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ティンダーデイト

17/12/09 コメント:0件 満希虹里 閲覧数:270


デイト・アプリでただ今、ティンダー(火付け)が世界で一番人気のあるのは名前のせいもあると思う。うまく名付けたと感嘆する。自分の写真を出してだれかが関心を示してクリックと「火をつける」から、拒絶の心配をせず、誘えるから確かに自尊心は傷つかない。せっせとスマートフォンの画面をこすりながら、若者は理想のデイト(相手)を物色する。でも、デイトに何を求めるかはっきりしないから、誤解は頻繁に起こる。<・・・

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オレオレの悲劇

17/12/09 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:301

美弥子がひとりで家にいたとき、息子の大樹から電話がかかってきた。 「おれだよ、大樹。母さん、困ったことになっちゃって――」 「大樹――あなた、本当に大樹なの」と美弥子は念を押すようにきいた。 それというのも、ちょうど一昨日、孫を連れて遊びにきた娘の桂が、ビールのジョッキを傾けながら、「これほど世間でオレオレ詐欺の被害がでているというのに、まだひっかかる連中が後を絶たないなんて、まったくどう・・・

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サムの片思い

17/12/09 コメント:0件 満希虹里 閲覧数:222

東京のユースホステルで聞いた、イギリス人のサムの恋物語はだれかさんのように甘酸っぱい。

「両親は海外に住んでいたから、僕は寄宿舎にいて、田舎に一人暮らしをしているお爺ちゃんの家で休暇を過ごしたんだ」ハリー・ポッターのように、寄宿舎暮らしなんて、いかにもイギリスの男の子らしい。確かにサムはハリー・ポッターのように格調高いイギリス英語をしゃべる。「初めてヘザーに会ったのはおじいちゃんが・・・

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蓋のムコウに

17/12/09 コメント:0件 デヴォン黒桃 閲覧数:333

 どこのクラスにも一人は居るような……昼休みになると、弁当を隠して食うヤツ……  うちのクラスにもそういうヤツが居た。  教室の隅ッコの窓側の席に、アイツは居た。  昼になると決まって、教科書やらノートやらを開いて立てて、壁を作ってゴソゴソと顔を伏せて食っていた。  そんな冴えないアイツを、バカにしていたクラスの人気者の男がいた。  昼休みになると、決まってアイツにチョッカイを掛けていた。 「何・・・

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血と灰の熱 ――リース・リストリイの喀血

17/12/09 コメント:1件 クナリ 閲覧数:556

 「歌と水の街」は、大陸の端にある一大芸能都市である。  その中枢をなす歌劇団にあって、リース・リストリイは、中心的な存在ではなかった。  歌い子の潮時は二十五歳までと言われる中、彼女は今年、二十八歳になる。  最年長のリースの歌は、今なお最上級ではない。しかし、美貌は優れている。 ■  公演の後、私は歌劇場支配人の執務室に呼び出された。 「リース。エドワーズ氏とは良好なのだな」  エドは私の・・・

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人はなぜ生きるか

17/12/09 コメント:0件 伊川 佑介 閲覧数:260

「あなた何か勘違いしてるんじゃありませんか」
目の前の白衣の男が面倒臭そうに吐き捨てた。時折横にある画面を見つめてはその指示を「患者」に伝えるだけの人。現在の心理相談医、その昔精神科医と呼ばれていた人だ。
「あなたは生きる意味を見出せない。それなのに生に執着している。それは一体なぜですか?」
「別に急いで死ぬ意味もないから生きているだけです」
これは困った、という顔をして男・・・

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させてくれ

17/12/08 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:397

 殺人鬼が乱入して、職場の皆が、あっというまに死んでしまった。
 イジワル課長も、悪口ばっかり同僚も、こんな死に方をするなんて、悲劇だ。

 わたしは幸い、倉庫にものを取りに入っていた。
 その最中を見なかったのは、せめてもの救いだ。

 本当は、倉庫にいる間、とんでもないことが起きていることを察していた。
 
 「うはははは、殺す殺すころーす」

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思春期障害

17/12/08 コメント:0件 ちりょう なひろ 閲覧数:244

 母が作った弁当にロールキャベツが入っていて全てのおかずと飯を浸す汁を半ば投げやりとなった僕は啜る。

 ズズズッっと。

 あらゆるものが混ざったロールキャベツから染み出た汁は複雑怪奇な不味さでそこに思い遣りは微塵も感じられずにいた。 
 隣の席で弁当を食べるあまり仲の良くないミユはそんな僕の愛情たっぷりロールキャベツから出た憎しみ汁に浸される冷食とサトウのごはん達・・・

