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しーぷさん

出没地 夢の中
趣味
職業
性別 男性
将来の夢
座右の銘 疲れない程度にがんばる

投稿済みの記事一覧

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いつもの

16/02/15 コメント:3件 しーぷ 閲覧数:611

 飛んできた拳を僕は受け入れた。避けようなんて今更思わない。部屋の隅で泣く母の声と、父の大きな声だけが僕の耳に届く。
 殴り疲れたのか、母の財布からお金を抜き取った父は乱暴に玄関を出ていった。
「お母さん」
 のそっと立ち上がって母を呼ぶ。返ってくる声はなく、うずくまって泣いている。
 口の中にじわっと血の味が広がるのが分かった。汚れたコップを取り蛇口に手をかけるが、水が出・・・

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純文学太郎

16/02/01 コメント:6件 しーぷ 閲覧数:683

 むかしむかし、ある川でおばあさんが洗濯のついでに水浴びをしていました。すると、こそこそ、こそこそと、辺りの茂みに村の男たちが集まってきました。目的はもちろん覗きなのだが、たった今水浴びをしているおばあさん、齢六十をとうに超えているのにまるで十代のような若さを持っていたのです。そう、美魔女なのです。

 おばあさんが川からあがると、どんぶらこっこ、どんぶらこっこと、侍もしくは大和撫子の・・・

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レンチン3分

16/01/18 コメント:2件 しーぷ 閲覧数:531

「別れよ」
 女の言葉に男は固まる。
「なんていうか、女慣れ? してなさすぎて。まともに喋ってもくれないし。顔は好きだったけど、意味ないっていうか」
 女が部屋から出ていった。男は黙って俯いていた。

 異性とまともに喋れない俺は、女の子と普通に喋る男たちが理解できない。
 もちろん女は好きだ。真面目な顔して、街行くかわいい子を見つけてはひわいな視線を飛ばしてい・・・

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鉄に染まる月

15/05/18 コメント:8件 しーぷ 閲覧数:1110

校庭の隅で、少女が数人の男子生徒に囲まれていた。僕は気づくとその群れに突っ込んでいた。

「私、心まで鉄なのかしら」
さらうように彼女を救いだし木陰に連れていった。そこで彼女が言った。
鉄塊病。彼女が生まれつき持った病の名だ。体の一部が鉄になり、時の流れと共に広がる。やがて全身が鉄となり死に至るのだ。感染することはなく、遺伝性のものだと言われているが、まだ分からないことだら・・・

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三匹の子豚

15/05/04 コメント:2件 しーぷ 閲覧数:827

「お母さん。この本読んで」
「三匹の子豚ね。いいわよ、ここに座りなさい」
母親はこほんと咳払いをひとつして、息を吸い込んだ。
「あるところに三匹の子豚がいました――」

「一番目の豚さんの建てたワラの家に狼さんがやってきました。狼さんがふーっと息をはくとワラの家はとたんにくず……れませんでした」
「狼さんの息でおうちが壊れちゃうんじゃないの?」
娘は首をか・・・

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差し出された手は

15/04/05 コメント:4件 しーぷ 閲覧数:832

僕は学校が嫌いだ。


昔からよくいじめられた。そういう体質なのかもしれない。そういう顔をしているのかもしれない。そういう喋り方をしているのかもしれない。

誰かをいじめようと思ったことのない僕には、その答えは見つからない。


そんな僕には友達がいない。
誰かに話しかけられても、何か言われるのが恐くて僕はいつも逃げていた

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散歩

15/03/01 コメント:4件 しーぷ 閲覧数:873

ここはシプノ動物園。
毎年冬の時期。雪が積もる頃に行われる園でも人気のイベントがある。
ペンギンの散歩だ。
散歩をするのはキングペンギン。彼らは集団で行動するという習性があるので散歩にはもってこいなのだ。

今日は今年の散歩初日。




「ペギ沢さん!」

俺は名前を呼ばれてよちよち歩きをピタッと止めた。しかし、すぐに後ろか・・・

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―とどけ―

14/11/19 コメント:0件 しーぷ 閲覧数:863



じいちゃんが死んだ。




…‥†・†・†‥…




突然母から告げられた言葉は、あまりにも。
こんな時に言わなくたっていいじゃないか。



夏。高等学校選手権大会。地方大会2回戦。五番三塁でスタメン出場する僕は、悲しさと怒りがごちゃごちゃになった瞳を母にぶつけた。

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空から降ってきたブツ

14/10/20 コメント:11件 しーぷ 閲覧数:1040

「君、明日から来なくていいから」


 仕事で大きなミスをした。それだけで。それだけでなんて言葉で片付けられないようなミスだってのは自分にだって分かる。
 特に大きな功績をあげたわけじゃない。それでも真面目に、毎日1時間も早く行って職場の掃除をしたりもした。
 言われたことしか出来ないゆとり世代なんて言われてしまえばそのとおりなのだが、言われた仕事は完璧にこなしてきた・・・

