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ゴースト・デート〜太陽フレアの波打ち際まで〜

17/10/09 コメント:2件 クナリ 閲覧数:240

 僕と幼なじみで、同じ高校二年生のカナミが車に轢き逃げされて死んだのは、僕とカナミの家の間にある路地だった。
 車が一台どうにか入れるくらいの幅で、よく車を避けきれない歩行者が轢かれている。
 真冬の冷たい道の上で、カナミは二週間ほどかけて、何度も色んな車に轢かれながらゆっくりと道路になっていった。
 誰も遺体を片付けようとはしなかった。生きているならばともかく、死体を片付けると・・・

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究極の100円デート計画

17/10/09 コメント:2件 葵 ひとみ 閲覧数:203

 会社員のサトシは休日にフラリと用もなく手ぶらで入った100均セリエの中で考えていた。

サトシには付き合って5年目の彼女サトコがいる、同じ会社の社内恋愛だ。
しかしサトシは薄々サトコが恋愛の倦怠期に入っていることに気がついている、
5年も付き合えばほとんどのデートコースは制覇してしまうことが理由の一つだ。
男としてはここで何か捻ったアイデアのデートコースをださないと・・・

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事件はそこでも起きている

17/10/09 コメント:0件 宮下 倖 閲覧数:117

 年季入ってるっすね、と感心したような呆れたような声が大泉の上から降ってきた。
 顔を上げると、横を一度行き過ぎた相葉が二歩ほど戻り大泉のデスクの上を指さしている。その先には、色が抜け、よれよれになったデニムのペンケースがあった。
 サイドについた大きめのタグに「5-1おおいずみたかし」と書いてあるのを目敏く見つけた相葉は大仰にのけ反った。
「まじっすか大泉さん! それ小学生のと・・・

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ラブラブなあたしたち

17/10/09 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:222

 おはよう雄一! 最近お仕事忙しいのかな? なんかすごい疲れた顔してたよ。でも昨日は久しぶりにあたしとの時間を作ってくれてすっごく嬉しかったの。しかも前からあたしが行きたいと思ってたお店だなんて……雄一って超能力者? カルボナーラとっても美味しかったけど、雄一の注文してたピザも食べてみたかったなぁ。
 今日もお仕事の後で会えたら嬉しいな。なんてわがまま言っちゃダメだよね……。今日もお仕事がん・・・

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生活

17/10/09 コメント:6件 鬼風神GO 閲覧数:394

 わたしは夫の財布を開いた。
 悪事を働いているわけではない。ただの日課だ。
 共働きで、夫は繁忙期は終電で帰ってくる日も少なくない。わたしも朝が早いので夫が寝ている間に身支度して出勤する。
 弁当を作ってやる暇もなく、休みの日にネットで見つけたおいしそうな料理を二人で協力して作るぐらいだ。
 五年前の誕生日にプレゼントした、外国で出会った優しいおじさんみたいな名前の、赤や・・・

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For whom is death?

17/10/09 コメント:0件 黒江 うさぎ 閲覧数:105

 町から離れた山道。
 ツタの絡んだガードレール。
 その根本に、花束を添える。
 あの子が好きだった、アザレアの花。
「…あいつが好きだった花か」
「…うん」
「じゃあ被ってねぇな」
 隣に立っていたあいつはフゥーと煙草の煙を吐き、ビニール袋を花束の側に置く。
 中身は、多分マカロン。
 あの子が一番好きだったお菓子。
 私は膝を折り、・・・

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夜の異変

17/10/09 コメント:0件 みーすけ 閲覧数:138

 私は走った。ひたすら走った。
 無駄だとわかっていたが、それでも走らずにはいられなかった。

 小一時間前、私は一人で夜の街路を歩いていた。仕事先からの帰り道ではなかったし、散歩に出ていたわけでもない。これには理由があるのだが、それは後で述べる。
 とにかく、私が歩いていると、ある事件が起こった。それは奇っ怪な事件であった。
 先立っていうと、まず、被害者はいない。・・・

