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自己借金

17/10/23 コメント:0件 夏野夕暮 閲覧数:162

 私が子供の時分は、銭湯の入浴料が十五円ほどだった。当時の百円と言えば大金で、百円紙幣さえあったというのを、今の若い人たちは知らないだろう。
 生まれはごくごく普通の中流家庭。高校を卒業してから地元の中小企業に就職し、定年退職まで勤め上げた。そんな、頭の天辺から爪先に至るまでを平凡で塗り固めたような人生だった。
 だがこんな凡庸な私にも一つだけ、誰にも言えない「超能力」がある。
・・・

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貧乏神がくれた財布

17/10/23 コメント:2件 泡沫恋歌 閲覧数:271

 当時、高校一年生だった私は部活帰りでお腹が空いていた。
 家に帰るまで、この空腹に耐えられそうもないので、コンビニでパンと飲み物を買うことにした。
「325円になります」
 コンビニの店員が金額を告げた。
 レジでお金を払う時、財布の中身を見たら、なんと5円玉が足りなかった。ポイントカードも忘れてきたし、仕方なく買ったものを返そうかと思っていたら……。
「ほい。5円・・・

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財布じゃないけど何が買えるかな

17/10/23 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:221

「学校に財布持って来たらダメなんだよ」
 わかってるよそんなこと。
「これは財布じゃないよ。缶ペン。筆箱じゃないか」
「鉛筆も消しゴムも入ってないじゃない。お金しか入ってないじゃない」
 だからって。これは財布じゃない。
「全部外国のコインだよ。父さんがくれるんだ。俺はまだ子供で外国には行けないけど、いつか行ってみたい。だから今からワクワクを貯めておくんだよ。このコイ・・・

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噛みつく財布

17/10/23 コメント:3件 そらの珊瑚 閲覧数:173

 会社の近所に出来たばかりのカレー屋さんでランチを食べた。同じ会社のリカ先輩と一緒だった。
「美味しかったね」
「はい、500円でサラダとコーヒーがついてて、安いですよね」
「じゃーん。これあるから半額になるわよ」
 リカ先輩が財布から取り出したのはこの店の半額チケットだった。
「わあ、私もいいんですか? ありがとうございます。あれ? 先輩、お財布変えました?」

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僕には神の声が聴こえる

17/10/23 コメント:4件 葵 ひとみ 閲覧数:326

 僕は鷹取省吾。
僕には小さな頃からたまに神の声を聴く力があった。

家族や仲間の周りで僕があまりにも神の声、神の声と連呼するので、
統合失調症の幻聴の疑いがもたれていて、

 ついに23歳のある日、精神科の保護病棟に任意入院となってしまった……

入院初日の医師の診察ではいきなりリスパダールを服用させられた、統合失調症ではかなり重いタイプなのだろう・・・

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【エッセイ】Wの財布

17/10/23 コメント:4件 野々小花 閲覧数:314

 がま口の財布を手にしたのは二十三歳の頃だった。その少し前に、私は結婚して家計を預かる立場になっていた。生活費と自分の小遣いとをひとつの財布に入れて管理するのは、案外難しいことに気づいた。
 たとえば小遣いから千円を出して五百円のお釣りを貰ったとする。しばらくして財布を開けたとき、その五百円が小遣いとして使えるお金だったか生活費として使うぶんだったかが分からなくなっているのだ。レシートを全て・・・

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揺らぎ

17/10/23 コメント:2件 向本果乃子 閲覧数:174

部屋にはベッドと小さなテーブル。収納に入るだけの服や靴。僅かな化粧品。一人暮らしを始めて七年ずっとここで暮らしている。真生は先月二十九才になった。

朝九時に家から徒歩十分の古本屋に出勤する。高齢のオーナーは体調が悪く最近店に来ない。埃臭い店を開け掃除し仕入れた本を並べたらたまの接客以外は読書の時間になる。

その日、閉店直前に入って来た女性が「オーナーの孫の遥です。ご飯食・・・

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迷いのタトゥー

17/10/23 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:136

 朋乃は迷っていた。
 これまでの生涯になかったほど、彼女は深い迷いにおちいっていた。
 仕事柄迷うことのゆるされない世界で生きてきた。賭場の壺ふりが迷っていたら仕事にならない。勝負の目は、丁半いずれかときまっている。
 彼女には、壺にいれた賽子の目を、思いどおりに出す能力があった。その不思議な力をしったのは、彼女がまだ幼少期のころだった。宙にはねあげたコインの裏か表を自在にだせ・・・

