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来良夢さん

まだまだ未熟……書くのは好き。

出没地 おいしいもののあるところ
趣味 読書 歌
職業 学生
性別 女性
将来の夢 作家
座右の銘 おいしいものは正義。

投稿済みの記事一覧

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とりあえず、箒で一発殴らせてください、先生。

15/07/12 コメント:2件 来良夢 閲覧数:844

 片付けって、わざわざ時間取ってやるわりには、大したことない作業ですよね。ただ “物”の位置を動かすだけなんですし。
 そんな言葉をこぼすと、先生はシミだらけの古いノートを開いて笑った。

「そうだな。“物”の片付けはそれだけだもんな」

■□■□■

 制服を埃まみれにしながら、もう限界だと私は叫んだ。

「先生! 絶対掃除終わりません!」<・・・

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まいごのまいごの、

14/04/21 コメント:0件 来良夢 閲覧数:730

 ガラスの向こうで雨が降っている。
 いやそんなはずはない。天気の変わる屋外は私のいるこのガラスのこちら側で、雨が波紋を広げているあちら側はガラス張りの店の中なのだから。暗い中よく目をこらすと、やはり店の床に雨水など溜まってはいない。こちら側の道路の様子がガラスに映っているだけなのだ。
 でももし本当に向こう側にも雨が降っていて、部屋の中でも外でも、私の行く先々で雨が降り続いていたら、・・・

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おかわり、どうぞ。

14/03/24 コメント:0件 来良夢 閲覧数:759

「アップルパイと、コーヒーひとつ」
 スマイルの売り切れた若い店員は何も言わずカウンターの向こうへ消えていった。腕時計を見ると11時50分。次の仕事までまだ時間がある。高校生らしい女の子たちがトレイを持ってすれ違っていった。「無料券もらってもなー。私、コーヒー苦くて飲めないんだよねー」
 ――私にも、そんな時期があった。
 華やいだ女子高生の笑い声がちくちくと私の胸を刺して遠ざか・・・

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昇降口の落し物

14/03/09 コメント:0件 来良夢 閲覧数:753


 絶対絶対、奇跡ですよ。絶対。

「そんなわけあるか」
 今日一番低くなった俺の声に、下校チャイムの音が被さる。窓の外では運動部が甲高い叫び声を上げて更衣室のある校舎へ駆け込んでいた。
一歩、階段の方へ後ずさる。もうこれ以上お前とは話したくないんだという意図を込めて。笑顔なんて作れなかった。
「これはな、偶然だ、ただの」
 セーラー服から生えた首は、確か・・・

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サンキュー、マイフレンド。

14/01/13 コメント:0件 来良夢 閲覧数:900

 あーあ馬鹿ばっかり。つまらない。
 コバルトブルーのドレスに包んだ体を壁にもたせ掛けた。しっとりした音楽、うすぼんやりとした照明、センスの良いインテリア。
 そのすべてを台無しにするような怒鳴り声と嬌声が響いていた。
「はい飲む飲む! そっちも酒足りてないんじゃねえの? お?」
「おいそっちの瓶持って来い!」
「ちょっとー、飲みきれるのー? あたし酔っ払い連れて帰ん・・・

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とろとろり

13/11/14 コメント:1件 来良夢 閲覧数:1043


 透明に、べとべとする。

■□■□■

「バレンタインなのにさ、本命なのにさ、思いっきり既製品チョコってどうなの?」
 炬燵から首だけ出したこたつむり状態の彼は、さっきまで外していた眼鏡をかけ直してこっちを見上げていた。脱ぎっぱなしの制服の上着がだらしなく床に放り出されている。
「贅沢言わないでよ、このでんでん虫」
「え、でんでん虫? なんで、と・・・

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続きはまたいつか

13/11/01 コメント:3件 来良夢 閲覧数:1094

 都市伝説というのはこう、都市の中で起きる不思議なことだと思っていたのですが、もしあなたの話が本当ならば認識を改めなければなりませんねえ。


 老人は目の前の少女に柔らかく笑いかけた。
「さて、できるならもう一度、ゆっくりと聞かせてもらえませんかね」
色褪せた原稿用紙を広げ、万年筆を薄茶色の格子模様に添える。
「あなたのお話は興味深い。私個人として気に入ったの・・・

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金魚の手紙

13/10/06 コメント:0件 来良夢 閲覧数:968

 ほんとに自分で書くの?できる? ちょっと待ってください!できます!からこっち見んな! 大学のそば、行きつけの小さなケーキ屋さんで注文したケーキを待っていると、何やらキッチンから楽しそうな声がします。カフェスペースからもそれが覗けるのですが、見習いさんだがアルバイトさんだかわからないけどよくお店にいる子と、にこにこしたオーナーが白いケーキを目の前に相談中。私の注文したフルーツタルトではなさそうです・・・

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空の君

13/09/23 コメント:0件 来良夢 閲覧数:1042

待つ人


 僕の筆箱はもうぼろぼろなんだ。でもそれは僕がこの筆箱を乱暴に扱ったというわけではなくて、もともとこれは僕のではなくて、僕が使い始めたときにはもうかなり古くなっていたんだ。
 これを初めて手にしたのは小学校6年生のときで、その頃はそう、僕はまだ今よりはクラスに溶け込めていた。派手な女子たちがいて、サッカーの好きな男子たちがいて、ごくたまに勉強好きな子がいて、僕は・・・

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とある神様と自称天使

13/08/26 コメント:0件 来良夢 閲覧数:1315

 ――では、貴様は自分が天使だというのだな。

 文字通り、上から目線。さすが神様。威圧的な視線を頭上から浴びながら、悪魔は背筋を伸ばした。
「そうです、私が地獄の自称天使です!」

 ――ほう。その背中の黒い羽根は何だ。

 蝙蝠のようなそれをよく見えるよう広げる。白い柱と雲に囲まれたまばゆいその場所で、それだけが光を吸収していた。
「ご覧のとおり・・・

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モノクロ追いかけっこ

13/07/13 コメント:0件 来良夢 閲覧数:1153

 白黒の帽子の下から睨む顔と目が合って、わずかの間立ちすくんだ。
 何してるんだよ馬鹿。男の子が横から飛び出し、パンダの帽子を被った女の子の手を引いて逃げていく。呆気にとられて、思わず眼鏡をかけ直した。幼い2人組はすぐそばのベンチの陰に隠れ、周りを気にしてかがみこむ。男の子が深刻そうに眉をひそめ、女の子に耳打ちした。何事かと思ってそっとベンチに腰かけてみる。「まずいことになったな、お前のせい・・・

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海色遊泳

13/07/01 コメント:1件 来良夢 閲覧数:1192

「ここには何もない」

 視界の届く限り一面灰色の空の下、白い道を歩いていた。靴底がざらざらした道を擦ると不思議な音がする。道の先に、男が座り込んでいた。こちらからは背中しか見えない。
 横を通り抜ければ進んでいけそうだけれども、私は男の真後ろで足を止める。
 どうしました? と男が聞いた。
「邪魔にはならないでしょう。どうぞ先に行ってくださいよ」
 私はそれに・・・

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