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エスカレーターステップを転がりたい

18/03/05 コメント:3件 浅月庵 閲覧数:443

 ◇  ぼくみたいなクズは善良な人間と同様の幸せを掴んでいいはずないのに、二年前にあっさり結婚をして、ぼくたち夫婦の間に子どもが産まれた。その幸福感はかつての罪を忘れさせるほどの、強烈な痺れとなって全身を駆け巡り続けている。  ーーただぼくは、今なお反射的に“エスカレーター”を避けていた。黄色と黒の流れるステップは、踏切やトラロープと同じ色で、ぼくに警告を続けている。  ◇  高校生の頃、ぼく・・・

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復讐代行屋

18/03/05 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:199

 どうもー、社長。お世話になってます、『復讐代行屋』でーす。このたびもご贔屓いただき誠にありがとうございます、なんつって。
 例のニュース、もうご覧になりました? そうそう、五十二歳男性が目覚まし時計型の時限爆弾によって自宅で死亡、ってやつです。今回も見事成功したでしょ。さすが俺、天才。
 学生の頃に社長をいじめてたっていう連中、これで全員始末できましたよね? おめでとうございます! ・・・

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誤算

18/03/05 コメント:0件 光石七 閲覧数:265

 彼らは『影疾風』と名乗っていた。要求する報酬は高額だが、引き受けた依頼は完璧に遂行する。持ち込まれる案件は法やモラルに反するものがほとんどだ。各々が持つ知識とスキルを活かし、時に多額の費用をかけ、あらゆる依頼を鮮やかに成し遂げる。彼らは自分たちの仕事に自信と誇りを持っていた。
 殺し屋のSは『影疾風』の窓口役も兼ねている。この日、Sは地味な風貌の青年と会っていた。この青年は何年もかけ独自の・・・

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結婚の報酬

18/03/05 コメント:0件 吉岡 幸一 閲覧数:283

「娘と結婚してくれたら高層マンションの最上階を買ってやる。それに将来は会社もゆずるつもりだ」  社長は溺愛する娘のために俺と結婚させようと必死になっていた。愛娘の望みを強引に叶えるために、結婚の報酬まで提示してくるのはいかにも結果重視の社長らしい。 「なに、結婚してしまえば、愛情なんてものは後からついてくるものだよ」  三ヶ月前、社長は手をさすりながら言ってきたが、結婚した今でもそんな高尚な感情は・・・

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丸山君

18/03/05 コメント:0件 nekoneko 閲覧数:345

「えっ報酬だって。」僕は自分の耳を疑った。丸山君は僕が頼んだ事に今までずっうと何かを要求して来た事は無かった。いつも、笑顔でうんいいよて言う感じで頼まれてくれていた。それが…。「報酬て、そのつまりお金を払えて事なの?」「そうさ」丸山君は落ち着き払った様に答えた。「僕は決めたんだ。これからは、君が僕に何かを頼み事をし、それに対して僕が何かをするんだったら報酬を貰うと言う事をさ」「でもどうして、急にそ・・・

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貴方に捧げる愛の報酬

18/03/05 コメント:0件 黒江 うさぎ 閲覧数:191

 私には、恋人がいる。  その人の名前は、カトレーヌ。  カトレーヌは私と同じ女の人で、今は私のボディーガードで…昔は、私の家に売られて来た奴隷。  …うん。カトレーヌにたとえ過去に何があっても、私とカトレーヌは相思相愛の恋人なんだ。 「…ねぇ、カトレーヌ」 「如何しましたか?お嬢様」 「…どうしてカトレーヌは私に何もしないの?」  …カトレーヌからは、本当に何もしてこないけれど。  カトレーヌに・・・

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夕暮れの公園

18/03/05 コメント:0件 セレビシエ 閲覧数:238

仕事が終わり、外に出た。今日も定時で帰ることが出来る。ここのところ、仕事の調子がとても良かった。
外は夕陽に包まれてオレンジ色に輝いている。春を知らせるような暖かい風も吹いていた。

最寄り駅まで電車で揺られた。直ぐに家に帰ってもいいのだが、今日も寄り道をする。
家の近くにあるとても小さな公園、そこに今日も彼がいた。
「お待たせ、タクミくん」
「もー、待ったよ〜・・・

