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17/11/21 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:170

 課長は仕事もできて、女子社員からの受けもよい。
 しかも奥さんが良い。社内結婚なので、みんな奥さんのことを知っている。美人で、乳が良い。
  
 社服のベストのふくらみは、普通より少し小ぶり。
 形が美しい。あれは稀に見る神乳。
 透けるような美肌。
  
 課長と結婚し、退社した彼女(の乳)。
 当時俺は、のたうち回って苦しんだ。
 あの乳・・・

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ろくろの首

17/11/21 コメント:0件 土佐 千里 閲覧数:97

薄暗い部屋に顕微鏡がずらりと並んでいる。黒いカーテンの外から少し太陽の光が差し込んでいる。ペトリ皿に自分の髪の毛を置き、ろくろの上で器用に回転させながら培養していく。
明の作業部屋だ。
富松明、32歳、会社員。生物学部卒。社会人になった今も、仕事の傍ら、趣味の研究に励んでいる。
明の目標は、誰も作れなかったクローン人間を作ること。
「俺と同じクローンを作って、仕事も行っても・・・

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ホラービデオ

17/11/21 コメント:0件 瀧上ルーシー 閲覧数:156

 うちのお父さんはホラー映画が大好きだ。
 その日中学校から帰ってくると、私は手を洗ってうがいをして部屋着のスウェットに着替えてリビングに出た。テレビ台の中のDVDレコーダーの下の段には何本かホラー映画のDVDが入っていた。またお父さんがレンタルビデオ屋で借りてきたらしい。私は学校でクラブも帰宅部だし、勉強にもそんなにやる気を出さないので暇だった。友達くらいは一応はいるが、毎日は一緒に遊ばな・・・

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ありふれたホラ女の言い分

17/11/21 コメント:0件 秋 ひのこ 閲覧数:95

「お約束だけど、観た後思わず自分の腕くっついてるか確かめちゃったよー」
「やるよねー」
 「鑑賞会」の後、場所を移動したカフェでヒカリをはじめとする5人の女性が盛り上がっている。全員、20代後半。ネットを通じて知り合ったホラー愛好家、改め「ホラ女(じょ)」たち。
「あー、でも本当にこのメンバーと出会えてよかった」
 ヒカリが桃のカクテルを手にしみじみ言った。
「ホラ活・・・

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こがねいろ――弁当が示す一筋の光

17/11/21 コメント:2件 文月めぐ 閲覧数:153

 営業先の企業から一歩外に出ると、俺はたまっていた息をはああ、と盛大に吐き出した。アスファルトからの熱気と、蝉の声が身体にまとわりつく。白いカッターシャツに太陽の光が反射して、まぶしい。外の暑さを感じた瞬間、肩に提げた鞄がぐっと重くなった。

 片岡、と名乗った、先ほどの青年の顔を思い出す。どことなくぱっとしない、地味な顔つきと、感情表現に乏しい表情。俺の電卓にはじき出された「1100・・・

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空間

17/11/21 コメント:0件 土井 留 閲覧数:116

 気が付くと何もない空間に立っていた。
 辺りは薄暗く、四方は漆黒に沈んでいる。
 地面が無く、足下には空間が広がっている。
 そして、巨大な、とてつもなく巨大な眼球がひとつ、下からこちらを見上げていた。
 私は悲鳴を上げて半歩後ろによろめいた。
 景色が見えないのに距離を感じるのは奇妙だが、その巨大な目は確かに遥か下方にあった。暗さのためか瞳孔は大きく広がり、瞳の大・・・

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迷い

17/11/21 コメント:0件 nekoneko 閲覧数:92

真夏の昼時、浴びせる様に降り注ぐ暴力的な太陽の光は容赦することなく地上のありとあらゆる物に降り注がれていた。そして、その光は、ただ降り注ぐのみではなく熱さをも伴っていた、熱を帯びた光りは周囲にぶつかると、又羽乖離、時には、その光と光りがぶつかり合う事で未知なるエネルギーを生みだし、それが暑さを過剰に醸し出しているのではないかと思えてきた。熱い。私の口元から思わず言葉が漏れた。歩く先から僅かだが湯気・・・

