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手を伸ばしても手に入らない

18/02/20 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:30

 畳に敷かれた布の上で、数十の鉱石が煌めいている。こんもりと積まれ、自ら発光するそれらは、行燈の光を反射してなお眩く存在を主張していた。
 しかし、それを差し出された若い男の目にも心にも、感慨は浮かばない。胡坐をかいた膝をつかむ無骨な指に、力がこもる。
「おい、おっさん。まさか、これっぽっちの報酬でこの俺様が依頼を請けるたぁ考えてねえよな?」
 喉から出たのは、低い不満の声だった・・・

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敗者に報酬

18/02/20 コメント:0件 荒木嘉英 閲覧数:27

 コーダはあばば夫人に恋心を抱いていた。あばば夫人は火星で看護師をしていた。火星出身の女性だ。そしてこの恋は、禁断という魔のよろめきがある。あばば夫人の主人は医師であり、同じく火星出身者だった。地球出身で定職にも就いてないコーダでは、身の丈に合わない。「またいらっしゃったの」「はい。ご迷惑なら、立ち去ります」「いいえ。わたしも主人には退屈しているの。看護師をやめた身のわたしに、楽しみなど、あなたに・・・

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報酬は缶ビール

18/02/19 コメント:0件 ケイジロウ 閲覧数:41

「わかった、わかった、もうそんなところで勘弁してくれ」
 真っ暗な田んぼ道を歩く栗山諒太はそう乞うたが、北風は容赦なく諒太にタックルしてきた。
 仕事さえ見つかればこの北風は止まるだろう、諒太はそんなことを本気で信じているようだった。
 今まで何社に落とされたかわからない。30社、いや50社くらいになるだろうか。今日職安で取り次いでもらった会社もおそらくだめだろう。そもそも社会は・・・

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味のしない人生を

18/02/18 コメント:0件 伊川 佑介 閲覧数:45

「最近好きな漫画の新刊が出たんですけど、ガッカリしたんですよ」
同僚の藤崎さんが、いつものようにネガティブな話を始めた。
「二十年位前から休みがちにずっと連載してるやつなんですけど、昔は本当に面白かったんですけどね。今は作者が劣化したのか、趣味に走ってるのか、全く楽しめないんです」
ああ、あの漫画だな、と思った。が、話を広げると面倒そうなので何も言わなかった。
「僕、子供の・・・

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報酬は春告草

18/02/18 コメント:0件 文月めぐ 閲覧数:76

 二月下旬、まだまだ寒いが、もうこのあたりでは雪は降らないんじゃないか――春への期待が高まるこの時期。俺の心に降り積もっていた雪も、徐々に解けて、陽が差してきた。
 大きな生命保険の契約が決まった。新規のお客様で、ここまで額が大きいと、緊張もするし、変な高揚感がある。震える手でタッチパネルを操作して、契約を進めていくが、汗ばんだ手から何度もタッチペンが落ちそうになった。
 ずっと営業が・・・

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探偵事務所のアルバイトの報酬

18/02/17 コメント:0件 小峰綾子 閲覧数:61

「これが今回の報酬となります」
所長が封筒をカウンターの上に置く。
「今どきこんな形でお給料を渡す機会もないから、新鮮だよね」
と言って笑う。
「そうですよね。わがままを言ってしまいすみませんでした。ありがとうございます。」

ここは都内のとある探偵事務所。僕の本業はサラリーマンなので、副業で収入を得ていることがバレると色々と面倒そうなのだがという相談をしたとこ・・・

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報酬はあなたの命

18/02/17 コメント:0件 君形チトモ 閲覧数:67

「我が仇、悪逆非道の宮廷魔術師よ! その所業の報い、受けるがいい!!」
 王宮前の広場で、青年は無数の銀の弾丸を放った。
 青年は、この国の王や宮廷魔術師たちに滅ぼされた村の出身だ。一人生き残って復讐を誓った当時の幼い彼は、力を身につけるべく、報酬さえあればどんな依頼も受ける、不老不死の魔女へ弟子入りを頼んだ。
「やだね。アタシは弟子なんていらないし、しかも報酬はないって、馬鹿に・・・