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絶えぬ光

14/07/13 コメント:0件 しーぷ 閲覧数:688

ある処に、一人の男がいた。男は国の端に居を構え、国一番の鍛冶屋として五十余年ほど鉄を打ち続けていた。家族はいない。
王宮へ依頼の品を届けた帰り、浜辺で赤子の声を聞いた。声のする方を見てみれば、産まれて一年と経たないであろう子が、毛布に包まれて泣いていた。
何を思ったのか、男はその赤子を拾い上げ、再び帰路についた。





「じじぃ!」<・・・

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雨の邪鬼

14/07/13 コメント:0件 しーぷ 閲覧数:671

 ため息を一つかましてから、俺は教室の扉をガラガラと開けた。誰もいないと思っていたが、窓際最前列にその人は座っていた。成績学年トップで我がクラスの学級委員「雨宮」さん。

「あら、これはこれは、学年で成績一二を争う秀才の陽野太陽君じゃない」
「そうだな、争ってるよ一二。ビリのな」

 いつものように嫌味を言われた俺は、自分の席、彼女の隣の机に座った。

「・・・

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白い声援

14/07/13 コメント:0件 しーぷ 閲覧数:655


 冷たくなった鉄塔に手を重ねた。
 ゆっくりと、撫でるように、手を滑らせながら腕をおろす。
 天を見上げ、鉄塔にとりつけられた梯子を、カツンカツンと音をたてながら俺は鉄塔をのぼった。



   ・・…†…†…†…・・



 十年も前のこと。高校入試の試験日。俺は、同じ中学に通う茜と帰路についていた。
「何あれカッコいい!・・・

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そして僕は

14/04/07 コメント:0件 しーぷ 閲覧数:874

――太陽を壊せ――

数日前、魔族の王である父が死ぬ間際に放った一言だ。そんなことが出来るのか。僕の家系は、他の魔族より数百倍も数千倍も大きな魔力を有していた。それを一点に集め放つことで、太陽くらいなら壊せるのだ。そんな僕は、父が死んだことにより、世界の魔族を束ねる新たな王となった。
なぜ、父は自分で壊さなかったのか。簡単だ。壊せなかったのだ。
魔族に敵対している種族、植物・・・

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よっつ

14/03/24 コメント:2件 しーぷ 閲覧数:685

 カキーン――

 白い点はどんどん小さくなっていく。次いで耳障りなほどの歓声。
 最後の最後で本塁打。負けたんだ――


 中学の頃、俺の右腕から放たれる球の速度は同年代のソレをはるかに上回っていた。「怪物」「神の子」。いろんな名前で呼ばれた。
 でも、怪物は俺一人じゃなかった。
 あいつから見れば、俺は蟻より小さいモノだったかもしれない。
・・・

3

― Buzzer Beater ―

14/03/10 コメント:3件 しーぷ 閲覧数:859

――あと1つ勝ったら、“全国”だ――

 会場全ての視線が俺のいるコートに注がれている。気づくと歓声が上がっていた。
 俺のミスからの失点。一点差でリードしていたのに、スリーポイントシュートを決められ逆転されたのだ。
 第4Qも残り数秒。このまま逃げ切れたはずなのに。

 時計をちらりと見ると、残りはわずか2秒。「もうだめだ」そんなことを言ったらあいつは何て言う・・・

3

ひとつの別れと五年ぶりの再会

13/12/27 コメント:2件 しーぷ 閲覧数:1219

「よお」
 親父は左手を挙げてそう言った。

 俺は言葉を返すことなく、少し距離のある親父のところまで歩いた。適度な距離まで近づき、立ち止まる。


 変な間。
 親父が胡座をかいたので、俺も胡座で座る。


「何年ぶりだ?」
 親父は、目すら合わせられない俺に、沈黙を破ってそう聞いてきた。
「五年。あの日から、……親父が、俺・・・

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とある猫のお話3

13/12/14 コメント:4件 しーぷ 閲覧数:974

 僕は猫である。

 飼い猫なので名前はもちろんある。

 僕には好きな人がいる。猫ではなく。人。人間であるご主人様だ。
 僕を可愛がってくれる、時には怒ってくれる、時には泣いてくれる。そんなご主人様。
 僕は猫だから、ご主人様の側にいることしかできないけれど、それだけで満足だった。