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くだらない大事件

17/10/09 コメント:0件 夏野夕暮 閲覧数:129

 入社して六年、経理マンとして生きてきた僕だったが、あろうことか営業部門へ異動を命じられた。赤字が続く我が社にとって、営業力を高めることは急務だったそうだ。
 けれど、今さら営業だなんてまったく出来る自信が無い。入社一年目に軽く営業の仕事は教わったものの、あまりにも仕事が出来なかったがために経理に回してもらったくらいなんだ。営業の向いてなさは自分がよく知っている。
 しかし、無情にも異・・・

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C Police incident report No.1394

17/10/08 コメント:0件 みや 閲覧数:153

私がCポリスに配属されてから一年が経ったが、こんなに残忍な殺害現場は久しぶりだった。住宅街の道路に無造作に転がっている遺体は水責めにされていて、鈍器で何度も強打され内臓が飛び出していた。遺体を確認した私は掛けられていたブルーシートをもう一度掛け直した。

先に駆けつけていた犯行現場近くの派出所の警察官が私に近寄って来た。
「お疲れ様です。通報者は遺体発見現場の道路の目の前の家の隣・・・

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いつか忘れられてゆく運命だとしても

17/10/08 コメント:11件 そらの珊瑚 閲覧数:558

 古いコンクリートの壁はあちこちがひび割れて、中でも二階と三階の間の踊り場の壁に出来た亀裂はとりわけ深く長く、途中で三つの筋に分かれている。それを眺めるたびいつも川みたいだと思う。階段を昇ってきて、座って乱れた息を整えながら、赤ん坊だった娘と私と夫が、文字通り川の字になって寝ていた頃を思い出す。娘の世話に夜も昼もなく明け暮れていた頃、私の願いは思う存分眠りたいという事だけだった。あの頃の私は、それ・・・

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から揚げがない

17/10/08 コメント:0件 木原式部 閲覧数:193

 今日は春香が待ちに待っていた遠足の日。お昼になって春香がお弁当箱を開いた時、その「事件」は起きた。
(から揚げがない!)
 春香がお弁当箱を開けると、弁当箱の右上の部分に何も入っていない。そして、お弁当の中をいくら見てもから揚げがなかった。
 春香はから揚げが大好物だ。一週間前から母親に「お弁当にはから揚げを入れて!」と言ってある。だから、母親がから揚げを入れ忘れることはないだ・・・

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教科書の家出

17/10/08 コメント:0件 鈴木 案菜 閲覧数:156

彼女の国語教科書がなくなったことに気がついたのは、放課後だった。教科書は自分のカバンや机には見当たらなかった。彼女はひどく焦った。部活の先生には事情を説明し、教科書探しに精を出した。
教室のロッカーや教卓、掃除用具入れ、トイレ、ゴミ箱など思い当たるところを探したが皆無であった。日は暮れてきて、部活をしていた生徒たちが帰宅の準備を始めていた。
彼女は事の顛末を国語教師に話し、教科書が見つ・・・

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嗚呼、愛しのアホどもよ

17/10/08 コメント:0件 ヒカゲヒナタ 閲覧数:153



それは突如としてもたらされた

「おい、聞いたか。来年から女子のスカート丈が長なるんやって」

思いも寄らぬ情報に、校内の男子達は驚愕した。この学校は近隣の学校と比べてもかなりスカート丈は長い方なのでそんな事は起こり得ないと誰もが思っていた。というよりもスカート丈が長くなるなんて発想自体が存在しなかった

「大事件やないか!!」

勝・・・

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救済者のしるし

17/10/08 コメント:0件 牧虎 閲覧数:195

湿りきった空気をかき分け、201X年、9月某日の午後3時、僕は寮に戻ってきた。
モスクワ南郊では、朝から小雨が続いていた。
晴れ間のない灰色の空がロシア特有の巨大団地の重圧感を増し、日本より数か月早い冷えとともに僕を辟易させていた。
点検不良の鈍いエレベーターに焦らされ、やっと寮の最上階にある自分の部屋に着いた。
ベッドと机と椅子が二つずつ、そして大きい棚が一つしつらえられ・・・

