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Monstrum est salvificem diaboli.

17/09/24 コメント:0件 黒江 うさぎ 閲覧数:3

 僕には、叶えたかった約束があります。
 叶えたくて叶えたくて…でも、叶えられなかった約束が。
 ええ、僕のこの力、喜んでお貸ししましょう。
 この化け物染みた力は、その為にあるんですから。



 午前二時。ある屋敷、その一室。
 専用のカッターで窓の鍵付近を切り、鍵を開錠、侵入。
 下にロープを降ろす。
 上がってくる反乱軍の仲間。・・・

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要塞プラトニック

17/09/24 コメント:0件 犬塚比乃子 閲覧数:2

 不随意筋である心拍さえ忘れさせられそうな四角くて真っ白な静寂のうちに塗りこめられたようになっていたもの。それは自分自身だということを今発見した。
 並たいていの人間と比較したさい、作曲家である中村弥生の聴覚はずいぶん鋭い。五十メートル先のしんしんと降った粉雪の中に落ちる縫い針の音すら感知しうるという猛禽類を例えに出してみよう。
 彼等はまず、獲物を、その鋭い視力や頭の後ろにまで到達す・・・

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約束に末路はあるか

17/09/24 コメント:1件 田中色 閲覧数:36

学生の頃はよく、母といくつかの約束をした。
「煙草は吸わないでね。肺癌になっちゃうから」
「ピアス開けないでね。塞がらないから」
「タトゥー入れないでね。消せないから」
おっとり屋さんな、典型的O型の特徴を捉えていた母はよく僕にそう言ってきた。僕はその度に生返事をして約束を軽く流して交わしていた。
そして二十歳になった今、隣に母の姿はない。
死んだのだ。死因は肺・・・

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Phantom Pain

17/09/23 コメント:0件 待井小雨 閲覧数:102

 僕にはずっと、誰よりも大切な少女がいた。
 僕の小鞠。僕の特別。

 幼い頃に越してきた田舎の家で、幽霊に出会った。十二歳ほどの姿をした、小鞠という少女の霊だった。
「驚かせてごめんなさい」
 初めて聞いた言葉は僕と両親への謝罪だった。鈴のような声に負の感情はなく、怖くはなかった。それよりも空気に溶けそうで綺麗だな、と僕は見とれていた。
「天に行く道が分からな・・・

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三年後の約束

17/09/23 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:62

 三年前の今日、僕は妹と二人で映画を観に行ってる。テイクアウトのハンバーガーを観ながら食べた。迷惑だったかな。
 三年前の今日、この日は父さんの一時退院の日。母さんが晩御飯なのにホットケーキを焼いてる。父さんの好物。まだ三年前はパンケーキって言ってなかったみたい。

 僕と彼女は夜、ファミリーレストランに毎日を仔細に書いた日記を持って出会う。ドリンクだけでも毎日だと大変なんだけど・・・

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ハイジャック・ヒーロー

17/09/23 コメント:0件 与井杏汰 閲覧数:19

 「機長に言え。この機は乗っ取った」
ナイフを首元に突き付けられたCAは、ゆっくり通路を前に進み通話機を手に取ると機長に状況を伝えた。

「アジアスター航空でハイジャック」の一報は、管制官、警察、マスコミと瞬時に伝えられ、すぐに国民の知るところとなった。テレビ各社は午後の生番組で速報を伝え、乗客が撮影し機内wifiで送信した画像に騒然となった。

 「犯人は単独か?」・・・

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髪結い

17/09/23 コメント:0件 キュー 閲覧数:30

「お寒うございます。今朝もこちらへうかがう道すがら、橋の真ん中で雀が凍え死んでおりましたよ」

「おう、毎日足労であるな。おれも冬は大の苦手ゆえ、朝、床を出るのさえつらい。こうして日髪日剃ひがみひぞり)をきめ込まぬうちには、どうも身体がしゃんとせぬ」

「足労などとおっしゃっては。それが廻り髪結いの生業でございますゆえ――では失礼をいたしまして」

「しかし、ぬ・・・

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袋男事件

17/09/23 コメント:2件 クナリ 閲覧数:176

 ある晩夏の夜、私は新入社員ながら、随分遅い帰途についていた。
 駅から家までの道を歩いていると、街灯の少ない路地に出る。
 最近、近所で男子高校生三人が行方不明になる事件があったと聞いた。道の不気味さと相まってより不安が煽られる。
 道の先をふと見ると、二車線分くらいはある道路の左の塀沿いに、朧に人影が見えた。よく見えないが男性のようだ。こちらを向いて立ち止まっている。
・・・

