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日向夏のまちさん

書いて載せること。 楽しく書くことを目標に。

出没地
趣味 多趣味
職業 したっぱ
性別 女性
将来の夢 慎ましい生活
座右の銘

投稿済みの記事一覧

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ご婦人とやさしさのたび

17/07/28 コメント:0件 日向夏のまち 閲覧数:175

 和室の隅に黒々の仏壇がひとつ。
「……。」
 手を合わせる白い和服のご婦人がひとり。
 ため息をひとつ。初夏の陽気に溢れかえる縁側を見やります。光と影、モノクロのコントラストに、目を細めました。
 そうして、四分と二十六秒ののち。
 ずばっと音を立て豪快に立ち上がったご婦人は、半世紀も前に新婚旅行で使って以来の旅行かばんを引っ張り出しました。

 翌日の・・・

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都市伝説は夢を夢に見る

17/03/13 コメント:1件 日向夏のまち 閲覧数:261

 オカルト研究会というやつ。
 決め手は、最初に勧誘してきた事。
「キミはどう?」
「あ、」
 さーせんなんすか。先輩達のオカルト談義に呆けていた。まだ顔も覚えきれていない先輩が、呆れた笑みをくれた。

 曰く、割のいい短期バイト。
 しかしどうやら、雇用主は随分と遊び心に富んだお方らしい。
 廃校の壁にぺたぺたと手形をつけながら思う。先輩に連れて行・・・

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夢見

17/02/27 コメント:3件 日向夏のまち 閲覧数:323

 瞬間息を呑む。ぱっと目を見開けば、闇が広がっていた。生ぬるい向かい風。顔をしかめまばたきを繰り返すと、闇になれた視界に森の入口が浮かび上がる。
 深緑をざわざわと鳴らす木々。その間に、道がある。風はそこから吹き付けている。
 生温かく、どこか生臭い。
 息を、しているようだと思った。
 こんなにも強い向かい風であるのに、耳元は静かだ。矛盾にくらくらする中、遠くでキリキリと・・・

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たかが300秒余りの分岐点

16/12/27 コメント:4件 日向夏のまち 閲覧数:415

『位置につけ。』
 遮蔽物に身を隠せ銃口も覗かせるな。
 無線からくる指示を脳内で繰り返す。しかし意味は咀嚼できない。奥歯が鳴っている。背筋を撫でたその冷気が、遮蔽物からくるものか怯えからくるものかもわからない。
「ぶっ殺してェ位の青空だなァ?」
 軽口を叩くのは同じ隊の兵士。刈り上げた金髪がそよそよと平和そうに揺れている。
『五分後に突撃を開始する。』
 五分・・・

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猫鍋と海

16/04/25 コメント:1件 日向夏のまち 閲覧数:531

 今日も空が青いです。ぽかぽか陽気が過ごしやすい、平和な世界です。
 ご主人。
 鍋の中で寝返れば、がらんじゃらんと首の鈴がなります。ご主人、僕は今の同居人が、あまり好きになれません。
 同居人の大っきな手が、僕の頭を、わしりわしりと撫でた気がします。
「ニケ、いってきます」
 そうですか。
 まるで、遠い場所での事のようです。
 こうしてうとうとしている・・・

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かの青空の君は

16/03/04 コメント:0件 日向夏のまち 閲覧数:446

テーマ「純文学」を元に。わたくしの戦友へ捧ぐ。


 そもそもの始まりすらも危うい。
「これがおすすめですよ。」
 ななめ後ろからの声が私にかけられた物だだと、気がつくのに時間がかかった。
 振り向く。汗を吸ったシャツがクーラーにひえて、そろりと背中をなでた。寒気に似て熱が奪われる。
 あぁ。
 その冷たさと想いを、忘れることはないのだろうか。

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ある日出会った赤の話

15/07/27 コメント:0件 日向夏のまち 閲覧数:666

「ねえねえそこ行くお兄さん」
 風鈴の様に可憐な声。木に埋もれた小さな神社。ひんやりとした木陰の境内。ななめに射し込む真っ赤な夕日。僕は、石畳の上。声の主は、さっきまで無人だった賽銭箱の前。すらりと立った赤いお着物。微笑を浮かべた狐のお面。白い陶器の様な手が、面を静かに取り払う。
 暑い日だった。肌のべたつきが、空気を纏わりつかせていた。
「あたし」
 悪戯っぽい目元が覗く・・・