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歴史書に、僕たちの悲鳴は残らない

17/10/08 コメント:0件 冬垣ひなた 閲覧数:232

『あなたの秘密を知っています』
 郵便受けの手紙が告げた脅迫は、僕の17年に至る波乱の人生をさらに揺さぶるのに十分だった。


 革命により王制が崩壊し、富は市民に流れた。正確に言えばごく一部の市民に。十数年が経ち、いびつに成長した街には無数の工場が汚水と黒煙を流す。
 そんな俗世とは無縁に、白亜の館が佇む姿は異様だった。富の象徴たるこの市庁舎は、美しさとは裏腹に、今・・・

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一億総出歯亀社会

17/10/07 コメント:0件 本宮晃樹 閲覧数:161

「おい根岸」俺はデスクにふんぞり返った。「度肝を抜くようなネタをすっぱ抜いてきたんだろうな」
 やつは比喩的な意味でなく、実際に縮んだように見えた。首をすくめて、「あのう、それが実はさっぱりでして」
 盛大なため息をつきつつ、「俺たちの雑誌は――?」
「クソであります!」しゃちこばって敬礼した。ばかみたいに見えるだろうが、これがうちの合言葉なのだ。ゴシップ専門の零細雑誌社なんてこ・・・

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痣を持つ子供達

17/10/07 コメント:0件  浅縹ろゐか 閲覧数:302

 或る日、世界中で痣を持った赤ん坊が生まれるようになった。原因は、不明。痣の位置は様々であるが、命に別状は無い。母体も赤ん坊も健康そのものである。ただ、生まれつきの痣があるということ以外は。痣を持った赤ん坊が生まれたのはたった1年だけで、その後は生まれることが無かった。

 「如何です? 進捗の程は」
 そう訊ねてきたのは、上司であるタニウラ女史である。女性と男性が平等に働く様に・・・

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ラスト・チャンス

17/10/07 コメント:2件 セレビシエ 閲覧数:385

「これ、落としませんでしたか?」
圭一が声のする方に振り向くと若い女がいた。髪は短く黒髪で少年っぽい感じだなと圭一は思った。手には赤い財布を持っていた。安物そうだった。
「あ、違いますよ。僕のじゃないです」
圭一は少しだけ笑ってそう言うと、また元の方向に振り向き直した。女はそうですかと笑っただけだった。圭一は少しだけ、財布を自分のものだと偽って、中に入っているお金を盗んでやろうか・・・

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すっぽんと最後の事件

17/10/07 コメント:0件 藤光 閲覧数:137

 A区の路上で発生した通り魔殺人事件の捜査は行き詰っていた。
 現状を打開するために、捜査本部の置かれたA警察署を訪ねると受付で出迎えてくれたのは小柄で半ば白髪となった男性警官だった。古い顔なじみに私が「榊さん、しばらくでした」と頭を下げると、警官は「本庁の捜査一課長にそんな挨拶をされたんじゃ居心地悪いや。よしてくれよ」と恐縮した様子で肩をすくめた。
 私の知っている榊さんは、刑事一・・・

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おおかみかあさん

17/10/07 コメント:0件 秋 ひのこ 閲覧数:163

 大事件、大事件よー。電話の向こうで録音された母の声が跳ねる。
 だいじけんよ、は母の口癖だ。雪が降っても大事件、スーパーで大根が1本50円でも大事件。子供の頃から20年以上聞かされ続け、それが大事だったためしは1度もない。
 ヒロミは二日酔いの頭を抱え、留守電を消した。頼むから用件を言ってくれ、と苛々する。
 e-mailを確認すると、先日応募した会社の不採用通知が届いていた。・・・

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灼け落ちた星で

17/10/06 コメント:0件 ドーンヒル 閲覧数:166

 命を終えた星のように冷めた社会で好まれたのは、数少ないエリートが叫ぶ正義ではなく、宇宙の理に習った乱雑と混沌だった。奥底で燃える感情を爆発させ、犯罪に手を染める人は増える一方だったが、被害者を除いて騒ぎ立てるのは、野次馬か、灼け落ちた正義にしがみ付くジャーナリストぐらいだった。
 司法官憲としてのキャリアに終止符を打つ日がやってきた。朝刊の事件スクープに目を通すと、流行りの誘拐ネタが取り上・・・

