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すりとった財布

17/09/26 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:86

 男はあまりにも無防備だった。そのためスリ健こと久保健介は、狙いはさだめたもののいっとき躊躇した。
 混雑する車内で、つり革にぶらさがるひとりの中年男の胸ポケットにさしこまれた長財布。駅からのりこむさい健介は、はだけた上着のすきまにのぞくそれを、しっかり目に焼き付けた。ダークブラウンの、札がつまっていそうな上物だった。
 男は、何か考え事でもあるのか、乗車してからというものどこか上の空・・・

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こんなはずじゃなかった!

17/09/26 コメント:0件 ちほ 閲覧数:68

 リンブルグ村のパブ『ロビン』の店主・ピートは、家庭用のマッチが足りないことに気がついた。そこで思いついたのが、一人息子のウォルター(5歳)の『はじめてのおつかい』である。「大根1本抜いたら、1円。ほうれん草は、2円」と野菜の引っこ抜きのお手伝いはしたことはあるが、一人で買い物はしたことがない。どこまで売り買いを理解しているものかも確かめたいので、ピートの実弟カレルと妻アメリーが営んでいる雑貨屋『・・・

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鯉昇る夢に賭けて〜ヒロシマの約束〜

17/09/25 コメント:2件 冬垣ひなた 閲覧数:177

 明日を生きるのも困難だった頃、数少ない国民の娯楽は野球だった。
 道具をこさえて、投げて、打って、走って。
 自由への渇望はスポーツに変わり、人々はこぞってプロ野球の選手に夢を託した。
 地面に目を向ければ焼け野原。
 高く打ちあがったボールの吸い込まれる空の青さに希望をつなぎ、誰もが上を向いて生きる。そんな時代に、復興の象徴として広島カープが産声を上げたのは1950年(・・・

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明るい洞穴

17/09/25 コメント:0件 葉山恵一 閲覧数:88

 娘がくしゃみをすると鼻水と一緒に、舐めていた飴玉が口から飛び出してアスファルトの上に転がった。妻が慌てて鞄からティッシュを取り出し鼻にあてがうと娘は顔を顰めた。
「あめ落ちた」
「いいから、自分で鼻かんで」
 僕は二人のやり取りを視界の端に置きながら飴玉を眺めていた。唾液で溶けたその表面は円形を保ったままいかにも甘ったるさを強調するような黄色で覆われていた。僕は娘に目線を戻し声・・・

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赤とんぼコンツェルトシュテュック

17/09/25 コメント:1件 沓屋南実 閲覧数:121

「耕筰、謝れよ、向こうに行ったら、ロベルト・シューマンに」。
 これが奴との今生の別れの言葉だった。
 いい年をして、したたかに酔っていた。俺は愛人と別れたばかりで投げやりになっていたのか、うっかりと「おう」と応えた。
 奴は「約束だぞ」と言い、嬉しそうな顔をして高価なブランデーのボトルを俺の名前で入れてくれた。
 彼が謝れと言っているのは、巷で騒がれている「赤とんぼ」のこ・・・

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ハリネズミの恩返し

17/09/25 コメント:2件 そらの珊瑚 閲覧数:149

 「決して中をのぞかないでください」

 そう云って彼女はトイレに入ってドアを閉めた。しばらくすると部屋の中から音が聴こえてきた。
 ――トントンカラリ、トンカラリ、トントンカラリ、トンカラリ……。
 こ、この音はもしや機織りの音では? そしてこの展開。ものすごい既視感。日本人なら誰でも知っているだろう、あの有名なお伽噺の『鶴の恩返し』そのものではないか!

