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墓荒らしと猫

18/07/09 コメント:0件 早良龍平 閲覧数:65

 月が浮上し、その高さが頂に達したと思われるとき、人里離れた共同墓地では墓荒らしが黙々、土に鋼鉄のシャベルを突き立てていた。
 墓荒らしの背後、少し離れたところから作業を見守るモノ、月光に照り光る翡翠の瞳はひとつの黒の猫である。
 猫は四肢を地につけ、背の筋を伸ばして座っていたが、墓荒らしを見るのに飽きたのだろう、細く長い尾をゆらりと浮かせ、少し面をさげてちろちろと、真赤な舌で前肢の爪・・・

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あとがきがない

18/07/08 コメント:0件 あらしお 閲覧数:72

「おい待てよお前」
「おい、待てよお前」
「矢部くん振り返って、なんだよ」
「なんだよ」
「それで井川、お前さ・・・」
「お前さあ」
 そして鈴原さんは止まった。正確に言えば右手で唇を触りながら左足は貧乏ゆすりのように小刻みに動いているが、それまで激しく稽古場を動き回り大声を上げていた様子からすれば、鈴原さんは止まった。
 鈴原さんが次の台詞を発するのを待・・・

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予想外のラスト

18/07/07 コメント:0件 リーマン一号 閲覧数:61


私は今、非常に困っている。

「今日はペンが進むなぁ」と呑気に導入パートを書き始めたのはいいが、そのままあまりにも盛り上がってしまい、気づけば導入パートがあとがきに差しかかってしまっているのだ。

あと2000文字しかないのに、まだ殺人事件すら起こっていない。

一応、ミステリー小説だというのに・・・

このままだと、タイトルの「真夏の海水浴・・・

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隠し味

18/07/07 コメント:0件 リーマン一号 閲覧数:80


ラーメン。

中華麺とスープを主とし、焼豚やメンマ、煮卵などをトッピングした麺料理。

別名では中華そばや支那そば・南京そばなどと呼ばれるが、その歴史は古く、

今日では醤油・塩・味噌・とんこつなどスープの種類によって区分けがなされ、日本の第二の主食とも呼べるほどの人気を誇る国民食である。

そして・・・

私が初めてラーメンを食・・・

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孤独の握手

18/07/06 コメント:0件 伊澄 閲覧数:144

 彼と彼女を初めて見たのは、十年前の秋だった。僕は孤独の意味も知らない十歳の子どもだった。
 井の頭公園のベンチに座って彼は池の向こうを見ていた。彼女は彼の足元にスフィンクスみたいに毅然と座っていた。
 忘れもしない、その日は二学期の始業式だった。
「た、たたっ」
 転校初日だった僕は自己紹介ができなかった。吃音を発症し、特にタ行が苦手だったのだ。立石哲志。タ行だらけの自分・・・

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死体の家、家の死体――キャット・イーター事件――

18/07/06 コメント:0件 クナリ 閲覧数:204

 百瀬シレンは、女装した状態で、血まみれの猫の死体に唇を当てて開いた瞬間を、写真に撮られた。
 人気のない、地方都市の路地裏。シレンとは中学の同級生である常磐町キネリが、スマートフォンの液晶の角度を変えながら、映り具合を確認する。
 黒いブラウスに青いスカートという今日のいでたちは、シレンのお気に入りだった。上下黒のジャージ姿で、長い髪をこれも黒いキャップの中に押し込んだキネリよりも、・・・

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あとがきが書けない

18/07/06 コメント:0件 undoodnu 閲覧数:100

 私はあとがきが苦手だ。原稿用紙を広げて机に向かって、ペンをくわえる。何も浮かばない。作品の解説をすれば良い? どうやればいいのだ。次回作への意気込み? そんなものは構想も何もまだない。登場人物達の後日談で跡を濁すか? そんな卑怯な真似はできない。困った時は、ひとっ風呂浴びてサッパリすることにしよう。
 入浴を済ませた私はサッパリした。だが、脳みそもサッパリしてしまった。やはり、何も浮かばな・・・