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それは

17/10/23 コメント:0件 ふゆ 閲覧数:125


「私のことは忘れて他の人と幸せになってね、私も君のことは忘れるから」

 それは彼女から伝えられた最後の言葉だった。
 僕の人生の中で彼女は唯一愛することのできた人間であり、唯一本当に心の開ける人間。そんな彼女からいきなり別れを告げられた僕は戸惑うしかなかった。
 
 彼女のことを忘れて他の人と付き合うことなんて僕にはできない。でも彼女は私のことは忘れて他の人・・・

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迷い爺

17/10/23 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:196

 先生が黒板に大きく「迷」と書いたのが始まりだった。僕達が小学六年生だった頃の話だ。将来の目標だか夢だかを話し合う授業の時だったと思う。
 クラスの意見を聞いた先生は総括として話しだした。
「迷うっていう字の米っていうのは道が八方に別れてるって意味なんだ。つまり可能性が沢山あるから人は迷うんだな。だから君達が将来を迷うことっていうのは悪いことじゃないんだ」
 先生が話すのをクラス・・・

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マジックテープ

17/10/23 コメント:0件 小高まあな 閲覧数:153

「ここはいいよ、俺が払うから」
 微笑んだ年上の男の人。やっぱり、大学生は高校生と違うなぁ。
 彼と知り合ったのはSNSだ。ヤバいやつじゃない、普通のやつ。ゲームの趣味が合うから話が盛り上がったのだ。キモいデブかなとか思ったけど、なかなかかっこよかったし、優しいし、マジやばい。
「ありがとうございますー!」
 笑顔でお礼を言うと、先にファミレスから出ることにする。
 ・・・

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夢か現実か

17/10/23 コメント:0件 いちこ 閲覧数:113

もう時効かなと思うので、僕が犯罪に手を貸してしまった時の話をしようと思う。
言っておくが、僕は善良な市民であり、犯罪行為に関わったのはこの時だけだ。
だから野蛮な不良の犯罪自慢だと思わず、どうか、ほんの思い出話として聞いてほしい。

当時の僕は大学生で、アルバイトに精を出していた。
どうしても留学したくて、費用を貯めなければならなかったのだ。
だから深夜の割り増・・・

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優先順位

17/10/23 コメント:0件 PURIN 閲覧数:144

俺には年子の知的障害のある弟がいる。あれは確か、俺が6才、弟が5才の時のことだ。


当時アパートの3階に両親と弟と一緒に住んでいた俺はその日、リビングで弟と双六で遊んでいた。両親は留守だった。最初は楽しくやっていたが、そのうち弟の機嫌が悪くなり出した。(何か気に食わないことがあったからだとは思うが、細かいことは覚えていない。)弟は自分の駒を放り投げ、何事か泣き叫びながら玄関へ向・・・

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おまわりさん財布について

17/10/23 コメント:0件 mokugyo 閲覧数:115

「おまわりさん財布
財布についてだ
聞いてくれ

財布に殴られたんだ
傷害事件だこれは
ひどいと思わないか
俺は痛くてしょうがない

何?財布が殴るなんてとぼけた話があるかだと?
このバカ野郎!
財布はいつも金出させてるあいつのことだ!