 ・・・

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約束は破らない

17/09/25 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:107

「昨日は三つ目のヒットマンから守ってくれてありがとうね。ピストルで五発も撃たれちゃって、目覚め悪かったんじゃない?」
「まぁ、夢の中で殺されたことは一人の時もあったし。男は女を守るもんだしね」
「かーーっこいーい」
 僕と谷川さんの通学時間十五分のこのような会話は、誰かに聞かれていればとても奇妙なはずだけど、通学路に漲る会話の表面張力は排他的で強靭らしい。
 僕と谷川さんは・・・

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愛するあなたとずっと一緒に

17/09/25 コメント:0件 いちこ 閲覧数:62

 ああ、かっこいい。どうしてあんなに魅力的なのかしら。目の保養ね。
 あ、今目があった気がする。
 いけないわ、彼に気付かれちゃダメなの。だってそういう約束だから。
 あの日彼とあたしは約束したの。よく分からない知らない男が同席して、そのスーツ男はあたし達の立会人だったのだろうけど、きっちり約束したもの。あたしは彼に近づいてはいけない、彼の交際相手に嫌がらせをしてもいけない、って・・・

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ポンテ・ヴェッキオの恋人たち

17/09/25 コメント:0件 冬垣ひなた 閲覧数:130

「さあ、ジジ。戻って欲しければ約束を守ってちょうだい。ポンテ・ヴェッキオで待ってるから」
 おお、愛しのリリアーナ。俺の部屋から荷物をまとめて出ていこうなんて、そんな酷い話はないぜ。情熱の国イタリアに生まれてこのかた25年、一途に愛してきたというのに何たる仕打ち……。
「出会ってまだ2年だけど」
 可哀想に、心に氷河期が到来したんだね。今抱きしめて温めてやろうじゃないか……。待て・・・

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ブーメランカムバック!

17/09/25 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:97

 よく意外だと言われるのだけれど、私が彼のことを怖いと思ったことは出会ってから一度もなかった。きっと外見よりも先にその人間性を知っていたからだろう。でも、彼に言わせれば私のような人は稀らしい。

「最初は小学生のときかな」
 一緒にランチでもどうですか? という彼の誘いで私達は職場の近くの定食屋に来ていた。昨晩家を出て十メートルも歩かないうちの警察に職務質問されたという話から彼の・・・

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二択

17/09/25 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:123

 魔法の財布に憧れていたが、考えを改めようと思う。


 
 「筒井さん、お子さんまだ小さいし、これからお金かかるね」
 と、先輩から言われた。 
 わたしの不景気面に気づいたのか。

 昼休みだった。



 人手不足である。

 うちの介護施設では、夜勤帯はおろか、日勤帯も満足な人数が取れない。
 一人一・・・

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水沼君との約束

17/09/25 コメント:0件 海音寺ジョー 閲覧数:57

 ラーメン屋の閉店業務が終わると、深夜番のバイトの水沼君といつも長話をしていた。というのも、僕は始発の時間まで帰宅できないし、水沼君はここのバイトが終わると牛乳配達のバイトがあるので1時間ほどタイムラグがあるので時間調整でだらだらと、ぼくの始発待ちに付き合ってくれたのだ。
 長話と言っても40前のぼくと20代後半の水沼君とでは、共通の話題は少なくてバイトの女の子の話とか、店長への不満とか仕事・・・

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呪われた財布

17/09/25 コメント:0件 瀧上ルーシー 閲覧数:128

 先日、半年付き合った彼女と別れた。
 僕は特別女に縁がないというわけではなく、今までに付き合った彼女達で一番長く持ったのは八ヶ月だ。高校卒業後フリーター生活をしている男としては、毎回終わるとき結構長く持った方だと思う。
 一応彼女にふられたのだから、親の仕送りを使って親友と居酒屋で飲んだ。刺身も外で飲む酒も滅多にしない贅沢だ。
「お前の恋愛はエンターテイメント性がないから長持ち・・・

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魔法の切れた麦茶

17/09/25 コメント:0件 ケイジロウ 閲覧数:74

 いつも通りどこかでは悲惨な事件が起こっているに違いなかったが、三郎にとってはそんなことどうでもよいことであった。目をあげると今日中に収穫するレタスが永遠に並んでいるのであった。
「おーい、一服するぞー」
 遠くの方からのオヤジさんのしゃがれた声が、自動操縦化していた三郎の手を停めた。三郎は収穫用のナイフを鞘に収めると、他のバイトたちとともに、オヤジさんやオフクロさんのもとに向かった。・・・

