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人はそれを愛と呼ぶんだぜ

17/07/23 コメント:2件 ちりぬるを 閲覧数:266

  レポートナンバー395
 午前七時起床。朝食のバナナ、ヨーグルト、牛乳を完食。午前中は積み木で遊ぶ。最近は自分の背丈程のタワーを作るのがハジメのブームらしく、今日は昨日よりも二段高いタワーを建てることに成功していた。正午より昼食。野菜を煮込んだうどん。形があると残してしまう人参もスープ状だと食べられるようだ。二時間昼寝をして、私とキャッチボールをする。ボールを扱うのはまだ苦手なようで、私・・・

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夢の国のアリス〜瞳に映る憧憬〜

17/07/23 コメント:2件 浅月庵 閲覧数:326

 虚ろ目。浮遊感。私は横たわり、目蓋がシャッターを切ってそのまま開くことをやめてしまいそうな視界のなかで、両親の後ろ姿を見つめた。

 そろそろ旅行にでも行きたいわねぇとママが呟き、今にも吐き出されそうな溜め息を、ビールで喉に流し込んだ。
 今度の大型連休に海外でも行くかと、パパが煙草を咥え煙を吐き出すと、宙へと燻らせた。

 テレビ番組に触発されたのだろう。画面には・・・

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ナビゲイター

17/07/23 コメント:0件 木原式部 閲覧数:198

 長い旅になりそうだな、と僕は助手席に座っているリカに声を掛けた。リカはうつむいたまま何も言わない。すっかり無口になってしまって、と僕は思った。

 出会った頃のリカはこんなに大人しい娘ではなかった。僕が初めてリカを見たのは大学に入学したばかり頃だった。学生の波でごった返すキャンパスの中でリカは笑いながら他の女の子としゃべっていた。僕はリカの笑顔に一目ぼれして、どうやって声を掛けようか・・・

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傷口を開かせる愛

17/07/23 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:162

 突然、このようなお手紙を人づてにお送りしてしまいますこと、お許しください。
 国王陛下の悪政は民を苦しめるばかりか、陛下のご子息の御心までも壊してしまわれたことは、貴方様もよくご存知かと思います。臥せておられる王子の御命も風前の灯火であると、先日聞き及びました。
 我が一族は、長きに亘り王家にお仕えしてまいりました。私の一人息子も、王子の替え玉として生涯を捧げるための教育を受け、王城・・・

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逃げ水と逃げない水

17/07/23 コメント:0件 入江弥彦 閲覧数:265

 ポケットにいれた小銭が、じゃらりと擦れる音がした。
 光が差し込むたびにホコリが舞っている様子が見えて、息を吸い込めば湿ったカビのにおいがした。額を流れた汗がぽたりと床に落ちる。僕は耐え切れなくなって冷たいお茶を飲んだ。お母さんが、出かける僕を水筒と一緒に見送ってくれたのだ。
 僕よりもたくさんの汗をかいている体の大きなアキヨシは、僕とエリの顔を見てから地面すれすれにグッと拳を突き出・・・

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「いいね!」の先に何がある?

17/07/23 コメント:0件 キップル 閲覧数:149

「SNSに写真をアップねぇ…。インストールしたけど、何を上げたらいいんだろう?」

友達に勧められて、今流行りのSNSを始めた。あまりピンと来なかったけど、とりあえずペットの犬の写真を上げた。何か反応があるかとドキドキしてたら、すぐに通知が来た。

「いいね!」

SNSを勧めた友達からだった。その調子で次々と反応があり、「いいね!」の数は10を越えた。なんだか・・・

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愛と平和のシンボル

17/07/23 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:173

 かつてどんなSF小説も、またその種の映画にしても、異星人の地球来訪に、こんな光景を描いたものがあっただろうか。
 その異星人の知能の高さは、我々地球人をはるかに超越していることは、恒星間飛行を可能にした彼らの乗り物と、地球との交信に中国語を使用したことからみても明白だった。  
 22世紀の世界共通言語が中国語なのをかれらは知っていた。異星人はその中国語をりゅうちょうに駆使して、我が・・・