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大統領の食事

17/11/20 コメント:0件 小林健三 閲覧数:101

 大統領が常日頃から周囲に言っていることがある。
「忙しいときほど、食事と睡眠をおろそかにしてはならない」
 大統領の家に代々伝わる家訓である。体調管理の秘訣でもあり、空腹や睡眠不足だと作業効率が悪くなるという戒めでもある。大統領はその家訓を大事に守ってきた。実際、大統領が使っている寝具は、一流の職人によるオーダーメイドである。そして大統領は睡眠以上に、食事にこだわりを持っている。大統・・・

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ラブゲームではいられなくて

17/11/20 コメント:1件 冬垣ひなた 閲覧数:174

 やっぱり、あなたが好きだった。
 高校時代の思い出を飾るスクラップブックのページ。内緒で撮ったあなたの写真は、跳ねっ返りな少女だった私の大事なお守りで、いつか羽化するように大人になれると信じていた。あなたとの『love』を愛だと錯覚して。
 知っているよ、テニスでの『love』は『0』のこと。
 無得点で終わった駄目なラブゲームじゃ、あなたの思い出にもなれないですか?
 ・・・

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時に一個のパンの先

17/11/20 コメント:2件 むねすけ 閲覧数:143

 初めて自分の半身と出会ったのは幼稚園の頃だった。
「じゃあね。僕はピアノを頑張ってみるから」
 透けて向こうが見える半分の僕はそう言い残すとピアノに吸い込まれるように消えた。僕はその日母に泣きついて、ピアノレッスンから逃げた。先生が厳しくて怖かったから、好きだったはずのピアノの音に背を向けて僕は教室を出た。
 二人目と出会ったのは小学生の頃。地域の少年野球チームでライトフライを・・・

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婚活男子

17/11/20 コメント:0件 南野モリコ 閲覧数:293

もう迷わない。僕が生涯の愛を誓う女性は、サチコ、君しかいない。活男は、大きく深呼吸してから言った。「結婚してくれますか?」
サチコも大きく頷き、小さく言った。「はい、よろしくお願いします」

この結婚相談所は、「3」がルールだった。登録された会員のプロフィールを見て自分に合う相手を見つけるのだが、会う相手は3人まで。もし相手を気に入ったら会えるのは3回まで。3人と会って結婚相手が・・・

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スクールカースト

17/11/20 コメント:0件 入江弥彦 閲覧数:226

 ここで飛び出して行けば、標的は間違いなく僕に変わるだろう。
 かといって、この光景を無視してどこかに逃げてしまえば、罪悪感で眠れなくなる。
 怖い。怖すぎる。できるわけがない。
 スクールカーストという言葉はもしかすると、僕ら下位の人間が自分の立ち位置に納得するために作ったものなのかもしれない。



 僕の朝は、清掃から始まる。
 靴の中のゴミを・・・

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エリサの決断

17/11/20 コメント:2件 そらの珊瑚 閲覧数:99

 エリサは自分の人生を振り返る。

 二十歳の時に歌手としてCDデビューし、イスラムの新星歌姫と世界の音楽シーンから注目を集めた。
 翌年に外国人と恋に落ち、国も宗教も捨て、渡仏し、今の夫でもあるポールと結婚した。迷いはなかった。それから五十歳を迎えるこの年まで、自分の心の声のままに生きてきた。

 夫がいる身でありながら恋人が出来た。そのことをマスコミや彼女・・・

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姉妹

17/11/20 コメント:0件 宮下 倖 閲覧数:103

 わたしの姉は迷いのない人でした。
 子どものころからずっとそうで、決断力に富み、何事もてきぱきとこなす姿は爽快でした。
 それに比べ妹のわたしは迷ってばかりで、ひとつ決めるにもひどく時間がかかるのです。双子なのにこうも違うのかと両親でさえ苦笑するほど正反対の姉妹でした。
 たとえば家族でスーパーに買い物に出かけ、母から「なにかひとつだけ買ってあげるから持ってらっしゃい」と言われ・・・

