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今日、君に伝える音。

17/05/27 コメント:0件 宮城 透 閲覧数:57

「今の音はファね」
 青と白にキラキラと光る港。高い空にはカモメが気持ち良さそうに泳いでいる。今日は絶好のお出掛け日和。
 クリーム色のベンチで目をつむりながらそう言ったのは、僕の彼女だ。
「へえ。じゃあ、あの遠くで鳴ってる船の汽笛は?」
僕が港の奥で揺らいでいる船を指差すと、彼女は耳を澄ました。
「あれはドの音よ」
「君はすごいなあ、どんな音でも音階にできる」・・・

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今日、君に伝える音。

17/05/27 コメント:0件 宮城 透 閲覧数:57

「今の音はファね」
 青と白にキラキラと光る港。高い空にはカモメが気持ち良さそうに泳いでいる。今日は絶好のお出掛け日和。
 クリーム色のベンチで目をつむりながらそう言ったのは、僕の彼女だ。
「へえ。じゃあ、あの遠くで鳴ってる船の汽笛は?」
僕が港の奥で揺らいでいる船を指差すと、彼女は耳を澄ました。
「あれはドの音よ」
「君はすごいなあ、どんな音でも音階にできる」・・・

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そんなに優しくしなくていいよ、泣くのはそれほど好きじゃないから

17/05/27 コメント:0件 クナリ 閲覧数:56

 八階建てのビルの屋上のへりは、風が強く、柵の外側に腰かけた少年と少女は、頼りなく空中に投げ出した足を揺らした。
 夏の夕方はまだ明るいが、路地裏に向いた一角であるため、地上からはまだ見つかっていない。
 二人は同じ中学の同学年で、背格好もほとんど変わらない。それぞれの制服姿でなければ、同性に見えたかもしれない。
「もう何十度か体を前に傾ければ、死んじゃうのね」
 少女は眼・・・

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革命のエチュード、別れの曲

17/05/27 コメント:0件 貞治参 閲覧数:36

 ――タタンタタン。
 左手の人差し指と中指がリズムを刻む。
 雲が赤く映える。方々から上がる火と煙に逃げ惑う民衆。メットを被った男たちが雄たけびを上げながら目の前を次々突っ切る。影が鋭く伸びている。旗が風になびいている。焦げた匂いが鼻の奥を突く。男らは銃剣を掲げ、警備隊めがけて突撃していく。返り討ちに遭う。滅多打ちにされる。敵の陣は堅固、銃弾も切っ先もその先に届かない。折り重なってい・・・

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その歌は彼女の耳には届かない

17/05/27 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:34

 小さなライブハウスに響く重低音。
 観客席は八割ほどが埋まっている。そのステージで俺はギターをかき鳴らし、大声で歌っている。
 ステージから客席は良く見える。知った顔が沢山いて、皆いつものようにノッてくれている。
 その中に一人、初めて見る顔があった。彼女の存在が目に入ったのは必然だった。彼女は明らかに浮いていたからだ。
 他の皆は手を上げ、声を上げ、俺の音楽にノッている・・・

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音楽は、人の心を動かさない。

17/05/26 コメント:0件 骨壺 閲覧数:41

初めて僕がギターを持ったのは去年の夏、つまり、高校2年の夏だった。

漫画に影響されて「バンドやろうぜ、楽器とかも任せとけよ」と鼻息荒く言いだした幼なじみの言葉を、僕は断る事が出来なかった。
しばらくしてから「楽器が届いたから取りにこいよ」という連絡を受けて幼なじみの家に行ったのだけれど、結論から言えば、僕がバンドをすることはなかった。

僕を呼び出したマコトは、ベッ・・・

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最後のサラリーマン

17/05/26 コメント:0件 秋 ひのこ 閲覧数:36

 林課長は最近、休みの日が辛い。
 森部長にゴルフに誘われるからだ。ゴルフは下手だし興味がないし、金がかかる。おまけに、家族からは「またゴルフ」と白い目で見られ、「行きたくて行っているわけではない」と言ったところでやはり「根性なし」と呆れられる。踏んだり蹴ったりである。
 わざと仕事を作り、若手に交じって休日出勤すれば、今度は総務から怒られた。会社は休日手当てを極力支払いたくない。