この国家権力の犬が!
てめえらどうせ拾った財布が交番に届けられてもネコババし・・・

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迷うなら、自分だけで

17/10/23 コメント:0件 夜門シヨ 閲覧数:294

 彼女は黒い何かを持っていた。

 彼女はそれを力強く握っていた。ここには自分以外に誰も居ないのに。盗られる心配など一つもないのに。
 とても大事そうに、けれど悲しそうな瞳で何かを見つめていた。


「捨てないの?」


 どこからか、子鳥のさえずりかのような、優しい声がした。
 そんな声が彼女の肩のあたりからしたが、彼女は特に気にしてい・・・

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希望の呪縛

17/10/23 コメント:0件 風宮 雅俊 閲覧数:208

 点と点が繋がり、今が見えた時・・・・、彼女の涙は止まらないでいる。

「私の今までの努力は無駄だったの?」
「お店を持ちたい夢に対しては『はい』です。一つ一つの努力が間違っている訳ではありません。目の前の問題に手を打っている間に道を失うのです。縁がないから、少しずつ外れていくのです」
「自分で考えてお客さんに喜んで貰う仕事をしたくて、辿り着いたのが小料理屋だったのに。頑張・・・

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夢枕ブラザー

17/10/23 コメント:0件 宮下 倖 閲覧数:176

 四十九日を過ぎたころ、兄が私の夢枕に立った。
 両親を早くに亡くし、歳のはなれた兄と手に手を取りあって生きてきたのに勝手に事故に遭うとは何事だと、文句のひとつも言いたかったところなので好都合である。
 私がひとしきり愚痴を並べるのを神妙に聞いていた兄だったが、話が一段落したと見るやぱっと顔を上げ大げさに身振りをつけながら口をぱくぱく動かした。
 夢の中では声が出ないのか、それと・・・

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究極の選択

17/10/23 コメント:0件 土佐 千里 閲覧数:167

想像してみてください。
あなたがもし、奈良時代から続く由緒正しい家柄の一人娘で、生涯のパートナーを選ぶとしたら、次のうち、誰を選びますか?
顔は誰がみても極めて悪いが、性格は良く、価値観が合い自然体でいられ、職業はタクシー運転手で、同級生の幼馴染みでよく知っている、将来は社宅にすむようになり、長男なので家を捨てお嫁にいくようになるAさんか、
顔はAさんよりは、ましだが背が低く、性・・・

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或る女優の財布

17/10/23 コメント:2件 そらの珊瑚 閲覧数:150

  朝、付き人が私を起こしに来た。 もっと眠っていたかったけれど仕方ない。今日は舞台の初日だ。私は女優。台詞。何だったかしら。いやだわ。最近忘れっぽくて。
「いいお天気。朝ごはんのあと、お散歩に行く?」
 付き人が私に話しかけた。ああ、そうだった。台詞は「いいお天気。朝ごはんのあと、お散歩に行く?」だったわ。あら、何でこの女、私の台詞を知っているのかしら。もしかして付き人ではなくて、マ・・・

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嘘で固めた芸術が闇に葬られればいいのに

17/10/23 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:188

 ありえない。許せない。こんな世の中に誰がした。
 創作のネタばかりがたまっていくノートを、全力で破ってぶん投げたくなる。もったいないからやらないけど。
 紙の匂いが漂う部室で机に突っ伏し、俺は何度目かの長いため息を吐き出した。
 向かいに座った友達の、あきれたような声が降ってくる。
「続き書かないなら、もう帰れば? 疲れてるみたいだし」
「むしろなんでおまえとか部長・・・

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禁断の、恋?

17/10/23 コメント:0件 石田ゆき 閲覧数:144

「先生、これってデートっていうのかしら?」
 少女が唐突に言った言葉に驚いて思わず足を止めた
 大きな黒い瞳がくるりと動き、わずかに頬を染めた彼女が僕を見る。
「いやいや、どう見てもデートじゃないでしょう。みんなとはぐれちゃつただけだからね。
 ほら、早く合流しないと。さ、歩いて歩いて」
 現実のままの答えを言うと彼女はつまらなさそうに頬を膨れさせそっぽを向いた。

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17/10/23 コメント:0件 クナリ 閲覧数:354

 中学校から下校中の本郷ユウトを後ろから追いかけてきたのは、幼馴染みの足音だった。
 聞き慣れすぎてしまっていて、振り向くまでもない。前を向いたまま、ユウトは言う。
「転ぶぞ、カナミ」
「ユウトが何も言わずに帰るからでしょ」
 息を切らした相模カナミの、頭ひとつ分小さい体がユウトの横に並ぶ。
「私今日、行きたいところがあるの」
「俺はないな」
「ついてきて・・・