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カタクリの花

17/07/23 コメント:0件 miccho 閲覧数:152

 かれこれ一時間は歩いただろうか。幸の顔色も出発前より土気色が増している。
「このあたりで少し休むか」
「頂上までもう一息よ。一気に登ってしまいたいの」
 幸は変なところが強情だ。こうなったら意地でも頂上まで登りきるつもりだろう。
 康男は自分の胸ポケットに手を当てた。僅かな凹凸の感触が返って来た。出発前、主治医の中川から「もし途中で容態が悪化したらこれを」と渡された薬があ・・・

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式神の邸宅

17/07/22 コメント:0件 千野 閲覧数:145

 時刻は午前5時、玄関の郵便受けに新聞の投函される音がした。これが家を起動させるための電源であり、それにより、つつがなくこの日は始められた。

 ゆっくりと静かにカーテンが引かれる。未だうす青い外の光を取り込んだ部屋は、さながら幾年も前に水底に沈んだ船室のようなものにも思われた。実際のところその印象は事実から遠く離れているというわけではない。この家には、いや、この世界にはおよそ人の影と・・・

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感情の旅

17/07/22 コメント:2件 アシタバ 閲覧数:202

 田村玲二はかつて喜怒哀楽の感情を切り捨てるのに成功した。そして、高校に行かなくなった引きこもりである。
 心配する母親とも顔を合わせない彼は、今、部屋のベッドに横たわり、じっと目を閉じていた。笑い方も泣き方も怒り方も忘れて、とうとう動くことすら忘れてしまったかのようにも見える。
 しかし、これには理由があった。彼の頭の中では今、ある旅の光景が映っているのである。

 事の・・・

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めくるめく宝のとき

17/07/22 コメント:4件 笹峰霧子 閲覧数:229

 私は二度育児をしたことになる。
 自分の子供二人を育ててからほぼ31年経ったとき初孫が産まれ、ある時突然その赤ん坊を娘と二人三脚で育てることになった。
 産まれた直後に訪問した娘の家には、産院から連れ帰ったばかりの真っ赤な顔をした赤ん坊が眠っていた。そんな小さな赤ん坊を抱っこするのは何十年ぶりだったろう。
 
 その日以来子守りと食事作りは私の役目となった。
 乳母・・・

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子には親の背中よりも腰を見て欲しい

17/07/21 コメント:0件 八王子 閲覧数:151

 娘のサキが5歳になり、反抗期を迎えた。
 母の言うことをなんでも拒み、父のやる気のない態度や横柄な口ぶりを真似するようになった。
 だから母は決心をした。
「私は育児を放棄します」
 日曜日の昼下がり、テレビの前に寝転がって女子ゴルフを真剣に見ている父に母は姿勢を正して言う。
 すると、片づけをせずおもちゃを散らかしてばかりの娘も手を止めた。
 突然の出来事に・・・

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卒業旅行

17/07/21 コメント:2件 八王子 閲覧数:158

 日曜日のアウトレットパークはどこの店も混雑している。
「ごめんね、付き合ってもらって」
 ミチルはここまで車を出してくれたソウタに申しわけなさそうに謝る。
「別に構わないよ。ミチルが新しい一歩を踏み出すための大切な準備なんだから」
「そう言ってくれるのはソウタだけだわー。ほんと愛してる」
「はいはい」
 軽い愛の言葉を手を振るようにして払うと、ミチルが笑顔で手・・・

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ゆりかご

17/07/21 コメント:0件 猫春雨 閲覧数:181

 そのゆりかごはお母さんからのお下がりだった。
 お母さんもまたおばあちゃんから受け継いだらしい。
 当然私も、記憶には無いけれど使ったはずだ。
 そして、私の娘もまたそのゆりかごに揺さぶられている。
 このゆりかごは不思議だ。
 どんなに泣きわめいていても、ゆりかごに乗せるとピタリと泣き止む。
 そればかりか、きゃっきゃっと笑い声まで立てるのだ。
 おか・・・