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モノクロームに浮かぶ五感

14/12/29 コメント:2件 日向夏のまち 閲覧数:801

 なんとなく忘れ物をした気がした。
 それはほら、明確に何かを忘れたわけではないのだけれど、意識のそとがわにいってしまって置いてきてしまった時のような。無自覚な、勘にもにた感覚である。
 何かを忘れたときは、元の場所に戻ってみるといい。そんな事を思い浮かんだ。
 そこは、だいぶ色を失くしたところだった。白と黒に限りなく近い世界。申しわけ程度の色に視界がチカチカした。
 元の・・・

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クロアゲハ

14/06/02 コメント:0件 日向夏のまち 閲覧数:689

暁闇に包まれた、高層ビルの群生する街。蜘蛛の巣の様な道々を吹き抜けていく風が、不気味な声で啼いていた。
一際高いビルの、屋上。私は耳をすませる。
街を、ビルを、私を。呑み込むように昇り、包み、押し倒そうとする風が。
けれど力任せのそれは、冷たく怯えている様で。
追い打ちをかけるかのように、地に落とすが如き底冷えの通知音。
あぁ、まただ。

『差出人:M

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曖昧の木漏れ日

14/04/21 コメント:4件 日向夏のまち 閲覧数:858

それは、世界樹という名の樹。
どこまでも伸びた枝葉、果てしなく続く根、そして、その下で暮らす、多くの命。
世界は、太陽の灼熱に脅かされていた。世界樹が作り出す木陰だけでしか、生きられない生物がいた。
植物も、動物も、人間も、全てはこの樹に生かされている。
けれどその世界樹を生かしていたのは、人間だった。
今は、僕。僕が、この世界を生かしている。
そう思えば少し位・・・

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Flare

14/04/07 コメント:2件 日向夏のまち 閲覧数:813

雨が降っていた。私は、雨をしのぐ為のモノを持ち合わせていなかった。
否、私が持っているモノなんて、この身一つ位の物だった。
産まれてこのかた、何も貰った事がなかったから。
別に不自由はしない。
こんなせかいはきらいだったけれど、こんなせかいが私にくれる雨は、きらいではなかったから。
皆に平等に降りかかるという事実は、好きではなかったけれど。
さぁ、そろそろ帰ろう・・・

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渓谷の魔法使い

14/03/31 コメント:2件 日向夏のまち 閲覧数:759

ウエハースみたいにからからの砂漠から、呆れたしきたりは消えて久しい。地上に災厄を呼び込むと言われている銀糸の忌み子を、渓谷へ突き落とすというしきたりだ。谷底に住んでいるという、災厄を司る「渓谷の魔女」その人に、地上に生まれ出でた彼女の子供を還すという建前で、何人の子供が犠牲になったか知れない。
とにかく、そんなしきたりが廃れようと変わりもしない茶色い砂漠は、魔女の子供である私の髪の指通りを最・・・

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不可解の戯言

14/03/24 コメント:2件 日向夏のまち 閲覧数:710

「ほんとに中々大したもんだね! カツアゲられてる人を見て、人も呼ばず助けにも入らずただただぼんやり眺めてるとか、そんな事出来る人そういないよ。いやぁ、君の勇気には実に感動した! ぜひぜひ僕とお近づきになってくれない?」
これを本気で言っているとして、一体誰がお近づきになりたいと思うだろう。
夕焼けの射す湿った土に、桜舞い散る校舎の裏側。枝垂れ桜の根元に座り込んでいる制服姿の青年は、人懐・・・

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渓谷の子守唄

14/03/10 コメント:2件 日向夏のまち 閲覧数:782

体を包む浮遊感。耳元で鳴き叫ぶ風。射し込んだ陽光にきらめく、忌むべき銀糸がはためいて、その先には、段々遠のく青い空。手を伸ばしても届かない程、高いそれ。
雫を零した。けれど次の瞬間には、最期の望みを奪うかの様に無情で非情な強風が、青を薄茶色で染め上げる。
恐怖を実現させたらきっとこんな世界なのだろうと、子供ながらに少年は、そう、年端も行かぬ幼子は思っていた。
遮るもののなにもない・・・