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魔法の財布

17/09/25 コメント:2件 風宮 雅俊 閲覧数:154

 陽射しが強くなってきても風に冷たさが残る五月。平日の昼下がりの公園には、散策を楽しんでいる観光客ぐらいしかいなかった。
 老人はベンチに腰掛けると、街のざわめきを聞き入る様に目を閉じている。
 老人の隣には子供が座っている。子供はただ前を見ているだけだった。

「おや、気が付かなかったよ。いつから座っているのかな?」
 老人は、半分独り言の様に呟いた。
 子供・・・

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あしたの約束

17/09/25 コメント:1件 宮下 倖 閲覧数:101

 窓から見える空は鈍色、食卓には鮭と納豆、テレビの星占いは11位。
 いつもと変わらない朝。本当に、まったくなにも変わらず、同じ朝だ。
 昨日も一昨日もくり返した同じ一日を、俺はまた始めようとしている。
「いってきます」
 ため息まじりの俺の声に、母は「いってらっしゃい」と昨日と寸分違わぬ笑顔でこたえた。
 
 高校への通学路も朝のクラスの様子も、何度も観た映画・・・

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【 お・や・く・そ・く 】

17/09/25 コメント:1件 泡沫恋歌 閲覧数:112

映画やアニメを観ていると、あるセリフを登場人物がいうと必ず発動する展開というものがあります。
画面を観ていて、「あっ! 言っちゃった!!」と思ったら、その後は予想通りに話が進んでいって……ああ、言わんこっちゃない! たいてい最悪の結果となる。
――だが、そうなってしまうのは、抵抗できない。【 お・や・く・そ・く 】という謎の法則のせいなのだ。
特にホラーやサスペンスものなどで多く・・・

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夢魔、ママになる

17/09/25 コメント:2件 あずみの白馬 閲覧数:427

 私は夢魔。人間の夢の中に理想の人として現れて精気を吸い取り、それを糧として生きてきた。

 しかし最近、少子高齢化のせいでまともな食事にありつけず、今、ものすごくお腹が空いている。

 目の前のマンションの一室に、寝息を立てている15歳ぐらいの少年を見つけた。背に腹は代えられない。早速彼の夢の世界に入る。

 私はアパートの一室らしき場所にいた。外見は人間でい・・・

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宛先のない手紙

17/09/25 コメント:3件 そらの珊瑚 閲覧数:202

 秋の虫が鳴いています。なぜか物悲しい気分になります。キミもどこかでこのささやかな鈴の音を聴いていますか? 虫の声を愛でる民族は世界でも日本人だけだとか。『枕草子』に描かれているように、そこに、もののあわれを感じるDNAを私達が受け継いでいるからなのでしょう。テクノロジーが進歩し社会がどんなに変わっても、平安の昔から人の心はそんなに変わっていない気がします。
 蝉の声はもうどこからも聞こえて・・・

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財布代わりの男なら……

17/09/25 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:75

 憤まんやる方ない――。
 博士は若い頃から、あることに憤りを感じていた。
 男女、特にカップルが会計する際、男が女の分も払う風潮だ。カップルが特にそうではあるが、そんな関係ですらないのに男が払うものという空気もある。
 もはや男は女の財布代わり。
 あまりに意味不明だ。博士が男だからか、余計にこの慣習を由々しき事態だと捉えていた。
 許せないのは、そうした慣習そのも・・・

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叩けば増える財布

17/09/25 コメント:2件 戸松有葉 閲覧数:87

 男の目の前には、魔法の財布が置かれている。
 昨晩酔って判断力が弱っていたとはいえ、妙な物を買ってしまったものだ。売りつけてきた老人曰く、「強く叩けば中のお金が増える」らしいのだが……。
「買ったものは仕方ない。試してみるか」
 一万円札を一枚だけ入れた状態にしてから、左手で財布を持ち、右手で思い切り叩く。
 中を確認してみると……、
「増えている」
 二枚の・・・

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財布を奪う能力ッ!