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彼岸花

17/09/23 コメント:0件 栞〜Si·o·ri  閲覧数:73

街中を抜け、どれくらい走っただろうか
辺りはすっかり田園風景になっていた。
たわわに実る黄金の稲穂が
重そうなと頭を深々と垂れ
刈り取りを待っている。

しばらく走ると「彼岸花群生地」の昇り旗
メディアの効果もあり、平日にも関わらず
駐車場には結構な台数の車が停まっていた。
「みんな暇なんだなぁ」と一人呟くボク。
車を降りてその花の咲く方・・・

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マスク

17/09/22 コメント:0件 みーすけ 閲覧数:40

 あの人はいつもマスクを着けている。
 何故だろう? 風邪をひきやすいのか、それとも花粉症か。
 会社で見かけるその女性。私とは別の部署で働いている。初めて見たその日から、彼女はいつもマスクを着けている。
 鼻から下は見えないが、瞳はいつも潤んでいる。光彩は澄んだ茶色だ。私の視線はいつもそこに惹きつけられてしまう。彼女の瞳を見ていると、不思議と心に忘れかけていた感情が蘇る。彼女の・・・

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アインシュタインの約束事

17/09/22 コメント:0件 本宮晃樹 閲覧数:37

 うちの研究部門にはアインシュタインに刃向う身のほど知らずがいる。
「いよいよですね」わたしはその身のほど知らず(槇村さんという名のおじさんだ)と一緒にモニタをのぞき込みながら、「加速器稼働まで一分を切りましたよ」
「うん」気もそぞろに壮年の研究者はうなずいた。「うん」
 彼がわたしを空気がなにかみたいに扱うのも無理はない。超光速粒子であるタキオンの検出実験がいままさに、海底を貫・・・

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記者のわきまえ

17/09/22 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:48

 女性記者の、社内でも評判の美人、マナミにむかって編集長は、
「いいか、トイレの屁は事件にならないんだぞ」
 と、まくしたてた。地方の新聞社に勤務して一年目、まだろくな記事しか書けない彼女を、これでも叱咤激励しているのだ。
「トイレの屁は、事件にもニュースにもならない」
 なるほど、トイレイコール屁は、あたりまえといえばあたりまえだ。珍しくもなんともない。するとじぶんはこれ・・・

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人生オワタのボンバーズ

17/09/22 コメント:0件 地底人 閲覧数:42

 十何年ぶりかの電話で、出てみると安斎さんだった。僕が学生時代、三軒茶屋のポルノビデオ屋でバイトしていた時の先輩である。辛うじて彼である事は認識できたが、フガフガと何を言っているのか分からない。きっともう歯とかも抜けて無くなってしまったのだろう。髪や髭は伸ばしっぱなしで、ビンテージと称していつも同じ服を着ていた。部屋に遊びに行けば当時から抜けていた歯の隙間から、よくマリファナの煙を吐いていた。それ・・・

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人間不信者に対して約束とは

17/09/22 コメント:0件 田中色 閲覧数:59

約束とは果たされることの方が少ないだろう。
約束という言葉の意味はどこにあるのだろうか。
ふと調べてみると、約束というのは相手に対して取り決めを行うことであり、口約束というのがまさに声だけで交わされる取り決めのことを指すらしい。
否、言葉自体に微々たる嘘が常にあるのだ。口約束という言葉があるのだから、書面上や何かしらの方法を使って約束を交わしても破られるものは破られる。
婚・・・