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質問

17/10/23 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:169

 一体、こんなことをどれだけ繰り返してきたのか。
 確かなのは、まだ先が長い事だ。
 この道は単調に見えて、奇妙に凸凹しており、気を抜いていたら転んでしまう。

 (万が一転んだら)
 もう何回目になるかわからない「転倒未遂」の後で、わたしは足下にある、べとべとした汚い、いやな水たまりを睨みつける。
 腐臭が漂う水たまりは、むろん「水」たまりではない。
 ・・・

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死神の財布

17/10/22 コメント:0件 佐川恭一 閲覧数:158

 自信にみちあふれた人間であることは欺瞞だ、と僕は思う。そういう人間は社会とうまくやっていけるし、異性からもあこがれられる。力強い所作と筋の通った論理、選び取った立場を明快に説明する能力。それらはとても輝いてみえる。だが僕にとってその輝きはにせものだ、それは女優にあてられるライトのようなもので、ひとを良くみせはするが、その本質を保証するものではない。もしも物事を真剣にみつめる能力が少しでもあるなら・・・

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≒WALLET

17/10/22 コメント:0件 みや 閲覧数:133

休日に街を散歩中に見かけたカフェに私はふらりと立ち寄った。シンプルで清潔な店内、優しそうなマスター、美味しい珈琲と美味しいケーキに私の心は癒やされた。居心地の良いこのカフェに、また来ようと私は思いながらお会計を済ませようと鞄の中から財布を出そうとしたが、鞄の中をいくら探しても財布が見つからない。

何処かで落としたのか…焦っている私に優しそうなマスターが声を掛けてきた。
「財布は・・・

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余白

17/10/22 コメント:0件 kina 閲覧数:276

 恋人と小舟に揺られて川を流れる夢を見た。川はゆるやかな流れで、私たちの他には誰もいない。舟は沈みかけており、崩した私たちの足は水に浸かりかけていた。けれど、何も困ることなどなく、ただ身を任せていた。
 日没、空が薄暗くだいだい色に染まり、水面に溶け出してきらめく頃、私の抱くその人はまぶたを閉じて眠っていた。その横顔やまつ毛の先に、私は胸元で育った愛しさを灯しては、腕に力を籠め、二人で夜を待・・・

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Sunrise.

17/10/22 コメント:0件 白谷眞峰 閲覧数:127

『マラソンの石本哲広選手39歳、引退』
 ある日の出勤中、駅のホームのベンチにいた人が読んでいたスポーツ新聞の見出しだ。石本選手は世界でも実力はトップクラスであったが、ここ数年は怪我や不調が重なっていた。改めて俺はネットでその記事を読んだが、学生の頃から憧れの選手だっただけにショックは相当大きかった。
 
 俺、野上昌弘が陸上を始めた歳は、今から16年前の10歳。当時、会社の陸上・・・

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財布の中に秘めたもの

17/10/22 コメント:2件 待井小雨 閲覧数:177

 雨の降る背景に紗里の横顔が映え、私はつい見入ってしまう。写真に収めておきたくなるほどに、紗里は特別で美しい存在だった。
「なに?」
 私の視線に気が付き、紗里が振り返る。私は咄嗟に視線を外して天を仰いだ。
「雨、止まないなあと思って。傘忘れてきちゃったんだよね」
 学校の昇降口は湿気に満ちている。
「天気予報で言っていたのに。コンビニまで相合傘してあげるわ」
・・・

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僕とちびすけのお買い物隊

17/10/22 コメント:2件 待井小雨 閲覧数:202

 ちりん、となるのは財布の鈴。買い物に出るお母さんの後ろを付いていく。歩けばころろんと僕の首輪の鈴が鳴る。
 お母さんは足元の僕に気付き、微笑んだ。
「あら、また付いてきたの? 猫はお店に入れないのよ?」
 仕方ないわね、と抱き上げられて僕はお母さんの腕の中。お店の中には入れないけれど、家族の為の買い物をするお母さんを待つのが僕の日課。
 お母さんの家族はだんなさんと小学生・・・