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枝垂れ桜怪奇談

14/01/27 コメント:0件 日向夏のまち 閲覧数:887

むかーしむかし。あるところに、ひとりぼっちなさくらのきがありました――

  ・・・

便箋に入っていたのは、所々ふぞろいな、落ち葉をかたどる和紙。
彼女は今日も、ぶきようだ。
そう、くすりとほほえんで、男は原稿用紙にペンを走らせる。
無意識に温かみを帯びた文章。緊迫したミステリとの温度差に、引き込まれそうで。

ただの文通相手とも、ペンフレン・・・

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捨て子達の贖罪

14/01/13 コメント:4件 日向夏のまち 閲覧数:1014

小春日和に快活な市場。うららかな日差しが日常を運ぶ、今日この頃。
しかし招かれざる客が、雑踏を一時騒然とさせていた。
「あぁっ!? 待てガキ!」
そそり立つ人をすり抜ける様に、体勢低く駆け抜けた灰色の影。追いかける怒号もお構いなしに、悲鳴と共に身を引いた人の道を抜けていく。
「ほぉ」
小道に身を滑らせて姿を消した盗人。感嘆を上げたのは、気色ばむパン屋の客人である。

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捨て猫のステップ

14/01/04 コメント:4件 日向夏のまち 閲覧数:950

体は弱いながら、まわりからは羨まれる良家に生まれた。
だからこそ、
「よっ! 嬢ちゃん」
この自由なおじさんに憧れたのだろう。
「おじさん!」
背高のっぽの体を畳み、今日も陽気に窓から侵入。侵入者もとい闖入者は、親戚のおじさんだった。二階にあるこの部屋へ、木を登って毎日来てくれる。外に出られない私の為に、美しい自然を携えて。
「見ろよ、嬢ちゃん」
「? …・・・

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マグノリアの約束

13/12/26 コメント:0件 日向夏のまち 閲覧数:842

『いつか、マグをむかえにいくから!』

そんな、かつての約束が悪夢の締め括りである。
「っ、はぁっ……」
荒い息を繰り返し、火照った体をゆっくりと起こした。薄い木綿地が張り付く気色悪さは、起床時の恒例行事。
這い出る様に気だるげに。夢の余韻に体をふらつかせながら、たっぷり時間を掛けて浴室に向かう。激しい頭痛は、日々酷くなっている様子で。
夢の中の少年は幼い頃の僕・・・

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六花のもとに永遠を

13/12/15 コメント:8件 日向夏のまち 閲覧数:977

純白に散るは色ガラス。崩れ堕ちるは廃墟の外壁。きっと以前は、美しい。
叙情的な感想。しかし思うだけで、私は無慈悲にステンドグラスの欠片を踏みつけていた。ぱりん、と、案外呆気なく亀裂が入る。
今から死のうというのに、神への冒涜とはいい度胸だろうか。
不意に唇を歪めれば、立ち昇るのは白い息。それは睫毛を少し湿らせ、瞬き一つの間に霜となると僅かに私を彩った。氷河期の寒さは、私をも白く染・・・

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落ちたもみじとユリの花

13/12/01 コメント:2件 日向夏のまち 閲覧数:961

ごうごうと喧しかった風が凪ぐ。だから、
「復讐の定義とは、何でしょうか」
そんな教え子の呟きは、思ったよりも大きく響いて。
教え子へと、一斉にモノクロ達の視線が寄せられる。それは非難の意でも、嘲笑の意でも無かった。いわばそれは憐憫――
「可哀そうに……」
憐みの、それだった。
誰から上がったかもわからない声は、波紋を描く様に人々に広がっていく。ひそひそとこそこそ・・・

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しあわせのパステルイエロー

13/11/18 コメント:7件 日向夏のまち 閲覧数:1056

甘ったるい恋愛は、幻想だ。
そんな塩辛い事を考えながら、全てをあやふやにする様にホイッパーでかき回す。ミルクと卵のマーブル模様は、あの子の気持ちを表している様な気もした。
あの子――リビングのソファにもたれる、我が娘の事だ。少しひねくれた毒舌キャラ以外は、普通の中学三年生。ただ、

絶賛、初恋にして失恋中だったが。

「もう恋なんてしない」等と呟く始末なのである・・・

4

冬の訪れに

13/11/04 コメント:4件 日向夏のまち 閲覧数:1160

それは代わり映えしない帰り道に起きた、ほんの小さな変化でした。
「あ、」
視界の隅で白が舞います。それは待ち侘びた雪虫でした。
冬だな。――私はふと、そんな事を思います。まだ十一月も始まったばかり、そんな日の事でしたから、冬と言うには些か早すぎる気もしたのですけれど。それでもやはり雪虫には、冬の象徴である降雪、その予兆であるという固定観念がありまして、冬だな、と、反射的に思ってし・・・