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夜明けの約束

17/09/21 コメント:0件 野々小花 閲覧数:53

 自分の父親のことを、侑史は知らない。誰が父親なのか、母自身、わかっていなかったのかもしれない。母はそういうひとだった。小さな町の、駅前にある時代遅れのスナックで働いていた。客の男と関係ができると、侑史と暮らすアパートには、滅多に帰って来なくなった。
 男に夢中になると、子供の存在など忘れてしまうのだろう。度々、電気やガスや水道が止まった。滞納を知らせる通知書を握りしめて途方に暮れる。仕方な・・・

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我が子の未来は輝いている……と思いたい

17/09/21 コメント:0件 ちほ 閲覧数:41

 僕は、このパブ『ロビン』をいつか息子のウォルターに譲る。ここは僕の大切な場所。あの子にとっても、そう悪くないはずだ。もし、他に夢があるなら、そちらへ進むのもいいけれど、できればこの店を大好きな場所として大切に思ってほしい。
      ◇
「きのう、お父さんがお話ししてくれたことは、ほんとなの? ボク、気になってなかなか眠れなかったの」
「店のこと? うん、あげるよ。約束しただ・・・

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17/09/20 コメント:2件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:36

 この町の交番に着任して一年がたちました。私、平野啓司は意気込みにもえてこの僻地の交番にやってきたのですが、山と川に囲まれたここは、どこの家も戸締りをしなくてもかつて一件たりともコソ泥に入られたためしがないというぐらい、都会からみたら考えられないぐらい平和なところでした。
 事件を期待するのは警察官にあるまじきことですが、こう平穏な毎日が繰り返されるとたまには、なんでもいいから事件がおこって・・・

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従来レーザー

17/09/20 コメント:0件 miraireza 閲覧数:15

革新的なレーザー治療機器として大きな期待を集めているのが、ピコ秒レーザーである。100億分の1秒という短時間で照射され、カラス撃退レーザー光により生ずる音響的な効果(衝撃波)によってシミやあざの色素粒子を破砕する。
http://www.miraireza.com/blue-laser-10000mw-30000mw/p-7.html
日本でいち早く同レーザーを導入した大城クリニック(・・・

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こうして天使が産まれた

17/09/20 コメント:1件 デヴォン黒桃 閲覧数:105

 
 涙を零す少女が一人。煤ダラケの頬に伝い流れ、灰色に染まった。
 かろうじて肩に引っかかった服は、焼け焦げている。
 傍らに佇む白装束の年寄りが、其の少女へ声を掛けた。

「よく頑張ったね。辛かったろう。熱かったろう。苦しかったろう」
 少女は、灰色の涙を手の甲で拭い、老人の顔を見上げた。
「大丈夫……弟のコウタを助けられたから」
 老人は、細い・・・

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白雪姫の毒リンゴ

17/09/20 コメント:2件 田中あらら 閲覧数:50

 パフィンマフィンの礼子さんが昨日焼いたのは、アップルマフィン。信州の農家から取り寄せた秋映という品種は、シャキシャキ感、香り、甘み、酸味のバランスが素晴らしく、そのまま食べても美味しいが、おかし作りにも適していた。一口大にカットしたものをコンポートにし、生地に混ぜてオーブンで20分焼けば、アップルマフィンのできあがり。
 礼子さんは1年前、自宅の片隅を改装して菓子製造業の許可をとり、商号を・・・

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Diese Praxis ist jedoch nicht weit verbreitet

17/09/19 コメント:0件 yukihirasoma 閲覧数:43

Die etwas schnelleren Rontgenstrahlen klopfen Laserpointer
Jeder Kick stimuliert die Elektronen, um mehr Röntgenstrahlen herauszugeben - das verstärkt das ursprüngliche Licht viele M・・・

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少女天国

17/09/19 コメント:0件 因幡雄介 閲覧数:45

 白髪の男が見つめる窓ガラスの奥で、二十人の少女たちが遊んでいた。
 少女たちの年齢は十歳前後。皆白いワンピースを着ている。グループにわかれ、縄跳びや積み木やお絵描きなど、好きなものを手に取って遊んでいた。
 男の子と違う点がある。少女たちはよく雑談をした。
 女はコミュニケーションを大事にする生きものだ。太古から子を産み、育てることのできる能力を持つがゆえの運命なのだろう。彼女・・・