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罪人の独り言

17/10/05 コメント:0件 ジェームズボンバークライシス 閲覧数:166

俺の罪ってなんだろうなぁ、もしかしたら生まれたことかも知れねぇぜ。

俺は3時間ほど前に5人ほど殺した。
どいつもこいつも、偽善者ズラした詐欺師共だ。正義のヒーローになりたいと強く願った俺は正義のヒーローの面を被った犯罪者となった。
人の善意を利用して自分だけが金持ちになろうって奴は、死ぬべきだと思ったし、だからこそ、こんなことをしたんだよ。
そうとも、勿論制裁は俺の・・・

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死神の村

17/10/04 コメント:0件 そうめん 閲覧数:153

三年前、二人の少女が日本戦争を終わらせた。
決して表に出ない戦争だ。

そして時は三年後、日本は悪い方向へ足が向かっていた。

そんな事とは関係ないとばかりに少女は歩く。

パーカーにYシャツ、ネクタイ、黒いスカートの少女だ。

そしてもう一つ、背中に筒状の物を背負っている。

少女は旅をしている最中だ。

今まで色々な・・・

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財布の中には玉ちゃん

17/10/04 コメント:2件 笹岡 拓也 閲覧数:518

俺の財布の中には玉ちゃんがいる。玉ちゃんと出会ったのは半年ほど前だった。コンビニでお釣りを受け取った時にたまたま出会ったのが玉ちゃんだ。
玉ちゃんは見た目はそこらの十円玉と変わらない。しかし玉ちゃんには俺にしか聴こえない言葉を持っている。
はじめのうちは玉ちゃんが財布の中から話しかけてくることに嫌悪感を抱いていた。いちいち話しかけてくる玉ちゃんを手放そうとした時もあった。しかし財布の中・・・

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最大多数の最大幸福

17/10/03 コメント:0件 柘榴 閲覧数:172

 僕の小学校時代、クラスでは日常的に事件が起こっていた。
 いじめだ。閉鎖的な教室の中でいじめという事件が黙認され、実行され続けていた。
 いじめられていたのは1人の女子生徒だった。
 彼女は鶴見さんという名前で親からの虐待を受けており、毎日痣だらけで登校するような生徒で悪い意味で目立っていたと思う。
 彼女のその弱りきった姿を見た誰かが追い打ちをかけるようにいじめを始めた・・・

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小さな温度でも、この瞬間のために生きてきた僕だと思える

17/10/03 コメント:0件 クナリ 閲覧数:285

「お疲れ、スロウハンド。昨日の稼ぎは?」
 同じ高校一年生のクシダが、僕をふざけたあだ名で呼ぶ。
 学校の裏庭はただでさえ薄暗くて気分が悪い。
 僕は制服のポケットから札束を取り出した。ほとんど千円札だが、三万円近くはある。
「財布は律義に返してんだな」
 クシダはゲッゲッと笑う。
「クシダ、僕はもうやめるぞ」
「いいぜ。でも俺は小遣いがなくなったら暴れる・・・

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残り湯

17/10/03 コメント:0件 kina 閲覧数:327

 一人暮らしを始めて半年、節約のつもりで頼子は翌日追い炊きで済むように、洗浄剤を湯の中に落とした。実家では毎日湯を変えていたので、初めての経験である。入浴剤ほどの迫力はないが、小さな錠剤からぷくぷくと無数のあぶくが湧き出てくるのを面白がって眺めていた。しゃがんでバスタブの縁に顎を乗せ、空気ポンプに集く金魚のような心地でいると、塩素の臭気をわずかに感じた。けれどいやらしさを抱くどころか、なぜか懐かし・・・

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じけんのかみさま

17/10/03 コメント:2件 秋 ひのこ 閲覧数:289

 ビルとビルに挟まれた小さな神社の前でスギノは足を止める。
 赤い鳥居に続く参道は短く、本殿も小ぶり。名所でも何でもない、どこにでもあるまちの神社に見えた。
 上司のヤベからこの神社の話を聞いたのは、昨夜のことだ。国内大手のA新聞社社会部でスクープを夢見る新米記者スギノは、日々の雑務と叱責で早くも心折れそうになっていた。
 そこへ記者歴20年のヤベが「事件の神様って知ってるか」と・・・