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mothers〜白猫スノウと、こころの財布〜

17/10/22 コメント:1件 冬垣ひなた 閲覧数:186

「気を付けてお行き」、人間のマリアさんは捨て猫スノウの頭を撫でました。
 わけあって母とはぐれた生き物は、大きくなったら自分の力で母を探し出さなくてはなりません。見つからなければさだめに従って形を失い、何者でもない怪物になってしまいます。
 スノウが母を探す唯一の手掛かりは、綺麗な花の模様が入った財布でした。
「こんなに美しい財布を娘に残してくれたんだもの、きっとお母さんはお前を・・・

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1円足りない財布

17/10/22 コメント:3件 田中色 閲覧数:162

九十九万九千九百九十九円の現金が入った財布を、街路に咲くツツジの花壇の中で拾った。
街路にいるのは、見る限り私だけであり、周りに人はいない。
ここで私の心を動かしたのは、現金以外にクレジットカードや保険証、運転免許証などの個人を証明する類のカードや紙が何一つ入ってなかった事だった。レシートの一つも入ってやしない。正真正銘の現金だけ。どの雑貨屋中古屋に行っても見かけるような、茶色の革の長・・・

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黒人間と白烏

17/10/22 コメント:0件 ドーンヒル 閲覧数:122

 終電の車内では、ひとときの快楽と永劫の暗闇が渦巻いていた。乱雑なアクセルとブレーキが、高波のように繰り返し押し寄せた。ささやかな天の心地から引き離された人々は、眠たげな眼を見開いて、スマートフォンをいじり始めた。
 終点から三つ手前で、隣に腰かけていた女性が下車した。辺りに乗客がいないことを確認して、鞄を置こうとすると、白い革財布が置かれていた。扉が閉まっていなかったので、届けようと思い、・・・

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老夫婦

17/10/22 コメント:1件 月のワーグマー 閲覧数:147

わたしはよく散歩をする。
定年退職してから、退職金と年金で暮らしているから時間だけは余っていた。

築30年を超えた家の整備が趣味だ。一人暮らしとはいえ、今夜も息子夫婦が孫を連れて遊びに来る。孫のためにも準備は怠れない。スマホだって使う。アプリは天気、大工サイトへのショートカット、地図。これだけあれば十分だ。

天気アプリによれば昼からは曇るそうだが、この季節の散歩に・・・

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25年振りの再会

17/10/22 コメント:3件 木原式部 閲覧数:202

 夕方、家に帰ると、玄関先に紙袋が置いてあった。中を覗くと古い財布が入っている。僕はその財布を取りだして、思わず「あっ!」と声を上げた。その財布は僕が25年前に誰かに盗まれた財布だった。
 紙袋の中には財布と一緒に「お返しします、申し訳ございませんでした」とだけ印字された手紙も入っていた。
「――おい!」
 僕は慌てて家に入ると、居間にいた妻に財布を見せながら言った。「びっくりだ・・・

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お会計問題、社会科学が斬る!

17/10/22 コメント:0件 本宮晃樹 閲覧数:144

 連敗に連敗を重ねた末、青息吐息、命からがら、艱難辛苦、なんでもよろしいが、とにかく非モテ男が意中の娘とお高いディナーデートにこぎつけたとしなさい。
 ここで当然お会計問題が浮上してくる。すなわち天文学的な代金をおごるか否か? 男女平等、女性の社会進出、その他いろいろのリベラル思想が膾炙して久しい昨今、むかしながらの「資金力にものを言わせる俺」を演出したいという最高に愚かな見栄を張るのは時代・・・

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変わるもの

17/10/21 コメント:0件 人間 閲覧数:174

 私達のデートコースはいつも変わらない。まず、昼過ぎに、遊園地近くの駅で待ち合わせをする。そこから、遊園地で夕方にかけて過ごす。その後に、夕食を食べて解散する。いつもこの流れだ。彼女とは月に1度会える程度の頻度でしか合うことができない。会うことができるのは、決まって月末の火曜日だけだ。
「いつも遊園地で飽きないの?」
と決まって聞いてしまう。
「いつもこの変わらない遊園地がいいの・・・