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真夜中に吠える

17/12/08 コメント:0件 ちりょう なひろ 閲覧数:242

 ここに横断歩道が出来たのは、中田ん家の子供が轢かれ死んだからで、それほど車通りの多くないこの道にぽつんとある信号は不可思議にして違和感すらおぼえる。

 そもそも中田ん家の子供は赤信号だろうと車がきていなければひょいひょいと渡ってしまう奴だったし、まして信号がないところでは左右の確認を怠り横断してしまうような事が多々ある不注意極まりない子供だった。
 親が赤信号を無視する仕方が・・・

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名探偵がおこす悲劇

17/12/08 コメント:1件 糸井翼 閲覧数:318

夏休みの懸賞で当たった宿泊券を手に、彼氏と山奥の秘境温泉宿へ行くことになった。でも、山奥のホテルで急な大雨の中、道路が通れなくなり、私と彼は宿に取り残された。ここで私はこのホテルでの誰かの死を予感した。彼と一緒に何かすると大体事件に巻き込まれる。じゃあ何で旅行に誘ったかというと、彼が好きだから。それに、彼は名探偵で必ず事件は解決する。もうこれはお約束。
案の定、事実上の密室で宿の主人が殺され・・・

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美味しくない弁当屋

17/12/08 コメント:2件 笹岡 拓也 閲覧数:404

私が働く弁当屋には毎日のように通い詰める若者がいる。彼はとても細く、顔も色白で覇気がない。
「あんたもたまにはしっかりした物食べなさいな」
私が彼に声をかけることもしばしばある。私が働く弁当屋には正直栄養バランスが整った弁当はない。どれも栄養が偏っていたり、油をたくさん使っていたりと健康志向ではないのだ。この弁当屋は健康志向よりも工場などで働くガテン系の方々に好まれる弁当を提供している・・・

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懸賞小説中毒者

17/12/08 コメント:0件 伊川 佑介 閲覧数:265

「先月のことだよ。もう、いよいよ忍耐にも限界が来たと言うか、ほとほと呆れ果ててね。人間ですよ、人間。こんなに俗悪な生きもの他にいる? もうこれは一緒にやってけないと思って、ひとりで月に旅立ったの。世の中には社会を恨んで、誰かれ構わず無差別に攻撃する人もいるでしょ。でも私は傷つけたくなかった。だから月へ飛んだんです。誰もいない星で、一からやり直そうと思ってね。だけど着いて半日もしたら、妙に寂しくなっ・・・

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幸せは常に詰まっているのですよ。

17/12/08 コメント:0件 のあみっと二等兵 閲覧数:315



学校の昼休み。
私は購買部で買ったパンをかじっている。
「一緒に食べない?」
窓際の席で独りだった私に、クラスの中で一番綺麗なミサが話かけて来た。彼女は私の返答など聞かずに勝手に椅子を持って来て座る。
そんな様子を男子の8割が見つめ、なんだかそれが私に対する嫉妬にも似た感情だとは気付いていた。見えていれば、だが。
しかし私はミサに向き直るでもなく、窓に・・・

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弁当に関わる彼女の思い出

17/12/07 コメント:0件 小峰綾子 閲覧数:250

目覚めたら彼女からラインが届いていた。「昨日はごめんなさい。聞いてほしい話があります」
昨日は、紅葉がピークだったので公園を散歩していた。陽が落ち始めると風が冷たくなってきたので、もう少し歩いたらカフェにでも入ろうか、という話をしていた。