17/09/25 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:72

 日常が壊れたあの日から、少年は学校からの帰宅さえすんなりさせてもらえない。
 今も人気のない路上で、敵の刺客が道を塞いでいた。
「噂は聞いているよ。君は凄い異能を得たそうだね。組織の刺客も次々返り討ちにあったらしくて、僕へ仕事が回ってきたってわけさ」
 言われているように、少年は凄い異能を得ている。が、実は今まで一度も敵に使ったことはなかった。返り討ちにしたという表現は、合って・・・

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形無き財産

17/09/25 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:101

 旅の醍醐味、その二。訪れた地域で買い物をすること。特に、工芸品や地元の食材など、その街でしか買えない特産品を見て回るのも楽しみのひとつです。
 荷物の整理もそこそこに、姉は私を早速観光へと連れ出しました。旅行鞄の鍵をなくし、つい先ほど錠を壊してこじ開けたばかりとは思えないほどの、満面の笑みで。
「いやー、財布は鞄に入れてなくてよかったわ。買い物すらろくにできなくなるとこだった」

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アウトサイダー堕落論

17/09/25 コメント:0件 けこぼ坂U介 閲覧数:84

 警ら中の警官二人が、ハハッと同時に笑い声を上げた。深夜二時。街灯に照らされて中年の男がポツンと立っている。下は何も穿いておらず、下半身が丸出しだった。「マル精ですかね」と言いながら、運転していた若い巡査がパトカーを停めた。
「どうしたの? そんな格好じゃ風邪ひくよー」
警官に囲まれた男は逃げる素振りも見せず、じっと前を見つめたままだ。
「とりあえずパトカーで話聞こうか」
・・・

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老人の森

17/09/24 コメント:0件 みや 閲覧数:72

「迎えに来てね、お婆ちゃん待ってるから」
「迎えに行くから、お婆ちゃん待ってて」
それが孫と交わした最後の会話だった。

私は住み慣れた家を離れ家族と別れて、”老人の森”に入所する事になった。森の奥深くにあるその建物は高く広く巨大なホテルの様で、夏の始めに入所した私は蝉の大合唱に迎えられて、子供の頃に育った田舎を思い出させた。老人の森とは政府認定の老人施設の様なもので、家族・・・

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若人の丘

17/09/24 コメント:0件 みや 閲覧数:84

「迎えに来てね、お婆ちゃん待ってるから」
「迎えに行くから、お婆ちゃん待ってて」
それが祖母と交わした最後の会話だった。

僕は住み慣れた家を離れ家族と別れて、”若人の丘”に入所する事になった。小高い丘の上にあるその建物は広く大きくて僕が通っていた大学に良く似ていた。若人の丘とは政府認定の若人向けの婚活支援の様な施設で、家族との接触は月に一度だけ電話のみのやりとりが許可され・・・

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明日の約束をしよう

17/09/24 コメント:0件 小高まあな 閲覧数:128

 彼は約束をしたがらない。
 それは約束を破ることが怖いからなのだ、と最近気づいた。
 契約をすることにためらいはないようだ。仕事として何かを請け負うことにためらいはないし、それがどんなに危険なことであっても普通の顔で引き受けている。
 それはおそらく、契約は破ったらペナルティが発生するから。相手側からの制裁という、目に見えた罰があるから、彼は契約をすることは厭わないのだろう。<・・・

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Monstrum est salvificem diaboli.

17/09/24 コメント:0件 黒江 うさぎ 閲覧数:96

 僕には、叶えたかった約束があります。
 叶えたくて叶えたくて…でも、叶えられなかった約束が。
 ええ、僕のこの力、喜んでお貸ししましょう。
 この化け物染みた力は、その為にあるんですから。



 午前二時。ある屋敷、その一室。
 専用のカッターで窓の鍵付近を切り、鍵を開錠、侵入。
 下にロープを降ろす。
 上がってくる反乱軍の仲間。・・・

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要塞プラトニック

17/09/24 コメント:0件 犬塚比乃子 閲覧数:76

 不随意筋である心拍さえ忘れさせられそうな四角くて真っ白な静寂のうちに塗りこめられたようになっていたもの。それは自分自身だということを今発見した。
 並たいていの人間と比較したさい、作曲家である中村弥生の聴覚はずいぶん鋭い。五十メートル先のしんしんと降った粉雪の中に落ちる縫い針の音すら感知しうるという猛禽類を例えに出してみよう。
 彼等はまず、獲物を、その鋭い視力や頭の後ろにまで到達す・・・