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彼が微笑したあとがき

18/07/06 コメント:0件 早川 閲覧数:62

 僕は教室の隅でじっと本を読んでいた。最近有名になった本だった。僕の好きな作家がそれを書いた。午後の教室で講義が終わった後、こうして過ごしていることが多くなった。
 僕がそうしていると後ろから一人の男が話しかけてきた。僕は彼のことを知っていた。この学科で一番できるやつ、文学部の中で唯一大手の出版社に内定が決まったやつだ。彼は自分で小説を書いたこともあり、どこかの県の文学賞を受賞したことがある・・・

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ご来店ありがとうございます

18/07/05 コメント:2件 紅茶愛好家 閲覧数:93

「えーと、生四つとライム酎ハイ、あとウーロン茶二つ」
「ライム酎ハイと……ウーロン茶二つですね」
 注文を取りながら若い女性店員が復唱する。飲み物を入力し終えたのを見て石丸准教授はメニューのページを繰った。背筋を伸ばし、注文を読み上げる。
「大皿特選ざんまい、中落ち、特選カルビ、牛モツセット、鳥軟骨の塩、福田屋サラダ、野菜盛り合わせ……とりあえずは、以上。で、良いかな?」
・・・

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エルピス――最後に残るもの――

18/07/05 コメント:4件 しのき美緒 閲覧数:289

 高山一樹は走っていた。
ニコライ堂の前の坂を大きなストライドで息を一つも乱さずに上り、それから聖橋口改札の前を左へ折れた。そのまま電車に乗っても良かったのだが、学生時代から馴染んだこの街を味わっておきたかったのである。丸善では学生たちが静かに立ち読みをしている。その向かいには老舗画材店が変わらずにあった。一階入り口付近には最近流行のマスキングテープや、輸入品の美しいカード類がディスプレ・・・

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息をやめた後の僕より。

18/07/05 コメント:0件 甘宮るい 閲覧数:133

「息子は一昨年の春に病に倒れ、それ以来入退院を繰り返していました。ですが6月20日の午後、家族の見守る中、静かに旅立ちました。享年18歳でございました。
息子は大変静かな子でしたが、部活にも勉強にも熱心でした。よく、家の手伝いもしてくれました。家族の誕生日には、決まって手紙とお花とプレゼントを贈っていました。サプライズをされたときには、驚いてもう嬉しくて……。本当にいい息子でした
息子・・・

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あとがき 告白

18/07/04 コメント:0件 横井雀 閲覧数:58

 あとがき

 始めまして、作者の南智子です。本編の方はお楽しみいただけましただしょうか。
 突然ですが、私はこのあとがきにてある一つの告白をします。
 実はこの物語は私だけの作品ではありません。盗作か? ある意味そうとも言えるでしょう。ならだれの作品だ? これは私の友人の作品でもあるのです。
 その友人は私の大学時代からの男性の友人です。大学時代の創作系サークルでの・・・

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作品「私」に添えられたあとがき

18/07/04 コメント:0件 広田杜 閲覧数:62

これを今書いているワタシは、私ではない。
作中に登場する「私」の世界が潰えたから作品は存在し、ワタシが生まれた。ワタシは「私」の意思を受け継ぎ、作品の完成を見届けるために存在する。ワタシは作品を装丁し、あとがきを添える。このあとがきが存在していること、それこそが「私」の存在の無を証明している。「私」はもういないのだ。
「私」の物語はどうだっただろうか。ワタシがあえて解説する意味な・・・

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恋と花束

18/07/03 コメント:0件 糸白澪子 閲覧数:123

 もはや楽園か?  他校からいらした講師さんからはよくそう言われる。ここは100年以上の歴史をもつ4年制大学。白を基調とした西洋建築風の校舎が立ち並ぶ象牙の塔。付属博物館でもある時計台なんて、本当に映画に出てきても何ら違和感のない外観をしている。今の季節、紫陽花が景色に映える。  そのキャンパスの一画、竹林の横の校舎へ、私は小走りで入る。金曜2限の教室はここの3階。階段を駆け上がろう……か迷ったが・・・