そこで俺は「春になったらピクニックみたいな感じでもいいな。弁当作ってよ」とふと言ったのだが、あれ以降彼女の様子が少しおかしかった。怒っている・・・

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相撲風景

17/12/07 コメント:2件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:285

 私が小学生だったころ、裏の山に大相撲がやってきた。  鹿が飼われた檻の横に建立された記念碑まえの公園に、垂れ幕をはりめぐらせたなかに、土俵をもりあげそのまわりを、いっぱいの見物人が集まっていた。  家が山のすぐ下にあった私もまた、お金を払って――子供料金は少額だった――相撲をみることにした。  稽古の模様を披露していたのか、若手力士たちに胸を貸しているのは、当時大横綱とうたわれた力士だった。肉体・・・

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忘れることのない味

17/12/07 コメント:0件 新成 成之 閲覧数:437

 時刻は十二時を周り、皆が仕事の手を止め、昼休みになった。
 俺は鞄からステンレス製のお弁当箱を取り出すと、ゆっくりとその蓋を外す。中には唐揚げやポテトサラダ。ほうれん草の胡麻和え等、俺の好きなおかずが詰められている。
「いただきます」
 両手を合わせてそれらを頂く。ほんのり温かいそのお弁当は、俺の心を暖めてくれる。

 一週間前の事だ。一つ上の先輩である世良さんにこ・・・

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想い出とともに君が降ってくる

17/12/06 コメント:0件 吉岡 幸一 閲覧数:323

想い出とともに雪が降ってくる
亡くなった妻の影がふんわりと静かに

夕暮れから降り始めた雪は
路面を薄く覆い街路樹に帽子を被せている
道に面した喫茶店のドアの隙間から
凍てつく風に運ばれて雪が入ってくる
冷たいはずなのに暖かく
雪に乗って想い出が降りてくる

雪が道行く仕事帰りの人の傘に積もる
帰る先には誰が待っている
行く先・・・

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弁当取締委員会

17/12/06 コメント:0件 笹岡 拓也 閲覧数:388

「なぁ康太!今日も学食行かね?」
「あぁいいよ」
俺は高校二年になった時できた友人と毎日学食で定食を食べることになっている。学食の定食はどれも250円と良心的な値段になっているが、高校生の財布から毎日はかなりキツい。それでも友人が毎日学食に誘ってくれるから、小遣いと貯金を切り崩して学食に通っている。
高校一年の頃は毎日教室で母ちゃんが作った手作り弁当を食べていた。レパートリーが少・・・

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少年の嘘

17/12/05 コメント:0件 蹴沢缶九郎 閲覧数:284

「僕のお父さんは会社の社長で、昨日も最新のゲーム機を買ってもらったんだ」

学校の昼休みの教室、少年はクラスメイト達に嘘をついた。少年の父は社長などではなく、中小企業の営業マンであり、勿論最新のゲーム機を買ってもらってもいない。

「おい、またこいつのお得意の嘘が始まったぞ。もう騙される奴なんかいないんだよ、嘘つき野郎」

少年の嘘を見抜いていたクラスメイト達は・・・

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まだ頑張りなさい

17/12/05 コメント:0件 蹴沢缶九郎 閲覧数:276

朝、交通誘導の仕事を終えた田中は、自宅のある木造アパートに帰宅すると、さっそく毛布にくるまった。季節は冬、凍えるような寒さは田中を容赦なく襲うが、それでも彼が暖房機器の一切を使わないのは、電気代節約の為である。

自身の仕事仲間であり、先輩でもある四つ歳上の高橋が仕事中に倒れ、搬送先の病院で亡くなったと聞いたのは昨夜の事だった。
雪の降りしきる深夜、高橋の辛そうに誘導灯を振る姿が・・・

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僕と彼女と、弁当と

17/12/05 コメント:0件 皇 藍羅 閲覧数:325

目覚まし時計が鳴る十分前、僕はある音で目覚める。まだぼんやりとしている頭を覚醒させたのは、炊きたての白米の匂いと包丁のリズミカルな音。
僕の名前は長谷川達也。中小企業で働く至って普通のサラリーマンだ。
冬真っ只中の肌を刺すような寒さに身を縮こませながら温い布団から出ると、その音と匂いの発生源であるキッチンに向かう。
「おはよう」
「あれ、達也くん。朝早いね?まだ・・・