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約束に末路はあるか

17/09/24 コメント:2件 田中色 閲覧数:122

学生の頃はよく、母といくつかの約束をした。
「煙草は吸わないでね。肺癌になっちゃうから」
「ピアス開けないでね。塞がらないから」
「タトゥー入れないでね。消せないから」
おっとり屋さんな、典型的O型の特徴を捉えていた母はよく僕にそう言ってきた。僕はその度に生返事をして約束を軽く流して交わしていた。
そして二十歳になった今、隣に母の姿はない。
死んだのだ。死因は肺・・・

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Phantom Pain

17/09/23 コメント:0件 待井小雨 閲覧数:194

 僕にはずっと、誰よりも大切な少女がいた。
 僕の小鞠。僕の特別。

 幼い頃に越してきた田舎の家で、幽霊に出会った。十二歳ほどの姿をした、小鞠という少女の霊だった。
「驚かせてごめんなさい」
 初めて聞いた言葉は僕と両親への謝罪だった。鈴のような声に負の感情はなく、怖くはなかった。それよりも空気に溶けそうで綺麗だな、と僕は見とれていた。
「天に行く道が分からな・・・

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三年後の約束

17/09/23 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:155

 三年前の今日、僕は妹と二人で映画を観に行ってる。テイクアウトのハンバーガーを観ながら食べた。迷惑だったかな。
 三年前の今日、この日は父さんの一時退院の日。母さんが晩御飯なのにホットケーキを焼いてる。父さんの好物。まだ三年前はパンケーキって言ってなかったみたい。

 僕と彼女は夜、ファミリーレストランに毎日を仔細に書いた日記を持って出会う。ドリンクだけでも毎日だと大変なんだけど・・・

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ハイジャック・ヒーロー

17/09/23 コメント:0件 与井杏汰 閲覧数:69

 「機長に言え。この機は乗っ取った」
ナイフを首元に突き付けられたCAは、ゆっくり通路を前に進み通話機を手に取ると機長に状況を伝えた。

「アジアスター航空でハイジャック」の一報は、管制官、警察、マスコミと瞬時に伝えられ、すぐに国民の知るところとなった。テレビ各社は午後の生番組で速報を伝え、乗客が撮影し機内wifiで送信した画像に騒然となった。

 「犯人は単独か?」・・・

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髪結い

17/09/23 コメント:0件 キュー 閲覧数:90

「お寒うございます。今朝もこちらへうかがう道すがら、橋の真ん中で雀が凍え死んでおりましたよ」

「おう、毎日足労であるな。おれも冬は大の苦手ゆえ、朝、床を出るのさえつらい。こうして日髪日剃ひがみひぞり)をきめ込まぬうちには、どうも身体がしゃんとせぬ」

「足労などとおっしゃっては。それが廻り髪結いの生業でございますゆえ――では失礼をいたしまして」

「しかし、ぬ・・・

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袋男事件

17/09/23 コメント:2件 クナリ 閲覧数:490

 ある晩夏の夜、私は新入社員ながら、随分遅い帰途についていた。
 駅から家までの道を歩いていると、街灯の少ない路地に出る。
 最近、近所で男子高校生三人が行方不明になる事件があったと聞いた。道の不気味さと相まってより不安が煽られる。
 道の先をふと見ると、二車線分くらいはある道路の左の塀沿いに、朧に人影が見えた。よく見えないが男性のようだ。こちらを向いて立ち止まっている。
・・・

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彼岸花

17/09/23 コメント:0件 栞〜Si·o·ri  閲覧数:115

街中を抜け、どれくらい走っただろうか
辺りはすっかり田園風景になっていた。
たわわに実る黄金の稲穂が
重そうなと頭を深々と垂れ
刈り取りを待っている。

しばらく走ると「彼岸花群生地」の昇り旗
メディアの効果もあり、平日にも関わらず
駐車場には結構な台数の車が停まっていた。
「みんな暇なんだなぁ」と一人呟くボク。
車を降りてその花の咲く方・・・