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昼食はワンコイン

17/10/21 コメント:0件 土佐 千里 閲覧数:163

「おかえりなさい、財布出してね」
妻と結婚して三年。毎日妻からこの言葉を言われる。
昼食代としてワンコインを妻がくれるのである。
妻がこう言う風になったのは、僕は独身時代からお金が貯められず、浪費していたからだ。飲み代や煙草、携帯、パソコン、家賃、趣味、娯楽…使いたいものはたくさんある。貯金ができず、月給は使い果たし、妻から前借りしていたこともあった。
だから妻は、結婚当初・・・

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形見の財布

17/10/21 コメント:0件 要崎紫月 閲覧数:198

 男ばかりで二時間ほど居酒屋で飲んだ後、後輩が女の子と飲もうと言い出した。可愛い娘が居るんですよ、なんて言ったが興味は湧かなかった。
 僕はここで帰りたかった。外で飲むのはあまり好きではなかったし、そもそも彼とは一年しか一緒に仕事をしていない。それなのに何故、メンバーに入れられたのか不思議で仕方無い。
 彼は入社後、僕が所属する部署に配属されたのだが、数ヶ月すると営業部への話が出て、年・・・

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タヌキ財布

17/10/20 コメント:0件 アシタバ 閲覧数:150

あんな怪しい露店で財布など買うべきではなかった。
しかし、露天商の巧みな話術と財布から滲み出る不思議な魅力にすっかり籠絡されてしまい、気づけばお買い上げだった。
消費者センターは俺の言うことを信じてくれるだろうか?
タヌキが財布に化けてたなんて知らなかったんです。だから、クーリングオフは可能ですよね? などと。

「話を聞けポコ」腹部に鈍痛が走る。
腹にパンチを・・・

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話題のクレープ屋で

17/10/20 コメント:0件 土佐 千里 閲覧数:210

快晴の休日。友梨は、テレビを観ながらゴロゴロしている旦那に言う。
「今日はこんなにいい天気なんだから一緒にどこかに出掛けたいなぁ」
「俺は家でのんびりしたいから、どこか出掛けたいなら一人で行ってこれば?」
出不精の旦那はいつもこんな返事だ。
付き合ってる頃みたいに一緒に出かけたいのに。
こんな時、友梨は決まって大学時代に片想いをしていた健太のことを思い出す。
今・・・

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蝶々が羽ばたくとき

17/10/20 コメント:0件 文月めぐ 閲覧数:151

「南、こっちの仕事手伝ってよ」
「南さん、次はこっちって言ってたよね!」
 教室の中では男子によるお化け屋敷の設置、廊下では女子が小道具を用意している。しかし、廊下の女子組では、問題が起こりつつあった。
 学校祭は明日に迫っているのに、まだまだ小道具の仕事は終わりそうにないのである。
「あっち、大丈夫かな」
 僕たち男子組が廊下に出ると、剛が小声でささやきかけてきた。・・・

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善は急げ

17/10/20 コメント:0件 とおのあゆ 閲覧数:163

善いことをした日は気分が良い。

小春日和の陽気の中で、宏樹は高揚した気分を抱えながら駅を横目に歩く。日の当たらないこの裏道も、今日ばかりは懐が温かく感じる。

今朝、眠い目をこすりながら宏樹がサラリーマンに溢れる駅の改札口を出ると、後ろからふと肩を叩かれた。
「これ、落としましたよ。」
振り返ったとたん、黒い長財布を差し出された。宏樹は反射的に受け取ったが、そ・・・

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赤いプラダ

17/10/20 コメント:0件 秋 ひのこ 閲覧数:179

「工藤様、この度はご愁傷様でございます」
 火葬場の職員が神妙な面持ちで深く頭を下げた。右手に骨壷、左手は5歳になる娘のナツとつなぎ、ケイコは目礼で返した。葬儀はせず火葬だけで母の死を弔ったのは、ケイコとナツのふたりだけだ。
 骨壷に納まる母はまだ若く、享年45。7年前、17で家を出て以来、顔を合わせたのは向こうから金をせびりに来る時のみ。
 アパートに戻ると、家の前で人相の悪い・・・