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蜂蜜の朝に濡れる

17/09/18 コメント:0件 吉岡 幸一 閲覧数:41

「蜂蜜がなくなっているの。昨日デパートで買ってきたでしょう。今朝、パンにつけて食べようと思って棚を開けたらないのよ」
 妻は冷蔵庫や棚やテーブルの上を探りながらテレビを見ている夫に言った。
「俺は別にジャムでもいいよ。苺ジャムなら冷蔵庫に入っているだろう」
「たしか寝る前はテーブルの上にあったと思うんだけど……」
 よほど気になるのか四つん這いになった妻は、キッチン下の棚か・・・

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暗黙の了解との絶妙な距離について

17/09/18 コメント:0件 ケイジロウ 閲覧数:50

 次郎が職場に戻ると、ベテランのお局が仁王立ちで待っていた。
「ちょっと、あなた、遅いわよ」
 次郎は壁にかかった時計を慌てて見た。しかし、まだ12時50分だった。昼休みは13時までだ。
「おわんないわよ。全く、近頃の若いのは」
「スミマセン」
「とにかく、速く速く。すぐにAラインに入ってちょうだい。神田さんがいるから、神田さんと一緒にやってちょうだい」
「あ、・・・

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元凶はだいたい身内

17/09/18 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:42

 旅の醍醐味、その一。宿屋に泊まること。
 姉と二人で各地をめぐるうちに、旅館や民宿、温泉宿などを見て回るのも楽しみのひとつになりました。
 今回泊まるところは、天井の隅に蜘蛛の巣が張られていたり、ベッドがガタガタに軋んでいたりはしないので、当たりのようです。いくら宿泊費が格安だからといって、外観からしてあまりにも寂れた宿を選んだ過去は失敗でした。今となっては良い教訓ですが。
 ・・・

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臨時列車

17/09/18 コメント:0件 小街 閲覧数:48

 まだ部屋には日中の熱がこもっている。今年89歳を迎えるミキは、縁側にある籐のリクライニングチェアに深くもたれる。夕日が部屋の奥を薄いオレンジ色に染めている。涼しく乾いた風が心地良い。
 鉱山技師の北見さんが私のいる事務所を尋ねて来た時もこんな夕方だった。“私と東京に行く許しを父からもらった”なんてニコニコしながら言いに来た。でも、何て言って父を説得したのかしら 。微笑むミキ。次の瞬間、その・・・

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変貌

17/09/18 コメント:0件 蹴沢缶九郎 閲覧数:28

あるマンションの一室で、その部屋の住人である男の遺体が発見された。遺体には事件に巻き込まれた形跡はなく、また、生前の男の様子から、病死の可能性も低かった。

現場検証を行っている鑑識を、ベテランの刑事が見つめている。そこへ、聞き込み捜査から戻った部下が報告した。

「近隣住人の話によると、男を最後に見掛けたのが約一ヶ月前、男に特に変わった様子はなく、性格に難があった訳でも、・・・

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緊急逮捕

17/09/18 コメント:0件 与井杏汰 閲覧数:39

その男が入った瞬間、支店内は凍り付いた。
明らかに銀行強盗だった。
覆面にサングラス、皮手袋には拳銃を持っていた。
最初に気づいた男性行員は即座に無音の非常通報ボタンを押した。
直後に「キャー」という悲鳴が店内の客から聞こえた。
覆面の男は、一番近い窓口に近寄ると、小さな声で言った。
 「金を出せ。2000万以上、すぐだ」

さすが窓口の女性行員は悲・・・

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ヒトを強くするモノ

17/09/17 コメント:0件 栞〜Si·o·ri  閲覧数:61

惹かれるものに、理由があるのかな。
何をしていても気になるカレのこと。
特別、格好いいわけでもなく
特別、面白い訳でもなく
むしろほんとに普通なんだけど...。

出会いは今年始め。
仕事でSNSに投稿した記事に
反応してきたカレ。
そこから友達に追加して
カレがリクエストしてきたページに
いいねした。

第一印象がよか・・・

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結婚物理学

17/09/17 コメント:0件 本宮晃樹 閲覧数:58

 さて、三十を過ぎたいい歳のおっさんがこうしてみすぼらしく余ってるわけだが。
 こないだ催された合コンに集結した女の子たちから総スカンを喰らったという冷厳な事実を、いよいよ深刻に受け止めねばなるまい。厳しいようだが次のような考えから金輪際おさらばする必要がある。すなわち、
「どうせまたべつのコンパに呼んでもらえる、そのときによい娘を――社交辞令のあいさつメールにさえ返信しようとしない勘・・・