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笑わない少女

18/03/04 コメント:2件 むねすけ 閲覧数:253

 病室の少女がテレビジョンに映し出される。
 エイとオウの二人は安酒場でピーナッツを砕きながら安酒を注ぎ合っていた。
「やれやれ、いつになったら」
「男酌の不味い酒から解放されますか」
「ね」
「ね」
 エイとオウ、二人を知るものは彼らをコンビとしてブルーと呼んだが、二人は、
「そのエイじゃない」
「そのオウじゃない」
 と、呼ばれるを好まな・・・

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ケン・オス・ムードメーカー

18/03/04 コメント:2件 宮下 倖 閲覧数:253

「へえ。ムードメーカーだって。ゴリラなのに」  甲高い女の声にケンはちらりと檻の外を見た。  複雑な形に指をからめた男女が低い位置に立てられた看板を覗き込んでいる。そこには檻の中にいる四頭のゴリラの紹介が書かれていた。 「ゴリラのムードメーカーってなに? こういうとこにはふつう、好物はバナナとか書くもんじゃないの? ほら、こっちはスミレ・メス・りんごが好きって書いてあるよ」  ケンはさりげなく立ち・・・

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内角高めのストレート

18/03/04 コメント:0件 キップル 閲覧数:194

「日本シリーズ第4戦。3連敗で後がない信州グランバーズ。2点リードで迎えた7回表、ここで大橋がマウンドに上がります!」

 俺は大歓声の中マウンドに立った。緊張はない。キャッチャーミットはよく見えている。俺の役割は明確だ。

「ピッチャー大橋、第1球目を投げました!打った、打球は1、2塁間、抜けた!ノーアウトのランナーが出ました!」

 レフトスタンド、大阪タイ・・・

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部活手当

18/03/04 コメント:0件 林一 閲覧数:163

 学校の部活動は、教師にとって大きな負担になっている。
 教師は通常、朝の八時過ぎから一六時過ぎまで仕事がある。普通のサラリーマンなら昼休みがあるが、教師は給食時間も、生徒達と一緒に食べながら指導に当たらなくてはならない。
 さらに、授業の準備やテストの採点などで残業したり、家に持ち帰って仕事をしている教師もざらにいる。教師はただでさえ忙しいのだ。
 その仕事に加えて部活動の顧問・・・

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教師あり学習

18/03/04 コメント:0件 ファリス 閲覧数:177

朝だ。
カーテンを開けると綺麗な青空が広がっていた。日光を全身に浴びながら伸びをすると、視野の真ん中、手を伸ばせば届きそうな空間の一部に、ドーナツのような赤いマルが現れた。すると、なんとなく気持ちが良くなったけれど、僕はそれを無視した。いつものことだ。
顔を洗い、パンを食べた。その後冷たい牛乳を飲んだら、今度は青いバツが現れた。その瞬間、僕は少し気分が悪くなった。しかしそれもいつものこ・・・

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カニ味噌

18/03/04 コメント:0件 林一 閲覧数:146

 私はお手伝いさんとして、ご主人様の元で働いている。
 私が仕えるご主人様はとてもケチな性格で、自分には高級食材を使った料理を作らせるくせに、私には質素な料理を食べることしか許してくれないの。ひどい話よね。
 だけどその代わり、この仕事で楽しみにしていることが一つだけあるの。
 ご主人様は毎週金曜日に、決まってカニ料理を私に作らせるんだけど、ご主人様はカニ味噌が苦手だから、調理の・・・

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宝石を食べる悪魔と契約した話

18/03/04 コメント:1件 小高まあな 閲覧数:592

 結婚式まであと二週間だった。招待状も出したし、ドレスも料理も何もかも全部決まっていた。  なのに、あの男は、 「ごめん! 彼女のことが好きになったんだ!」  後輩に手を出していた。 「先輩っ、ごめんなさい」  わざとらしく、後輩が泣いている。 「すまない、彼女は悪くないんだ。俺がっ」  全員が同じ職場だ。私が結婚することを後輩も知っていた。迫ったのが彼からだったとしても、女が悪くないわけがない。・・・

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18/03/04 コメント:0件 セレビシエ 閲覧数:234

