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ウはうどんのウさん

ナンセンス掌編を目指しています。ときに眉唾物でもありましょうがどうぞよろしくお願いします。

出没地 別名義でいろいろと。
趣味
職業
性別
将来の夢
座右の銘

投稿済みの記事一覧

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理由がないから

15/08/21 コメント:3件 ウはうどんのウ 閲覧数:764

 泣いていた。胸を刺すような
 痛みが、とめどなく溢れ出ていた。
 その
 涙に理由はなかった。ただ
 風鈴の掻き立てる音と、雷の
 落ちる
 音を聞いていると、自然と目頭が
 真夏日のようにあつくなった。

 泣いていた。優しく撫ぜるような
 温もりが、休むことなく包んでいた。
 その
 涙に理由はなかった。ただ
 布・・・

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面接の帰り

15/08/20 コメント:0件 ウはうどんのウ 閲覧数:587

 桜ノ宮は沢山の人でごった返していた。毎年天神祭りにどれくらい来るのかはわからないけれど、どこからやってきたんだってくらい、立ち並ぶ屋台の前で大勢の人が笑っている。着物を着ている人や、簡単な薄着で済ませている人。その中でぼくは、スーツ姿だった。
「なにボヤっとしてんの。こっちこっち!」
 美香が手を引っ張る。人ごみの中に突っ込んでいく。ぼくは人ごみが嫌いだ。美香だって知っているはずなの・・・

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お化粧

15/07/26 コメント:0件 ウはうどんのウ 閲覧数:766

 化粧をした。鏡を見ながら。私は美しい。これはあの人のためのチークブラシ。これはあの人のためのアイライナー。私の美しさはすべてあの人のため。あの人のために綺麗になるの。鏡を見ながら。
 お化粧は私を変えてくれる。それは幸せなことだった。自信をもつことができた。私はあの人のことを直視することができた。自信をもって対面することができた。お化粧をしたから。美しい私がいたから。
 これはあの人・・・

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図書室

15/06/10 コメント:0件 ウはうどんのウ 閲覧数:713

 恵子ちゃんはいつも図書室の古典文学コーナーにいる。昼休みの間、ずっとだ。恵子ちゃんは運動が苦手だ。だから古典文学のコーナーにいる。「性根競姉川頭巾」という本を読んでいる。なんと読むのかさえ僕にはわからない。恵子ちゃんは本を読む。江戸時代の文学を読んでいる。僕は椅子に座ってなにもしない。ただ恵子ちゃんの真剣な顔だけを眺めている。そうしている間に予鈴が鳴る。あと五分で昼休みが終わる。恵子ちゃんは本を・・・

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ぼくはスパイだ、えっへんへん。

14/05/28 コメント:4件 ウはうどんのウ 閲覧数:849

 ぼくはスパイだ。
 えっへんえへへん。
 お空も飛べるよ。えっへんへん。

 ぼくはスパイだ。
 えっへんえへへん。
 海にも潜るよ。えっへんへん。

 ぼくはどこにもいけるんだ。
 空も海でもあの女子更衣室にでも。
 ぼくはどこでも行けるスパイ。
 ぼくはどこにでも行けるスパイさ。

 でもたまにはおうちに帰ってあげ・・・

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失敗

14/05/24 コメント:0件 ウはうどんのウ 閲覧数:690

 僕らはあの頃、恋をしていた。海のにおいを感じながら僕は、パソコンの画面を見つめている。
 きみがすぐ近くに引っ越していたのだと知ったのは、つい数分前のことだった。僕の家から、電車に乗って数駅のところ。二年前までは、新幹線に乗って数時間の距離だったのだから今どれだけ心臓が跳ねているのか、自分でもわからない。
 SNSが表示されている画面を、じっと見つめる。懐かしい気分になって、きみのペ・・・

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太陽を破壊しに

14/04/06 コメント:0件 ウはうどんのウ 閲覧数:731

 ぼくたちが生きていけるのはまったくあの太陽のせいだ。だからぼくたちはあの太陽を爆撃して破壊してやろうと意地悪な妖精のようにいやそれよりも質の悪い顔をして考えた。どうやればあの太陽を無に帰することができるのだろうとじっくりと思案してみたりブレインストーミングとやらをしてみたけれどどうにもうまくいかない。しかもそのとき出てきた案というのがつまりアンパン食べたいだとかまんじゅうって怖いよねだとか雨じゃ・・・

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雪解け水

13/08/28 コメント:0件 ウはうどんのウ 閲覧数:1065

 長い冬が明けた。あたたかい日差しが雪解けをさそい、陽光に沿うように川が流れた。彼≠ヘその雪解け水を両手に掬うと、調べるように口ですすった。それはまさしく純正の、汚染の呪縛から解かれた水だった。
 晴れるように厚い雲が離れてゆく。彼は飛び上がって喜んだ。春の時代が、ついに春の時代がやってきたのだ。

 雪はすべてを覆い隠してくれる。そして時が来るまで浄化してくれるのだ。これがこ・・・

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ジェットG

13/07/21 コメント:0件 ウはうどんのウ 閲覧数:1146

 反乱の準備は、ぼくの知らない間に着々と進められていた。じわじわと侵食していく闇の気配に、しかしてぼくが気付けなかったのは、ぼくが寝つきの良い奴であるからかもしれない。
 不穏な空気は数週間、ぼくの背中につきまとった。けれどぼくは気付けずに、自分が風邪気味ででもあるのかな、などと見当違いな心配をしてしまっていた。
 そしてその時は突然訪れた。

 ガサ、ガサガサッ……

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どんな謎でもイチコロさ

13/07/15 コメント:1件 ウはうどんのウ 閲覧数:1084

 ぼくは名探偵!
 どんな謎でもイチコロさ。
 あ、向こうで少女が泣いている。
 どうしたんだい。おじょうさん。
 風船が木にひっかかっちゃったの。
 なーんだ。謎じゃないじゃないか。
 ぼくは名探偵!
 どんな謎でもイチコロさ。
 けれどもぼくは、名探偵。
 風船は謎じゃないから、取らないよ。

 あっ、向こうで男の子が泣いてるよ・・・

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らあめんの日

13/06/15 コメント:0件 ウはうどんのウ 閲覧数:1090


 店主の「らっしゃい!」という威勢の良い声とともに、スープのにおいがやってきた。ぼくは「塩ラーメン」と返事する。「へい!」店主はやはり威勢が良い。
「あんちゃんもそのクチかい?」カウンター席に座ると、近くに座っていたおじいさんが、そう話しかけてきた。
「えっと、そのクチ……とは」思い当たるふしがなかったので、曖昧な返事しかできない。
「知らんのか。今日は『らあめんの日』だ・・・

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ミスコン前夜

13/04/29 コメント:2件 ウはうどんのウ 閲覧数:1345

「それはボクのラブレターだよ」
「いいや、オレのだ」
「なに言ってるだ。オイラのに決まっとるだで」
 三人の少年は、机を囲んで話し込んでいた。窓から覗く太陽は、もう沈もうとしている。部屋にオレンジ色の光が差し込んでいた。少年たちの顔が染まる。
「前から分かってただぁ。ナツミちゃんさオイラのこと好きだて」
「なに言ってんだバカ。なっちゃんはオレに惚れてんだよ」
「・・・

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