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穴掘りゴンゾー

18/02/15 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:66

 ゴンゾーが地面に穴を掘りだしてから、かれこれ一時間がたった。
 きわめてゆっくりとした動作でスコップを扱うその姿は、みていてあくびがでるほどのんびりしていた。むろんそんなかれのふるまいを見物するような暇人はどこにもいなかったが。
 日中ともなれば彼のいるところは遮るものとてなにもなく、肌は焼けつくように熱くなった。
 夕方になってもまだ、ゴンゾーは穴を掘っていた。穴はすでに、彼・・・

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殺しの報酬と奇しき唇💋

18/02/15 コメント:0件 比些志 閲覧数:56

今回の標的は隣国の大富豪シコースキーとその妻。奇妙なことに、二人を同時に殺すというのが元締めから示された条件だった。
報酬は1億ドル。一生遊んで暮らせる金だ。
悲運の夫人に興味を抱いた俺は、さっそく庭師を装い、怪しまれることなく豪邸の庭先に忍び込むと、辛抱強く夫人に近づく機会をうかがった。
それから数日たったある日、いつも通り庭仕事を終え帰ろうとすると、その妻が出合い頭に玄・・・

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五限目の苦悩

18/02/14 コメント:0件 若早称平 閲覧数:91

「ねえねえ、坂口。ちょっとこっち来て」
 今日がバレンタインデーでなければ、なんてことない呼び出しだった。同じクラスの原田さんが手招きする。緊張のあまり食べたばかりのカレーパンを吐きそうになった。僕が彼女に密かに想いを寄せていることを知っている友人からの冷やかしと激励が遠くに聞こえた。
 彼女の後ろについて廊下の隅に歩いた。制服のポケットからのぞくチョコに期待が膨らむ。
 人気の・・・

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殺しの報酬

18/02/13 コメント:0件 風宮 雅俊 閲覧数:76

 今日の依頼は三十代男性の狙撃だ。写真を見る限り普通の会社員に見える。ヤクザの金に手を出せるほどの根性は感じられない。あの無防備な歩き方ではどこかの国のスパイと言う事もない。この男のどこに殺すだけの価値があるのかは分からない。ハッキリしているのは、この男を殺す依頼の前金は受取済みである事だ。俺にはそれ以上の理由は必要なかった。

 スコープを覗くと二百メートル先に男がいる。距離はそれほ・・・

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小説少女と殺人少年

18/02/12 コメント:0件 クナリ 閲覧数:124

 コンクリート打ちっぱなしの、無愛想な正方形の平屋に、平岡クツリは住んでいた。
 僕と同じ十七歳だが、学校には通っていない。この平屋は離れで、すぐ側に母屋があり、クツリの父親が一人で住んでいる。
 僕が、ベッドと子供用の学習机しかないクツリの部屋を訪れると、いつも最初に僕からの報告が行われる。
「今日は、高校生にカツアゲされている小学生を助けた。代わりに僕が殴られたけど」
・・・

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僕が欲しいもの

18/02/12 コメント:0件 ジェームズボンバークライシス 閲覧数:59

僕は他者にしてきたことは、必ず自分に返ってくると祖父に聞かされたことがある。
だから僕は他者に対して貢献をすれば、必ず恩恵が返ってくると思っていたから僕はしばらくの間は利己主義だった事実は否定できない。
だけどもその行動が習慣化されると、そういうことは無意識に行っていたし、自己犠牲以外の常識を知らないわけだから、結局人に当たり前のように尽くす。
おかげで、僕は騙されることも多かっ・・・

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報酬はティーチのあとで

18/02/12 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:179

 兄ちゃん、一人で飲み屋なんか来ちまって、彼女さんとかいないの? がはは、こんなオヤジに女の心配なんかされたくないよな。

 仕事は? バイトで食ってくのは厳しいもんがあるぞぉ。
 なに、夢があるだって? 小説家を目指してんのか。うんうん、だけどなかなか結果が出せなくて困ってる、と。

 ゴホン、仕方ねぇな。俺がいくつかアドバイスしてやるよ。え? ド素人に意見なんかさ・・・

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振り向き症候群を救う会

18/02/12 コメント:2件 入江弥彦 閲覧数:233

 七年前のハイジャック事件が怖くて飛行機に乗れない。三年前の殺人事件が怖くて人と口論ができない。十三年前の脱線事故が怖くて電車に乗ることができない。僕がこの世に存在する前の爆弾魔が怖くてビルの高層階には登れない。僕が生まれた日に母を殺した医者が怖くて病院に行けない。
 過去に足を引っ張られ続けた僕は、今では立派な振り向き症候群だ。
「難しい顔してるよ」
「顔なんてそっちから見えな・・・