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俺の罪は君が知らない君の秘密

18/07/03 コメント:0件 紫聖羅 閲覧数:55

 妻の桜が息子と買い物に出かけている間、俺は引き出しの奥から、ある手紙を取り出した。箱に入れ、10年以上経ってもシワなく保管していたこれは、自分宛ての手紙ではない。桜に宛てられたものだ。
 桜と付き合い始めたのは、高校2年の夏だ。最初から桜が妥協して俺と付き合っていることは分かっていた。
 幼なじみの桜のことを、いつから好きだったのかは覚えていない。俺は想いを告げられないまま、桜も俺の・・・

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イニシャルK.I

18/07/03 コメント:1件 小峰綾子 閲覧数:62

本屋で平積みされていた新刊の表紙「森田健一」の文字が光って見えた。もしかして…まさか、そんなこと…。

森田健一は、15年も前に恋人だった男が当時小説を書いていた時に使っていた名前だ。しかし、どこにでもありそうな名前であるが故、同姓同名の作家がいてもおかしくはない。彼とはあれ以降交流もないので小説を書き続けているのかどうかも知らない。

帯に書かれている文字「遅すぎた再会 ・・・

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ユタのあとがき

18/07/03 コメント:0件 向本果乃子 閲覧数:86

 小説のあとがきは不要派だとユタは言う。
「俺が夢中で読んできた物語について、実はこういう気持ちで書いていた、こんなきっかけで書き始めた、あれが最後へ繋がる伏線だった、とかそんなこと終わってから言われても、俺が感じて考えてたことと全然違ったらどうなるんだよ。えーそんな意味だったの?とか知りたくないんだよ。百歩譲って作者の近況とか内容に関係ない話だったらいいけど、でもそれはそれで本の雰囲気や世・・・

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平凡な日々

18/07/03 コメント:0件 ちや 閲覧数:71

 俺の生まれた日、うす雲の覆う三月だというのにやたら肌寒い日だった。

 妊婦にとって子供の顔を見ることが出来ずに息絶えるなど、想像していなかったはずだ。肌寒さからかストーブをつけてあり、やかんがかけられていた。彼女は自分の腹から子供が出てくるのを心待ちにしていたであろう。しかし思いもしない方法で子は母親の胎内から出されることになった。
 犯人は彼女を絞殺したのち、腹を裂いて子供・・・

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傷痕を書き記す

18/07/03 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:75

 報告書にあとがきなんて要らない、と『凶器保全協会』の事務員さんからはよく言われます。『凶器』から読み取った死者の記憶を、正確に書き記すだけで良いのだと。確かに、それが『解読者』としての私の職務です。
 けれど、私見もどうしても書き添えたくなってしまうのは、作家志望だった人間の性なのでしょう。亡き父のように『凶器』にまつわる物語が書きたいと願っていた、子ども時代の夢の名残として。
 今・・・

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あとがきの本

18/07/03 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:61

 いつものように英介は、書店にでかけると、片端から本をぬきとっては、次々とその本のあとがきに目をはしらせた。
 これまで数えきれないあとがきに目を通してきた英介だったが、肝心の本文のほうはいちども読んだことはなかった。
 他人からいわせると、そんなの、どこが面白いということになるが、本人はけっこうたのしんでいて、あの本はよかった、あの本には泣けたよなどとおおっぴらにいうので、それをきい・・・

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病室の夜の涙

18/07/03 コメント:0件 早川 閲覧数:64

 妻と夜にキャンプに行った。空には綺麗な星が瞬いていて、月が見える。テントを張って二人で横になった。
「明日はどこへ行く?」
 疲れたように妻が言った。
「川に釣りに行こう」と僕は言った。
 二人で並んで眠る。ごうごうと風が吹く音が聞こえる。テントは風に揺れていた。
 翌日、目が覚める。妻はテントの外にいる。妻は火を焚いて料理をしていた。パンを焼いて目玉焼きを作ってい・・・