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メタリックツインテールナンバーエイト

17/12/05 コメント:1件 若早称平 閲覧数:365

 酷い冷え性で手がかじかむのです。私がそう告げると彼はチェーンソーで私の手を切断した。赤い飛沫が彼の服を汚す。彼はそのことに腹を立てた様子もなく、これでもう辛い思いをしなくて済むだろうと私の頭を撫でた。本当に優しい人だと思う。
 でも、と私は手首から先がなくなった自分の腕を見る。赤い液体がまだポタポタと滴っていて絨毯に染みが広がっていく。でもこれでは髪を梳かすことが出来ないわ。彼はソファーに・・・

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あの日に戻れたら

17/12/05 コメント:0件 若早称平 閲覧数:416

 笑えない、最悪な連絡を私は決勝戦の舞台袖で聞かされた。  私となーこは出会ってすぐに意気投合し、その日のうちに漫才コンビを結成した。芸人にしておくにはもったいないくらいの容姿なのに天然ボケで人見知り、一人ではなにも出来ないなーこは、なにをするにも私の後をついて来た。  なーこがボケて私がツッコむというスタイルで五年やってきた。私が書くネタには絶対の自信があったがなかなか芽は出ず、漫才のコンテス・・・

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味のしない惣菜弁当と、彼女

17/12/05 コメント:0件 yuzame 閲覧数:317

 何だこの食感は。とても文化人の食事とは思えない。いくら咀嚼しても飲み込めない繊維質な野菜。口の中でぼそぼそになる煮物は水分を余計に要する。味なんてしない。ゴムとか粘土とか、そう言ったものを食べている錯覚に陥りそうになる。
 いや、しかしこれは紛れもなく弁当なのだ。一見してごく普通のありふれた惣菜弁当。当然、これを口にしたとて、こんな酷い感想を述べる者もそういないだろう。時折にじむしょっぱい・・・

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から揚げの入っていない「から揚げ弁当」

17/12/05 コメント:0件 吉岡 幸一 閲覧数:323

 また、から揚げが入っていない。
 週に一度、夜中になるとから揚げ弁当が無性に食べたくなる。アパートを出て五分ほど歩けば馴染の弁当屋がある。線路沿いの小さな弁当屋、二十四時間営業なので夜型人間の僕には助かるのだが、ここの店主はよく弁当の中身を入れ忘れるのが難点だった。
「トンカツ弁当なのにトンカツが入ってなかったよ」
 弁当を買いに行ったとき、こんな苦情を言っている客に出会ったこ・・・

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弁当、ジャガイモ、中学生

17/12/05 コメント:0件 伊川 佑介 閲覧数:311

「あ、また見てる」とジャガイモが後ろの席から茶化してきた。見ていたのは佐伯京子さんの姿である。母の情報によると佐伯さんのお母さんは病弱で入院しているらしく、それゆえ家事は娘である佐伯さんが担当している。すると現在、彼女が食しているピーマンの肉詰め、あれもきっと佐伯さんの手作りなのだろう。 「ほんと、ムッツリスケベだよね」とジャガイモがまた後ろから茶化した。全くこいつは本質を分かっていない。僕は今ピ・・・

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禁忌

17/12/04 コメント:5件 石蕗亮 閲覧数:504

 初冬の冴え冴えとした夜空に鮮やかな満月が浮かんでいた。 その中を私は独り足早に家路を急いでいた。 街灯は少ない。 道の両端は既に稲刈りも済んだ田んぼが続いている。 路面は所々凍結もあるので自転車は止めた。 最寄りの駅から自宅までは1km強。 自宅周辺まで民家や人気は無い。 その道中を私は白い息を吐きながら足早に急いでいた。  後ろから来る「何か」を振り切るように 駅を出て時、私が最後だったの・・・

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恋は2度目から

17/12/04 コメント:0件 南野モリコ 閲覧数:259

日が短くなった美術部の部室で、1年生の高橋カズエ19歳は、1人キャンバスに向かい、彼が来るのを待っていた。部長の近藤俊彦は、皆が帰ったこの時間に、コンクールに出品しようと密かに製作している大作に手を入れに来ているのをカズエは知っているのだ。

