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育児日記

17/08/12 コメント:0件 宮下 倖 閲覧数:138

「どうした晴美」
 麦茶のコップを持ったまま玄関先に出てきた父は、眠っている優作を抱いた私を見て目を丸くした。
 夏の午後、昼寝をする優作の寝顔を見ていたら息をするのも苦しいほどの不安と焦燥に襲われた。いてもたってもいられなくなり、優作を抱いて近所に住む父を訪ねてきたのだ。
「ねえお父ちゃん、私って育てやすい子だった?」
 絞るように出した声に父は片目を細くし「上がれ。麦茶・・・

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朝のメッセージ

17/08/12 コメント:0件 木原式部 閲覧数:189

 ――今日は入学式ですね、楽しい学校生活が待っていますよ!
 黒板に白いチョークで書かれた文字が、僕の目に飛び込んできた。
 中学校の入学式に向かっていた僕は、何気なく通り道にあった洋食屋の「今日のメニュー」と書かれた黒板に目をやり、メニューの横に書いてあるメッセージを見つけた。
 僕は今から入学する私立の中学校まで、電車を乗り継いで通うことになっている。なぜそんなに遠い中学校へ・・・

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死について

17/08/12 コメント:0件 yoshiki 閲覧数:172

 似非小説… あるいは小咄? というものが書けなくなったのでエッセイ…… いやいやそんなかっこいいものじゃないけれど、最近思うこと、昔から思うことを正直に文にしていこうかな… なんて思う次第です。

 私はもう還暦を過ぎました。それなので死について重くならない程度に書いてみたいと思います。

 では死についての名言(セリフ)を三つほど紹介しながら私なりの解釈を書いてみたいと・・・

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17/08/12 コメント:0件 セレビシエ 閲覧数:245

カツ、カツカツ、カツと小刻みに、リズム良く、チョークが黒板に当たる音がする。
先生は張り切って大きな声をだしているが、回りを見渡すとあくびをしていたり机に突っ伏していたりだった。
私は一番後ろの席からそれを眺めていた。
カツカツカツ、カツカツ。
カツカツ。カツカツカツカツ。
この心地良い音と先生の大きな声が混ざりあって睡魔が襲ってくる。
私はこの睡魔に打ち勝とう・・・

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ネズミの育児

17/08/11 コメント:0件 セレビシエ 閲覧数:288

在るところにネズミの子どもとそのお母さんがいました。
ネズミのお母さんは子どもをネズミの塾に通わせました。けれども子どもは1+1もまるで理解できないので、お母さんは苛立ちました。
さて、ある日ネズミ塾の先生がその子どもに向かい言いました。
「君はいい加減簡単なことは出来るようになりなさい。やる気はあるのかね」
子どものネズミは困ってしまってチュウチュウと泣き出しました。そ・・・

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ある街の少年

17/08/11 コメント:0件 セレビシエ 閲覧数:248

ある街に小学生になったばかりの背の小さい少年がいました。少年には、毎日家事に追われてマラソン大会をしているお母さんと、毎日会社の偉い人にペコペコペコペコと頭を下げてお金を貰っているお父さんがいました。
つまり普通の家庭です。
お母さんもお父さんも、他に誰もいないくらい普通の名前でした。
家には真っ白い猫もいました。少年が公園で捨てられていた彼女を拾ってきたのです。
こ・・・

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からうそ ─ 空嘘

17/08/11 コメント:0件 銀座愁流 閲覧数:163

 粉の匂いのするおしろいを塗って眉を引いて紅をさす。
 襖から顔を覗かせた僕の姿は鏡台に座る姉からは見えているはずだ。それでも表情を崩すことなく、黙々と化粧を施していく、化けていく。体が折れてしまいそうに細い事は開かれた後襟の首でわかる。だけど本当はねぇねが家の中で一番強い事を僕は知っていた。時折背後から聞こえてくる父様の呻き声。

