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辛楽さん

幻想的なもの、奇抜なもの、切ないもの。 心に直接訴えてくるような物語に憧れています。 読んでいて恥ずかしくなるような拙いところもあると思いますが、これが僕の世界です。 絵は友人にかいていただきました。タバコ吸いません!ピアス開いてません!眼帯してません!ってもはや似顔絵じゃない

出没地 美味しいもの、楽しいものがあるところ
趣味
職業
性別 男性
将来の夢
座右の銘 良きにも悪しきにも忠実に、されど人道外れずに。

投稿済みの記事一覧

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ドライ・ドライ・ドロー

15/03/17 コメント:1件 辛楽 閲覧数:1023



ここのクロワッサンは実に美味い。
ハニーシュガーのコーティングをサクサクと貫きバターの香るデニッシュ生地を噛みしめると、じゅわりとヨーグルトのような良い酸味の甘いシロップが溢れてくる。

「俺、甘いのダメなんだよね」

眺めていたグルメ雑誌を閉じる。表紙を飾るのは特に女性に好まれそうなお洒落なカフェ「マーヴェルハニー」。今まさにテラス席を確保しているこ・・・

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デマゴギー

14/11/15 コメント:1件 辛楽 閲覧数:838


「大変だ!屋上でタンクがヤバイことになってるらしい!」


朝、教室に飛び込んでくるなり、大場は緊張した顔にほんの少し汗を浮かべながら叫んだ。


「ヤバイことって?」
「見に行ってみようよ」


始業まで三十分ほど時間のあったその時間帯、電車通学が多くを占める生徒たちはダイヤの都合上すでにほぼ全員登校していて、廊下がガヤガヤし始・・・

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川流れ柳の思い出

14/08/16 コメント:1件 辛楽 閲覧数:938



彼は國を渡り歩く詩人らしい。
そう言われている割には、彼が詩を書いているような素振りは一切見受けられなかった。

「いやね、詩というのはその人の感情、その時の情景、様々なものから生まれる芸術的な記録なのさ。私が君のいう詩を書かないでいるのは、決して記録をサボっているとか、そういうのではないのだよ」

彼はお得意の小難しい言い回しで言い訳をすると、縁側で・・・

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自己改訂

14/04/07 コメント:0件 辛楽 閲覧数:823


あぁ全てを変えてみたい
性や声や生きた全てを
そして私は生まれ変わって
またこの人生を歩んでみたい


どこかの催眠術師よ
私にその術をかけて
今の私から全てを消し去っておくれよ
しがらみや不安 自己嫌悪の全て
自分を愛せない悲しい私を
その術でまっさらに書き換えておくれよ

誰かが言った この世には重力が存在す・・・

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そこから生まれるもの

14/03/10 コメント:3件 辛楽 閲覧数:926



東日本大震災から三年の月日が経つ。
またお涙ちょうだいの震災の話か。うんざりだ。
皆さんはそう思うかもしれない。いや、被災者でもそう思う人がいるかもしれない。
私は宮城県の沿岸のある港町に住んでいる。家は流されず、身内に亡くなった人もいない。
そんな私がこんな文章を書くのはおこがましく、失礼なことなのかもしれない。
だが私なりに、大人の人たちでも答えの・・・

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山下ビル地下一階 「comet」

14/02/11 コメント:1件 辛楽 閲覧数:936



やぁ。

ドアを開け、カウンターに座り、カウベルの余韻が消える頃にそう声をかける。
ジッポで煙草に火をつければ、いらっしゃいませ、と落ち着きはらったトーンでマスターが返し、ダイヤのようにカットされた形の透明な灰皿を目の前に差し出した。

この店はなんといっても趣味が良い。
8脚の丸イスが横一列に並んだだけのカウンターしかないし、壁やテーブルの傷が・・・

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「」

14/02/01 コメント:3件 辛楽 閲覧数:1001



次に進もうとして踏み台に乗り、高い壁を乗り越えたらそこには何もなかった。
右を見る。壁。左を見る。壁。前を見る。壁。むろん後ろは、見ずとも壁。
すとんと落ちるように、必ず先があると信じて超えた壁には、登れそうな凹凸もない。

どうやって出る?
前に進む事も後ろに戻る事も許さない。
信じること、それは度を過ぎればこうして自分の足で地獄へ赴く暗示にな・・・

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忘れられた街の夢屋

13/12/13 コメント:1件 辛楽 閲覧数:958




ボーッとしていたらしい。

ガシャン!

「…!」

足元に割れた皿が落ちている。いけない、洗い物の最中にうたた寝してしまった。

気がつくといつも頭にモヤがかかったようで、病院には行ったけれど原因は分からず、ストレスと疲労による不眠症という事でまとめられた。
宮本恵子と書かれたたくさんの袋から何種類もの薬のシートがはみ・・・

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忘れられた街の夢屋

13/10/06 コメント:0件 辛楽 閲覧数:1041






何かをボーッと考えていたらしい。

ガシャン!

「…!」

足元に割れた皿が落ちている。いけない、洗い物の最中にうたた寝してしまった。
シンクには流しっぱなしの水に大量の泡が浮かんでいて、右手に握ったスポンジからはボタボタと水滴が落ちている。
スポンジをラックに置いてエプロンで手を拭くと、小さく溜息をついて、・・・

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