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悲劇のヒロイン

17/10/02 コメント:0件 柘榴 閲覧数:179

 5年前、僕の幼馴染が誘拐された。公園で、僕の目の前で。
 捜査は難航し、今でも彼女は見つかっていない。
 彼女は僕の目の前で男に連れ去られた。責任を感じた僕はショックでしばらくは食事も出来ず、外にも出れなかったが、5年という歳月が僕の心を癒した。
 彼女には悪いと思うが、高校生らしく友達も作り、部活に打ち込み、そして彼女もできた。
 けれど何人違う女の子と付き合っても、幼・・・

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ドラマチックな恋愛

17/10/02 コメント:0件 和倉幸配 閲覧数:258

 彼と付き合い始めて、もうすぐ六年になる。

 今でも毎週、休みの日にはデートをしている。でもそれは、朝起きたら顔を洗うのと同じで、もはや習慣みたいなものだ。
 付き合い始めた頃は、前の日からワクワクして一晩中洋服選びをしていたが、最近ではそんなこともすっかりなくなっていた。

 いわゆる倦怠期というやつだろう。
 大学時代に交際がスタートして、二人とももう二十・・・

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血肉とサイリウム

17/10/02 コメント:0件 柘榴 閲覧数:207

 残虐な事件が起こった。落ち目のアイドルの頭部に人気グラビアアイドルの胴体、更に人気モデルの手足を接合した死体を1人の男が造り上げた。
 俺は刑事になぜそんな事をしたのかと嫌というほど問い詰められた。
 答えはたった1つ、俺が最期に彼女を輝かせるための「プロデュース」するためだ。
 その過程を、犯人でありプロデューサーの俺が説明しよう。


 アイドルプロデュー・・・

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虫の羽

17/10/02 コメント:0件 陽川 文実 閲覧数:179

ある日、財布を開いたら虫の羽が出て来た。
大きな羽だった。蝉の羽だろうか。
虫は苦手ではないので、冷静に捨てた。

次の日、また財布から虫の羽が出て来た。
この前と同じ羽だったが、色が少し茶色かった。
道端に転がっている蝉にやつあたりした。

また財布から羽が出て来た。
一回目とまるっきり同じ羽だ。緑がかっていて、透けている。
さすがに気・・・

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金をくれ

17/10/01 コメント:2件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:232

 じつは私も、犠牲者の一人だった。
 ことの次第は深夜のコンビニ、私がアルコール飲料をさがしていたとき、レジのほうから、「金をくれ」という、ざらついた男の声がきこえた。
 コンビニ強盗。国道沿いの、ちかくには交番もあって、まさかこんなところでと、私は緊張のおももちで棚越しにレジのほうをうかがった。
 レジ内にはひょろりとした体つきの店員が、恐怖のためかその場に硬直したように立って・・・

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白い森に彷徨う

17/10/01 コメント:0件 待井小雨 閲覧数:317

 白い森にいる。私はここから出られない。
 私は死んだばかりで疲れてしまって何もしたくはない。なのに私の手は一本の腕を掴んでいて、それを離そうとはしないのだ。
 腕の先に胴体はない。
 だけど腕の主が私を責めているのは感じ取れる。声がするから。
(――お前のせいでこんな姿になってしまった)
 その声は真上の樹の枝から降りてくる。……ああ、そこから見ているのか。そこから・・・

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クズ遺伝子の復讐は海を渡って

17/09/30 コメント:0件 本宮晃樹 閲覧数:180

「喜べ、案の定ジャンクDNAだったよ」壮年のジーンスペクターは無造作に書類を投げてよこした。「ほれこの通り」
 早速内容を検める。染色体を模したマスコットが二十三対(つまり四十六本)ずらりと並んでいる。凡例ではグレードTを意味する満面の笑みからできれば避けたいグレードXの不満顔までバラエティに富んでいる(俺の調査結果は不満顔ばかりなのが気になるが)。
「この益体もない遺伝子評価表の見か・・・

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穴空き財布問答

17/09/30 コメント:4件 伊川 佑介 閲覧数:306

 人生に悩んで途方に暮れる日々の中、知人の紹介で出会ったのがマドモワゼル・亀子先生である。彼(彼女)は暗い森の中でさまよう子羊を救済する活動をされている。毎日自殺ばかり考えていた、八方塞がりの人生。先生はそこから僕を救い出してくれた恩人である。唯一の問題は、財布であった。