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TVで見たのと少し違うけど

18/06/30 コメント:0件 小峰綾子 閲覧数:58

「今日は帰りが遅い時間になるので夕食は何か買って食べてください。お金置いてあるからね」

帰りのバスの中で母からのメールを確認する。最近は特に珍しいことでもない。「コンビニ弁当で夕食なんて新鮮」と思ったのは最初の何回かで、ワンパターンの濃い味ももう飽きてしまった。ここ何回かは最寄りのコンビニではなく少し離れたスーパーまで弟とお惣菜を買いに行くのが続いている
バスを降りた後、弟に電・・・

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あとがき便り

18/07/02 コメント:1件 文月めぐ 閲覧数:120

「デザート担当の人は、鍋に水と寒天を入れて火をつけてください。かき混ぜながら寒天を溶かして、弱火で煮てください」
 先生の指示を聞いて、早速動き出す。六人の班員がいる中で、一人がご飯を炊き、三人でハンバーグを作り、二人がデザートを担当する。この班の中で由香理ちゃんと私がデザートであるあんみつを作る担当になった。
「寒天が溶ける前に砂糖を入れちゃダメなんだって」
 お母さんが言って・・・

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哀しい人

18/07/02 コメント:1件 向本果乃子 閲覧数:103

 家の中にいても波の音が聞こえる。
「ここに住んでたんだよね」
 海辺にある平屋の一軒家。
「すごい物の量」
「週末で片付けるのは無理だね」
 溜息をつく妹の頭に白髪を見つけた。三つ下の妹は三十七になる。自分たちがそんな歳になったなんて信じられない。でも七十の父が心筋梗塞で亡くなったのだから確かに月日は流れたのだ。
「お母さんが死んで一年もたなかったね」
・・・

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全力疾走

18/07/01 コメント:2件 瀧上ルーシー 閲覧数:127

 これは追悼小説、または追悼エッセイだ。あるいはただの駄文だ。僕の自伝でもある。
 僕の名前はR、もう三十代の所謂小説家志望だ。
 十七歳の頃から小説を書いて新人賞に投稿している。その頃に持病も発症した。持病のことは事細かに語らない、へんに同情されたくないからだ。とにもかくにも十七歳の頃、今は無きとあるエンターテインメント小説の新人賞に処女作を応募してB評定を貰った。選考の一番最初から・・・

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遺書

18/07/01 コメント:0件  浅縹ろゐか 閲覧数:131

 私はこれまで後悔しないよう、正しく生きてこられたのでしょうか。そのように疑問を感じたのは、病に臥せり余命宣告を受けた春先のことでした。残された時間がそう多くないということを知ったとき、死に対する恐怖よりも、これまでの生き方に対する後悔の方が幾らか上回っていたのです。
 私は癌を患い、二年程前から闘病生活を送っております。如何やら手術をするのが難しい箇所らしく、放射線治療をして様子を見ること・・・

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とある小説とチョコレートの話

18/06/29 コメント:0件 たい焼き好き 閲覧数:62

一週間前から読んでいた本の最後のページを開き、作者経歴などを確認したのち、パタン、と閉じる。
正直、この本はつまらなかった。よく読みきれた物だと、我ながら感心する。それほどまでに、この物語は肌に合わなかった。
学園での謎をどういう訳か一介の生徒が追うことになる、という、使い古されたであろうネタ。
名台詞か何かのように自身のキャラクターに言わせた、他の有名作品で使われたセリフ。

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幸福は剃刀の形をしていない

18/07/01 コメント:0件 氷室 エヌ 閲覧数:99

 なんだかよく分からないんだけど、突然どうしようもなく幸せになりたくなる時がある。そうでなければ、もう死んでしまいたいと思う瞬間がある。
 例えば、行きずりの女と一夜を共にした後一人で目覚めてしまった朝とか。夜勤に向かうためにコンビニでエナジードリンクを選んでいる時とか。留守電に録音されていた、母親の「たまには帰ってこい」という催促を聞いてしまった昼間とか。怖い夢を見て汗びっしょりのまま目が・・・