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とはいえ

17/09/17 コメント:0件 田中あらら 閲覧数:48

 彼は父親の意思を継ぐべく、法曹界入りを目指していた。司郎、父親がつけた名前にも司法の司が入っていることから、司郎は父親の期待を背負っていた。
 父親が死んだ時、彼は高校1年生だった。父親が経営していた法律事務所は、敏腕の弟子に引きつがれ、株主である小野家の収入源となっていた。そして司郎はいずれ、そこの経営に関わるつもりだった。
 そもそもが小学生の頃、尊敬する父親に向かって「僕、T大・・・

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口を閉じる

17/09/17 コメント:0件 秋 ひのこ 閲覧数:62

 帰宅してトイレに入ると、洗浄剤の香りがふわりと鼻先をかすめた。
 便座の蓋が閉っている。床に落ちていた髪の毛と埃がなくなっている。
 台所へ進むと、薄明かりのもとで夫のハヤトがひとりビールをあけていた。
 惣菜の容器と菓子袋の下に散らばる請求書やチラシと等しくぞんざいに置かれた離婚届が白紙のままであることを横目で確認し、スミレは自分の分の弁当を袋から取り出す。
「食べてこ・・・

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大事件勃発

17/09/16 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:44

 はじめてこの町にやってきた日、僕は飲料水を買いにスーパーに入り、そこで万引きを目撃した。だぶだぶの服の太った女で、商品棚をゆききしては、品物を物色するわりには買うそぶりを見せず、もうそれだけであやしいと僕はにらんだ。はたして、女は洋酒の壜を手にとるなり、すばやく胸元にこじいれた。つづいて二本めもおなじく胸のなかに。ほかにもいろんなものを、ポケットにまた、下腹部にとつぎつぎとしのびこませていった。・・・

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ゴースト・グラヂュエイション

17/09/16 コメント:0件 泉 鳴巳 閲覧数:174

 冬の空は橙から深い藍色へ駆け足で向かい、長く伸びた机や椅子の影たちは次第に形がぼやけていく。
「卒業、おめでとう」
 僕は眼を閉じて、誰もいない空間へ向かって呟いた。



 偶然という言葉で片付けるには、「彼女」との出会いは衝撃的すぎた。

 あの日もちょうど今日みたいな、静かな冬の夕方だった。
 宿題のプリントを忘れてきてしまった僕は、・・・

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田舎の五人

17/09/16 コメント:0件 文月めぐ 閲覧数:44

 とにかく、方言が出ないように、どんな時も標準語で。家を出るときあれほど誓ったはずなのに、地下鉄に乗ったとたん、早くもその誓いを忘れそうになった。ばり人多い。九州の田舎からやってきた僕にとって地下鉄とは迷宮だ。一度迷ってしまったら、もう二度と地上へは出られないだろう。
 東京は人が多い、なんてそんなことは分かっていたけど、地下鉄の中は身動きができないほど混雑していた。そして何と言っても、匂い・・・

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事件の表裏――それぞれの葛藤

17/09/16 コメント:1件 文月めぐ 閲覧数:80

 「ない」と気づいたのは、職員室に戻ってしばらく経った後だった。隣の席の本郷先生が「七時か」とまだ明るい外を見ながら呟いた時だ。俺も時刻を確認して「ですね」とでも相槌を打とうとした時だ。
 腕時計が、ない。
 あの時、プールサイドに置いたじゃないか、と一瞬で思い出し、俺は慌ててプールめがけて走り出した。「松岡先生、廊下は走っちゃいけないよ」と暢気な本郷先生の声も、今の俺には届かない。<・・・