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迷いウサギ

17/11/20 コメント:0件 みや 閲覧数:75

小学校の始業時間の一時間ほど前に登校するのが、四月から新卒の教員としてこの小学校に赴任し、二年生のクラスの担任を任されている私の日課となっていた。登校したらすぐに校庭の隅っこにあるウサギ小屋に向かい、ウサギに餌を与える。朝早くに子供達を登校させて餌やりをさせる事は保護者からの反発があるので担任の私の役目になっていた。
今日も私は朝一番にウサギ小屋に出向き、ウサギ小屋の鍵を開けようとしたら、鍵・・・

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悩める乙女

17/11/20 コメント:2件 泡沫恋歌 閲覧数:158

 悩める乙女の相談にのってください!
 とっても迷ってるんです。実は同時に二人の男子から告白されちゃったの。まるで嘘みたい……自分で認めるのも悔しいけど、アタシってば、美人じゃないし、まあ十人並み? 成績だって中くらいだし、スポーツはやや苦手、ごくごくフツーの高校二年の女子なんです。
 それが急にモテ期到来? ありえない!

 告ってきた男子、一人は野球部のエース遊佐くん、・・・

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情熱と光のなかにいた

17/11/20 コメント:0件 野々小花 閲覧数:145

 子供の頃から、ドラマや映画を見るのが好きだった。テレビやスクリーンに映っている俳優と呼ばれるひと達に憧れた。自分ならもっと上手く演じることができる。もっと違った役への解釈やアプローチができる。そんな風に、生意気なことを思ってもいた。
 東京にある小さな劇団に入ったのは十九歳のとき。初めて舞台に立ったのはそれからしばらく経ってからだ。白粉や口紅ではなく、泥だらけのメイクを施した。自由を守るた・・・

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白猫手芸店

17/11/20 コメント:4件 そらの珊瑚 閲覧数:132

 入り口のドアを引くと、ドアの上部に吊るしたベルが、ちりりん、と鳴った。木の取っ手も、軽やかなベルの音もあの頃のままみたい。小さな店内は人で混んでいた。『全品半額セール』という表の貼り紙の効果だろう。この店がこんなに賑わっているを初めて見た気がする。
 色とりどりの布。透明のひきだしに入れられた様々な糸やボタン、そして棚一面に並べられた毛糸。この店はあの頃とちっとも変っていない。まるでタイム・・・

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迷わない妹は迷子

17/11/20 コメント:0件 小高まあな 閲覧数:140

 私の双子の妹は、迷いというものがない子だった。
 
 私は迷ってばかりで、優柔不断で、家族で出かけたレストランでも何を食べるか決めることができずに、いつまでもうだうだと悩み、終いには父に「はやくしろ!」と叱られていた。
 それに対して妹は、いつもぱっと見て決めていた。決して適当なわけではない。彼女なりの決め手や基があって、その上であっという間に決めていたのだ。
 
・・・

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秋の大運動会

17/11/20 コメント:0件 風宮 雅俊 閲覧数:95

「紅組、白組の応援団のみなさんお疲れさまでした。これよりお昼となります。うがいと手洗いをしてからご飯を食べて下さい。次の競技は玉入れです。出場する選手は午後十二時五十分になかよし門に集合してください」
「あー・・・父兄の皆様、体育館は開放してありますのでお昼ご飯の場としてお使いください。なお、一階の教室は児童用に開放していますので父兄のご利用はお控えください」
 放送係の後、先生からの・・・

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【迷い】の果てに

17/11/20 コメント:4件 光石七 閲覧数:156

 真実を伝えることこそジャーナリストの使命。その信念のもと、岸田はいくつもの記事を書いてきた。だが……
(この『真実』だけは公表しないほうが世のためだろうか? 知らしめたところで多くの犠牲と不幸を生むだけだ。真実は時に残酷だとわかっているが、さすがにこれは……)
 岸田は悩んだ。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 五行打ち込んだところで止まっている書きかけの・・・