「あのね、荻野くん。お金っていうのはね、束縛すればするほど離れて行っちゃうものなの。いつでも出てっていいよって広・・・

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セブンティーンズバスジャック

17/09/28 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:319

 右目の定期検診を終えて、寂しがりな思い出をひきずりながら病院内の喫茶店に入った。
「見えたところでそう言ってね」 
 ばあちゃんちの怖い日本人形と同じ黒髪をした女医先生が微笑んで言った。口紅の赤は落下した椿を想起させる。なんてね。当時幼稚園の僕の代わりに、映画的情景描写ってやつ。
「新幹線座りしてね」
 回転する丸椅子に正座で座ることを、なんで新幹線座りなんて言ったんだろ・・・

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噤みの群れ

17/09/28 コメント:4件 野々小花 閲覧数:381

 あの事件が起ったのは、実咲が小学一年生の頃だった。近所の公園で、バラバラになった女性の遺体が見つかった。二週間後に廃材置き場で、その翌週にはスーパーの駐車場で、同じくバラバラになった遺体が発見された。逮捕されたのは、宇野清和という若い男だった。
 宇野は取り調べで罪を自供した。すでに、裁判で死刑が確定している。あの男が生きてこの町に戻ってくることはないとわかっている。それでもまだ、この町の・・・

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形見

17/09/28 コメント:0件 くまなか 閲覧数:289

 この財布もケイコが幼い頃には、うつくしい朝焼けの色をしていた。今は余り触れない、フリップの下のみが薄いあけびいろをして、上下には長く使われてすり減った牛革の茶色が染み出ている。祖母の遺品で、気づけばケイコの手元にあった。良い物を長く使うをモットーにした祖母が最も愛用した一点ものだけに、母も処分しきれなかったのだろう。ケイコはそれを家庭の一時的な札入れにした。一人娘ももう大学生になり、学費諸々で十・・・

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稲刈り

17/09/28 コメント:0件 鹿田守拙 閲覧数:174

先日、こういう夢を見ました。
強い日差しの下で、父と母と叔父と叔母と、全員総掛かりで田んぼの稲刈りをしました。当然のことながら、私も手伝いをさせられました。鎌で稲を刈りました。そして、刈った稲を父のそばに運びました。稲を扱った時、父の腕に浮いた筋がくっきりと見えました。稲の葉が刺さって、体が痒くて我慢できませんでしたが、夜になる前に、稲を全部収穫するために、黙々と稲をかりました。その時、私は・・・

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月が見ている

17/09/28 コメント:0件 向本果乃子 閲覧数:268

深夜、暗い部屋にスマホの画面が光る。見ているのは自殺志願者が集うサイト。苦しまない方法を教えてくださいとか、電車に飛び込んだら後始末ですごいお金が親に請求されるって本当ですかとか毎日のように書きこまれる。この中でほんとに死んじゃう人はどれくらい?ここに書いて気が晴れる人がほとんどなんだろうな。死にたいくらい辛いってことを誰かに言って、できれば心配してほしい。そんな寂しい人が溢れてる。でも、それも仕・・・

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私は財布

17/09/27 コメント:2件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:371

 よくまあこんなしょぼい店があったものだと思えるような、それはひどくみすぼらしい食堂だった。汚れて黒ずんだテーブル四席にそれぞれ一人づつ着いて、黙々とたべている客たちの姿はそろいもそろってこの店にあわせたようにみすぼらしく、そういう私もまた、労働で疲弊したからだでかつがつ夕食をほおばっていた。
「ごちそうさん」
 先客の男が、厨房内の親父に勘定をもとめた。
「五百円です」
・・・

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財布の中身

17/09/26 コメント:0件 笹峰霧子 閲覧数:206

小物を買うのが好きでその一つに財布も入っている。
今持っている財布を眺めているとそれを購入した場所や当時の思い出がついてくる。
かなり使って傷跡のあるものやまだ真新しいのもある。

県庁のある松山市に行った時ちりめんの店に立ち寄ったことがある。
縮緬で作られた小物が色々あったが、その中から三つ折りの財布を買った。
縮緬の柄はすべてと言って良いほど和柄で華やかな色・・・