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ライフツアー

17/07/21 コメント:0件 猫春雨 閲覧数:162

 危篤です。
 そう連絡があって、おじいちゃんの居る病院に、お母さんと駆けつけた。
 やつれた口元には酸素マスクが取り付けられ、おじいちゃんの胸がゆっくりと上下している。
 表情は穏やかで、とても危篤状態なんて信じられなかった。
 それでも先生は今夜が山でしょうとつぶやくように言う。
 私とお母さんはおじいちゃんの手を握ったけれど何も口に出すことが出来なかった。

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幸い

17/07/21 コメント:0件 くまなか 閲覧数:182

 俊樹ももう世帯をもつ。予定になかった妊娠だったが、長く付き合って家族同士の交流があったので、幸い好意的に受け止められた。或る日、妻の美穂子が不安も顕な顔で時間をくれと言うから、俊樹は釣られて不安になりながら、忙しい仕事を早く切り上げ、向き合った。美穂子は「これ」と一枚の便箋を取り出した。宛名宛先はない。
”俊樹ちゃんへ。大きくなりましたね。ずっと見てきたお母さんはとても嬉しいです。お式を挙・・・

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なんだか大変だったけど、お金もらえたー

17/07/21 コメント:0件 ちほ 閲覧数:144

 パブ『ロビン』の店主ピートは、6歳の息子ウォルターと『ごはん部屋』で昼食をとっていた。そして、食後のデザートとして用意された色とりどりのフルーツでいっぱいの大好きなパフェを、ウォルターはうっとりと見つめる。スプーンを手にした時、玄関のドアのカウベルが鳴った。ウォルターはパフェに夢中になりすぎて、ベルの音も父が席を外したことにも気がつかなかった。だから、父の友人である領主のユキヤにいきなり片・・・

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trip

17/07/20 コメント:0件 キュー 閲覧数:179

 あとは406号室か、智は踊り場から向かい合わせに建つ四号棟を見た。
 薄汚れた年代物の社宅である。当世風の瀟洒なマンションなどが周囲に立ち並ぶ中、くすんだ外壁の社宅はいかにも前世紀の遺物めいている。
 だが、部屋の窓には灯りがともり夕食時の和やかな活気があたりの空気にも満ちていた。食器のガチャガチャとぶつかり合う音、香ばしい焼き魚の匂い、テレビをみている子どもの笑い声。そんなものが漂・・・

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フィルタリング

17/07/19 コメント:0件 家永真早 閲覧数:192

 この口から発せられる汚い言葉すべて、綺麗な言葉になるようなフィルターが欲しい。優しい声になって、笑った顔になって、傷付けないことができたら良い。
 言葉は一番簡単な暴力だ。取り消せない言葉は深く刺さり、見えない棘となって蝕んでいく。
 だから暴言は無力になり、溜め息も舌打ちも不機嫌な態度も全部全部覆い隠して綺麗な姿にして欲しい。
 子供の時に投げられた言葉や態度は種となりやがて・・・

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悔しいけど愛、ということ 

17/07/19 コメント:0件 秋 ひのこ 閲覧数:211

 東名高速を東京から西に下ると、新幹線と違い富士山がほぼ正面に見える。大井松田ICの手前にきたところで、すっきりと晴れ渡る空に悠然と現れた名峰に並子はわざと「わあ、富士山」と声をあげ、ちらりと隣を見やる。
 中二の娘、彩は脇目もふらず、スマホに夢中だ。
 東京から京都に行くにあたり、何を思ったのか車で旅することにした。1泊2日、母娘のドライブ旅行である。
 富士川の河口に開ける富・・・

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サソリのサラダ

17/07/19 コメント:0件 maimo 閲覧数:206

「何か、違うんだよなあ」

その企画書は、私が金曜の夜から週末にかけて取り組んだ自信作だった。書類がデスクにぽんと返されたとき、褒められることしか想定していなかった私の頭は、真っ白になった。

「きみらしく全体的にはとてもよくできてるけど、何と言うか、面白味がない」
と、上司は言った。

春に三十歳になった。ゴールデンウィークはどこへも行かなかった。仕事に・・・

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輪廻という旅

17/07/19 コメント:0件 篠崎ショウ 閲覧数:166

 少女には母の記憶にいい思い出が全くない。
 その日もそうだった。少女が数学の小テストでで56点という芳しくない成績を出したことが、母親の逆鱗に触れた。
 少女は母親に無理矢理車に押し込められ、車はそのまま発進した。
 車中では少女に対し母親はありとあらゆる否定の言葉をかけ、少女を罵る。いつものことだ――少女が物心ついたときからこのヒトはいつもこうだ。
 少しでも少女が口答・・・