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再出発

17/11/20 コメント:0件 ツチフル 閲覧数:91

「スズランの根を乾燥させたものだそうだ」
 言って、道人は薄茶色の粉末が入った薬包紙をテーブルに置いた。
「こいつに含まれてる何とかって毒を飲むと、二三時間後に心不全を起こして死んじまうらしい」
 帰ってくるなり語り出した恋人を、玲奈は無言で見つめる。
 理解できたことは二つ。薬包紙に入っている粉末の素材と、その効用。
 理解できないことも二つ。どこで、それから何のた・・・

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テロ弁

17/11/20 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:95

「いいか、よくきけよ」 目だし帽をかぶったボスの凄みのある声が、俺の鼓膜をふるわした。 ボスは俺の目のまえに、中身のつまった弁当箱をさしだした。いくさの前のはらごしらえ。血も涙もないとおもっていたボスにも、こんな一面があったのかと、俺がふと気をゆるませかけたとき、それをみぬいたかのようにボスはにたりと笑った。 「これは弁当型爆弾だ。スィッチがはいれば周囲五十メートルにいるものはみな、爆風でふきとば・・・

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男を落とすには胃袋を掴め

17/11/20 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:75

「母上」
 高校生の娘は言った。
「……何? 生まれてこのかたそんな呼ばれ方したことも、そんな真剣な眼差しも初めてなんだけど、あんた自殺でもすんの?」
「決死の覚悟という意味では合ってる」
「なるほど、全然わからない。で、用は何?」
 娘は現在難題を抱えていた。その突破口が母にあると踏んだのだった。

 違和感を抱いたのは小学校の終わり頃。母は、どう見ても・・・

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魔物は生きている

17/11/20 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:73

 青年は、すこし変わった冒険者でした。

 冒険者というのは、冒険をする人のことですが、それを仕事にしている場合、ギルドというところからいろいろなお願い事を紹介してもらい、こなすことでお金をもらう人のことをいいます。
 例えば、薬の材料になる草を取って来て欲しいというお願い。例えば、人を襲う魔物がいるから退治して欲しいというお願い。例えば、謎の遺跡を調べて欲しいというお願い。

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おやつ代に上限はあるがお弁当代に上限はない

17/11/20 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:77

 その小学四年生女児は、遠足が嫌だった。
 遠足が遠足たるゆえん、ちょっと遠出をすることは嫌ではない。また、教室の授業より運動が好き派でもあった。しかし遠足とは、それだけの行事ではない。
 目的地に着いた後、遠足という悪魔は、本領を発揮する――。

 引率教師のひとり、女児の担任は、声を張り上げる。
「それじゃ、今から自由行動にします。くれぐれも、公園の外には出ない、・・・

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お弁当と一緒に、あたためますか?

17/11/20 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:116

 トマトソースがたっぷりかかったハンバーグに、直火焼チキン。隅っこに添えられたコールスローサラダと、大盛りのごはん。ふたを開ければ、いい匂いが周りの芝生のそれとまざり合って、ますます食欲が湧く。
「やっぱり、お弁当を買うなら安売りスーパーに限るよねー」
 レジャーシートに座ってマイ箸を握ると、わたしは満面の笑みになった。
 同じ高校に通う男子が、隣であきれたように言う。
「・・・

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歴史の果てに

17/11/19 コメント:0件 佐川恭一 閲覧数:117

 2030年にはすでに、将棋という知的ゲームにおいて人類がコンピュータに勝利する可能性が全く失われていた。猛スピードで発達するディープラーニング・システムの過程を研究していた数学者のアルフレッド・シスラーは、以下のような仮説を立てた。

 人生はつねに無数の二択を選び続けることによって決定される。そのすべての選択には最適解が存在し、選択をひとつも誤ることなく人生を進めていけば、少なくと・・・

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Walteinsamkeitの夢を見る

17/11/19 コメント:1件 橘瞬華 閲覧数:168

 瞼を開けて一面の雪景色を目にすると、またこの夢か、と独り言ちる。
 雪に覆われた黒い森を一人歩いている。いつかおとぎ話の挿絵で見たであろう、針葉樹の森。森へ足を踏み入れるにしては薄く心許ない白いワンピース。夢の中の私は幼い頃の姿を形取りとても矮小で、天までうず高く聳え立つ木々を時折仰ぎ見ながら、目的地も知らぬままただひたすら歩いてゆく。足取りは迷いなどないよう進んでいくのに、いつまで経って・・・

