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18/06/09 コメント:0件 早川 閲覧数:107

 俺は周りの景色から断絶された。光は見えない。暗闇の中をさまよっているわけでもない。ただ理性的にしかも強靭な理性によって生きている。それは過剰な自意識とも言える。
「ねえ、この間さ、同僚と話をしたんだけど、凄く冷たくされたの」
 女友達が俺にそう問いかけてきて、俺は、内心これはコメディかと思いながら目の前の女を眺めていた。俺の心はただ固く閉ざされていた。そしてその後に女が何かを言っても・・・

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りんごの君

18/06/08 コメント:0件 広田杜 閲覧数:110

「本当に出るんだってよ」
友人が息巻いて僕を誘ったのは、元病院の廃墟だった。友人は無類のオカルト好きで、「出る」と噂の場所を探してきては、ビデオカメラと懐中電灯を持って探索に行く。一人で行けば良いものを、「俺の背中を任せられるのはお前しかいない」と僕のことを連れて行く。腕っぷしは弱く、以前使われなくなった学校に不法侵入して、その場にたむろしていた不良少年にカツアゲされる羽目になった友人の華奢・・・

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この上ない理想の夫

18/06/08 コメント:0件 斎藤緋七(さいとうひな) 閲覧数:81

「男の人のトレンチコート姿が好き。私、ケンジント○のロングトレンチコートが好きなのよねー。あれ、着てる人がいい。」 と、40オーバーの姉は言う。 「バー○リーじゃないとダメなの?」 「出来たらバー○リーがいいなあ。」 「25万はすると思うよ。」と言うと、 「もう!現実的なことを言わないでよ!」 と、怒られた。 「はよ、現実的に考え始めないと、今年四十五でしょうが。」 姉は15歳年が離れている私に言・・・

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お前の生霊を飛ばしてくるな!

18/06/08 コメント:0件 斎藤緋七(さいとうひな) 閲覧数:97

「百合子、おーまーえーなー!」 お昼休みにお弁当を食べてると隣のクラスの元カレ、相馬が怒って教室に入って来た。 「なによ!なんか用?」 私と相馬は幼馴染なので別れた後も、なんとなくは友達関係が続いていた。 「飛ばしてくんなよ!」 「は?なにをよ?」 「生霊だよ!お前毎晩、生霊になって俺の枕元に立ってるんだよ。自覚あんのか?」 「自覚はないけど。生霊くらいでガタガタ言わないでよ。ちっちゃい男ね!」 ・・・

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ひよことたまごとニワトリとうずらの関係性

18/06/07 コメント:0件 ちほ 閲覧数:107

  リンブルグ村の古着屋『クスクス』の裏から続く細い道を通った先に、育てたキノコが全て薬に使えるように変化する神の地『果て』がある。どう開拓しようかとユキヤが頭を捻らせていると、森の方から小さな男の子がトコトコ歩いてくる。パブ『ロビン』の店主・ピートの息子ウォルターだ。幼い子どもが、こんな場所にひとりでやってくるとは、どういうことだろう。
  逃げ出したひよこを追いかけていたら、・・・

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笑って

18/06/06 コメント:2件 向本果乃子 閲覧数:205

「おつかれサマーバケーション!」
 サッカー部の練習を終えて汗だくの俺の前に立つ繭。突然口をとがらせて親指を立て肩をすくめると、縄跳びネタが人気の芸人の動きを始めた。俺の後ろにいた1年が爆笑する。
「柏木先輩、そんなキャラでしたっけ?」
 繭は後輩がいたことに気づいていなかったらしく、顔を真っ赤にして俯いた。
 いつからか俺の前でダジャレを言ったり芸人の真似をしたりするよう・・・

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ヴァンパイア

18/06/05 コメント:0件 早川 閲覧数:136

 僕の側にいるのは一人の恋人だ。彼女は吸血鬼だった。人の血を吸う事でしか生きることができない。そして僕は彼女の秘密を抱えながらそっと生きている。
「ねえ」
 彼女の名前は玲奈と言った。見た目は至って普通の人間。しかし、彼女の八重歯は人の血を吸うことができる。
「ねえ、聞いてる?」
 彼女は僕に問いかける。
「聞いてるよ」
 僕はその美しさに魅了されていた。なぜだ・・・

