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ヨルツキさん

宇宙が大好きな物書きです☆ 書いていないと具合が悪くなります。文庫本を片手に空を見上げていたら、それはワタクシです☆ ※画像はレフカダさんの作品です(無断転用禁止)

出没地 サッポロ
趣味 見上げた空の中から月や星を見つけるコト☆
職業
性別 女性
将来の夢 ガツガツしないで穏やかに生きる人間になるコト
座右の銘 人事を尽くして天命を待つ

投稿済みの記事一覧

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アップル・パラダイス

13/11/16 コメント:2件 ヨルツキ 閲覧数:1363

 まどかが大学のサークル棟でブログの更新をしていたときだ。物音がした。振り向くと窓辺に何かが置いてあった。白い箱だ。そのひと抱えはある箱を覗いて、まどかは首を傾げた。
「ケーキ? リンゴのタルトかしら?」
「え、ケーキ?」とほかの菓子同好会のメンバーがまどかに群がった。「わあ、美味しそう」。「食べよう食べよう」。
「あの……誰が持って来たのかわからないケーキだし。危なくはないかし・・・

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人生で一番長い時間

13/02/27 コメント:0件 ヨルツキ 閲覧数:1508

 一人で行けば自宅から五分とかからないスーパー。それが、三歳の息子と一緒に行くと六倍の三十分かかるから不思議だ。息子は何にでも興味を示す。たとえば道端に転がっている小石が最近の彼のお気に入りだ。
「カッコイイのみっけ」そう叫んではしゃがみ込む。三頭身の彼は額をアスファルト歩道にくっつけんばかりにして小石に見入る。目を輝かせる、というのは文字通りこういう目を言うのだな。私は毎回感心する。ただ問・・・

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インフルエンザ

13/02/17 コメント:0件 ヨルツキ 閲覧数:1458

「検査結果はインフルエンザでした」
「そんなっ」診察室であるのも忘れてあたしは頭に手をやった。
 真っ先に脳裏に浮かんだのは弟の顔。
 弟は受験生だ。それも、待ったなしの浪人生だ。ちょうど今頃は受験のために機上の人のはずだった。いや、今ならまだ空港のロビーにいる時間か。
 病院の待合室に出るや否や、あたしはスマホを手に取った。弟に全速力でメールを打つ。
『すまん。イン・・・

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まさゆめ

12/12/23 コメント:0件 ヨルツキ 閲覧数:1756

「明けましておめでとう」「今年もよろしくおねがいしまーす」「おめでとさん」「爺ちゃん、お年玉―」「おめでとうございまーす」
 元旦も昼を過ぎると親族一同がぞくぞくとやってきた。従兄弟に叔父に姪に甥に、さらにはよくわからない血縁者たちが座布団に腰を下ろす。
 離れの襖をはずした大広間だ。一人ではとても持ち上がらないくらい重い机を三つ四つ並べた。座布団は足りるか、グラスの数は足りるか、皿の・・・

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雪かき奉行

12/10/01 コメント:0件 ヨルツキ 閲覧数:1788

 しんしんと雪が降り積もった朝は、ザクッザクッという音が近所一帯に響き渡る。サエキの爺さんがスコップで雪かきをする音だ。
 サエキの爺さんの雪かきには無駄がない。
 玄関フード前から始まって道路の歩道一帯まで、機械で削いだようにスコップで雪をかいていく。段差なく、隙間なく、アスファルトが見えるか見えないか。そんなすれすれまで雪をかく。

「サエキさん。今朝も早いねえ。腰痛め・・・

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スノーシューズ

12/09/25 コメント:0件 ヨルツキ 閲覧数:1684

 バスから降りるなり、おれは派手に転倒した。路面が凍っていたのだ。恥ずかしさからすぐに立ち上がる。そんなおれを見て問題なしと判断したのか、背後でバスは発車していった。
 おれも痛む尻を堪えつつ歩き出そうとした。
 動けなかった。
 足をくじいたわけではない。ただ眼前に広がるのは一面の凍った路面。しかも斜面。あたかもスケートリンクのごとくだ。
 これが冬の北海道――。おれは息・・・

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かっ飛ばせ!

