
 こちらは細身の男で同じく馬上にいる。二人は兄弟ではない村のごろつきである。馬泥棒の話を聞き、馬主に取り返してやろうと話を持ちかけた。もちろんただではない。最初は馬の売値の三分の二、最終的に売値の半分で落ち着いた。ただし取り返したらの話だ。二人は手早く旅支度を済ませ馬泥・・・

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祖父の遺言

14/01/09 コメント:5件 五助 閲覧数:1220

 祖父が亡くなり、遺言書に見知らぬ女性の名前があった。母と兄と私は顔を見合わせた。家族全員その名前に心当たりがなかった。
 遺言書によると、その女性に遺産の一部を渡すようにと書かれてあった。まず真っ先に浮かんだのが、その女性が祖父の愛人であった可能性である。ただ、祖父は、四六時中店にいて、仕事を休んだところを見たことがない、脳卒中で死ぬ前の日まで元気に店番をしていた。愛人がいたと言われてもぴ・・・

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懐かしい味

14/01/01 コメント:0件 五助 閲覧数:830

 懐かしい味、というものが人それぞれあるだろうが、私にとっては、学生時代よく食べた中華料理屋のラーメンである。

 たまたま主張先の近くに、学生時代過ごした町があったので、仕事が済んだ後、少し寄ることにした。
 所々懐かしさが残るものの、さすがに駅前の様子は変わっていた。駅から少し離れると、学生時代とあまり変わらない、思い出よりも少し古くなっている町並みがあった。
 腹が減・・・

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猫のお知らせ

13/12/21 コメント:3件 五助 閲覧数:1234

 猫は悩んでいた。
 一応恩はある。雨の日にぬれ、風邪を引いていたところを家の中に連れてきてくれて、乾いたタオルで拭いてくれた。それから、鰯を出してくれた。鮮度がいささか落ちる、半値とか書かれた多少生臭い鰯だ。しぶしぶというか、こんな体調の悪いときに、鮮度の悪い生魚かよと思いながら、少し口をつけた。一応恩はある。まあ、返せと言われても所詮は猫だ。人間が満足するような、お礼はできない。風邪も治・・・

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睡眠時行動薬

13/12/14 コメント:1件 五助 閲覧数:1002

 睡眠時行動薬のおかげで、人類の生産性は大幅にアップした。
 人類にとって睡眠というものは実にやっかいな問題であった。肉体的あるいは精神的な疲れは細胞活動活力線のおかげで常に健全健康な状態を維持することができる。食事や排泄に関しては、水分や栄養を皮膚から取り入れることのできる完全吸収塗布剤や排泄物熱変換チップのおかげでほとんど必要ない。体調面健康面において睡眠を取る必要性は実はまったくない。・・・

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雪婆

13/12/07 コメント:1件 五助 閲覧数:1637


 風もなく、雪はただゆっくりと落ちていた。押し降り積もった雪の下には、数え切れないほどの死と、春に向かって蓄えられた命がある。雪景色が広がっていた。

 長い白髪を顔の前に垂らし、白い割烹着を来た老婆が雪の中、小さい目で辺りをうかがいながら、静かに移動していた。老婆の肌は雪に劣らず白かった。皺は十分に刻まれていたが、皮膚には、まだ張りがあり、顔を覆っている髪は落ちてくる雪をはじ・・・

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硝煙と老人

13/11/30 コメント:1件 五助 閲覧数:979

 厚手のコートに山高帽をかぶった老人がドアの前に立っていた。手には回転式拳銃がある。
 老人がドアを叩くと中から声が聞こえた。
「誰だ」
 老人は帽子を取ろうと手を挙げたがやめた。こいつらに敬意を払う必要など無い。代わりに火の付いた葉巻をレンズに押しつけた。こうすれば、中にいる男は怒り、すぐさまドアを開けるだろう。火が消え灰が落ちる。
 ドアはすぐに開いた。
 筋肉質・・・

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こしあん事件

13/11/14 コメント:1件 五助 閲覧数:1048

 業務用の饅頭蒸し器の隙間に男が押し込められていた。饅頭の甘い匂いがする。共に蒸されていた男は死んでいる。
「まさかと思うが饅頭を盗み食いしようとして蒸し焼きになったって事はないよな」
 警部は言った。
「落語ですか。生きたまま閉じこめられたわけではなさそうです。後頭部に打撲痕があります」
 検視官が言った。
「饅頭と一緒に死体を蒸し上げたわけだな」
「別の場所・・・

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呪い貸し屋

13/10/29 コメント:3件 五助 閲覧数:1280

 古い雑居ビルの地下に、その店はあるという。
 鈴木美保が階段を下りると『呪い貸し屋』と看板があった。
 扉を開けると、ロッカーと机とソファー換気扇が一つ回っているだけの簡素な部屋だった。
「いらっしゃい」
 奥から老婆が現れた。
 腰は曲がり背は低く顔は少し大きい。白髪を後ろに束ね、しわが垂れ下がっている。
「あの」
「さぁ、お座り」
 美保の疑問・・・

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