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あとがき

18/07/01 コメント:0件 R・ヒラサワ 閲覧数:34

―著者あとがき―  この作品は私にとって、実に三年ぶりの著書となるが、俗に言う『産みの苦しみ』を実感したのは今回が初めてであろう。振り返ると此処に至るまで、様々な出来事が我が身に降りかかってきていた。  まずは愛犬の家出に始まり、続いて妻の蒸発。挙句の果てには、住んでいたマンションを追い出される羽目にまでなった。 一時期、私はホームレスの状態になった。ホームレスと言っても、車の中で寝泊まりをして・・・

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あとガキ

18/07/01 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:113

 自身の小説の初出版の際、担当編集さんに「“あとがき”どうします?」って聞かれて、その意味をすぐに理解できない。
 単純に考えれば“後書き”なのに“書き”の部分が“ガキ”に頭のなかですり替わってしまい、俺はそれを反射的に断るけど。

 あとがきって確か、作品が終わった後に作者が、読者の物語に対するのめり込みや熱を打ち消すようにしれっと現れて「この本を手に取っていただきありがとうご・・・

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祈りの先に

18/07/01 コメント:0件 文月めぐ 閲覧数:95

 人はなぜ祈るのだろうか。

 今日は流れ星が見れるんだって、とクラスメイトの小原が言った。その日の休憩時間はしし座流星群の話で盛り上がっていたことをよく覚えている。クラスで一番騒がしい小原は「今日は遅くまで起きて、流れ星見るんだ」と自慢げに言い放った。すると他のクラスメイトも「僕も」「私も」と次々と便乗していった。「研一くんも見るでしょ?」と問われれば、わけもわからずうなずくことしか・・・

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新作人情噺「介護から看取りまで」

18/07/01 コメント:0件 治ちゃん 閲覧数:49

少子高齢化が深刻な今の時代。落語の語りにのせて、介護から看取りまでの状況を、新作落語と称して短編にしてみました。人情噺で有名だった三遊亭円生が噺ていると想像してお読みいただければ嬉しいです。・・・

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TVで見たのと少し違うけど

18/06/30 コメント:0件 小峰綾子 閲覧数:46

「今日は帰りが遅い時間になるので夕食は何か買って食べてください。お金置いてあるからね」

帰りのバスの中で母からのメールを確認する。最近は特に珍しいことでもない。「コンビニ弁当で夕食なんて新鮮」と思ったのは最初の何回かで、ワンパターンの濃い味ももう飽きてしまった。ここ何回かは最寄りのコンビニではなく少し離れたスーパーまで弟とお惣菜を買いに行くのが続いている
バスを降りた後、弟に電・・・

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今ならば

18/06/30 コメント:0件  閲覧数:62

 ねえ、ママ。
 小さい頃、あたしママといっしょにスーパーへ買い物について行くといつもお菓子売り場で見かけていた光景があるの。
 駄々をこねてお菓子買ってって大声で訴える同い年くらいの子たち。男の子でも女の子でもやり方はいっしょ。お目当てのお菓子の並んだ棚の前の床にひっくり返って手足をバタバタさせて泣きわめいて見せる、アレ。たいてい買ってもらえずその子のママにひっぱって連れて行かれるは・・・

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あとがきの人 

18/06/30 コメント:0件 こぐまじゅんこ 閲覧数:67

 ぼくは、鈴木とおる。
 岡山に住む小学二年生。
 ぼくは、本が大好きなんだ。
 いっしょに住んでいるおばあちゃんが、ぼくにいっぱい本を読んでくれたから。
 今日は、ぼくの誕生日。
 おばあちゃんが、本をプレゼントしてくれた。
 絵が少ないちょっとぶあつい本。
「とおるくんも本をよく読めるようになったから、この本をえらんでみたよ。ちょっと長いお話だけど、お・・・

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最後のお願い

18/06/30 コメント:2件 紫聖羅 閲覧数:71

 僕の尊敬する先生は、執筆した本の最後に「作者あとがき」というものを付けていました。僕もそれを真似て、「あとがき」を書いてみたいと思います。
 僕がこの本を書こうと思ったのも、先生の真似でした。
「なりたいものになるには、まず真似から始めればいい」
 そう先生はおっしゃってくれました。
 先生の仕事は本を書くことです。僕はこの世界で一番、先生を尊敬しておりました。先生のよう・・・

