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リアルコバさん

拙い文章ですがアメブロにて書くことにより個人的に楽しんでおります 

出没地 上野 浅草 新宿 池袋 赤羽
趣味 音楽(オヤジバンドぴんきり兄弟所属) スポーツ(バスケットボールチーム所属) 料理(娘の弁当担当) 釣り(主に剣崎より出船)
職業 不動産屋(自営)
性別 男性
将来の夢 音楽や書物を趣味に小さな飲食店をやりたい
座右の銘 石の上にも3年

投稿済みの記事一覧

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17/04/09 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:202

ふと刺すような視線を感じた先は、隣の車両の手前側のドアあたりではなかろうか。
眠たげな眼をさりげなく向けるが、そこにはスマホを見る若者と子供を連れた若い母親、何人かのサラリーマンが立っているだけで、感じた視線の余韻を残す者は見当たりはしない。
(ふうまたか・・・)この過敏に働く神経が作動したときは気をつけたほうが良い。

俺の仕事はブローカー。名刺には大層仰々しく《流通コン・・・

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《ねこ》より

17/01/13 コメント:1件 リアルコバ 閲覧数:354

ぼくがこの家に来たとき、あいちゃんは10歳だった。
生まれたてのぼくを友達の家からもらってきたんだって。
ぼくの最初の記憶はおさげ髪のあいちゃんがなでてくれてることなんだ。

ぼくの名前は《ねこ》と云う。
猫なのに名前も《ねこ》だって、おかしいよね。
でもあいちゃんが『ねこって名前の猫はきっといないよ』ってつけたらしい。

ぼくはあいちゃんの勉強部屋・・・

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君といた夏は・・・

16/08/01 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:479

あの年の夏、受験を控えた僕は予備校の夏期講習に悶々としていた。
(今年だけ、今年だけ我慢すればバラ色の学生生活が・・・)
里見恭子に出会ったのは、八月の最初の月曜日だった。

(あれ?あんな娘いたかなぁ・・・)
それはいかにも理系っぽい知的で芯の強そうな鼻筋、今まであまり接点のないタイプに大人の女性を感じたものだ。
『ねぇ同じクラスだよねぇ、俺、立花義彦、君は?・・・

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応援団

16/07/31 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:417


「県立東山代高等学校〜校歌〜斉唱〜」

地方都市のそのまた地方 進学率も高ければ不良たちも共存する伝統の男子校だ。
ひと時男女共学を実行したらしいが、動物園の檻に娘を入れる親などいない。結局はそのまま事実上の男子校となっている。


一回の表、我が校の攻撃が始まった。吹奏楽部の有志が鳴り物を鳴らす。
「それ〜ぇ」
スタンドは学生より父兄O・・・

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同窓会

16/01/17 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:526

「コバか久しぶりだなぁ」「よう純ちゃん」
「あれ〜お前誰だっけ」「あはは禿げたなぁ」

 地元での同窓会なんてものにとんと興味はなかったが、50歳の節目、と云うより近年何人かの友人の訃報などを風の噂で知り(会えるうちに会っておこうか)そんな気になったからだ。
 しかし会場に来て少し後悔した。余りにも皆歳をとり、田舎町の話題は退屈だった。
ところが手持ち無沙汰で作り笑い・・・

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白い花

15/08/22 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:801

「おめでとうございます。初めての決勝で初優勝、そして最年長初優勝の記録ですが今のお気持ちは」
 モトGP500 日本最高峰のバイクレースの表彰台で俺は興奮していた。
「27歳でデビューとは随分遅咲きですがキッカケはなんだったんですか」
 キッカケと云う言葉を聞いて思わず答えてしまった。
「聡のおかげです」


 今から13年前、高校3年の夏。俺は族にも走り・・・

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生涯の不覚

15/08/09 コメント:1件 リアルコバ 閲覧数:740

「痛っ」「あっ和仁見っけた、また引っかかってやんの」
 公園を取り囲む雑木林は缶蹴りの隠れ場所には絶好の場所だった。そこに潜んだ私が絡み合う蔦を払うと小枝が私の顔を打ち付けた。《ブービートラップ》幼馴染の孝男はいつも自分が隠れてる間にこんな罠を仕掛けるずる賢い奴だった。まさかこんな形で再開して相対するとは、宿命なのか・・・。