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人が次々と死んでゆく。そして、ついに僕も……。

17/09/16 コメント:0件 ちほ 閲覧数:50

グリーンゲート音楽院には、世界中から音楽においての天才児が集められている。中世ヨーロッパ時代の巨大な城を幾つも連ねているような重厚な建造物で、生徒たちのために用意されている楽器……例えば、ピアノの数は2000台もあるとの噂が流れている。音楽室の全てが、完全防音システム付きで、生徒は好きな時間に楽器を奏でることが出来た。ここは全寮制。クリスマスの時だけ、帰国を許されている。家庭の事情で、帰国し・・・

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誰が何と言おうとこれは事件なのだ

17/09/15 コメント:0件 小峰綾子 閲覧数:41

最近の映画やドラマは「事件ありき」なのが気に入らない。今日見た映画も予告では期待できると思ったが残念な内容だったよなぁ。

「外的な要因によって二人の心がかき乱されたあげく結びつきを強くする、というストーリーが少し深みに欠けると思いました。突然ヒロインの親が離婚して、そのショックにより声が出なくなるなど、リアリティがありません。もっと二人の微妙なすれ違いや心の動きなど内面を丁寧に描いて・・・

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約束しない

17/09/15 コメント:0件 小峰綾子 閲覧数:45

今日二人が揃ったのは21時で、比較的早めの時間だった。金曜の夜、毎週定時前後でメールを送りあい、今日は何時に仕事が終わりそうだとか、今日は別の友人と飲むことになったから行けないとか、連絡を取り合うようになってもう何年目だろう。

明子と優は高校の同級生、同じクラスの時によくつるんでいた友人たちの中の2人だ。お互いに大学進学のために東京に出てきたのだが、大学時代はお互いの生活が忙しく二人・・・

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悪いのは誰?

17/09/15 コメント:0件 瀧上ルーシー 閲覧数:78

 小学五年生の山上達也は広い自宅で家庭教師の下勉強をしていた。
 小学三年生から私立中学に入るために親に家庭教師をつけられている。勉強の最中、本当なら放課後は他の小学生のように遊んで過ごしたかった。普通の幼少期の遊びを知らないで勉強して私立の中学を目指すことは果たして健全なことなのだろうか、そんなことを勉強中に子供ながら達也は思った。
 家庭教師の大学生の男は優しい。問題がわからなくて・・・

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初恋の答え

17/09/15 コメント:0件 瀧上ルーシー 閲覧数:90

 私には仲のいい友達がいた。川原武尊という男子だ。彼は眉にかかるくらいでカットされたさらさらの前髪と丸い眼鏡が特徴的で、勉強はできるがスポーツができなくドッチボールではいつも標的にされていた。
 彼の学習塾がない週三日程、私は図書館で勉強を見てもらっていた。もう何年も続いている習慣だった。彼は私には到底答えがわからない勉強をしている。それでも向かいの席で勉強している私がわからない箇所に当たれ・・・

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銀行強盗にはロマンがある

17/09/15 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:78

 身支度をしながら観ていたテレビから連続銀行強盗のニュースが流れてきた。その手口を紹介する再現VTRを鼻で笑いながら僕は家を出た。

 手足を縛られた状態でかれこれ三十分が経つ。目指し帽を被った男の狼狽ぶりは相当なもので、僕を含む人質全員がもう諦めて投降すればいいのにと思っていた。
 この犯人は巷で流行の連続銀行強盗に便乗した模倣犯だった。なにせ手際が悪い。人質を拘束している間に・・・

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ロートレアモン伯爵と住職の白

17/09/14 コメント:0件 吉岡 幸一 閲覧数:53

 旅は解剖室の人体模型に似ていると男は思っていた。それがどんな意味なのか考えなかったが、焼いた大蒜の臭いよりはマシなような気がした。
 黒い醤油の雨が止んだ後も車を泳がせ続けていると、百万の玉ねぎが空から降ってきて車体に凹みを増やしていった。男は目的の地に向って迷うことなく走っていった。クラゲの道はよく跳ねて、ツバメの心臓は発情した子犬のように波打っていた。
 明かりのない真っ暗なトン・・・