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ライバル

17/07/18 コメント:0件 月影輝 閲覧数:229

「妊…娠?誰が?」
「私に決まってるじゃないの!」
結婚して3ヶ月目の記念日に、妻の香織が妊娠した。
「嬉しくないの?!洸ちゃん!」
「い、いや。うれ…しいよ。」
正直、嬉しくはなかった。子供は、嫌いだ。ギャーギャー泣くし、オモチャを散らかしたり、物を壊したりする。なによりも…香織を独り占めにする…

そして、数ヵ月がたち、香織は元気な男の子を産んだ。男の・・・

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初恋は、時空を越えて…

17/07/18 コメント:0件 月影輝 閲覧数:234

その生徒は、いつも窓に腰を掛けて、空を眺めていた…
「ねぇ、そこにいると危ないよ?落ちちゃうよ?」
私が彼にそう言っても、
「平気、こんなの落ちないって!」
「やめて!危ないから!」
彼は、足だけを窓の下に掛け、逆さまになり…
「ほらね!落ちてないだろ?」
心配する私をよそに、悪戯っぽい笑みを向けた。他の生徒は、『またか…』と一瞬チラッと彼を見るが、また元・・・

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初めての女

17/07/18 コメント:0件 喜久之湯 閲覧数:151

「ん〜もう大好き」
 そう言いながら、女は俺に抱きついてきた。
 まったりとした時が流れている。レースのカーテンは柔らかに波をうちながら午後の日差しに揺れていた。

 こうして女の胸もとに身体を預けていると安心する。本来なら、男の俺が抱きかかえなければならないことは百も承知だ。だが、今は甘えておこう。
 俺が心から和んでいることを笑顔で伝えると、女は目じりを下げて微笑・・・

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そうして巡る

17/07/18 コメント:0件 村崎紫 閲覧数:153

今年、我が家の玄関にツバメが巣を作った。
ツバメが飛んでいるな、と思っていたらみるみるうちに泥と枯れ草で作られていた。掃除が楽になるよう、巣の下に空箱を置く。巣になり損ねた物と糞がよく落ちてきた。
調べてみるとツバメは雌雄で子育てをするそうだ。抱卵中はほとんど雌で、雌が食事に出る時だけ雄が温める。なかなかの育メンだなと思っているうちに、卵から孵化していた。
鳥と言うより黄色い口が・・・

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エイジハラスメント

17/07/17 コメント:0件 林一 閲覧数:178

 私はもうすぐ四十になる。ちなみに独身だ。
 仕事一筋でこの歳まで頑張ってきたのに、職場ではおばさん扱いされてつらい。私の方が若い子達よりも仕事ができるのに、何であんな若いだけの子達がちやほやされるんだか。あーむかつく。
 あれ? あそこにいる女の子、一人で泣いてどうしたのかしら? お母さんとはぐれちゃったのかな? 私の年齢だったら、今頃あれくらいの歳の子供を育てていてもおかしくないの・・・

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優曇華の猫水

17/07/17 コメント:2件 夏野夕暮 閲覧数:199

 『入壇希望のお檀家様を、当山は歓迎いたします。電話であれば日中はすぐにお受けいたしますし、公式サイトからの応募も受け付けております。お檀家様であれば、当山はペットの法要も承ります。拙僧が森羅万象あらゆるものの安寧と供養をお約束いたしましょう』

 我が寺の公式サイトではこう書いたものの、動物の供養の仕方など欠片も知らない。しかし昨今の檀家減少は著しく、こちらもなりふり構ってはいられな・・・

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雨。時々、ライオン。

17/07/17 コメント:1件 冬垣ひなた 閲覧数:239

 その金色を湛えた眼光は、僕が動物園で描いたライオンの絵によく似ていた。
 絵の中だけでもと思い檻を外して描いたライオンは、とてもけだるげな表情で、暮らしには困らないだろうに満足そうには見えなくて、僕は次第にやるせなくなった。
「これは、ライオンじゃない……」
 気が付くと、サバンナに置き去りにした本能をみなぎらせ、牙をむき出しにした獰猛な肉食獣の顔を、僕は紙に描き出していた。<・・・