「有野、ありのかずひと。親子3代この街のために尽くし・・・

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ウィンドサーフィン

15/05/17 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:786

♪風に誘われてあいつの思い出に
     耽りに来たわけじゃないけれど
  風に運ばれて漂う蜃気楼
      あいつのお気に入りのポーズ♪

 湘南の海は今日もキラキラに輝いてまるであの頃と変わらないわね。そうイエローグリーンのセールを片手にいつも波打ち際で私に左手を突き上げたあのポーズ、ほら今の子もみんなやってるわ。

♪海は今日も色とりどり
 ・・・

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待ち人

15/01/18 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:778

 エスカレーターを上がると真っ青な空に白く輝く機体が滑走路へ降りてくる。(やはり飛行機には青空が似合うわ)何度来てもワクワクしてしまう。(あの飛行機に乗っているのかしら?)暫く着陸の風景を眺めてからいつものレストランに向かった。

「いらっしゃいませ、あっ北条様おはようございます。」
 彼女はこの店の4代目のマネージャー、赴任当初はおどおどした娘さんがすっかり立派になって。

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昭和の男

14/11/01 コメント:1件 リアルコバ 閲覧数:705

 窓際から見える皇居の景色は変わらない。春は桜、新緑の緑が鬱蒼としたかと思うとゆっくりと赤や黄色に色づいた。この窓から眺める景色は依然として時を四季として感じさせてくれる。

「宮さん何ボケっとしてんだよ、グラフできたのか?」
 若い営業統括本部長様は、別に私を蔑んでいるわけでもない。唯フレンドリーなだけである。方眼紙に定規を当て各課の成績を棒グラフにしていく。昔は壁一面にデカデ・・・

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蝉時雨

14/08/20 コメント:1件 リアルコバ 閲覧数:723

 盆休みに珍しく故郷に戻ったのは、ご先祖様への義理立てでも何でもない。親兄弟に頭を下げた借金はびた一文返済出来ず、この町に来るにはあまりにも敷居が高い。それでもやって来る理由はあった。

《元気?今年も戻らないの?もし来るんだったら逢いたいな、ちょっと体調崩して入院してます》
メールの主は男女の垣根を取っ払った幼馴染みの親友である。
《どうした 夏バテか?鬼の撹乱って・・・

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初恋

14/08/17 コメント:1件 リアルコバ 閲覧数:791

『私もよ・・・でもね・・・今はダメなの』
夏休みの終わり頃、緑色の公衆電話の受話器から七海の優しいその囁きは、はっきりと聞こえた。でもそれは漆黒の闇の中に流れる静かな風のように消えていった。
『そうだよな・・・ゴメン忘れてくれ』
消えかかって点滅する蛍光灯の電話ボックスの中に羽虫が舞っている。折りたたみのドアを足で押さえたまま僕は、闇に浮かぶ星屑を仰ぎ見たが感情は頬を伝った。

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泣く男

14/07/10 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:777

「阿佐ヶ谷でも散策しよう」
それは何気ない土曜の提案であった。昔自分が住んでいた街を七海に見せたかっただけの事だ。
「なんか面白いね、下町の様でチョッとお洒落で」
七海は初めて見る街に興味津々で夕暮れを迎えた。
「あれ?この店まだあったんだ」
そこは古い映画や演劇のポスターが雑に貼られた店名すら出ていない喫茶店。
「俺、昔一度入ったことあるよ此処」

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『紙切れ』

14/05/16 コメント:6件 リアルコバ 閲覧数:947

「なぁ俺が卒業して戻ってきた時、もしお前が一人でいたら結婚しないか?」
中学高校と3回アタックして3回ともフラレた彼女は笑っていた。
「それいいね、バツイチになっててもいい?」
幼なじみである彼女の言動にはいつも惑わされる。
二十歳の頃、30年も前のたわいも無い青春のワンシーンであった。



「部長、結局のところどうなんですかウチの部は・・・」

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永遠の絶望

14/01/29 コメント:1件 リアルコバ 閲覧数:946

《ちんちろり〜ん》『はい一の位は三です』
「よし32561963番ね、理由は失念っと  オッケーこれで終わりだよな」
 ひどく軽いノリでサイコロを振り、更にいい加減な声で物事を決めていく此処は、天界よろずの神の社務所である。まだ神社の与えられぬ若手の神たちが偶然の産物と云う幸不幸を割り振る場所である。
 ランダムに振られた番号は下界の人間一人一人に付けられた番号で、今日は年・・・