うふ、近藤先輩。先輩は、照れ屋で自分からは私に話しかけられないから、私が2人になる時間を作ってあげたわ。先輩は、すごく気を使う人なのよね。2年生・・・

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或るイタコの狂い死に

17/12/04 コメント:0件 伊川 佑介 閲覧数:240

 封筒を開けるとピン札の束が2つ入っていた。風俗嬢か何かだろうか。随分と金回りがいいものだ。俺は涼しげな微笑を浮かべて「きっとQ太郎ちゃんも浮かばれますよ」と適当なことを言った。

 風俗街の裏通りにある雑居ビルの一室で『イタコ占い 痛子の館』をオープンしたのは三ヶ月ほど前のことだ。いいかげんなネーミングから分かるように、思いつきで始めた商売である。ドンキで数珠や白装束、長髪のウィッグ・・・

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今までなくしたもの

17/12/04 コメント:6件 霜月秋介 閲覧数:719

『あなたが今まで失くしたもの、すべて見つけてお届けします』  会社の昼休みにスマホでネット検索をしていたら、そう書かれた広告を見つけた。ためしにその広告を開いてみた。 『ご登録有難うございます。お客様の名前は井尻 須磨雄さまですね。生年月日は×月×日、ご住所は…』  なんと広告を開いた途端に、俺の個人情報が次々と表示されていた。まずいと思い、すぐその広告を閉じようとしたが、何処をタップしても広告が・・・

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シック・アズ・ア・ドッグ

17/12/04 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:290

 入院、となって却って安心してしまったのか、見舞客と話し込んで楽しい。
 毎日増えてゆく花束、果物カゴ、果ては社員の皆さん入魂の千羽鶴。職場に三十年弱居座った古だぬきに残された枯れ葉が見事に化けたものだ。
「病院食はどうですか?」
「うーん。まぁまぁね。胃の病気だから贅沢は言えないわよ。そうねぇ、ミルミルがこんなに美味しいって思わなかった。もー、みるみるうちに減ってく減ってく。パ・・・

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火車(かしゃ)

17/12/04 コメント:1件 冬垣ひなた 閲覧数:320

 眼を閉じても、見開いても、広がるのは虚ろな闇ばかり。右も左も、天も地も定かでない奇妙な空間に、いつから佇んでいたのか敦司にも分からなかった。
 前後の記憶はひどく曖昧だったが、手の中に温かな光源を見つけて少し驚く。使い込まれた折り畳み式の携帯電話は、懐かしい思い出の品だ。
 か細く光る携帯電話の光を頼りに、敦司はおぼつかない足取りで歩き始める。
 行けども行けども闇。
 ・・・

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吸血鬼カフェ

17/12/04 コメント:1件 泡沫恋歌 閲覧数:267

 木製の大きな扉は自動ドアになっていて、軽く触れるだけで開いた。だが、ギィギィーギギィ―――と不気味な音がする。どうやら音響効果としてそんな音をつけているらしい。同時に来客を告げる呼鈴にもなっていた。
「いらっしゃいませー」
 全身黒ずくめの若い男が出てきた。
 店内は薄暗く、電燈のかわりに蝋燭の炎が揺れている。煉瓦の壁には不気味な肖像画が飾ってあり、木のテーブルが三つ、各テーブ・・・

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愛しのミリア

17/12/04 コメント:0件 小高まあな 閲覧数:267

 どんなホラー映画よりも怖いのは、君がいなくなることだ。
 愛しい君が僕の前からいなくなる。それは僕にとって、世界の滅亡と等しい。君がいない世界で生きている意味なんてあるだろうか?
 それに僕は、君とだから生きていけるのだ。
 例え、チェーンソーを持った殺人鬼が襲ってきても、ゾンビ化した人々に囲まれても、未知のウイルスが蔓延っても、ポルターガイスト現象が家で連発しても、謎の着信が・・・

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モアの塔

17/12/04 コメント:0件 蹴沢缶九郎 閲覧数:295

広大な砂漠の真ん中に塔が建っていた。塔と言っても、例えばバベルの塔ような人が立ち入れるような造りの塔ではなく、鉄が乱雑に組まれた、高さ数十メートル程の歪な鉄塔であった。 『モアの塔』と呼ばれるこの塔は、いつ頃造られ、何のために存在するのか、ある一人を除き、誰も知らなかった。気がついた頃にはそこに存在していたし、無くなった所で生活に影響が出る訳でもなく、周囲の人間にとってはその程度のものだった。 ・・・