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自ら動けば、きっと世界は

18/02/11 コメント:0件 麗蘭 閲覧数:85

夕日が辺りを照らす黄昏に、ハルトはあてもなく高架下を歩いていた。持っているカバンは教科書がパンパンに入っており、重みから時折肩からずれそうになる。冬の寒さが身にこたえるが、ハルトは家に帰る気にはなれなかった。
「だって、どうせ家に帰っても、父さんも母さんもいないんだ…」
ひとりぼっちの空間はハルトにとって苦痛だった。ハルトも中学生になり、両親の仕事の多忙さは理解している。しかし、だから・・・

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我々の報酬、あなた方の報酬

18/02/11 コメント:1件 どようび 閲覧数:94

 野原に、無数の飛行物体が着陸しました。
 金で出来たものもあれば、銀でできたものもあり、地球では採取できない未知の物質から成るものもありました。
 空から降りてきては、その家一つ分の大きさの機体で地面を揺らし、立ち所に周辺の人々が集まり遠巻きに観察を始めました。
「あれはきっと侵略してきたに違いない」
「いいや、きっと貿易が目的だね」
「地球より遙かに優れた技術を持・・・

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命の値段

18/02/11 コメント:0件 山盛りポテト 閲覧数:46

品のいい革張りのソファーに深く腰掛け、手に取った札束を舐めるように見つめ、一枚一枚指で弾いた。
「今回も稼がせてもらったな」
俺がこの仕事を始めてから何年経ったろうか、ムショ上がりで両親は幼少の頃に他界、天涯孤独。親しい友人もいないので自然と普通の人間じゃまずやらないようなことで稼ぐようになった。気がつけば肩までどっぷり使った深い欲の沼から抜け出せずにいた。
仕事は至って単純だ。・・・

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156分の1

18/02/10 コメント:0件 64GB 閲覧数:73

 昭和26年7月、その日母と死に別れるとは知らずに、4才の私は新しいお出かけ用の赤い靴を履いた。自宅から渡し船とバスで札幌の五番館デパートまで片道二時間かけて行った。屋上にある遊園地につれて行ってもらうために何日もいい子でいた気がする。
「恵美子は美人だからエレベーターガールになれるかもよ」母はそんなことを言った。美人という言葉に私は嬉しくなって「上に参ります!3階はおもちゃ売り場です!」と・・・

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地球最後の報酬

18/02/09 コメント:0件 紅茶愛好家 閲覧数:109

世界の終わりは突然やってくる。西暦二XXX年、預言者ノストラダマスの予言した地球最後の日、巨大隕石の襲来に人々が慌てふためく中でそれでも僕は――
――レジを打つ。

「いらっしゃいませー」
「らっしゃいませー」
気だるげな山彦挨拶をしていると店長が険しい顔でやって来た。
「笹倉君『らっしゃいませ』じゃないからね、『いらっしゃいませ』だから!」
「うぃーす」・・・

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修学旅行

18/02/09 コメント:0件 暎架 閲覧数:85

 異装届を先生に提出するために、職員室へ行った。

「やあ、島田さん」
明るく受け取ってくれた担当の先生は、こころのオアシス。

 思えばあの日。

入学式の日は一日雪で、車の送迎は渋滞で遅れてしまった。焦って正門を走っていくと、横目に入る一人の先生。

手には大きなスコップ。白のYシャツにスーツのズボン、そして薄手の手袋。

わた・・・

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物語は、定時に終わる。

18/02/08 コメント:0件 松田リリー 閲覧数:101



『おはようございます。』

ニュースキャスターの朝のご挨拶。
キャスターはいつも決まった時間に、おはようございますと言ってくれる。ありがとう。
朝食は、白米に納豆。
汁ものはなし。
身支度をして部屋を出て行く。