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笑般若島(わらいはんにゃじま) ──刑事:百目鬼 学(どうめき がく)──第28話

17/11/19 コメント:0件 鮎風 遊 閲覧数:111

 尖った白波のてっぺんを粉雪が驚きの速さでかすめていく。そんな冬の到来を充分知覚させてくれるある日、1立方メートルの木箱が浜に打ち上げられた。
 きっと荒波に揺さぶられた船から落下し、その後漂流してきた積み荷に違いない。途中岩に叩かれたのだろう、ぽっかりと穴が開いている。高波を求めて遊びに来たサーファーが中を覗くと、激切に白い生物、いや白面の人間がカッと瞳孔を開いていた。
 結果、百目・・・

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山中の鬼

17/11/19 コメント:6件 待井小雨 閲覧数:264

 黄昏時の山中で鬼に会った。口減らしで捨てられて三日が過ぎた頃だった。
「お前、捨てられたのか」
 巨躯を揺らして愉快そうに鬼は言った。最後に持たされた食料も尽きていて、私は木の根に背中を預けたまま力無く頷いた。
「へへへ、酷いもんだな。食いもんがないと人間は子供を捨てる」
 裂けたように大きな口で酷ぇよなあ、と笑う。
「なあお前、憎いだろう。村の奴らが恨めしいだろう・・・

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告白

17/11/19 コメント:0件 木原式部 閲覧数:100

 もうすぐ僕の誕生日だ。誕生日が来ると僕は二十歳になる。
 僕は誕生日が来る前に同級生の絵美に告白しようと決めていたが、今頃になって迷っていた。

 
 どうして今頃になって迷ってしまったのかと言うと、絵美と僕の友達の川崎が一緒にいるところを見てしまったからだった。
 先週、僕は学校から少し離れた店まで買い物に出かけていた。
 買い物を済ませた僕はさて帰ろうと店・・・

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ひとやすみ

17/11/18 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:139

 山間の集落に突如現れたオオタさんはハルちゃんの家で預かることになった。ハルちゃんの家にはおじいちゃんとおばあちゃんしかいなかったから、若い働き手として三十代のオオタさんは大いに期待された。
 オオタさんはこの集落に来る前のことはぼんやりとしか覚えていないらしく、集落の川沿いの道をただうろうろしているところを発見された。
 オオタさんは自分は営業マンで、車でいろいろなところを廻っては商・・・

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NGC292

17/11/18 コメント:0件 土井 留 閲覧数:111

 超光速通信のアプリケーションが作動しない。
 発電機能が損傷したために、せいぜいワープ2回分のエネルギーしか残っていない。
 何よりも、ナビゲーションシステムが破壊されて現在位置が把握できない。
 亜空間に移動した際に時空振に見舞われ、宇野旅人のCX505は超光速宇宙船としての機能を半ば喪失した。幸運にも亜空間に飲まれることは回避したが、目的地とは全く別の座標にはじき出され、機・・・

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照れ隠しはコイントスで

17/11/18 コメント:0件 本宮晃樹 閲覧数:101

 先輩のことを好きにさせたのがコイントスなら、嫌いにさせたのもやっぱりそれだった。
 屈辱の日、わたしは一生分の勇気を前借りして多大な負債をこさえた末、よりにもよって世界でも一、二を争うヘタレに告白してしまったのだ。
 先輩はばつが悪そうに頭を掻いてから、おもむろに懐をまさぐった。出てきたのは呪わしい彼愛用のコインである。
「表ならイエス、裏ならノー。いつも通りでいくぞ」景気よく・・・

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選ぶのは?