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チェーン彼女

18/06/04 コメント:2件 浅月庵 閲覧数:286

 付き合った当初は優しくて愛嬌があって、髪の生えたミシュランマンみたいだなって思ってたけど、どうやら彼女は短距離走が得意な子のようだった。

 付き合って三ヶ月くらいで本性を現し、ソファに寝転がって煎餅を齧りながらケツを掻くような女になり下がってしまい、もう煎餅のボリボリ音だかケツのボリボリ音だかわかんなくてボリボリする。いや、イライラする。

 しかも自分のことをお姫様と・・・

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18/06/04 コメント:0件 六井 象 閲覧数:125

 アルバイトをしている喫茶店に、朝から妙な4人組が来て、コーヒー1杯で夜まで居座り続けていた。
 コーヒーを飲んだり煙草を吸ったりする時以外はずっと額を付き合わせて、何かを話し合っているのだが、その結論がなかなか出ないらしい。
 とうとう閉店の時間になってしまったのでそのことを告げに行くと、4人組のうちの1人が突然私を指さし、「もう、この人に決めてもらおう」とやけになったような調子で言・・・

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地獄と炎

18/06/04 コメント:0件 六井 象 閲覧数:98

 拷問ポイントが貯まったので、お前を焼く業火の色を選べます、と地獄の鬼に言われたが、周りの罪人たちから浮きたくなくて、結局プレーンを選んでしまった。
 本当はレモンイエローが良かったのに。

 地獄に落ちても、結局僕は何も変わらなかった。・・・

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ヌード

18/06/04 コメント:0件 六井 象 閲覧数:107

 裏通りで何だか晴れ晴れとした様子のガイコツとすれ違った。
 ガイコツのやってきた方へ歩いていくと、女の髪や皮や指輪が無造作に突っ込まれたゴミ箱を前に、コンビニのアルバイトが呆然としていた。・・・

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ノストラダムス症候群

18/06/03 コメント:0件 いっき 閲覧数:117

「IQ300……」  ある日、サイトのIQテストをすると凄まじい数字が出た。 『あなたは天才を超えた超天才です。全てのことを予測することができるあなた程の天才は、あなた以外存在しないでしょう』  ここまでのコメントが書かれていた。 (凄い!俺は天才を超えた超天才だったのか!)  俺は胸を弾ませた。 (俺は無敵だ。全てのことを予測することができるのだから。それでは、手始めに……女だ!桜桃男子の俺だ・・・

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駆け落ちの賭けをしようか

18/06/03 コメント:2件 腹時計 閲覧数:130

 彼はそのとき高二で、高橋はその担任だった。残暑厳しい秋の日の放課後、束ねていないカーテンが波打つ教室で、彼は爆弾発言を投下した。

「先生、ぼくと駆け落ちしてください」

 高橋はしばらくその意味がつかめず呆然とした後、激しく咳き込み、息苦しさに身体をくの字に曲げる。なんだか胃がむかむかするのは、きっと気のせいではない。元凶の発言をかましてくれた生徒は、無表情のまま、冷め・・・

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コメディアン

18/06/03 コメント:0件 早川 閲覧数:121

 俺と圭は二人で教室の隅に座っていた。この高校の落ちこぼれでお互いに友達がいない。クラスの連中を見上げては陰口を言い合う。
「さゆりの化粧みてみろよ」と俺は言った。
「あいつ高校生にもなってまだ反抗してるよな。正直時代遅れ」
「そうそう。ああやって派手な化粧して仲間に入ろうとしてる」
「馬鹿みたいだよな」
「ほんと笑える」
 俺と圭はそんな風にクラスの目立つグル・・・

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マイコメディアン

18/06/03 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:108

 一杯飲み屋のテーブルに向かいあってのんでいた山本が、ふいにカウンタ―のほうを指さした。
「ほら、あそこに――」
 なんのことかと僕は、彼の指先をたどって、カウンターの端にすわる一人の男をみた。白いものがめだつ後頭部よりも、そのどこか寂し気な背中が男のうらぶれた心情を素直に物語っていた。
「あの人が、どうした」
「彼だよ、喜多南」
「きた、みなみ……ってあの、お笑い芸・・・