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八ヶ岳乗馬クラブ ベガ号

14/01/27 コメント:2件 リアルコバ 閲覧数:849

「ねぇ動きたいよ きっともう朝がくるよ」
 そんな風に思ってカツカツと蹄で寝床の藁を掻いていると馬屋の扉がガラガラ開くんだ。
「おはよ」 そんな声を聞き流して僕はまだ夜の明けきらぬ牧場に駆け出して行く。冷たい空気が体を包み鼻からも口からも白い息がでると身震いせずには居られない。まだ星が輝く山の天辺と蒼白く開けて行く谷側の空「ヒヒーン」ゆっくりと白樺の木が黄金色に染まり出すと、《ドサ・・・

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繁太郎繁栄衰記

14/01/25 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:847

 私の母は大正15年の生まれ「あと一月遅く生まれれば昭和の・・・」が口癖であった。戦前 江戸明治大正が色濃く残るそんな昭和初期、私の祖父の物語である。

「俺は東京で一旗挙げるぞ」
 繁太郎の家は名家であった。水戸様の息の掛かる反物商は江戸大名行列の家臣の泊まる副本陣として家屋敷を提供していたのが唯一の自慢である。 水戸藩とは云えなにぶん在の宿場町、庄屋である本家本陣の栄華に・・・

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外は白い雪の夜

13/10/09 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:1039

 彼女の瞳はまるで少女のように 邪気のない好奇心に溢れていた。 今はその瞳に入り込む光と色が つい先程までいた浦安の夢の国の残像と混ざり合い、時間の流れを遮断しているようにも見える。 高円寺サザンクロス、10人も入れば窮屈であろうその店内は香ばしい焙煎珈琲の匂いがマスターの気分で流されるジャズピアノと溶け合っている事だろう。 蔦に覆われた二階建の建物を早すぎる雪が染め始まっている。 蔦の葉の隙間か・・・

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ラーメン

13/06/10 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:1178


 まるで違う国に来たような気がした。木造駅舎だった駅は巨大なビルになり、駅前のタクシー乗り場の小屋も跡形もなく、そもそも此処があの街だなんて信じられない。
(やっぱり無理だよな)唖然として空を見上げた。


 22歳で日本を離れたんだ。あてなんか無かったけれど、なんだか嫌になって、言葉は通じないけど、アメリカって国の方が信じられる気がしてたんだ。清掃のバイトとか苦し・・・

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浅草太夫

13/04/21 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:1205

 浅草に花街が消えてからどのくらいになるのだろうか。新橋浅草柳橋と、その名を競った花柳界を支えて来たのもまた、浅草に店を張る旦那衆であった。そんな浅草旦那衆の物語である。


 雷門から仲見世を歩き伝法院の角を曲がると、鼈甲屋で老人が通りを睨むように見ている。
「ったく副業だか何だか知らねぇが何で俺が店番を だいたい彼奴がしっかりしねぇからこんなことに・・・」
・・・

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流浪の財布

13/04/07 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:1298

《カンカンカン》鐘を打ち鳴らす自分の顔が、とてつもなくだらしない笑顔になっているのが解る。予想以上の初値が付いた。一瞬にして巨万の富を獲た瞬間だった。

「株式上場おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「今後の展望を聞かせて下さい」
「いや今までと同じで面白いものを作るだけです」
「ゲーム作りはいつ頃から始めたんですか」
「高校の頃・・・

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独居老人の雛祭り

13/03/06 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:1394

『・・・桜橘は左右どっちだったかな、右近の・・・』
誰に聞くこともなくふと呟いた白髪の老人は無精髭も白い。
『かぁさんや、結局こいつの貰い手は居ないようだな』
今度ははっきりと仏壇に向かって語りかけた。
柔らかな陽射しが白い障子越しに微かに春を告げている午後だった。

大きくはないが柔和な顔をしたお雛様である。60年は経とうと云う15体の人形が、緋毛氈の・・・

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隠れ家

13/01/09 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:1338

 大銀杏の葉はあらかた落ちたが、境内は綺麗に掃き清められている。総瓦だった本堂の屋根は真新しい銅板葺が鈍く光っている。それ以外は変わらぬ寺の風景が懐かしく思われた。本堂の左手の母屋の横に竹薮に隠れて庫裡がある。俺の足が自然とそこに向かうのは、この寺の檀家でも知人の墓があるわけでもなく、慣れ親しんだ想い出の場所だからだろう。その庫裡には蜘蛛の巣が枯れたように揺らいでいる。