 着物の肩に羽織った布を取るのは化粧が終わった・・・

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ブラックホール

17/08/10 コメント:0件 セレビシエ 閲覧数:553

「黒板ってずうっと見ていると吸い込まれそう」
君がそう言うから僕はじっとそれを見つめてみたが、さっぱりそんな感じはしなかった。
放課後の誰もいない教室。少し開いた窓の隙間から冷たい風が入ってきている。
君はなんだかうっとりした様子でそれを見ていた。
僕はドキドキしてしまって、何を言うべきかわからなくなってしまった。
「ブラックホール」
君が呟いた。
「黒・・・

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17/08/10 コメント:0件 セレビシエ 閲覧数:203

息子を産んで、三年たったある日、お父さんが死んでしまった。会社から帰る途中、交通事故で。こんなことって、本当に起こるなんて思わない。当時の私は寂しくて泣いた。これから先の将来が恐ろしくて泣いた。ずっとずっと泣いていた。はじめ一週間はまともに食事も出来なかった。
けれども、ちょうど事故から一週間後、息子に食事を与えているときだった。私はいつもみたいに元気の無さそうに息子とご飯を食べていた。<・・・

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いつか二つ転がる

17/08/10 コメント:4件 待井小雨 閲覧数:427

 あなた方は失敗したのです。それを認めてどうか傲慢な姉をこの家から追い出して下さい。

「お姉ちゃんはいつになったら働くの?」
 ――と、何度か繰り返してきた問いを両親にぶつける。二人はいつもと同じ答えを返した。
「あの子にもペースがあるから」
「もう何年も働いていないよね」
 詰め寄っても父母は困ったように微笑むばかり。
 歳の離れた姉妹だった。私が中・・・

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王国に花火が打ち上がり、彼女の願いは……

17/08/10 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:187

 リカとナナコが友達の範疇を超えて仲が良いのは恐らくクラス中が知っていた。なにを言われても二人共否定しないので、その噂は夏休みが始まる前には学校の生徒が知るところとなっていた。だから蝉の声がうるさい夏期講習の教室で背中に丸めた紙を投げつけられた時も、どうせいつもの嫌がらせだろうとナナコは思っていた。
無視していると次に消しゴムの欠片が背中に当たり、あまりにしつこいので振り返ると二つ後・・・

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バナナミルク

17/08/10 コメント:0件 キュー 閲覧数:149

 たとえばあの時。

 まともじゃなかった僕は。
 来る日も来る日も閉塞した自室にこもり、締め切った遮光性のカーテンから一すじの光が差し込むこともない澱んだ暗がりの中、誰とも目を合わさず口もきかず心を許さず。ネットの箱の中でのみ通用する言語すら疎ましく、白々とした死体画像を延々と映し出すスクリーンの下でまばたきすることすら億劫だった。

 のびた髪も伸びた爪もひきちぎ・・・

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ちっちゃな空

17/08/10 コメント:0件 こぐまじゅんこ 閲覧数:192

 ここは、わくわく森。
 木の切り株の上に、みどりいろの板と、白いぼうきれと、ふかふかした四角いものがおいてありました。
 くまさんが、やってきました。
「なんだろう?」
 みどりいろの板をたたいてみます。
 コツコツ音がしただけです。
 白いぼうきれをなめてみました。
 何の味もしません。
 四角いものをおしてみます。
 ゆびが、ぐーっとうも・・・

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グランマの心得

17/08/10 コメント:0件 秋 ひのこ 閲覧数:143

 血管の浮き出た骨ばった手がさっと台拭きを掴み、小さな口とその周りをゴシ、と音が聞こえるような手つきで拭った。
 それ台拭きです、と言う間もなかった。
「はー、きれいきれいね」
 乾いた唇に口紅だけ塗りたくった顔が、くしゃりと微笑む。
 
 夫が3ヶ月の海外出張に出たことで、夫の母フジエが「産後育児の助っ人に」と40年前のおんぶ紐や玩具を抱えて現れたのは、3週間前のこ・・・

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17/08/10 コメント:0件 千野 閲覧数:129

 あの塔が完成間近で見捨てられてからというもの、人間の舌にはすっかり強固な呪いがかけられてしまっている。それは世代を超えて繰り返され、より複雑に僕たちの身体に編み込まれ、もう誰も、かつての人々がそうしていたようには想いを誰かに伝えられない。かつての人々、というのはつまり塔の建設を試みる前に生まれ死んでいった人々のことだ。それから人類は、ひとつの魔法を失った。