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理系男子と恋の方程式

18/06/03 コメント:2件 上村夏樹 閲覧数:133

「理央くん。恋愛研究部の活動を始めよう」 「ああ。文香よ、今日の活動内容はこれだ」  理央くんは黒板を指さした。そこには白い文字で『夏祭りデートで異性に告白するシミュレーションをしよう』と書かれている。  ここは恋愛研究部の部室。放課後、私たちは学校では教えてくれない恋愛について日々研究している。  相方の理央くんは理系科目を愛している理系男子だ。一方、私は平凡な文系女子である。 「さて、どちらが・・・

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フィクションorノンフィクション?

18/06/02 コメント:0件 新屋鉄仙 閲覧数:123

『今から数千年前、猿から人へと進化した人類はこの地球の支配者となっていた。文明を発達させた人類は生活を楽にするため、AIを開発し、身の回りの全てのことを最高の存在であるアンドロイドたちに任せるようになっていった。
 怠惰を極めた人類は体を動かすことをやめるため、エネルギー補給などの生理的な行動を全て自動化していった。いつしか人類は全ての生産的な行動をアンドロイドに任せるようになっており、エネ・・・

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笑いを取り戻せ!

18/06/02 コメント:0件 本宮晃樹 閲覧数:109

「アノ、スイマセン……」ミネソタあたりからやってきたであろう壮年夫婦。彼らは期待に目を輝かせている。「わたしたち、聞きたいことアリマス」
 肩で風を切って歩く若者は内心うんざりしていたが、これも大阪のためだと涙を呑む。大阪生まれ大阪育ち、そして当面のところ大阪から出ていくつもりはない。彼は大阪を誰よりも愛し、万が一大阪が滅びるなんてことがあるのなら、喜んでそれに付き合うつもりだった。
・・・

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コメディって。

18/06/02 コメント:0件 泡沫 閲覧数:112

「面白かったね!」  君はそう言って笑った。僕にはただの笑顔にしか見えないのだが、その裏にある僕に対する――いや、僕に限らず周りにいるみなにもあてはまる――同情の想いを感じざるを得なかった。 「うん、また見ようね」  僕はコメディドラマが録画してあるDVDを取り出し、テレビの電源を落とした。消灯の時刻だ。  僕は今、各部屋六人が布団を敷けるだけの部屋にいる。男女ともに三人ずつの部屋割りは前か・・・

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窓枠テレビ〜あの日、路地裏スタジオから〜

18/06/02 コメント:2件 クナリ 閲覧数:181

 なぜ私が人を笑わせる仕事を生業に選んだのかと言われれば、この他に理由はない。
 あれは私が小学六年生、はなたれ坊主の頃だった。
 下町というのはどこもそうなのかもしれないが、私の住んでいた長屋には、幾筋もの裏路地が家々の間を渡っていた。
 私には三つ上の、背が高く見目もよく秀才という、大変出来のいい兄がいて、兄への引け目からか、私は裏路地だの町外れだの、そういうところを主な遊び・・・

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人生はコメディ

18/06/01 コメント:0件 みゆみゆ 閲覧数:170

 「あのね、これからはぼくが、お母さんを笑わせてあげるよ」おやつのホットケーキをもぐもぐしながら晴斗が言う。小学生になって、一度に二枚食べるようになった。「笑うとね、元気が出るんだって」
 「じゃあ、ママを元気にしてくれるの?」晴斗は「そうだよ」とうなずいてホットケーキを口に運ぶ。この時間に私の幸せが詰まっている。幼稚園で泥だんごを作っていた頃の顔を、学校での出来事を話す顔に重ねて見える成長・・・

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ある中学校での話

18/06/01 コメント:0件 たい焼き好き 閲覧数:138

『いただきます』の合図でみんなが一斉に箸を取る。最初にご飯に手をつける人もいれば、魚の骨を取る人もいる。そんなありきたりな風景の中、私、神楽舞は、重大な問題に悩まされていた。
「牛乳おかわりいる人ー…は、いないか…。よーし、じゃあ剣崎、これ全部飲め」
「えー流石に五本はきついっすよ先生!1リットルですよー!」
「あ、じゃあ俺のもよろしくー」
「ちょ、こゆびは自分で飲めよ!っ・・・