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敷島早朝清掃隊

17/07/17 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:184

 青春をテールライトの乱反射に見間違えた少女たち、「敷島ナイトウォーカーズ」のメンバーは悩んでいた。
「あたしら評判悪いんすねぇ」
「敵チームとハルのは上等っすけど、それ以外の人らに嫌われたくねぇですよね」
「あたしこないだスタジオ締め出しくらいましたよぉ」
「それはあんたがドラムスティック盗んだからだろー」
「テヘペロっす」
「ふりーし、似合わねんだよ、あれは・・・

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楽園

17/07/17 コメント:0件 沓屋南実 閲覧数:184

 電話が鳴った。
 夫の出勤を見送り、朝食の後片付けをしながら、ラジオから流れる変拍子のワルツに耳を傾けていた。実家の母からだった。
「琉が、琉が……」嗚咽のような声だった。
「琉が交通事故を起こしたよ。すぐ風間病院へ行って」
 琉とは、私の4歳年下の弟だ。驚いて母に詳細をたずねるが、要領を得ない。命に別状がないことだけはわかった。取るもの取りあえず車で病院へ急いだ。

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のっけて丼

17/07/17 コメント:0件 林一 閲覧数:146

 日曜日。俺は娘と二人で魚市場にきていた。
 この魚市場には、丼ぶりに好きな刺身をのっけて、オリジナルの海鮮丼が作れるという名物、のっけて丼がある。久しぶりにのっけて丼が食べたいとさっき娘にせがまれ、急遽くることになった。
 娘はご飯の入った丼ぶりをもらうと、嬉しそうに色んなお店の前を歩き回っていた。
「おじさん、サーモンとハマチのっけて」
「はいよ、お嬢ちゃん」
「・・・

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琥珀色のメモリー〜続・とある猫のお話〜

17/07/17 コメント:7件 冬垣ひなた 閲覧数:297

 君はこの世に生まれてから、奇跡を何度も起こしたね。赤ちゃんの時に一人ぼっちになったときも、事故で身体の自由を失いそれを乗り越えたときも。
 雄猫だったのに子猫たちの面倒を見る君は、茶虎の明るい毛並みが自慢の、逞しいヤンチャ猫でしたね。繰り返される思い出話の中で語られるのは、君の元気だった姿ばかりです。
 君がこの世を去ってしまったのは、きっと不本意な事だったでしょう。私たちのお別れは・・・

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夜明け前の猫

17/07/17 コメント:0件 喜久之湯 閲覧数:164

 恋路は、すべて闇の中である。
 ある時は屋根づたいの先で事に及び、ある時は数十軒先まで聞こえるヨガリ声を出し、またある時は家の入り口で情事にふける。
 一筋縄では行かぬが、何処でもやってやるという気概に貫かれている……。

 ここ数日、いつも夜明け前になると、発情期のノラ猫が庭先で交尾にいそしむようになった。
 春なのである。

「ワォ! やってる、やっ・・・

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山でのできごと

17/07/17 コメント:0件 OSM 閲覧数:139

 ママときょうだいたちはベッドでぐっすり眠っているし、天気もいいので、ぼくは今日こそ山に行くことにした。「危ないから山に入ってはダメよ」とママは口うるさく言うけれど、ぼくはきょうだいの中で一番足がはやい。ほかのネコに出会ったり、悪いニンゲンに見つかったりしても、逃げきれる自信があった。
 家からだと大きな緑色のかたまりに見えた山は、近くに行ってみると、たくさんの木が集まってできていることが分・・・

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視線

17/07/17 コメント:0件 小夜 閲覧数:153

 僕の部屋には、いつからかおばけが出るようになった。
 それは決まって日が暮れる頃。
なぜその頃かといえば、空の端から西日の名残が消え、いよいよ手元が見えなくなった僕が、観念して卓上ランプをつけるからだ。
 すると窓の向こうにはぽつぽつとした街の灯りが、こちら側にはぼんやりと疲れた目をした少年が見える。手元には折り目のついたノートや、積み重なった教科書が隙間なく散らばっていて、石・・・

