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マナーモードさん

推理小説が好きです。童話も書いてみたいと思っています。

出没地 目黒駅前
趣味 油絵。映画鑑賞。読書。
職業 サービス業
性別 男性
将来の夢 絵の個展をしてみたい。
座右の銘 努力あるのみ。

投稿済みの記事一覧

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グリーンゼリー

13/10/28 コメント:4件 マナーモード 閲覧数:1215

 冷蔵庫の冷蔵室の下の方の奥の、少し薄暗くて目立たないところに、それはひっそりとしまわれていた。樹脂製の透明な、小さなカップである。その中に、ライトグリーンのフルーツゼリーが入っている。それは、メロン味のフルーツゼリーではないかと、小生は思った。赤ワイン色ならばグレープ味、ピンク色ならば桃の味、オレンジ色ならばみかんかオレンジの味だろう。それらのものはなく、いつもメロンゼリーだけが置かれていた。<・・・

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いつも弟がライバル

13/08/19 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1059

                                          土曜日の午後の表参道に、女性だけ乗車して停車している一卵性双生児の弟の車を見ると、吉兼一郎は駆け寄って声をかけた。
「結衣ちゃんだったね。デート中か。いいなぁ」
 真紅なスポーツカーの助手席で驚いている沢中結衣は、かなり細めの色白の娘で、どこか病的なものを抱えている風情に包まれていた。だが、慌てて車の・・・

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無口な彼女

13/07/16 コメント:5件 マナーモード 閲覧数:1469

季節は春だった。ぼくは朝の電車の中で出会った彼女の髪に注目していた。いつも満員電車で、ぼくは少し離れた場所に立ち、毎朝彼女のうしろ姿を観ていた。実にきれいな長い髪で、それを観る度に感心していた。

 やはり時々一緒に同じ電車に乗る友人の一人が、彼女について教えてくれた。

「彼女はテレビのシャンプーのコマーシャルに出演しているんだ。髪だけなんだけど」
「マジかよ。そう・・・

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桜吹雪の寺

12/12/24 コメント:1件 マナーモード 閲覧数:1518


 夏の暑い盛りや、真冬の吹雪の日に亡くなったひとは、生き残った人々から恨まれることが多いのではないか。その位置が温帯と呼ばれる場所にあるだけに、日本の一年から真夏と真冬を除いても、快適に過ごせる日は随分多いに違いない。春の嵐や台風、地震などの場合を除外しても。
「お寺で待ってるからね。あの本を忘れないで持って来てね」
 その大学の構内の中に停めていた車の中で男が居眠りから覚めた・・・

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好きなにおい

12/12/17 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1374




 鎌倉の寺の境内で識り合った或る若い女性に油絵を、私は教えていた。十人程度の生徒のうちの一人が彼女だった。彼女は何度も私を呼び、ここはどの絵の具を使えば良いかなどと質問した。彼女の香水がたまらなくいい香りだった。
後日尋いてみるとフランス製のもので、知り合いからお土産としてもらったのだと、云っていたような気がする。ほら、これよ。と、云って彼女は私の手首の内側に、ガラス・・・

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午後の再会

12/12/15 コメント:1件 マナーモード 閲覧数:1385

 雪沢啓二は携帯電話のアラーム機能を目覚まし代わりにしている。朝になって前夜設定した時刻に好きな曲の再生が始まっても、大抵は目が覚めない。煩さに反応し、殆ど眠っている状態でなんとか音を止めようと思いながら手探りで音の源を掴んだ。
アラーム設定を解除すれば音楽もバイブレーションも止まるのだが、その作業は少し複雑なため、目が覚めていないとできない。半ば眠りながら、それをしようとしているうちにもっ・・・

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てんこうせい

12/12/13 コメント:1件 マナーモード 閲覧数:1545


きよしくんががっこうへゆくと、たんにんのまつもとさやかせんせいがすばらしくかわいいおんなのこを、みんなにしょうかいしました。
「みなさん。きょうからあたらしいおともだちがてんにゅうしてきました。さいとうねねこちゃんです。みんなでなかよくしましょうね。ねねこちゃんがごあいさつしますよ。みんなしずかにしてください」
「さいとうねねこです。わからないことばかりなので、いろんなことをお・・・

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お年玉

12/12/06 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1373

正月の二日の午後だった。書棚から取り出した本に、一万円紙幣が五枚も挟まれていたので北原哲也は喜んだ。年末に家賃とアパートの更新の費用を支払ったので、電気料金やプロバイダーへの支払いが難しくなっていたからだった。
だが、その本にそれほどの金を挟んだ記憶はない。余裕があるときに本に挟んでおくのは、以前からやっていたことだった。そうしておくと突然臨時収入が舞い込んだような、嬉しい気持ちになる。だか・・・