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あとがきジョニーの思い出

18/06/29 コメント:0件 クナリ 閲覧数:101

 あとがき、というものに憧れたことはないだろうか。

 子供の頃、漫画や小説を自分でも書いてみたいと思う人は多いと思う。
 その際、世にある本のあとがきを見て「ああ、本編はもちろん、このあとがきというものを私も書いてみたい」という欲求を抱いたことがないだろうか。
 「あるわけねえだろ」という方はそれで結構。
しかし意外に、こうした思いを抱く方は多いのではないかと私は思・・・

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しだれ桜の幻想

18/06/28 コメント:0件 とむなお 閲覧数:69


『……では、いつまでもお元気で。失礼いたします。敬具』

 美幸は、そう手紙を書き終えると、さっそく封筒に入れて、駅前の郵便局にあるポストへ向かった。
 その郵便局の近くには、中央児童公園があり、とても大きな、しだれ桜の木があった。
 その児童公園は川で囲まれていた。
 美幸は、その、しだれ桜が見たくなり、その児童公園に入っていった。
 きょうは快晴だか・・・

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夜星

18/06/28 コメント:0件 吉岡 幸一 閲覧数:99

 結婚をしたその年に病気で夫を亡くした私には、小学三年生になったばかりの俊太くんがひとり残りました。俊太くんは私の実の子供ではなく、亡くなった夫の連れ子です。
 夫が亡くなれば血の繋がった実の母親が引き取るのが筋かもしれませんが、実の母親は俊太くんを引き取ろうとはしませんでした。頑ななまでに拒否をしたのです。余計なものを背負いたくないのかと思いましたが、どうも顔をみていると無理して本当の気持・・・

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きみを連れて行くバスを待つ

18/06/28 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:188

 日付が変わりそうな夏の時間。人や車の通りも減った道路を歩くと、なんだか別世界に来たみたいだ。生ぬるいそよ風が、独特な夜の匂いも運んでくる。
 近くのバス停に、ちょうどバスが来ていた。深夜料金は高いけど、変質者に遭ったら嫌だし、歩いて帰りたくはない。わたしは、あわてて走った。
「すみませーん、乗りまーす!」
「はい、前払い四四〇円ね」
「あれ……?」
 財布の中に、小・・・

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あとがきのバラ

18/06/27 コメント:0件 ぜな 閲覧数:77

 ”看護師の礼奈が、最期に読んだ本には薔薇が散らばった”

 本が大好きな友達から借りた推理小説だけど、推理小説なんて今まで読んだことがなかったから、物語の結末には、そう終わっていた。意味がよくわからなかった。最期というのは、死に際だから、看護師の礼奈は、死にそうになった時に本を読んでいたということなのだろうか。薔薇が散らばったということは、血を表しているのだろうか。

「・・・

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月に恋して

18/06/27 コメント:4件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:131

 友よ、こうしてメールで告白することをゆるしてくれ。
 告白するのは、いまこのときをおいてない。機会は二度とおとずれないにちがいない。
 まず蛙のことからはじめようと思う。
 僕は池のほとりに傘をさしてたっていた。目はじっと、しな垂れる草の先がなびく水面下をみつめていた。草のあいだに蟇蛙がうごめいていた。青朽葉色の膜におおわれた頭を水面につきだしては、黒々とみひらく目で雨をうけて・・・

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わたしのつばさ

18/06/27 コメント:0件 藤光 閲覧数:79


 五年ぶりに会った香澄はすっかり変わっていた。
 学生だった頃から、彼女の伸びやかな手足と整った顔立ちにはずっと憧れていた。身につけている流行のファッションや最新のメイクは何度も真似をさせてもらっていた。でも、待ち合わせに指定したカフェに現れた友人の顔は化粧気がなく、肩まで伸びた髪も行き届いた手入れがされてなくて、実際の年齢は三十五歳なのに、目尻に目立つ小じわも相まって五十歳のように・・・