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僕らの猫救出作戦

17/07/17 コメント:0件 そらの珊瑚 閲覧数:160

 街を抜け、山道を上る。うねうねと続くカーヴの手前で慎重に車のスピードを落とし、曲がりきったあとから加速する。助手席で寝ている栞を起こさないように、ゆっくりと慎重に。オートマチック車はギア操作をしなくていいので、楽ちんだ。以前はマニュアル車に乗っていた。十年乗ったそれなりに愛着のあったスポーツタイプのツーシート車。買い替えたのは、栞と結婚したのがきっかけだった。僕のしがない賃金だけで二人が生活する・・・

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タワシくんのこと

17/07/17 コメント:0件 解場繭砥 閲覧数:137

 このたび下僕になることにしました。
 つきましては我が身のすべて、てっぺんからつま先に至るまで肉球のために捧げます。
 誠心誠意、全霊をもって、ご主人様にお仕えします。

  †

 結婚から一ヶ月後、家族が増えました。超促成栽培です。そういうジョークと共に友人にタワシの写真を送る。
 なぜタワシという名前になったかというと、与えたおもちゃで亀の子だわし・・・

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猫被りの街

17/07/17 コメント:2件 霜月秋介 閲覧数:410

「吉村ヨシコさん、どうやらあなた、猫病にかかってますね。お薬出しておきます」
「はい?」

 医師の思わぬ診断に私は驚きを隠せなかった。最近何日も眠れない日が続いて、私は精神的にも体力的にも限界に来ていた。うつ病なのではないかと疑い、思い切って精神科を受診したのだが、診断結果はまさかの『猫病』である。


 みんなが私に優しい。みんないつも、笑顔で私にお菓子やジ・・・

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二分の一 成人式

17/07/17 コメント:4件 風宮 雅俊 閲覧数:415

「とうちゃん、作文の宿題があるんだ」
 夕飯の片づけが終わって、とうちゃんが風呂に入る前に捕まえる。一日に一回のチャンスだ。
「おまえの宿題だろ?」
 逃げの態勢のとうちゃんに低姿勢かつ逃げ場を与えない様に言わなくてはいけない。
「生まれた時の事を両親に訊いて書かく様に先生に言われたんだ」
「産んでないよ」
 面倒くさい全開のオーラが出ている。
「とうちゃ・・・

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マミーにゃんこ

17/07/17 コメント:2件 泡沫恋歌 閲覧数:246

猫カフェ『にゃんこの館』のスタッフ猫、マリリンにはとても悲しい過去がありました。
マリリンはバーマンという珍しい猫で、長くて絹のような手触りの毛を持ち、綺麗なサファイアブルーの目、脚の先端がまるでソックスを履いたように白いのが特徴でした。
伝説では、バーマンはビルマ(現在のミャンマー)の高僧ムンハーのもとに現れたシンハというネコが起源といわれています。
マリリンには生まれた時から・・・

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私の赤ちゃん

17/07/17 コメント:4件 瀧上ルーシー 閲覧数:410

 私は赤ちゃんと二人でアパートに暮らしています。この子のお父さんはいないのですけれど私の両親が十分な仕送りをしてくれているため旦那がいなくても子育てに専念できます。よく覚えていないのですけれど赤ちゃんは今生後三ヶ月? きっと半年はこえていないと思います。
 ベビーベッドの上で寝ていた赤ちゃんが泣き出しました。きっとおしめだと思いましておむつ替えシートの上に赤ちゃんを仰向けに寝させてお尻を少し・・・

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山猫村

17/07/17 コメント:0件 キップル 閲覧数:131

 東北地方の山奥に、猫だけが住む村があるのをご存知だろうか。家々は朽ち果て、田畑は荒れ放題の中におよそ100匹の猫が暮らしている。そこには最近まで一人の老人が住んでいた。物語は半世紀も昔、その老人がまだ20代だった頃に遡る。