ドアを開けるといつもの景色。
忙しく歩いている人々を上から見下ろす。
ここは、駅が近い。
そして自分もそ・・・

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天使のお仕事

18/02/08 コメント:0件 風宮 雅俊 閲覧数:74

「次の天使さん」
 地上での任務を終えると、私の所で清算をするのだ。天使の任務は人々が道を迷わない様に険しい道も乗り越えられる様に、ある時は優しくある時は厳しく導き手として。また、成長を促すシチュエーションを作る役者として、人々の間に紛れ込み任務を果たすのである。
 その任務は多岐に渡り、心の傷を癒すカウンセラー、戒めを与える悪党、慈悲を目覚めさせる病人などとなるのであった。しかし、天・・・

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金・金・金

18/02/08 コメント:0件 斎藤緋七 閲覧数:72

勇人は「別れさせ屋」をやっていた。
もちろん、『金をもらって』だ。依頼者は圧倒的に男が多い。
新しい彼女が出来たから古い付き合いの女とはおさらばしたいと言うのが一番多い。
その日も友人の一人、智に依頼された。
「勇人。親友割引で頼む。」
「割引なんかしないぞ。有里は一途だから。料金も高くなる、
一番別れ際タチが悪いタイプだ。」
今月に入って2件目の依頼だ。・・・

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霧の国

18/02/07 コメント:0件 トモコとマリコ 閲覧数:102

 玄関のドアを開けると、ちょうどトイレのドアが開いて、合い鍵を渡しているウェイトレスが出てくるところだった。
 気まずい沈黙が数秒続いた後、ウェイトレスは何も言わずに手を洗い、そして私を急かすように、銀のお盆を指先でトントンと叩いた。
 私はもうほとんど取れかけている胸の糸を抜き、半分しか残っていない心臓をウェイトレスに手渡した。ウェイトレスは心臓をお盆に載せ、手際よくフォークとナイフ・・・

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さようなら、私が殺した私

18/02/07 コメント:0件 斎藤緋七 閲覧数:101

「妹は恨みを買うような子じゃなかった。」

早紀子と死んだ妹の有美子は双子の姉妹だ。

誰もまだ気が付いていない。姉妹がいれかわっている事、生んだ親も笑ってしまうくらい私たち姉妹はそっくりだったから。



私、早紀子は有美子を殺した。

妹を殺し、妹になりすまし妹の人生を生きようとしている。

世間では、私、早紀子が死んだ・・・

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『お金』がない国

18/02/07 コメント:0件 葉月三十 閲覧数:85

 夢のような国だ。
 その国にはお金が存在しない。
 とある国、そこではもう百年もの間、お金というものが使われていなかった。
 人々はその国を理想郷と呼び、沢山の旅人がその国を訪れた。
 今日もまた一人、とある青年がその国に入国した。
「お若いの、観光ですか?」
「そうですね、旅をしています」
 旅人は世界各国を回っていた。現実社会に辟易したのだ。故の自分・・・

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白魚の手

18/02/06 コメント:0件 広田杜 閲覧数:110

 私の飼い猫が私に贈り物を持ってくるようになったのは最近のことだ。
 食器にドライフードを足そうとしていたときのこと。猫専用ドアの開く音がし、彼が帰ってきた。名前をしらすという真っ白な彼は、口に雀の死体をくわえていた。私は小さく悲鳴を上げると、外に持っていくようにきつくしかった。しらすは反省するように頭を下げ、しぶしぶ外に雀を持って行った。
 翌日のこと。読書をしている私の足元にしらす・・・

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ゲームオーバー!