 昔は僕たちも、言葉にな・・・

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胎の中には化物が住んでいる

17/08/10 コメント:1件 黄鱗きいろ 閲覧数:241

「胎の中には化物が住んでいるの」
 そう言って膨らんだ腹を撫でてみせる彼女を、僕は奇妙なものを見る目でじっと見つめた。彼女の腹は大きく膨れてしまっていて、その中に新たな命が宿っていることを示している。
「化物かい?」
「そうよ、この子は化物なの」
 彼女は繰り返し自分の腹を撫でた。僕もベッドから上体を起こす彼女に手を伸ばす。彼女は僕の手を掴まえて、腹へと触れさせた。
・・・

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フィリピン哀歌

17/08/09 コメント:2件 ぴっぴ 閲覧数:206

 家族でフィリピンのセブ島に旅行に行った時のことだ。6才の娘の手を引いて、夕方の市内を散策していたとき、娘とはぐれてしまい一晩中マンゴースクエアを探しまわったことがあった。今となってはいい思い出なのだが、当時は気が狂う直前まで追いつめられた。
 マンゴースクエアとはコロンと並ぶセブ島の繁華街である。
 道端に娘と同じ年頃の女の子と思える物乞いを見かけた。哀れと思い数ペソの小銭をかごに入・・・

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黒板の本当の意味

17/08/09 コメント:0件 ふわふわひかる 閲覧数:171

白いキャンバスを真っ黒な絵の具で塗りつぶしたような夜。
先程まで多くの生徒が日常を過ごしていた教室は夜になるとそんな作ったような黒色になる。
俺は生徒が1人も残っていない暗い教室で1人立ち尽くしている。
まるで暗闇の海面を漂うカモメのようだ。
俺は十数年も前に先生が言った言葉を思い出していた。


「黒板ってね、虚空板っていう戦前使っていた言葉が変化したも・・・

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特等席

17/08/09 コメント:2件 藍璃 閲覧数:209



進学校の黒板が、毎日、どんなに酷い目に遭っているのか
あなたは知っていますか?


筆圧の強い教師に、顔いっぱいに文字を書かれ、乱暴に消される。
50分の間に何度も何度も書いては消され、毎日毎日その繰り返し。
あまりの筆圧の強さに、
チョークがパキンと折れてしまうことだって、よくあるのですよ。
教師の唾はシャワーのように飛んで来て、<・・・

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この雰囲気を壊さないために

17/08/08 コメント:1件 笹岡 拓也 閲覧数:408

私は旭ヶ丘中学校の問題児ばかり集まる3年2組の担任をしている。どうして私はこのクラスの担任を任せられたのか?きっと私を好まない先生の嫌がらせと考えている。
しかし問題児と言っても所詮は中学生。受験を控えて精神バランスが整わないことから、不安になり悪さをしてしまうような子たちだ。そんな不安定な感情を抱く年頃だから仕方がない。そう私は解釈する。
私は3年2組の担任になってから二ヶ月、意外に・・・

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二人が歩く前にしてのけたこと

17/08/08 コメント:2件 田中あらら 閲覧数:159

 優子は二卵性の双子を産んだ。男の子だった。

 息子たちが生まれてから、優子は常に寝不足だった。夜中だろうと明け方だろうと泣き声で起こされた。同時ならまだいいが、そうはいかない。一人の授乳を済ませてうとうとしていると、もう一人が泣き始める。いつもどちらかが起きているような日常の中、2時間続けて眠りたい…それが一番の願いだった。ちなみにその願いがかなったのは3歳になってからだ。
・・・

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飛行機雲

17/08/08 コメント:1件  浅縹ろゐか 閲覧数:345

 真っ直ぐに引かれた横線は、飛行機雲のようだった。

 *    *    *

 日直の仕事である学級日誌を書き終えて、ふと黒板を見ると誰がやったのか明らかな悪戯書きが残っていた。この教室には私と彼しかいないからだ。
「黒板、消しておいてよね」
「なあ、一寸見てろよ」
 私の言う事は聞こえていなかったのか、彼は黒板に白く横線を走らせる。これが一体何を意味・・・