島の真ん中に台がある。
島の外側は海で囲まれていて、そこに毎日大きな石がひとつ流れてくる。僕はそれを拾って台まで運ぶ。石は重いから僕は毎回くたくたになりながらそれを運んでいた。
そうすると空から食べ物が降ってくるのだ。
僕はそれを食べて生活していた。
石は、僕が寝ると、どこかへ消えてしまって、また新しい石が流れてくるのだ。永遠に変わらない単純作業を僕はくり返していた、生きる・・・

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雨の報酬

18/03/04 コメント:1件 吉岡 幸一 閲覧数:281

 夕方になって突然降り出した雨は男の真新しいスーツを濡らした。男はシャッターの降ろされた保険代理店の軒下に飛び込むと、片手でスーツについた雨粒を払い落とし、曇った眼鏡の奥から真っ黒な空を見上げため息をついた。  再就職活動をしていたが思うような結果が得られないまま三カ月が過ぎようとしていた。この日面接を受けたシステム開発の会社でも、経験不足を理由に目の前で断られる情けない有様だった。  どこも僕な・・・

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子どもの報酬

18/03/04 コメント:3件 待井小雨 閲覧数:501

 父は私がすっかり大人になった今でも、ごほうびだと言ってキャンディやチョコを用意している。 「だってお前、甘い物が好きだろう」  そう言って目尻を下げてとても優しく笑う。  ええ、好きだったわ。甘い物が好きな小さな女の子だった。けれどお父さん、私はもうチョコで口の周りを汚していた女の子ではないのよ――とそう言っても、父は「そうか」と言ってまた忘れ、私の為のお菓子を用意して待っている。 「嫌いじゃな・・・

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飛べば終焉。飛ばねば百億。

18/03/04 コメント:0件 ヤヤ 閲覧数:213

 例えばの話をしよう。君の目の前には崖がある。それも深くて暗い、底があるのかどうかもわからぬ崖である。
 君はその崖を前、問いを投げ掛けられるだろう。悩むことすら億劫になる、ひどく簡単な問いかけを。

「飛べば終焉。飛ばねば百億」

 さあ、どうする──?



「──飛ばないで百億もらう」

 目の前の男はそう言った。真剣なまでの・・・

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報酬、または悩み多き人生に幸あれ

18/03/04 コメント:0件 キップル 閲覧数:197

 ザッザッザッ。

 春を待つ柔らかな雪の斜面に一歩、また一歩と足跡が刻まれていく。ところどころ雪の間からぬかるんだ地面が覗き、デコボコの坂道が視線のずっと先まで続いていた。まだ葉をまとっていない落葉樹は、優しい日差しに照らされ網目のような影を生み出している。

 はぁ、はぁ…。

 山に入ってまだ十分ほどだが、すでに男の息は上がっていた。少しペースを落とそうか・・・

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世界で廻る羊たちよ。

18/03/04 コメント:0件 松田リリー 閲覧数:202






「終わりました。」

そう声をかけると、扉についてる小さな窓からニョっと手が出た。
その手からバラバラと飴が落ちてくるので、慌てて拾う。

「拾い終わったなら、早く帰って。」

冷たい声にお辞儀をして、
僕は足早に駆けて行った。

僕たちは、偉い人たちの顔を見ることもない。
街と村の間には壁が・・・

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ゴクロウさん

18/03/04 コメント:0件 霜月秋介 閲覧数:222

『金ガ欲シケレバ働ケ。男ガ欲シケレバ貢ゲ。物ガ欲シケレバ買エ』

 AIロボット『ゴクロウさん』は、電源を入れるとまず、そのフレーズを喋りだす。ゴクロウさんは、主に専業主婦の為に開発された、主婦の働きに応じて報酬を与えることができるAIロボットだ。
 ゴクロウさんの両目にはビデオカメラが搭載されており、家にいる特定の人間の行動を一日中監視することができる。その人間が半径二メートル・・・