18/02/06 コメント:4件 奇矢 閲覧数:130

はっ――と目を開けた。
僕はジャケット姿で、走るバスに乗っていた。
そんなに混んでなくて、立ってる客は皆無だった。
そして、空席も少しあった。
窓の外に目を向けると、美しい夜景が見えた。
いったい何処を走ってるのかも……僕には分からなかった。

まもなくバスは、街中へと入った。
だが、妙なことに、何処へ行こうと思って、このバスに乗ったのか……まったく・・・

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米$の身体

18/02/06 コメント:1件 斎藤緋七 閲覧数:79

ジュースの中に入れた薬がまわって抵抗できない「女」の喉元がひくひく動いている。私は先端を当てているアイスピックをもつ手に力を込めた。「お願い、空ちゃん…お母さんが間違ってた。」「間違ってた?ナニを?言って見なさいよ。」 「体外受精で子供を産んでもらったお礼にブラウンさんに『あなたをお礼に上げたこと』ブラウンさんが『情がうつちゃったからどうしても一人欲しい』って言ったから。」 「あんたさあ。」 実の・・・

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かけがえのない温もり

18/02/05 コメント:1件 いっき 閲覧数:104

今日はボーナス支給日。
パソコンの給与明細画面を見て心躍らせる。
僕も妻も誕生日は十二月だ。
綺麗な夜景の見えるレストランで、毎年豪華なディナーを楽しむんだ。

皆がボーナスにウキウキしていたその時。

「大変です。県内養鶏場で鳥インフルエンザ陽性が確認されました」

電話を受けた同僚が青ざめて言った。
僕達、県職員は皆、凍りつく。

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目先のユル

18/02/05 コメント:1件 暎架 閲覧数:134

 灼熱の中を無我夢中で落ちていった。
「ぐっ……」
必死で耐えた。

 永遠に思えた時間が一瞬にして終わる。ゆっくり目をこする。ここは、どこだ。ああ、新しい勤務先か。何も聞こえないじゃないか。「SKY」、「WATER」、「PLANT」は予習済みだ。発音が難しかった。しかしここには、1つしか当てはまらないのか。
 
 さらさらとしたもののせいで、踏ん張って立ち上が・・・

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悪の組織と正義のヒーロー

18/02/05 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:74

 超人になれる変身能力を持ち、地球の平和を守る、ヒーローたちがいた。今日も今日とて悪の組織と戦っている。
 レッドとイエローが下っ端構成員――正体は全身黒ずくめの普通の人間――を蹴散らしていると、ピンクが遅れて駆け付けた。
「ごめん、どうしても起きられなくて」
 レッドは普段ピンクに優しいが、さすがに怒る。
「そんな理由許されるか!」
「まあまあ、来てくれただけでも」・・・

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いざ鎌倉

18/02/05 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:62

『いざ鎌倉』

 一大事が起きたことや、警察・消防が有事の際現場へ駆け付ける心構えのことを指すことわざだ。
 しかし考えてみればおかしい。鎌倉という地名を指定しているが、大事が起きるのは鎌倉とは限らない。確率的には低確率。特に「有事の際現場へ駆け付ける心構え」の意味なら、現場を放棄して鎌倉へ観光にでも向かってしまっている。
 鎌倉が何故大事を指すのか、そして何故鎌倉へ向かわ・・・

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安価な殺し屋

18/02/05 コメント:2件 戸松有葉 閲覧数:71

 安価で引き受けることを謳う殺し屋がいた。他の殺し屋は安めの依頼料と高い成功報酬で引き受けるが、後者を求めないのである。
 ある依頼人は気になって尋ねてみた。
「何故成功報酬を貰わないのですか」
「俺は仕事だと思っていないからな、必要経費だけで充分だ」
「はあ」
 曖昧に相槌を打ちつつ、内心なるほどと合点が行く依頼人。要するにこの殺し屋は殺人狂なのだ。関わりたくない人・・・

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応援

18/02/05 コメント:1件 井川林檎 閲覧数:132

 「この道は舗装されていて、まっすぐだ」

 眼鏡の女は、腕を組んで立っていた。
 みんな、疲れたら座り込んで休んだり、会話したりしている。
 わき目もふらずに歩いてゆく人もいる。

 濃紺のアスファルトは陽光に照らされ、てらてら光っている。
 広い道の両端は、ここからは見えない。だけど、道の両側は、果てしなく広い砂場が続いているのだ。
 乾いて、何・・・