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ありがとう

12/12/05 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1469


 クリスマスイブの午後十一時前だった。雑踏が、乗務員の松本朔太郎の視野の大半を占めていた。歩行者が多いので、のろのろと進行するしかなかった。
「何やってんだ。急いでるんだ。クラクションを鳴らせよ」
「歩行者には鳴らさない主義です」
「何ほざいてんだよ。そんなこと云ってると、金払わねえぞ」
 中目黒から乗車した中年の乗客は、松本のシートの背もたれを蹴った。恐怖を感じな・・・

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初めてですが

12/12/03 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1436

 米田浩は今年の春、信号待ちをしているときに追突されてしまった。三十年も車に乗っていて、初めての経験だった。事故後、すぐに救急車で病院に運ばれた。
それ以来、首と肩と背中と腰が痛くなった。
自宅に近い整形外科に四箇月通ってみたが、理学療法士たちの心のこもった治療も虚しく、一向に良くはならなかった。そのため、米田は仕事中に車を停めて寝てばかりだった。歩合制の仕事なので収入が激減した。彼の・・・

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クリスマススキーツアー

12/12/02 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1476

 全てが混沌としていた。高梨の部屋のベージュ色のソファーで目が覚めたとき、ぼくはなぜそこで眠っていたのかが思い出せなかった。何日か前に両親の家を出たことだけは思い出した。
 観葉植物のあるその大きな部屋が高梨芳樹の住まいだと判った理由は、そこが彼の部屋だったからだった。そこには大きなイーゼルがあり、五十号の風景画があり、その絵の右下にはyosiki takanashi とサインが入っていた。・・・

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元旦の再会

12/11/30 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1429

 帽子を被っている山上啓一が改札口を出たとき、背後から聞き覚えのない若い女の声に「お父さん」と呼ばれた。振り向くとそこに、振袖姿の麻衣がいた。
「明けましておめでとうございます。お久しぶりです」
 麻衣は見事に変身していた。山上は彼女がそんなに美しい女性になっていたことに驚かされた。髪をきれいにアップにしている麻衣は、明るい緑色の着物が非常に似合っている。
「初詣か?」
 ・・・

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正月のあそび

12/11/28 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1432

騒音と共に、漸く電車が入って来た。阿坂は思い切って絵画教室で知り合ったばかりの村上さやかの立っている場所に向かって走った。その距離は五十メートル以上だったが、電車が停止したとき、彼は彼女のすぐ傍まで行くことができた。
「あら。阿坂さん」
だが、さやかの表情に、歓迎の色はなかった。
「また飲み過ぎてぼおっとしてたんですよ。さやかさんは強いんですね」
「強いって、何が?」

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初詣

12/11/26 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1361

 テレビ画面は「行く年来る年」の中継画像を映している。雪の降りしきる中を、寺の参道を身をかがめて村人たちが歩いている。除夜の鐘が重々しく響くのに重ね、アナウンサーがこの一年の世相について語っている。
私はそろそろ初夢でも見ようかと思っていた。ところが、二千十三年になった瞬間に携帯電話が着信した。私は誰からだろうと思いながら、
「はい。荘司です」
 と云った。
「あけましてお・・・

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ホワイトクリスマス

12/11/25 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1439

 そこはK電気の工場のひとつだった。定時後に笠松健が広大な敷地の一角にある美術部の部室で一人で石膏デッサンをしていると、そこに寮生で部員の北村翔子が石膏デッサンに必要なパンを持って入ってきた。彼女が持ってきてくれたものを、礼を云って受け取りながら、笠松は自分が毎日そこにいることを、彼女は知っていたのだろうかと思いながら訊いた。
「お昼に樫村さんが北村さんを探していたこと、知ってた?」
・・・

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新婚不倫

12/11/24 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1494

一年前、途中入社だったおとなしい男に、美しい女は仕事を教えた。どちらもまだ若かった。
 硬くなっている男は教えられながら、それと判らないように冗談を云った。
 何日目かに、女は吹き出した。
「もう、亀山さんったら、そんな顔して」
「はっ、どんな顔でしょうか」
「だって、凄く真面目な顔で、そういうこと云いそうもない顔して」
「そう云えば、ポーカーフェイス亀山という・・・