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マスク

17/09/22 コメント:0件 みーすけ 閲覧数:95

 あの人はいつもマスクを着けている。
 何故だろう? 風邪をひきやすいのか、それとも花粉症か。
 会社で見かけるその女性。私とは別の部署で働いている。初めて見たその日から、彼女はいつもマスクを着けている。
 鼻から下は見えないが、瞳はいつも潤んでいる。光彩は澄んだ茶色だ。私の視線はいつもそこに惹きつけられてしまう。彼女の瞳を見ていると、不思議と心に忘れかけていた感情が蘇る。彼女の・・・

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アインシュタインの約束事

17/09/22 コメント:0件 本宮晃樹 閲覧数:79

 うちの研究部門にはアインシュタインに刃向う身のほど知らずがいる。
「いよいよですね」わたしはその身のほど知らず(槇村さんという名のおじさんだ)と一緒にモニタをのぞき込みながら、「加速器稼働まで一分を切りましたよ」
「うん」気もそぞろに壮年の研究者はうなずいた。「うん」
 彼がわたしを空気がなにかみたいに扱うのも無理はない。超光速粒子であるタキオンの検出実験がいままさに、海底を貫・・・

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記者のわきまえ

17/09/22 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:98

 女性記者の、社内でも評判の美人、マナミにむかって編集長は、
「いいか、トイレの屁は事件にならないんだぞ」
 と、まくしたてた。地方の新聞社に勤務して一年目、まだろくな記事しか書けない彼女を、これでも叱咤激励しているのだ。
「トイレの屁は、事件にもニュースにもならない」
 なるほど、トイレイコール屁は、あたりまえといえばあたりまえだ。珍しくもなんともない。するとじぶんはこれ・・・

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人生オワタのボンバーズ

17/09/22 コメント:0件 けこぼ坂U介 閲覧数:95

 十何年ぶりかの電話で、出てみると安斎さんだった。僕が学生時代、三軒茶屋のポルノビデオ屋でバイトしていた時の先輩である。辛うじて彼である事は認識できたが、フガフガと何を言っているのか分からない。きっともう歯とかも抜けて無くなってしまったのだろう。髪や髭は伸ばしっぱなしで、ビンテージと称していつも同じ服を着ていた。部屋に遊びに行けば当時から抜けていた歯の隙間から、よくマリファナの煙を吐いていた。それ・・・

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人間不信者に対して約束とは

17/09/22 コメント:0件 田中色 閲覧数:108

約束とは果たされることの方が少ないだろう。
約束という言葉の意味はどこにあるのだろうか。
ふと調べてみると、約束というのは相手に対して取り決めを行うことであり、口約束というのがまさに声だけで交わされる取り決めのことを指すらしい。
否、言葉自体に微々たる嘘が常にあるのだ。口約束という言葉があるのだから、書面上や何かしらの方法を使って約束を交わしても破られるものは破られる。
婚・・・

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夜明けの約束

17/09/21 コメント:0件 野々小花 閲覧数:123

 自分の父親のことを、侑史は知らない。誰が父親なのか、母自身、わかっていなかったのかもしれない。母はそういうひとだった。小さな町の、駅前にある時代遅れのスナックで働いていた。客の男と関係ができると、侑史と暮らすアパートには、滅多に帰って来なくなった。
 男に夢中になると、子供の存在など忘れてしまうのだろう。度々、電気やガスや水道が止まった。滞納を知らせる通知書を握りしめて途方に暮れる。仕方な・・・

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我が子の未来は輝いている……と思いたい

17/09/21 コメント:0件 ちほ 閲覧数:85

 僕は、このパブ『ロビン』をいつか息子のウォルターに譲る。ここは僕の大切な場所。あの子にとっても、そう悪くないはずだ。もし、他に夢があるなら、そちらへ進むのもいいけれど、できればこの店を大好きな場所として大切に思ってほしい。
      ◇
「きのう、お父さんがお話ししてくれたことは、ほんとなの? ボク、気になってなかなか眠れなかったの」
「店のこと? うん、あげるよ。約束しただ・・・