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シナイ写本 p457

18/06/01 コメント:0件 64GB 閲覧数:133

サンフランシスコ大学で教鞭を取っている私がシリアを訪れることになったのには訳があった。
ギリシャ語で書かれた最古級のパピルス写本が見つかったからだ。新しい資料が見つかったくらいでは、わざわざシリアまで来ることはないのだが、大発見の予感がある。シナイ写本やヴァチカン写本と匹敵するほどの一級品の資料だと言うのだ。
もしかするとパウロが書いた手紙の原文かもしれない。そう思うと言い知れない思・・・

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ソフィア

18/05/31 コメント:0件 路地裏 閲覧数:204

眠そうに開かれたサファイアブルーの瞳は今なおその美しさを維持している。小さな手がこちらへ伸びてきて、不慣れな様子で私の体を撫でる。酷く下手くそな撫で方だ。こんな風に撫でられるのは私の人生においてこれが2度目である。

少女は私と同じサファイアブルーの瞳をしていた。少し癖っ毛だが美しいブロンドヘアを持つその少女の名前はソフィアと言う。フランス人の父と日本人の母の元に生まれた美しい娘だ・・・

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絶対に笑ってはならない

18/05/30 コメント:2件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:161

 困ったことになった。貫夫は途方に暮れてしまった。
 美紀の母親が、急な病で他界した。間近に結婚式を控えていたやさきのできごとだった。美紀は、貫夫より三つ年下だったが、気丈にも、彼のまえでは涙ひとつみせなかった。三人きょうだいの長女でもあり、母の告別式の準備に、父親ともども率先して動く姿がむしろ痛々しくうつった。
 問題は、そのことではない。
 これまで、人には話したことがなかっ・・・

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ボトルレター フロム スカイ

18/05/29 コメント:0件 石蕗亮 閲覧数:187

 昔昔の御伽話 天気の良い日に雲も無いのに陰る時 空から何が降ってきても触ってはいけません。 どんな言葉が聞こえて来ても一切答えてはいけません。 もしもそれらに関わればその日は家に帰られない。 その後も一生帰られない。 帰ってきても誰の目にも見えない触れない聞こえない さみしいお化けのできあがり。 姉が行方不明になってからもうすぐ7年になる。 7年経つと失踪宣告で死んだことになる。 当時13歳だ・・・

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執着を捨てて

18/05/28 コメント:0件 石蕗亮 閲覧数:173

赤い赤い夕焼けが街中を赤に染めていた。 人も車も街路樹も、赤を纏い赤に彩られていた。 夕陽を浴びた場所は鮮やかに、影を負った場所は赤暗くに、コントラストとグラデーションで街は色彩を奏でていた。 そんな色鮮やかな街の一角にぽつりと、昏い昏い場所があった。 周囲の赤が、そこだけ滲んでいるようにぼやけていた。 そしてその場所だけは、赤というより紅かった。 駅前の人通りの多い場所でありながら、何故か其処は・・・

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プリーズプリーズイラストレーター

18/05/28 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:160

 月に一度、出版社をおどかしに行く。
「よーう、不二家で百個買ったのになんにもオマケしてもらえなかった爺さんです、こんにちは」
「佐野さん。差し入れはありがたいんですけど、不二家さんに迷惑かけないでくださいよ。編集全部でも二十人ちょっとなんですよ? うわ、ペコちゃんのほっぺ全部カスタードだ、恐ろしい」 
「けっけっけ、愉快痛快、セイ?」
「言いませんよ」
「言わなくて・・・

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俺の血をどんどん吸え

18/05/28 コメント:0件 霜月秋介 閲覧数:128

 耐えている。その男は、ただひたすら痒みに耐えている。夏の夕暮れ、空中に浮遊する蚊は、草刈を終えて汗ばんだ彼の体に容赦なく襲い掛かる。彼はいったいどれだけの蚊に無抵抗で刺されたのだろうか。無数の蚊が彼の血を吸うのを見ていると、見ている私までが蚊に刺されているようで体が痒く感じる。私なら目の前に蚊が飛んでいるのを見つけた瞬間、即座に駆除するだろう。しかし目の前の彼はそれをしない。なぜ黙って蚊に血を吸・・・