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明日からも

17/08/08 コメント:0件 瀧上ルーシー 閲覧数:200

 呼ばれることは呼ばれていたが、卒業式の後の打ち上げには参加しないで適当に時間を潰してから高校に戻ってきた。今日卒業した三年生の教室は全部で五クラスあって、そのすべてを俺は観に行った。学校独自の臭い、それとは別に精神的な部分で感じる雰囲気。今日は特別な日だった。これから俺達は別々の道を歩いて行く。いつもは見るのも嫌だったが、この日だけは黒板を観るのが楽しかった。
 クラスの卒業生全員の似顔絵・・・

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檻の家

17/08/08 コメント:2件 野々小花 閲覧数:188

 朝の五時に、私の一日は始まる。早起きは子供の頃からの習慣だ。二十九歳になった今でも、それは変わらない。夫を起こさないように静かにベッドが降から降りた。隣のベビーベッドでは、もうすぐ二歳になる息子の翔汰が気持ち良さそうに寝息を立てている。
 寝室を出て、洗濯機のスイッチを入れた。洗濯が終わるまでに、洗面台を磨き、風呂掃除をする。玄関、台所、リビングも、順番に掃除していく。家中の床に掃除機をか・・・

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幸せの青い板

17/08/07 コメント:0件 山盛りポテト 閲覧数:149

「ちょっと」
俺は突然背後から話しかけられ、驚き体を仰け反らせた。
「ん・・・どうしたんですか」
この敬語は同級生、いや下級生に対しても同じだ。人との距離感を掴めないため、せめて不快にさせまいと常に敬語を使っていたのだが、どうやら余計に奇妙な人間になってしまい、今さらやめることもできず、ずっとこの調子だった。
そして休み時間中にいつも寝たふりをしていたので、さも今起きたよう・・・

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黒板に

17/08/07 コメント:0件 忍者猫 閲覧数:136

 黒板に向かって、芽衣子はかつかつと書き込む。
「教室でボヤが起きたのは、午後三時。学年末試験が始まっているから、教室にいた人間は居ない筈」
 『ボヤ発生』、『午後3時』、『無人』と書かれた横に、来人が癖のある右肩上がりの字で『採点中の教師』と足した。
「そうでもないよ、他人が居ると集中出来ないとか、字が汚ないのを気にして担任教室で採点やってる先生居るぞ」
 芽衣子は肩を竦・・・

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私の話

17/08/07 コメント:0件 山盛りポテト 閲覧数:146

久しぶりに祖父の住んでいた田舎へ帰った。
高校、大学、就職と生長するにつれ何かと忙しい生活が続くと小さな頃は頻繁にしていた帰省も次第に少なくなっていき、また私もそれを心のどこかで面倒がるようになっていたのだ。
最後に祖父と会ったのは病室だった。ある日突然具合を悪くして救急車で運ばれ、それ以来入院生活を送っていた。
そして退院を待たず息を引き取った。
私を出迎えてくれた祖母は・・・

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黒板の数字たち

17/08/06 コメント:0件 Sage.N 閲覧数:160

 あるところにある、ある学校の、ある教室の黒板に、数字の1が書かれていました。1ばかりではありません。2も3も、4も5も6も、7も8も9も、10まで書かれていたのです。
 その数字たちは、しきりにおしゃべりをしています。数字がしゃべったりするでしょうか? するんです。そこは、まあ、お話ですからね。
「見て、3さん。あの子の貧相な体つき。いまにもポッキリ折れてしまいそうよ」
 いじ・・・

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チョークと先生

17/08/06 コメント:2件  閲覧数:161

予鈴が鳴る。
次々と席を立つ人波に紛れ、千紗子も教室を出た。あまり目立たぬように、しかし出来るだけ早く。先生のいる、生物室へ。千紗子は教科書を抱きしめ、早足で廊下を歩いた。
生物室には既に半数近いクラスメイトが移動していた。人の合間を縫うようにして、左端の一番前の席に着く。黒板が見えにくいだとか、何かと不満が多い席だが、千紗子にとってここは特等席だった。
教科書を置き、セーラー服・・・