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頭から離れない

17/12/04 コメント:0件 みや 閲覧数:196

人間にとっての真実の恐怖とは、大切な誰かを喪うかもしれないと感じた瞬間である
ー有名大学の教育学者の名言ー

私達人間は、生活をしている上で日々色々な恐怖を感じる時があります。休みの日にホラー映画を観た時や、部屋にゴキブリが出た時など。これらの恐怖はかなり軽いレベルの恐怖で、過ぎ去った後には特に気にする事もありません・・・

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三人くる

17/12/04 コメント:0件 宮下 倖 閲覧数:237

 夜にまぎれてなにかが無防備なドアをたたく。
 読んでいた小説の中のそんな一文がなんとなく引っかかった。
 敦也は文庫のページから顔を上げ、何度か瞬きをした。視界が澄んで部屋の蛍光灯が明るくなったように感じる。ずいぶん集中して読んでいたらしい。
「どうしたの?」
 怪訝そうな声が間近で聞こえ、敦也ははっと息を飲んだ。
「優、奈……?」
「あー。また私の存在忘れる・・・

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ヴァージンロード

17/12/04 コメント:0件 風宮 雅俊 閲覧数:228

「新婦の入場です」
 厳かな雰囲気の中、新婦は父親にエスコートされてヴァージンロードを一歩一歩ゆっくりと歩いてくる。漆黒の様な艶やかな髪、純白のウエディングドレスがくすんで見えてしまうほどに白く透き通る肌。参列者の誰もが見惚れてしまっていた。
 一歩一歩近づく新婦を見守る新郎は、出会いから今日までの新婦との時間を思い返していた。そして、これから過ごす二人の時間と生まれ来る子供との時間を・・・

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投稿作品

17/12/04 コメント:1件 風宮 雅俊 閲覧数:289

『メールを五件、受信しました』
 投稿サイトからのお知らせメールばかり五件だった。
「よし。今度の作品は本気出したよ。期日いっぱいまで練りに練って色が変わっちゃうほどに練ったからね。感動のあまりにコメントが沢山つくのは当たり前だよね」
 ダンスを踊る様にマウスを滑らせて、メールソフトを開く。
『コメントが投稿されました』
『コメントが投稿されました』
『コメント・・・

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――真夏の夜の手術――

17/12/04 コメント:0件 葵 ひとみ 閲覧数:357

コンビニの入り口の殺虫灯に無数の死にたがりの虫たちが引き寄せられている。
気品漂う氷のように美しい保育士3年目のルリは一匹の片方の羽を高電圧でもぎ取られて
地面で不器用に回転している蠅をビニール袋に入れて持ち帰った。

そしてコピー用紙にセロテープで残った羽を貼り付けた。

さて、ルリは白いビニールの手袋をして、
恒例の真夏の夜の手術の始まりである。<・・・

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ルーム

17/12/04 コメント:0件 OSM 閲覧数:200

 平穏な日々を送っていた女子高生のHは、ある日ふと、死にたいと思った。
 スマートフォンを操作し、死にたい、とSNSに書き込んだ。
 HはSNSを日記やメモの代わりとして活用している。彼女は死にたいと思ったことが今までに一度もなかったので、そう思ったことには重大な意味がある気がして、反射的に書き込んだのだ。
 あくまでメモをするのが目的、レスポンスを期待していたわけではなかったが・・・

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君が消えてしまった

17/12/04 コメント:0件 夏雲 閲覧数:228


君が消えてしまった

綺麗に。 君の香りだけを残して


君は消えてしまった

無残に。 君の幻想だけを残して


僕が好きなものは

いつだってこうして

消えてしまうんだ


だから嫌なんだ

友達も、恋人も、執着も

みんなみんな

消えてしまうも・・・

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鍋鍋底抜け 底が抜けたらかえりましょ

17/12/04 コメント:0件 そらの珊瑚 閲覧数:200

ハナは貧乏な家の子ども。レイコは村一番の金持ちの家の子ども。幼馴染の二人は、姉妹のように育ち、互いに十歳になった今でも友達だった。
「ハナちゃん、久しぶりだね」
「なかなか遊べなくてごめんね。家の手伝いが忙しくて」
「大変だね」
「だけど今日はあたしの誕生日だからレイコちゃんと遊んできていいよって母ちゃんが言ってくれたの」
 レイコは自分の首元に下げていた金のネッ・・・