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浮遊する言葉たち

18/05/28 コメント:0件 小峰綾子 閲覧数:201

学校の帰りに100円ショップによってうろうろしている時だった。いつものようにスマホでラジオを聴きながら。耳にはイヤホンが入っている。

隣に立っていた同い年ぐらいの男子が私の方を見てハッとしたようで、何か言っている。イヤホンをしていたので聞こえなかったので、片耳だけ外して
「なんですか」
と聞いた。
「そのステッカー、金曜のラジオの・・・」
私のスマホに張ってい・・・

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宙 108個の風船

18/05/28 コメント:0件 nekoneko 閲覧数:100

 風船の群れが用意ドンの合図で一斉に空に放され赤。黄。青。橙。緑。色の風船達が風に煽られながら空一面に広がって行く。同時に、周りからは響き渡る歓声とドヨメキ声。僕は、空中を漂う様に飛び交う風船の群れをボンヤリと眺めながら、その数を数え出した。全部で108個。それから、間が開き。「本日のイベントはこれで全て終了いたしました。」と女性のアナウンスが響き渡り僕の周ると、僕の周りにいる人達が一斉に帰り支度・・・

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アホの鳥

18/05/28 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:142

 昔々あるところにアホの鳥がいました。

 アホでしたが食べたら旨いので、それが唯一かつ最強の自慢でした。



 ある時、

 「こんなに俺は旨いんだから、他に取り柄を伸ばそう」

 と、鳥は思いました。



 それから、ただ旨いだけだったアホの鳥の快進撃が始まりました。



 めっち・・・

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フク子さんと惑星ブランコ

18/05/28 コメント:4件 冬垣ひなた 閲覧数:232

 SNSのタイムラインはまた、校舎から飛び降り自殺した男子中学生の話題で持ち切りだ。
 いじめが原因だって? 何にも悪いことしてないのにさ、「いじめられた方にも原因が」とか「死んだら掃除する人が迷惑」とか言われて可哀想に、あたしも他人事じゃないよ。


 スマートフォンの画面から目を離すと、公園のベンチに腰かけていたフク子は、夕空を眩しそうに仰いだ。
 有り難いお天道・・・

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遠くの近く

18/05/28 コメント:0件 四島トイ 閲覧数:100

「保浦先生。テレビやってますよ」
 事務室からの声に応えず、茜色の空を見上げていた。
 夕暮れは、雲の輪郭を切り取り、質量を感じさせる白色が黄金色に縁取られている。見上げる遥か先に、遠い世界が突き抜けていく。
 不意に何かが光った。
 金星、と叫ぶ少女の声が聞こえた気がして、あの日と同じように保浦は耳を澄ませた。


 砂浜に少年少女が座っていた。その背中・・・

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つながり

18/05/28 コメント:0件 アラウンド君 閲覧数:80


生き物は、どうやってツガイとなるパートナーを探すのだろう。シロナガスクジラは、体が大きいから相手を見つけやすいかもしれないけど、ミジンコみたいに小さいやつだと大変だ。地球みたいな宇宙から見たら、すごくちっぽけな世界の中でも、たまたまか、運命か、全ての生きものたちがめぐりあい、愛を深めていき、次の世代にバトンを繋いでいっている。
そして今。
奇跡的な確率で、君と僕は出会っ・・・

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わたしを見て笑って。

18/05/28 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:208

 その少女は美貌で、頭脳明晰で、特殊な能力を授かっていた。病人に手をかざし、あっという間に治癒することができた。どこにいっても少女は歓迎された。

 ある時、少女は不治の病に侵された。この世のものとも思えぬ奇病だった。
 血は吐くわ目は見えなくなるわ髪の毛は抜けるわ食事は喉を通らぬわで、少女はやせ衰え、病室で死を待つばかりとなった。
 