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17/09/20 コメント:2件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:129

 この町の交番に着任して一年がたちました。私、平野啓司は意気込みにもえてこの僻地の交番にやってきたのですが、山と川に囲まれたここは、どこの家も戸締りをしなくてもかつて一件たりともコソ泥に入られたためしがないというぐらい、都会からみたら考えられないぐらい平和なところでした。
 事件を期待するのは警察官にあるまじきことですが、こう平穏な毎日が繰り返されるとたまには、なんでもいいから事件がおこって・・・

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従来レーザー

17/09/20 コメント:0件 miraireza 閲覧数:43

革新的なレーザー治療機器として大きな期待を集めているのが、ピコ秒レーザーである。100億分の1秒という短時間で照射され、カラス撃退レーザー光により生ずる音響的な効果(衝撃波)によってシミやあざの色素粒子を破砕する。
http://www.miraireza.com/blue-laser-10000mw-30000mw/p-7.html
日本でいち早く同レーザーを導入した大城クリニック(・・・

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こうして天使が産まれた

17/09/20 コメント:2件 デヴォン黒桃 閲覧数:158

 
 涙を零す少女が一人。煤ダラケの頬に伝い流れ、灰色に染まった。
 かろうじて肩に引っかかった服は、焼け焦げている。
 傍らに佇む白装束の年寄りが、其の少女へ声を掛けた。

「よく頑張ったね。辛かったろう。熱かったろう。苦しかったろう」
 少女は、灰色の涙を手の甲で拭い、老人の顔を見上げた。
「大丈夫……弟のコウタを助けられたから」
 老人は、細い・・・

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白雪姫の毒リンゴ

17/09/20 コメント:2件 田中あらら 閲覧数:109

 パフィンマフィンの礼子さんが昨日焼いたのは、アップルマフィン。信州の農家から取り寄せた秋映という品種は、シャキシャキ感、香り、甘み、酸味のバランスが素晴らしく、そのまま食べても美味しいが、おかし作りにも適していた。一口大にカットしたものをコンポートにし、生地に混ぜてオーブンで20分焼けば、アップルマフィンのできあがり。
 礼子さんは1年前、自宅の片隅を改装して菓子製造業の許可をとり、商号を・・・

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Diese Praxis ist jedoch nicht weit verbreitet

17/09/19 コメント:0件 yukihirasoma 閲覧数:86

Die etwas schnelleren Rontgenstrahlen klopfen Laserpointer
Jeder Kick stimuliert die Elektronen, um mehr Röntgenstrahlen herauszugeben - das verstärkt das ursprüngliche Licht viele M・・・

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少女天国

17/09/19 コメント:0件 因幡雄介 閲覧数:94

 白髪の男が見つめる窓ガラスの奥で、二十人の少女たちが遊んでいた。
 少女たちの年齢は十歳前後。皆白いワンピースを着ている。グループにわかれ、縄跳びや積み木やお絵描きなど、好きなものを手に取って遊んでいた。
 男の子と違う点がある。少女たちはよく雑談をした。
 女はコミュニケーションを大事にする生きものだ。太古から子を産み、育てることのできる能力を持つがゆえの運命なのだろう。彼女・・・

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蜂蜜の朝に濡れる

17/09/18 コメント:0件 吉岡 幸一 閲覧数:96

「蜂蜜がなくなっているの。昨日デパートで買ってきたでしょう。今朝、パンにつけて食べようと思って棚を開けたらないのよ」
 妻は冷蔵庫や棚やテーブルの上を探りながらテレビを見ている夫に言った。
「俺は別にジャムでもいいよ。苺ジャムなら冷蔵庫に入っているだろう」
「たしか寝る前はテーブルの上にあったと思うんだけど……」
 よほど気になるのか四つん這いになった妻は、キッチン下の棚か・・・

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