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血を吸う音

17/12/04 コメント:0件 ケイジロウ 閲覧数:231

 ベトナムのある一日が終わろうとしていた。僕は自転車のスピードを下げ、周りをキョロキョロと眺めまわしていた。清流に沿ったこの道の左右は雑木林で、民家もほとんど見られない。野宿するにはまずまずの条件だ。
 僕は雑木林に入れそうな小路を見つけると自転車を停め、周りに誰もいないことを確かめると、雑木林の陰へ手際よく身をおさめた。
 成功。
 煙草に火をつけると、清流の音が耳の奥の方に入・・・

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大量凄惨

17/12/04 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:277

 昔々、とある小さな町に、鍛冶屋の老人と孫息子が暮らしていました。生活に必要なものであれば、二人で何でも作っていました。
 トンカン、トンカン。鍛冶屋の家からは、その日も金属を打つ音が軽快に響いていました。作業場に、一人の少女がやってきます。
「ふたりとも、お疲れさま。差し入れ持ってきたよ」
「おぉ、いつもありがとうよ」
「今日のパンもうまそうだなー」
 仕事の手を休・・・

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願い帳

17/12/04 コメント:0件 ツチフル 閲覧数:231

「これは【願い帳】よ」
 ママがくれたのは、手のひらより少し大きな帳面だった。
「最初のページを開いて。…そう。そこに理恵のお願いを書くの」
「お願い?」
「やりたいこと。欲しいもの。何でもいいわ」
 私はしばらく考えてから【ハンバーグが食べたい】と書いた。
「書いたよ」
 ママは私のお願いを見て微笑み、その下に横線を引いて【方法】と書いた。
「ハン・・・

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庭に腕みたいな植物が生えたんです

17/12/04 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:299

 明け方前に目が覚めた。何かいいことがありそうな朝の五時半。たくさん時間が使えるぞ、私は痺れていた左手を揉み解しながら、清々しい冬の早朝に体の輪郭を感じるため布団を出る。
「たくさんの時間? 早く起きても起きなくても仕事のないあんたには同じことじゃないの」
 トイレで用を足して、俯いたまま水の流れが止まるのを待った。流し方が下手だと流れっぱなしになることがあるから、そうなると姉さんがう・・・

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違う自分になるために

17/12/03 コメント:0件 斉藤しおん 閲覧数:236

昔からお姉ちゃんが嫌いだった。
寡黙で、こちらを見る瞳がまっすぐで。
何を考えているか分からない。
頭が良くて。陰気で。
化粧っ気がないのに肌が白くて、お母さんに似た黒目がちな大きな瞳が羨ましかった。

「沙良ちゃんはもう少し頑張らないとね」

どれだけ頑張っても姉と比べられた。
姉のように習い事を頑張るように、姉のように勉強を頑張るように。<・・・

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私の深刻な悩み。

17/12/03 コメント:0件 霜月秋介 閲覧数:265

 私はホラーものの作品が苦手である。極力は観ないし読まない。それは何故か。答えはシンプルだ。夜中にトイレに行けなくなるからだ。
 くだらないと思うだろう。しかし私にとっては重大なことだ。夜中にふと目が覚めると、トイレに行きたくなる。しかし行けない。布団から出ようと決意すると同時に、いつか読んだホラー漫画の一コマが脳裏に蘇ってくるからだ。そして再び布団を被る。そうこうしているうちに、ボウコウに・・・

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母のキャラ弁

17/12/03 コメント:0件 与井杏汰 閲覧数:240

 「お前んちの母ちゃん、相変わらず面白いな」 太一の弁当を覗き込んだ級友が囃し立てた。  「うるせー。見んな」 恥ずかしくなった太一は、弁当をフタでかくして、そそくさと食べ始めた。それもそうだ。17歳にもなって、弁当の中身が「アンマンマン」と「バイ金太郎」を描いたキャラ弁だったのだから。先週はラッキーマウスだったし、その前は新幹線、そうかと思えば、髪の長い女性と網タイツを模した意味不明の時もあった・・・

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