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リトル・ジェントル

17/08/06 コメント:0件 斉藤しおん 閲覧数:125

子どもを育てることになった。
大きな子供だ。

私の恋人である中村国春は先日野良猫を助けようとして交通事故に遭った。
そして奇跡的に命を取り留め、その脳内年齢を三十若くして帰ってきた。
記憶喪失というやつだ。
一時的なものだと医者は言う。
いきなりのショックでこうなってしまったと。

彼の体は三十六年生きていた人のものなのに、彼の頭は六歳まで減・・・

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私とお父さん

17/08/06 コメント:0件 木原式部 閲覧数:163

 私は物心ついた時から、お母さんと二人きりで暮らしていた。
 ゴツゴツしたアスファルトの床と小さなプールと前方左右を囲むお堀、そして後ろの小さな扉の向こうにある寝床。これが私の住んでいる世界の全てだった。
 お堀の向こうではたくさんの人間が私たち母子に微笑みかけてくれる。私は世界には私とお母さんと人間、そして食べ物を横取りしに来るカラスしかいないのだろうと思っていた。
 でもある・・・

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体育倉庫の二律背反ブレイクダウン

17/08/05 コメント:3件 クナリ 閲覧数:409

 朽ちかけた黒板に、僕は白いチョークで『奴を殺す』と書いた。
 すると、ひとりでに赤チョークの文字が、僕の文字のすぐ横に現れた。
『殺すな』



 僕の中学の使われなくなった体育倉庫は、古く、へちまに絡み付かれて、その存在を知る生徒も少ない。
 だから僕が放課後に一人で入りるのに、とても都合がよかった。
 同級生のゴツアキ君仮には学校にいる間中い・・・

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見えたり見えなかったりするもの、なーんだ?

17/08/05 コメント:7件 ちほ 閲覧数:253

 僕らは中学3年生で、あと10日もすれば卒業する。期末テストも高校入試も無事に終わり、眠たくなりそうな優しい時間に包まれていた。クラスメートと共にいられる大切な時間を誰もが楽しく過ごしていた。もう授業はない。卒業も近く、飛び飛びに休みが入っている。家でのんびりしてもいいのだが、誰もが友だちとのお喋りを楽しみに登校していた。ここでいう『友だち』は『クラスメート全員』のことだ。46人のクラスメ・・・

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ロードムービーみたいなあたしの絵日記

17/08/05 コメント:3件 むねすけ 閲覧数:419

 夏休みの絵日記に丁度いいわ。
 父さんのスタンドバイミーごっこに引率つかまつろう。
「海外映画と時代劇、父さんとお母さんの娘やなぁ」
 八月の帰省は毎年、母さんの田舎。おばあちゃんが迎えてくれる愛媛県松山市。それにプラス今年は父さんの帰省。
「お母さんは留守番しとくわ、お腹これやもん」
 愛媛のおばあちゃんちは?
「そっちは帰るがね。お腹これでも」
 も・・・

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黒板日記

17/08/05 コメント:3件 文月めぐ 閲覧数:294

 煉瓦造りが特徴のその古めかしい喫茶店は、僕が約十年前から行きつけにしている喫茶店だ。仕事でストレスがたまっていた当時、コーヒーの香りに誘われるようにふらりと立ち寄ってみたのだが、そのコーヒーがなんとも優しい味だった。それ以来、そこのコーヒーが病みつきになってしまったのだ。
 店名はひらがなで「おたべ」と書く。その名前はマスターの田部正樹さんの名前からとっている。
 僕が「おたべ」に通・・・

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育代さん

17/08/04 コメント:7件 霜月秋介 閲覧数:429

 俺は、とんでもない過ちを犯してしまったのかもしれない。このままではいずれ、我が子をアイツに殺されてしまう。

 三ヶ月前、私は妻と離婚した。俺が目玉焼きにマヨネーズをかけて食べていることが気に食わなかったらしい。そこから妻の不満が爆発し、妻は出て行った。息子・スバルが生まれて一年後のことだった。
 これからは俺が一人でスバルを育てていかなくてはならない。しかし仕事と育児の両立は・・・