「ずっと一緒にいてね」

 ご主人様は僕を抱き締めそ・・・

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とある猫のお話2

13/12/14 コメント:2件 しーぷ 閲覧数:923

 僕は猫である。

 飼い猫なので、名前はもちろんある。

 今年もやってきたこの季節。
 眩しいくらいに光るイルミネーション。町行く人は、邪魔に感じるほど増える。僕は、人間の歩く“ホドウ”というとこを散歩するのが好きなのだが、この季節だけはなかなか出来ないのだ。人が多いし、なによりも寒い。
 それがピークを迎える、ある日の夜。
 我が家に、いくつか人間が・・・

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夢とは、私とは、世界とは

13/12/02 コメント:2件 しーぷ 閲覧数:1031

 私の名前は○○××。裕福ではないけれど、それなりの生活をしている。そんな私は今、見知らぬ森の中にいます。
 でも、これは夢。なんでそう言い切れるかって? それは、空が赤いから。夕焼けの赤のように綺麗なものではなく濁った血のような、そんな色。それに、私の体が半透明で透けている。
 風が木々を揺らす中、ここを進めと言われているかのように、草がはげている道に足を重ねる。
 少し行くと・・・

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喋る黒猫

13/11/17 コメント:2件 しーぷ 閲覧数:929

昔、ある詐欺師の男のせいで父に大きな借金が出来た。
父はそれを返そうと必死に働いた。けど、働きすぎて倒れてしまい、そのまま死んだ。
残ったのは、母と俺と借金。
俺は中学を卒業してから、すぐに働くようになった。中卒で雇ってくれるようなところはなかなか見つからず、毎日バイトを詰め込んだ。
そんな生活が続いた。

18になった俺の耳に、ある情報が舞い込んできた。

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二つの小さな復讐

13/11/17 コメント:2件 しーぷ 閲覧数:925

鼻歌混じりにスキップを踏み、笑顔で帰路を辿る。
昨日、私は12歳の誕生日を迎えた。私は、ずっと欲しいものがあった。なので、母にはその事を伝えておいた。

姉からはハリネズミのぬいぐるみを、父にはスマホと言ってあったのに鉛筆と消ゴムのセットを、母からもらったソレは、大事に冷蔵庫にしまってある。
姉からもらったぬいぐるみは、背中のハリが毛糸で出来ていて、もはやハリネズミとは呼べ・・・

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Black and White

13/11/03 コメント:7件 しーぷ 閲覧数:1206

「俺と付き合ってください」
「無理」
優が放った一言を、私は間髪いれずねじ伏せた。嫌いじゃない、大好き。優は幼なじみ。友達から恋人へと変わってしまうと、なんか、恥ずかしい。
「じゃあ」
「ん?」
「お前が美味いって叫ぶくらい、そんくらい美味い菓子を作ったら、そしたら付き合ってくれ」
こいつは突然何を言ってるんだ。お菓子なんか作ったことないくせに。
「あん・・・

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影踏鬼

13/10/13 コメント:5件 しーぷ 閲覧数:1280

「早く来いよ」
夕陽を受けたタイチは、影を伸ばしながら言った。私は慌てて靴を履き替え、下駄箱の上にランドセルを置いて走る。私を含め八人が校庭に集まった。
タイチは髪の短い女の子ハナからストップウォッチを七つ受けとると、壁に寄り右腕で目を覆う。同時に、他の七人は学校の敷地内に散り散りになった。
彼らがしているのは――
“影踏み鬼”
鬼が他の人の影を踏む。踏まれた人は鬼に・・・