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最強の剣

18/03/03 コメント:0件 桐生 舞都 閲覧数:190

帝国にはあるとき、一人の素直な若者がいた。彼は剣の腕に非常に優れた剣士だった。帝国の闘技場では今、王子の主催する一大大会が開かれていた。今回は一戦あたりの賞金といい、参加者数といい、何から何まで特別だった。王子が直々に開催する、帝国はじまって以来最大の大会だからだ。 ここは弱肉強食の闘技場。優勝すれば報酬として富が得られる。 若者は一大稼ぎ頭にして、今や帝国のスターだった。 彼が求めていたのは今回・・・

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美しい宇宙

18/03/02 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:253

 最初に光が生まれた。広大で無限の闇に覆われた空間に光がどんどん浸食し始めた。神様はここに新しい宇宙を造ることにした。
「神様、次はどうしましょう」
 南西の第114エリアを造り終えた天使が次の指示を待つ。神様は大きな地図を広げると、「こういうのもいいかな」と大きくうなずき設計図をささっと書くと天使に渡しました。
「わあっ、流れ星が巡回しながら航路を描く星雲ですか。ロマンチックで・・・

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契約カップル

18/03/01 コメント:0件 笹岡 拓也 閲覧数:391

卒業式を終えた私たちは誰もいない教室で契約完了の手続きをしている。
「杉咲、今日までありがとう」
彼は満面の笑みで私に感謝を告げる。教室の窓から入ってくる風で貼ってあった掲示物がめくれ上がり音を立てる。私は彼に掛ける言葉を必死で探していた。


ちょうど一年前のある日、彼は私に告白をした。それは突然のことで驚きが隠せず、恥ずかしさのあまりほとんど考えずに断った。しかし・・・

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猫の集会

18/03/01 コメント:4件 そらの珊瑚 閲覧数:277

 今宵は新月。極細の金の筆で、さっと書いたような細い月が出ていた。  ささやかな月明り。  暗闇に、それでも時折光るいくつもの小さな目玉。海に近いここ、かもめ橋に猫たちが集まってきた。 「みにゃさま、本日の議題は報酬です」橋の欄干の上に座った大きな白猫が言った。 「ほうしゅうって?」仔猫が母猫に訊いた。 「働いて得るもののことよ。つまり、猫にとったら人間にもらう食べ物のことかしら」母猫が答える。・・・

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報酬の対価

18/03/01 コメント:0件 moto 閲覧数:198

「おい、後藤。来月から給料100%カットな。」
部長の言葉は、俺の心臓を一瞬止めた。

サービス残業で無休状態が当たり前のブラック企業に、8年間真面目に勤めてきた。
それが、数日前に起こしたミスがキッカケで突然給料の停止を迫られている。
給料100%カットだなんて確実に違法だ。

「無給期間は半年。勤務態度が良かったら給料は復活させるつもりだ。
もし・・・

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レンタルフレンド

18/03/01 コメント:0件  浅縹ろゐか 閲覧数:301

 友達がいないということを、後ろめたく感じる人は全くいなくなっていた。私はしがない会社員だ。職業は、レンタルフレンドである。レンタルフレンドというのは数年前に生まれた職業で、依頼者に対し私達のような社員が友達として派遣されるサービスだ。依頼者は希望する条件を提示し、それにマッチングする友達を紹介する。こうした職業が生まれた当初、疑問視する声も当然上がった。友情を金銭でやり取りするのは、如何なものか・・・

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今まで電子タバコの使いによって禁煙を大きく成功させる

18/03/01 コメント:0件 tonggu 閲覧数:123

電子タバコの持つ禁煙への影響力はいかに?気になる電子タバコの味ですが、思ったよりもタバコに近いメンソールの味なんです!
http://www.warmvape.com/atomizer/c-2.html
むしろ、ニコチンが入っていない分口当たりが爽やかなので、喫煙者には物足りなさを感じるかと思います。
しかしその物足りなさを補ってくれるのが、電子タバコならではの爆煙アトマイ・・・

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チタンの胃袋とあざとい男

18/03/01 コメント:0件 浅間 閲覧数:209

 二限後は、そのまま講義室に残って昼食を食べる学生も多い。槇原千絵里もその一人であった。彼女は当然の如く、ずっしりとした直方体を包む風呂敷を解き、光沢のあるお重を三段、どすん、どすん、どすん、と机の上に堂々と広げる。とても細身の女性が一人で食べきれる量には見えないが、彼女はチタンの胃袋をお持ちだ。
食べやすいように、長い黒髪を結ったところだった。哀れな一人の青年がロケットの如く飛んでくると、・・・