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性癖ベクトル

17/08/04 コメント:5件 浅月庵 閲覧数:557

 ◇
「舐めて綺麗にしてよ」
 あなたはそう言って、唇を結んで微笑むと、大きな瞳を三日月形に歪ませた。
 その言葉を浴びた途端、私の体に流れる血液が、沸沸と煮えたぎっていくのを感じた。

 ◇
「このグラビア、やばくね」
 同級生の男子Aが雑誌の巻頭ページを開いてみせると、他の生徒に同意を求めた。
「俺はスレンダーな方が良いなぁ」
 男子Bが大・・・

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子どもが夜中に泣いたら

17/08/04 コメント:1件 笹岡 拓也 閲覧数:1196

「俺も一緒に見るよ?」
私はこの言葉にどれほど助けてもらっただろう。子どもが産まれてから、私だけが見なきゃいけないと思っていた。夫に助けを求めないように子育てに励んでいた。産まれてからしばらくは、3時間ごとに授乳をしなきゃいけないものの子育てをしているという実感に浸っていた。しかし子どもの首が座り、寝返りをするようになり、ハイハイをするようになり、いたずらをするようになり、つかまり立ちをする・・・

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再会したい

17/08/03 コメント:2件 ぴっぴ 閲覧数:228

大学のキャンパスの目立つ通りに『将来の夢』を書いて下さい……という黒板が現れた。設置当初は学生たちも冷ややかだったものの、最初に『よし君のお嫁さんになりたい』と口火を切ると、2〜3日後には書く場所すらないほど未来の夢と理想で一杯になった。
「見ろよ! 高橋! 弁護士だってよ! ウチに法科ないのになに考えているんだ?」
この企画を立ち上げた山田が黒板を見て笑った。
「こっちも見て!・・・

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あの花に思いをのせて365日の花言葉

17/08/03 コメント:1件 t-99 閲覧数:254

 
 終業式の朝、いつものように早起きをしました。吐き出す息がもう白くはありません。新聞配達屋さんの運転するバイクが「ブルン・ブルン」と近づいてきます。バイクに追い抜かれないよう、桃花は一飛びで学校に行きました。
 教室には担任の梨花先生がいます。先生は教室の窓を全部開けて、新鮮な空気を取り込んでいました。花瓶の水を替え、教室に花を飾ります。今日は桃花の大好きなマーガレットの花を飾って・・・

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だいじ

17/08/03 コメント:0件 こぐまじゅんこ 閲覧数:170

 ぼく、はると。
 まだまだ、ちっちゃい赤ちゃんだ。
 でも、このあいだ、ふとんの上であしをふんばって、おしりをうかせたら、まえへぐいっとすすめたの。
 おかあさんが、
「うわぁ、すごい!」
って、手をたたいてよろこんでくれた。

 たたみの上でも、ぐいぐいすすめるよ。
 たたみの上に、大きな紙があったから、くしゃくしゃにしたら、かしゃかしゃ音がして・・・

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方針

17/08/03 コメント:0件 秋 ひのこ 閲覧数:159

 その女児は、「世界最後の子供」として生まれた。
 人間の生殖機能が不全になり久しい。もう世界のどこにも、新しい子供は生まれない。
 現在12歳以下の子供は100人余り。この度ようやくその全員を世界中からかき集め、とある島に保護――隔離した。

「地球上で、子供はここにいる者がすべてだ。我々はこの子たちの育て方に重い責任がある。方針を決めなければならない」
 施設長が・・・

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僕らに黒板は似合わない

17/08/03 コメント:1件 j d sh n g y 閲覧数:195

賑やかなダイニング・バーの店内の黒板にはメニューを兼ねたチョーク・アートが描かれている。

僕は、紗良とテーブルで料理が運ばれてくるのを待っていた。海鮮盛りだくさんの石釜ピザと、チーズとバジルのジェノベーゼパスタ。

僕らはチョーク・アートを眺めながら、休憩時間にした他愛のない落書きについて語り合った。ふざけ半分で描いた相合傘、美術部の本気デッサンなど、出身校は違えど黒板と・・・