「すいません、この辺りに金色の猫がいると聞いたのですが、ご存知ないですか?」

 彼の名前は土田栄作。東京で三流オカルト雑誌の記者をしている。背は低・・・

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たった一つの冴えた飼いかた

17/07/17 コメント:0件 plum 閲覧数:156

 もともとは犬派だったので、猫は好きでも嫌いでもなかった。それが大嫌いになったのは、近所で飼われている猫が、頻繁にうちへ出入りするからだった。
 一匹ならまだ可愛いと思えないこともないが、数匹となると話が違ってくる。区別がつくだけでも五・六匹の猫に、入れ替わり立ち代わり敷地に入って来られて、どこかしらに残された糞尿の匂いが匂ったり、老朽化している車庫の屋根を走り回られて冷や冷やしたり、真夜中・・・

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恩返し

17/07/17 コメント:0件 いちこ 閲覧数:163

 午後11時。
 今にもぐったりと崩れてしまいそうな体を気力で動かす。まだ家には着かない、頑張らねば。
 仕事でくたびれ果てて、やっとのことで家まで帰るのはいつものことだ。むしろ今日は早く帰れた方で、日付が変わる日も多かった。遅く帰るからといって遅く出勤できるわけではなく、当然疲労は蓄積していく。このまま目覚めなければ良いのにと思いながら眠りにつく日々が続いていた。

 赤・・・

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一緒に見たかった景色

17/07/17 コメント:0件 要崎紫月 閲覧数:180

 三年生に進級する前の春休み、僕は父の勧めでアメリカ旅行に単身で行く事になった。
「リョウタ君はスゴいのね」
 学校帰り、並んで歩くヒナコちゃんが言う。
「一緒に行けたら良いのに。でも駄目ね」
「動画撮って見せてあげるよ」
「ううん、やっぱり自分の目で見たいな」
 そう言うと、子供っぽくにっこりと笑った。
 僕達は付き合っていなかった。けども、お互いの事を・・・

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被り物

17/07/17 コメント:0件 村崎紫 閲覧数:138

「あーぁ。もうやだー!」
溜めていた感情を近所迷惑にならない程度に上を向いて吐き出す。見上げた先は雲一つ無い満天の星空だったが、今の私の琴線には触れなかった。帰路にある人気の無い小さな公園はいつしか本音を吐き出す場になっていた。軽食と缶チューハイを買って夜風に当たりながら小腹と傷心を癒やす。私に必要な場所だった。どう見ても職質されそうではあるが、幸運にもまだそれは無い。
いつものベンチ・・・

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ずっと一緒

17/07/16 コメント:0件 しおこんぶ 閲覧数:164

 お久しぶりです。お元気でしたか?やっぱり予想通り。この公園で待っていればあなたと会える気がしていたんです。いやいや、そんなにびっくりした顔をしないでください。そりゃまあ、あなたと会うのは本当に久しぶりですが・・・。10年ぶり?いや、15年ぶりですか。月日が経つのは本当に早いですね。この15年間、何をしてらっしゃいましたか?特に変わりない?そうですか。私の方は本当にいろんなことがありましたよ。少し・・・

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しっぽが裂けても

17/07/17 コメント:0件 小高まあな 閲覧数:229

 生き物なんて飼うもんじゃない。
 そう思っているし、何度もそう言っているのに、同居人は構わず猫を拾ってきた。
「何度目だ」
「五回目かな」
 低い声での問いかけに、同居人はあっけらかんと答えた。そうじゃなくてだな。
「嫌いじゃないでしょ、猫」
 獣医には連れて行ったあとだという。手慣れやがって。
「まあ、そうだけど」
「ならいいじゃん、隆二のまあは・・・

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異種同棲生活〜猫と彼女と、ついでに俺〜

17/07/16 コメント:0件 市川 春 閲覧数:215

「モモ」

窓枠に寝そべった黒猫は、俺の呼びかけにわずかに耳を動かしただけだ。振り向きもしない。もしこれが彼女だったら、一声鳴かせるくらいの芸当ができたかもしれない。

猫は気まぐれとはよく言ったもので、我が家の黒猫も類にもれず、その類だった。

SNSで話題の最新猫じゃらしなるものを彼女がネットで取り寄せた時も、モモはチラッと視線をやったのみで、むしろその猫じ・・・

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