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とあるピアノコンクールにて -音楽とは何か、容姿かコネか出来レースか-

17/05/26 コメント:0件 藤原光 閲覧数:92

光は、友人の朋子が参加するというピアノコンクールの話を耳にした。ただ朋子は「知り合いが来ると緊張するからダメ」と言っていた。

光は友人と、帽子をかぶり変装をしつつ、朋子にはこっそり会場に向かうことにした。光自体は音楽コンクール会場に来るのは初めてであったため興味津々で会場や周辺を観察していた。

朋子はあまり裕福な家庭ではなく、有名な先生に師事することはできない。それでも・・・

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狙うのならば、休日

17/05/26 コメント:0件 かわ珠 閲覧数:44

 殺し屋の日常と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。
 毎日のように追って追われて、常に命の危険にさらされ、気の休まるような日なんて一瞬たりともない、仕事をしていない時もトレーニングを重ね、鍛錬を怠らない、だなんて思ってはいないだろうか。
 残念ながら、その認識は間違っている。
 なぜなら、今は二十一世紀だからだ。
 人を殺すために技術が必要とされていたのは大昔の話。・・・

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彼らの休日

17/05/25 コメント:0件 さとしし 閲覧数:44

 あの日から二十年、私は気が気じゃ無かった。
 でも私を追い詰めていたのは、他ならぬ私の発した言葉。
 だから誰も責められない。
 どころか、私の言葉のために人生を狂わせたかも知れない七人を思えば、どんなに追い詰められても、過ぎることはなかったのだ。
 そして今日が来た。全てが実を結ぶ今日。やっとの休みまで、あと少し。彼ら七人はやり遂げたのだ。

 ――思う存分・・・

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籠のカナリヤ

17/05/25 コメント:0件 家永真早 閲覧数:52

 夜に窓を開けてはいけない。魔女の歌が聞こえるから。魔女はその歌声で人間を誘き寄せて食べてしまう。そうして、不老不死の体を手に入れている。
 イヴァが小さい時からある街の言い伝えだった。
 泥棒避けとか送風翅を売りたい商人の作り話だとか多くの人は半信半疑だけど、夜はどこの家も扉や窓を閉め切り、通りを歩く人は一人もいなかった。
 こんな美しい歌声を聴いているのはきっと自分だけだ、と・・・

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遥かな世界からの石板

17/05/25 コメント:1件 空 佳吹 閲覧数:38

 夏のある夜……
 国立公共施設内の一階にあるの特別会議室では、四人の男が、椅子から立ったり座ったり……。
 コーヒーを飲みながら……タバコを吸いながら……
 その部屋の中央に置かれた大きな石板を前にして、思案を重ねていた。

 その石板とは……
 昨夜、某機関から運び込まれた物で、ある国の山奥で見付かった――としか分からなかった。

 その石板を見・・・

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Youtuber

17/05/25 コメント:0件 もにたん 閲覧数:36

「はいどうも〜。ケヤキンで〜す。今日はこの食材を使って料理をしていきますよ〜」
人気Youtuberケヤキン。
彼は持ち前のトーク力と、プロのような料理の腕前で、一世の人気を博していた。
動画の内容はただ料理するだけ。だが、その料理の作り方、食べ方、写し方が非常に品がよく優秀で、それでいて経験豊富なトーク。スキャンダルが多い彼だが、それす・・・

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学級内末端の僕と彼女の携帯型音楽端末

17/05/24 コメント:4件 浅月庵 閲覧数:191

 園崎静流と僕の唯一の共通点。
 それは、休み時間にイヤホンを耳に入れ、机に突っ伏していることだ。

 だけどその行為だって、彼女は自身の持つ魅力に惹かれてやってくる、同級生たちを遮断するためのものだし、僕の場合は友達が一人もいない寂しさを紛らわすためのものなので、意味合いは全然ちがう。