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凪子さん。

18/06/27 コメント:0件 れいぃ 閲覧数:81

数学のできる女の子は、できない子より少し繊細で美しい。
数の世界に踏み込んでいくのは、無機質なガラスをかきわけていくみたいだもの。
 ツユカは、背中で揺れる凪子さんの黒い髪を見るたびにそういうことを考える。数学が苦手な子がほとんどのクラスの中で、難しい数式をすらすらとける凪子さんの存在は特別なものに思えた。ツユカは現代社会や政経は得意だけど、数学となるとさっぱりだから、余計に凪子さんを・・・

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アーベントロート

18/06/26 コメント:0件 ぜな 閲覧数:95

 夕焼けに反射して、雪で白い山肌が赤くなる。まるで火の海になったかのように綺麗な赤色に染まり、僕と明美はその中心にいた。心中でもするカップル如く、僕たちは今、この火の海に飲み込まれようとしている。

「赤いわね」
「赤いね」
「寒いわね」
「寒いね」
「眩しいわね」
「眩しいね」

 木霊するように僕たちは同じ言葉を繰り返す。同じものを見ている・・・

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病室の花嫁

18/06/26 コメント:0件 和傘栗 素敵 閲覧数:129

水を打ったような虚ろな宵闇だった。
さきほどまでの蕭条な雨はおさまり、気づけば霧が出始めている。乳白色の薄霧が、静かに流れ動く。港の方角から、幾度となく汽笛が鳴った。
窓枠に肘をついて、私はぼんやりとその静かな運河を眺めていた。
オレンジや青、緑の光が、水面にくずれて滲み、異様に美化されて、その下にあるすべてを隠しているようにも見える。
私は、いつのまにか、先ほどの彼女との・・・

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蛇足

18/06/26 コメント:0件 くまなか 閲覧数:92

 真夏の直射日光の中を三時間待っていたから、私は脱水を起こして座り込み、親切な人に促されるまま病院へ向かった。待ち合わせの相手にはとりあえずショートメールで簡単に伝えた。電解質と糖分とを含んだ点滴に血液から口説き落とされて、私は確かに。
(終わった)
そう考えた。なにせ、途中どこかの喫茶店に移動していいか、ちょっとジュースを買ってくる、細々と連絡をしていたけれど”今筆が乗っている。直ぐ・・・

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快走力走! 清掃レース 

18/06/25 コメント:0件 タック 閲覧数:68

校舎の廊下を、陽光が照らしている。
そのなかに姿勢を低くし、二人がレースの開始を待っている。
競技者は、トモヤとソウタ。
一年生のクラスメイトである二人は、最近「清掃レース」の対戦者となった二人だった。

スターターが手を振り下ろし、同時に床が強く蹴りだされる。
教室内から観戦する生徒たちの声が高まり、雑巾を手に、両者が廊下を駆けていく。
――「清掃レース・・・

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ぶんぶくお鍋

18/06/26 コメント:0件 nekoneko 閲覧数:81

 ある山奥深く入った森の中、数匹の子ダヌキ達が変身の練習をしていた。その中の一匹の子ダヌキが頭の上に葉っぱを乗せると、何やら呪文の様な言葉を唱え出すと辺りから煙りが立ち込め出し、次に「えっい」と気合の様な声を掛けると子ダヌキはそれは見事なカブト虫に変身した。それを見ていた周りの子ダヌキ達も我も負けじと次から次へと変身して行く。子ダヌキ達は桃やお箸、バッタ。と皆、思い思いの姿に変身していった。が、一・・・

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海中時計

18/06/26 コメント:0件 間 亮彰 閲覧数:87

ずいぶんと昔のことになりますけどもぉ。
ぶらり、ぶらりと砂浜の上を何の気なしに歩いてたんでございますよ。
そいでね。潮だまりってあるじゃないですか。そこんとこをね。ちょいとのぞいてみたんですよ。いやぁ、なんかいるかなぁ、なんてね。
で、そんなぼうっとしてるからなんでしょうなぁ。
するり。
ぽちゃん。
ぶくぶくぶくぶくぶくぶくぷくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶ・・・

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