17/11/18 コメント:0件 スイカ 閲覧数:116

 男は敬虔な信者だった。孤児として教会に拾われ、働ける年齢になると当たり前のように教会の仕事に携わっていた。
 なんの疑問を持つこともなく、そうなるのが当たり前のことだとばかりに、彼は教会で生き日々を過ごしていた。別段、その生活に不満や疑問を持ったことはなかった。少なくともつい最近までは。
「幸せそう、だったな」
 自室で書類に目を落としながら、彼は思わずそんな言葉を吐き出してい・・・

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隣人はきっと

17/11/17 コメント:0件 どようび 閲覧数:127

 どれだけ豪華な包み紙で欺こうが、引っ越し先がこの寂れたアパートである時点で、出自を顔に書いているようなものだった。
 四枚千円のタオルを引っ提げ、埃の目立つ廊下を行き来する。
 二日前に引っ越してきた僕は、隣の部屋への挨拶のため、荷解きを一時中断して廊下へ出た。本当のところは、無限に増殖しているような錯覚に悩まされる段ボール群に飽き飽きしだした気晴らしでもあった。
 この二日間・・・

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かがみ

17/11/17 コメント:0件 キシモト何某 閲覧数:103

鏡の中で自分が笑つてゐる。
何がそんなにヲカシイのだらう。
私にはさつぱり解らない。
ハ・ハ・ハ・ハ・ハ………………。・・・

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校長の仕事術

17/11/17 コメント:0件 水谷暁 閲覧数:118

「つぎは教職員による『借り人競争』です」
 中学校のグラウンドに運動会のプログラムの放送が響いた。学級担任の教師たちが、スタート地点にトレーニングウェア姿でスタンバイしていた。
「位置について、用意……」
 バンッ! とPTA会長がピストルを鳴らし、いっせいに教師たちが駆け出す。コース上に置かれた封筒の中に、観客の中から借りてくるべき人の条件≠ェ記された紙片が入っている。借り・・・

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進路希望票を前にして

17/11/17 コメント:0件 小峰綾子 閲覧数:116

進路希望票を前にして私はまだ迷っている。

来週には提出しなければいけない。多分これが最後の希望票で、後はもう具体的に大学に願書を取り寄せたり申し込みをする段階に進むだけだ。最後に決めるのは、私。
母は応援してくれるかもしれない、または「やっぱり私を置いておくのね。」と罵るかもしれないし「お金がないのに、どうするの?!」と言って泣くかもしれない。結局その時の母の気分次第、調子次第・・・

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ババ抜き

17/11/16 コメント:0件 kina 閲覧数:225

「みちるは、真央に似ている」と、薫が言った。
「え? どこが?」と、私は尋ねる。薫が友人らの顔を確認する。裕子も由香も、静かにうなずいている。
一方真央は、意志の強そうな眉をピクリとも動かさず、ノートにペンを走らせていた。
 中学生になって知り合った真央は、私と違っていつも堂々とした子だ。私も真央もイラストを描くことが趣味で、そんなところは似ている。
 真央は自分のイラスト・・・

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桜メール

17/11/16 コメント:0件 薬包紙 閲覧数:110

 この度は、お父さんがガンで亡くなったとのこと、メールで知り驚きました。
 モルヒネで痛みを抑えているあいだじゅううわ言を繰り返されたのですね。
 終戦直後生まれは決してはやい死でないとはいえ、遠く離れた四国から都心の病院まで駆けつけ、最期を見届けたSさん。
 ご心労のほどお察し申し上げます。

 私は思っていました。毎年届く年賀状に大きくプリントされたほんのり桜色の・・・

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BEKI

17/11/16 コメント:2件 霜月秋介 閲覧数:145

 目の前に三軒、店が並んでいる。右側がいつも行き慣れたラーメン屋であり、中央が本日限定全品半額の全国チェーンの牛丼屋。そして左側が今まで一度も入ったことの無い洋食レストランだ。俺はこの三店を前にひとり、どの店に入ろうか迷っていた。
 右側のラーメン屋は美味しい。だからこそいつも行っていた。しかし全メニュー制覇したし、だんだんと飽きつつあった。俺は毎度SNSに今日食べたランチの画像をSNSに載・・・