「ごめん、全部面倒くさいから」
 彼女は顔立ちが整っていてスタイルもモデ・・・

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深夜に届け

17/05/24 コメント:0件 むろいち 閲覧数:61

 深夜のファストフード。
 とっくに閉店時間は過ぎている。
 ツナギ姿の石渡が慣れた手つきでのモップがけをしている。
 四十も半ばの石渡はここで清掃のバイトをしている。
 この歳で定職に就いていないのは本業があるからである。
 本業でメシを食えていない。バイトの方が収入は多い。だが、石渡はあくまで自分には本業があると思っている。
 本業とは作曲。
 石渡は・・・

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メロディ

17/05/24 コメント:0件 蹴沢缶九郎 閲覧数:45

小学三年生になる美咲という女の子がいた。ある時、美咲の頭の中にメロディが思い浮かんだ。そのメロディはどこか懐かしく、不思議と心が落ち着く優しいメロディだった。
だが、美咲はそのメロディが一体どこで聞いたメロディなのか、思い出せないでいた。CMの曲か、お母さんが観ているドラマの主題歌だったか、はたまた自分が好きなアイドルの曲だった気もしないでもなかったが、そのいずれも違うようだった。
友・・・

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パム

17/05/24 コメント:0件 蹴沢缶九郎 閲覧数:45

新しい楽器を作った男がいた。その楽器はクラリネットのような管楽器や、ギターのような弦楽器ではなく、また、ドラムのような打楽器や、ピアノのような鍵盤楽器とも違う、今までにない全く新しい楽器と言えた。

男は楽器にパムと名付けた。もっとも男からすれば、楽器の名前などは何でもよく、「ないと呼ぶ時に困る」から付けた、その程度のものであり、重要なのは楽器の音の方にあった。
パムの不思議な音・・・

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はるくんのうた

17/05/24 コメント:2件 こぐまじゅんこ 閲覧数:55

 いまは、あき。
 はるくんとおばあちゃんは、山ぞいの道をおさんぽしています。
 はるくんは、二さい。おばあちゃんと手をつないで、トコトコ トコトコあるきます。
 道のまんなかに、どんぐりが、ひとつころがっていました。
「おや、どんぐりがあったよ。」
 おばあちゃんが、どんぐりをひろいます。
「どんぐり?」
 はるくんは、おばあちゃんの手をのぞきこみました・・・

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休日限定ヒーロー、ポヨポヨマン!

17/05/24 コメント:0件 夜門シヨ 閲覧数:110

 五月の半ば。GWも過ぎて、いつもの休日がやってきた。
 ただの、何の喜びも沸き上がらない、一週間のうちのたった二つしかない、一応義務的に存在している休日が。まぁ、その二つが世間的に休日と言うだけで、俺自身は毎日が休日だ。何もしない休日。いや、違うな。何をしても、まったく満たされないから。親の目が冷凍ビームを浴びているかのように痛いから。だから何もしないんだ。近所の公園のベンチで、ただただ時・・・

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「コスモスの咲く頃」

17/05/24 コメント:0件 寛解男子 閲覧数:45

夏が終ろうとしていた。青木睦子には、大好きな秋がやってくることが嬉しくて仕方がない。毎年のことだが、落ち着きがない。そんな彼女をもっと嬉しい落ち着きのないことが待っている。今日は、睦子にとって何十年目になるかわからないが、試乗者に乗る。ペーパードライバーだった睦子にとって、自動車学校に行って、自動車の、路上運転の講習会に参加して、さらに、夫がいつも運転しているセダンの自動車にも乗った。何回もシュミ・・・

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わたしが宇宙現場作業員をリクルートしたいきさつ

17/05/24 コメント:0件 本宮晃樹 閲覧数:41

 軌道エレベータ〈バビロン〉発着ラウンジは毎度のごとく混み合っていた。例によって「次便(アースポート→低軌道中継ステーションいき)一時間遅れ」を待つあいだに、どうにかして暇をつぶさねばならなくなった。
「いつのころからか、夜空なんか見るのもいやになってたことに気づいたんですよ」幸いにもとなりに腰かけた老人が話し相手になってくれるようだ。「あなたはどう思いますか、お若い人」
 老人はハン・・・