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とある猫のお話

13/09/29 コメント:2件 しーぷ 閲覧数:1149

 僕は猫である。

 飼い猫なので名前はもちろんある。茶色い体に黒い毛が混ざった、昼寝が好きなごく普通の猫。

 ご主人様は、怒るとちょっと恐いけど、優しくて、僕をいつも大切にしてくれる。
 そんなご主人様と過ごす毎日は、とても楽しかった



 ある日、ご主人様は袋いっぱいのお酒なるものを買って帰ってきた。玄関に向かい、ご主人を見上げて鳴いた・・・

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待つ少女

13/08/28 コメント:4件 しーぷ 閲覧数:1132

私は長崎で産まれて、長崎で育った
長崎でもかなり田舎の方

でも、今は東京にいる

大きな病院の、大きな個室の、大きなベッドの上でひとりっきり

ここに来てから、もうずいぶんと経つ

数年前
私は突然意識を失った。一時的に心肺が停止したりしたらしい
病名も何もわからない
死ぬのかどうかも

私の住んでた地域には、病・・・

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待つ男

13/08/27 コメント:3件 しーぷ 閲覧数:1227

カーテンを静かに引いた

真っ黒な空と、わずかばかりの光が瞳に飛び込んできた

下方に視線を向けると、目を細めてしまうほど眩しい光
俺は静かにカーテンを閉じた

ソファにドサッと座り
大きく息を吐いた

天井を見つめて数秒、その後時計に目をやった

まだか……

もう一度、大きく息を吐いた

この時間<・・・

1

気まぐれな

13/07/29 コメント:1件 しーぷ 閲覧数:1067

「俺さー、思うんだわ」

 私の前に座る男が、唐突にそう言った。

「どうした急に」

「アフロんはさ――」
「その呼び方やめてくれない」
「いいじゃん、別に。アフロディーテなんだから、アフロんで」

「はぁ……まあ、いいか。で、あなたは突然何を思ったの?」

 男は腕組みをしてからこう言った。

「斎藤はさ、こう・・・

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見える俺と、見えない彼女

13/07/22 コメント:0件 しーぷ 閲覧数:1084

「黄色だ」

 少年は独り言のように、そう呟いた。

「今度は赤」
 さっきよりも声が大きくなった。今度は周りにいる人に聞こえただろう。もともと聞こえないように言っていたつもりはないが。

「おい、さっきから何言ってんだよ?」

 気づくと、教室中の視線が彼に集まっていた。注目を浴びている、悪い意味で。

「何って……。見えてるもの・・・

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音無さん

13/07/19 コメント:2件 しーぷ 閲覧数:1081

「ちょっと、何とか言いなさいよ」
うずくまる私を囲む3人の少女。
「瑠香、無理だって、音無さんだもん。名前の通り何も喋らないよ」
「そうだね……じゃあ、違う音でも聞かせてもらおうかな」
瑠香はニヤリと嗤ってから右足を振りぬいた。
「うっ……」
「何だ、音無じゃなかったの?」
「あんたさ、あたしらのこと見下してんでしょ」
別に。何も言わず目も合わせず、・・・

3

終焉 ― はじまり ―

13/07/01 コメント:6件 しーぷ 閲覧数:1344

 20XX年。世界は終わりを迎えようとしていた。

 今朝。いつものように目覚ましに起こされ、いつものように朝食を食べ、いつものように学校への道を歩いた。
 だけど。

 空に黒い点がいくつも、いくつも現れた。
 飛空艇。

 近づくにつれて形を成したそれは、次々に何かを吐き出した。
 人。

 飛空艇から、人が溢れ出る。突如として・・・

4

名探偵の宝探し

13/06/18 コメント:7件 しーぷ 閲覧数:1491

「お前らには、この島に行って宝探しをしてもらいたい」
 私たちの正面。The社長というような風貌の男が地図に指を突き立てながらそう言った。その男の名は、猿山。背は低いが、横に広い。歳は、今年で54なのだそうだ。
 社長の正面に立つのは、私と、その他二名の男。三人とも探偵としての実績をかなりあげている。
「宝とは?」
 私の右隣にたつ男が言った。以下A、もう1人をBとしよう。・・・

0

探偵になった理由

13/06/18 コメント:3件 しーぷ 閲覧数:1391

「よしッ」
 私は、壁に真新しい木の看板を取りつけた。そこには黒く「宮田探偵事務所」と刻まれている。
 傾いてないか確認してから、隅を触ってちょっとだけ調整する。それから事務所の中に入った。
 新しい机、新しい椅子。何もかもが新しい。


 5年前、私が高校生だった時のこと
 私の初恋の人は、私の前からいなくなってしまった。
 ずっと好きだったのに。・・・

2

仕事、やめようかな……

13/06/03 コメント:7件 しーぷ 閲覧数:1350

 夢って、……何だっけ。
 ずいぶんと昔、そんなものを持っていた気がする。いや、確実に持っていた。じゃなければ、こんな仕事に就こうと思わなかった。
 いつからだろう。夢を持たなくなったのは。
 年を取るにつれてだんだんと。俺は現状で満足するようになり、それを見ることは、思い描くことは無くなった。
 はぁ……。もう、やめようかな。
 一つ、ため息をついてからおろしていた・・・

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