<・・・

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女子高

13/01/05 コメント:2件 リアルコバ 閲覧数:1483

学校は教えてくれなかった
人を愛することを
学校は教えてくれなかった
優しさって何かを
学校は教えてくれなかった
生きていくのに何が必要なのかを

 独りきりの年の瀬は、お笑い番組の虚しい笑い声で紛らわすしかなかった。友人達のように帰る実家などはなく、かといって若い時のように何処かのイベントに出掛けるのも億劫に思えた。
 三十路、なんて嫌・・・

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女神

12/11/19 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:1517

銀杏並樹が歩道まで黄色く染めた絵画館通りを肩を並べて歩いている。 ポケットには小さくはあるが縦爪のダイヤの指輪の箱が寒さなど吹き飛ばしていた。 この女性と付き合い出してから何をしてもツイている。 そしてその女神と結婚するつもりで足取り軽く枯葉を踏んでいた。

「なぁ」と言ったつもりが「ねぇ」に圧されてしまって聞き役に回った。
美しい笑顔の知的な唇から発せられたのはいつものよう・・・

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プロレスファン

12/09/15 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:1245

「慎二 家の物置小屋を壊すから片付けを手伝いに来い。でないとお前の物は全部捨てるぞ」
それは困る。物置には青春のガラクタが沢山詰まっている筈だ。
そんなわけで土曜日の実家は 久しぶりに賑やかになった。
私と妻、兄貴夫婦と子供たち、両親が全員顔を揃えるのは久しぶりの事であった。

頭に浮かんでいたのは、《開封厳禁》とマジックでかいた段ボール箱だ。よりすぐりのエロ・・・

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走れスーパーバリュー

12/08/05 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:1568

花火大会直前のスーパーマーケットは大賑わい
「解説の《コバ》さん如何ですかこの状況は」
「凄いですねこの混み方レジ打ちの人は大変だ」
「さあレジ18ゲートフルオープンスタートしました」

「先頭飛び出したのは《ロウバノホホエミ》野菜です
野菜ばかりがレジ前通過大半がタイムセール品です
これは安い安い《ロウバノホホエミ》大満足かおーっと
12番レジで手・・・

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フレ〜フレ〜

12/08/05 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:1498

「県立東山代高等学校〜校歌〜斉唱〜」
一回の表我が校の攻撃が始まった。吹奏楽部のの有志が鳴り物を鳴らす。

「それ〜ぇ」
スタンドは学生より父兄OBの数方が多い位だ。今時母校愛などないのだろう。
「それ〜ぇ」
我が東山代高校が(バンカラの東山)と呼ばれたのも今は昔。
「フレ〜〜フレ〜〜 トウヤマッ フレッフレットウヤマフレッフレットウヤマソリャ・・・

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そんな人ちがい

12/07/22 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:1444

(そうか、赤い自転車に乗っていたのは郵便屋だったんだ・・・)
 実家の古いソファーに身を沈めて今更気が付いた事を呟いている自分が可笑しかった。ターンテーブルの蓋を開けてA面の終わったLPレコードを《かぐや姫さあど》と云う色褪せたジャケットに仕舞った。《そんな人ちがい》この曲は中学3年の文化祭で俺と栄一と敏ちゃん3人でバンドで歌った曲だった。
3人が3人とも《夏海》と云う名の女の子に惚れ・・・

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真夏の夢

12/07/16 コメント:4件 リアルコバ 閲覧数:1670

「うわぁ大きいねぇ ママあれなんてお魚?」
女の子は巨大な水槽に顔をつけるようにして聞いた。
「ん?マグロじゃない」
水族館に来てまでスマホを弄らなくてもと思うほど無関心に母親が答えた。
(違う それはカツオだ)
ほの暗い館内はまるで水の中に居るように、通路を除き天井までぐるりと水槽に囲まれている。
「ねぇママ あのちっちゃいのは?」
女の子・・・

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絹の階段

12/07/14 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:1561

 黒く煤けたような階段を上がり冷んやりとした屋根裏部屋に入ると、蝉の声すらが気持ちよくなる。 整然と並ぶ升目を持つ木箱から、あのなんとも言えぬ生臭いような匂いが微かに鼻腔を擽り昔の記憶を呼び戻した。
 博子の実家である古民家と云うべきこの家に初めて来たのも夏の暑い時期だった。