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四月になれば

18/02/28 コメント:2件 野々小花 閲覧数:304

 一月の半ば、深夜のオフィスはひどく冷える。今日の分のノルマは、まだ当分終わりそうにない。徹夜になると覚悟した瞬間にため息が漏れる。私はボサボサになった長い髪をひとつに結わえた。ぐるぐると首にマフラーを巻く。最後に美容院に行ったのはいつだっただろう。毎日仕事で忙しくて、そんなことも忘れてしまった。  専門学校を卒業して、小さなIT企業に就職したのが十年前。駆け込みの細かい仕事が放り込まれることも多・・・

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窓枠の内にあった幸せ

18/02/25 コメント:0件 橘瞬華 閲覧数:281

其処は、まるで仄暗い闇が蹲っているようだった。丸太で組まれた素朴な山小屋、白んだ木製の軋む床。やがて日が姿を現し、白く薄いカーテンが微かに揺れ、舞い上がる埃と無数のキャンバスを照らし出した。その中で壁に掛かる一枚の画用紙に描かれた絵だけは毛色が違った。幼い筆致。歪なパース。背の高い無精髭を生やした男と少女が笑っている。
これは、一夏の間少女を匿った、画家の男への報酬である。

そ・・・

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最高の報酬とは

18/02/25 コメント:0件 氷室 エヌ 閲覧数:279

 限定品のマカロン、日本に上陸したばかりのカップケーキ、どこぞの有名ショコラティエが作ったチョコレート、新作のフラペチーノ。
 家を出る前に渡されたメモに再び目を通す。買い忘れはない。俺は小さく頷き、両手に抱えたいくつもの紙袋を持ち直す。せっかくの休日を棒に振るわけにはいかない、さっさと帰ろう。
 そう思った瞬間、ジーンズの尻ポケットに入れたスマホが震える。俺は紙袋を落とさないように四・・・

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失恋の報酬

18/02/25 コメント:0件 腹時計 閲覧数:279

「なあ、おい」
 無愛想な声にはっと目を覚ますと、前の席の男子が迷惑そうな顔つきでこちらを振り向いていた。
 え、なに?
「はやく」
 プリントをつっけんどんに押しつけられて我に返る。そうだ今は数学の時間だった。
 あたしは顔を赤くして受け取った。ごめんとも言わず。そして速やかにそのうち一枚を自分の机に置いて後ろの席に回した。
「ど・ん・ま・い」
 と、後・・・

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白い鳥

18/02/25 コメント:0件 アシタバ 閲覧数:257

 曇り空に雪がちらつき始めた。空の下には冷え切った湖があり、雪は水面に舞い降りると静かに消えてゆく。
 湖面は冷気に磨かれた鏡のようであり、その周囲に降り積もった雪は深い。冬の山野に色はなく、枯れた木々が雪に埋れまいと懸命に耐えていた。風や獣がたてる音もなく、降り続ける雪だけが時の流れを感じさせる。とても寂しい風景だった。
 湖畔には雪でつくった小さなかまくらがある。湖近くに住む村人が・・・

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ハル

18/02/24 コメント:0件 華満零 閲覧数:256

リビングのお気に入りの座布団の上で、日向ぼっこをする、至福の時間。窓越しに差してくる温かい光に、うつらうつらしていた。春眠暁を覚えず、だなんて前は思わなかったけれど。微睡んでいると、パソコンに向かっていたはずの妹、美緒が、隣に座っていた。
「今日は暖かいねえ…ハル、散歩でも行こうか」
その声に、はいよ、と返事をして腰を上げる。
最近少し体がいうことを聞かなくなってきたけれど、頑張・・・

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オハヨウからオヤスミ

18/02/23 コメント:0件 重一 閲覧数:240

オハヨウ。
太陽の光は最高に輝いている。私はそいつに挨拶をして、今日も学校へ向かう。

いつも見るあの学生は今日も寝癖を直さずに歩いてる。あのサラリーマンは見事にパリパリしてハキハキと仕事に打ち込みそうだ。またいつものように生意気な小学生があの子をからかってる。
電柱は年中立ちっぱなしのカカシ。カラスを大歓迎するから遠慮なくカラスは余らず皆乗っかかって私たちをまじま・・・