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Sを殺しに

17/11/16 コメント:0件 秋 ひのこ 閲覧数:120

 そのまちは、東京よりも空気がしんと冷えていた。桜がまだ咲いていないことにまず気がつく。
 駅前のホテルで一週間分を前払いし、19時5分になる前に駅の向かいの定食屋に移動する。
「きた」
 八重子が小さな声で囁くと、24になる娘の七美が肩越しにさっと入口をふり返る。
 ひとりの青年が慣れた様子で暖簾をくぐり、奥の席についた。調査報告にあった通りだ。19時5分着の電車を降り、・・・

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「あなたの後悔は何ですか」

17/11/15 コメント:0件 瀧 千咲 閲覧数:111

「ずっと、悩んでいたの。あなたたちには迷惑をかけると思うけれど、私はもうここにはいられない。あなたの妻でも、この子の母でもなく、私は私として生きていきたいの」
そういって、私の母は家を出て行ったらしい。らしい、というのも当時五歳の私は、ある日突然母がいなくなった悲しみしか覚えていないのだ。
「お母さんは病気で、病院にいるんだよ。なっちゃんに病気がうつるといけないから、しばらくお母さんは・・・

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盗賊の犬丸

17/11/15 コメント:0件 マサフト 閲覧数:90

「クソッ!やっちまった!焦って殺しちまった」
犬丸は焦っていた。彼は強盗を生業としている、いわゆる盗賊である。新月の夜半、反物屋に盗みに入ったものの偶然厠に行くため起きていた店の主人と出くわし、咄嗟に野太刀で切り掛かって殺してしまったのである。
「俺は盗みはしても殺しはしないのが信条だったと言うのに…。いや、見られた以上殺さなければならなかったのだ!俺は悪くない!あんな場にのこのこ・・・

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黒いコートの男

17/11/15 コメント:0件 マサフト 閲覧数:97

3日ほど前から妙なものを見るようになった。
その日は雨だった。よく行く喫茶店の窓際の席に座り、外の通りを眺めていたら、その妙なものが目に付いた。黒い傘を差し黒いトレンチコートを羽織り、黒いハットを深めに被った、恐らく男性。ズボンもブーツも手袋さえも全て黒尽くめの出で立ちである。物凄く目立つというのに、道行く人々の目には映っていないように見える。喫茶店の、同じく窓際にいる人達も同様に気付い・・・

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目晦し藤

17/11/15 コメント:0件 藤栄 閲覧数:66

誰かから後ろ指を指された。何故なのか、検討もつかない。一つだけ分かる事は、僕はエリック・サティにとり憑かれている事だ。彼から離れられる事は僕には出来ない。卑屈で自意識過剰な僕には認める以外の選択肢がないのだ。どっかの馬の骨も言ってた、彼はジムノペディの奴隷だ。って。そいつ等に彼の知ったかぶりをされた時、啖呵を切った事が有る。だってもし好きな人の事を知ったかぶりされたら幾分かでも気に障るだろう。・・・

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目晦し藤

17/11/15 コメント:0件 藤栄 閲覧数:71

誰かから後ろ指を指された。何故なのか、検討もつかない。一つだけ分かる事は、僕はエリック・サティにとり憑かれている事だ。彼から離れられる事は僕には出来ない。卑屈で自意識過剰な僕には認める以外の選択肢がないのだ。どっかの馬の骨も言ってた、彼はジムノペディの奴隷だ。って。そいつ等に彼の知ったかぶりをされた時、啖呵を切った事が有る。だってもし好きな人の事を知ったかぶりされたら幾分かでも気に障るだろう。・・・

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女子光合成

17/11/14 コメント:4件 入江弥彦 閲覧数:343

 ごうんごうんと大げさな音がして、天井が左右に割れていく。集まった少女たちは、少しでもいい場所を確保しようと体を動かしていた。足を踏まれたり、服を引っ張られたりなんてことは日常茶飯事だ。それでも大きな問題が起きないのは、私たちの管理を担当する大人がみんな若い男の人だからかもしれない。
 もちろん私もその輪の中の一人なのだけれど、積極的に中心へ行こうとはしなかった。徐々に開いていく天井の隙間か・・・

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