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かつて充実した1日

17/05/24 コメント:5件 秋 ひのこ 閲覧数:81

「お母さんは次の日曜日、お休みします」
 ユミの突然の宣言に夫とふたりの子供、同居の義母は目を丸くした。
 母、妻、嫁、を丸1日休むという。
 子供が生まれて14年、ずっと家族を最優先に365日朝から晩まで「働いて」きた。
 主婦だって、休みたい。



 決行日

【計画1】昼まで寝る
 8時。夫が先に起きて目が覚めた。いつもは・・・

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ふさわしい動物名

17/05/23 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:56

 ある時ナマケモノのもとに、一羽の鳥がやってきて尋ねた。
「浮かない顔をして、どうしたんだい」
「実は俺、人間に不名誉な名前を付けられて」

 ナマケモノ。

「酷い! それならこっちも、人間に名前を付けてやろうじゃないか」
 案は色々と出た。
 うじ虫、寄生虫、ゴキブリ、猿、ゴリラ、ハイエナ……。
 しかしどれも、すでにいる動物たちに失礼だ。・・・

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お茶も飲み過ぎれば死ぬ

17/05/23 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:73

「健康的とされるお茶だって、大量に飲めばカフェインの致死量に達して死ぬ!」
 彼は力説していた。
 僕はその知識を持っていたので、何の驚きもない。
 でも彼が続けた言葉には、多少驚きを覚えた。
「だから俺が、お茶を飲み過ぎたら死ぬことを証明してみせる!」
「君のバカさ加減には同情を禁じ得ないけど、それで、そんな話を僕にして、どうしてほしいんだい」
「証人になって・・・

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鏡が頑なな理由

17/05/23 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:66

 妃は鏡に問う。
「鏡よ鏡、この世で最も美しいのは誰?」
『それはお妃様です』
 その答えに妃は満足……したりはせず、静かに席を立つと、ある物を持って戻ってきた。
「違うでしょ!」
 言いながら、紙製のハリセンで軽く叩いた。鏡なので割るわけにはいかない。
「ねえ鏡、そろそろ回答変わらないといけないでしょ。白雪姫。わかる? し・ら・ゆ・き・ひ・め! そうじゃないと・・・

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必死な桃太郎

17/05/23 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:70

 その昔、必死で生きるお爺さんとお婆さんがいました。
 お爺さんは毎日必死に山へ柴刈りに、お婆さんは毎日必死に川へ洗濯に行っていました。
 お婆さんがいつものように必死で洗濯をしていると、川上から大きな桃が流れてきました。
 お婆さんは老体に鞭打ちながら、必死の想いで桃をすくい上げ、必死にかついで持ち帰りました。
 二人が必死で桃を切ると、中から赤ん坊の必死な泣き声が聞こえ・・・

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異性なんて星の数ほど(140文字小説)

17/05/23 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:21

 友人が失恋した。面倒だが慰めるために言う。
「女なんて星の数ほどいるんだから」
「星は多くても、全部遠いだろ! 彼女は俺の太陽だったんだ!」
 酒をあおる友人。面倒ではあったが、ここは友のためだ、本腰を入れて悟らせてやろう。
 肩を強く掴むように叩き、
「太陽もめっちゃ遠いぞ」

(了)・・・

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雷がこわい妹(200文字小説)

17/05/23 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:35

 うちの妹は昔から雷が怖い。
 以前はよく、泣きながら俺のベッドに潜り込んできていた。
 そんな妹も小学五年生ともなると成長するらしい。
 今日は雷の音も一段と大きかった。頻度も高い。
「お兄ちゃん」
 夜、俺の部屋に来た妹。だが以前とは違う。
「か、雷のやつ、倒してきてやったぜ……!」
 そう告げると、パタリと倒れるようにベッドに入った。
 激戦を・・・