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月の住人

18/02/22 コメント:0件 広田杜 閲覧数:281

「じゃあここでいいか」
 彼女はこともなげにそう言うと、僕を壁に押し付けキスをした。彼女の一連の造作には迷いも恥じらいもなくて、僕だけが石造のように動けずにいる。僕より五センチほど背の低い彼女は背伸びをやめつつ唇を離すと言った。
「じゃあまたよろしくね」
 去っていく彼女の長い髪から花のような少し甘い香りが漂う。僕はさっきまで爆発しそうに鼓動を打っていた心臓を服の上から押さえると・・・

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賭けの報酬

18/02/22 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:235

 戦争というのは、人を殺すことだということがやっとわかった。俺にとって縁もゆかりもない人間に、情け容赦なく銃弾を撃ちこむことなのだ。
 兵士になって一週間後に、俺はそのことに気づいた。兵士になった理由はただひとつ、くっていくためだった。そしてその俺の腹をみたすために、敵国の人間を撃ち殺すのだ。
 俺が派兵されたさきは、この地上の地獄ともいわれている最前線だった。敵味方、毎日いったい何人・・・

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COLORS

18/02/21 コメント:2件 若早称平 閲覧数:326

 初めて盗みをした時のことはもう覚えていない。掛け算よりも先にスリの技術を仕込まれた俺達にとってそれはただの通過儀礼以外なんの意味もなかったからだ。  人から物を盗むことが悪いことだと知ったのは十二歳になった頃だった。この施設で育った子供達はみんな同じだと思う。親の顔を覚えていないのもみんな同じだ。それが当たり前で世界中の子供が同じだと思っていた。 「聞きました? 柊の話」  仕事を終え、施設の・・・

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イタリアの人々

18/02/20 コメント:3件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:314

 イタリア人は日本人贔屓が多いというのは、ほんとうだ。ぼくがそのイタリアで一人旅をしているとき、地元の人々が日本人だとわかるとひとなつっこくちかよってきて、ぎゅっと首に腕をまきつけて親愛の情をみせつけられたのは一度や二度ではない。ピザ店でたべているとき、ぼくが日本人だとわかると、手首に巻き付ける皮のベルトをプレゼントされたこともある。また公園のベンチに座って目の前の風景をスケッチしていると、これは・・・

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僕が書く理由

18/02/20 コメント:0件 向本果乃子 閲覧数:261

 僕は何のために書いていたんだっけ?初めて書いたのは十三の秋。でもそれはまるで日記のような、宛先のない手紙のような、自分の中に生まれる怒りや苛立ちを吐き出すように書き殴った小説とも詩とも言えない文字の連なり。学習ノートにHBの鉛筆で殴り書きしたそれが僕の初めての作品。それから僕は手に負えないあらゆる感情を白い紙の上に文字として書き続けた。誰に見せるためでもないから、汚い感情も意味不明な言葉も独りよ・・・

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手を伸ばしても手に入らない

18/02/20 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:299

 畳に敷かれた布の上で、数十の鉱石が煌めいている。こんもりと積まれ、自ら発光するそれらは、行燈の光を反射してなお眩く存在を主張していた。
 しかし、それを差し出された若い男の目にも心にも、感慨は浮かばない。胡坐をかいた膝をつかむ無骨な指に、力がこもる。
「おい、おっさん。まさか、これっぽっちの報酬でこの俺様が依頼を請けるたぁ考えてねえよな?」
 喉から出たのは、低い不満の声だった・・・

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報酬は缶ビール

18/02/19 コメント:0件 ケイジロウ 閲覧数:250

「わかった、わかった、もうそんなところで勘弁してくれ」
 真っ暗な田んぼ道を歩く栗山諒太はそう乞うたが、北風は容赦なく諒太にタックルしてきた。
 仕事さえ見つかればこの北風は止まるだろう、諒太はそんなことを本気で信じているようだった。
 今まで何社に落とされたかわからない。30社、いや50社くらいになるだろうか。今日職安で取り次いでもらった会社もおそらくだめだろう。そもそも社会は・・・