 これまで少女が手をかざせば病・・・

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浮遊する魂

18/05/28 コメント:0件 みや 閲覧数:89

肝臓の末期癌で入院している七十五歳の私の身体の状態は一週間程前から確実に悪化していて、心電図モニターやら酸素吸入やらがジャラジャラと身体に取り付けられていた。以前からお腹の廃液ドレーンが二本と大きな点滴の管を付けていたので全部で五本、まるで管人間だ、と私は私を俯瞰で眺めながら妙に可笑しくなった。

自分を自分で俯瞰で眺めるなど実際には不可能な事なのだが、今の私にはそれが出来ていた。

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多田くんは浮いている。

18/05/28 コメント:0件 小高まあな 閲覧数:173

 多田くんはクラスで浮いている。
 クラスの子と話してるところを数える程しか見たことがない。話しかけてもそっけない。休み時間はずっとなにか分厚い本を読んでいる。どんな授業も引くぐらい真剣。お昼ご飯はいつもカロリーメイト。
 決して悪い人ではないけれど、多田くんは他のみんなとの間に一線を引いているし、他のみんなからも一線を引かれている。
 高校生にもなったら、少し違うからといって、・・・

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午前四時の帰り道

18/05/28 コメント:0件 野々小花 閲覧数:120

 午後六時の世界はオレンジ色に染まっている。僕はいつものように駅前のロータリーでバスを待っている。サラリーマンや制服を着た人々が駅の出口から、まるで吐き出されるようにして出て来るのが見えた。一日を終えた顔には、充実と安堵と疲労が綯い交ぜになっている。
 バスは、バイパスを降りると田園風景のなかを走る。しばらくすると突如として灰色の工場群が姿を現す。その中に吸い込まれていくようにして僕の乗った・・・

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浮いてるセンチにセンチメンタル

18/05/28 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:147

 電車の中吊り広告、ワイドショーのキャッチに一発目、今日も「有名タレントの娘夢落ち消失」の文字と声が無節操な口パクを操って世間を席巻していく。
 世知辛い世を儚む警鐘の具現、供物、なんて使い慣れない殺傷回数の微量な言葉を拾って悦に入るコメンテーターは、夢落ちに無縁なまま人生を終える気でいる。
 目を醒ますことなく眠りっぱなしの息子娘に遭遇するなんてピーナッツのチョッポリほども懸念しない・・・

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お笑い予選

18/05/28 コメント:0件 風宮 雅俊 閲覧数:159

 テレビ局内の小ホールには、予選出場者と同じくらいの人数が観客席に詰め掛けていた。予選参加者は出番待ちに緊張していた。観客席側も一言一句聞き逃すまいと緊張していた。
「これより、第二十三回、お笑い大会の予選を行います。予選に先立ち、第二十三回より昨今の放送事故を防ぐ為に関連団体の方に審査の協力をお願いしております。よろしくお願いいたします」
 司会は観客席にお辞儀をした。
「では・・・

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月凪公園奇譚

18/05/28 コメント:1件 宮下 倖 閲覧数:210

「……防犯カメ……映像……犯人の特ちょ…………不審物には充分……てください……」
 ラジオのチューニングがうまく合わない。一週間前から電波がよくないのでラジオもテレビも調子が悪いが、これはしばらく仕方ないだろう。
「……次は、月凪公園浮遊のニュースです。突如として月凪公園が浮き上がってから一週間が経ちました。各分野の研究者が調査を続けていますが未だに原因は特定できず、周辺住民の不安は続・・・

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シ二ボタル

18/05/28 コメント:1件 そらの珊瑚 閲覧数:149

 すっかり夜が更けると、小川のそこかしこで青白く光るものが揺らぐ。ゆらーん、ゆらん。蛍だった。
「ばっちゃん、きれいやね」
 私が伸ばした幼い手のひらに、蛍が一匹とまった。いつもそうだった。つかもうとしたわけではない。蛍が自らの意志で、或いは見えざる何かの力に導かれるように私のところへやってくる、そんなかんじだった。
 小さかった私は、葛で編んだ祖母の手作りの籠の中に、その蛍をそ・・・