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認知症予備軍

17/08/02 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:155

「―――ええと、あれ、あれだよ」
「あれだけでは、わかりませんよ、お父さん」
「思い出せないなあ」
 妻の素子は、声をひそめて、
「あなたもお年ですから、ぼちぼち………」
「ぼちぼち、なんだ」
「あ、きこえてたんですか」
「あたりまえだ。わしはまだ、目も耳もちっとももうろくなんかしてないぞ」
「それでももう七十も半ばをすぎ、そろそろ認知症の心配しても・・・

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セメント色の雷鳥

17/08/02 コメント:0件 ケイジロウ 閲覧数:137

「あの、来月から育児休暇をいただきたいのですが」
 燕野花子が申し訳なさそうに上司に申し出た。烏野太郎はパソコンの画面向けられていた黒い目を一瞬燕野に向けて光らせたが、すぐにパソコンの画面に戻した。そして、キーボードをたたき始めた。
「困ったな」
 烏野はそう言ったきりしばらくキーボードをたたき続けた。カタカタなるキーボードの音がいつ途切れるのかわからない。燕野は乾いた喉を唾で湿・・・

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砂浜の黒板

17/08/02 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:173

 僕の学校のすぐ近くには海がある。そこに僕はクラスメイトと一緒に来ていた。
 理由は特にない。彼女とは帰る道が同じ方向だし、一緒に帰る途中、この砂浜でちょっと話をしていくこともよくあることだった。話の内容も、特別なことはない。最近できたカフェのチーズケーキが美味しかったの、と彼女が話せば、昨日のサッカーは凄い試合だった、と僕が話す。その程度の何の変哲もない平凡な会話だ。けれども僕は、こんな時・・・

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黒板に導かれ掴んだ未来

17/08/01 コメント:0件 ちほ 閲覧数:164

僕の記憶に『弟が生まれた夜』が強烈に残っている。
    ◇
<6歳の貴方は、父上様に命じられて狭い一室に軟禁状態にありました。そして誰とも口をきいてはならない、とも命じられていました。マロリー家の長男として生まれたけれど、望まれた命ではなかったからです。母上と愛人との間に生まれた子だったそうです。父上様は、自分にまるで似ていない貴方を憎みました。次に生まれる子が妹であれば、貴方・・・

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チョークペインティング

17/08/01 コメント:2件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:202

 昼の休み時間になると、夏也は黒板に向って、せっせとチョークをはしらせた。
 たちまち黒板の上に、クラスの生徒の顔が浮かびあがった。彼はそれからも次々と、クラスメートたちを描きつづけた。それはじつにリアルで、陰影もまた巧みで、なかなかどうしてチョークひとつでよくここまで描けるものだと目をみはるほどの、素晴らしい出来栄えだった。
 しかし教室のみんなは、絵には感心するものの、それの作者の・・・

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ほのか

17/08/01 コメント:0件 t-99 閲覧数:172

 ガラス窓に激しく打ちつける雨が泣き声をかき消していた。締め切ったカーテンの隙間越しに見える電線が波を打っている。子ども部屋の壁一面に描かれたうさぎやぞうの漫画チックなイラストたちが、明かりの消えたこの部屋ではミスマッチにさえ思えてしまう。由紀子はベビーベッドで泣き続けている我が子を直視できずにいた。
 夫は出て行ってしまった。今は近くに住む母親が心配なのかときどき顔をだす。持ち運びがいいよ・・・

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書き足した言葉

17/08/01 コメント:1件 月影輝 閲覧数:201

コツッ…コツッ…コツッ…

指揮棒が、机の上をリズミカルに踊る…

「…。」
「ほー。俺の授業に居眠りね」

周りの視線が痛い!

「そんなに、俺の授業は眠いか?小柳」

昨日夜遅くまである事で考え耽ってたせいで、我ら2A担任の溝口の授業中に…

「いえ…すみません」
「ほんと、お前という奴は…」

不・・・

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