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彼の告白

17/09/26 コメント:0件 笹岡 拓也 閲覧数:290

「俺に近づかない方がいいよ。俺は原沢団地殺人事件の犯人の息子だから」
彼は私に告白した。今まで多くのことを語ってこなかった彼の言葉は想像以上に重かった。
原沢団地殺人事件は私が産まれてすぐに起きた事件。事件発生から十六年が経った今もなおニュースで時々特集が組まれるほどの大きな事件だった。
「え。でもまだ犯人って捕まって...」
この事件はまだ犯人が捕まっていない。ここまで大・・・

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すりとった財布

17/09/26 コメント:2件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:371

 男はあまりにも無防備だった。そのためスリ健こと久保健介は、狙いはさだめたもののいっとき躊躇した。
 混雑する車内で、つり革にぶらさがるひとりの中年男の胸ポケットにさしこまれた長財布。駅からのりこむさい健介は、はだけた上着のすきまにのぞくそれを、しっかり目に焼き付けた。ダークブラウンの、札がつまっていそうな上物だった。
 男は、何か考え事でもあるのか、乗車してからというものどこか上の空・・・

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こんなはずじゃなかった!

17/09/26 コメント:0件 ちほ 閲覧数:169

 リンブルグ村のパブ『ロビン』の店主・ピートは、家庭用のマッチが足りないことに気がついた。そこで思いついたのが、一人息子のウォルター(5歳)の『はじめてのおつかい』である。「大根1本抜いたら、1円。ほうれん草は、2円」と野菜の引っこ抜きのお手伝いはしたことはあるが、一人で買い物はしたことがない。どこまで売り買いを理解しているものかも確かめたいので、ピートの実弟カレルと妻アメリーが営んでいる雑貨屋『・・・

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鯉昇る夢に賭けて〜ヒロシマの約束〜

17/09/25 コメント:2件 冬垣ひなた 閲覧数:281

 明日を生きるのも困難だった頃、数少ない国民の娯楽は野球だった。
 道具をこさえて、投げて、打って、走って。
 自由への渇望はスポーツに変わり、人々はこぞってプロ野球の選手に夢を託した。
 地面に目を向ければ焼け野原。
 高く打ちあがったボールの吸い込まれる空の青さに希望をつなぎ、誰もが上を向いて生きる。そんな時代に、復興の象徴として広島カープが産声を上げたのは1950年(・・・

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明るい洞穴

17/09/25 コメント:0件 葉山恵一 閲覧数:168

 娘がくしゃみをすると鼻水と一緒に、舐めていた飴玉が口から飛び出してアスファルトの上に転がった。妻が慌てて鞄からティッシュを取り出し鼻にあてがうと娘は顔を顰めた。
「あめ落ちた」
「いいから、自分で鼻かんで」
 僕は二人のやり取りを視界の端に置きながら飴玉を眺めていた。唾液で溶けたその表面は円形を保ったままいかにも甘ったるさを強調するような黄色で覆われていた。僕は娘に目線を戻し声・・・

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赤とんぼコンツェルトシュテュック

17/09/25 コメント:2件 沓屋南実 閲覧数:220

「耕筰、謝れよ、向こうに行ったら、ロベルト・シューマンに」。
 これが奴との今生の別れの言葉だった。
 いい年をして、したたかに酔っていた。俺は愛人と別れたばかりで投げやりになっていたのか、うっかりと「おう」と応えた。
 奴は「約束だぞ」と言い、嬉しそうな顔をして高価なブランデーのボトルを俺の名前で入れてくれた。
 彼が謝れと言っているのは、巷で騒がれている「赤とんぼ」のこ・・・

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ハリネズミの恩返し

17/09/25 コメント:3件 そらの珊瑚 閲覧数:278

 「決して中をのぞかないでください」

 そう云って彼女はトイレに入ってドアを閉めた。しばらくすると部屋の中から音が聴こえてきた。
 ――トントンカラリ、トンカラリ、トントンカラリ、トンカラリ……。
 こ、この音はもしや機織りの音では? そしてこの展開。ものすごい既視感。日本人なら誰でも知っているだろう、あの有名なお伽噺の『鶴の恩返し』そのものではないか!

 ・・・

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