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味のしない人生を

18/02/18 コメント:0件 伊川 佑介 閲覧数:249

「最近好きな漫画の新刊が出たんですけど、ガッカリしたんですよ」
同僚の藤崎さんが、いつものようにネガティブな話を始めた。
「二十年位前から休みがちにずっと連載してるやつなんですけど、昔は本当に面白かったんですけどね。今は作者が劣化したのか、趣味に走ってるのか、全く楽しめないんです」
ああ、あの漫画だな、と思った。が、話を広げると面倒そうなので何も言わなかった。
「僕、子供の・・・

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報酬は春告草

18/02/18 コメント:0件 文月めぐ 閲覧数:333

 二月下旬、まだまだ寒いが、もうこのあたりでは雪は降らないんじゃないか――春への期待が高まるこの時期。俺の心に降り積もっていた雪も、徐々に解けて、陽が差してきた。
 大きな生命保険の契約が決まった。新規のお客様で、ここまで額が大きいと、緊張もするし、変な高揚感がある。震える手でタッチパネルを操作して、契約を進めていくが、汗ばんだ手から何度もタッチペンが落ちそうになった。
 ずっと営業が・・・

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探偵事務所のアルバイトの報酬

18/02/17 コメント:0件 小峰綾子 閲覧数:283

「これが今回の報酬となります」
所長が封筒をカウンターの上に置く。
「今どきこんな形でお給料を渡す機会もないから、新鮮だよね」
と言って笑う。
「そうですよね。わがままを言ってしまいすみませんでした。ありがとうございます。」

ここは都内のとある探偵事務所。僕の本業はサラリーマンなので、副業で収入を得ていることがバレると色々と面倒そうなのだがという相談をしたとこ・・・

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報酬はあなたの命

18/02/17 コメント:0件 君形チトモ 閲覧数:276

「我が仇、悪逆非道の宮廷魔術師よ! その所業の報い、受けるがいい!!」
 王宮前の広場で、青年は無数の銀の弾丸を放った。
 青年は、この国の王や宮廷魔術師たちに滅ぼされた村の出身だ。一人生き残って復讐を誓った当時の幼い彼は、力を身につけるべく、報酬さえあればどんな依頼も受ける、不老不死の魔女へ弟子入りを頼んだ。
「やだね。アタシは弟子なんていらないし、しかも報酬はないって、馬鹿に・・・

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穴掘りゴンゾー

18/02/15 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:284

 ゴンゾーが地面に穴を掘りだしてから、かれこれ一時間がたった。
 きわめてゆっくりとした動作でスコップを扱うその姿は、みていてあくびがでるほどのんびりしていた。むろんそんなかれのふるまいを見物するような暇人はどこにもいなかったが。
 日中ともなれば彼のいるところは遮るものとてなにもなく、肌は焼けつくように熱くなった。
 夕方になってもまだ、ゴンゾーは穴を掘っていた。穴はすでに、彼・・・

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殺しの報酬と奇しき唇💋

18/02/15 コメント:0件 比些志 閲覧数:249

今回の標的は隣国の大富豪シコースキーとその妻。奇妙なことに、二人を同時に殺すというのが元締めから示された条件だった。
報酬は1億ドル。一生遊んで暮らせる金だ。
悲運の夫人に興味を抱いた俺は、さっそく庭師を装い、怪しまれることなく豪邸の庭先に忍び込むと、辛抱強く夫人に近づく機会をうかがった。
それから数日たったある日、いつも通り庭仕事を終え帰ろうとすると、その妻が出合い頭に玄・・・

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五限目の苦悩

18/02/14 コメント:1件 若早称平 閲覧数:366

「ねえねえ、坂口。ちょっとこっち来て」  今日がバレンタインデーでなければ、なんてことない呼び出しだった。同じクラスの原田さんが手招きする。緊張のあまり食べたばかりのカレーパンを吐きそうになった。僕が彼女に密かに想いを寄せていることを知っている友人からの冷やかしと激励が遠くに聞こえた。  彼女の後ろについて廊下の隅に歩いた。制服のポケットからのぞくチョコに期待が膨らむ。  人気のない物陰で彼女が振・・・

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