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追憶

18/01/29 コメント:1件 無銘 閲覧数:237

ある年の正月の日のことだ。例年通り昔馴染みの奴らと初詣に行った足である人の墓参りに行き、夜な夜な酒を飲みながら談笑していた。
「今日も晴れてたな。」
「こうも毎年晴れてると思い出しちゃうよね。」
カップルの二人がふと呟く。
「玲雄も彩もその辺にしな。もっと悲しい人がそこにいるだろう?なぁ秀。」
酔いどれの女が煽るように振った。
「あまり来ないから瑞稀らの顔を見る・・・

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逢瀬の星酒

18/01/29 コメント:1件 君形チトモ 閲覧数:168

 陣来はボトルを手に取って、グラスにワインを注ぐ。七日前までただのワインだったはずの中身は漆黒の液体となっており、部屋の明かりでちらちらと小さな光がいくつも瞬いた。この酒は四年前に死んだ恋人だ。正確には、星となった恋人の、欠片を閉じ込めた酒である。
 恋人がデートの帰りに事故で亡くなった時、まだ大学生だった陣来は、同じ大学で知り合った、人生初の恋人と青春を謳歌していた。まさしく青天の霹靂、葬・・・

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無重力爺ちゃん

18/01/29 コメント:6件 むねすけ 閲覧数:356

――今日占いで寿命をみてもらってきたよ。
 爺ちゃんが独り言のように話し始めるのは大事な話を切りだすいつもの癖だ。
――当たるって評判の占い師なんだ。スターフィッシャーズは今年も最下位だとさ。
 スターフィッシャーズが最下位になると爺ちゃん落ち込んで仕事しなくなるからな、当たりませんように。
――水晶でも手相でもないんだなぁ。髪の毛を一本くれってさ。その占い師。俺の髪の毛ど・・・

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宴(うたげ)

18/01/29 コメント:2件 そらの珊瑚 閲覧数:184

 わぁ、みんな久しぶり。何年ぶりかなあ。中学を卒業してからだから……いやだ、15年ぶり? でも変わらないわね。お世辞じゃないわよ。  リナちゃんも花ちゃんも結婚して子どもも産んだんだってね。おめでとう。田舎は結婚が早いって? そうなの? だったら私も東京なんか行かずにここに残ってたら今頃結婚してたのかなあ。なんてね。そしたら作家なんか因果な商売しないでみんなみたいにのんびり奥様やってたかもね。作家・・・

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スナック 鏡

18/01/29 コメント:2件 nekoneko 閲覧数:203

 真一にとって、このスナックに入るのは初めての事であったが、実際、いざ入って見ようと思うと何故だか妙に変な躊躇いが生じていた。右手を少し伸ばせばドアノブがある。「ここのドアノブを回すだけでいいんだよな。そうすれば中へ入れるんだ」口元から漏れたのか慰める様な自分の声が耳元に聴こえた。真一が、この店を知ったのは、3日前であった。何時もの通り道、その通りから脇道に入って奥まった所。気にして見なければ簡単・・・

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飲みながら書きました

18/01/29 コメント:0件 志水孝敏 閲覧数:133

はーい、どうもこんにちは、志水孝敏です。
今日はですね、締切ギリギリと言うかですね、あのー、今月からですね、
こちらの時空モノガタリさんのサイトの方が、月一での賞の開催になったんですね。

それで、自分ちょっと勘違いしてまして、月一回ということは、
「ああ、じゃあ月末までオッケーなのかな?」と思ってたんですが、
そうじゃないと。
いままでと変わらず、四週か・・・

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神様の梅酒を飲んだ日に

18/01/29 コメント:0件 冬垣ひなた 閲覧数:187

「昼間からお酒って、いいの?」
「孫娘の20歳の誕生日にはと決めていたんだ」
「ありがとう。今年も綺麗に咲いてるね、おじいちゃんの梅の花」

 家の縁側に腰掛ける美華は、祖父の信彦とグラスを傾けた。傍らには、去年漬けた梅酒の瓶が琥珀色の光を帯びながら鎮座していて、「家の中心は我なり」と自己主張しているようだった。
 この片田舎では、梅の木には神様が宿ると信じられている・・・