3

近くて遠いお月さま

13/10/20 コメント:4件 日向夏のまち 閲覧数:1189

――どうしたの?
――ふうん、きみ、まいごなんだ。
――えへへ、じつはボクも。
――あ、なかないでなかないで!
――だいじょうぶ。きっと、おむかえくるから。

――それまで、ボクがついているから。

「……あ」
 寒々しい、喪失感。赤い目を見開けば夕焼けの景色は跡形も無く、ただそこには、吸い込まれそうな虚空が広がっていた。不意に孤独を感じる。寂・・・

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死してなお、死んではいなくて

13/10/19 コメント:4件 日向夏のまち 閲覧数:1151

振るう大鎌の軌跡に彼岸花が散った。
夕闇に浮かぶ紅は、今しがた“殺した”男に降り積もり、僕からの静かな、餞になる。
誰も、一人ではない。
彼も、一人ではない。
人の死は、孤独ではない。
だって傍には僕らが、居るから。

――殺すのは、僕らだから。


人間を殺して世界の均衡を保つのが、“神の使い”の一種である僕らの仕事である。
“肉・・・

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猫と主人とアイドルと〜とある三つのカタルシス〜

13/10/02 コメント:0件 日向夏のまち 閲覧数:1022

『あたしは、アイドルとして慕っていた先輩に、いじめを受けたんです。裏切られたって思いが強くて、何か、打ちのめされて。精神的に、追い詰められてしまったんです』
『成程……大変、辛かったでしょう』
『はい……でも、“なんで”って思いの方が、強かったです。分かってた筈なんです。テレビで見せてる姿が、その人のほんとの姿じゃないって。あの優しい先輩もそうだって……』

「けっ、よく言・・・

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終わらない夏にリナリアを

13/09/22 コメント:2件 日向夏のまち 閲覧数:1061

「こんにちは」
 夏だ。そう思った。
「あなたも、ここのお庭がお好き?」
 ひまわりだと、思った。
「あたしはここ、気に入ったわ」
 でも、何処か儚げで。
「とっても幻想的……」
 今にも、消えてしまいそうで。
「ねぇ……そうは思わない?」
 そしてすごく、綺麗だった。

 金木犀の木の下で。金糸の様な髪を持つ、麦わら帽のお嬢さんが・・・

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プレート王国物語

13/09/16 コメント:0件 日向夏のまち 閲覧数:995

「ふははははは!この時を待っていたぞ我が宿敵よ!」
「あぁ、オレもさ。魔王。ずっとずっと、てめェを打ち倒し、乗り越える日を待っていた!」
「はっ!そう簡単に行くとでも思っているのか?貴様が、貴様の弱点を知り尽くしたこの儂に、勝てる訳が無かろうに……!」
「それはどうかな……今のオレには、心強い仲間と、この伝説の武器、トライデントがあるんだ!」
「なっ、それはっ!?」
・・・

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終わらない夏にリナリアを

13/09/14 コメント:4件 日向夏のまち 閲覧数:1234

「こんにちは」
 夏だ。そう思った。
「あなたも、ここのお庭がお好き?」
 ひまわりだと、思った。
「あたしはここ、気に入ったわ」
 でも、何処か儚げで。
「とっても幻想的……」
 今にも、消えてしまいそうで。
「ねぇ……そうは思わない?」
 そしてすごく、綺麗だった。

 金木犀の木の下で。麦わら帽の彼女は笑った。
 それは・・・

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デスクトップの向こう側にて

13/09/08 コメント:0件 日向夏のまち 閲覧数:1066

「……僕が、何かしたのかい?」
 思い当る節が無いとでも言いたいのか。しらばっくれる彼に、あたしはまた苛々を募らせる。
ほぼ無意識に、生まれつきである目付きの悪さを以って彼の事を睨んでいた。詰め寄り、壁に彼を押しつける。その胸ぐらを掴んで噛み付く様に叫び散らした。
「何か……?とぼけないでよ。何をしたのかは、自分がよく分かってるでしょ!?」
 見上げる彼は相も変わらず困・・・

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