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市井の人

17/05/22 コメント:0件 泡沫恋歌 閲覧数:54

 正義の味方なんて、偽善者くさい言葉が大嫌いだ。

 小学校の四年生の時に父親が死んだ。当時、世間を騒がせた通り魔殺人の被害者のひとりだった。白昼、起こった通り魔殺人は無差別に男女、そして子どもまで五人の人命を奪った。覚せい剤常用者の犯人は、元やくざで日本刀を振り回して、通行人たちを次々に襲ったのだ。
 その時、僕の父親は犯人の手からは逃れていたのに……ベビーカーを押した若い母親・・・

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思春期の挫折

17/05/22 コメント:1件 笹峰霧子 閲覧数:60

 音楽とは私にとっては愛着でもあり、悔しさでもある。幼い時からピアノを習い、自己主張をすることもなくそれが自分に与えられた道だと思って音楽大学を受験すべく、青春を犠牲にして猛練習をしていた。
 今になって思えば、たかが四年制の音大を卒業したとしても、田舎の音楽の先生かピアノ教室を開くぐらいしか能はなかったと思う。それならば、塾を経営していたのだから良いではないかと言われても、高校卒業後晴れて・・・

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正義のみかた(仮)

17/05/22 コメント:1件 冬垣ひなた 閲覧数:113

「この書店はなっとらん!」
 小さな『増山書店』の店内に怒鳴り声が響き、レジを担当するアルバイト店員の僕の前にいた客が、びくりと身を震わせた。
 ああ……見るからにガラの悪い男性客が、先程から店長に食って掛かっているのだ。
 自分が購入した落丁本の苦情を述べるのはいいとして、やれ清掃が行き届いていないだの、声が聞き取りづらいだの、段々本筋に関係ない話で店長を責める。
 気さ・・・

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夫の鼻歌

17/05/22 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:108

 いわゆる普通の幸せというものを私が手に入れて三年が経つ。愛する夫と結婚し、勤めていた会社を辞めて専業主婦になった。都内にマンションを買い、趣味も充実していて何不自由のない暮らしだ。

 夫が帰ってくる時間に合わせて鼻歌を歌いながらカレーを煮込んでいた。最新の圧力鍋でトロトロになった牛肉を入れたビーフカレーは夫の大好物だった。
 玄関で鍵を開ける音がした。私は火を弱め、鍋に蓋をし・・・

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魂を輝かせるもの

17/05/22 コメント:0件 家永真早 閲覧数:83

 魂を食らう死神、キル子はライブ会場に来ていた。力強く美味しそうな魂を持ち、日々一口を乞いながらも断られ続けている人間、理恵の後を追ってだった。
 理恵は毎週休日になると朝から晩までパソコンやスマホでゲームをしているオタク女子なのだけれど、今日は珍しく朝から出掛ける支度をしていた。訊ねてみたところ、アイドルのライブコンサートに行くのだとぶっきらぼうに答えてくれた。それからはメイクだ何だ、物販・・・

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あがり症のインコ

17/05/22 コメント:0件 瀧上ルーシー 閲覧数:44

 電車で通勤ラッシュに揉まれながら高校まで通う。
 ぼくの耳には携帯プレイヤーから流れる愛おしい音楽しか聞えない。おかげでやかましい女子高生の会話も、おじさんの屁の音も聞かないで済んだ。おじさん差別ごめんなさい。ぼくは今時月に十枚はCDを買う。中古のだけれど。もうこのご時世それだけでCDマニアを名乗っていいのじゃないかとも思う。猫もしゃくしもスマホを使ってユーチューブで無料の音楽を聴いている・・・

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開演

17/05/22 コメント:0件 風宮 雅俊 閲覧数:43


「お先に失礼します」
 階段を軽快に踏み鳴らして降りると、タイムカードに打刻する。そのままの勢いでエントランスまで行くと、ワンテンポ遅れて自動ドアのモーターが唸り音を上げ半分ほど開けた隙間をすり抜け雑踏の中に飛び込んだ。
 そう、今日は金曜日だ。今日の為に一週間がある。金曜日だけは一番に帰る僕の事に同僚は興味があるみたいだけど、それは内緒だ。でも一度だけ答えた事がある、コンサー・・・

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君の世界に響け

17/05/22 コメント:0件 家永真早 閲覧数:84

「今日はライブ休みなん?」
 バイト先の更衣室で、いつも背負っているギターがないことを見つけられ、徹平は先輩に訊かれた。
「ギター壊れて」
 昨日のことを苦々しく思い出しながら、不機嫌な顔で徹平は答える。
 徹平はメジャーデビューを目指す路上ミュージシャンで、毎日近くの駅前でライブをしていた。夜7時、花壇の前が指定位置。
 ファンも何人かつき、声援を送ってくれる子もい・・・

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異星人襲来!