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Bloody Wine

18/01/29 コメント:0件 みや 閲覧数:78

ポンというコルクの栓が抜ける心地良い音を聴くのは今夜が三日目だ。マスターが美しい赤色の液体をグラスに注いでくれて、私は味わう事も無くゴクゴクと飲み干しマスターが続いて注いでくれた二杯目も一気に飲み干した。

「アルコールにもだいぶ慣れて来たみたいですね」
「そうですね。このワインの影響かな」
「執筆の方は如何ですか?」
「全く…早く効果が現れてくれると良いのですが」<・・・

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青汁ハイ

18/01/29 コメント:0件 ケイジロウ 閲覧数:76

「いかがでしょうか」
 健太は眉間にしわを寄せて、口内に入っている液体の正体を暴こうとしていた。少し間を置き、一度頷いてから言った。
「うん、これでいい」
「かしこまりました」
 蝶ネクタイをつけた男はロボットみたいに会釈をした。そして祥子の前に置かれたピカピカのグラスにワインボトルをソムリエ風に傾けた。グラスが少し満たされると、急いでボトルを新体操の選手のようにひねり、ボ・・・

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笑い上戸の泣いた様

18/01/29 コメント:0件 甘宮るい 閲覧数:255

 今日までの3年間が満足だ、ってお酒に浸された脳みそでも自信を持ってそう言える。小さな私たちのバンドには、多すぎる思い出ができた。ただ、この脳みそでも今日でこの居酒屋に集まってする打ち上げが最後だと思うと、耐え切れない寂しさが襲った。
「笑いながら泣いて、大丈夫かぁみっちゃん」
 ひろまろは、私の肩を叩いてそう言って笑った。ドラムみたいに響く、少し低い音のする引き笑い。
「武田の・・・

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羽化登仙

18/01/29 コメント:1件 OSM 閲覧数:121

 愛美の父親は、酒を飲み過ぎたせいで死にました。場末の酒場で安酒をたらふく胃に流し込み、したたか酔っ払った帰り道、橋の欄干に上がり、足を滑らせて川に転落し、溺れ死んだのです。
 父親が搬送先の病院で息を引き取ったという知らせを聞いて、愛美の母親は「せいせいした」と呟きましたが、愛美は大泣きしました。父親は酒癖が悪い人でしたが、酒をいくら飲んでも、一人娘にだけは暴力を振るわなかったし、暴言を吐・・・

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酒のカップに咲いた花

18/01/29 コメント:0件 そらの珊瑚 閲覧数:98

 この仕事を始めてから、冬は天国だと思うようになった。寒いので臭いが幾分マシだからだ。孤独死というワードが世間に広まったのはいつ頃だろうか。俺が小学生の頃にはなかった気がする。昔も孤独死はあったのだろうが、社会問題化するほど数が少なかったのかもしれない。今のままでいけば自分が死んだら絶対に孤独死だろうから、死ぬとしたら冬がいいな。後片付けをする人にかける迷惑を少しだけ軽く出来そうだから。死。それは・・・

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お酒のちから

18/01/29 コメント:0件 宮下 倖 閲覧数:82

 お酒ってすごいな。
 ダイニングテーブルに突っ伏して小さくいびきをかいている母を見て私はため息をついた。ビールやチューハイの空缶が今日も散乱している。まるで何かの墓標のようだ。
 お酒ってこわいな。人をここまで変えてしまうんだから。
 私は成人してもお酒なんて飲まない。絶対にだ。
 結局、今日の三者面談にも母は来なかった。自分の娘が来年大学受験だってわかっているのだろうか・・・

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たゆたう

18/01/29 コメント:1件 淳子 閲覧数:96


ゆらりゆらりと水面を揺蕩うのは、それぞれの思い出。
酒場にいくと、それぞれが必ずその揺蕩いを見つめる。
人々はその水面から好き勝手なことを思い出すのだ。学校のプール、幼いころ家族で行った海。

その時、酒は世界を映す鏡になる。

昨日みた近所の公園の水たまりから、ドバイで見た噴水まで様々なものをうつしだし。姿を変える。

水たまり、噴水、海、・・・

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