12/08/16 コメント:0件 ヨルツキ 閲覧数:1708

 なにげなく通った地下街の巨大モニターに人が群がっていた。
 なにかの中継を見ているらしい。なにごとか、とわたしは歩みを向けた。野球の中継だった。高校野球、甲子園だ。
 そういえば、今年は地元の高校が決勝に残ったんだった、と新聞記事を思い出す。それがどれだけスゴイことか、そのときはまだわたしは気づかなかった。

 スポーツには興味がない。野球だけでなくサッカーを何人でやるの・・・

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回遊魚

12/07/30 コメント:0件 ヨルツキ 閲覧数:1624

「かわいい。見て見て。チンアナゴですって。砂の中からひょろっと顔を出している姿がなんともいえないわねえ、って。あら?」相手の姿がなかった。
「また? もう。せっかちなんだから」ため息をついてわたしはチンアナゴの水槽に視線を戻した。

 夕方だ。同じ部署の年下眼鏡男に「水族館に行きましょう」と誘われた。年下の眼鏡男に興味はなかったが、水族館は大好きだ。「いいわよ」と答えていた。「ホ・・・

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プロジェクト草津

12/07/22 コメント:0件 ヨルツキ 閲覧数:1872

「水ようかん? どうしてこんな場所に落ちているんじゃい」岡本爺さんは白旗湯畑の端に転がっている水ようかんを拾った。 
 岡本爺さんは当然のごとく水ようかんを口に入れた。
「はうっ!」
 目を丸くする。旨い。こんな水ようかんを食べたことがない。旨いだけではなく、身体中に風が吹き抜けていく気がした。懐かしい風だ。子どものころに見た光景が駆け抜けていく。

 いまは西暦23・・・

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ミッションざびえる

12/06/26 コメント:2件 ヨルツキ 閲覧数:2026

「まだ発見できないのか! 国東半島に入って何分経過したと思っている!」
「申し訳ありません、隊長! ターゲット『ざびえる』の特定に手間取って」
「早くしろ! 時間がない! あと5分……いや3分だ!」
「た、隊長!」
「どうした! あ、う、うわあ、く、くそう……」
「発見しました!」
「でかした! よし、コレだけでも、う、うわあ――」


 暗い・・・

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Mr. & Mrs. イトウ

12/06/23 コメント:2件 ヨルツキ 閲覧数:2649

「『いつか会社を辞めてやる』って言うけれど、私たちも『いつか離婚してやる』って思っているわよねえ〜」ミセス・イトウの声にそうよそうよ、とマダム友だちが笑い声をあげた。
「誰のおかげでメシが食えると思ってるんだよな。俺たちが働いているから3食昼寝つきの生活してやがるんだぜ」ミスター・イトウの声にそうだそうだ、と仕事仲間が笑い声をあげた。

 結婚式を挙げて30年。
 3人の子・・・

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LOVE LOVE LOVE(隔世遺伝)

12/06/21 コメント:0件 ヨルツキ 閲覧数:1825

「どうしてウエディングドレスを着てるんだよ」
 モニター越しに映る彼女を見てアオイは搾り出すように声を出した。彼女はなにも言わない。
「俺はそんなの聞いてない。どうしてだよ。俺だってなんどもなんどもプロポーズしたじゃねえか。なのに――」
 モニターの向こうで彼女が目を伏せる。
 ぽっちゃりとした顔つき、小さい瞳。
 お世辞でも美人ではない。それでもアオイは恋をした。ウ・・・

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げんかつぎのご褒美

12/06/09 コメント:0件 ヨルツキ 閲覧数:2131

「弁当にカツ入れるの、やめてくれない?」
 涼子は今まさに揚げようとしていたカツを皿に戻した。つとめて穏やかな口調で息子の顔を見る。
「どうして?」
 うん、と息子は少し言いよどんだあと、
「センター入試の日さ。弁当にカツが入っていたじゃん? その前の試験で集中したから、カツを見たら気分が悪くなったんだよ」
「だって、お弁当、残さなかったじゃない」
 まあ、ね、・・・

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