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キラワレモノと破壊神

18/05/28 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:165

 割れ物注意、なんて注意書きは、俺に合いすぎている。むしろ、割れ物どころか『壊れ物』、さらに言えば『キラワレモノ』だが。
 向けられた銃口を軽く握っただけで、銃は粉微塵になった。
 自分の手元と俺の無表情を、男は唖然と見比べる。
 その間、俺の横を他人が素早く駆け抜けた。
「隙ありぃっ!」
「ぐほあぁッ!」
 自分より小柄な女の体当たりを、男はまともにくらった。・・・

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海に浮かぶ男

18/05/28 コメント:0件 伊川 佑介 閲覧数:88

 最初、水死体かと思った。痩せこけたウェットスーツ姿の男が海面にプカプカ漂っている。しばらく眺めていると、男がゆっくりとこちらに顔を向けた。達観したような、灰汁の抜けた澄んだ瞳をしていた。

「10年くらい前から、ここでゆっくりしてるのよ」
男に案内されるまま、海辺の小屋に入った。自然の中にポツンと建った、侘しく朽ちた小屋だった。寝袋と携帯コンロ、少しの食器があるだけで、中にはほ・・・

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六畳間のクリエイター

18/05/27 コメント:1件 冬垣ひなた 閲覧数:183

 昭和の時代。私がまだ、とても幼かった頃の物語。2軒隣に住んでいたみっちゃんは、私の初めての友達だった。幼稚園に行くのも、遊ぶのも一緒。いつも私は彼女の家まで呼びに行く。 「みっちゃん、遊ぼう」  玄関の内側で待っている間、幼児の私は不思議な気持ちで、振り返って引き戸を見上げていた。  戸と天井までの空間に、それほど大きくない幾つかの絵が額に入れられ、大切そうに飾られている。絵画教室に通っていた子・・・

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浮遊者への着地許可

18/05/27 コメント:0件 光石七 閲覧数:152

 掃除を一通り終え、私はパソコンの電源を入れた。起動を待つ。顔の無いぼやけたマネキンもどき、ぐにゃぐにゃしたシャボン玉もどきが次々と現れ、自室の中を漂い始める。Wordを開く。
(テーマ【弁当】……。愛妻弁当ならぬ「愛夫弁当」の話は?)
 マネキンもどきの一つが男性の姿に変わる。まだ顔ははっきりしない。自室の一角でシャボン玉もどきが変形して台所を構成する。
(年配の男性かな。男子・・・

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私の祖父のこと

18/05/27 コメント:0件 三明治 閲覧数:93

 祖父は昭和の初め、浅草六区で奇術師として舞台に立っておりました。
 我が家のアルバムにはタキシードにシルクハットを被りポーズを決めている写真が何葉か残されております。祖母の話によると、垢抜けたスタイルで「種も仕掛けもございません」と云う口上は当時の流行語にもなったそうです。
 ある秋の日、舞台を終えた祖父は「煙草を買ってくる」と云い残し楽屋を出たまま姿を消してしまいました。祖母も周囲・・・

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歌う旅人!現在、熱唱中!

18/05/27 コメント:0件 アラウンド君 閲覧数:100

今のなんて歌ですか。
 思わず立ち止まって、彼に話しかけていた。
 ここは、世に言う無人駅だった。
各駅停車しか停まらないこの駅は、一日に停車する電車も数える程で、停車したとしても、乗り降りは、数人がほとんどだった。
私は、毎日のように、通勤に使っているが、同年代の女性が使っているのは、見たことがない。多分、こんな田舎から、都会の方まで通勤していくという女性は珍しいのだ。<・・・

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わたしはジャージが被れない

18/05/27 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:183

 すべては、あの日深夜に起きた両親の口論が始まりでした。

 わたしは二階の自身の部屋で就寝していたのですが、一階のリビングから聞こえる二人の話し声が五月蝿く、ついに覚醒してしまいました。時間が経つにつれ罵り声は激しくなっていき、わたしは猛烈に怖くなると、布団のなかで芋虫のように丸くなったのです。
 
 しばらくすると夫婦喧嘩は収まり、わたしは恐る恐る階段を降りて一階へと向・・・

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