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残り物たちの夕暮れ

17/10/20 コメント:0件 伊川 佑介 閲覧数:168

 なぜか平日の日暮れ前にマントヒヒを眺めている。アホ面で、少しも動かない。時おり器用に鼻を穿っては、取り出した物を口に運んでいる。およそデートにふさわしくない光景を前に、隣の女は薄笑いを浮かべている。

「彼女がこっそり毒を盛ったなら、気づかないふりして飲んだと思いますよ。それは僕が悪かったってことだから」
言いながら、何でこんな話になったのかと考えた。婚活で、三回目のデートであ・・・

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「ねぇ貴方、そのお財布だいぶボロボロですけど、買い替えないのですか?」

17/10/19 コメント:0件 黒江 うさぎ 閲覧数:145

 この財布?…ちょっと思い入れのある財布でさ、捨てられないんだよね。
 …うん、確かに僕の趣味じゃ無いよ。
 …あー…えとー…ある女の子と同じ物…違う!その子に未練があるとかじゃないから!包丁を下ろして話を聞いて!お願い!
 …ぜぇ、ぜぇ…いったいどこからこんな力を出してるの?…愛故にか…そっか…。
 …うん、そんなに殺気を出さなくてもちゃんと理由を話すから…あまり面白い話・・・

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充電器

17/10/19 コメント:0件 和倉幸配 閲覧数:167

「よーし、充電完了。百パーセントっと」
 デートの帰り、駅へ向かう道すがら、ミカはそう言って「うーん」と背伸びをした。
「何だよそれ」
「こうやってタクと会うとさ、何か充電される感じがするんだよね」
「充電?」
「今週は仕事でも色々あってさ。電池切れ寸前だったんだ。だけど、もう大丈夫。タクのおかげでまた頑張れそう」
 ミカは両手でボクシングのような恰好をする。<・・・

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確信犯たち

17/10/19 コメント:0件 石田ゆき 閲覧数:151

「あっ」
「どうしました?」
「いつものあれ、在庫また切れてる……。牧瀬さん、申し訳ないけど明日の定休日……」
「いいですよ。ちょうど予定もないですし買い出し手伝いますよ、店長」
「ごめんね、せっかくの休みなのに申し訳ない…。僕一人で買いに行くにはあのお店は少し抵抗があって」
「でも売れ行きいいですもんね。付き合いますよ、一緒に行きましょう」
「ありがとうござい・・・

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花火とともに…

17/10/18 コメント:0件 土佐 千里 閲覧数:190

念願叶って、第一志望校に合格した和田麻美子。今日はいよいよ入学式。ドキドキしながら高校に行った。
麻美子は家が遠いので、高校まで、電車とバス通学。麻美子の席の斜め後ろにいた前田宏樹に声をかけられた。宏樹は坊主頭で野球をやりたいためにこの高校にしたそうだ。宏樹は決してイケメンではない、どちらかというと、いやはっきり言うとお笑い芸人よりひどいくらい崩れている。一方、麻美子は、女優のように整ってい・・・

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ばあちゃんの秘密のがま口

17/10/18 コメント:3件 みーすけ 閲覧数:201

 ばあちゃんのがま口財布には色々なものが詰まっている。切符にえんぴつ、あめちゃんに爪楊枝。
 ばあちゃんは何でもそのがま口にしまい込んでいる。きっとお金もたくさん入っているに違いない。
 ある日、僕はおこづかいをくすねようと、こっそりばあちゃんの部屋に忍び込んだ。ばあちゃんががま口を隠している場所はわかっている。
 僕ががま口を開けると、そこに妙なものが入っていた。もぞもぞと動く・・・

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車窓にて思うこと

17/10/18 コメント:0件  浅縹ろゐか 閲覧数:214

 昔、人間は車という乗り物で恋人とデートをするという風習があったらしい。

 「先生! そろそろ昼休みにした方が良いですよ!」
 元気な声が聞こえて、僕は現実世界へと意識を移行させる。小さい刷毛で丁寧に手元の物質を掃いていたところだった。この『鉄屑の墓場』と言われる遺跡群の、全容を明らかにしようとしている。これが僕の仕事だ。
「ああ、分かったよ。もう12時近いのかい?」

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