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夜の電話

12/11/22 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1452

午後九時になった。緒方邦彦は、銀行の預金商品のパンフレットの、印刷原稿を居残って作成していた。それができ上がったとき、取引先の出版社の女性からの電話が入った。彼女は仕事上の用件を、遠慮がちに伝えた。或る雑誌に連載中の随筆の原稿が遅れて入ったので、申し訳ないことだが明朝九時に、取りに来て頂けるとありがたい。そのような用件だった。声の感じから、その女性の推定年齢は三十代半ばだと、緒方は勝手に思っていた・・・

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割り箸

12/11/22 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1510

割り箸の生産量が減少しているというニュースをラジオのアナウンサーが伝えたとき、浅野は高校生だった頃の同級生の一人を思い出した。
彼と同性のその同級生は、学業成績がやや上位だということのほかに、これといって取り柄のない人間であり、クラスの中ではまるで人気がなかった。
「俺ってこれだけの顔なのに、どうして男にも女にもモテないのかなあ」
 そんなことを、平原というその男は口癖のよう・・・

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ふたりのクリスマス

12/11/20 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1532

 誰にも云ったことはないのだけれど、ぼくは画家になりたいと思っていた。標榜するとか、そこまで力んではいなかった。ただ、毎日絵を描いていられたらいいなぁ、という願望があった。
 秋になるとなぜだか寂しい気持ちになっていたが、美術部の部室には、いつも僕だけがいて静かに石膏デッサンをやっていた。その理由は、白い石膏像が好きだったから。
 僕が高校生になってから、二年半が経過していた。残暑がひ・・・

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珈琲屋の女

12/11/18 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1377

晩秋の午後のことである。武井健次郎が横浜市内のとある運河べりで油絵を描いていると、双子の少女たちが彼の周りで遊び始めた。少女たちが何をして遊んでいるのかは、武井の関心の枠外のことだった。時折船の汽笛が聞こえて来ることもあれば、少女たちの笑い声が聞こえるときもあるものの、概ね静謐な時の流れの中で着々と制作は進行していた。
「おじさん。ミッキーを描いてくれないかなぁ」
「ほら、あのお船にね・・・

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カリスマサーファー

12/11/18 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1425



 坂野剛はクラスで一番の人気者だっただけではなく、第三中学の中ではスター的存在だった。担任の相田文雄は、坂野がクラス委員になったときは嬉しかった。国語の授業中に坂野が発言すると、生徒たちは全員が拍手をした。
相田は水泳部の顧問としても、坂野に期待していた。彼が県大会の百メートル平泳ぎで優勝したときは、相田が買ってお祝いのデコレーションケーキを祝勝会の会場に持って行った。

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最期のコーヒー

12/11/17 コメント:1件 マナーモード 閲覧数:1612

 獅子座流星群を見ようと思って、衝動的に出かけてきたのだった。初めてではなかった。どのくらい前だったのかは忘れたが、逃げた妻を連れて、車で出かけことがあった。あの時も寒く、ダウンジャケットとシュラフを持ってきてよかったと、妻に感謝されたことを思い出した。
 今回は車がなかった。車を所有する余裕など、既になかった。正午前に出て、電車で三時間、徒歩で五時間。高さ千二百メートルの山を目指していた。・・・

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コーヒーは初恋の味

12/11/15 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1508

 中野清は四十三年間もそのことを忘れることができなかった。それは、彼が十七歳の秋のことだった。
その頃中野が親しくしていた同級生の小泉浩二は、コーヒーが好きだった。中野もコーヒーが好きになった。小泉が小説を書き始めると、中野も触発されてそのようなものを書き始めた。小泉が絵を描き始めると、中野も絵を描くようになった。
小泉は同級生の田代達郎の妹の美奈代に恋をした。小泉はノートに彼女の名を・・・

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予言した少女

12/11/14 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1478

 そこは柿崎裕道が初めて入った小さな喫茶店だった。
「ここに座ってください」
唯一のボックス席にいた若くて可愛い女性が、彼女の前の席を指定した。柿崎が云われた通りに座った理由は、逆らって険悪なムードになることを避けたかったからだ。
「きみの名前は?」
「ミキナ」
「ぼくは柿崎です」
「コーヒー、飲むんでしょ?」
 柿崎が頷くと、ミキナは微笑んだまま立ち上が・・・

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クリスマスプレゼント

12/11/13 コメント:0件 マナーモード 閲覧数:1933

そこは駅ビルの地下の食料品売り場の隅で、あまり人がいない場所だったわ。
「これを腰に巻いてください」
 突然後ろからそう云って、男のひとが、グリーンのセーターを差し出したの。
「……」
「スカートが切れてるんですよ。あなたの」
「そ、そうなんですか?」
 驚いたわたしは目の前が暗くなるのを感じたわ。
「うしろ側です。早く、みんなに見られちゃいますよ」

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