17/05/22 コメント:0件 Fujiki 閲覧数:37

 彼らが異星人だと聞かされたのは高三の秋だった。
 人類に擬態した彼らはコチンダ君とグシチャン君と名乗っている。変な名前。おまけに二人ともちょっときつめの地方訛りで話す。どうせ擬態するなら、目立たないように佐藤とか田中とか普通の名前にして標準語を使えよ。コチンダ君の告白を聞いた時、僕はそう思った。地球に着いて最初に降り立った場所がまずかったのだろう。
 星がよく見える夜、僕らは二人でビ・・・

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アリを潰すのは正義?

17/05/22 コメント:0件 霜月秋介 閲覧数:122

 部屋の床を、一匹のアリが這っていた。それを私はしばらく眺めていた。こんなちっぽけな昆虫にも、感情があるものなのだろうか、何を目的として生きているのだろうかなどと考えながら、じぃっと眺めていた。それを目にした母は、血相を変えてアリを踏み潰した。
「なにボーっとしてるんだい!いいかい?家の中でアリを見つけたら、すぐに殺すんだよ?でないといずれ、この家はアリによって滅ぼされてしまうんだからね!わ・・・

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《舟歌》(安楽組曲ニ短調2099年より)

17/05/22 コメント:0件 木野太景 閲覧数:36

何も無い明るい所だった。私と朽ち始めたクラシックギターの他は。膝に乗せて抱いた。目を閉じ私の「内に在る空間」に立った。

  静謐に立つ。

ポロン

指から伝わる振動が回路を反響し、音の粒子が空間に舞った。

  波紋が広がり薄く水が張られる。動くと水紋が形を変える。

ルルル-ルルル-ルルル  

弦を反復して弾く。トレモ・・・

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鬼の涙

17/05/22 コメント:1件 そらの珊瑚 閲覧数:112

 あの日、俺はまだツノもまだ生えちゃいない子どもだったが、それまでの平安な暮らしの全てを失った。

 野蛮な侵略者たちは、海の向こうから突然やってきた。
 そして島のいたるところに火を放ち、家も畑も根こそぎ焼いていった。それまで平和に暮らしていた島民は、逃げ惑うばかり。侵略者が操る弓矢や刀、それに対抗する武器さえ持たなかった。火と煙を逃れてたどりついたのは、海辺の洞窟だっ・・・

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セイギ女子の明日

17/05/22 コメント:0件 宮下 倖 閲覧数:34

「みんなをいじめたらあたしが許さないから!」
 腰に両手をあててぐっと胸を反らすと、目の前にかたまっていた男子たちがおもしろくなさそうに頬を膨らませた。睨みつけるとぶつぶつ言いながらランドセルを背負って教室を出て行く。
「杏子ありがとう! やっぱり頼りになる〜」
「正義のヒーローみたい!」
 周りの女子がわっと沸いた。あたしの肩よりも小さな女の子たちが一心に見上げてくる。<・・・

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パクパク

17/05/22 コメント:0件 PURIN 閲覧数:74

友人に聞いた話。

ガタゴトという揺れと、暖かな日差しが心地よい。
電車の長椅子の端っこに座っていた友人は、うとうととまどろんでいた。
スマホにつないだイヤホンから流れてくるゆったりした曲も、眠気を誘っていた。

目的の駅まではまだだいぶあるし、このままちょっと寝ちゃおうかな…

そう思っていると。
急に半開きの視界の中に茶色い何かが現れた。<・・・

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音楽で事足りる

17/05/22 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:37

 この時代、猫も杓子も、音楽を聴いていた。
 人類は古代からそうだったといえばそうだが、昨今のものは事情が異なる。
 音楽大勝利の時代に突入していたのだから。



 文明が発達すると、世の中には様々な娯楽・芸術・実用技術が溢れた。音楽はその内の一つであり、また、音楽自身これ以上画期的な進歩はないだろうというところまで来ていた。
 しかし、ある「気付き」・・・