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アプリ起動。

17/09/14 コメント:5件 のあみっと二等兵 閲覧数:160

『何を検索しますか?』
最近面白いアプリを見つけた。スマホの操作に疎い俺は、自分のスマホに入っていたこれに最近気付いた。
タップするだけでなんでも答えてくれる。その声も自分好みに設定できる。失業し、実家暮らしだが、母親は数年間連絡をしなかった息子が帰ってきた事の方が嬉しいのか、暫くゆっくりしろと言ってくれた。が、出歩くのも面倒だし、暇潰しにもなるから、暇さえあればタップしているのだ。<・・・

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気持ちの整理

17/09/14 コメント:0件 林一 閲覧数:37

 殺人事件が起こった。その内容は、妻が夫の体を包丁で何度も切り刻むという、残酷極まりないものであった。
 犯人の事情聴取を担当になったのは、新婚の若い刑事である。
「どうして旦那さんを殺したんですか?」
「ちょっと待ってください。まだ気持ちの整理がついていません」
(何だよ、気持ちの整理って。こっちは早く愛する嫁さんのいる家に帰りたいっていうのに。さっさと話してくれよ)

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夜の青空

17/09/14 コメント:0件 マサフト 閲覧数:64

「いつか見たい夢があるんだ」

この部屋に酒を飲みに来るのはこれで何度目だったろうか。木曜の夜はこの部屋に来るのが習慣になってしまった。もう半年ほど通っているか。薄暗い白熱球の明りが薄い影と濃い影を作る、古いアパートの一室。築何年だ。

「いつか見たい夢があるんだ」

相槌を打たなかったせいか彼は同じ台詞を言った。

「なんだい、夢って。夢見るような・・・

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機械仕掛けの約束

17/09/14 コメント:0件 FRIDAY 閲覧数:86

 科学技術の発展と相反して資源開発と環境問題が限界を迎え、人類が叡智を絞った宇宙船に乗り地球を離れ、約千年。地球に残った者たちは、わずかな土地を守りつつ少しずつ地球を再生し続けていた。『償いの浄化』と計画された地球の再生は困難を極めたが、しかし残された者たちは決して諦めなかった。いつか旅立った人々を迎えるために。
「……だがそれも、昔の話さ」
 蜜蝋の灯りが小さく照らす酒場のカウンター・・・

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感覚シェアデバイス(自由投稿版)

17/09/13 コメント:2件 風宮 雅俊 閲覧数:79

 モニターアンケートで当たった『感覚シェアデバイス』を装着するとベッドに寝転び装着感を整えると、スイッチを押した。起動画面に続いて星の海に浮かぶ地球が現れるとその横にメニューが表示された。
「ようこそ、バーチャルトラベルです。お客様は本日より『冒険家コース』の選択が可能になります。免責事項をご理解の上、誓約書に『同意』のボタンを押してからお楽しみ下さい」
 抑揚のない音声出力に合わせて・・・

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第六編

17/09/13 コメント:0件 小街 閲覧数:48

 ワイドショーはいつも能天気だ。いまここにある危機を伝えようともせず、どうでもいい政治家の口利きや芸能人の不倫、果ては盗聴までして有名人を晒し者にして喜んでいる。
 警視庁警備課の松井は同僚の石川と一緒に、昼飯にそばを手繰りながらカウンターの端にあるテレビを見ながらそう思った。そもそも僧侶が見つけた古文書を東大の偉い先生に鑑定してもらうために運ぶのをなぜ俺たち警察が警護するんだ?これは警備会・・・

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共振器

17/09/13 コメント:0件 miraireza 閲覧数:38

グリーンレーザーポインターメガオプトは2017年8月28日、媒質にチタンサファイアを用いた、超小型の波長可変パルスレーザーを開発したと発表した。特定波長のみを発振させるレーザー共振器を波長ごとに並べることで、従来のレーザーの7分の1以下に小型化。1台で2つの波長を高速に出力する。
http://www.miraireza.com/laser-diy/p-81.html
レーザー共振器の・・・

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