『うわっ』蚕など教科書でしか見たことは無く、それが夥しい数でワシャワシャと桑の葉を貪る光景は恐怖と・・・

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消えた春

12/06/30 コメント:4件 リアルコバ 閲覧数:1705

「キェーッ」気合いと共に放たれた一撃は、友成の喉元でピタリと時間を止めた。一筋の汗が顎から落ちた時、両者は木刀を引き頭を下げた。
「腕を上げたな安二郎」手拭いを使いながら「まだまだです」友成の2つ年下の安次郎は、はにかむように笑った。
 一刀流塙道場の三人の高弟のうち一人が欠けてか7年が経っていた。「ところで安よ、考えは変わらんか」笑顔が消えうんざりとした顔になった安次郎が汗を拭った体・・・

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ヒノモトの恋

12/06/15 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:1768

《カタカタカタカタ》 タブレットと音声認識であまり見掛けることの無くなったキーボードの音が、今となってはモダンにさへ見えるコンクリートの部屋に響く(120年か)この建物の建築時期が西暦2000年であることを資料で読んだ事がある。
【ヒノモトムサシ】 それがこの物語の主人公である。



「あ〜ぁやっぱりこうなっちまったか」ヒノモトが溜め息を付いたのは半年前の4月1・・・

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指定席

12/05/28 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:1695

「あれが住友三角ビルであっちの黒いのが三井ビル」
「スゲなぁ でもなんかケツがモゾッとすんな」
こんな会話をしたのがついこないだのような気がする。
あれは私が大学卒業間際の事だった。

「女は大学なんていかんでええ 家におれ」
地元の土建屋の2代目の父は、我儘放題のがさつな男だ。毎日の様に母は泣いていた記憶がある。
「行きなさい何とかするから行・・・

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12/05/17 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:2266

「おいでやす ようお越しくらはりましたなぁ」
東山区祇園町北側の路地の暖簾の前で待っていた三代目女将の笑顔は、学生時代と変わりはしない。
「やぁ この度は・・・」
用意したはずの弔問様の挨拶が出てこない。
「おおきに 来てくれはっただけで嬉しいおす」

案内された母屋の仏間には、寺と見紛う程の仏壇が香の香りに燻されている。
「呆気ないもんどすな・・・

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紅の花柄

12/04/25 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:2011

 いつもの何気ない通勤経路である。判を押したような時間と線で引かれた如き順路、ただ違うのは毎日の感情の起伏であった。
 駅の階段を上りコンコースを望む頃、上からの視線にふと眼を合わせた。 自分より確実に若いと云う事とスーツの着こなしが崩れた私と同類と思しき男の視線が私の眼をえぐった。どうしてかは解らないがごく希に外せなくなる視線と出会う。それが女なら期待を込めた本能がウズくのだが、こと・・・

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故郷の記憶

12/04/15 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:2658

真っ青に澄んだ空が、何処までも見渡せるベランダから、遠くスカイツリーが開業を待ちわびている。 私はキャラクターがプリントされた小さな蒲団を干して振り向いた。春の光で満たされ輝く部屋には、座布団に乗った我が子がすやすやと眠る。(幸せだ)そよ風の中、昨日主人が立てた真新しい、そして小さな小さな鯉のぼりの先の風車がカサカサと音をたてている。

 「何でなの?」 私は関東平野の北側の田園風・・・

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鶏料理

12/04/01 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:1776

『16卓さん唐揚げ入りました』『唐揚げ1丁よろこんで〜』
「まいったな〜また古い油で揚げられちゃうのかなぁ」
「仕方ねぇべ、この店はとにがぐ安いのが若者には評判なんだべ」
「そりゃそうだけど、あ〜ぁビールん中に肉浮いちゃってるし」
『生4つね』『は〜いよろこんで〜』『こっち軟骨揚げね』

「いいべぇよ回転早ぐて」「いやいや結構眠ってる時間が長いんだ」
「そ・・・

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新宿夢想物語

12/02/23 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:2357

 灰色の雲が高層ビルにかかり、そこから細かい雨が風に煽られて舞っている。 (くそっ) 鈍く瞬く点滅灯に悪態をついて歩き出した。『適正判断の結果本採用は見送りとなりました。 ご苦労様でした。』 仮採用と云う名目でふた月の試用期間を無難にこなした筈だったが、 高層ビルの若僧どもとはノリが違ったらしい。 また仕事を探さなきゃだ。(ハルク・・・)いや今は家電量販店か、横断歩道を駅側へ渡りソイ丼でも食べよう・・・

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