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死の宣告

17/05/22 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:41

 着実に死へ近付いている音楽家があった。死神はその魂を回収する気なのだが、困ったことに、この音楽家のような才覚と実績を備えた者の魂は、扱いが難しい。端的にいえば、強いのだ。逆らわれでもしたら死神でも手こずる。しかしそうした魂こそ上玉であり、是非とも欲しい。
 そこで死神は一計を案じることにした。

「お前は一年後に必ず死ぬ。死神による超常の力だ、他のいかなる手段をもってしても覆る・・・

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このクラスで一番要らない人間は誰か

17/05/22 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:45

 このクラスで一番要らない人間は誰か――。

 ある公立中学の教室で、この議題が話し合われていた。一度のホームルームでは時間が足りないため、連日続いている格好だ。
 要らない人間認定されれば高確率でいじめの標的になる。お墨付きを得られたいじめほどやりやすいものはない。仮にいじめが発生しなかったとしても、この議題を提示した担任教師からは、「最も要らない人間」として見られ続ける。

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俺が正義だ

17/05/22 コメント:0件 小高まあな 閲覧数:90

 愛は昔から正義の味方が大好きだった。
「じゃあ、まーくん、だーくすねーくやってね」
「えー、またぁー? いつもボクがわるものじゃん!」
「だってアイ、れっどぴーこっくやりたいもん」
 幼稚園の時、一事が万事この調子だった。他の女の子がおままごとしているのに目もくれず、男の子に混じって戦隊ヒーローごっこをしていた。その時やっていた鳥類戦隊バードマンを。
 しかもバード・・・

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音楽の魔法にかかった友人

17/05/22 コメント:3件 笹岡 拓也 閲覧数:239

大学生の俺は昼休みに友人とラーメン屋に向かった。この友人はかなりのくせ者で少々付き合いにくい。それでも友達が少ない俺にとっては大事な友人だ。
「ドレ?」
「あそこの店だよ。ほらあの行列の」
先日たまたまバイト帰りに立ち寄ったラーメン屋がとても美味しかったので、俺は友人をそのラーメン屋に招待したのだ。やはり俺が美味しいと思った店なだけあって、かなりの行列になっていた。
「ここ・・・

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正論戦争

17/05/22 コメント:0件 いありきうらか 閲覧数:40

世間では「ブラック企業」という言葉が蔓延っている。
そういう意味では、私が所属している研究室は、他研究室から見て「ブラック研究室」なのだと思う。
他研究室と比較をすると、1日あたりの作業量は多く、時には深夜、土日にも作業を行っている。
他学科や他大学の様子を知らない私にしてみれば、これは研究室の姿として普通だと捉えている。
しかし、研究室内の後輩には、他研究室が青く生い茂っ・・・

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正義論

17/05/21 コメント:0件 時雨薫 閲覧数:141

 烏は西日本国際大学グローバル文化学部の名物教授である。横文字の学部名からもわかるように、アホな私立大である。けれど地元企業への就職には大変有利だから、地元の中流家庭の子弟がこぞって入学するのだ。
「えー、うん、ちみたち、今日の講義はね、正義についてです」
 くぐもった烏の声は講堂の奥の方だと聞き取れない。だというに烏は後ろの席でスマホをいじっていたりする学生を積極的に指名する。

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わけあり女子大生?の恋

17/05/21 コメント:0件 shimaken 閲覧数:59

 せみの鳴き声が響き、夏の訪れを知らせてくれる今日この頃、辺りはすっかり暗くなり、いつもの様子とは違って少し不気味だった。
 そんなとき、大学生の僕たち――田所、内山、橋本の3人は、大学周辺のパトロールをしていた。

 サークルの活動? No.No!
 ゼミの活動?   No.No!

 僕たちはある人のためにパトロールをしている。それは大学の食堂のお姉さん――・・・

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